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業種別部会長シンポジウム

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2006年上期業種別部会長懇談会 2006/02/07

 

ブラジル日本商工会議所総務委員会(多田稔委員長)及び企画戦略委員会(金岡正洋委員長)共催の「 2006年上期の業種別部会長懇談会」は、2月7日午後1時30分~5時30 分、クラウン・プラザホテルで開催された。多田委員長司会の下、 11 業種別部会長、副部会長や部会長代理により、共通テーマ「 2005 年度の回顧と2006年の展望」や個別テーマについて発表した。

2005年度の回顧では、高金利、ドル安、経済成長率の低下、旱魃などが業績に影響したが、2006年度の展望では、大統領選挙、ワールドカップ、公共 投資などの特需で、多くの部会では景気向上を予想していた。 各部会の発表後には、発表者を困らせる質問も浴びせられ、活発な質疑応答が交わされた。

当日の出席者、各部会代表の発表者は次の通り。

・会頭 田中 信(リベルコン・ビジネス)
・司会 多田 稔総務委員長(伯国三菱商事)
・金岡正洋委員長(日本スチール)

各部会発表者

・赤嶺尚由コンサルタント副部会長(ソール・ナッセンテ)
・福田勝美金融部会長(みずほコーポレート銀行)
・三分一克則貿易部会長代理(島津)
・板垣義実化学品部会長(スリーボンド)
・嶋末繁機械金属部会長(三菱重工)
・今井達男繊維部会長(日清紡)
・廣田喬司食品副部会長(日清味の素アリメントス)
・盤若幸雄電気電子副部会長(NEC)
・阿部 勇建設不動産部会長(ブラジル戸田建設)
・平野侯一運輸サービス部会長(日本通運)
・岩村哲夫自動車副部会長(ホンダ)

オブザーバー

・西林万寿夫総領事
・中川浩治書記官

 

 

  • 司会の言葉


    多田稔総務委員長(左)

      えー、定刻より少し遅れておりますけれども、恒例の業種別部会長懇談会を開催させていただきます。まああの、通常と変わりませんけども、これは総務委員 会と企画戦略委員会の共催ということで、本日は私が、総務委員長の多田ですが、司会をつとめさせていただきます。で、今日はですね。まあ商工会議所のメン バー以外にも広く邦字新聞を通じてですね、一般の方々の参加も呼びかけておりますし、領事館からは西林総領事と土肥領事、それから大使館の方から中川書記 官に来ていただいております。後ほどご講評をいただくことにしたいと思っております。

    であの、この部会長懇談会はですね、私思いますに、商工会議所の十一の部会の各代表の方が前年の回顧と今年の展望、見通しということでお話をされるわけで、今 ブラジルで経済的に、あるいは政治的に何が起こっているかというのを理解する上では、我々にとっては最もいい場ではないだろうかというふうに自負しており まして。是非これを参考に事業戦略の展開にも取り入れていただければというふうに思っております。まず最初に、商工会議所会頭の田中さんの方からまずごあ いさつをお願いします。

     

  • 挨拶 田中信会頭


    田中信会頭

    皆さんこんにちは。座って話させていただきます。

    本日は当会議所のメインイベントである業種別部会長懇談会にご多忙中にもかかわらず多数ご出席頂きまことにありがとうございます。特に西林総領事以下サ ンパウロ総領事館の皆様、およびブラジリアの大使館からわざわざご来聖いただいた中川書記官には厚く御礼申し上げます。さらに西林総領事、および中川書記 官には最後に講評をいただくことになっております。何卒宜しくお願いします。

    それから先ほ ど多田委員長の方からご紹介がありましたように、本日は多数の珍しい方々も参加していただいております。堤・リオ商工会議所の会頭、それからわれわれの先 輩であります、前副会頭の岡田さんがですね、わざわざこのために日本からかけつけたとおっしゃっていただいておりますが、まあそういうことで日本からわざ わざご出席いただいおります。

    この懇談会は一年2回、年初と年央にブラジル経済の回顧と展望を実施することになっており、今回は2005年を回顧し、2006年の展望を行うものであります。
    古い方には繰り返しになり恐縮ですが、新しい方もかなり増えておられるので、最初に、懇談会の簡単な歴史をご紹介させていただきたいと思います。

    現在の皆さんには想像されるのが難しいと思いますが、1970年代初め、「ブラジル経済の奇跡」といわれた時代、欧米企業に伍して日本企業も怒涛のよう にブラジルに進出しました。まさに、殺到する、という表現がふさわしい状況でした。当会議所もそれに対応しまして組織改革を行い、業種別に10部会が作ら れ、会員はいずれかの部会に所属することになりました。さらに二年前、機会部会から自動車部会が独立し、現在11部会になっていることは皆さんご承知の通 りであります。
    私事にわたり恐縮ですが、その時ここにおられます山田監事会議長と私がコンサルタント部会創立に参画、私が初代コンサルタント部会長に選任されました。
    こ の部会長懇談会はそれからまもなく開始されましたので、30年余の歴史を有する由緒ある行事です。当初はコンサルタント部会の行事として、コンサルタント 部会長が司会役でした。その後会議所の組織に総務委員会が新設され、同委員長が司会する会議所の全体行事となり、さらに最近は総務および企画戦略両委員会 の共催となっております。

    近年「開かれた会議所」の方針に則り、一般ブラジル社会にも開放し、会員以外でも自由に参加できるようになっております。日本語の理解が難しい参加者のためポルトガル語の同時通訳も用意しております。

    この会議では各業種別部会の代表者から生の声でそれぞれの業界の直近の動向が発表されます。この発表のため各部会は部会長さんを中心に自社業績や業界の動向を分析し、その結果を検討整理されますので、各社の経営戦略の決定に極めて役立つものと思います。

    さらにこのプロセスを通じてメンバー各社の親睦にも役立つものと思います。さらに外部の企業、学校、研究所など外部機関にとってもブラジルの現状把握に役立つ、数少ない信頼すべきデータと評価されております。

    昨年2005年のブラジルは、政権を担当するPTの選挙資金調達をめぐるスキャンダルによりジェノイーノ党首以下主要幹部が退任を余儀なくされ、最大の 権力者であるジョゼ・ジルセウ官房長官(当時)の議員資格が剥奪されるなど、政治面では大揺れに揺れたとしでありました。
    しかし心配された経済への影響はなく、ブラジル経済は輸出額、貿易収支、経常収支、カントリーリスク、インフレ率、財政プライマリー収支、株価などほとんど全ての重要な指数が記録を更新しました。

    本年も米国、中国の景気持続、日本経済の回復など世界経済の追い風は続くものと予想されますので、ブラジル経済も2004年、2005年に引き続き持続 的な成長が期待されます。特に本年は六月のワールドカップに次いで十月の大統領選挙が二つのメインイベントで、いずれも経済にプラスに作用するものと期待 されます。
    わがブラジル日本商工会議所の会員数は現在、法人会員287社、個人会員13人で、計300です。法人会員の内訳は、日本の進出企業143社、日系地場企業90社。ブラジル企業36社、欧米企業18社で日本からの進出企業は50%弱であります。

    70年代の最盛期には日本からの進出企業が全体の70%以上を占めていたことを考えると今昔の感があります。法人会員数は1980年代以降ずっと減少傾 向を続けてきましたが、2003年の272社で底を打ちまして、上昇に転じました。ただし日本からの進出企業の入会も最近増えてはきましたが、いまだ退会 数の方が多く差し引き残高では減少が続いており、現地企業会員の増加でカバーして全体で増加しているのが現状です。

    「開かれた会議所」「チャレンジする会議所」「全員参加の会議所」という基本方針の下、本年は昨年に続き次の三つの重点施策を掲げております。

    第一は日伯関係の強化であります。一昨年の小泉首相訪伯、昨年のルーラ大統領訪日を契機として、日伯経済関係強化、特に日伯EPA(経済連携交渉)早期締結に向けての活動強化を継続する。

    第二は会員増強により会議所の財務体質を強化するとともに、会員へのメリット拡大を目指す。まだ主要他国商工会議所との連携強化により、提言能力、対外発言力を強化する。

    第三は日本移民100周年事業への協力であります。100周年を二年後に控え、目玉となる事業がまだ明らかではありませんが、事業主体である100周年祭典協会の動向を注視しつつ、会議所としての協力の方策を検討継続する予定であります。

    本年は当会議所の源流でありますサンパウロ商業協会が発足してからちょうど80周年の節目にあたります。
    日 伯経済関係も80年代、90年代の「失われた20年」を経過し最近ようやく多少の動意が見られるようになりました。会議所の活動は会員のニーズに応えるこ とを重要課題としており、活動分野も拡大するとともに、一段と精緻さが必要とされるようになっております。昨年一年間だけとりましても「移転価格税制検討 委員会」「日伯EPA共同研究分科会」「移民100周年分科会」「企業の社会的責任活動分科会」の四つの委員会、分科会が設立されました。

    以上の通り最近の会議所を取り巻く情勢は多岐にわたり、しかも激しく変化しております。我々は迅速かつ的確に対応していくことが必要だと思います。
    それと同時に一方では、「去年(こぞ)今年(ことし)貫く(つらぬく)棒の如きもの」という、有名な俳人高浜虚子の句がありますが、変化を越えて確たる太い棒のようなものがあることも忘れてはならないと思います。

    最後にこの会の担当である総務および企画戦略両委員会、業種別部会および事務局のみなさん、バックアップしてくれた全会員の皆さんのご尽力に心から感謝の意を表しまして私のあいさつを終わります。ご静聴ありがとうございました。

    〈司会〉田中会頭どうもありがとうございます。あの、今日の懇談会は、3時15分にいったんコーヒーブレイクに入って、最終的には5時半前後に終わるこ とを目標としております。で、あの、皆様それぞれご都合がおありでしょうから、なるべくこの時間内で収めるべく皆様のご協力をお願いしたいと思います。

    コーヒーブレイクの前には、五つの部会から発表をいただいて、3時半以降、これはどうなるか分かりませんが、六つの部会の発表をお願いします。で、発表 者の方にはですね、一応前もってお願いしておりまして、10分間でご発言いただいて、その後5分ほど質疑応答に使いたいと思っております。

    ちょうど発表者の席がひとつでございますので、まあいまちょうど田中会頭が座っておられるところですが、発表者の方は席にちょうど席にあります名札をお 持ちいただいて、その名札を立てていただいて発表していただくと、それでお名前も皆さんに分かるということなので、ひとつよろしくお願いいたします。

    最初はまず、コンサルタント部会ということで、人材銀行の赤嶺さんに発表をお願いしたいと思います。大丈夫ですか。もうよろしいですか。いや、遅れて来られたんで順番替えてもよろしいですけど、大丈夫ですか。じゃあよろしくお願いします。

  • コンサルタント部会


    赤嶺尚由コンサルタント副部会長

     

    えー、ちょっと事情がありまして、5分間遅れたことをあらかじめお詫び申し上げます。

    ただいまご紹介に預かりました、コンサルタント部会副部会長の赤嶺でございます。私の取り上げる報告と発表といいいますのは、タイトルは一応「今年の大 統領選挙をこう考える」、こう見るという観点から、皆様のご意見を後で是非うかがいたいと、こういうふうに考えております。

    会場にいらっしゃる西林万寿夫在サンパウロ総領事、歴史有る我らの、開かれた、チャレンジするブラジル日本商工会議所の田中信会頭、本日の業種部会長懇 談会の準備や運営のためにたいへんに汗を流してくださっている多田総務委員会委員長、金岡企画戦略委員会委員長をはじめ、また、多分お役目柄でしょうか、 少しきつめの視線を向けていらっしゃる山田監事会議長をはじめ、ご出席くださった大勢の皆様方を目の前にして、すこしネルボーゾであります。ちょっと緊張 しております。

    少し私の緊張感を解く意味と、もうこういう古き良き時代の業種別部会長懇談 会に関するたいへん懐かしい、また微笑ましい思い出をご存知の方も少なくなっているというふうに思いますので、また西林総領事もご多忙中の所わざわざご出 席いただいておりますので、そういったちょっと微笑ましくも懐かしい、いやむしろ愉快な事柄から先に少しお話させていただきます。

    先ほど壇上に立たれた田中信会頭は、現在の要職に就かれる前に、私の記憶ではおよそ30年近くも、伝統あるコンサルタント部会の万年部会長を務められ、 もちろん、されあに伝統あるこの業種別部会長懇談会でも第一番目の報告者を担当されるのがいつの間にか一つの不文律みたいになり、そしていつも期待に違わ ず立派な、内容がしっかりして立派な報告をなさいました。

    ところがであります。その田中コ ンサルタント部会長の一つの難点、といいますか難しいところは、当時から時間にはやはりたいへんうるさかった総務委員会で決められた制限時間を守らないこ との常習犯で、いや守るどころか、時間は使うためにある、規則は破るためにあるというような、こう非常に柔らかい考え方というか柔軟性に富んだものの考え 方をしていらして、それがまた私たち関係者の非常に頭痛の種でもありました。

    そこで当時の 総務委員会では、特別に田中部会長対策として編み出されたのが、クロノメーターと呼び鈴を使って厳しく時間を測定し、物理的な力でもって有無をいわさずな んとか押さえ込もうとこういうことでございました。ここでもう一回、「ところがです」を繰り返さなければなりません。ところが、ある年の上半期か下半期の 部会長懇談会の時だったと覚えていますが、制限時間前の9分の時点でチンと呼び鈴を一回合図し、制限時間10分ぎりぎりでチン、チンと二回呼び鈴で合図し ても、まさに平気の平左。田中部会長は、当時の総務副委員長として計測係を仰せつかっていた私の方をチラッと視線を送られただけで、後は何事もなかったよ うに、再び涼しいお顔で報告発表を続けられ、また、事もあろうに制限時間の二倍、つまり20分を軽く越す大きく長い報告をなさいました。

    こうなりますとご本人の自覚の問題ですから、もう物理的な方法では何とも手におえないと、こういうふうになりました。いやあ、さすがに将来の歴史ある日 本商工会議所の会頭になられる方の心臓は強くて太いと、太いわいと、改めて感じた次第であります。それから間もなく経って、晴れて当会議所の会頭となられ ました。

    そこで、本日の多田、金岡両委員長、いやとりわけ田中会頭には、あの時のちょっと した恩返し、あるいは借金の一部でも返済していただく意味で、本日の私の拙い話にも、10分とは申しませんが、ややそれに近い制限時間のご猶予をいただき たいと、こういうふうに考えております。でもできるだけ駆け足で、私の報告をさせていただきます。

    それでは、少し気持ちも落ち着いたところで、私の本日の報告に移ります。今年のブラジルは俗に「政治の年」と言われてます。それは、4年に一度の大統 領、27州知事、上院議員の定員の三分の二に相当する54議席の改選、513人の下院議員全員を一緒に選ぶための総選挙が10月1日に同時に行われるから であります。

    その中の注目の的は、大統領選挙の行方がどうなるか、さらにその中でも最も大 事な焦点は、ルーラ大統領の再選続投が果たして実現するかどうかにあると私は考えます。以下、二人ともまだ正式には決まっていませんけども、ルーラ候補と セーラ候補というふうに省略させていただきます。

    えー、なお、政権の座を握ってから、昔極 端に、2002年の選挙前には極端に左よりだったPTは中道の方へ、真ん中の方へ。同じく左翼の、左の色合いをはっきりさせていたPSDBも中道の方にと いうふうに向かってこう収斂していきつつありますので、二つとも、PTもPSDBも限りなく党の色合いが似たような、近づいたような感じを受けます。選挙 での票稼ぎをかなり意識した、つまり左がかった極端な党の色合いでは勝てないと、中道に位置しなければなかなか一般の票を稼げないという、党としての政党 としての軌道の修整ではないか、というふうに私は受け止めております。

    ここで、私の本日の 報告の結論部分から、一番言いたい部分から先に申し上げたいと思います。肝心の大統領選挙で誰が勝つのかについては、あと8カ月以上もありますので、おそ らく今年八月の下半期の当業種別部会長懇談会の時点ではもう少しはっきり申し上げることができると思いますが、本席ではどうしても当たるも八卦、当たらぬ も、という要素が強いような、不透明な、霧の中の不透明な感じをと言いますか、その側面を伴わざるを得ませんが、私は目下のところ今年の大統領選挙は、 1997年の憲法修正案が承認され翌年の大統領選挙から適用されたように、PrimeiroTurno、第一次投票で50%プラス一票の絶対過半数を獲得 した候補が現われませんと、上位二者に絞ってSegundoTurno、第二次投票、以下決選投票と省略させていただきます、の段階に進み、勝敗の決着を つける仕組みになっております。

    えー、現段階では予選投票の段階でいきなり絶対過半数、 50%プラス一票をとれる候補はまず現われそうにありませんから、最後の戦いに挑む公算が非常に大きいのは、PTを中心とする現在の与党陣営のルーラ候補 (当年60歳)とPSDBやPFLが連立を組む形で野党陣営に後押しされるセーラ候補(当年63歳)の顔合わせになりそうな気がしております。

    そしてずばり、セーラ、野党陣営のセーラ候補が最後まで与党陣営のルーラ候補と激しい接戦を展開した結果、セーラ候補の当選を予想しております。あるい は、もうちょっと踏み込ませて頂いて、そういった可能性を相当程度に肌身で感じつつ、またすでにこの国へ帰化していて、たった一票ではありますが選挙の都 度欠かさず選挙権を行使してきております私のささやかな期待でもあります。こういうことを申し上げていいかどうか分かりませんが、私の主観であります。

    先につい本日の私の報告の結論を申し上げたところで、続いてなぜそう見るのか、何故そう考えるのかを説明するのに是非とも追加補足しておかなければなら ない事柄があります。現職の大統領というたいへんに恵まれた立場にあって、まだいろいろな行政マシーン、行政組織をフルに利用できる活用できるルーラ大統 領が、まず最低賃金をこれまでの300レアルから350レアルに、かなり大幅な調整を実施すると、選挙結果を考慮にいれた措置を早々と発表しております。

    さらにIMFへの百五十億ドルの負債を前倒し式に一括返済したこと。レアル高とドル安という逆風が吹く中で、何とか輸出の好調に支えられて四百五十億ド ルを目前とした大幅な貿易黒字と経常収支を計上したこと。原油の国際相場が急騰している中で何とか石油の自給率を達成したこと。

    中南米諸国で社会主義を標榜する、ちょっとこう左がかった政権を標榜する、そういう政権が次々誕生して、それがどうもルーラ候補の背中を後押ししそうな ことなど、ルーラ大統領の再選続投への戦いを、先ほども申し上げたように、後押ししてくれそうなその材料にも事欠きませんが、一番効果を発揮しそうな、秘 密兵器といってもいいものは、やはり最低賃金の、現下の財政状況のもとで許される思い切った最低賃金の調整だというふうに私は考えております。

    やはり現職にあるものの強みでしょうが、四月一日から、普通は五月一日ですが、一ヶ月も前倒しに実施される、公式インフレ指数が、確か先日の新聞で 5.69%ですか、というふうに報じられていましたけれども、それを差し引いても実質11%内外の思い切った調整。私はあえて思い切った調整というふうに 申し上げますが、そういったものが選挙にもたらす広報は数千万人の貧困者がなお生活しているというこの国の状況を考慮に入れますと、とにかく抜群の効果を 上げるような気がしてならないわけです。

    単に最賃だけを引き上げればいいというものではな くて、年金、恩給への連動調整分を計算に入れますと46億レアルもの追加支出を覚悟しなければならず、現在の財政情勢の下ではちょっと、先ほども申し上げ ましたけども、ちょっと無謀かな、無理かなというような思い切った引き上げを四月一日からというふうに決定し、今テレビや新聞で大きくPRしている最中で あります。

    えー、ルーラ大統領はすでに選挙運動をはじめていると言っても間違いないと思い ます。えー、一方ルーラ大統領の再選続投への戦いを非常に厳しくさせそうなものは、特に政治行政面で目立った得点が上げられず、とりわけ2002年の大統 領選挙で初当選を果たした時に一般国民ができるだけ暮らしやすい、暮らしやすくなるように、この国をムダンサ、単なる変化というよりももっと強い意味の、 変革という意味でしょうか、させてみせるとかいろんな公約を掲げながらほとんど公約倒れとか、不履行の形に終わってしまっているからだと思います。

    それがルーラ候補の大統領の再選続投を阻む最も、最もとはいいませんが大きな要素のひとつになるというふうに考えております。その反対に一方のセーラ陣 営は、政治面でまず一般国民を見方すべきはずの時の政権と政権与党を巻き込み、闇の世界の中でやりとりされた政治買収資金のうち使途不明金だけでもまだ 50億レアルから60億レアルに達しついにこの国の史上最大の規模に達してしまったという今回の超大型の不正汚職事件を選挙戦で徹底的に追求しながら、着 実に、支持率といいますか、得点を重ねていき、そして大統領陣営に積極的に攻め込んでいくというような作戦を展開するように考えられます。

    ここで、ちょっと私の手前味噌になりますが、昨年二月二十六日でしたか、ちょうどこの部会長懇談会の上半期の懇談会が開かれた時に、当時はルーラ候補の 当選確率が80%にも達して、場合によっては予選投票の段階で早々と決着がつきそうだというふうに多くの観測筋が見ておりました。
    その中には有名 なフォーリャのコラムニストで、国際的に大きなイベントがある時の取材にもかりだされているクロービス・ロスという、まあ現在の新聞界では本当に国際的 に、おそらく国際的に外国では国内よりも知られているクロービス・ロスという記者がおりますけども、彼も本当に時の政権与党にはいつも厳しい批判を重ねて いますけれども、ルーラ再選はまちがいないというふうに太鼓判を押していました。

    私はそう いう、ちょうど敵なしの有利な立場にあるルーラ大統領とPTにもし予期せぬとっぴなことが起こるとすれば、それは大型の不正事件に巻き込まれることだろう というふうに申し上げた事を今でもはっきりと覚えています。事件が発生する前から四カ月近い、三カ月ちょっと、あと少しで四カ月という時点でしたが、それ は何も手柄話をするためではなく、今回のブラジル史上最大の不正汚職事件というからには、かなり政界の、その当時の以前から、おそらく私の観測では2、3 年前から、数年前からかなり政界の奥深く巣食っていて時間をかけてゆっくりと次第に漏れ出し、そういう形で昨年六月六日についに暴露されてしまったという ふうに思います。

    ご参考までに、時の政権と政権与党を巻き込んだブラジル史上最も大きな不 正事件に発展してしまった今回の事件から、ルーラ大統領が大統領選挙の面で受ける打撃はすでに20%程度の世論調査の面での支持率の低下となって現われて いるように伝えられています。もちろん支持率はいつもエレベータのように上下を繰り返していますから、これから次第に回復していくということも考えられま すが、それを単純に、私なりに試みに計算してみました。

    この20%の支持率が、これからずっと選挙まで、今年10月1日の大統領選挙の決選投 票まで続くというふうに仮定しまして、2002年の決選投票に進んだ二人の票数をベースにして試みの計算をしてみたところ、ルーラ候補の当時獲得した 5279万票、全体の61.3%でしたが、まず5279万票から20%をマイナスしたら4210万票(4223万?)となり、反対にセーラ候補が獲得した 3337万票、36.何%ですが、それから逆にプラスしました4397万票となり、180万票台のまだかなり接戦と表現してもよい展開になることがわかり ました。

    しかしこれは私というど素人の興味本位の試算ですから、あくまでもご参考という意 味合いを込めてでございます。ちょうど時間が到達したようですので、私の結論をあと一分間くらいで急ぎます。2002年よりも手に汗を握るたいへんな激戦 を展開し、見る側にとっては非常に面白い展開になりそうな予感がすでにしております。

    ブラ ジルは名物のカーニバルやフットボールの覇者になりそうな予感が今年は特にします。ブラジルがコッパのチャンピオンだろうと。ブラジルと日本で覇者を争っ てほしいという気持ちが私はことさらに強いですけども、ブラジルは名物のカーニバルやフットボールをご覧になってもよくお分かりの通り、総じて明るい、楽 しいお国柄ですが、選挙戦の時だけは相手を罵り合い、足を引っ張る泥仕合もよく見られます。

    結論を繰りかえします。今年の大統領の決選投票の第二回にいたるまでの熱い争点、戦いのポイントは、どうも最低賃金の思い切った調整からもたらされる経 済面でのプラス効果をいったいどれくらいまでルーラ候補が受けることができて再選続投へつなぐことができるか、あるいはこのブラジル歴史始まって以来の超 大型の不正汚職事件と言われる今回の事件から、政治面でのマイナス効果がこの同じようにルーラ候補にもたらされるのか。

    最低賃金のプラス効果と不正汚職事件のマイナス効果が激しくぶつかりながら、ポラリザソン、二極化を描きながら決選投票に向かってなだれ込んでいくというような感じがしているところでございます。10分間をちょうど2分間ぐらい・・・

    (司会)えー、よろしいですか?

