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今年2回目の業種別部会長懇談会に、約90人が参加
総務委員会(浅賀健一委員長)及び企画戦略委員会(多 田稔委員長)共催の業種別部会長懇談会が、3日午後2時からソフィテル・ホテルに約90人が参加、11部会代表が共通テーマの2005年上半期の回顧と下 半期の展望、移転価格税制問題などの個別テーマについて発表、参加者は業界のプロ中のプロの話に相槌を打ったり、メモを取ったりして熱心に聞入っていた。
浅賀総務委員長が軽快なテンポで進行役を務め、初めに田中信会頭が開会挨拶を行い、続いてコンサルタント部会は遠山景孝副部会長、金融部会は村田俊典部会長、貿易部会は桜井悌司副部会長、化学品部会は板垣義実部会長、機械金属部会は西岡勝樹副部会長がそれぞれ発表した。
15分のコーヒーブレイクの後、繊維部会は今井達男部会長、食品部会は疋田和三部会長、電気電子部会は板谷稔部会長、建設不動産部会は阿部勇部会長、運輸サービス部会は平野候一部会長、締め括りの自動車部会は内山徹雄副部会長がそれぞれ発表した。
また丸山次郎サンパウロ総領事館首席領事から懇談会の講評、ブラジリア日本大使館の田雑隆昌書記官(経済班)からは大使館情報、日系企業支援、地方セミ ナーの一環として9月13日開催のミナス・ジェライス/日本経済フォーラム案内などが行われた。最後に浅賀委員長から閉会の辞が述べられ、4時間にわたっ た懇談会は成功裏に終了した。
終了後、同会場のピアノバーで懇親カクテルがあり約半数の45名が参加、懇談会の反省や各業種相互間の意見交換で賑わった。
また各部会から提出された部会長懇談会用記事を添付ファイルで送付致しますのでご覧下さい。(コンサルタント部会の記事は入手後掲載致します)なお主催者 の決定事項として今回試験的に懇談会模様の録音テープおこしを止め、各位からのレポートのみHPに掲載することになりました。ご了解いただくと共に、これ から本懇談会をより一層充実させて行く為、各位からのコメントや提言をお待ちしております。
商工会議所業種別部会長懇談会(05年8月2日)
ブラジル日本商工会議所会頭 田中 信
本日は当会議所のメインイベントである業種別部会長懇談会にご多忙中にもかかわらず多数ご出席頂きまことに有難うございました。特にブラジリアの大使館からわざわざご来聖いただいた田雑書記官及び丸橋主席領事以下サンパウロ総領事館の皆様には厚くお礼申し上げます。
この懇談会は一年2回、年初と年央にブラジル経済の回顧と展望を実施することになっており、今回は本年上期を回顧し、下期の展望を行うものです。 新しい方も大分増えられたので、簡単にこの懇談会の歴史をご紹介しご参考に供したいと思います。
現在の皆さんには想像されるのが難しいと思いますが、1970年代初め「ブラジル経済の奇跡」といわれた時代、欧米企業に伍して日本企業も怒涛のようにブ ラジルに進出しました。正に殺到するという表現がふさわしい状況でした。当会議所もそれに対応して組織改革を行い業種別に10部会が創られ、会員はいずれ かの部会に所属することになりました。一昨年機械部会から自動車部会が独立し、現在11部会になっていることは皆さんご承知の通りです。
私事にわたり恐縮ですが、其の時ここに居られる山田監事会議長と私がコンサルタント部会創立に参画、私が初代コンサルタント部会長に選任されました。部会長懇談 会はそれから間も無く開始されたので、30年余の歴史を有する由緒ある行事ですが、当初はコンサルタント部会の行事としてコンサルタント部会長が司会役で した。その後会議所の組織に総務委員会が新設され、同委員長が司会する会議所の全体行事となりました。 近年「開かれた会議所」の方針に則り、一般ブラジル社会にも開放し、会員以外でも自由に参加できるようになっています。日本語からポルトガル語の同時通訳も用意しております。
この会議では各業種別部会の代表者から生の声で夫々の業界の直近の動向が発表されます。この発表のため各部会は部会長さんを中心に業界動向を分析し、その 結果を検討整理されますので、各社の経営戦略の決定に極めて役立つものと思います。更にこのプロセスを通じてメンバー各員の親睦にも役立つものとおもいま す。更に外部の企業、学校、研究所など外部機関にとっても現状把握に役立つと思います。
本年 の世界経済は昨年に比べ、中国など新興諸国の高成長の抑制、米国、日本など先進国の減速が見込まれますので、ブラジル経済も、昨年のように5%を超える経 済成長は望めませんが3%台は確保出来るペースで上半期を経過しました。特にドル・レートが下降を続け2.3~2.4台まで低下したにもかかわらず、輸出 増加も順調で貿易黒字も7月までで既に歴史的新記録であった昨年の実績を上回っております。インフレ率も昨年より低下、財政プライマリ収支も昨年より更に 改善しております。