    (赤嶺)たいへん失礼しました。

    (司 会)どうも赤嶺さんありがとうございました。すいません、司会がちょっと大失敗しましてですね。発表者の前にタイムキーパーがおりまして、一応10分でス ピーチをお願いしますので、8分経ったところで黄色い札を見せますので、それが見えたらそろそろまとめに入ってくださいという意味でございまして、これを 私、赤嶺さんに言うのを忘れておりました。失礼しました。

    (赤嶺)私は当時、時計計測係を言い付かって、失態をおかしてしまいました。

    (司会)大丈夫です。全体の時間は一応余裕とってありますので。ここでフロアの方から何かご質問、ご意見ありますか。主に、政治、大統領選挙に関してですが。特になければ、ありますか、はいどうぞ。

    (質問)(PSDB候補が当選が日伯経済関係に影響をおよぼす可能性について)

    (赤 嶺)その点については、私は、マクロといいますか、そういう面での専門家ではもちろんありませんが、私は総体的に経済政策では、マクロ面での経済政策の大 幅な変化はないというふうに申し上げたいと思います。特にジョゼ・セーラになっても、日本とブラジルの関係は強まることこそすれ、弱まることはない、とい うふうに思っております。

    これはFHC前大統領がセーラの後ろにはついておりますし、知恵 の参謀という形でついているようですし、PSDBという政党もかなりしっかりした、安定した政党のように思いますので、急激な政策の変化、日伯関係のあれ はむしろ総領事あたりにお伺いしたほうが言いと思いますが、私はただ経済政策、ミクロといいますか、例えば金利とか為替の相場、金利高、為替のちょっとレ アル高とドル安の極端な為替相場、そういったもの、もうひとつあるはずなんですが、そういったものはジョゼ・セーラもすでに言っておりますようにかなり急 激に大幅に是正されていく、改められていくという感じがします。
    その改め方は、FHCからルーラになった時より、ルーラからジョゼ・セーラになっ た時の方が、為替相場とか金利高の是正の仕方は大きな変化を伴うと、伴うに違いないと。それでなければセーラ政権もちょっとやっていけないだろうと、こう いうような感じがします。たいへん申し上げございません。時間をたいへんに超過しました。お許しくださいますよう、

    (司会)どうもありがとうございました。ちょうど為替とか金利とかいう話出ましたので、次に金融部会の代表で、みずほの福田さんに発表をお願いいたします。

     

    <今年の大統領選挙をこう考える>

    会場の一般席煮座っていらっしゃる西林万寿夫在サンパウロ日本総領事、歴史ある我らの開かれたチャレンジするブラジル日本会議所の田中信会頭、本日の業種 別部会長懇談会の準備や運営のために大変に汗を流して下さっている多田総務委員会委員長、金岡企画戦略委員会委員長を始め、又、多分、お役目柄のせいで、 私が一体何を話そうとしていつのか見守るおつもりでしょうか、会場の一角から既にこちらの方に少し厳しい監視の目を向けていらっしゃるご様子の山田唯資監 事会議長を始め、ご出席下さった多勢の皆様方を目の前にこのような高い所に立たされて、しかも、懇談会で報告の初球を投げる者として、早くもネルボーゾ気 味に陥っているところであります。

    少し私の緊張感を解くためと、もうこういう古い良き時代の 業種別部会長懇談会に関する大変微笑ましい思い出話をご存知の方も少なくなっていることでしょうし、また、折角、西林総領事もご多忙中のところ、わざわざ ご出席賜っておりますので、そういったちょっと愉快な事柄から先に少しお話させていただきます。

    壇 上の田中信会頭は、現在の要職に就かれる前に、およそ30年近くも、伝統あるコンサルタントの万年部会長を務められ、勿論、更に伝統あるこの業種別部会長 懇談会でも、第一番目の報告者を担当されるのがいつの間にか、一つの不文律みたいになり、期待に違わず、いつも内容が充実してしっかりした報告をなさって いました。

    ところがです。その田中コンサルタント部会長の一つの難点は、当時から時間には大変 うるさかった総務委員会で決められた制限時間を守らないことの常習犯で、いや、守るどころか、時間は、使うために在る、規則は、破るためにある、とでも いったような物の考え方の常習犯で、総務委員会の頭痛のタネにもなっていました。

    そこで、当 時の総務委員会で、特別に田中部会長対策案として編み出されたのが、クロノメーターと呼び鈴を使って、厳しく時間を測定し、物理的な力で以って、有無を言 わさず、押さえ込もうということでした。ここでもう一回、<ところがです>を繰り返さなければなりません。ところが、ある年の上半期か下半期の部会長懇談 会の時でしたか、制限時間目前の9分の時点で<チン>を大きく呼び鈴で1回合図し、制限時間10分ぎりぎりで<チン、チン>とやはり大きく呼び鈴で合図し ても、平気の平左、田中部会長は、当時の副総務委員長として計測係を仰せつかっていた私の方をチラリと視線を送られただけで、後は何事もなかったかのよう に、再び涼しいお顔で、報告発表を続けられ、又、事もあろうに、制限時間の2倍、つまり、 20秒を軽く越す大きく長い報告をなさいました。

    こ うなりますと、ご本人の自覚の問題ですから、もう物理的な方法では、何とも手に負えないと言うことになります。いやぁ、さすがに、将来の歴史ある日本商工 会議所の会頭になられる方の心臓は強く、器も大きいワイ、と改めて感じ入ったのは、それから間もなくしてからのことでありました。しかし、誰もが嫌がり、 コンスタンジェドール(気詰まり)な計測係を5,6年にも亘って、私に無事務めさせていただいたのは、それだけ、田中部会長の報告発表の内容が素晴らし かったためではないか、と、大変に汗も掻きましたが、今では、当時のことを非常に懐かしく思い出しながら、冗談半分で話させるようにもなった次第でありま す。

    そこで、多田、金岡のお二方の委員長、いや、とりわけ、田中現会頭には、あの時のちょっと した恩返し、借金の一部でも返済していただく意味で、本日の私の拙い報告にも、出来れば10分程度の時間超過をお認めいただきたい、とあらかじめお願い申 し上げます。でも、大切な会場の皆さんの方から「お前の話は、どうも退屈でつまらないので、いい加減にやめろ」という大合唱が聞こえてくれば、壇上に尚多 少の心残りや未練があっても、直ちに荷物を纏めて、ここから降りて行くことに致します。

    それ では、少し気持ちも落ち着いたところで、私の本日の報告に移ります。今年のブラジルは、俗に<政治の年>と言われます。それは、4年に1度の大統領、27 州知事、上院議員の定員の3分の2に相当する54議席の改選、513人の下両院議員全員を一緒に選ぶための総選挙が10月1日に同時に行われからからで す。その中の注目の的は、大統領選挙の行方がどうなるか、更にその中の最も大事な焦点は、ルーラ大統領の再選続投が果たして実現するかどうかにあります。

    以 下、まだ正式に決まったわけではありませんが、<ルーラ候補>と<セーラ候補>省略します。尚、政権の座を握ってからも、昔、極端に左寄りだったPTは、 中道の方へ、同じく左の党色を帯びていたPSDBも、中道の方へ歩み寄ってきていると言うか、収斂してきており、既に選挙での幅広い票稼ぎを意識した政治 路線の変更とか軌道修正を行っている様子も感じ取れます。

    ここで、本日の私の報告の結論部分か らまず先に申し上げます。肝心の大統領選挙で誰が勝つかに就いては、あと8ヶ月以上も有りますので、どうしても当たるも八卦式の霧の中を行くような不透明 な予測の側面を伴わざるを得ませんが、私は、目下のところ、ずばり、セーラ候補(63歳)の当選を予想しています。あるいは、もうちょっと踏み込んで、そ ういう可能性を相当程度に肌身で感じつつ、又、既にこの国へ帰化していて、たった一票ではありますが、選挙の都度、欠かさずに選挙権を行使してきている者 としのささやかな期待でもしております。

    先につい本日の私の報告の結論を先に申し上げかけたと ころで、続いて何故そう見るのか、そう考えるのかを説明するのに、是非とも追加補足して置かなければならない重要な事柄があることに気付きました。現職の 大統領という大変に恵まれた立場にあって、まだいろんな行政マシーンをフルに利用できるルーラ候補(60歳)がまず最低賃金をこれまでの300レアルから 350レアルにかなり大幅の調整を実施すると選挙効果を計算に入れた措置を早々に発表しています。

    単 に最賃だけを引き上げればいいというものではなく、年金恩給への連動調整分と他の政府へ及ぼす盛況も計算に入れれば、46億レアルもの思わぬ追加支出を覚 悟しなければならず、現在の政府財政の下ではちょっと許されないかなり思い切った引き上げを4月1日から行うことになりました。そこで、再選続投を図る上 で、一体、どの程度のプラス効果をももたらすような追い風を受けることが出来るのかどうかが極めて重要な要素になる筈です。更に又、その使い方で秘密兵器 みたいな威力も発揮しそうです。

    その反対に、一方のセーラ陣営は、政治面で一まず般国民を味方 すべき筈の時の政権と政権与党を巻き込み、闇の世界の中でやり取りされた政治買収資金の内、使途不明金だけでも、まだ50億レアルから60億レアルに達 し、遂に史上最大の規模に達してしまったという風に伝えられる今回の超大型不正汚職事件を徹底的に追及しながら、着実に得点を重ねて行き、そして、大統領 陣営に積極的に攻め込んで、得点を積み上げて行く作戦を展開する筈です。

    ご参考までに、時の政 権と政権与党を巻き込んでブラジル史上最も大きな不正汚職に発展してしまった今回の事件から、ルーラ候補が大統領選挙の面で受ける打撃は、既に20%程度 の世論調査の面での支持率の下落となって現れているように伝えられています。勿論、支持率は、エレベーターのように常に上下しますが、私には、どうもその ままの状態で、決選投票を迎えそうな気がしてなりません。世論調査の面での 20%の支持率の低下がこのままずっと続くものと仮定して、2002年の決選投票に進んだ二人の票数をベースにシロウトである私なりの試算をして見まし た。

    まず、ルーラ候補の獲得した5279万票(61.3%)から20%マイナスしたら、 42100万票となり、反対にセーラ候補が獲得した3337万票にそのまま20%をプラスしたら、4397万票となり、180万票台のまだ激戦と表現して も良い展開をすることがわかりました。しかし、これは、私というド素人の試算ですから、飽くまでご参考までにという意味合いを込めてのことです。

    又、 併せて経済財政面では、インフレを抑制し、経済安定を図ることだけを目的とした高金利政策やプライマリー(基礎的)財政収支の黒字目標を達成する強烈な引 き締め政策からそろそろ軸足を経済成長の方に移して行って、雇用の促進、所得分配、貧困対策等へ繋いで行く必要性を訴えながら、総人口1億8000万人の 内、凡そ9000万人にも達していると見られるこの国の有権者からどれ位の支持を集めることが出来るのかどうかにも勝負の鍵がかかっているように判断され ます。

    ルーラ大統領の再選続投への戦いが著しく苦しく厳しくなりそうなのは、特に政治、行政面 で目立つ得点が挙げられず、とりわけ、2002年の大統領選挙で初当選を果たした際に、「一般国民が出来るだけ暮らし易くなるように、この国をムダンサ (単なる変化というよりもっと強い変革という意味でしょうか)させて見せるとか、いろんな公約を掲げておりながら、殆ど公約倒れとか不履行の形に終わって しまっているからだと考えられます。

    ブラジルの大統領選挙は、1997年の憲法修正により、予選の段階で全有効投票数の50%+1票という絶対過半数を獲得したものが現れないと、上位2者だけに絞って、決選投票の段階まですすんで、勝敗が争われることになっています。

    2002 年の選挙では、ルーラ候補とセーラ候補が勝ち残りました。ルーラ大統領が悲願とする再選続投を今年の選挙で達成し、実現するために、予選の段階で、50% プラス1票の絶対過半数を取って決定付けることは、先ず到底無理にしても、特に予選投票の段階で以って、セーラ候補以下、5,6人に上ると見られている他 の候補に圧倒的な差で、第一位を確保する必要があります。

    予選で他の候補たちに圧倒的な差を付 けて勝つことが出来れば、煮え切らない態度を取っている各政党の方から、決選投票を目の目に、支持させてくれ、と積極的に申し入れてくるでしょうし、勝ち 馬になりそうな大統領には、フィリオリズモ(政府内の利権や要職と国会での支持を互いに交換したり取引するやり方)がすっかり身に付いて何よりも政治面で のやり取りが上手で、知事や国会銀の数で最大の政治勢力を誇るPMDBも、場合によっては連立提携工作に乗る公算が大きいからであります。

    ルー ラ大統領は、1988年の選挙から実施されてきた(ヴェルチカリザソン=連邦レベルでの連立を組んだ政党に州知事選でも同じ政党による連立を義務付け、推 し着せること)という、1988年の選挙から適用された憲法上の規定を今年の選挙には、適用しない決断を下しました。

    そ れは、与党候補に付くのか、野党候補に付くのか、あるいは、がローチーニョ前リオ州知事以下の独自の大統領候補を擁立するのか、一向に党色のはっきりしな い、しかし、国会で最大規模の勢力を持つ反面、選挙の行方を決定付ける位の影響力を行使できるPMDBを誘い込む目的で、主にその要求に応えるための対策 だと伝えられています。

    反対に、野党陣営のセーラ候補に、第一位の座を攫われてしまいますと、ルーラ候補を担ぐ与党陣営がすっかり浮き足立ち、決選投票での勝ち馬になりそうな候補に乗るために、セーラ候補の方に向かって、雪崩現象が起きることも充分に考慮の中に入れておく必要があると思います。

    ですから、今年の大統領選挙の見所といいますか、勝利の秘訣は、予選投票にあると判断されます。ただ、その点に就いては、私の不勉強かもしれませんが、有力伯字紙とかTVの解説者クラスもまだ指摘していない模様で、私の独断偏見かもしれません。

    そ して、2002年よりも手に汗を握る大変な激戦を展開し、見る側にとっては、大変面白い展開になりそうな予感がします。ブラジルは、名物のカーニバルや フットボール覇者を決めるコッパをご覧になっていてもお判りの通り、総じて明るい楽しいお国柄ですが、選挙戦の時だけは、相手を罵り合い、足を引っ張り合 う泥仕合もよく見られます。

    例えば、最も予想が当たると定評のあるDataFolhaという世論調査会社が行った昨年末の調査結果では、決選投票の段階での支持率がセーラ候補の50%対ルーラ候補の36%で、14ポイントという大きな差がついていました。

    今年2月1日から2日にかけての行われた今年最初の世論調査の結果でも、49%対41%で同じくセーラ候補の勝ちという結果が出ていますが、その差が次第に縮まって来ている模様です。

    も う一つの大手の世論調査であるIBOPEによる昨年末の調査の時点では、ルーラ候補が第一位、今年最初の調査では、セーラ候補が逆に首位に立っていて、同 じように、大変な激戦が予想されます。総体的にルーラ候補の支持率がかなり急速に回復してきている様子が伺えますが、セーラ候補もそれなりの強味を維持し ている感じもします。この二つの世論調査に限らず、他もよく的中するとの評判があります。

    この 世論調査の結果を見て、一部の観測筋は、メンサロンと言う闇の中の政治買収資金をやり取りしている内に、抜き打ち的に暴露されてしまい、ブラジル史上でも 最高規模に達してしまった今回の超大型の不正汚職事件から時の政権と政権与党であるPTが受けたダメージがやっと底入れし、漸く立ち直りかけ、事件前の支 持水準に戻りつつあるといった見方をしています。

    しかし、私は、ブラジル国民と言うのは、元 々、判官贔屓という性格があり、弱い立場に立った者を応援するという、日本人によく似た物の考え方なり習慣(文化)併せ持っていますので、それがたまたま 今回の世論調査の時点に反映されただけで、選挙を巡る本格的な戦いは、やっとその出発点に立ったばかりだという風に認識しているところです。

    IFM への150億ドルの負債を前倒しで一括返済したこと、レアル高とドル安と言う逆風が吹く中で、何とか輸出の好調に支えられて450億ドルをも目前とした大 幅な貿易黒字と経常収支を計上したこと、原油の国際相場が急騰している中で、石油の自給率を達成したこと、中南米諸国で社会主義を標榜する政権が次々誕生 していること等、ルーラ大統領の再選続投への戦いを後押ししてくれそうな材料にも事欠きません。

    し かし、これらを考慮に入れても、尚、大統領選挙戦自体が大変苦しく厳しくなりそうなのは、特に政治、行政面で目立つ得点が挙げられず、とりわけ、2002 年の大統領選挙で初当選を果たした際に、「一般国民が出来るだけ暮らし易くなるように、この国をムダンサ(単なる変化というよりもっと強い変革という意味 でしょうか)させて見せるとか、いろんな公約を掲げておりながら、殆ど公約倒れとか不履行の形に終わってしまっているからだと判断されます。

    そ ういった状況の中で、ジルセウ官房長官が辞任し、グシケン政府広報戦略担当大事も半分政府を去った今、今年の選挙の指揮を誰が取るのか、政府公社や年金基 金やウジミナス等、これまで献金容疑で既に名前の挙がった民間企業もすっかり用心しているので、誰が選挙資金集めの役割を担当するかが重要課題になってい ます。

    ごく最近、ブラジリアのトルト宮辺りで、辞任後初めてジルセウ前官房長官がルーラ大統領 と秘密裏に会談し、4月までに、パロッシ大蔵大臣を選挙参謀役に転出させ、後任の蔵相にムリロ・ポルトガル大蔵次官を起用し、併せて高金利引締め政策のイ メージが染み付いてしまい、更に、政界進出の意向が強いと伝えられるメイレーレス中銀総裁もついでに更迭する点で意見の一致を見たそうです。

    PT(Partido  Dos Trabalhadores=労働者たちの政党)と名乗る以上、常に庶民の味方であるべき筈なのに、時の政権と政権与党を巻き込んだ超大型の不 正汚職事件の発生を許し、政権そのものを私物化してしまっているのではないか、自分たちだけのために暮らし易い国造りをしているのではないか、といった鋭 い批判がマスコミを中心に巻き起こりました。

    そういったことも、ルーラ候補に苦戦を余儀なくさ せる原因の一つになっているように考えられます。そのために、前回の選挙で、大いに政治面でのカリスマ性を発揮して、当選を果たした大統領自身が<政治面 で駄目なら、経済面で勝負をする>といった作戦の変更を既に口にしています。

    今年の大統領選挙 の決選投票の段階に至るまでの熱い争点(戦いのポイント)は、どうも最低賃金の思い切った調整からもたらされるこの経済面でのプラス効果と超大型の不正汚 職事件からもたらされるこの政治面でのマイナス効果が激しくぶっつかり合い対決しながら、次第にポラリザソン(両極化)して行きそうな気がしてなりませ ん。

    最低賃金の思い切った調整からもたらされるプラス効果と今回の大型の不正汚職事件からもた らされるマイナス効果がかなり熱を帯びながら、決選投票の段階まで熱っぽく論争されて行って、やっと大統領選挙の勝ち負けと言いますか、勝者と敗者が決ま るのではないか、と見ています。

    この二つのプラスとマイナスの選挙効果を両天秤にかけて 見た場合、私にはどうもセーラ候補の方へ次第に傾いて行きそうに思えてならない、というのが本日の私の独断偏見に近い一番最後の結論であります。制限時間 をはるかにオーバーしての長い間のご清聴、まことに有難う御座いました。

     

  • 金融部会


    福田勝美金融部会長

     

    金融部会の、みずほコーポレート銀行、福田でございます。ほぼ時間が予定通りになりましたので、これからはてきぱきといきたいと思っております。
    2005年の回顧なんですけども、2005年は力強い世界経済の成長や増幅している国際流動性が注目された一年でございました。世界経済の成長とか、こういった外部要因がブラジルの輸出部門をはじめとする経済全般にきわめて大きな影響を与えました。

    2005 年において年間を通じて好調であった輸出は、結果としてレアル高をもたらしております。その結果、金融政策により良い影響を与え、結果としてインフレが再 燃する可能性を打ち消しております。つまり、2005年は世界経済の成長加速と資金流動性の増加がもたらした対外部門の劇的な変化が、中央銀行が外貨準備 高を増加させ、外貨債務の割合を減少させ、国内の債務についてはその質を改善することができた年というふうに考えております。

    代 表的なカントリーリスクの指標でありますEMBI+というのがあるんですけども、2005年を見てみますと、四月の頃にですね、一時的に、まあその政治不 安とかアメリカの自動車メーカーの業績不振等によって、487という数字まで上昇したこともあったんですが、しかしその後は順調に低下いたしまして、やは りそのマクロ経済が順調に推移していることから、年末には305と、今年に入っては260くらいまでというふうに順次低下をしております。

    ま あ政治面のことについては今詳しいお話がありましたので、特に言及いたしませんが、まあ結果として経済政策面では変更が、大きな影響がなかったと。これは その、まあ選挙をにらんでですね、特に動きがなかったというふうに見るのか、経済政策のディシプリンが守られたというか、その辺はまだちょっと判断はでき ないんですけども、まあ結果として経済政策は影響を受けなかったというふうに言えると思います。

    経 済全般では、石油価格上昇によるインフレの再燃リスクを敏感に感じました中央銀行が金利の引き上げを段階的に実施しております。18.75%から 19.75に引き上げました。この金利引き上げが国内消費の伸びにかなり冷や水をあびせた結果となり、第2四半期以降成長は減速しております。しかしなが ら9月以降、インフレ再燃リスクが沈下したというふうに判断した中央銀行は、毎月段階的に金利引下げを実施しており、第3四半期以降ではですね、在庫調整 等に良い影響を与えたというふうに考えられます。結果的に一年を通して見ますと、当初、今年度のGDP成長4%以上と言われておったんですけども、まあ実 際は2.4%程度ではないかというふうに考えられます。

    当初レアル高の影響が懸念された輸出部 門でございますが、世界経済の力強い発展がブラジルの輸出の伸びを促進いたしました。さらに世界市場におけるコモディティー価格の上昇によって、2005 年年間の輸出額は1183億ドルと前年比23.1%上昇しております。ブラジルの輸出製品や輸出先は多様化しており、マーケットシェアの獲得や輸出売上の 拡大にもつながっております。

    こういったことを反映してですね、為替相場は、まあ好調な輸出を 背景に貿易収支の黒字と、それからさらに国際流動性ですね、こういったものがブラジルに流入してきたことによってレアル高の傾向が続きました。輸出部門が 好調であると同時に、外国直接投資や世界市場における株式投資、資金調達の回復に明るい兆しが見えておりまして、まあブラジルの企業のですね、資金調達は かなりうまくいったというふうに言えると思います。

    中央銀行は2005年の年間で217億ドル のドル買い介入を実施しまして、市場で余剰となっているドルを吸収しました。外貨準備高は増加し、2005年年間では実質二倍となっております。その結 果、IMFの債務やパリクラブの債務を期限前で返済できました。経常収支の黒字、対外債務の減少、外貨準備高の増加によって、ブラジルの対外部門の構造は 大幅に改善された年であったと言えると思います。

    えー、ここでまあ銀行業界の動きでございます が、銀行業界といたしましては貸出が大幅に伸びております。2005年年間で前年比19.7%増加。一番伸びたのは個人向け貸出でございまして、特に給 与・年金天引きローンにつきましては前年比49.5%増と大きく伸びております。2005年11月の全銀行貸出残高の対GDP比率は30.5%でございま して、前年比3.6%増加しております。

    次に2006年の展望でございます。これから数年間の ブラジル経済の見通しというのは、かなり明るいものではないかというふうに見込んでおります。まあ、経済成長が大幅に増加するというようなことはないと思 いますが、好調な世界経済がブラジルに良い影響を与えていくというふうに見ております。特に今年度につきましては、まあ何か、大きなですね、世界の経済危 機が発生するということもないだろうというふうに思っておりますので、ブラジル中央銀行および政府は現在の政治経済政策をですね、できるだけ維持していく というふうに考えております。

    このような、政策がですね、維持継続されていけば、まあ先ほど申 し上げましたように、いわゆる経済的なディシプリンが守られていけばですね、2008年とか09年ぐらいになれば、まあSPとかムーディーズとか、こう いった外部格付け機関によるブラジルのカントリーリスクも投資適格への引き上げが行われるのではないかというふうに考えられておりますけども、やはりこの 一年間、特に昨年度全然動きのなかった財政関係等でですね、どういうふうになるかというのは、まあ選挙の動向と、まあかなり影響を受けるのではないかと 思っておりまして、このあたりは注視していく必要があると思っております。

    政治面については今 お話がありましたので、まあ大きな問題はないと、まあ繰り返すことは避けますけども。お話がありましたように、選挙の結果によってですね、まあブラジルの 経済政策が変わるということはないというふうに考えております。その過程においてですね、やはりその、財政支出とか、このあたりの動きはしっかり見ていく 必要があるかなと考えます。

    経済成長率につきましては、繰り返しになりますけども、世界経済の 力強い発展を背景にしまして、3%程度の、まあ後半ぐらいのですね、成長を予想いたします。2006年度のGDPが昨年に比べてかなり大幅に伸びるという のは、主な要因といたしましては、政策金利の低下、消費者の心理の改善、対外需要の引き続き増加すること、それから公共投資が増えるであろうということ、 まあこういったようなことが背景でございます。

    貿易収支につきましても、2006年については やはりブラジルの輸出部門が引き続き好調であろうというふうに考えております。経済成長にともないまして輸入も増加しておりますけども、これは輸出の増加 率を超えるというふうに一部見られておりますけれども、貿易収支の黒字というのは維持されていって、400億ドルは超えるのではないかというふうに考えら れております。

    金利政策ですけれども、インフレが沈静化しているということで、中央銀行は金利 を徐々に引き下げていくと見込まれております。2006年度年間を通してはですね、経済成長率を3.5から4%にもっていく必要もあるということから、 Selic金利はですね、消費者物価指数等インフレ動向に注意を払いながら、段階的に引き下げていくというふうに考えられております。

    為 替相場でございます。経済のファンダメンタルズの改善によって、市場金利の低下と経済成長率の上昇がブラジルのカントリーリスクというものをさらに引き下 げる傾向がございます。したがいまして為替相場といたしましては、市場のドル余剰現象をさらに反映いたしまして、当面レアル高の傾向とが続いていくという ふうに考えております。ただまあ変化があるにしても、今年に比べたらもっと緩やかなものになるのではないかと考えます。

    えー、 財政政策。2006年度はプライマリー収支で4.5%程度の増加というふうに見ております。ペトロブラス等の国営企業の業績が良い結果を与えると思いま す。2006年度の銀行業界ですけれども、引き続き銀行の貸出残高というのは伸びていきますが、今年ほどではないだろうと。と言いますのは、先ほど申し上 げました年金・給与天引きローンがですね、一通り行き渡りましたので、まあ個人部門の上昇がそれほどでなくなるということから、緩やかな上昇というふうに 見ております。

    次に保険業界の方でございます。2005年度を振り返って見ますと、11月末現 在ですけれども、保険料収入は、保険料の規模は373億6100万と。前年対比で12%増加しています。消費者物価指数の増加が5.69でございますか ら、実質成長率は6%となっております。保険料の種目内訳では自動車保険34%、火災保険などが11%。生命保険45%ということで、前年との傾向の変化 はございません。また、100社程度の会社があるわけなんですが、上位五社で保険料ベースのマーケットシェア55%。上位十社で77%と、寡占市場となっ ております。また、昨年を振り返りますと、ミレアグループによりますレアル銀行傘下のレアルセグロの買収、それからドイツのHDI社による香港上海バンク (HSBC)のセグロ部門の買収、スペインのMapfre社によるノッサカイシャの保険部門への資本参加というような大規模な買収案件がございました。

    収 益性につきましては、保険ビジネスの成績を示す損害率は全種目合計で59%となって、2004年度比1ポイント改善しております。これは主項目でございま す自動車保険の損害率が69%と、2004年比4ポイント改善した効果が大きくなっております。この結果保険業界全体の収益性も、今前年度のマイナス5% から3ポイント改善しておりまして、いわゆるその資産運用益というものに頼らない構造に移行しつつあります。

    2006 年の展望ですけども、2006年度の保険料収入は引き続き12%程度の増加を見込んでおります。損害率を含む事業損益については、今後も、その、金利低下 が見込まれることに伴いまして資産の運用益が低下することから、各社とも収益性強化という形で動いていくのではないかと思っております。

    一 方再保険につきましては、現在国営再保険公社一社の引受けによっているというのがブラジルの保険制度でございますけども、この法案の改正は今年度、昨年度 も提案されたものの審議が遅れてて実現にいたっておりません。ま、本年度もですね、選挙の関係もございますんで、まあ今年度も実現しないのではないかとい うふうに思われております。

    えー、こういったところなんですが。すいません、最後に恒例のですね、為替、金利相場予想。参加しております四つの銀行、二つの日系銀行、二つのブラジルの銀行のですね、六月十二月の為替レートとSelicを申し上げます。

    ま ずA銀行。六月の為替レート2.25、Selic16.5。十二月末、為替2.5、Selic15%。B銀行。六月、為替2.37、Selic15.5。 十二月末、為替2.4、Selic15.5%。C銀行。六月、為替2.3、Selic16.5。十二月末、為替2.4、Selic16%。D銀行。六月、 為替2.3、Selic16。十二月末、為替2.3、Selic14.5%。と、かなりですね、多少の誤差はあるものの、一般的に年を通して安定している のではないかというふうに見ております。

    ちなみに昨年のことを申し上げますと、昨年は六月の見 込みが、六月の為替が高いところでは2.8、低いところでは2.5。十二月は、高いところでは2.9、低いところでは2.3。金利については、六月、高い ところで19.25、低いところでは18.75。十二月末のSelicは、高いところで18、低いところで16と。もっとばらつきがございました。まあそ ういう意味でですね、今年度はかなり安定した、経済成長というか、運営がされるのではないかというふうに見ております。以上でございます。何か質問ござい ますでしょうか。

    (質問)2005年はブラジルの経済指標はおおむね順調であったと。で、 2006年の見通しも、例えばプライマリー収支はプラス4.5%程度が予想される云々という話がありましたし、昨年の対外部門の諸指標も大幅に改善された というお話でしたが、昨年末時点でのブラジルのいわゆる対内赤字といいますか、財政赤字は約1兆レアルを超えてますよね。(国内ですね?)はい。約 5000億ドルに近い金額ですが、これはこれからブラジル経済にかなり大きな足かせになっていくんじゃないかと。

    これだけの巨額の赤字を減らすためにはやはりなかなか、例えば税制改革も思うにまかせないと。税金でまかなっていっているわけですからね。このへん、1兆レアルという赤字を今後どう見ていったらいいのかをちょっとお話をうかがえたらありがたいです。

    (福田)まああの、数字としてはかなり大きいんですけども、今の日本の状況と比べたらまだずいぶん程度は軽いのではないかと思っております。まあひとつは、Selic連動部分の増加というのがございますので、金利が低下していけばこの部分はだいぶ減っていくだろうと。

    で やはり基本的には財政黒字をもっと変えていく必要がありますので、根本的には税制改革とか、それからその、現在進められています、いわゆるPPPとかです ね、こういったものをとにかく実行に移していくということだと思うんですけど、その辺が若干送れているなというのは感じます。ですから、お話にありました この一年間のですね、まあ特に最低賃金の増加とか、そういったことを見ると、まあ国内の赤字は、財政赤字といいますか、そこはどんどん積み上げてもです ね、どちらかといえばまあ、票を得るためにはというようなことで、ちょっと今年一年についてはあまり改善が見られないんじゃないかと私は思っています。

    (司会)ほかにご質問はありますか。あの、結構お厳しいあの、はいどうぞ。

    (質 問)えっと、為替と輸出競争力の関係なんですけども、私ども自動車をやってますと基本的に輸出競争力っていうのは今の為替じゃ持ちえない状況なんですね。 それでまああの、御社のようにいろいろな業界とコンタクトのある方の目から見てですね、現在の為替で輸出競争力を持っているブラジルの業界というのはどん なところですか。でそれを元に今の為替の予測とかにもなってきていると思うんですけど。

    (福 田)やっぱり、金利の高いこともありますし、その、やはりその資源管理の部分というのが一番強いんだろうと思うんですけども、あとはその、やはり中小企業 をはじめとして設備投資をなかなか地元の企業はされてないみたいな気がいたしまして、そういう意味で設備の更新が遅れているとか、まあそういったこともや はりその、まあ逆に言うとコストは下げているんでしょうけども、そういう意味で競争力は高いと思うんですけども、逆にその、大きな数字の伸びにならないっ ていうようなところがボトルネックになっているかなと思います。ですからその、全体としてまだまだ、のりしろはあるんじゃないかと私は思っているんですけ ども。

    (司会)はい、どうもありがとうございました。じゃ時間になりましたので、どうも、福田さんありがとうございます。では次にですね、貿易部会で三分一さん、シマヅの三分一さんの方から発表をお願いします。

     

    金融部会(銀行業界)

    1.2005年の回顧

    2005年は力強い世界経済の成長や増幅している国際流動性が注目された1年であった。世界経済の成長はブラジルの輸出部門のすばらしい業績に大きく影響を与えた。

    2005 年においても年間を通じて好調であった輸出は、ドル-レアル相場のレアル高をもたらした。その結果、レアル高が金融政策により良い影響を与え、インフレが 再燃する可能性を打ち消す事ができた。つまり、2005年は世界経済の成長加速と資金流動性の増加がもたらした対外部門の劇的な変化により、中央銀行が外 貨準備高を増加させ、外貨建債務の割合を減少し、国内債務の質を改善する事ができた年であったといえる。

    代 表的なカントリーリスク指標であるEMBI+は、2005年4月上旬に一時複合的要因(世界経済の景気減速見通し、政治不安、米自動車メーカーの業績不振 等)により487bp迄上昇。しかし、その後、EMBI+は、好調に推移するマクロ経済に支えられて緩やかに下落。2005年年末で当指標は305bpに 迄下落した(2005年下期初頭414bp)。
    政治面では、ルーラ大統領は政治危機に反応する為に、年初に予定して流れた内閣改造に着手。ジルセ ウ官房長官を解任して、その後任にジルマ鉱山動力大臣を任命するなど、広範な内閣改造を実施。大統領の方針により、汚職で告発された閣僚は全員、政府から 外すなど思い切った改革に着手した。しかし、直近(2005年11月)の世論調査ではルーラ大統領個人への支持率は、46.7%(←59.9%<2005 年7月>)へ下落。政権支持率も31.1% (←40.3%<2005年7月>)へ下落。
    経済全般は、石油価格上昇に由来するインフレ再燃リスク を敏感に感じた中央銀行は金利引上げを段階的に実施(18.75%⇒19.75%)。この金利引上げが国内消費の伸びに冷や水を投げた結果となり、第2四 半期以降、成長は減速した。しかし、9月以降、インフレ再燃リスクが極小化されたと判断した中央銀行は、毎月段階的な金利引下げを実施。雇用拡大・所得増 加による家計消費の回復と金利の引下げが経済情勢を改善させ、2005年第3四半期以降に発生した在庫調整に良い影響をもたらした。
    結果的には、当初予想(3%台)を下回り、2005年年間経済成長率を2.4%に留まる見通し。

    当 初、レアル高に伴う影響が懸念された輸出部門においては、世界経済の力強い発展がブラジル輸出高の伸びを促進した。更に、世界市場におけるコモディティー 価格の上昇によって、2005年年間の輸出額は1183億ドルとなり、23.1%(前年比)上昇した。ブラジルの輸出製品や輸出先は多様化しており、マー ケットシェアの獲得や輸出売上の拡大にもつながった。

    為替相場は好調な輸出を背景にした貿易収支黒字と、国際流動性のブラジルへの流入により、レアル高(2.30レアル台)が継続している。輸出部門が好調であると共に、外国直接投資や世界市場における企業に対する株式投資、資金調達額の回復に明るい兆しが見え始めている。

    中 央銀行は、2005年年間で217億ドルものドル買い介入を実施し、市場で余剰となっているドルを吸収した。外貨準備高は増加し、2005年年間で実質2 倍となり、IMF債務やパリクラブ債務を期限前で返済。経常収支黒字・対外債務の減少・外貨準備高の増加によって、ブラジルの対外部門構造は大幅に改善さ れた。

    銀行業界は、銀行貸付残高が2005年年間で前年比19.7%増加を見込む(ブラデスコ 銀行調査)。最大の伸びを示しているのは個人向けの貸出であり、特に、給与/年金天引きローンの伸びは前年(2004年)比49.5%増加(ブラデスコ銀 行調査)を見込む。2005年11月の全銀行貸付残高は、対GDP比30.5%である。前年同月比率は26.9%であり、3.6%の上昇を見込む。

    2.2006年の展望

    【総括】
    こ れから数年間のブラジル経済の見通しは非常に明るいと見込んでいる。経済成長率が予想上回る迄に発展する事はないものの、好調な世界経済はブラジルに良い 影響を与えていくだろう。実際に、今年中に重大な世界経済危機発生の可能性は低いと市場関係者は見込んでおり、ブラジル中央政府は現在の政治経済政策を維 持するものと見込まれている。この政策が維持・継続されれば、2008年または2009年に、外部格付機関はブラジルのカントリー格付を投資適格へ格上げ される可能性も高まっている。

    【政治】
    2006年の最大の注目点は、大統領選挙の行方 である。ルーラ現大統領は支持率が下降傾向にあるものの、候補予定者の中で最も当選の可能性が高い。対立する候補予定者は、PSDB(社会民主党)から は、セーハ現サンパウロ市長及びアルキミン現サンパウロ州知事であるといわれている。二人共に正式に立候補を表明すれば、非常に力強い候補として位置付け られる。
    また、上院・下院で最大議員数を有するPMDB(民主運動党)からは、現在ガロチーニョ元リオデジャネイロ州知事とリゴット現リオグランデドスル州知事が立候補を早々と表明している。

    【経 済成長率】                                                                    2006年のブラジル経済見通しは、世界経済の力強い発展を背景に、GDPの成長率は3%後半を予想。2006年のGDPが前年比大幅に改善される主な要 因は、金利低下、消費者心理の改善、対外需要、公共部門消費、個人給与・個人向け借入残高の増加である。

    【貿易収支】                 
    2006年においても、力強い世界経済の成長を背景に、ブラジルの輸出部門は更なる発展が継続されていく見通し。また、経済成長に伴い、輸入増加率は輸出増加率を超えると見込むが、貿易収支は黒字が維持され、400億ドルを超える見込み。

    【金利政策】
    イ ンフレが下落する事で、中央銀行は金利を徐々に引き下げていく見込み。2006年年間に見込まれている金利引下げは、経済成長率を3.5%~4.0%上昇 させる為にも非常に重要である。SELIC金利は消費者物価指数等インフレ動向に注意を払いながら、段階的に引き下げる見通し。年末15%台も見えてきて いる。

    【為替相場】
    経済ファインダメンタルズの改善によって、市場金利の減少と、経済成長率の上昇が、ブラジルのカントリーリスクをさらに引き下げる。したがって、為替相場は、市場のドル余剰現象を反映して、レアルは継続安定していくものと見ている。

    【財政政策】
    2006 年、プライマリー収支は4.35%となる見通しである(前年4.9%)。ペトロブラスのような州・国営企業の業績が良い影響を与える為と予想している。ま た、公的債務/GDPは、昨年が51.9%であった事と比較すると、2006年年間は、50.6%を見込んでいる。財政構造の本質に変化がないと予想して いる為である。
    一方で、公的債務の内容については、セリック金利(基準金利)が引き下げていく過程で、引き続き徐々に改善されていく見通し。

    3.2006年の銀行業界

    2006年年末迄に全銀行貸出残高の伸びはゆるやかに減速していく事を見込み。
    【2004年:19.5%上昇⇒2005年:19.7%上昇(見込)⇒2006年年間:18.2%上昇(見込)】

    全銀行貸出残高の伸びが減速していく事を見込む背景には、個人向け貸出残高の伸びが大幅に減速する事を見込んでいるため【2004年:37.15%上昇⇒2005年:38.4%上昇(見込)⇒2006年:26.0%上昇(見込)】。
    減速要因としては、2003年以降、政府主導で開始された給与/年金天引きローン(Credito Consig-nado)が対象となる企業に設定され、一段落したものと見ている。2006年以降は一般的な貸出商品と同様に安定した伸びが見込まれる。

    法 人向け貸出残高は17.5%とゆるやかに上昇する事を見込む【2005年:16.76%上昇(見込)】。手形割引(2005年:2.47%下落(見 込)⇒2006年:10%上昇(見込))、ベンダーファイナンス(2005年:13.0%下落(見込) ⇒2006年:10%上昇が法人向け貸出の伸びを牽引していく。しかし、個人向け貸出残高の伸びの大幅な減速をカバーできるまでに至らないと予想。 2006年年間、外貨建貸出残高については依然としてレアル高の影響を受けて、ゆるやかな伸びに留まるであろう。

    金利については、借入を行いたい消費者が給与/年金天引きローンを認知し、多くの消費者が当ローンを利用し始めた事で、貸出スプレッドが下がり、債務不履行者率(対全債務者)は減少傾向。

    2006年年間では、地場銀行業界は、大企業向けに低いスプレッドの外貨建貸出残高増加する事に注力するよりも、中小企業向けのレアル建貸出残高増加に注力していく方が採算は高く、更に、債務不履行リスクは低くなると見込んでいる。

     

    各銀行の為替・経済基本金利(Selic)の予想ー2006年1月末

    銀行名 6月末の為替 同Selic金利 12月末の為替 同Selic金利
    A銀行 R$2.25 16.50% R$2.50 15.00%
    B銀行 R$2.37 15.50% R$2.40 15.50%
    C銀行 R$2.30 16.50% R$2.40 16.00%
    D銀行 R$2.30 16.00% R$2.30 14.50%

     

    各銀行の為替・経済基本金利(Selic)の予想ー2005年1月末

    銀行名 6月末の為替 同Selic金利 12月末の為替 同Selic金利
    A銀行 R$2.80 19.00% R$2.90 18.00%
    B銀行 R$2.79 19.25% R$2.90 16.25%
    C銀行 R$2.50 18.75% R$2.30 17.25%
    D銀行 R$2.75 19.00% R$2.85 16.00%

     

    ブラジル保険業界2005年の回顧と2006年の展望

    1.2005年の振り返り(11月末現在 ブラジル保険庁統計ベース)
    2005 年11末現在で、保険料規模は37,361百万レアル、対前年比伸び率12%であった。全国消費者物価指数(IPCA)が5.69%であったことを勘案す ると、実質成長率は6%程度となる。保険料の種目別内訳は、自動車保険34%、火災保険などの物保険11%、生命保険(年金含まず)45%であり、対前年 で傾向の変化は見られない。また、活動会社数約100社に対し業界上位5社で保険料ベースのマーケットシェアで約55%、上位10社で同約 77%を占める寡占市場となっている。

    また、本年は、ミレアグループ・東京海上日動によるレア ル銀行傘下レアルセグロ社グループ(業界7位)の買収、ドイツHDI社によるHSBC セグロ社(業界10位)買収および スペイン Mapfre社によるNossa Caixa Vida e Previdencia社の資本参加などの大規模買収案件があった。

    収益性については、保険ビジネスの成績を示す損害率(収入保険料に対する支払い保険金の割合)は全種目合算で59%となり、2004年末対比約1ポイント改善した。これは主要種目の自動車保険の損害率が69%と2004年末対比約4ポイント改善した効果が大きい。

    この結果、保険事業の収益性(収入保険料に対する収支残率)も▲5%(赤字)と2004年末対比3ポイント改善し、別途の収益源泉である資産収益に大きく頼らなくてもすむ構造になりつつある。

    2.2006年の展望
    2006年の保険料伸び率は、引き続き12%前後が見込まれており、2006年末のマーケット規模は45, 000百万レアルを超えると予想される。損害率を含む事業損益については、今後の金利低下による資産収益低下を見据え各社とも収益性を強化するものと見込まれる。

    再保険については、現在の国営再保険公社一社のみによる引受制度を自由化する法案が今年度提出されたものの、審議が遅れ実現には至っていない。また2006年は選挙の年でもあり今後の審議の見通しはたてにくい。

     

     

  • 貿易部会


    三分一克則貿易部会長代理

     

    貿易部の部長の中村部長および副部長の桜井副部長が出張中でいらっしゃらないので、代わりに私が発表させていただきます。
    ま ずは2005年の貿易収支全般なんですけど、輸出輸入とも過去最高を記録で、記録尽くめの貿易収支でした。輸出については22.6%増の1183億ドル。 輸入については17.1%増の735億ドル。で貿易収支では33%増の447億ドル。貿易の全体額が20.4%増の1918億ドルとなっております。

    こ の中で、輸出に関してですけど、世界的な、順調な世界貿易ですね、全体が拡大しておりますので、それを反映したような格好になっております。世界の中での ブラジルのシェアですけど、輸出シェアですけど、こちらも伸びておりまして、1.06%だったのが2005年には1.13%になっております。こちらの方 については、ブラジルの輸出が世界の貿易拡大の中で順調に伸びているということを示しております。

    次 に商品カテゴリー別の輸出です。工業製品が輸出増加の牽引となっております。全体では伸び率22.6%だったんですけど、工業製品ですね。こちらが全体の 金額の中の55%を占めておりまして、で、23%の伸びになっております。で、輸出の中での工業製品の伸びなんですけど、大きく伸びているのは乗用車、送 受信機、それとその関連の部品です。で全体については、23%なんですけど、乗用車が31.1%。で送受信機については98.7%と伸びております。

    で 次に一次産品の輸出なんですけど、こちらでは、全体では21.8%の伸びです。で、商品別では鉄鉱石、原油、鶏肉、コーヒーというのが伸びております。一 方大豆と大豆かすなんですけど、こちらの方は伸び悩んでおります。こちらの説明で数量ベースで説明しますと、鉄鉱石については大幅な金額の増加があるんで すけど数量では2.6%の増です。一方大豆については大幅に落ち込んでいるんですけど、数量的には16.6%の増加。ということで、鉄鉱石については金額 的に非常に上がっていると。であの、大豆関係については金額的に下がっていると、市場価格が。そういうことになります。

    次 に輸出の半工業製品なんですけど、こちら全体では18.8%。商品では粗糖っていう砂糖の関連なんですけど、こちらが57.7%と拡大しております。で、 輸出増加に対する価格と数量の寄与なんですけど、全体的には、こちらまずは貿易研究財団のデータを使ったものなんですけど、全体的には価格が11%、数量 で10.8%と増加しておりまして。これはすごいバランスの取れた増加になっております。

    一次 産品および半工業製品については、一次産品が12%増、価格で12%増、数量で6・3。で半工業製品が価格で12、数量で6。こちらについては国際価格上 昇の恩恵を受けていると、全体的に。で最後に工業製品なんですけど、価格で10・4%、数量で12.7%と。こちらの方については輸出競争力を着実につけ てきているというふうに判断されます。

    次に国別の輸出なんですけど、ちょっとあの、字の方が小 さいんですけど、こちらの方で特に注目すべきはアルゼンチン向けの輸出が34.5%と非常に増えていると。日本については8位で25.6%と増えておりま す。国別については、米国について、依然首位なんですけど航空機が19.5%減、で靴、その関連の部材が7.6%減で低い増加率になっております。

    ア ルゼンチンについては乗用車が30.5%増、送受信機関連ですけど、こちら95.6%増と非常に輸出を支えております。で、中国については鉄鉱石、原油が 好調で大豆、パルプ、大豆油が伸び悩んでおります。で日本については、イタリアを抜きましたけど、チリに抜かれてしまいまして8位という順番は変わってお りません。

    で、ブラジル、アルゼンチンでの貿易不均衡について最近話題になっておりますけど、 その経済協議がなされております。自動車協定の見直しについては2006年1月から完全自由化が見込まれていたんですけど、いま見直し協議中です。あと貿 易不均衡解消メカニズムの創設について、こちら2月2日に発表、新聞発表されたんですけど、両国での貿易摩擦回避に向けてセーフガード、MACという略称 なんですけど、こちらの創設が発表されております。

    輸出全般については、まあ今マクロ的な数字 を伝えたんですけど、ミクロ的に言ったら各会社でそれぞれの多種多様の結果が出てて、会員の商社の中のMさんというところなんですけど、そこでは大豆関連 で2004年総量で18万トンだったのが2005年に100万トン超となっていて非常に拡大していると。で、まあ対日が、その中でも20万トンなんですけ ど、残りは韓国、中国、台湾とアジア関係に輸出されているということです。

    商品カテゴリー別の輸入なんですけど、レアル高で金利低下傾向と、雇用情勢改善が資本財と消費財の伸びを押し上げております。こちらのほうが、全体が17・1の伸びに対して26.7と23.6の伸びです。内容的にいいますとこちらに書いてある通りです。

    であの、次に原材料と中間財の輸入の方なんですけど、こちらの方は特に集積回路、こちらが24.2%増、自動車部品も部品関係が21.1%増と全体より伸びております。  
    こ ちらあの、まあブラジル国内での家電製品および自動車の製造の方が盛んになっているということを示しております。輸入消費財についてはこちらに書いてある 通り23.6%の伸びです。国別の輸入については、全体では17.1%の増。で、その中で中国が大きくて44.3%の増です。日本については第五位で、全 体より大きい伸びで18.8%。順調に伸びているということがいえます。

    で中国関連の輸入なんですけど、送受信機部品、液晶ディスプレー、集積回路など電気電子部品の増加が非常に顕著に見られます。中国からの輸入についての傾向としては、1-6月では増加率が52.4%。7-12月で38.8%と減速傾向にあります。

    次 に対日貿易についてですけど、こちら1996年以来一次産品輸出増加で対日貿易黒字を記録しております。で、輸出の方が25.6%増、輸入の方が 18.8%増。貿易黒字が、ブラジルですけど、6900万ドル。輸出相手国としては日本が8位。輸入相手国としては5位と。輸入については前年よりひとつ 順位を上げております。

    で、対日輸出、一次産品数量増加、そして大幅な価格上昇ということで、 鉄鉱石、鶏肉、コーヒー豆、エチルアルコールが非常に伸びております。鳥インフルエンザの影響で鶏肉の対日輸出が大幅に増加して、金額では34.9%増、 数量的には12.4%増。で日本が最大の輸入国を維持しております。
    次に、先ほど説明しました、鉄鉱石。こちらは数量が17.8%増。金額 63.4%増。でコーヒー豆なんですけど、数量が13.9%増、金額では76.6%増。アルコールの方ですけど、数量の方が43・3%増。金額の方が、 ちょっとこちらにきちんと書いてませんけど、約二倍の増になっております。
    対日の輸入なんですけど、こちらの方については自動車部品関連が中心になって増えております。

    最 後に2006年の貿易の見通しなんですけど、中銀の12月時点の発表では、輸出については1245億ドル、輸入については890億ドル、貿易収支の方は黒 字で350億ドル。で、経済成長率は4%です。レアル高の影響を受け輸出は伸び悩み、国内経済の好調を反映して輸入は輸出を上回る伸びを示すというふうに 見ております。

    また、選挙とワールドカップの年には不況なしということで、選挙では公共事業が 増え、ワールドカップでは家電製品を中心に需要集中し、消費ブームが喚起されると。貿易収支については、黒字は減少するが高い水準を維持すると、そういう 見通しをしております。以上ですけど、ありがとうございました。

    (司会)どうも三分一さんあり がとうございました。ピンチヒッターにも関わらず、初めてパワーポイントを使ってプレゼンテーションをやっていただきました。なかなか、あの、貿易全体の 数字を言っている時には、商品個別についてはなかなかそういう統計がなくて難しいんですけども、この後各部会の方が発表される中には、やはり輸出について 触れられているところがいろいろありますので、そういうところも参考にされたらいいかと思います。何かここでご質問ありますか。よろしいですか。それでは どうも三分一さん、ありがとうございました。次はですね、化学品部会ということで、スリーボンドの板垣さんに発表をお願いしたいと思います。

     

     

  • 化学品部会


    板垣義実化学品部会長

     

    ス リーボンドの板垣と申します。当化学品部会に所属しております主登録企業というのは17社ありまして、主な顔ぶれというのが農薬・家庭用殺虫剤のメーカー さんであるとか、プラスチック着色剤、接着剤、写真フィルム、化粧品、こういったような、その他たくさんありまして、そういった企業体の集まりでございま す。

    で、昨年05年の会員各社の総括的な結果ですが、昨年上期の結果と下期の予想という時にで すね、非常に厳しい見方をしておりまして、やはり05年が終わってみますと、販売、利益ともに進展を見た会員企業というのは5割に満たない状況でございま した。特に利益にいたりましては、進展した企業は三割程度であったようです。

    その主な要因といたしましては、ドル安による輸出品による利益が減少したとか、あと値下げ圧力、価格競争による販売額減少と利益の圧縮と、それからもうひとつ中国製品の台頭が上げられます。個々に会員企業の結果と今年の見通しにつきましてこれから述べたいと思います。

    最 初に、石油化学製品の輸出入およびロジンの製造販売をされている企業。昨年、石油化学業界は10年ぶりの設備投資サイクルが巡ってきておりまして、ブラジ ル石油化学メーカーの目は世界から南米域内への販売と移行しつつあります。そのため日本企業にとっては、ビジネス環境は厳しさを増していると言えます。

    しかしながら、建設用の塩ビ用添加剤の値上がり、それから溶剤関連製品の貿易量増加、樹脂添加剤の好調さなどを受けまして業績は伸展しております。また、ロジンにつきましては、輸出および国内需要の増加に伴いまして、販売量、利益ともに増加しております。

    輸 出につきましては中国向けが顕著でございます。中国はロジンの生産量におきまして世界のトップでありますが、紙の生産量につきましても昨年日本を抜きまし て米国に次ぐ世界第二位の紙の生産国となりました。したがってロジンの需要量というのが中国国内での生産量を上回りまして、ブラジルなど外国からの輸入に 頼るようになっておりまして、そのために販売、利益とも好調であったと言えます。

    本年度の見通 しといたしましては、石油化学製品の輸出はレアル高で厳しい状況が継続すると予想されますが、新たな市場開拓、用途開拓で需要を伸ばすということが考えら れますし、自動車業界の堅調を受けまして樹脂添加剤等も好調さを継続すると。またロジンは紙の生産量の増加に伴いまして売上、利益とも伸展すると予想され ております。