このようにマクロ経済は満足すべきパフォーマンスを示しておりますが、政治面では深刻な事態に立ち至っております。PTは単 独では国会の運営が不可能で、複数党との連携が不可欠ですがそのための資金集めや支払い方法をめぐっての疑惑が深まり、国会に真相究明のCPI(究明委員 会)が作られ、最大の実力者ジルセル官房長官が退任、政府党PTもジェノイーノ党首始め事務局長、会計責任者など主たる首脳が殆ど退任という壊滅状態に 陥っております。幸いにしてルーラ大統領は今のところ無関係で、支持率もそれほど大きな落ち込みはありませんが、最近ブラジル向け投資に対する海外投資家 の手控えも一部には伝えられています。今後の進展には予断を許さない情勢ですが、速やかな真相解明と経済への影響回避をはかることが必要です。
本年当会議所は、3つの重点施策を掲げました。その第一は会議所活動の基盤強化のため会員増加を図ることです。皆さんのご協力のおかげで、1980年代以 降20年以上も続いた会員減少傾向も底をつき増減ベースでみると一昨年は5社、昨年は11社と増加に転じました。本年は7月まで21社新規会員が増加しま したが、退会もあり純増は3社となっております。後半会員増加に一層のご協力をお願いします。
会員数増減の内訳をみますと、一昨年は日本進出企 業8社減、現地企業13社増。昨年は日本進出企業1社減、現地企業12社増。本年は7月までで日本進出企業4社減、現地企業7社増となっております。日本 進出企業は最近自動車部品業界などを中心に新規進出も見られますが、依然として整理撤退のほうが多く、差し引きでは純減となっております。かつては会員数 の70%以上が日本進出企業の時代もありましたが、本年7月現在では企業会員総数289社のうち日本進出企業は144社と半分以下になっています。
会員増加はマーケッティング広報委員会に担当してもらい、見込み先をピックアップして各業種別に推進してもらっております。特に未加入150社にのぼる日系進出企業を重点目標に定めております。
第二は日伯経済関係の強化です。昨年9月の小泉総理来伯に続き、5月にはルーラ大統領訪日が実現しました。ルーラ大統領訪日を機に第11回日伯経済合同委員会が開催され投資環境の調査、投資機会の把握等の目的で日本経団連ミッションの派遣が合意されました。
投資増加、貿易促進など日伯経済関係再活性化のための有力且つ効果的手段は両国間EPA(経済連携協定)の締結であります。これは単に両国経済関係の活性 化ばかりでなく、これに適応するための努力のプロセスを通じ、両国の体質改善、競争力向上に役立つものであります。昨年日本経団連及びCNI(ブラジル工 業連盟)は検討の成果に基づいて両国政府に対しEPA締結交渉の早期開始を訴えた提言書を提出しましたが、残念ながら政府の順位では2世代半後と後順位に 廻されています。今回の合同委員会でも経団連―CNIという民間分野での接触と研究の継続の合意に留まっております。担当の日伯経済交流促進委員会では、 このたび各部会よりメンバーを選出して「日伯EPA共同研究分科会」を新設し担当してもらうことにしました。 ブラジル財界の中核的存在はFIESP(サンパウロ工業連盟)でありますが、昨年末新しい会長が選出され首脳陣が交代しましたので、CNIとFIESPとの微妙な関係も配慮しつつ新執行部との接触緊密化を進めております。
政府への要望や提言は内容によっては米国、ドイツなど有力他国の在ブラジル商工会議所と共同戦線を組むのが効果的ですが、この担当はGIE(外国投資家グ ループ)委員会で、昨年はマナウス自由地区におけるPIS、Cofinsの減免に成功しました。今年は入国、通関手続き改善をGIEベースで、ブラジル政 府と交渉中です。
最近移転価格税制の問題がクローズアップされ、業界によってはブラジル現地法人の死活問題になっているところも出てきました。 当会議所は7月臨時理事会の承認を得て「移転価格税制検討委員会」を新設しました。今後の活動につれてGIEベースとの連携活動が必要になる可能性が高い と考えます。
本年重点施策の第三は3年後に控えた日系移民百周年への対応であります。当会議所の基本姿勢は日系社会の総意に基づく百周年にふさ わしい行事には応分の協力をすることを決定しております。当会議所は百年周年協会の理事会に副理事長として協力しております。担当は日系社会委員会ですが 先般各部会からメンバーを選んでいただき百周年分科会を新設し、広く会員の声を聞きながら協力の方法なども含め具体的提案を行うことになっています。
以上の通り、最近の会議所を取り巻く情勢は多岐にわたり、しかも激しく変化しております。我々は迅速且つ的確に対応してゆくことが必要だと思います。
最後にこの懇談会の担当である総務委員会、企画戦略委員会及び事務局の皆さんのご尽力に対し感謝の意を表し私の挨拶を終わります。ご静聴有難うございました。
2005 年7月