    続きまして、当部会の顔であります、農薬・飼料添加物の業界です。まず、当部会の 会員でありますイハラブラスさんがブラジル農業界への長年の功績、それからすばらしい経営に対しまして、ブラジル経済誌のIstoeDinheiro誌の 昨年度の化学品石油化学部門の最優秀会社賞を受賞されたといううれしいニュースがありました。

    し かしながらこの業界にとりましては昨年は非常に厳しい年でありまして、各社異口同音に、まれに見る非常に悪い年だというふうに形容されております。この業 界の市場規模といたしましては、03年の市場売上がですね、31億ドル、04年は42%伸展の44億ドルというふうに伸びてきましたけど、昨年05年は 9%マイナスの40億ドルに減少しております。

    その要因といたしましては、昨年上期の南部にお けます干ばつ、それから穀物価格の国際価格が下落しまして、大豆の作付け面積が5%減、それから綿花の作付け面積が35%減ということで、大幅な作付け面 積が減少されたことも上げられます。また、レアル高が続きましたことで、輸出収入が大幅に減少したために農家の購買意欲が減退したということで、この結果 昨年はこの業界にとりましては非常に悪い年に終わっております。

    今年はですね、今現在穀物相場 がだんだん好転してきておりまして、農家の購買意欲も回復しつつありますし、また新商品の上市も計画されておりまして、販売は好転すると思われておりま す。しかしながら一方で心配されるのはドル安が継続と。こうなるとまた輸出がですね、非常に厳しくなりますので、この部分が一点心配の種でございます。

    続 きまして筆記用具の業界です。筆記用具の業界に対します統計数字というのはありませんけど、市場から受ける感じではですね、ボールペンに関しましては BIC、それから鉛筆とかシャープペンシル、ここはファーバーカステル。それからボードマーカーはわが会員でありますパイロットさんがそれぞれシェアの トップを占めていると思われます。

    パイロットさんの結果なんですが、昨年度はマーカー類、ボードマーカー類の販売好調もありまして売上は対前年度比で10%伸展しておりまして、値上げと、それからドル安によります輸入原材料の低下によりまして利益は大幅に伸展しております。

    また、マーカー類のシェアにつきましては、市場の調査におきましては、おそらく60%くらいには達しているんではないかということでございます。
    本 年度の予想なんですが、先ほど来出ております、本年は選挙の年でありまして、昔から選挙の年は筆記具が売れると言われておりまして、また、金利が下がって 消費者の購買意欲が回復するということも期待できますし、新しいモデルの投入なども計画されておりまして、業績は伸展するというふうに考えております。た だ、近年中国製の安い製品がブラジル筆記具メーカーさんの方にOEM導入し始めておりまして、その辺が気にかかるところでございます。

    続 きまして接着剤、シール剤のメーカーでございます。05年の統計数字がまだできあがっておりませんので、上半期同士の比較によりますと、05年上期のブラ ジル国内の全接着剤・シール剤の販売量というのは04年同期に比べまして若干減少しておりまして、8万2000トンあまりであります。

    ほ とんどのカテゴリーでの伸展が見られない中、シール剤のみ販売量が伸展しておりまして、建築関係の好調さが背景にあるのではないかと思われます。それと、 特殊工業用接着剤、シール剤、あと一般用の瞬間接着剤を販売している日系メーカー、あの、私どもなんですが、その結果を申しますと、昨年は自動車、二輪の 好調さを受けまして自動車用のシール剤、それから自動車用部品の接着剤の販売に関しては堅調に推移しまして、シェアも伸ばしております。

    コンスーマー向けの瞬間接着剤。市場規模としましては約2億レアルございますが、こちらの方のシェアは中国製であるとかアルゼンチン製の廉価品の台頭によりましてややシェアを落としております。

    そ れと農業関係がですね、昨年非常に低下したということもあって、トラクターとかコンバインのような農業機械が前年比24%から25%生産台数が減っており ましたので、あと定期メンテナンスも激減しまして、この分野への販売は大幅に落ち込んでおります。その結果売上に関しましては、04年比横ばい状態でござ いました。しかしながら本年度に関しましては、自動車二輪業界が引続き堅調と予想されますし、今年に入りまして自動車工業機械、農業機械、電気、各分野で のテーマが活発に出始めておりますので、業績は伸展するというふうに思われます。

    あと、自動車 とか化粧品その他樹脂メーカーさんに主要ユーザーさんとしておりますプラスチックの着色剤メーカーでありますが、昨年度は自動車業界への販売が好調であり ましたけども、値下げ要求が強く、また原油高によりますプラスチック類の値上がり、それから最大手のユーザーであります化粧品業界がリフィルタイプへの透 明な容器の変更、それから、着色剤の含有量を減らしてコストダウンをはかるといったことで、着色剤の使用量が激減しまして、売上、利益とも減少しておりま す。

    本年度におきましては、金利低下、ワールドカップ、最低賃金の引き上げ、選挙、まあこういったことが全て良い方向に影響するというふうに期待して、業績も良くなるというふうに予想しております。

    続 きまして、食品香料の業界ですが、この業界は食品香料のみで市場規模は約3億5000万レアルございます。昨年の伸びというのは非常に緩やかでございまし たが、ブラジル経済の好調さを背景に食品消費者需要も順調に伸びてきておりまして。メーカーさんにおきましては、塩っ辛いだけではだめだと、甘いだけじゃ いけないということで、昨年からですね、「健康」をキーワードにした新商品の投入であるとか、主力商品のリニューアルの動きが活発に見られておりまして、 これが本年度も市場規模を伸ばす大きな要因になるということで期待されております。

    引続きまし て化粧品業界ですが、化粧品業界は年々二桁の伸展をしております。04年は45億ドルの規模、05年は12%伸展いたしまして50億ドル規模の市場に成長 しております。特に伸びているメーカ―は訪問販売で伸ばしておりますNATURAや、あとAVON、それからブラジルの地場メーカーでありますボチカリオ などがあります。で、この伸びはですね、今年も好調に持続しまして市場規模を拡大するであろうというふうに予想されます。

    最 後に、昨年当部会に入会されました、久光製薬さんの業界なんですが、外用消炎鎮痛剤、分かりやすく言うとサロンパスなんですが、この業界の規模はブラジル 国内で約1億2000万レアルございます。他社が液状であるとかジェル状の商品で参入しておりますが、ただ一社のみ貼るタイプで上市しております。

    こ の業界はですね、毎年、過去五年間で10%程度で市場規模を拡大してきておりまして、現在、ご存知のようにバレーボールの大会を主催するなどされておりま して、ブランドの認知度も上昇してきておりまして、シェアは上がるであろうということで、今年も販売は好調に推移するというふうに考えております。

    すいません、早口で述べさせてもらいましたが、以上です。

    (司 会)どうもありがとうございました。あの、板垣さんの部会はやはり商品が多岐にわたるんで、これを細かく説明していただくのはたいへんだったんですけど、 どうもありがとうございます。何かフロアの方からご質問ありますでしょうか。まああれですね、今のお話ですと、やっぱり化学品でも向いている業界で、やっ ぱり農業を向いている業界は2005年はたいへんでしたということ。自動車とか、あるいは石油化学関係は非常に好調とこういうことですよね。何かご質問あ りませんか。なければ、じゃあどうもありがとうございました。

    じゃ次に、機械金属部会ということで、CBCの嶋末さんから発表をお願いします。

     

    2006年上期異業種部会長懇談会 化学品部会要旨

    化学品部会 板垣 義実

    1.当部会所属企業の顔ぶれ
    農薬、飼料添加物、家庭用殺虫剤
    プラスチック着色剤、接着剤・シール剤、筆記具、ロジン、写真フィルム、水処理
    化粧品、外用消炎鎮痛剤(サロンパス)、食品香料
    石油化学製品輸出入・・・主登録企業17社 サブ登録企業10社 計27社

    2.会員各社の05年総括結果
    2005年上期終了時の厳し目の予想が的中し、販売、利益とも進展を見たのは5割に満たない。 特に利益に至っては進展した企業は3割であった。
    各社夫々理由はあるが、共通していえるのは、
    ①ドル安による輸出品利益減少、
    ②値下げ圧力、価格競争による販売額減少と利益圧縮
    ③中国製品の台頭
    などが挙げられる。 特にブラジル国内での販売シェア進展にもかかわらず利益減少を余儀なくされた企業が多く、04年が良すぎた年であったこともあり、05年は全般的に苦戦を強いられた様相である。

    3.個々の会員企業の結果
    1)石油化学製品輸出入及びロジン製造販売
    【05年の結果】石油化学業界は10年振りの設備投資サイクルが巡ってきている。
    しかし伯国が汎用品を世界中に輸出するには難しく、ブラジル石油化学メーカーの目は南米域内への販売へと移りつつあり、ビジネス環境は厳しさを増している。
    建築用塩ビ用添加剤の値上がり、溶剤関連製品の貿易量増加、樹脂添加剤の好調さなどから業績は伸展した。
    またロジンについては輸出および国内需要の増加に伴い、販売量、利益ともに増加。
    輸出については中国向けが顕著。中国はロジン生産量において世界トップであるが、紙生産についても日本を抜き米国に次ぐ世界第2位となり、ロジン需要量が国内生産量を上回りブラジルからの輸入となり、販売、利益とも好調であった。 
    【2006年見通し】石化製品の輸出はレアル高で厳しい状況は継続すると予想されるが、新たな市場開拓、用途開拓で需要を伸ばす。自動車業界の堅調さを受け樹脂添加剤が好調。ロジンは紙生産増加に伴って紙用商品の品揃えを行う予定で、売り上げ、利益とも伸展すると予想。
    2)農薬・飼料添加物など
    まず当部会会員のイハラブラス社がブラジル経済誌「Isto e Dinheiro誌」の2005年度化学品・石油化学部門の最優秀会社賞を受賞されたことをお伝えします。
    非常にうれしいニュースではあるが、一方業界としては厳しい年であったようで、各社まれに見る悪い年と形容している。
    【05年の結果】
    - シェアを拡大したにもかかわらず、大幅な減収減益となった。
    - この結果は予想をはるかに下回り、想像を絶する結果であった。
    - 03年の市場は31億ドル、04年は44億ドルと伸びてきたが、05年は40億ドルに減少した。
    【要因】
    - 05年上期の南部における旱魃 
    - 国際価格の下落による大豆作付面積5%減(-100万ha)、綿花35%減
    - レアル高(25%上昇)のため、輸出収入が大幅減少した農家の購買意欲減退
    【2006年予想】
    穀物相場が好転して来ており、農家の購買意欲が回復しつつあり、また新商品の上市もあり、販売は好転すると思われる。 
    一方でこのままドル安が継続となれば輸出価格が低いままなので農家の意欲減退ともなりかねない。 その場合は好転は見込めない。

    3)筆記具
    筆記具業界の統計数字はないが、市場調査ではボールペンはVIC、鉛筆・シャープペンシルはFABER CASTELL、ボードマーカーはPILOTがシェア
    トップとなっている。
    【結果】
    - マーカー類の販売好調もあり売り上げは前年比10%進展。 利益は値上げとドル安継続による輸入原材料費低下により大幅進展した。
    - マーカー類のシェアは業界の統計数字がないが、市場から受ける印象では60%位に達している。
    【2006年予想】
    本年は選挙年であり、昔から選挙の年は筆記具が売れると言われており、また金利が下がり消費者の購買力回復も期待でき、新モデルの投入などで販売は大幅ではないが伸展すると予想。 ただ近年、ブラジル筆記具メーカーが安い中国製をOEMで導入し始めたのが気がかり。

    4)接着剤
    05年通年の統計数字はまだ出ておらず、上半期同士の比較によると、05年上期の全接着剤・シ-ル材の販売量は前年同期比微少減となっており、82000トンであった。 逆に販売額はUS$換算で前年同期比30%増の1億5670万ドルであったが、これはドル安による影響で、実質は伸びていない。
    ほとんどのカテゴリーでの伸展が見られない中、シール材のみ販売量が伸展しており建築関係の好調さを背景にしている。
    特殊工業用接着剤・シール材、一般用瞬間接着剤を製造販売している日系メーカーの結果は以下の通り。
    【05年結果】 売り上げは横ばい、利益はリストラ、為替差益の影響で増大した。
    【上記要因】
    - 自動車・2輪の好調さを受け自動車用シール材、自動車部品用接着剤の販売は堅調に推移し、シェアを6割以上とした。
    - コンスーマ市場向け瞬間接着剤(市場規模2億レアル/年)のシェアは、中国製やアルゼンチン製の廉価品に押され、やや減少し25~30%とした。
    - 農業の停滞のため、トラクターなどの農業機械が前年比24%減の生産台数となりまた定期メンテナンスも激減し、この分野への販売が大幅に落ち込んだ。
    【2006年予想】
    - 自動車・2輪など基幹産業が堅調
    - 自動車、工業機械、農業機械、電気などの分野でテーマが出始めた。
    - 金利低下、選挙、Wカップが消費者の購買意欲にプラスに働くと予想。
    のため販売は伸展する。

    5)プラスチック着色剤
    【主要取引業界】自動車、化粧品、樹脂メーカー、文房具・日用雑貨メーカー
    【05年結果】売り上げ、利益とも前年比減少となった。
    【上記要因】
    - 自動車業界への販売は好調なるも値下げ要求
    - 原油高によるプラスチック類の値上がり
    - 大手ユーザーである化粧品業界がリフィルタイプへの容器変更や着色剤含有量減少、またドル安による輸出減少などで使用量が大幅に減少。
    【2006年予想】
    金利低下により国内市場に明るさが出てくると期待され、一般消費も上向く。金利低下、為替安定、Wカップ、選挙、最低賃金引き上げがすべてよい方向に影響すると期待し、また他社と差別化した環境に配慮した新商品投入などで販売は好転すると予測。
    6)食品香料
    【市場規模】R$3億5000万(食品香料のみの04年度販売額)
    【05年結果】04年―05年の伸びは緩やかで、販売は横ばい状況であり利益も減少した。業界の動きでは、ブラジル経済の好調さを背景に食品消費者需要も順調に伸びており、メーカーにおいて「健康」をキーワードにした新製品投入や主力商品のリニューアルの動きが見られた。
    【2006年予測】 安定利益確保のため本業に集中するため、不採算事業から撤退するので、販売は横ばいとなるが、利益は伸展する。

    7)化粧品
    化粧品販売は年々2桁進展し04年は45億ドル、05年は12%進展の50億ドル市場に成長している。特に伸びているのは訪問販売メーカーのNATURAやAVON、ブラジル地場メーカーのボチカリオなどである。
    内訳は2004年度統計数字で、体と口の衛生商品(体臭・口臭防止)29%、整髪料・シャンプー26%、肌手入れ化粧水・保水剤など11%、衛生用品・
    おしめ14%、香水13%、化粧品6%となっている。
    2006年も好調な市場規模拡大を背景に販売、利益とも伸展すると予測

    8)外用消炎鎮痛剤(平たく言うとサロンパス) 
    昨年から当部会に入会された久光製薬さんからの報告。
    【業界規模】R$1億2000万 (約60億円)
    【05 年結果】業界規模は大きいが、他社は液状、ジェル状商品での参入で、貼るタイプは1社のみ。 医薬品卸業、チェーンドラッグストア間の価格競争が激しく、 スポーツ競技のスポンサーになるなど広告宣伝に努め知名度を上げ拡販を図った結果、前年比20%の販売進展。 しかし利益は広告宣伝費用の増大のため横ば い。
    【2006年予想】 過去5年間毎年10%程度で市場規模は拡大しており、またバレーボールなどの大会主催などでブランド認知度も上昇してきており、シェアーはあがる。 したがって販売は好調に推移する。

    3.化学品部会個別テーマ
    会員各社の興味、現在問題に直面していることとして
    1)移転価格税制問題
    2)日伯EPA
    があげられる。それぞれ分科会、委員会活動を通じて会員各社の利益となるよう、状況に応じて臨時部会を招集し討議、勉強、理解を重ねることとした。

     

  • 機械金属部会


    嶋末繁機械金属部会長

     

    機械金属部会の報告をさせていただきます。機械金属部会はですね、機械金属関連のメーカー、あるいは消費者さん等が集まっておりまして、多岐にわたっておりますので、それぞれの分野ごとにご説明させていただきます。

    ま ずですね、2005年の回顧でございますが、2005年は前年度の好景気を受け全般的に良いスタートが切れております。しかし、下期に入りまして、レアル 高などの影響や安い中国品などの攻勢で陰りが見えた企業がありましたが、通年では総じて好成績を維持する結果となっております。
    あと、分野別にご説明いたします。

    鉄 鋼・鋼材分野でございます。鉄鋼生産は2004年のパニック買いの結果、需要家、流通業者ともに過剰在庫を抱えていたことと国内需要が全体として低迷し て、輸出ドライブをかけたものの前年比3.9%の減少となっております。ただし、鉄鋼各社とも価格の高止まりで好決算となっております。鋼材の国内販売に つきましては、上期は史上最高であった前年を上回り順調に推移しましたが、下期に失速し、通年では前年比8.7%の減少となっております。

    次 に電力分野。ブラジルの発電部門ですが、水力が82%を占めておりまして、あまり大きな増加はしておりませんが、自家発電部門と輸入電力が増加していると いうデータになっております。しかし経済成長にともなう電力消費も増大しておりまして、数年のうちには再び電力危機が起きる可能性が懸念されております。

    政 府はいろんな対策を打ち出しているものの、そのひとつの例として2002年に創設されましたPROINFA、電力代替源奨励計画、これは風力発電とか小さ な水力発電、バイオマス、こういうものの代替電力開発ですが、現在143件のプロジェクトが検討されておりますが遅々として進んでおらず、有効な手が打た れていない現状です。

    三番目に、新規大型プラント分野でございます。製鉄、紙・パルプおよび石油・化学分野は増産意欲が旺盛で、大型案件の成約があり活況を呈しました。

    重機械、製缶分野です。これも石油化学とかアルミ分野で増産の計画がありまして、タンクとか熱交換器の成約があって活況を呈しております。
    そ れから農業機械分野ですが、この分野はたいへん苦労されております。2004年の暮れに最高値をつけた国際穀物相場は2005年に入り30%から40%急 落しており、また、年初に南部、それから10月ごろにはアマゾンの干ばつが心理的な追い討ちをかけまして、新規農業機械の買い控えムードが広がり、全般的 に厳しい状況でありました。

    コーヒーなど一部には比較的良好な売価と新しい栽培方法の普及によ り生産を伸ばしたことで好調な機種、メーカーもありましたが、主力である大豆、綿花などの落ち込みをカバーするにいたっておりません。各社採算犠牲で輸出 に注力しておりますが、40%近い国内の落ち込みがあまりにも大きく、台数ベースでは業界全体で22.5%の減少となっております。

    精 密測定機器分野です。上期は国内販売、輸出とも好調に推移しましたが、下期になって輸出だけでなく国内販売にも陰りが見えてまいりましたが、主要顧客の自 動車関連業界については、計測機器への需要はおおむね底堅く推移し、通年で8.5%の伸びとなっております。ただし、ノギス等の小型製品につきましては安 価な中国製品が急速に南米市場全体を侵食しつつあり、価格面ではまったく太刀打ちできないことから、品質面での優位性をアピールしながら、安易な値引き競 争に陥らないようにするなどしてマーケットシェアの防御に腐心しているという報告でございました。

    次に工具、ネジ、軸受けおよび潤滑油分野です。

    精密、切削工具。国内販売は下期に減速したものの、品不足状態が続く輸出市場でカバーできて、通年では売上は25%増加、製造面ではフル稼働状態が継続しております。

    電 動工具。主力の建築関連環境に勢いはありませんでしたが、グラインダーやハンマードリルなどの新製品や、北部、北東部地域への販売強化もあり、売上は対前 年20%強のアップとなっております。利益も、付加価値の高い製品の投入やアクセサリー販売が好調で増益確保できております。輸出関係は、レアル高により 数回の値上げを実施したものの、チリ、アルゼンチン等南米向け輸出は好調に推移しております。

    次にネジでございます。自動車および同部品、二輪車および同部品、この業界は堅調な生産の伸びにともなって、同分野へのネジの生産販売は略その比率に応じて順調に伸びております。だいたい10%程度の伸びと聞いております。

    一方、電気・家電産業向けは、テレビ、DVDを中心に順調な伸びを示したものの、レアル高の影響もあり、かなりの部分が主に中国品を主とした輸入品に代替され、同分野へのネジの生産・販売はかなり落ち込む結果となっております。

    軸受けでございます。前半は好調でしたが、後半は国内需要減とレアル高による輸入品の攻勢や輸出の採算悪化に見舞われました。ただし、補修用の軸受け輸入品、これが好調で、通年の売上は5%増を達成できております。

    それから潤滑油。潤滑油につきましては、上期は好調でありましたが、下期はレアル高で輸入品に押されて販売が低下しております。ただ一方では鉄鋼関係の臨時売上があったため、通年では前年と同じレベルとなっております。

    以上が2005年の回顧でございます。

    引き続きまして今年の展望でございますが、総括いたしますと、選挙の年で不透明さがあり、レアル高の影響もあるが、3.5%程度の経済成長が見込まれており、各社とも昨年よりも増加傾向と見込んでおります。

    鉄 鋼分野ですが、生産は粗鋼ベースで4.1%増の3290万トンを見込んでおります。販売構成は、国内向けで自動車や電子電気製品、インフラ向け等の需要増 が見込まれ8.5%の増加。輸出は中国製品の超安値オファーの撹乱要因はあるものの3.1%の増加を予測しております。

    電力分野です。天然ガス料金の高止まり、電力料金の抑制により発電部門の民間投資IPPは消極的な状況が継続しております。ただし、電力送電および変電システムなどの強化計画が動いておりまして、大容量の送電用変圧器の需要が拡大しております。

    それから、アマゾンのマデイラ水力発電プロジェクト、これは6350万キロワットという超大型の水力発電プロジェクトですが、これがどうも動き出す模様だという報告が上がっております。

    それから新規大型プラント分野ですが、公共事業としてのサンフランシスコ河の分流プロジェクト、ペトロブラスや紙・パルプ会社の増産プロジェクト、さらに製鉄所の新設、こういう案件が出てきておりまして、こういうものに期待しております。

    それから、重機械・製缶分野。引き続き増産意欲旺盛な石油化学、紙・パルプ、製鉄、アルミなどの業界で案件が出てくることを期待しておりますが、現時点での引き合い件数は前年同期に比べ減少傾向でございます。

    農 業機械分野。昨年同様我慢の一年になると予想しております。ただし、ブラジルの農業はすでに世界トップクラスの競争力を有しており、中・長期観点では農業 機械と肥料・農薬等の資材市場の将来性は高く、今回の落ち込みは3,4年周期で来る波の一環であると考えておる、という報告でございます。

    次に精密測定機器分野。近年のブラジル製造業の品質管理マインドの高まりが潜在ビジネスチャンスを広げており、特注品の販売などにも注力してきめ細かさで差別化するとともに、効率的な営業活動で25%程度の販売増を目指しております。

    そ れから、精密、切削工具。年初来国内市場向けの冷え込みが伝えられ生産調整の必要を検討しておりますが、日本の需要が高レベルであり輸出でカバーすべく日 本本社と調整中でございます。輸出をさらに増やして何とか生産を維持して、数量で今年は15%増を目標にしております。

    電動工具。新製品の投入や新モデルへの移行と販売地域の拡大で20%以上の増収を見込んでおります。

    ネジ分野ですが、自動車、二輪、電気・家電業界は伸びが見込まれておりまして、15%程度の生産販売増を見込んでおります。

    軸受けにつきましても、自動車や二輪車の製造は増加、また、鉱山、パルプ、アルコールなどの産業は好調で補修用軸受けの需要は堅調。家電分野は引続き輸入品に押されて低迷が続くが、全体では堅調と見ております。

    潤滑油分野です。選挙とレアル高で予測は難しいのですが、鉄鋼関連の売上増が見込め、今年は20%増の計画を立てておりますという状況でございます。以上で機械金属部会の報告を終わらせていただきます。

    (司 会)どうも嶋末さん、ありがとうございました。あの、機械金属部会も化学品と同じように産業が非常に多岐にわたってるんで、一つ一つ拾っていただいて詳細 な報告ありがとうございます。やはりここでもあの、先ほどの化学品と同じように2005年は農業に関わる部分、農業機械はたいへんだったけれども、それ以 外の紙パとか製鉄、自動車関連は好調であったというのが大方の報告だったと思いますけれども、何かご質問ありますか。

    (質問)ミタル・スチールが230億でアーセロールグループを買収等、製鉄部門合併の動きが日本、ブラジルの製鉄業界に及ぼす影響について。

    (回 答、新日鉄・浅賀)では私が、嶋末さんに代わってお答えします。今回ミタルさんの方からアーセロールを買いたいという提案がございましたけども、今回これ が成功するしないに関わらず、こういう傾向は引続きあると思います。ですから今回の話がまとまらなくても次の話がまた出てくるというふうに我々は見ており ます。

    そこでこういうコンソリデーションの動きがブラジル、日本の鉄鋼業にどういう影響がある かということなんですけども、ちょっとブラジルと日本は状況が違います。ブラジルの総生産量というのは、ちょうど私の会社の新日鉄の一社とほぼ同じ量で す。ですからブラジルの場合どうやって生き残っていくかというのはもうちょっと難しいと思います。

    で もすでにアーセロールブラジルが1100万トン、3000万トン強のうち1100万トンはアーセロールがすでにおさえております。で早晩、1300万トン くらい能力が増えていくという中でブラジルはどういうふうにナショナル資本を中心にですね、ブラジルの中でがんばっていくかというのがひとつテーマとして あります。

    で日本は、まあ韓国も同じなんですが、非常に株主が分散化してますのでこういう買収 を仕掛けられた時には非常に抵抗力がないと。今たまたま時価総額が高いので、例えば新日鉄というのはターゲットになっておりませんけれども、例えばポス コ、韓国のポスコなどは外国人の持ち株比率が、外国人の比率が多分七割を超えていると思いますので、今回のような思い切ったプレミアムを目の前にぶらさげ られると、売ってとりあえず鞘をとっておこうという投資家が出てくる可能性があるのでですね、
    引き続き日本も韓国も買収の脅威にさらされている状 態だと思います。でも、これはですね、止まらない状況でして。ちょっと長くなりますけども、鉄鋼原料はですね、世界の大手5社が約85%市場を支配してお ります。で車もですね、多分大手5社は6割をすでに超えた市場支配率だと思います。

    ですから原 料と、大手の需要家である自動車産業のですね寡占化が進んでいる中で、鉄鋼業は多分まだ大手5社は20%に行っていないと思います。ですから、両方のはさ みうちにあっている状況でですね、まあ何とか生き残りを探ろうとすれば、コンソリデーションの比率をもっと上げていかないと原料を買う力、製品を売る力が 維持できないと、維持できないというか確保できないというふうなそういうポジションにあります。よろしいでしょうか。

    (司 会)どうも、構造的に非常に分かりやすいお話ありがとうございます。そのほかご質問なければですね、15分ほど経過しておるんですが、これでコーヒーブレ イクで、3時40分、ちょっと休み時間短縮します、40分に再開したいと思いますのでお集まりください。どうも嶋末さんありがとうございました。

    これから六部会、繊維、食品、電気電子、建設不動産、運輸サービス、最後になりますが自動車部会ということで発表を順次お願いしたいと思います。まず繊維部会ということで、日清紡の今井さんお願いします。

     

    テーマ: 「2005年の回顧と2006年の展望」 および 部会別個別テーマ

    2006 年 2月7日
    機械金属部会長 嶋末 繁

    Ⅰ.2005年の回顧

    2005年は、前年度の好景気を受け、全般的に良いスタートであった。しかし下期に入り、レアル高などの影響や中国品などの攻勢にあい苦戦した企業があったが、通年では好業績を維持する結果になった。
    1- 製鉄・鋼材分野
    鉄 鋼生産は、2004年のパニック買いの結果、需要家、流通業者ともに過剰在庫を抱えていたことと国内需要が全体として低迷して、輸出ドライブをかけたもの の前年比3.9%の減少となった。ただし、各社とも価格の高止まりで好決算となっている。鋼材の国内販売は、上期は史上最高であった前年を上回り順調に推 移したが、下期に失速し、通年では前年比8.7%の減少となった。
    2- 電力分野
    ブラジルの発電部門は、自家発電部門と輸入電力が 増加している。しかし、経済成長に伴う電力消費も増大しており、数年のうちには電力危機が起きる可能性が懸念されている。政府はいろいろな対策を打ち出し ているものの、2002年に創設されたPROINFA(電力代替源奨励計画:風力・小水力・バイオマス)などのように、143件のプロジェクトが検討され ているが遅々として進んでおらず、有効な手が打たれていない状況である。
    3- 新規大型プラント分野
    製鉄、紙・パルプ及び石油・化学分野は増産意欲が旺盛であり、大型案件での成約があり活況を呈した。
    4- 重機械・製缶分野
    石油化学及びアルミ分野にてタンク・熱交換器の成約あった。
    5- 農業機械分野
    2004 年暮に最高値を付けた国際穀物相場は、2005年に入り急落(30~40%)したことと、南部とアマゾンの旱魃が心理的な追い討ちをかけ、新規農業機械の 買い控えムードが広がり、全般的に厳しい状況であった。      コーヒー等、一部中には 比較的良好な売価と新しい栽培方法の普及により生産を伸ばし た機種/メーカーもあるが、主力である大豆、綿花の落ち込みをカバーするに至らず。各社採算犠牲で輸出に注力したが、国内の落ち込みがあまりに大きく、台 数ベースでは業界全体で 22.5%の減少となった。 
    6- 精密測定機器分野
    上期は国内販売、輸出とも好調に推移したが、下期に なって輸出だけでなく国内販売にも陰りが見えたが、主要顧客の自動車関連業界については、計測機器への需要は概ね底堅く推移し、通年で8.5%の伸びと なった。ただし、小型製品については安価な中国製品が急速に南米市場全体を侵食しつつあり、価格面では全く太刀打ちできないことから、品質面での優位性を アピールしながら、安易な値引き競争に陥らないようにする等、マーケットシェアの防御に腐心している。
    7- 一般産業向け 工具、ネジ、軸受け及び潤滑油分野
    -精密、切削工具
    国内販売は下期に減速したものの品不足が続く輸出市場でカバーでき、通年で売上は 25 %増加、製造面ではフル稼動状況が継続している。
    -電動工具
    主 力の建築関連環境に勢いはなかったが、新製品や、北部・北東部地域への販売強化もあり、売上は対前年20%強のアップ。利益も、付加価値の高い製品の投入 やアクセサリー販売が好調で増益確保。輸出関係は、レアル高により数回の値上げを実施したものの、チリ,アルゼンチン等南米向け輸出が好調。
    -ネジ
    自動車・同部品産業及び二輪車・同部品業界の堅調な生産の伸びに伴い同分野へのネジ生産・販売は略その比率に応じて順調に伸びた(10%程度)。
    一方、電気・家電産業向けは、TV,DVD中心に順調な伸びを示したものの、レアル高の影響もありかなりの部分が輸入品(主に中国製品)に代替され、同分野へのネジの生産・販売はかなり落ち込む結果となった。
    -軸受け
    前半は好調であったが、後半は国内需要減とレアル高による輸入品の攻勢や輸出の採算悪化に見舞われた。ただし、補修用輸入品は好調で、通年の売り上げは5%増を達成できた。
    -潤滑油
    上期は好調であったが、下期はレアル高で輸入品に押されて販売が低下。一方では、鉄鋼関連の臨時売り上げがあったため、通年では前年と同レベルとなった。

     

    Ⅱ.2006年の展望

    各選挙の年で不透明さがあり、レアル高の影響もあるが、3.5 %程度の経済成長が見込まれており、各社とも05年よりも増加傾向と見込んでいる。
    1- 製鉄・鋼材分野
    生産は粗鋼ベースで微増( 4.1 %)の 32.9 百万トンを見込む。販売構成は、国内向けで自動車や電子電気製品、インフラ向け等の需要増が見込まれ 8.5 %増加、輸出は中国ミルの超安値オファーの撹乱要因はあるものの 3.1 %の増加を予測している。
    2- 電力分野
    天 然ガス料金の高止まり、電力料金の抑制により発電部門の民間投資 IPP は消極的な状況が継続する。但し電力送電及び変電システム等の強化計画により、大容量の送電用変圧器の需要が拡大する。なお、アマゾンのマデイラ水力発電 プロジェクト(6,350万KW)が動き出す模様。
    3- 新規大型プラント分野
    公共事業としてのサンフランシスコ河分流プロジェクト、ペトロブラスや、紙・パルプ会社の増産プロジェクト、更に製鉄所の新設などに期待している。
    4- 重機械・製缶分野
    引き続き増産意欲旺盛な石油化学、紙・パルフ、製鉄・アルミなどの業界での案件に期待している。
    5- 農業機械分野
    昨年同様我慢の一年になると予想される。但し、ブラジルの農業は既に世界トップクラスの競争力を有しており、中・長期観点では 農業機械と肥料・農薬等の資材市場の将来性は高く、今回の落ち込みは3~4年周期で来る波の一環であると考えている。
    6- 精密測定機器分野
    近年のブラジル製造業の品質管理マインドの高まりが潜在ビジネスチャンスを広げており、特注品販売などにも注力してきめ細かさで差別化するとともに、効率的な営業活動で25%程度の販売増を目指している。
    7- 一般産業向け 工具、ネジ、軸受け及び潤滑油分野
    -精密・切削工具
    年初来国内市場向けの冷え込みが伝えられ生産調整の必要性を検討しているが、日本の需要が高レベルであり輸出でカバーすべく日本本社と調整中。 輸出を更に増やして、何とか生産を維持し、数量で15%増を目標にしている。
    -電動工具
    新製品の投入や新モデルへの移行と販売地域の拡大で20%以上の増収を見込む。
    -ネジ
    ネジ使用業界(自動車、二輪車、電気・家電業界)は伸びが見込まれており、2005年比15%程度の生産・販売増を見込んでいる。
    -軸受け
    自動車や二輪車の製造は増加が見込まれており、また、鉱山、パルプ、アルコールなどの産業は好調で、補修用軸受けの需要は堅調、家電分野は引き続き輸入品に押されて低迷が続くが、全体では堅調と見ている。

     

     

    Ⅲ.部会別個別テーマ

    機械金属部会で現在注目している事項は、FTAおよび移転価格税制であるが、これらについてはすでに分科会が設置されて検討が進められており、分科会活動に期待している。

     

  • 繊維部会


    今井達男繊維部会長

     

    日清紡の今井でございます。これから繊維部会を代表しましてご説明いたします。私ども繊維部会は全部で八社、繊維の紡績が六社と、それからアパレル、それか らファスナーのYKKさんと、非常に所帯はちいそうございます。ただ、あの、ブラジルに来た歴史は非常に長いというか、まあ五十年以上経った会社もござい ますし、新しいところで約三十年ということでございます。じゃあ最初にアパレルのことにつきましてご説明いたします。

    えーっ と、まずですね、前回もそうしましたけど、繊維業界を天気予報でたとえますと、2004年はクラーロっていうか、快晴。それで2005年はですね、私ども 綿紡績にとっては晴れのち薄曇りと。それからこの、アパレルおよびファスナーの業界にとってはですね、曇りのち小雨と、こんな感じです。

    そ れでまあ曇りのち小雨の業界のですね、ご説明申し上げます。2004年は冬が非常に寒かったので、非常に良かったと。ところが2005年は、まあ天候異変 で夏が涼しくて、冬が暖かいということで、冬物衣料は売れなかったということと、それから十一月まで夏物もですね、非常に涼しい気候で売れ行きが良くな かったと。

    それでまあクリスマス商戦も、2004年と対比しまして10%から15%ぐらいまあ 悪かったということで、アパレルの業界は曇りのち小雨とそういう風な感じだと思います。で、まあもう少し言いますと、小売業界は冬物がまったく売れなかっ たのでどんどん在庫がたまっちゃったと。で夏物を今売っていますけどなかなか。

    これは紳士の場合だけですけども、これからですけども、良くないと。そうすると小売店もお金がなくなりましてですね、仕入先への手形サイトを引き伸ばすというようなことで、非常に、まああまり良くなかったと。

    そ れから特にですね、大きな動きとしては、カーザバイーアという電化製品のチェーン店がございますけども、ここがクリスマス商戦でクレジット戦略をやりまし て、審査なしに十回払いとか十五回払いのクレジットOKということになりますと、皆さん、あの、衣料品を買うよりも、給料をもらったら、まあ十三ヶ月給料 をもらってDVDとかテレビとかそっちの方に流れちゃって、まあうまくいかなかったと、こういうことですね。

    そ れで、ただ悪いことばかりじゃなくて、要するにレアルが高いということは輸入素材が安く入る訳ですから、コストダウンになったということで、今まで高くて 輸入できなかったスラックスやシャツ用のポリエステルレイヨンの混紡品、このレイヨンというのは非常に柔らかいタッチの商品ができるんですけども、そうい うものを、素材を輸入することができたと、こういうことですね。

    で、まあ2006年への展望。 これはですね、2006年は要するに綿紡績、およびアパレル業界も含めてですね。2006年の予想は天候で言いますと、薄曇りからのち晴れになるんじゃな いかと、だからポコヌブラードからクラーロに変わるんじゃないかと、こういうふうに期待しております。

    ま あその理由としては、ワールドカップのサッカーもあるし、それから大統領選挙で四月から最低給料も五十レアルも上がるし、ということと、それから、いつの 時代も、日本も同じなんですけども、婦人物、特に高級品は関係ないんですね。えー、まず最初にお父さんの着るものを削ってですね、お母さんが着るものは関 係ないということは、日本もブラジルも同じだと思います。

    じゃあ次にですね、国際原綿の話をし ます。商社の方もたくさんいらっしゃいますので、綿の話をします。これはあの、実は綿は単位が百万俵でですね、みなさんお分かりになりにくいと思いますの で、これをトン数でいきますと、えっと、生産のところが一億一千二百万俵になっていますけども、これはですね、トン数にしますと二千四百五十万俵(ト ン?)生産されていると、それで国内消費というか、要するに全世界で消費されている量がですね、約二千五百万俵(トン?)くらい消費されていると。

    そ れから四千百万俵の輸出がありますけど、これが約九百万トンぐらいなんですね。ということです。それでこの中で見ていただきますと、米国が22%ぐらい、 中国が24%ぐらい生産していると。ブラジルが世界の4%くらいですね。で国内消費と、こう見ますと、アメリカが5%ぐらいで、中国がこれざっと40%ぐ らい消費していると。ブラジルは世界の3.5%の消費をしていると、こんな数字です。えー、これすいません。一億一千二百万トンではなくてこれは俵の間違 いです。

    それで、世界的なやはり異常気象と、今日本も非常に寒いですし、高品質品が供給不足 で、まあ品質の悪いやつの増産が目立つということです。それで、今あの、輸出の規模というのは約九百万トンと、これはニューヨークの綿花の定期相場という のがあるんですけども、この中で米国が、要するに、一千六百万俵というか、これで全世界の輸出高の四割を米国が占めているということですから、米国の指標 が世界の綿花の指標になっているとこういうことです。

    それで、世界の消費を見ますとですね。中 国が約四割。それからインド、パキスタン、トルコ。この四つの国で世界全体の68%ということはですね。ブラジルは先ほど申しましたように3.5%ぐらい しかありませんから、中国から安いものが流れてきたらもうどうしようもないということなんですが、なかなかそうはいかないとは思っております。

    で、 こういう形で、圧倒的に世界の工場であり巨人であるところの中国、インド、パキスタン、トルコ。このアジア勢がですね、今後の世界の繊維製品の動向を握っ ていると。今も実際に握っていますし、中国の、まあバイイングパワーというのはものすごいものがありますけれども、こういう形で非常に影響度が大きいと。 で、それがブラジルにどう影響してくるのかということを、まあ今我々は細かく見ていると、こういうところです。

    えーっと、まあ原綿につきましてはアメリカは補助金があるということで、大幅なまあ減産はないと思うんですけれども。あの実は私どもの会社も、あの、アメリカの綿を買っております。

    これはまああの、どうしてもブラジルの綿だけではダメでですね、どうしても味の素が必要なものですから、味つけにですねちょっと入れますと、ピリッと辛くなったり甘くなったりしてくれるものですから、アメリカの綿をですね、高いんですけれども入れています。

    それから中国はまあ今後ともたくさん綿を使うだろうと。それからインドもどんどん増えるだろうということでですね、綿はやや、我々の原材料であるところの綿というのは、まあ、約原価の六割以上を占めているんですけども、これがタイトに推移するのではないかと思います。

    そ れから次に、私どものまあ、糸の販売について簡単にご説明します。まず輸出状況ですけれども、一番多いのが、2003年度が四万五千九百トンと、で、金額 もこれだけの金額(102436ドル)になりましたけども、これはこの年はレアルが、要するに3.8とか、非常に安かったという時ですね。それから、 2004年にその分が六掛けぐらいになったと。

    それで、こういうふうに見ますと、今度は2005年になりますと、意外とですね、03年から04年にはずいぶん減りました。六掛けに減りましたけども、2005年には、まあ要するに前年対比九割ぐらいになっていると。金額対比でも七割、77%。

    こ ういうことなんですけど、これはどういうことかといいますと、私どものまあ、紡績というのは、だいたいブラジルの紡績の中の10%くらいのシェアしか持っ ていないと。九割のシェアというのはブラジル資本の企業なんですけども、彼らがやっぱり輸出をやってきて、ですから多少赤でも輸出をせざるを得ないという ことで、この数字がですね、大幅な落ち込みにはなっておりません。

    それからあの、2005年の 回顧としましては、あの、先ほどのアパレルでも申しましたけど、冬物衣料があまり売れなかったということで売値はほぼ低調に推移しましたけれども、その、 ルクロという面では、あの、綿の値段が売値以上に下がってくれましてまずまずだったということで、晴れのち薄曇りと申し上げた次第です。

    で、 今度はですね、あと輸出の状況は採算が悪化して数量も減少しましたけれども、やはりある程度工場の操業維持ということもありまして、輸出はなされておりま す。それから、あと一番懸念されるのは、アジアから、特に中国、インドからの輸入綿糸が、2004年に三千百三十二トンが、約2.3倍の七千六十五トンと こう増えてきたと。

    で、これが今後増えてきたらですね、我々の日系の繊維企業もこれは大変なことになるんですけれども、その辺はまあ注意深く見なきゃいけないと、こういうことです。

    えー、 それでですね、2006年、要するに薄曇りから、ポコヌブラードからクラーロに変わるだろうといった理由は、要するに秋物の仕掛けが普通2、3月から始ま るんですけども、12月から始まったと。それから大統領選挙の年でまあ選挙の特需があるだろうということの明るい材料。

    そ れから暗い材料は、レアル高が続けばブラジルの、まあこれは綿糸もそうですし、製品もそうですね。まあ水際ベースかもしれませんけども、国際競争力が低下 するだろうと。そうすると、あと輸出玉、海外に輸出するために作っていた玉が国内に還流しますとその分だけ値段が下がっちゃうと。

    そ れから中国からの、まあ要するに為替が高いということ、レアルが高いということで二次製品が急増してきたら、国内の需要と供給のバランスが悪化しちゃって ということですね。ですから、先ほど申し上げましたけど、綿花の相場が非常に高くなってきてるから、値段が、原料コストが上がるだろうと。ところが、原料 高の製品安になりはしないかということが懸念されますけれども、まあ後で申し上げますけど、そうはいかないんじゃないかなということで、まあより細かな動 きをした、まあ要するにブラジルのアパレルの動きがあれば何とか中国品にも負けることはないんじゃないかと、こう思っております。
    で、次にです ね、ファスナーの業界ということで。えっと、ファスナーの業界はですね、去年は非常に厳しい年だったと。で、あの、主力のジーンズがですね、2004年の ジーンズの生産が二億四千万ユニット。まあ二億四千万枚ですね。ところが2005年が、それが二億枚に減っちゃったと。これは何でかといいますとレアルが 高いためにですね、輸出ができなかったということ。それから、やっぱり前の年に売れすぎたからちょっと減っちゃったということ。
    それからもう一つは、大手のアパレルが作るよりも家内工業的なところがまあいろんなところがありましてね。でそういうところがメイアノッタの安い値段で出してくると値段が全然違うということでそちらの方に流れちゃったということでですね、
    YKK さんあたりは消費不振からその、ジーンズの生産が減っちゃったと。それで、ジーンズにたくさんの金属製のジッパーを使っているんですけども、その使用量が 減ったということですね。えーっと、それから冬物の生産ということで、冬物は当然ファスナーをたくさん使いますから、そういう面でちょっと減ったなあとい うことですね。

    それからあと、ファスナーの用途で忘れてはいけないのは、あの、婦人の靴、ブーツ用のファスナー。これは非常にまあ収益としてもいいと思うんですけれども、これが、ブーツ用のファスナーの生産がですね、レアルが高くて米国向けの輸出市場が中国に奪われてしまったと。

    で、 ですからリオグランデドスールの靴産地で六十社が倒産して二万人が解雇とかいうことで、非常に厳しい年であったということです。それで、ファスナーも、繊 維全体で申し上げた通り、薄曇りから晴れになるだろうというのは、要するに生産、販売予想ですね。これが2004年が非常に良かったのを100としてこの 年80ぐらいまで落っこちちゃったと。これが96ぐらいまで上がるんじゃないかということでですね、まああの、何とかいい年になるんじゃないかということ だと思います。

    懸念材料としてはレアル高で中国製品の輸入が増えるということと、もしもこの、 夏は暑いんですけども、冬も暖かかったら冬物が惨敗しやしないかなと。それと、子供とか、ものを中心にして中国製の安物ジッパーがどんどん入ってきまし て、その辺との競合が心配されますけれども、一応まとめとしましては、ブラジルのアパレルというのはですね、中国品にはないところの、要するに短サイクル で小ロットでの生産ができることと、それから街をこう歩いておられてもすぐお分かりになるように、婦人のファッションというのは非常に色とりどりというか いろんなその、まあカット、縫製の仕方とかいろんなスタイルにしても、これは一様に中国で真似できるものじゃないと思うんですね。

    で すからそういう面で、ブラジルのアパレルというのは中国品の安いものが多少入ってきたとしても、それはユニフォームとかそういうところでは入るかもしれま せんけれども、まあ普通の一般の衣料品の分野ではですね、中国品にブラジルのアパレル製品は負けないということで、それに材料を提供しております我々日系 のメーカー、それからアパレルさんもですね、2006年は中国勢にも負けないで、まあいい一年が過ごせたらいいな、ということを思いましてね、私のご説明 とさせていただきます。

    (司会)どうもありがとうございました。まあこれまでいくつかの業種で中国の影というのが出てきていて、例えばネジとか筆記具とか出てきましたけども、特にこの繊維のところではファスナー、綿糸のところでは中国の影響が非常に大きいということですね。

    (今 井)えーっと、ちなみにですね。日本の輸入品の比率は、繊維製品の輸入品の比率は、95%です。国産品に残された数量ベースの比率はたったの5%しか残っ ておりません。ブラジルの場合は、ちょっと数字は調べておりませんけども、まあ圧倒的にブラジル品の比率が高いということで、まあ、国境線は非常に広いし 密輸の商品もどんどん出てくるんですけども、国がですね、いろんな面で非関税障壁を、たとえば通関をわざと時間をかけてくれるとか。そういう面で非関税障 壁がたくさんありましてですね、まあまだ繊維産業にとっては生き残れる市場ではないかなと思っております。

    (司会)はい。何かご質問、フロア―の方からありますか?どうぞ。マイクが行きます。

    (質 問)あの、興味本位の質問で恐縮ですけども、中国に出している繊維とか雑貨類の中で、靴がね、非常にあの高額品でも中国の方に流れているというようなこと を聞いたころにですね、ブラジルのファッション。ファッションショーを北京でやったりいろいろ、こう上海とかであったと聞いているんですが、先ほど、ブラ ジル側で中国のものが売れるという意味での席巻ではなくて、逆にそのブラジルファッションというのか、そういうものが中国側に負けないモデルがあるんだっ たら出るというような傾向というのはないんですか?

    (今井)えーとですね、ファッションという ことについてはやっぱりこれはブラジルというかラテン民族の持つ独特の色感覚、ファッション感覚があると思うんですけども。問題はですね、結局インフラと いうか、要するに第一回目のデリバリーはできるんですけども、もしもその後どれかが売れた時のですね、フォローアップの体勢が実はブラジルの場合弱いんで すよね。

    日本の場合は、要するに売れたらすぐに売れ筋の商品を二週間後に日本に届けなさい、と いうことに慣れていると。じゃあ中国や日本に消費者さんがいろいろとブラジルファッションを売り込みたいということで行くんですけども、なかなか日本も、 まあ中国の場合どうか分かりませんが、私が分かる日本の場合だけ申し上げますとですね。ある程度日本もどういうふうに売れるか分からないから少ししか入れ ないと、で売れたと。じゃすぐによこしなさいといったら、なかなか、その次の少しがものすごく時間がかかってしまうということで、ですから、アメリカとか ヨーロッパのアパレルがブラジルのファッション、ブラジルのアパレル製品を輸入する場合はそういうことに慣れているからある程度多めに仕入れて置いておく ということをアジアの消費国もやっていけばブラジルファッションというのはなかなか面白いと思うんですけども、今一番の課題はレアルが安くなってもらわな いと今のままの値段ではちょっと輸出は難しいということですよね。

    そうすると、水着のように、楽しむために着るんだ、だから多少高くてもいいわと。ですからそういうような形でパンツとかシャツがどんどんいけるかというとなかなかその辺のところがね。ちょっとこれからの課題だと思います。

    で すから私自身非常に期待しているのは、婦人ファッションですね。婦人ファッションの商品が欧米にまず流れるということで、特にヨーロッパの場合は近くに EUに加盟したトルコがおりますし、その辺との競合をどうするかということですけども、この国の繊維産業の未来というのは、そういう形で、レアルとかまあ 為替の問題ありますけども、その辺が解決できれば面白いというか、非常にインテレサンチなマーケットだと思います。

    (質問)ファッションモデルは非常に質が高いと二宮前部会長がおっしゃっていましたが。

    (今 井)そうですね。ですから、私も前日本で通信販売をやっていましたので、カタログ撮影オーストラリアに行くんですね。ちょうど日本と逆ですから。ブラジル の方がもっとモデルをたくさん選べると思うんですけど、何せちょっと遠いものですから、ほとんど今はもうオーストラリアでしか撮影していませんけども、確 かにブラジルと日本が近かったら絶対ここに撮影にきていたと思いますね。

    (司会)非常に分かりやすい具体的な説明ありがとうございます。これ以上ご質問がなければ次に行きます。次はですね、食品部会ということで、日清味の素アリメントスの広田さんお願いいたします。

     

     

  • 食品部会


    廣田喬司食品副部会長

     

    食品部会の報告をさせていただきます。日清味の素の廣田でございます。よろしくお願いいたします。まず2005年の回顧でございますけれども、やはり私ども食品部会につきましても各社様ドル安レアル高が少なからず影響を与えた一年だったと言えるだろうと思います。

    国 内市場におきましては食品全般が比較的デフレ環境にある中、皆さん順調に推移されたというふうにご報告をいただいております。一方輸出をされておる企業さ んにおかれましては、やはりレアル高が業績を低調なものにしたという結果になっております。で、具体的に私どもの場合、会員企業様の具体的なご報告をさせ ていただきたいと思っております。

    まず発酵乳ヤクルト、ヨーグルト、デザート等の市場はレアル 高の中コストアップ分をいかに吸収するかが課題であったかということでございますけれども、製品価格据え置きにより発酵乳ヤクルトの売上は前年比約6%の 増加、乳酸菌入りデザートソフィールが前年比約20%の伸び、またその他の製品についても7%から15%の伸長となり、大手スーパーなどで安売りが続く中 にあって、回復の兆しが見え始めているというご報告を頂いております。
    続きまして調味料市場。こちらは数量ベースでマーケット全体として前年比 108%の伸び。金額ベースで117%と大幅な伸長を見せた。味の素インテルアメリカーナ社では主力製品のSAZONやREFRESCO MIDが順調に 推移したことに加え、新製品、インスタントスープのVONOが順調に立ち上がり、売上実績は対前年比124%となられました。

    一方、飼料用アミノ酸の主力製品であるリジン市場においては、市況悪化による価格下落と大幅なレアル高と悪材料が重なり厳しい状況であられたというふうになっております。

    続きまして私どもの即席麺市場でございますけども、こちらは数量ベースで対前年比で6%の伸びとなっております。

    で、 即席麺マーケットにおきましては、ほとんどの主要の原材料が、ほとんどがドルリンクされております関係で、レアル高になった関係で非常に製造コストが安く なったということがございまして、これはまあ本来ならば我々にとって非常にうれしいことになる訳なんですけど、残念ながらそうはならなくて。これのおかげ で非常に新規参入企業が増えまして、昨年一年度で過去最高の九社、九メーカーさんがこの即席麺市場に参入されました。