「2005年度上期の回顧と2005年度下期の展望」(案)― 金融部会(除く、保険業界) ―
1.2005年度上期の回顧
2005年度上期は、コロール大統領の弾劾以来の深刻な政治スキャンダルが発覚したものの、引き続き好調に推移するマクロ経済を背景に、カントリーリスクの上昇やドルの反転には至らなかった。
代 表的なカントリーリスク指標であるEMBI+は、昨年末の379bpから、年初に米金利引上げ加速の観測、下院議長選における労働党(PT)の敗北等によ り上昇し始め、世界経済の減速見通し、新興国への懸念、株式/債券市場の暴落、米自動車メーカーの業績不振等もあり、4月中旬(15日)には400bp台 後半(487bp)まで上昇した。然しながら、好調に推移するマクロ経済にも支えられ、5月下旬以降、市場の最大関心事ともなっている政治スキャンダルに よる影響を受けず、EMBI+は414bpまで改善して期末を迎えることとなった。
政治面で は、上院/下院ともに労働党が議長席を確保できず、ルーラ政権の国会運営能力の低下が徐々に影を落とし始めている。一方、市場を賑わせている政治スキャン ダルが、大統領/政権の支持率低下に繋がるとも思われたが、直近の世論調査 (CNT/Sensus)では、ルーラ大統領の支持率は59.9%(前回5月比1.5%上昇)、政権支持率は40.3%(同0.5%上昇)と高水準を維持 している。
経済全般は、昨年9月以降の金利引上げの影響もあり、鈍化の兆候が現れている。第1 四半期の国内総生産は、景気回復局面に入る前の昨年第1四半期比でこそ2.9%の成長となったものの、設備投資、世帯消費の減少を主因として予想以下の成 長にとどまり、昨年の第4四半期比では0.3%に止まっている。但し、その後は二重燃料車が好調な自動車業界や、家具・家電業界に牽引された小売販売等業 界で、景気回復のニュースが相次いでおり、第2四半期以降の挽回が期待されている。
レアル高に伴う影響が懸念された輸出も好調が持続している。6月には単月で輸出が100億ドルを史上初めて突破(102.7億ドル)し、6月までの貿易黒字は200億ドルに届く勢い(196.71億ドル)である。為替相場は、上記のとおり好調な貿易収支や、企業/連邦政府の外貨調達等を背景に、年始の1ドル2.6レアル台から、2.3レアル台までレアル高が進んで上期を終えている。
なお、特筆すべき事項として、こうした好調なマクロ経済を背景として、ブラジルはIMF支援からの卒業を決定し、本年3月の期日継続を見送った。
原油高、国内景気の回復に伴い懸念されていたインフレの再燃も、金利の引き上げやレアル高等によって沈静化しており、6月には消費者物価指数(IPCA)がマイナス(▲0.02%)を記録した。2004年9月以降、累計で3.75%引き上げられてきたSELIC金利は、インフレ再燃の懸念後退に伴い6月には10ヶ月ぶりに据え置かれ、19.75%で上期を終えることとなった。
銀行業界では、手数料徴収と給与/年金天引型ローンが収益を牽引した。第1四半期に前年同期比49.5%増加となる83億レアルの当期利益を記録し、5月にも銀行貸付残高が5,183億レアルと前年同期比18.4%増加していることが確認されている。
2.2005年度下期の展望2005年度下期の最大の注目点は、やはり政治スキャンダルの行方であろう。スキャンダルのルーラ大統領自身への波及、ルーラ大統領/政権に対する支持率の推移には、注視して参りたい。
ま た、これら政治要因が市場動揺に波及する歯止めともなっているマクロ経済の動向にも注目して参りたい。マクロ経済の中でも、進行するレアル高に関わらず、 どこまで輸出が伸ばせるのか、原油高などに伴うインフレ上昇の懸念を押さえ込みつつ、好調な景気を維持/促進できるのかが、鍵を握っているといえよう。
(各種指標の見通しは以下のとおり)経済成長率は、鈍化の傾向が現れているものの、引き続き好調な自動車部門、後述する好調な輸出、家具家電が牽引する小売販売等に下支えされ、年初予想の3.5%までは届かないまでも、市場では3.0%程度の成長を見込んでいる。
貿易収支は、レアル高の影響、アルゼンチンとの貿易摩擦、急増する中国からの輸入等の懸念材料はあるものの、過去最高の貿易黒字となった昨年の337億ドルを超える359億ドル程度の黒字が見込まれている。
直接投資は、5月までの累計で72億ドルと昨年通年の182億ドルに迫るペースではあるものの、下期は若干の減速が予想され、市場関係者は150億ドル程度と見込んでいる。
レ アルの対ドル為替相場動向は、政治スキャンダル、中銀の介入再開、国内金利の引き下げ状況に伴う投資家動向、国内景気/貿易収支の状況、米国経済等によっ て左右されるであろうが、市場関係者は年末2.60レアル程度を見込んでいる。なお、中国元のバスケット制移行に関しては、今のところレアル相場への直接 的な影響は限定的と考えられるものの、中国の輸入拡大あるいは中国経済の減速等に波及した場合の間接的な影響はありうることから、注視が必要と考えられ る。