    現 在ブラジルの国内におきましては、即席麺をつくっている、あるいは販売されておるメーカーが四十社ございまして、まあその大半がいわゆる昔からやられてお りますマッサ・コンベンションと言われるスパゲッティとかマカロニとかそういったものを作られておられるメーカーさんが最近即席麺市場に参入されてきてお ります。

    まあその結果といたしまして、スーパーマーケットなどでの小売価格が昨年度と比較して も一層安くなりまして、収益面では半面厳しい状況になったと。私どもにつきましては新製品でYAKISSOBAというような商品を全国発売させていただい たこともありまして、数量ベースでは約108%伸びることができました。

    続きまして酒、醤油の 販売につきましてですけども、こちらは4月に起きた輸入サーモン寄生虫問題により、日本食レストランから客足が遠のいた結果、売上が70から80%減と なったり、昼の営業をとりやめたりするレストランなども増えて、まあその分販売の方も低迷をしたと。ただ九月以降については動きが回復し、まあ、これを作 られております東山農産加工社においては、年間を通してはほぼ前年と同じ程度の売上が確保できたというふうに聞いております。

    ま た、飲料分野においてなんですけど、こちらについては現在の傾向というんでしょうか、新製品の傾向としては、やはり、先ほども香料会社のご説明の方でご報 告をいただいたんですけど、こちらも「健康」がやはりキーワードとなっているということで、低カロリーを謳うLIGHT化からもう一歩前進して、現在大手 メーカーさんにおいては豆乳あるいはビタミン類、あるいはファイバー。こういったものを入れた果汁飲料の新製品が非常に積極的に投入されているということ でございます。

    続きましてコーヒー市場。上期についてはコーヒーの国際相場の上昇がありまし た。反面下期は相場が下げ傾向と対照的な環境の中、レアル高により輸出環境が非常に厳しいと。ただ、会員企業でありますところの三井アリメントスさんでは 生豆輸出が年間100万袋の自社記録。ブラジル輸出量の4.55%を占められ、第五位のコーヒー輸出業者となられたということです。数量ベースでは前年比 22%、金額で58%の増加を達成されたということです。一方国内販売については、前年比数量で8%の増、金額は値上げ効果もあり25%の増加というふう にご報告されております。

    続いてインスタントコーヒー。こちらはレアル高と原料高により輸出分 野は非常に厳しい状況であったと。会員企業のイグアスコーヒー社さんも、数量的には予定以上の輸出実績になったが、収益は前年を大きく落ち込む結果となっ たと。一方国内販売は、原料高をある程度価格に転嫁できた結果、またテレビ、アウトドアの宣伝の積極的な展開により国内シェアを12%まで伸ばすことがで きたという報告をいただいております。

    続きまして2006年の展望といたしまして、レアル高、 原油高は継続するものと考えられ、各社その点での対応を迫られる一年となると。特に原油高につきましては、燃料費に大きく影響を与え、また輸送費の高騰に つながるため、コストの吸収が不可欠となってくるのではないかと思われます。まあ金利が徐々に低下していく、あるいは大統領選挙というようなことでの国内 消費については、我々としては堅調に推移していくと考えております。

    最後に販売環境なんでござ いますけども、ご承知かと思うんですけども、世界最大の小売業WALLMARTがこのブラジルにおきましても、南部のSONAE グループというリオグランデドスールを中心とするブラジルで五番目ぐらいのチェーン店ですけれども、それを買収いたしました。これによりましてPao de AcucarのCBDグループ、それとCarrefourと大手三社の寡占化がどんどん進んでおりまして、ますます我々納入業者にとっては厳しい対応を迫 られるものではないかというふうに考えております。だいたい以上でございます。

    (司会)廣田さ んありがとうございました。何かご質問はありますか。いまちょっとうかがっているところですと、多分食品の方ではわりかし製品が多いので価格が自分で決め られる、逆に言うとこれは、今回の場合はコストが下がって原料安にはなったと。ただ一部、製品を輸出されている方、例えば味の素さんのリジンであるとか、 それからあとインスタントコーヒーであるとか、この辺は結構レアル高厳しいと、そういうことですね。ずいぶん業種、製品によって。

    (廣 田)そうですね。やはり国内販売でも原材料、輸入原材料使うようなもんでですね、レアル高が比較的、まあ特に私どもの場合小麦粉が主なものでございますん で、これがアルゼンチンからの輸入となると、レアル高が進みますとどんどん、要するにコスト的には助かるというんでしょうか、安くなってくる。ただその結 果として非常に参入消費、我々の分野の参入消費が低くなりましてですね。どんどんどんどん競合メーカーさんが増えてきて、本来ならば、まあ寡占化状況です と高く売ってもうけるということが可能だったんですが、それができなくなりましてね。どんどん、末端価格というんでしょうか、スーパーさんでの価格がどん どん下がっていっているという環境になっております。

    (司会)ありがとうございます。何かご質問ありますか、他に。なければ、じゃあどうもありがとうございました。次はですね、電気電子部会ということでNECの盤若さんから発表をお願いします。

     

    2006年2月3日

    食品部会レポート
    「 2005年の回顧と2006年の展望 」

    食品副部会長
    廣田 喬司
    日清・味の素アリメントス(有)

     

    1. 2005年の回顧
      • ドル安・レアル高が各社に少なからず影響をあたえた一年であった。 国内市場では、食品全般がデフレ環境にあるなか順調に推移したが、輸出分野においてはレアル高が業績を低調なものにした。
      • 発酵乳ヤクルト、ヨーグルト、デザート等の市場は、レアル高の中コストアップ分を如何に吸収するかが課題であったが、製品価格据え置きにより発酵乳ヤクル トの売り上げは前年比約6%増、乳酸菌入りデザートソフィールが前年比約20%の伸び、又その他製品についても7%~15%の伸長となり大手スーパーなど で安売りが続く中、回復の兆しが見え始めている。
      • 調味料市場は、数量ベースで前年比 108%、金額ベースで117%と大幅な伸張を見せた。 味の素インテルアメリカーナ社では、主力製品(SAZON、REFRESCO MID)が順調に推移したことに加え、新製品(インスタントスープ"VONO")が順調に立ち上がり、売上実績は対前年比124%(R$ベース)となっ た。 一方、飼料用アミノ酸の主力製品であるリジン市場においては、市況悪化による価格下落と大幅なレアル高と悪材料が重なり厳しい状況。
      • 即席麺市場は数量ベースで対前年比6%の伸び。
        小麦粉等主原料価格の低下と新規参入企業が過去最高の9社となり(現在ブラジル国内で40社)競合状況が一層厳しくなった結果、スーパーなどの小売価格は一層安くなった。
        日清・味の素社では、新製品「Yakissoba」の全国発売などにより数量ベースで対前年比108%となった。
      • 酒・醤油の販売:4月に起きた輸入サーモン寄生虫問題により、日本食レストランから客足が遠のいた結果、売り上げが70~80%減となったり、昼の営業をとりやめたりするレストランなども増えた。 
        9月以降動きは回復。 東山農産加工社においては、ほぼ昨年と同じ売上を確保した。
      • 飲料分野においては、「健康」がキーワードとなり、低カロリーを謳う"LIGHT化"から一つ前進し、大手メーカーによる豆乳やビタミン類、或いはファイバー入り果汁飲料の新製品が積極的に投入された。
      • コーヒー市場は、上期がコーヒー国際相場の上昇、下期は相場が下げ傾向と対照的な環境の中、レアル高により輸出環境が非常に厳しい中、三井アリメントス社 は生豆輸出が年間100万袋(60キロ入り)の自社記録となり、ブラジル輸出量の4.55%を占め、第5位のコーヒー輸出業者となり、前年比数量で 22%、金額で58%の増加を達成。
        一方国内販売は、前年比数量で8%の増、金額は値上げ効果もあり25%の増加となる。
      • インスタントコーヒーは、レアル高と原料高により輸出分野は厳しい状況となった。 イグアスコーヒー社も数量的には予定以上の輸出実績
        となったが、収益は前年を大きく落ち込む結果となった。
        一方、国内販売は、原料高をある程度価格に転嫁出来た。 TV、アウトドア宣伝の積極的な展開により国内シェアを12%まで伸ばすことが
        出来た。

    2. 2006年の展望
    3. レアル高、原油高は継続するものと考えられ、各社対応をせまられる一年となる。特に原油高は、燃料費に大きく影響を与え、又輸送費の高騰につながる為、コストの吸収が不可欠となる。

      金利は徐徐に低下していくものと思われ、又大統領を始めとする各種選挙をひ
      かえ、国内一般消費は堅調に推移するものと思われる。

      販売環境においては、Wal Martによる南部のSonae買収により、Pao de Acucarの
      CBDグループ、Carrefourと大手3社の寡占化が進んでおり、我々納入者にとって

      は増々厳しくなっていくものと思われる。

  • 電気電子部会


    盤若幸雄電気電子副部会長

     

    部会長のパナソニックの松田さんがご出張中のため、代わりにNECの盤若からご説明させていただきます。電気電子部会はですね、家電、部品、通信、IT、オ フィス機器などが所属しております。最初に05年の回顧をご説明いたしますが、順番は各社業績、評価、その評価の背景、主だった業種の主要動向の順番でご 説明させていただきます。

    まず最初に業績評価でございますが、アンケート結果が10社、数とし ては業種の割には少ないものですから、全てを表してはおりませんが、10社中ですね、計画通り含めてよかった会社数は10社中9社。前年度比売上では、前 年を100としますと150%まで売上増の会社数は6社。150%以上の会社は2社ありました。この10社だけですが、この中で見ると業績は非常に良かっ たと思われます。

    その評価の背景でございますが、良かった通信分野ではですね、(すいません、 ちょっと電気をつけてもらえますか。暗くて読めないので)良かった、売上が150%、50%以上と言いました2社なんですが、実はこれ通信が良かったんで す。従来抑制されておりました投資の活発化が功を奏しましてですね、非常に売上が増えております。

    一 方家電分野ではですね、レアル高によって価格が値下がりした結果、非常に需要を支えた、需要を増やしたということで売上が増加していると。一方電子部品 は、ばらつきがございますが、基本的には通信需要、家電の需要が増えており旺盛であったということで。販売は増えているが、実は中国製の輸入品が増えてい るがためにですね、例えば現地の企業さんが従来やっていたのがですね、そのご本社の管轄する中国からの輸入品が増えたと。ということは、出先のブラジル、 マナウスの企業は売上が落ちたという会社もございました。そういう意味で、一社なんですが、市場は需要が増えているにもかかわらずうちの売上は過去五年で 最低の結果であったというようなばらつきが電子部品ではございました。

    次に業種動向でございますが、まず最初に通信でございます。これはABINEEという電気電子工業界のデータでございますが、05年の売上は17ビリオンレアル。これは前年比プラス30%です。おそらく過去四年五年では最高でございます。

    参 考までにうちがやっておりますITの分野、これは24ビリオンレアルです。で前年比プラス17%の増加を示しております。通信分野のこの大きな伸長理由は ですね、通信民営化が終焉しました01年の下期から各オペレーターさんがいわゆる投資を抑制したと。一方費用化をはかってですね、経営の投資を抑制して費 用を増やすということで経営の効率化をはかっていきました。ただし一方、投資を逆に抑え過ぎたがために弊害が出ました。 
    例えば携帯事業社が固定 電話会社からラインを借りてコストアップにつながって、結果的に自分で投資した方が安いと、例えばそういうような弊害でございますけれども。それと、好景 気を背景に04年の下期から投資が急増しました。昨年度は特に、ブロードバンド系サービスの拡大で、例えばADSLの加入者が1.9ミリオン加入者から 3.0、300万加入者に増えております。

    それと携帯事業者の加入者獲得競争でインフラ投資と端末販売が急増しまして、年末には2000万増えまして8600万加入者、04年が6600万加入者でしたから2000万増えまして8600万加入者に到達しております。

    ち なみに去年のサードクオーターまでの売上なんですが、固定系オペレーターさんで約前年比プラス9%、モバイル系で14%。売上は確かに伸びております。た だしあいかわらずFixed系、固定系はもうかっておりますが、モバイル系はVivo以外は収益面ではあいかわらず苦労していると。まだ回収まではいたっ てないと、そういう状況でございます。

    次に家電の業種動向ですが、(電気消してもらって結構です)まず最初に左側のですね、これは台数ベースでございます。ブラジル国内の台数ですが、テレビが22%前年比アップ。DVD、デジタルカメラ、この三つが台数ベースで非常に増えております。

    その結果ですね、昨年度の成長が、Eletrosという家電業界の団体でございますが、前年比で11%増加しております。特に映像商品が伸びており、それと携帯電話、この中には例えば、ちょっと家電と通信の境目にありますが、携帯電話も非常に増えていると。

    た だし輸出が、特に昨年度増えまして、輸出だけで前年比2.2倍増えて、この単品だけで輸出が2.4ビリオンダラーだったと思います。非常に増えておりま す。その他白物、電池は微増。それで一方ですね、テレビだけに限りますとあいかわらずこの国は14、20インチの丸型ブラウン管テレビが主要でございます が、徐々にフラットテレビで21から29インチが増えてきていると。

    それとまあ、日本ではあたりまえになってきている薄型液晶およびプラズマですね。これも、まあ数は、絶対値は非常に少ないです。一万三千台から五万六千台という意味では非常に絶対値は少ないんですが、伸びていることは伸びていると。

    そ れとあと、これが数量ベースでの昨年度の伸びでございます。それとあと、家電流通の状況でございますが、先ほどもWALLMARTの話も出ましたけども、 国内の二社ですね。この量販店の店舗数が大きく拡大しているということ。それとWALLMART等のですね、他の地域点を買収したということで、特にこの 四社の大型店での寡占化が進んでいるがために、ベンダーへの価格プレッシャーが大きくかかっていると。そういう状況がございます。

    で 次に、通信も中国勢のプレゼンスがだんだん増えているんですが、特に昨年度のレアル高の影響ですね、中国輸入品の電化商品がマナウス生産の脅威になってき ていると。それと、それで流通の大手さんが直接中国のメーカーから輸入するとか、そういう動きも出てきておりますので、各社さん、ある製品においては輸入 に切り替えたとかですね、そういう対応もされているようです。

    それと電子部品は先ほども申しま したように、中国、グローバル・プロキュアメント・ポリシアル・ベンダーさんのグローバル対応によって中国のある会社から直接出荷すると、それで出先の会 社の、ブラジルのマナウスの会社からは買わないと、そういうような歪み現象が出てきていると。

    そ れで、家電さんに限ってですが、今年の期待はワールドカップ、大統領選の期待もございますけど、ただワールドカップは六月でございますので、1H、という ことはファーストハーフの販売は伸びても2Hからは減速するということで。と同時に昨年度は大きくテレビは伸びております。この数字そのものはですね、 96年のピーク時の数字に匹敵しますので、そういう意味では非常に伸びた数字でありますので、今年も数量ベースではそんなに大きく伸びないで、おそらく5 から10%の範囲というふうに聞いております。(ちょっと電気をつけてもらえますか)。

    それで今年、06年の展望についてご説明申し上げます。今年の販売予測は、10社中8社が前年比100%、ということは前年より超えると、最大で20%の売上増を予想されており、おおむね昨年に続く経済安定化の継続を予想されそれが理由と思われます。

    そ れで政治経済の影響について各社のコメントをご紹介しますと、05年については為替の安定化は歓迎するも、行き過ぎたレアル高による中国製品の輸入を促進 させた罪は大きいということ。それと、政治スキャンダルによる政治空白による構造改革が中断したこと。特に税制改革の推進がなされなかったこと。

    そ れと政府系入札が価格オークションで決定されるケースが非常に日常的になっておりまして、極端な話市場価格の半分で決まっちゃうとかですね、そういう案件 が出てきており、そういう意味では非常に厳しい競争になってきていると。で今年の展望でございますが、経済変動リスクが低いであろうと。政権が代わっても 経済政策は変わらないとの見方が各社の見方でございます。期待としては、利下げの継続、公共投資の増加を皆さん挙げられております。

    で 最後にですね、ちょっとトピック的に二点挙げたいと思います。携帯のですね、今こちらではGSMというヨーロッパのスタンダード、またはVivoの使って いますCDMという技術のスタンダードがございますが、次の世代の第三世代のライセンス入札が昨年度予定されていましたが、今年の庶務期に延期されており ます。ただあの、Vivo以外の事業者さんは反対しており、ベンダーも反対しておりまして、次期政権にゆだねられる可能性が高いと見ております。

    次 に、最後でございますが、まあ連日新聞マスコミで出ている話題でございますが、デジタルテレビの技術標準についての件でございます。おそらく今の現状は、 日欧のがっぷり四つでして、後は政治的判断がなされて決定かと。日本のデレゲーションもですね、先週の木曜日ですね。四閣僚、ジルマ官房長官以下三人の大 臣に対する最後の売り込みのチャンスを与えられまして。大使のご支援も受けまして、やるべきことは全てやったなという気がしております。おそらく決定は カーニバル前と思われますが、まだまだ予断は許さないというような状況でございます。以上でございます。

    (司会)どうも盤若さん、ありがとうございました。あの、かなりオーバーロールな電子、通信、電気関係。最後は今最もホットなデジタルテレビの標準の問題等にも触れていただきましたけども。何かご質問はありますか。

    (質問)(スクリーンの「2006年への期待」中の「Brics景気の中、日本サイドの関心急速拡大」の部分に関する質問と思われます。)

    (盤 若)えーこれは、ある、まあ会社名を言ってもいいと思いますけど、家電のメーカーさんのある会社がですね、Bricsの中で特に、Bricsとしてこの国 での売上増をさらにやれということで本社から非常に注目され始めたということを、10社中1社だけでしたけども、そういう注目度が出ていると。まあそうい う意味でですね、関心を受けるのはいいんですけども、そこの社長さんひいひい言っておりましたですけども、そういうことで一ヶ月に二回日本に報告に行かな きゃいかんような生活をされているようで、非常に関心が急速に高まったという家電さんのメーカー一社ありました。ちょっと名前は申し上げませんけども。背 景がそういうことでございます。

    (司会)どうもありがとうございます。他にご質問は。
    (質 問)すいません、また興味本位の。あの、クレジットカードのね、販売の率が高い分野だと思うんですけども、新聞でよくクレジットカードの問題が出るたびに たいへんな業界だろうとは思うんですが、結構やっぱり、クレジットでの決済というのがほとんどなんですか、この国は?

    (盤 若)ちょっと、家電は良く分からない、私通信なんでよく分からないんですが、そう聞いておりますね、やはり。クレジット販売が圧倒的だと。それで、逆にク レジットになっても、皆さんご承知のようにキャッシュで買うのと値段は変わらないという変な国なんで。とにかく毎月払える額がいくらか、それで高いもので も買っちゃうと。
    (質問)あと、テレビショッピングというのは、結構こういうのは出るんですか?

    (盤 若)はい。これは、ちょっと別の見方なんですけども、私の聞く限りではテレビショッピングのお客様にうちはテレビの送信機を売ったりしているんですけど も、伸びてますね。そこから見てもですね、販売およびそこは、ものの、商品の数も品揃えを増やしているんじゃないかと私は思います。ちょっとデータを持っ ておりませんけども。

    (質問)(家電品の)モデルのチェンジというのは結構頻繁に起こるんですか、この国は。

    (盤 若)えっと、家電はですね、ちょっと聞きかじりですけども、日本ほどもちろん激しくございません。やっとフラットテレビで、そこのモデルが出てきていると いうのが現状みたいでして。そんな、半年にいっぺんとか三ヶ月にいっぺんというのはないみたいですけども。聞く限りは。
    ただ、所得者層もだんだん 高級志向になってくると、そこの高級品に対する販売攻勢をかけられる。おそらく日本メーカーさんはどちらかと言えばそこを狙われると思いますんで、やっぱ りそこらへんのライフサイクルを早められる必要性が出てくるんじゃないかと、私はちょっと想像しますけれども。

    (司会)はい、どうもありがとうございました。それでは時間が参りましたので、次は建設不動産部会ということで、戸田建設の阿部さん、お願いします。

     

     

  • 建設不動産部会


    阿部勇建設不動産部会長

     

    で は引き続きまして、建設不動産部会の方を発表させていただきます。当部会は、毎回若干ご説明させて頂いておりますけども、なかなかご参加いただける企業さ んの数が少なくて、今回もですね、建設関係で、まあゼネコンのお仕事をされているのが3社、それと不動産1社、建材1社と、あとオフィス家具ですね、1社 と。6社の方からお話をうかがいまして。えー、全体の話と各社さんの話とごちゃまぜになるかと思いますのでご了承願いたいと思います。

    全 体的にはですね。一昨年の2004年の後半から急激に回復したというお話を前回させていただいたんですけど、2005年も総体的には良かったというのが総 括したお話でした。ただ、これもやはり各社さんでばらつきが結構ありましてですね、年間を通して思った以上に業績が伸びた会社さん、まあ前半は良かったけ ど後半失速したよと。

    まあこの辺は先ほど来他の部会の方がおっしゃっているような、前期良かったけど後期は少しというような感じ、合ってる感じなんですけど。あとは年間を通じて非常に思ったほど、まあ売上、利益の方が伸びなかったというようなお話。非常にばらつきがございます。

    ま ああの、建設業界っていうのは自分たちで不動産ですとか投資案件を抱えない限りは、まあ他の部会さんも、皆様の業績に合った形で仕事をしていくという業界 なもんですから、そういう意味では、これも先ほどちょっと個人的にお話をうかがったんですけども。私が、一年前だったですかね、あの、建設業界っていうの はだいたい一般の経済指標の一年半から二年ぐらい遅れてその数字に追いつくという話を一度させていただいたことを覚えていらっしゃる方がいたんですけど も、たぶん私のこの認識は日本のバブル前までの話だと思うんですね。

    何故かというと、日本は、 まあ当然日本だけではないんですけど、公共投資である程度不況が見えたらそこで税金を使って仕事を増やして雇用を確保しようということをやりますので、民 間の企業さんのアップダウンが即建設業界に結びつかない。いわゆるクッションみたいな形で公共投資が受けてくれたというのが、多分そのバブル以前までだっ たと思うんですけど、ここに来て、まあ三年半になるんですけども、非常に毎日配信されてるニュースなんかの経済指標に非常に我々の業界が早くリンクしてい るという感じは受けておりましてですね。まあその辺がこの国の特徴かなと思います。

    まあそんな 全体の話の中でですね、いまのがまあ建設部門ということなんですね。で、建材を扱われている方、まあアルミの方なんですけども、非常に世界的に市況が高止 まり。非常に建材、アルミだけじゃないですね、非鉄が全て今高いということなんですけど、その企業さんは輸入されてますので、その高い市況がレアル高に よって非常に緩和されたということで、業績に対してはいい方向に向いたというお話でした。

    それ とですね、あとこれが、先ほど公共事業のことちょっと申しましたですけども、ルーラ政権になってから、ちょっと数字が今手元にないんでけども、公共事業が 落ち込んでいるということで、こちらも土木、特に土木関係ですかね、やってる超大手の地元の企業さんがそれだけでは利益を確保できないということで民間の 物件に進出してきているという傾向が感じられます。

    それともう一つ、逆にですね、中小の新興業 者さんが過去五年十年前には名前も聞いたことがないような業者さんが、やはり同様に民間の入札に参加するようになってかなり安値で受注しているという傾向 がありまして。まあどちらかというと我々日系のですね、前からいる業者はその板ばさみにあって今非常に苦しんでおると。受注そのものも苦しみますし、利益 も圧縮されているという傾向が出ております。

    それと不動産なんですが、これはですね、地域によるばらつきがありまして、まあいいところと悪いところがはっきりしているんだということなんですけども、全体的にはまあ好調であったということですね。

    特 にABC地区ですか。こちらは自動車関連の企業さんが多いということで、そちらのアパートの需要が多かったということで、非常に南部の方は業績を伸ばした ということなんですね。ただサンパウロの市内、まあジャルジンですとかパライゾの方の高級アパートに関しましては、まあ今でもまだあいかわらず建っている んですけども、いいところと悪いところが結構ムラが出てきているという話がありました。

    そう いったことで、昨年の今ごろですと、ブラジルの建設業の指標というか2005年度の統計値がもうすでに発表されていたので確かご説明したと思うんですけど も、2004年度は2003年度に比べまして全伯、ブラジル全体で確か6.8%の伸びがあったということなんですが。今年はまだ発表されてなくて今日お知 らせできないんですけども、一つだけ、セメントの販売ですね。これは昨年11月までの実績に12月の見込みを入れてですね、だいたい年間で3.5%ぐらい 販売量が伸びています。

    ということで、これも私の勝手な発想なんですけども、建設業としては3%前後の伸びぐらいはあっただろうと。おととしの6.8%に比べればずいぶん下がりましたけども、まだ伸びているということが言えるかと思います。

    そ れから、まあ今年の展望なんですけども、これも期待値の方が多いかと思います。昨年同様程度は行くんではないか、まあ若干のプラスですね。若干のプラス、 伸びがあるんではないかと考えてはいるんですけど、ただこれも各業者の方がおっしゃってるいわゆる為替の問題、それですとかいろいろ、世界的な景気の動向 によってですね、大きく変われば、我々が思惑しているところとかやはり外れてしまう可能性はこれは当然あるわけでして、あくまでもこれからはとにかく ウォッチングしていかないといけないことでしかちょっと申し上げられないと思います。

    不動産なんですけど、今は金利が下落傾向でありますので、このままこの傾向が続いてくれれば住宅ローンを利用する方が当然増えていくだろうということで、まあ建設よりも不動産のほうが期待度は高いと言われております。

    一 つ、アパートの購入に関してなんですけども、以前はまあ計画をですね、更地になって、モデルルームといいますか、販売事務所を建てると、大体半分以上の戸 数は売れたという時期があったんだそうですけど、最近はかなりそれが遅くなって、建物がですね、まあ出来高で言って六割七割くらいできてからじゃないと本 格的な販売の伸びが期待できないと。

    そうしますと、どうなりますかというと、不動産業者さんが その工事の立替金をですね、工事金を立て替えなきゃならないということで、まあ金利が若干安くはなっているんですけども、全体的高金利ですので、非常に今 そういう意味では収益が圧迫されているというお話でした。えーっと、大体回顧と展望というのはこの程度になってしまって大変恐縮なんですが。

    あ とですね、まあ前回も部会のお知らせをさせていただいて今回その続きになるんですけども、昨年一回アパートに関するセミナーをさせていただいて、その時の 資料をですね、今ホームページの生活情報というところにアップしてございますので、おひまな方はぜひごらんになっていただいて、ご質問でもありましたらい つでもお受けいたしますので、その辺もよろしくお願いいたします。

    それとですね、これも前回か らの続きなんですが、昨年八月の時に新聞を持ってきましてちょっとご説明しました、サンパウロ市の容積率が、まあ駐車場を入れる入れないで大変な問題に なっているというのをご報告申し上げたんですけども、無事に昨年九月の市議会でそれが元の条例に戻ったということで、今は全然問題なく、いわゆる駐車場の 面積は建ぺい率に入れないということで昔に戻りまして。市の方の手続きもですね、一時期完全に止まっていた状態だったんですけども、今はもう普通に戻った ということをご報告させていただきます。一応以上でございます。

    (司会)どうもありがとうございました。何かご質問はありますか。赤嶺さんどうぞ。いまマイクが来ますからちょっとお待ちください。

    (赤 嶺)えー、駆け足で質問させていただきます。西林総領事の前で、ちょっとこう阿部部会長の会社をよいしょ、持ち上げる形になるかもしれませんが、御社はマ ルチニアーノ・デ・カルバーリョ969番に最近、ベネフィセンシア・ポルトゲーザ、ポルトゲーザ慈善病院の別館でしょうか、を本当に立派な、私が調べたと ころ、地上九階地下四階、濃紺の総ガラス張り、超近代的な建物をお建てになりました。

    私はずっ とこう2,3年その近くを歩いておりまして、歩くたびにTODAという看板が掲げられてあることに非常に日本企業勢の活躍、特に建設会社の活躍ぶりに意を 強くしました。といいますのもこの国の貧しい人々の生命に関わるような、たいへんな、大切な事業だと、大切なプロジェクトだと思ったからです。

    一 方でそのポルトゲーザ慈善病院理事長のアントニオ・エルミーリオ氏は毎日来る電気料とか、毎日じゃなくて、毎月来る電気料だとか水道代などまでまだいちい ち自分で目を通すほどの経済家というふうに伝えられていますが。阿部社長、そのような方の病院を建てるにあたっての特にエピソードというようなものがござ いましたら、ぜひ本席で紹介していただきたい。

    それからもう一つのお願いは、このアントニオ・ エルミーリオさんという経営者はほとんどのその講演を引き受けられないということで有名なんですが、何とか私たちの日本商工会議所の昼食会にでも、機会が あれば何とか引っ張り出していただけないものかということを密かに願っております。ポルトガル系というよりは、ブラジルの1、2、とにかく五番以内に入る 経営者だというふうに日ごろから尊敬の念をいだいております。どうぞお願いします。

    (阿部) えー、確か以前も同様なお話をいただいてたいへん恐縮したことがあるんですけども、あの、最初の方のお話に関しましては私が来る以前からの仕事でございま して。まあ2000年からずっと引き続いてやっておりまして、やっと今回部分オープンですね。昨年いっぱいで、地下一階の検査部も、それとTerreo と、まあ中二階なんですけども、そちらを今お使いになっていただいている状態で、まだ全館をオープンするにはあと数ヶ月かかるということで。数ヶ月が、我 々だけじゃなくて、ベッド業者さん、いわゆる設備業者さん、医療機器屋さんがからんでおりますので、ちょっと我々だけでは申し上げられないんですけども、 あと数ヶ月で全館オープンになると思うんですけど。

    まああの、おっしゃるように私も、直接モラ エス会長とお話したことはなくてですね、ジレットリアの方とはお会いして何回かお話させていただいたんですけども、とにかくあの事業に関しては、非常に会 長自身も、まあこういったら失礼かもしれませんけど、ご自身の最後の大きな事業としてとらえられていると。

    だ からなんとしても成功して、地域医療ですか、そういったことに貢献したいということはおっしゃられているのは聞いています。ですから、そういった、大変、 私自身が手前味噌で申し上げますと、病院はいくつもさせていただいているものですから、やはり病院を経営される方の基本理念というのは、本当に、地域医療 といいますか、そういったことをきちんと理解されている方というのは、事業としてもうまくいきますし、大変尊敬しておりますですね。まあ答えになってない かもしれませんけど。

    あと会長をですね、こちらにお招きしてというのは、おととしからずっと体 調を崩されておりましてですね、その辺も含めてなんですが、もし機会があればぜひお声をかけさせていただいて。まあできるかどうか分かりませんけど。お約 束はできませんけど。とりあえずお話だけはさせていただきたいと思います。

    (司会)アントニオ・エミーリオさんというのは、ボトランチンの総帥のアントニオさん。

    (阿部)はい。

    (司会)では阿部さん、どうもありがとうございました。で次に運輸サービス部会からの発表で、日本通運の平野さんお願いいたします。

     

     

    【建設不動産部会】

    建設不動産部会は現在正会員10社、副会員15社の合わせて25社が登録されています。それでは発表に移らせていただきます。

    1.共通テーマ
    (1)2005年の回顧

    まず、2005年の回顧ですが、全体的には2004年下期からの好調な状況が継続されました。
    始 めに建設部門ですが、見積案件数がかなり増加し、特に製造業の設備投資による工場の新増設は、見積もりの引き合いから成約までの期間が以前より短縮される 傾向にありました。しかしながら、下期に入り工事発注の予定を遅らせたり、成約まで時間を掛ける案件が増加しているように思われます。
    価格競争は 激しさを増し、アルミをはじめ一部の建材の値上がりの影響もあり利益確保が難しい状況でした。特に気になることとしては、公共事業の発注額が減少している せいか、地元の大手ゼネコンが一般民間競争入札へ参加する例が増え、また、新興の中小業者の安値受注との板ばさみに苦しまされる状況が生まれていることが あげられます。

    次に不動産部門ですが、地域によるばらつきはあるものの全体的には販売は好調で あり、特にABC地区では自動車業界が好調なおかげでアパートの販売が伸びました。しかしながら、こちらも価格競争の激しさが増しているため利益確保に苦 しめられています。サンパウロ市内では相変わらずのアパート建設ラッシュが続いているため、立地条件の良いところを確保することが最重要課題となっていま す。
    アパート建築に多く使用されるアルミ建材の販売では、工事遅延もなく順調に納入されており、下期には若干の増加傾向が見られています。また、オフィス家具も2005年は好調に販売を伸ばすことが出来ました。

    (2)2006年の展望

    続 きまして2006年の展望ですが、まず始めに建設部門としましては予想としては2005年と同程度か、落ち込むとしても小幅になると考えています。昨年か ら継続している案件が順調に発注されるようですと今後に期待が持てますが、さらに発注時期がずれ込むとなると先行き厳しい状況が出てくるかもしれません。 それでも、選挙前の支持率アップを狙った様々な経済政策が出てくることも考えられ、希望的観測として2005年と同程度の売上を確保したいと思っていま す。しかしながら、価格競争はさらに激化すると思われますので、収益に関してはかなり厳しい見通しとならざるを得ないのでは、と考えています。

    次 に不動産部門ですが、金利の下落傾向が続いてくれれば住宅ローンを利用してアパートを購入する人が増え、業績アップも期待できますが、まだまだローンを組 むには年収と比べて金利水準が高すぎるので、状況をよく見て販売地区の選定に当たることが重要になると思います。アパート購入者の最近の傾向として工事着 工前から契約せず、建物がかなり出来上がってから購入する人が増えたため、工事費の立替金利の負担が販売業者に重くのしかかってきているため、収益を圧迫 してきています。この傾向は今後も続くものとみられ、業績への見通しを厳しいものにしています。

    2.部会個別テーマ

    引 き続きまして建設不動産部会としてのテーマですが、昨年部会の主催で初めてのセミナーを、サンパウロのアパート事情という内容で開催し、また、その時の資 料を会議所のホームページへ掲載させていただきました。多少専門的な表現になってしまっているところもあるかもしれませんが、もし、興味のある方はぜひ ホームページの生活情報へお立ち寄りください。
    今年も部会として会員の皆様へ何か情報発信をしたいと考えています。先月出揃った部会としてのいろ いろなアイデアを近々まとめまして、セミナーあるいは見学会等を企画させていただきたいと思います。詳細が決まりましたらお知らせいたしますので、その節 はぜひ多くの皆様のご参加を宜しくお願いいたします。

    以上で建設不動産部会の発表を終わりにさせていただきます。

     

     

  • 運輸サービス部会


    平野候一運輸サービス部会長

     

    運輸サービス部会を代表しまして、ブラジル日本通運の平野と申します。あの、この席を借りまして、あくまでも日本通運でありまして、ジャパンエクスプレスではございませんので、よろしくお願いします。

    わが部会はですね、運輸およびサービスという形で、部会の方はたくさんいらっしゃるんですが、まあいつもの通りですね、部会を開催してそこでレポートを出し ていただいている方々は大体決まった方々で。今回もですね、6業界のレポートにまとめまして、それぞれ回顧と展望という形で発表させていただきます。

    まず、航空業界です。回顧の方ですが、まず原油高、これは主要コストの燃油費が依然として高止まりであり航空会社の収支を圧迫していると。それから二番目 に、USビザですね。これはあの、南米人に対するビザ取得義務が行われていまして、それが米国経由を運行する航空会社にも打撃を与える。要するにお客が遠 のいていっているという。ビザを取得するために手間隙かかるということで、そういう米国経由を運行している各航空会社には打撃を与えている。

    そ れから海外マーケット。これはレアル高により全般的に好調。特に南米諸国内での動きが拡大していると。それから国内マーケット。これはVarigのシェア 低下。まあ経営難とかそういうのでいろいろ話題になってますが、それに引き換えTAM、GOLの急成長。それから新規参入の会社、BRAそれからWEB -JET、OCEANAIR等の新規参入によりシェア―の競争がますます激化して、まあ逆に料金が根下がってきていると。

    展望としましては、世界経済、テロ、災害などの要素によりマーケット環境が変動する可能性は常にあるが、全体としては拡大傾向にあるのではないかと。それか ら経営効率向上のために航空会社の運行編成や航空会社間の提携ですね。路線の提携をしたりサービスの提携をしたり、ということがさらに今年は進むのではな いかと思われる。

    次に海運業界です。まず為替の影響ということで、輸入は自動車部品、機械、一 般雑貨など堅調な動きであったが、輸出はやはりレアル高を反映して一次産品にブレーキがかかってきた。それから疫病ですね。これは口蹄疫の発生によりブラ ジル牛肉の輸入禁止措置を取った国々があると。まあこれは欧州とかアジアの一部ですね。

    それか らインフラ。特に物量が多いサントス、それから南伯州の港湾インフラの改善が一向に進んでいない。それから船のスペースですね。これは、去年おととしです か、結構逼迫した状況になりましたけども、その後各社の船の大型化やサービス編成、運行編成ですね、それから新規参入などで緩和されたと。

    で、 展望としてはレアル高の影響でブラジル主要産品、コーヒー、木材、レザー、農産物等ですね、輸出への影響が懸念されると。まあただ、昨年下期のトレンドと 同様で緩やかな荷動きと予想されると。昨年に改善されたスペース供給策で今年はそういうスペース供給は安定化が図られる。それから港湾インフラは引き続き ボトルネックであり、原油価格の高騰と合わせてトータル的なコストアップにつながると懸念されている。

    次にフォワーダー業界です。フォワーダー業界に関しては、まあ一般フォワーダーとクーリエ、それから構内物流というふうに三つに分けて説明します。
    まずフォワーダー一般。各種規制。これはですね、セキュリティチェック、梱包木材、それから税関規制などのそういう規制が継続強化されていると。
    そ れからまあ、去年の災害ですね。米国内で発生したハリケーンの多発によりそういう施設の被害、それから貨物の遅延、それから貨物のダメージが発生したと。 まあこれらは、我々商売をしている中でですね、これはなかなか避けられないというか、どうしようもないことなんですけども、やはりお客さまは「何でそこを 避けて通らないんだ」とそういうクレームとかもたくさん入ってきて、やはりあの生産活動されているお客様にとりましてはそういう遅延というのは非常に大き な問題になるというのは我々重々承知しております。

    まあそれにより、リードタイムが遅れてで すね、リードタイムが遅れるという状況になると。それはあの、キャリアの変更だとかキャンセルが続いたということです。それから先ほどの燃費の問題です が、我々にもこういう燃費の費用の上昇ということで販売上にもいろいろ影響がしていると。

    それ から為替。まあ輸入はそういう意味合いで好調ではあったんですが、やはりレアル高で特に下期の方は輸出に影響して、まあ両面で最後の方はシュリンク状態に なったというような感じを受けています。それから例年の税関スト、これは完全なストライキではなかったんですけど、牛歩戦術したストライキとか、あと農林 省の検査官のストライキ。これらで輸入通関、または輸出通関の遅延が発生したと。

    で、展望とし ましては、さらに規制ですね、先ほども申しましたセキュリティとか木材梱包基準、国際基準。それからアメリカの通関事前申告制度。こういうのが引き続き継 続される。それから二番目にやはり燃料費の高止まりで、まあ今も日本発がまた若干上がりそうな傾向にあります。

    そ れから、あとは為替の変動ですね。レアル高の継続、それに伴ってのブラジル国内のコスト高。まあこういうふうに最低給料が上がりますとそういうところで全 部跳ね返ってくるところでの輸送に関するトータルコストとしてコストアップするんじゃないかという懸念です。でまあ、一ついいのは、まあ特需としてワール ドカップ、各種イベント、それからプロジェクト等。まあ大統領選挙もある意味でそういう物の動きにも関連してくると思います。まあそういうような特需があ るんじゃないかなと。

    えー、それからクーリエ業界です。先ほど言いましたVarig航空の経営問題によりキャンセル、それから運行変更などサービスの低下が大きく影響したが、まあそれをカバーする意味で米系や欧州系のキャリアーを利用で何とか切り抜けられたと。

    で展望としましては、簡易輸出の金額緩和。まあ今までの一万ドルから二万ドルに上がると。そういう意味合いでは中小の輸出企業に期待できるんではないかと。それから、国内の郵便法の結果次第で国内輸送の内容検査が強化されるんではないかという懸念があるということです。

    それから構内物流業界。これは特に鉄鋼業界の構内物流作業ですが、上期の世界的な鉄鋼需要の拡大に伴い高生産、増産により好調であったが、下期はレアル高により輸出規制で生産減少や在庫の増加で収入減となるが、通期的には計画を一応達成できましたと。

    展望として、まあ前年並みの生産計画であることと、大型設備投資案件の稼動を期待、それから競争激化による事業構造の改革が必要であるというふうでございます。

    次に旅行業界です。海外旅行。全体的には運賃が値上がりしているが、ドル安で海外旅行者が増加。特に欧州および南米内が顕著であったと。国内旅行。国内航空会社の競争激化により曜日や時間帯による多様な運賃が出回ると。

    ま あそういう意味合いでは国内パッケージツアーが、まあパッケージ料金ですので、逆にそれが盛況であったと。特に国内の東北伯地域のリゾートが人気があった と。それからブラジル観光旅行者はレアル高もさほど影響せずに前年並であったと。ということは安い運賃、ブラジルに来るための安い運賃の利用者が増加して いるのではないかと。

    展望としては、テロの不安は残るが徐々に不況は改善されるだろうと。それ からドル安およびレアル高の動向が不安、これは肯定という意味合いでの不安があると。それからVarigの成田乗り入れ中止に伴う米国経由から欧州経由へ の増加と席確保に苦慮することになるのではないかと。国内パッケージツアーは運賃の不透明性により引き続き活況である。またカーニバル、ワールドサッカー 等に期待できる。

    次にホテル業界です。これはブルーツリーさんの場合ですが、前年度に対して売 上高が28%アップ、平均稼働率が57%で前年度より10%アップした。2005年度にはグループホテルが27軒となる。展望としては、新たに六件の新規 契約を見込んでいる。また、稼働率は60%として5年度の3%以上を目標にしていると。

    で、最 後に通信業界。これは先ほど電機業界の盤若さんが申し上げられたのとちょっとだぶりますけども、携帯電話の稼動台数が約8124万台ですか。一年で約二割 増。国民100人当たり4台に相当する普及率であるが、そのうち約81%がプリペイド方式であると。それから、インターネットは自宅からのアクセス人口が 約1350万人になっている。半年で一割増です。

    で、ソリューション、要するにセキュリティだ とか継続性の強化としてスパイウェアー対策が普及していると。展望としましては、携帯メールを利用したマーケティングの多様性の向上。インターネット利用 人口の増加によりE-commerceなどが活発化する。で、ソリューションは本人認識やアクセスコントロールの領域でより高度なセキュリティ対策の導入 が進むだろうと。事業継続強化やコスト削減の観点からIT基盤業務のアウトソーシングが一般化するであろうと。以上、わが部会の報告を終わります。どうも ありがとうございました。

    (司会)ありがとうございました。何かご質問ありますか。平野さんの 部会も結構多岐にわたる部会でまとめるのが大変だったと思います。ご苦労さまでした。あの、ご質問フロアからなければ、私ひとつ質問なんですが。さっき クーリエ業界の展望のところでですね、郵便法の結果次第では国内輸送の内容検査の強化が懸念されるとありましたが、どういうことなんですか。

    (平野)あの、これは山下さんいらっしゃいましたっけ。ちょっと山下さん、すいません、ご説明していただけますでしょうか。

    (山下)親書ですとか、郵便の独占を、訴訟が一件入っていまして、今月中にブラジリアで結果が採決されることになるんですけども、これが出た時に、郵便局が扱える親書の独占権というのが強くなるわけです。

    そ れで国内の小荷物も取り扱いを管理する権限が郵便局の方にできまして、そうすると何が起きるかといいますと、国内で何か荷物を輸送している時に、企業から 企業へのノッタフィスカル付の数量のきちんと決まったものの場合はいいんですけども、そうでないものを、例えば封筒を運んでいるとかパコッチを運んでいる とかいうことがありますと、それを検査のために止められて開けて検査するという恐れがどうしても起きてくると思うんです。まあ、そういうちょっと心配があ るということを申し上げただけなんですけども。

    (司会)よく分かりました。ありがとうご ざいます。もう一つ何かブラジルコストが増えそうですけども。何か他にご質問ありますか。なければじゃあどうも、平野さんありがとうございました。ではあ の、最後になりました、お待たせしました、自動車部会ということで、ホンダの岩村さんに発表をお願いしたいと思います。

     

    業種別部会長懇談会発表要旨

    (於)ホテル クラウン・プラザ(07/Fev/06)

    《運輸サービス部会長:平野》

    テーマ:「2005年下期の回顧と2006年上期の展望」

    • 航空業界
      • 原油高:主要コストの燃油費が依然として高止まりであり航空会社の収支を圧迫。
      • USA-VISA:南米人のVISA取得義務が米国経由を運行する航空会社に打撃を与える。
      • 海外マーケット:レアル高により全般的に好調。特に南米諸国内での動きが拡大。
      • 国内マーケット:VARIGのシェアー低下、TAM・GOLの急成長、新規参入(BRA,WEB-JET,OCEANAIR)によりシェアーが激化して料金が値下がっている。
      • 「展望」:世界経済、テロ、災害などの要素により、マーケット環境が変動する可能性は常にあるが、全体として拡大傾向にある。
      • 経営効率向上の為、航空会社の運行編成や会社間の提携(路線、サービス)が更に進むと思われる。
    • 海運業界
      • 為替:輸入は自動車部品、機械、一般雑貨など堅調な動き、輸出はレアル高を反映して一次産品にブレーキが掛かった。
      • 疫病:口蹄疫の発生によりブラジル牛肉の輸入禁止措置。(欧州・アジア一部)
      • インフラ:特に物量が多いサントス・南伯州の港湾インフラの改善が進んでいない。
      • スペース:各船社の大型化、サービス編成、新規参入などで緩和した。
      • 「展望」:レアル高の影響でブラジル主要産品(コーヒー、木材、レザー、農産物)輸出への影響が懸念される。(昨年下期のトレンドと同様で緩やかな荷動きと予想)
      • 昨年に改善されたスペース供給策で安定化が図られる。
      • 港湾インフラは引続きボトルネックであり原油価格の高騰と合わせてトータルコストアップに繋がると懸念される。
    • フォワーダー業界
      *フォワーダー(一般)
      • 各種規制:セキュリティーチェック、梱包木材薫蒸規制、税関規制などの継続強化。
      • 災害:米国内発生のハリケーンの多発による施設被害、貨物遅延・ダメージの発生。
      • リードタイム:災害による影響でキャリアーの運行変更、キャンセルが続出。
      • 燃料費:原油高騰による燃料費の上昇が継続中。
      • 為替:輸入は好調であったがレアル高が輸出に影響して両面でシュリンク傾向。
      • 税関スト:牛歩戦術スト、農林省検査官ストで通関の遅延が発生。
      • 「展望」:①規制(セキュリティー、木材梱包国際基準、事前申告制度)強化の継続②燃料費の高止まりが継続③為替変動(レアル高継続、ブラジル国内のコスト高)に懸念④特需期待(ワールドカップ、各種イベント、プロジェクト、大統領選挙)
    • クーリエ業界
      • ヴァリグ航空の経営問題により、キャンセル・運行変更などサービスの低下が大きく影響したが、米系・欧系のキャリアー利用で切り抜けた。
      • 「展望」:①簡易輸出の金額緩和(1万ドル→2万ドル)>中小企業の輸出に期待②郵便法の結果次第で国内輸送の内容検査の強化に懸念。
    • 構内物流業界
      • 鉄鋼業内の構内物流作業であるが、上期の世界的な鉄鋼需要の拡大に伴い高生産・増産により好調であったが、下期はレアル高により輸出抑制で生産減少や在庫の増加で収入減となるが、通期では計画達成した。
      • 「展望」:①前年度並みの生産計画②大型設備投資案件の稼動③競争激化による事業構造の改革が必要
    • 旅行業界
      • 海外旅行:全体的には運賃が値上がりしているが、ドル安で海外旅行者が増加。(欧州及び南米内が顕著)
      • 国内旅行:国内航空会社の競争激化により、曜日/時間帯による多様な運賃が出回る、また国内パッケージツアーが盛況(特に東北伯地域のリゾ-トが人気)
      • ブラジル観光旅行者はレアル高もさほど影響せず前年並。(安い運賃の利用者が増加)
      • 「展望」:①テロの不安は残るが徐々に不況は改善②ドル安・レアル高の動向が不安③ヴァリグの成田乗入れ中止に伴う米国経由から欧州経由への増加と席確保に苦慮④国内パッケージツアーは運賃の不透明性により引続き活況⑤カーニバル、ワールド・サッカーに期待
    • ホテル業界
      • BTHの場合、前年度に対して売上高が28%アップ、平均稼働率57%で前年度10%アップ、2005年度にはグループホテルが27軒となる。
      • 「展望」:①新たに6件の新規契約見込み②稼働率は60%として5年度の3%を目標
    • 通信業界
      • 携帯電話の稼働台数約8,124万台(1年で約2割増)、国民100人当たり4台に相当する普及率であるが、約81%がプリペイド方式。
      • インターネットは自宅からのアクセス人口が約1,350万人(半年で1割増)
      • ソリューション(セキュリティー、継続性強化)として、スパイウエアー対策が普及。
      • 「展 望」:①携帯メールを利用したマーケティングの多様性の向上②インテーネット利用人口の増加によりEコマースなどが活発化③ソリューションは本人認識やア クセスコントロールの領域でより高度なセキュリティー対策の導入が進む④事業継続強化やコスト削減の観点からIT基盤業務のアウトソーシングが一般化する。

     

     

  • 自動車部会


    岩村哲夫自動車部会長

     

    えっ と、たくさんのプレゼンが続いて皆さんだいぶお疲れだと思いますけども、まああの、last, but not leastということで、私のプレゼンを聞いていただければ幸いです。それでは、自動車部会の方からですね、自動車、これについては四輪、それと二輪車が あるわけですけど、それに合わせて自動車関連部品ということで報告させていただきます。はい。

    ま ずこちらにありますのは四輪車、自動車の生産状況ですけれども、2000年から2005年、昨年まで、そして今年の予測という時系列になっています。で、 この棒グラフが生産台数のトータル、で黄色が乗用車、それでブルーがトラックおよびバス、そういうものが入った数字です。
    で、ご存知のように 2005年につきましては、244万8000台ということで前年比10.7%アップ。過去最高を更新しました。内訳を見てみますと、乗用車が193万台。 それからトラックその他が51万台ということになっています。輸出台数につきましては81万8000台。またCBUの輸入台数ということではですね、9万 台ということになっております。

    それとあと2006年の予測はですね、いまのところ、これは Anfaveaの予測ですけども、256万台ということになっております。次に販売動向でございますけども、これも同様に2000年から05年、それで 06年の予測になっております。でこちらは、ちょっと区分が分かれてますけども、乗用車、それとこの黒いところが商用車。で、トラック、バスというふうに 分かれております。

    で、この乗用車につきまして05年は137万台。商用車が25万台。その他 と含めまして172万台の販売を行いました。これは04年比8.6%です。今年の予測につきましては、全体で184万台ということで、内訳は乗用が 147、トラックが27、その他10万ということになっております。じゃあ、こうやって市場が伸びてきているわけですけども、どんなモデルが売れているか ということを示したものがこちらです。

    これは01年から05年、そして06年の予測となってい ますが、まずこのブルーのところがですね、ブルーかな、緑のところがですね、CDセグメントと私どもが呼んでいるセグメントです。でこちらにですね、私ど ものシビックとか、これの上の方にアコードとかが入って参ります。プレミアムコンパクト、これが紫の色ですけれども、こちらに例えば私どものフィット、こ れがこちらに入ります。

    あとは、Bセグメントの1.0リッター以上と。つまり、ボディーは小さいボディーなんですけども、それにいろいろ、特にフレックスが多いわけですけども、1.0以上のエンジンを積んでいるというのがこのセグメントです。

    で、 白いところが1.0、リッターカーと。見ていただくと分かるようにですね、ブラジルにおいても、特にこのプレミアムコンパクト、それから1.0以上の Bseg、これが伸びてまいりまして、今まで主流だった、例えば01年度は72%だったリッタークラスがですね、51%にまで下がっておりますと。つま り、ブラジルにおいても車の上級化、これが進んでいるということが言えます。