SELIC金利は、インフレに注視しつつも、今後緩やかな引き下げが見込まれ、年末時点で18%程度となる見通しである。これに伴い、世界的に見ても非常に高いブラジルの実質金利が、若干下がるものと見込まれるが、その下げ幅は限定的と考えられる。
銀 行業界では、好調な個人向け貸出の勢いが、どこまで続くかが注目される。給与/年金天引型ローンの金利低下が個人向け貸出全体の頭打ち現象の始まりであれ ば、競争の更なる激化、貸出スプレッドの更なる低下が想定され、貸出収益の減少を手数料収入で如何にカバーするかに注目致したい。
なお、銀行業界ではリテール顧客へのサービス向上の一環として、自動預金引出機の共同使用の拡大を予定している(Banco do Brasil、Caixa economica Federal、Bradescoの提携。他行の追随も予想される)。
各銀行の為替・経済基本金利( Selic) 予想
2005 年 12 月末の為替
同 Selic
R$2.60
18.00%
R$2.50
17.25%
R$2.00
22.00%
17.75%
2005年度上期の回顧と下期の展望保険業界
保 険監督当局の統計によれば、2005年上半期の保険業界は保険料伸び率が対前年比約109%と 2004年末の対前年比伸び率122%に対して大幅な減速となった。これは、種目ミックスの42%を占める生保の伸び率が対前年比2.6%と、自動車(種 目ミックス37%伸び率20,7%)、プロパティー(種目ミックス11%、伸び率15.2%)に対し非常に低くなっているためである。マーケット 集約度としては、全種目ベース保険料で上位5社が占める割合が56%、上位10社の場合75%程度である。種目別では、自動車保険の集約度が上位10社 ベースでは74%と全種目ベースと同様の数字となっているのに対し、上位5社ベースでは60%とより上位社への集約度が高くなっている。
一 方、保険事業における損益を計るための指標であるコンバインドレシオ(保険料に対する損害支払額=損害率、経費=経費率、ブローカーコミッション=コミッ ション率の合計。同指標が100%以下となった場合に保険本業で収益を出しているという意味である。)は2004年末の106%から101%程度まで改善 している。すなわち、業界全体としては、保険本業での収益改善を目指している状況にあるといえる。これは昨今の金利低下予想を受けたものでもあり、今後も 継続するものと考えられる。
なお、コンバインドレシオにおける主な改善のポイントは経費率の改善であり、損害率では1ポイント、コミッション率では0.6ポイントと大きな改善は見られない。損害率について、種目別で見ると、自動車保険で3ポイント、生保で1ポイントの改善となっている。なお、その他種目について改善は見られない。
なお、自動車の損害率に影響を与える盗難・強盗の発生件数はサンパウロメトロポリタン地区では、2004年第3四半期以降減少の傾向にある。内訳としては盗難が57%、強盗が43%となっており、傾向に変化は見受けられない。
その他、業界内の動向としては、再保険自由化関連での進展があげられる。しかしながら、法案変更は難航しており、来年の選挙をかんがみた場合、依然先行きは不透明といえる。また、コンプライアンスおよびリスク管理に関する監督当局通達の期限が2005年12月と迫ってきていることから、各社とも同態勢の整備に追われている状況にある。
ブラジル貿易概況-2005年上半期実績と通年の見通し
2005年8月3日
貿易部会
開発商工省の資料をベースとして以下の資料を準備した:① ブラジルの貿易(2000年~2005年上半期)② ブラジルと日本の貿易(2000年~2005年上半期)③ ブラジルと中国の貿易(2000年~2005年上半期)④ ブラジルの対日輸出急増品目(2005年上半期)⑤ ブラジルの対日輸出急増品目(2005年上半期)⑥ 表1-ブラジルの主要商品別輸出入(一部1~5月の統計)⑦ 表2-ブラジルの主要国・地域別輸出入⑧ 表3-ブラジルの対日主要品目別貿易
1. 貿易収支全般
開 発商工省のデータによれば、2005年1~6月における貿易収支黒字額は197億ドルと、昨年後半以降のレアル高にも拘らず、引き続き好調である。黒字増 加の要因は輸出増加によるもので、輸出額は前年同期比23.9%増の537億ドルと史上最高を記録した。輸入額は同20.2%増の340億ドルと、依然と して輸出額の伸びが輸入を上回っている。輸出増加の要因は旺盛な外需、特に工業製品輸出の増加が特徴。一方の輸入は資本財の増加が顕著であった。
特に注目を引くのはブラジルの対中国貿易。資料③をご参照願いたいが、輸出が前年比△7%弱であるのに比して、輸入が前年比52%増となっており、ブラジル産業界が対中国輸入に警戒感を増幅しているのが良く判る。