    で、続きまして昨 今話題をふりまいているフレックスということで、ちょっとご説明しますと、フレックスというのはガソリンでもアルコールでもどんな混合比でも走ることがで きる車、ということです。で多くの場合がですね、アルコールというのは13度以上の外気温がないと燃焼しないわけですので、発進の時にはガソリンのサブタ ンクからですね、ガソリンを取って、それでインジェクションを点火し、それで温度が上がってからアルコール燃料に切り替えていくという仕組みをとっており ます。

    そういう車がですね、こちらの03年くらいからですね、徐々に出てまいりました。で、何と昨年の12月のレベルではですね、ブラジルの総新車販売台数のうちの73%がフレックス車となりました。それにひかえたガソリン車というのはこちらになっております。

    で、 ブラジル、古いかたはご存知のようにですね、このフレックス車という前に昔はアルコール車というのがブラジルにありました。しかしながらアルコールの値段 が上がった段階でですね、これがあまり売れなくなってしまった。まあ供給もできなかったということなんですけども、そういう過去がありました。 
    と いうことで今回はアルコール、ガソリンどちらでも選択できるということで伸びているわけなんですが。まああの、二つアルコールにはありまして、一つは環境 にいいと、もう一つは安いということなんですけども、ブラジルの方々が環境マインドが強いということはとても考えられませんので、その、安さゆえに買って いるということでございます。

    で、それを考えますとですね。今まではガソリンの価格に比べて アルコールの価格というのは結構競争力、まあ税率なんかも低くて競争力があったんですが、ご存知のように昨今アルコールが1.5以上またはそれ以上に伸び てくると、リッター当たりの価格がですね、そういう動きを示しております。ということでこれがもしもう少し高くなるようになると、この売れ行きというもの もちょっと影響してくるのかなということが考えられます。

    しかしながら、代替エネルギーとし ましてアルコール、エタノール、メタノール。これは非常に有効なもので、まあアメリカなんかでもずいぶんエタノールの採用というものを考えているわけです けども。まあブラジルにおいてこの、基調ですね、このトレンドが大きく変わるということはないと考えられます。
    で、次に輸出の状況ですけども、ま ずこれが先ほど折れ線グラフで示した輸出の伸びを示しております。05年は、繰り返しですけども、81万台輸出しております。最大輸出したメーカーがです ね、フォルクスワーゲンの26万台です。どんなところに輸出しているかというと、最大は、やっぱりFTAのあるメキシコ、それからアルゼンチン、ドイツ、 USA、ベネズエラ、まあこういう国に輸出しています。

    この輸出の今後の動きなんですけども、 まあメキシコとの間にはFTAがありますし、行って来いの関係がある程度成立してますので、メキシコ向けというのは継続できると思いますけども、先ほど貿 易の方からもありましたけども、現在の自動車協定、アルゼンチンとの間でどのように進むか分かりませんが、これ次第ではこの多くの、28%の輸出先です ね、これに大きな影響が出てくる可能性があります。

    で、こちらが輸出金額です。ということから して、先ほどの貿易黒字につきましても、もしそのアルゼンチンのここの影響がもろに出てきますと、大きな影響を貿易黒字、収支の方にでもですね、与えてし まうと。なぜならば自動車というのが、主要輸出品目の中の、言ってみれば最大になっているということでございます。今申し上げましたことをまとめますとこ ちらになります。

    で、2006年の予測としましては、ブラジル国内の販売は184万台、7.1%の増と。輸出については115億ドルと、それと生産台数については256万台というふうになっており、先ほど述べた内容がこちらにあります。

    続 きまして二輪の状況ですけども、二輪について生産台数はこのようになっております。まああの、05年については121万台ということで、大きな伸びを示し ております。で、国内の卸台数ですけど、販売ですが、これが102万台ということで初めて100万台を超えました。ま実際は105万か106万売っている んですけども、登録されない車が結構ありますので、その分がどっかに行っているということがあります。しかしながら初めて100万台を超えました。

    で、今年の予測ですけども、おそらく生産は133万台くらいになるだろうと。国内の販売につきましては116万台になるだろうと予測されてます。このペースで行きますと、おそらく二輪車の総市場が四輪をあと五年くらいで抜くんじゃないかという期待がされております。

    輸出状況ですが、これは詳細がないので私どもとヤマハさんの数字だけですけども、北米向けが一番と。それと中南米、これは先ほどのアルゼンチンも含めた仕向け地ですけども中南米。それと欧州、その他となっております。

    ま ああの、二輪車についてはまだアルゼンチンの間での具体的な議題にはなっておりませんけども、特に今の為替、これによって輸出競争力がどこまで保てるかと いうのが今後の輸出の課題になってまいります。で、いま申し上げたことをまとめますと、まあ2005年についてはこのようです。
    2006年については、まあ、116万台くらい国内で販売できるだろうと。で、生産台数は133万、輸出が17万3000台。ちょっと為替の影響を受けて下がってしまうだろうという見通しになっております。

    で、 最後に部品業界の状況ですけども、先ほどあの、貿易その他からですね、細かい部品の、、、、総論だけ申しますと、こちらにある黄色の図がですね、2005 年の一月から十一月までのSindipeca、これの総計、つまり前年と比較してどれだけ伸びているかということを示した図です。で、各月見てみますと、 どんどんどんどん前年比伸び率が下がってきていまして。これは一重に国内の市場は、需要は潤沢だったけれども輸出の競争力が落ちて、その分落ちてきたとい うことが言えます。

    でまあ、あの、いろいろ自動車関連部品メーカーの方々からのお話を聞くと、 今年についてはまああの、四輪二輪の完成車の伸び、これにほぼイコールの伸びを示すだろうと。言い換えると国内はOKと。輸出については競争力がなくて、 もしくはいろいろな協定の関係で落ちればその分影響を受けるだろうという見通しになっております。

    最後になりますけども、部会の個別テーマとして、このようなことを今年は進めていきたいと思っております。まずあの、一番ですけど、ブラジル基準・規制に対する適合性。

    これは他の部会の方にもありましたけども、名前を言うといろいろあるんでしょうけども、中国といいますかね、アジアの国からですね、いろいろと今ブラジル市場に新規参入が始まっております。で、その方々がですね、その、時としてこちらで決められている、 
    例 えば二輪車ですとエミッション規制。それとかマナウスで生産する際のPPB、いわゆる現況肯定基準。ここら辺を必ずしも満たしていないケースがあるという ことで、ここら辺をですね。自動車部会としましては、Camaraという名前で政府の方とタイアップして基準を遵守していただくような形で進めていきたい と考えております。

    でその他としましては、移転価格。これは委員会ということでCamaraと して進めておりますけども、それに協力して進めていきたいというのと、まあ、 INPI、この、ローヤルティですね。INPIの認可プロセスが非常に時間がかかるという問題がありますので、そこら辺を攻めていきたいと。

    それとまああとは、労働法、労働組合の話ということですが、まあ1、2と分けてますけども、主要なところはこれを今年については主なるテーマとして進めていきたいと考えております。以上です。

    (司会)どうもありがとうございました。何かご質問はありますか。
    (質問)二輪のフレックス車の可能性について。

    (岩村)えっと、ただいまご質問をいただいて、二輪業界にいろいろと興味を持っていただいてありがとうございます。二輪のフレックスの質問ですけども、二輪のお客様というのはどちらかというと、低価格な商品をお求めになる方が多いです。

    そういう中で、フレックス化というのは結構値段が高くなってしまう。今の技術で言いますと、二輪に二つタンクを持たなきゃいけない。そういう状況になりますとですね。ちょっとあの、コストアップがおそらく市場に受け入れられないだろうという見方をしております。

    で 二輪については、もしやるとしたら、アルコール100%、こういう二輪を市場に提供するのが先かなというふうに思っております。で、このアルコール 100%につきましてはですね、すでに、あの、これは私どもとしては推奨できないし、いろいろ技術的な問題もあるんですが、ある一部の地域では後付けキッ トということでアルコール対応をして二輪を改造してですね、その、先ほどおっしゃったモトボーイ、それからモトタクシーなんかで使っているケースがありま す。しかしながらこれは私どもの商品では、商品というか私どもの改造キットではないし、お勧めできないものですが、参考までにそういうことであります。

    (司 会)はい、どうもありがとうございます。他にご質問ありますでしょうか。じゃあすいません、私からちょっと一つ質問させていただきますけども、もうすぐで すね、二輪の台数が四輪の台数を抜くんではないかというお話でしたけれども。私ども素人からするとですね、こう、ブラジルの所得がだんだん上がってくる と、むしろ二輪から四輪にみんな移っていくんじゃないかという感じがするんですが、これはブラジルでは特異な現象なんでしょうか。それともやっぱり世界的 にそういう現象なんでしょうか。

    (岩村)まああの、ブラジル特有といいますか、まず、今のご質 問に対して、ブラジルの所得構造がですね、ご存知のようにその、富士山よりも裾野が広がったような所得構造になっていますと。でCセグメントDセグメント といわれる方、まあEセグメントの方になっちゃいますとちょっととても手が出ないんですけども、CDセグメントの方というのは、おそらくブラジルの中の 80%ぐらいの、まあ70から80%ぐらいの比率を占めるのではないかと。
    ちょっと記憶ははっきりしていませんけども。そういう方々が今あの四輪 車を新規に求めるのはほぼ不可能でして、せいぜいその、古い中古車、これを求められるというケースが多いですね。でそういう方、特に農村部といいますか都 市部じゃない方については二輪というのはあくまでもそのベーシックトランスポーテーションとしての、足としての評価を受けています。

    と いうことで、まあ今の経済状況が進んで、所得が上がって、月々60レアイス70レアイス二輪に金が出せるぞという人たちがですね。例えば60ヶ月のコンソ ルシオ、頼母子講で二輪を買ってくださるという人がどんどん増えてくると思います。で、そういう方が増えた暁にはおそらく今の四輪の市場を抜くだろうと。

    このような現象はですね。すでにタイ、インドネシア、ああいうアジアの国、インドもそうですけども。アジアの国、中国も含めましてね、ベトナム、あそこらへんで起きている内容で、おそらくブラジルにおいても同じような状況になりうると考えております。

    (司会)わかりました。どうもありがとうございます。他に何かご質問ありますか。あ、岡田さんどうぞ。

    (岡 田)あの、部外者で申し訳ないんですけど、あの、タクシーにのるとタクシーの運転手が早くホンダ、トヨタのフレックスモーターを出してもらったら俺たちは すぐ買うと、よく言ってるんですけども、今ブラジルの車、ガソリンは20%ぐらいアルコールが入っているというふうに、まあ15から25ぐらい入っている というふうに聞いてます。

    で、小泉首相が来てですね、アルコール、エタノールの3%入れてもい いねと、いう話で日本で今いろいろと問題になっていますけども、今シビックにしろカローラがですね、ブラジルで走っているところを見ますとですね、3%ぐ らいエタノールを日本で混ぜてもそのまま、何もしなくても走るように素人は思うんですけども、何か問題があるんでしょうか。

    (岩村)えーっと、ちょっと日本の話とブラジルの話があるんですけど、まずブラジルにおいては、今E22というガソリンです。で、これは25%までアルコールを混ぜることができるガソリンの法律です。

    で、フレックス、まあなかなか出てこないぞというのは、私どもかなりお客様からお叱りを受けてて、なるべく早く出そうという努力をしてますけども、まあ、何とか今年中くらいは狙っていこうと思っています。

    で、日本でその、3%、小泉首相のですね、3%をですね、これがまあ何故そう簡単にいかないのかということなんですが、インフラ関係の話は別としまして、やはりその、アルコールが若干でも混じっちゃいますとですね、特にアルミ系のところにですね、影響が出てまいります。

    で、 前あの、新聞等で読まれた方いるかもしれませんけども、ガイアックス。ガイアエナジーという日本の会社がですね、ガイアックスというガソリンスタンドで販 売したんですね。あ、ガイアックスという会社がガイアエナジーか、を販売されたんですね。でその中にアルコールが入っていたと。それで、その結果ですね、 やはり火事になってしまうようなケースもあったということで、やはりきちっとアルコールに対して、たとえ3%でも混じる時には対応をきちっとしないといけ ないということですが、もうすでに日本で売られている車については全て対応済みであります。

    (司会)どうもありがとうございました。それじゃ時間もまいりましたので、自動車部会からの発表は以上とさせていただきます。どうもありがとうございます。

    皆さん長らくお疲れ様でした。一応これで各部会からの発表を終わらせていただきますが、ここでですね、せっかくご来場いただいている西林総領事に、恒例によりまして講評をということで、まあ感想なり、述べていただければと思います。

     

     

  • 講評 西林万寿夫総領事


    西林万寿夫総領事

    えー、 皆さんこんにちは。時間ももう過ぎておりますので、手短に感想を述べたいと思います。本日は業種別部会長懇談会、まあ成功裏に終わったわけで、まずパラベ ンスと、おめでとうございますということであります。今年から会議所の会員だけでなく、外部の方も自由に参加していただくということで、今日も何名かそう いう方参加されているかと思うんですが、この、開かれた商工会議所という目標があると。

    先日、サンパウロ新聞やニッケイ新聞で珍しく多田さんとか金岡さんの写真を拝見いたしましたけども、開かれた商工会議所というのを合言葉にされているというのは非常に心強い限りで、今後も続けていただければと思います。

    えー、そして若干の感想ですが、言うまでもなく、というか、私ここの業種別懇談会に出るのは初めてなんですけども、非常に多岐にわたった分野で日本の企業の方々が活躍されていることを改めて認識いたしました。

    ま たその部会ごとでまた非常に多岐に分かれていると、一つの部会でサロンパスからパイロットの万年筆まで同じ部会でやっているというのは、これは非常にたい へんなことだというんで、プレゼンテーションをされた方はたいへんだったと思いますが、まああの、敬意を表したいと思います。

    そ してもう一つの印象ですけども、私どもは、まだ来て半年弱なんですが、この間非常にブラジルの経済、まあ好調、基本的に好調であると。それから日伯経済関 係もそれに基づいて上向きになっているということをいろいろ耳にしたり、またいろんなお客様が日本から来られたりして懇談する機会が多いわけですが、ま あ、これを改めて今日確認させていただいたという感じがしております。

    全く違う観点でございま すけども、サンパウロの日本人学校。この四月、たぶん二百人近くまで生徒数が復帰すると。二年前138人だったようですけれども、まあピークの80年ごろ は九百人の生徒がいたので、もう施設は充分にあるんで、これが二百人を超えてまた三百人、四百人と戻っていくことを期待したいと思うんですけど、こういっ た日本人学校の生徒数にもパラレルに表れているのかなと。

    というよりか、もしかして三人四人お子さんをお持ちの方がブラジルにたまたま赴任している人が多いのかもしれませんが。まああの、ある程度の、何か相関関係があるような感じがします。

    そ れからあと、今日はいろいろ議論があって、今年の見通しでワールドカップの年であり大統領選挙の年であるので、まあ一般的に好調というかプラスの、ポジ ティブな予想が出ている訳ですが。私、まあその大統領選はさておき、ワールドカップが本当にプラスになるのかちょっと良く分からない、要はみんなこの六月 から七月のはじめにかけて、まあブラジルが決勝まで進んだ場合ですけども、みんなテレビ見て全然仕事をしないと。でその一ヶ月間というのはいろんな、業界 によっては非常にその、工場が止まっちゃったり、建設関係が止まったり、スーパーマーケットに行くとガラガラで誰も買い物に来てないとか、こういうふうな 現象が一月間くらい起こる可能性があるんじゃないかなというのが、一つ、感想というか、どうでもいい話なのかも分からないけど、ちょっと不思議な。そこに ついてメンションというか言及されてなかったんで、ちょっと私なりの感想を述べさせていただきました。

    そ れから、あと一、二申し上げますと、どの業界でもほとんどもう中国の関係というのが、皆さん言及されてて、まだいたいそれが、先ほど多田さんが言われたけ ど、影になっているということが多いようなんですが。ここでその、横断的に、中国というものをどう見るのか、中国とブラジルの関係をどう見るのか、それが 日伯経済関係にどう影響を与えるのかということを、もう少しマクロな分析みたいなものをしてはどうかなと、将来的に。だから、中国勉強会、なんか麻雀やっ ているようですが、中国のことを勉強する、そういう横断的な組織みたいなもの、何かの分科会か、またはすでにある部会の中でちょっと研究されたら面白いん じゃないかなというような感じがしました。

    それからもう一つ、貿易部会で、まあ貿易収支の話が いろいろ出たんですが、貿易外収支の方の話というものがどこかポケットに落っこちちゃっているのかなと。要は貿易部会でも金融部会でも運輸サービス部会で もこの話はなかったわけですが、ま例えばデカセギの方が日本で稼いで、そして、二十何億ドルですか、年間三十億ドルくらい送金していて、そのために、まあ これはブラジルの方のサイドですけども、Banco do Brasilだとか去年はイタウ銀行が日本に進出している訳ですけども、そういった新しい現象も出てきていると。こういったその、貿易外収支という点につ いても今日はどなたも言及がなかったけども、何らかの形で将来カバーされて、まあ多分貿易部会あたりが、貿易外部会を作るわけにはいきませんが、貿易害も ちょっとのぞかれたらどうかなという印象を持ちました。以上、

    あまり喋り過ぎると、私の後で また大使館からわざわざお越しいただいた中川書記官が喋ることがなくなっちゃうんじゃないかと思うので、ここら辺でやめますけれども。商工会議所、今年も まあ活発な活動をされると、まあ新年会に続いて今日の業種別部会長懇談会、非常にあの、盛況のもとに終わりましたことを心よりお祝い申し上げて。

    そ して次回あの、二月二十日にフルラン開発商工大臣が来られて昼食会で講演されるということでありますが、私ども、あの、ブラジリアから堀村大使がこちらに お越しになられる予定でもございますので、楽しみにしておるところでございます。以上でございました。どうもありがとうございました。おめでとうございま す。

    (司会)どうもありがとうございました。それじゃああの、日本大使館の中川書記官の方から講評をお願いします。

     

  • 講評 中川浩治書記官


    中川浩治書記官

     

    大使館の経済班におります、中川と申します。本日は商工会議所の業種別部会長懇談会に参加させていただいてどうもありがとうございました。私が話したいことは、先ほど西林総領事の方から大体話しましたので、感想を申し上げたいと思います。

    今 回、各部会から2005年度の回顧および2006年の展望をだいたいおうかがいしました。まあ、各企業ともですね、高金利およびレアル高という厳しい状況 のもと、最大限努力されているという姿が非常に印象に残りました。大変参考になりました。今後、大使館の業務の上で役立てていきたいと考えております。

    あ と、大使館と商工会議所の関係なんですけども、大使館、みなさんご承知の通りブラジリアにあるということで、サンパウロと物理的な距離があるのは確かにぬ ぐえないと思うんですけども、まあ、大使館の館員が定期的にこちらに来て商工会議所の皆さんと意見交換するなどですね、今後とも意思疎通を図っていきたい と考えております。今日は非常にいい機会でした。どうもありがとうございました。

    (司会)ありがとうございました。では最後になりましたけども、商工会議所の企画戦略委員会の金岡委員長の方から閉会の辞ということでごあいさついたします。

     

  • 閉会の辞 金岡正洋企画委員長


    金岡正洋企画戦略委員長(右)

     

    それでは閉会の辞ということで、ちょっと一言だけ。企画戦略委員会というと何をするかたいそうなところだなというようなイメージを持たれると思うんですが、 まあ簡単に言うと、会頭を補佐してスムーズな会議所の運営を行うと、こういうことでございまして。ボサーっとしていると干されちゃうんじゃないかという、 これは通訳の人なかなか通訳できないと思いますけど。

    えー、ということもありまして、今年の会 議所の重点課題ということで三つほど取り決めたわけですけど。まあ一つは会議所の活動強化ということでございまして、まあ先ほどから繰り返されている、開 かれた会議所ということで。活動を強化するということですけど、そのためには財政基盤も強化しないといけないので、これははっきりいって会員の数を増やす か、会費を上げるか、あるいはいろんな活動をある程度自前でやれるというか、多少お金のコストのかかった分は有料化して。まあそういうふうな方法が考えら れる訳なんでですね。

    まあ皆さんのニーズに合わせて、どういうふうにしたら一番いいかというのを会議所の中で今、方向性をいろいろ議論しているところと、こういうことでございます。

    そ れから二番目は、日伯経済関係の強化ということでございまして。まあ皆さん言われているように、昨年ルーラさんが日本に訪問されたと。その前に小泉さんが ブラジルに来られたということで、両首脳の交流というのも始まっていますし、経済活動がやはりますます強化されつつあるということで、まあ会議所としても その辺を、こちらに進出されている企業の皆さん、あるいはこっちで活動されている日系の企業の皆さん、どういうところが日伯の関係で改善していったらいい のかと。

    まあ特に、ビジネス上の障害と言うんですかね、この辺をいろいろと改善していくと。そ のためには日伯の政府に対していろいろな提言を行っていくというような方法。あるいはこちらにある外交ルートですね。大使館あるいは総領事館ですね。その 辺をですね。意見をどういうふうにブラジル政府に訴えていくか。

    あるいは、会議所としてはです ね、先進国の会議所の集まり、GIEというのがあるんですが、その辺でですね。おそらく先進国、他のアメリカあるいは欧州各国の会議所も出ておられるとこ ろで、いろいろやっぱりビジネスをやっていく上で問題があると。こういうのは、もう日本だけじゃなくて一緒に連携して訴えていきましょう。まあこういうよ うな形でですね、やはり改善に努めていきたいと。また将来的には日伯EPAの締結というようなことでですね、両政府に働きかけていきたいということを考え ております。

    で、三番目は日系社会への対応ということでございまして、2008年はご存知のよ うに移民百周年と、こういうことでございますし、日本政府の方も、先日の坂場中南米局長のお話ですと、日伯経済交流年と。これはまあ、必ずしも過去の皆さ んのご苦労、あるいは今までにいたることを振り返るだけじゃなくて、未来志向で、これから日伯の間で何をしていこうかと、こういうことで政府としても民間 を入れてですね、準備をはじめたところだと。

    こういうことなので、まあ会議所でもですね、そ の、移民百周年の対応の特別委員会を作って、遠山さんなんか中心にして、どういうふうに対応していくかというのを話し合っているところと。まあこういう三 つのですね、重点課題を挙げておりますので、皆さんにもご理解いただければありがたいと思います。

    で、 最後に一言、まあ今日いろいろ議論になったことで、やはり2006年はやはり、大統領選挙の年であると。それからまあ、ワールドカップの年であるというこ とで、特に選挙の年というのはいろんなその、経済面で動きが出てくるということで注目されるんですが。まあたまたま私、昨日経済セミナーに出ておったんで すが、そこにあの、パロッシ大蔵大臣が来てまして。

    その経済セミナーのテーマがですね、持続的 成長、経済成長は可能かどうかということでございまして。パロッシさんが出てて、あとイブライム・エリスという、これは中銀の総裁ですけど、カルドーゾの 前の総裁でしたが、まあどっちかというと前政権寄りの方だったんですが、まあ議論の対象はですね、確かにブラジルは経済成長しているし、来年もおそらく成 長が見込めるのは間違いないだろうと。

    ただその、本当に大統領、ルーラが言っている、あるいは パロッシが言っているような、2004年並みの4.9とか5とか、こういった経済成長ができるのかというのが一つの議論の対象だったんですが、まあイブラ イム・エリスさんによりますと、まあ選挙の年でもありますし、世界あるいはブラジルの全体の景気もまだいいんでですね、成長はするだろうと。だけど3.3 からまあ3.5ぐらいがいいところじゃないかなと。

    まあ先ほど福田さんの方で3%の上の方だと いう話が出たんですが、まあその辺だろうと。でまあ、イブライム・エリス曰くですね、何でそういう数字になるかというと、いろんな要素があるんですが、や はりブラジルの経済で問題なのは一つはやはり収税率ですね。これが37%と非常に高いと。
    それからそれ以外の政府の歳入というのもあってですね、GDP、国内総生産に占める国のアカウントというのが45%ぐらい占めているということですね。それに対して公共投資が2%らしいんですね。これじゃやはり、なかなか成長しないよと。

    そ れからもう一つは、実質金利ですね、これが今11から12ぐらい、まあSELICの金利からIPCAを引いたやつですけど、これが11から12。このイブ ライム・エリスさんというのはトルコから移って来られた方なんですが、それで中銀の総裁をするというのもなかなかたいしたものですが、彼の出身のトルコと いうのが世界で二番目に金利の高いところだと。そこでももう6%切ってますよという話で、この金利が続く以上はやっぱり、その、持続的経済成長といっても なかなかですね、大きいものを期待できないんじゃないかと。

    まあ、中国とか東南アジア、この辺 は8から10いってるわけですね、でブラジルで今大統領が言っているのが、まあ5%ぐらいと言っているんですが、今のイブライム・エリスさんは3.3から 3.5がいいんじゃないかなと、そこのところでいろいろ議論があったんですが、両方その辺の見方があるなと。
    それからもう一人出てた、ジスナー・ オリベイラという、この人は今ジェトゥーリオ・バルガスの先生をやっているんですけど、かつてCADE、公正取引委員会の委員長をやった人なんですが、そ の人が言っていたのは、今のイブライム・エリスの問題に加えてブラジルにおけるビジネスをやっていく上での問題点。いわゆるブラジルコストということで、 タックスと労働と、それから治安と、それからインフラの未整備と、こう挙げてますけど、彼は別の言い方で、最近ブラジルのエコノミストが言っているのは、 ビューロクラシー、それからインポスト、タックスですね。

    それからインフォルマリダージと、こ れは、整備されていない、法制が整備されてない、いろんな会社の設立とか何か訳のわからないところがある、インフォルマリダージと。それから最後がコルプ ソン、賄賂ですね。贈賄。ということで、ブラジルはBricsのBで先頭なんですが、今のBIICでビイックになるんじゃないかなと、こういうような、エ コノミストの間でもそういう点を挙げているところもあるということで、まあ今日の皆さんの業界の展望でも間違いなく経済成長は期待できると思うんですが、 それがどの程度のものになるかなというのは、今言ったようないろんなファクターがね、まだ残っていると、こういうことだったんで、ちょっと参考までにご紹 介いたしました。まあ本日は長い間どうもありがとうございました。

    (多田)まあ、(5時)43分ということで、ほぼ時間どおりに終えることができました。どうも皆様ご苦労様でした。プレゼンテーションやられた方々にもう一度拍手をお願いします。

     

 

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