また対日輸出、対日輸入の伸び率が共にブラジル全体の輸出入伸び率を大きく上回ったのは、グッドニューズである。
2. 輸出について
2005 年1~6月における輸出を製品カテゴリー別にみると、金額ベースで一次産品が8%増の148億ドル、半製品が31%増の78億ドル、工業製品が30%増の 300億ドルと、全てのカテゴリーで増加している。特に輸出額の56%を占める工業製品では数量ベースで7.0%増であることから、輸出価格の上昇が顕 著。特に自動車関連品目、鉄鋼関連品目などが貢献した。
一次産品の輸出額は過去の推移から見ると比較的低い伸びにとどまった。個別品目をみ ると、今まで好調であった大豆輸出額が前年同期比20%減(24億1900万ドル)となっている。数量ベースでは1.5%増(1060万トン)であること から価格低下が影響した。仕向け先として最大の中国向け輸出額も32%減少(7億4,300万ドル)している。この背景としては、昨年は前年のア メリカの天候異変によりシカゴ相場が高騰し、需要がブラジルに集中した為、量・価格共に大幅に伸びたもので、本年は通常の状態に戻ったとの見方が一般的で ある。但し、会員企業の中には、昨年度の倍以上の50万トン以上を本年度に入って成約した商社もある。一方、大豆に代わり一次産品で最大の輸出品目となっ た鉄鉱石は、金額で48%増(31億ドル)、数量で10.8%増(1億516万トン)であった。鉱産資源大手リオドセ社は、今年度鉄鉱石の輸出価格の71.5%値上げを実施することから、年後半にかけてさらなる輸出額増加が見込まれる。またコーヒー豆も輸出額が70%増(13億ドル)、数量で10.5%増(62万6378トン)と、金額の上昇が顕著であった。
半製品では、最大の輸出品目は鉄鋼半製品で、46%増(13億ドル)を記録している。その他の品目は上位から順に粗糖11億ドル(106%増)、パルプ9.6億ドル(16%増)と続く。
工 業製品では上位から順に乗用車が40%増(20億ドル)、送受信機・同部品が124%増(13億ドル)、航空機が24%減(12億ドル)と続く。乗用車で は、1000ccから1500ccの自動車の輸出が3.1倍の4.4億ドル、1500ccから3000ccの自動車が31%増の13.6億ドルを記録し た。上位のメキシコ、アルゼンチン向け輸出額が共に30%以上の増加を示した他、ドイツ向けの輸出額が、急増した。これはフォルクスワーゲン社の世界戦略 車フォックスの、欧州向け輸出が開始されたためと見られる。送受信機・同部品については、2004年に国内市場が急拡大した結果、ノキア、モトローラなど の多国籍企業が輸出向けを国内向けに振り替えていたが、2005年上半期には輸出に転じ、米国、アルゼンチン、ベネズエラ向け急増したものである。
輸 出相手国別にみると、輸出額の大きい順に米国、アルゼンチン、中国、オランダ、ドイツ、メキシコ、イタリア、日本となっている。米国向けが24%増、アル ゼンチン向けが39%増となった一方、中国向けが7%減少している。米国、アルゼンチン向けは工業製品の輸出増加が顕著である一方、中国向けは一次産品の 大豆関連で減少しただけでなく、パルプ、鉄鋼半製品など半製品でも減少した。
3.輸入について
2005年上半期における輸入 額は前年同期比20%増の340億ドルであった。2005年第1四半期におけるGDP成長率は前年同期比で2.9%増、前期比で0.3%増と、経済成長の 減速傾向が明らかとなっており、輸入はそれほど顕著な増加とならなかった。商品カテゴリー別に見ると、輸入額の5割強を占める原材料・中間財が19.4% 増の1145億6,500万ドル)、約2割を占める資本財が26%増の57億800万ドル、16%を占める燃料・潤滑油が29.6%増(44億7,900 万ドル)、消費財が19%増の30億7,800万ドルであった。増加率の高い資本財では、産業機械や事務用機器で増加しており、企業による投資増加傾向が うかがえる。また、燃料・潤滑油では、原油輸入量が30%、輸入額が10.8%減少していることから、原油価格の高騰が影響を与えていることが理解でき る。
輸入相手国別にみると、米国、アルゼンチン、ドイツ、中国、日本の順になっている。主要相手国の多くで輸入が増加している。なかでも輸 入増加が顕著なのは、第4位の中国である。ブラジルの輸入の伸びが20%であるにもかかわらず、中国からの輸入は、52%を上回っている。その結果、 2001年以降、黒字が続いていた対中国貿易収支が、今年は、赤字になることが予想される。中国からは送受信機部品や液晶ディスプレイ(LCD)、集積回 路など電気電子部材が大きく増加している。中国からの工業製品の輸入増加に対して産業界は懸念を抱いており、サンパウロ州工業連盟(Fiesp)などでは セーフガードなど輸入制限措置の発動を政府に求めている。
4. 対日貿易について
2005年上半期における対日貿易は、輸 出が前年同期比34%増の16億ドル、輸入が同27%増の16億ドルとなり、久々に輸出入ともに全体平均より高い伸び率を記録した。ブラジルの貿易額に占 める日本のシェアは、輸出で3%、輸入で5%とそれぞれ増加したものの、国別順位は輸出で8位(今年はイタリアを抜き7位にランクされる可能性が大)、輸 入で5位となっている。
対日輸出で上位品目は鉄鉱石、鶏肉、アルミニウム、コーヒー豆、パルプと続く。なかでもコーヒー豆の輸出増加が顕著 で、金額で前年比120%増の1.3億ドル、数量で同35%増の6万1,711トンとなった。また、アジアにおける鳥インフルエンザの影響で増加している 鶏肉の輸出は、ブラジルでのニューカッスル病の騒ぎはあったものの、伝染率が限定的であったこともあり、金額で30%増の3億ドル、数量で32.8%増の 15万3,820トンと、依然として全体より高い増加率を記録している。会員企業の中には、鶏肉の対日輸出について本年度は20千トン見込み(一昨年 1.2千トン/昨年13千トン)の企業もあり、ブラジルが鶏肉の供給基地となっていることが覗える。また、エタノールの対日輸出は前年同期比93%増の 42百万ドルと、前年に引き続き増加傾向が続いた。一方の輸入では自動車部品、ベアリング・歯車及び同部品、自動車用エンジン・同部品と主要な品目で増加 している。なお、乗用車は49%増の61百万ドル、コークスが83%増の60百万ドル(数量で53.4%増の25万3,025トン)と、それぞれ顕著な増 加を記録した。
5. 2005年貿易の見通し
中央銀行では6月時点で2005年の輸出額は前年比12%増の1、080億ド ル、輸入額は同24%増の780億ドル、貿易収支額を同11%減の300億ドルと予想している。また、貿易に関する民間研究機関のFUNCEXの予想(6 月時点)では、輸出額を1,130億ドル、輸入額を760億ドル、収支を370億ドルと、前年を上回る貿易収支額を記録するとしている。これは工業製品、 また一部のコモディティ商品(鉄鉱石、コーヒーなど)の良好な価格推移が見られる一方、国内の経済成長率が予想を下回る3%台前半に落ち着き、それが原材 料・中間財など輸入の伸びを抑制するとの見方が背景にある。
なお、2005年上半期に見られたレアル高の影響であるが、現在までの貿易統計 を見る限りその影響は限定的だ。会員企業の意見に拠れば、自動車産業などブラジルを生産拠点として戦略的に位置づけている企業の場合、部品・測定装置など の輸入による為替メリットがレアル高を凌駕していることもあり、レアル高の影響は少ないという意見もある。然しながら、輸出産業を中心とするブラジル産業 界は、中国の人民元の切り上げ、資源・エネルギー分野での中国の買い控え、レアル高などを懸念材料として危機感を強めており、特に今年度下半期への影響が 注視される。
①ブラジルの貿易(2000年~05上半期) 単位:100万ドル
出所 : 開発商工省
②ブラジルと日本の貿易(2000年~05上半期) 単位:100万ドル
③ブラジルと中国の貿易(2000年~05年上半期) 100万ドル
開発商工省
④ブラジルの対日輸出急増品目 (2005年上半期、200万ドル以上) 単位: 1000ドル
⑤ブラジルの対日輸入急増品 (2005年上半期、500万ドル以上)単位:500万ドル以上
⑥表1 ブラジルの主要商品別輸出入(単位: 100 万ドル,%)
出所 : 開発商工省貿易局
⑥表1 ブラジルの主要商品別輸出入 (単位: 100 万ドル,%)
⑧表3 ブラジルの対日主要品目別貿易 (単位: 100 万ドル , %)
出所:開発商工省貿易局
2005年上期異業種部会長懇談会化学品部会要旨
化学品部会 板垣
1.2005年上期の回顧と下期の展望
1)化学品部会全体の状況04年は部会会員会社の取引先の多くの業種(自動車、二輪、家電、機械、包装資材、農業など)で国内販売、輸出業績が好調が主な要因で、各社03年に比較し業績が伸びた会社が約70%であった。05年上期も自動車は過去最高の生産台数(120万2000台)を記録し、輸送機分野への販売は好調を維持したものの、旱魃の影響で農薬、農業機械、包装資 材、プラスチックなどの分野への販売が大きく落ち込み、また長引くドル安・レアル高、高金利政策のため安い中国製などが出回り、コンスーモ分野も苦戦を強 いられている。 それでも全体として昨年上期に比べ57%の会員会社が、また昨年下期に比べ25%の会員会社が売上進展したと回答されているが、先に述べた70%に比べ大きく後退している。 利益についても同様の回答結果であった。この結果に対する会員の年初予想との比較を聞いたところ、約6割の会社が「予想以下」「想像を絶した」と回答しており、今になり「昨年の好景気は異常だった。良すぎたのだ。」と認識した会員も多く見受けられた。05年下期の展望については金利低下の期待、大型テーマの結実、アルコール・合成樹脂の輸出増などで売上が進展すると期待されている会社が43%ありますが、高金利・ドル安継続、値下げ競争激化などで売上・利益とも期待できないとする見方が約6割であった。本年はじめの部会内調査で04年ルーラ政権の手腕に対する評価では「良かった」「概ね良かった」を合わせると8割強の会員が+評価をしておりましたが、今回は「早く政権交代を!」と言う厳しい意見も含め経済政策に対し疑問視する声もでてきた。
2)以下各分野別の状況①農薬・殺菌剤・殺虫剤・飼料添加物 昨年は大豆さび病対策で殺菌剤など販売好調であったが、本年度は南部での旱魃のためその殺菌剤が在庫となっており、また政府の農家債務救済策の発表を受けて新規販売にクレジットの供与を見合わせたなどしたため上期の販売は大幅に減少し想 像を絶する結果であった。下期は米国で旱魃が発生しており大豆の生産に影響しているが、ブラジルの作付面積はレアル高のため増えないと予想。市中在庫も相 まって減収減益を予測。 殺虫剤は上期は端境期のため販売はなく、飼料添加物はナフサ高騰による原料価格高騰、5月にpis/coffins免除特典撤廃により値上げを実施した。その結果、売上は前年上期比で2桁進展したものの下期比では大幅に減少し、利益も大幅に減少した。下期は競合他社が値下げする中、値上げを継続するため減収が予想される。②プラスチック着色剤・工業用接着シール材 農業分野の不振はプラスチック着色剤、工業用接着シール材業界の業績にも影響した。 上期は自動車が好調であったため輸送機分野への販売は好調であったが、農業の不振は農業機械、プラスチック包装資材(1-5月は前年割れ)の分野に打撃を与え、この分野への販売が思わしくなかった。またただでさえ安い中国製品がドル安で さらに安く国内に出回り、客が中国製完成品に切り替え自社生産の減少或いは中止を行ったところも多く、販売減の一員となった。そのためプラスチック着色剤 分野で昨年上期比売上5%減、接着剤分野で微増の結果であった。 下期は本来クリスマス商戦もあり経済が活発化するのが一般的だが、高金利、ドル安が続きその影響が顕著になると予想され、現在の政治スキャンダルも加わって経済に悪影響を及ぼすと思われる。家電や自動車業界の一部では下期の生産を下方修正する動きもあり、業績現状維持を見込む。③油脂製品 生松脂からロジン、テレピン油を製造。 顧客は塗料、接着剤、製紙業界。 04年上期は塗料・接着剤用途樹脂(ホットメルト、ラッカー用樹脂)を新規に始めたため2桁の増収増益。ロジンは世界の生産量(1000万トン/年)のほとんどが中国のため、価格は中国の価格に影響される。ロジンの販売はサイズ剤(紙のニジミ防止剤)としての使用目的で、紙の需要に左右され、3月までは良かったが4月から販売が落ちている。 下期はさらに原料の値上がりが心配され、価格転嫁が出来ないため販売、利益とも減少すると見込んでいる。④化粧品 04年のブラジルにおける化粧品(香水、整髪料など含む)の売上は4.5BUS$で03年比25%増であった。 本年上期は1月2月とショッピングセンターが閑散としており心配したが、3月以降活気が戻り、また大手競合メーカー(仏のヘレナルビンシュタイン社)が市場撤退し盛り返した結果、昨年上期比増収増益であったが、ブラジル全体の化粧品市場の動きと比べ予想以下の結果であった。下期も増収増益を予測している。⑤筆記具 4月より値上げを実施し上期は増収増益となった。 特に利益は日本からの仕入れが多いためレアル高により原価が下がり大幅進展を見た。 しかし高金利が続き市場に活発さがなく、また安価な中国製品の台頭などで下期は売上進展は見込めず、現状維持にとどまると見ている。⑥商社 レアル高により輸入完成製品の流入が増え、国内塩ビフィルムの生産が減少。 SAPなど世界的に品薄状態が続いており、販売量確保が出来ない。 原油・ナフサ高騰で石化製品値上がりなどの影響で昨年比減収となったところが多い。 下期はアルコール、合成樹脂輸出の増加が見込まれ、また新規ビジネスの立ち上げや市況の下げ止まりを期待し売上伸展を予測する見方が増えている。そのためにはルーラ政権にレアル高の是正と金利低下、税制緩和など以前からの懸案事項の是正を強く願う。
2.化学品部会個別テーマ
現在、会員会社の中で移転価格税制で苦悩されておられる会社がある。 会員会社にアンケートしたところ、移転価格税制に関して「良く知っている」との回答は14社中5社の36%であり、農薬、飼料添加物、商社の業界の方であった。
会員会社の中には税務当局から出頭を命じられたところもあり、移転価格税制の問題は深刻な問題となりつつあるも、会員の大方の会社が良く理解していないというところにも問題がある。 今後「移転価格税制検討委員会」に2名参加していただき、部会内にフィードバックしていただき理解を深めることとする。
以上
2005年度 機械金属部会報告書
報告者 西岡
1) 共通テーマ <ブラジル経済 2005年上期の回顧 と 下期の展望>
=2005年上期の回顧=
① 製鉄・鋼材分野全体として、 対前年度比較でみると 好調を維持している自動車、通信向けの鋼材が堅調である。 一方 電気、機械、情報向けは 内需減の影響を受けて 伸びは鈍化傾向にある。‐粗鋼生産 1~5月累計では 対前年比+0.5、5月時点では 年間 3227万トン ベース。‐販売 本年5月初め 対前年比で初めてマイナスを記録。3月以降需要減により販売が低迷し 需要家、流通での在庫が急増している。6月以降も同様な傾向との見通し。内需分の減少を輸出に振り返る努力を実施中であるが、国際価格は米国国内需要低迷、中国の買い控えにより 昨年のピーク時比にて 約40%程度下落している。 ようやく 最近底が見えたという感じである。
② 電力・エネルギー分野今年前半 ブラジル経済ミッションの訪日時に、エタノール対日輸出に関して 関連の企業にて 将来を見据えた動きがあった。 共同コミニュケにて日本政府内にエタノール輸入に関する検討委員会が設立した。 具体的商談を期待したブラジル政府は 期待外れになった。しかし 原油高が持続しそうな状況下にては、世界的に ビオ・エタノールに対する評価・需要が高まっている。天然ガス供給面で、隣国ボリビァでの資源国有化運動により 国内での供給不足が顕在化して来た。天然ガスによる発電計画も遅れそう。 環境に優しい風力発電所プロジェクト計画が進行している。
③ 新規大型プラント分野別途 電力分野の変電設備案件及び Petrobras社のコジェネ発電設備等の商談がある。 更に政府主導の 東北部サンフランシスコ河の分流プロジェクトが計画されている。 製鉄分野での新規案件では 東北部での大型製鉄所建設は 進展せず、リオ近郊のThyssen/CVRD社が予定するCSA(アトランチク製鉄所)が具体的に向けて前進している。
④ 重機械・製缶分野紙・パルプ 及び 製鉄分野より 各種大型ボイラーを受注している。 又 石油化学各社よりも 各種化工機の注文がある。 近隣国よりの発電案件受注もある。 国内の基幹産業分野での生産能力向上、更新のための投資が旺盛であった。⑤ 農業機械分野ア グリ・ビジネス全般では 作付け面積・生産高はここ数年来の高水準を維持しているものの、穀物の国際相場の下落により生産農家の採算性が急速に悪化 し、昨年末より予想された如く、農業機械への新規投資意欲は現在 冷え切っている。 その結果 トラックター、コンバインハーベスタ‐など農業資本財 と呼ばれる機械の国内販売台数は 昨年同期(1~6月)のマイナス34%となった。
⑥ 一般産業向け工具・ネジ及び軸受け分野-精密、切削工具 昨年度より持続していた好調が 5月から国内景気が下向き始めた。特に国内景気の牽引車であった南部地域の農業関係で3月以降目立って減っている。輸出、 国内共に堅調な自動車及び同部品、航空機によって維持してきたが、為替差損が大きくなるにしたがって、雲行きが怪しくなったようだ。 ‐電動工具 特に 北部、北東部での販売強化にて 小型グラインダーが伸びて 対前年度で25%以上のアップ。 更に 日本製の付加価値の高い製品の販売を強化している。 ‐ネジ 国内市場のネジ使用業界の内、 自動車・同部品、二輪・同部品 及び電子・電気業界は 昨年同期比で 堅調であったので、ネジ販売数量は微増、金額面で約20%アップ。 但し、農業機械生産台数は昨年同期比で 13%減少しているようだ。 ‐軸受け 昨年度はブラジル経済が久し振りに大幅な経済成長を達成し、その影響で軸受け市場も好調であった。 本年度上期は昨年の好調さを維持していた。 上期は大幅なレアル高にも拘わらずブラジルの輸出が拡大し、軸受けの需要で見れば、4輪車・2輪車が好調に推移し、鉄鋼・鉱山、パルプなどの工場 補関連部品も好調であった。しかしながら、 第二四半期以降 ブラジル生産品の受注が明らかに低下傾向にある。急激なレアル高、国内の鋼材価格の高騰にて 輸入品との競争にて 大変不利な状況に追い込まれている。
=2005年下期の展望=
政権与党PTの幹部の汚職問題にて 国会審議がストップしている異常な状態にて重要改革案件が具体化せずに、下期もこのような膠着状態が続くと予想される。 幸いにも 経済は 今回の政治リスクの余波は少ないようであるが、 経済の舵取りが不在の状態で 通貨レアル高、Selic(公定金利)高、更に国政不安に依るカントリー・リスク高が継続することは 大変に 心配である。
① 製鉄・鋼材分野ブラジル鉄鋼連盟及び製鉄各社は現在の内需低迷は -過性の現象であり、在庫水準が適正レベルに回復すれば、第4半期以降は内需回復が見込まれるとの見方をしている。価格も 在庫品値下げの動きがあるものの 何とか輸出にて凌ぐ方針。これまで減産の経験がないものの、 内需減、為替高、原料高の三重苦の中で、減産も視野に入れた議論が出そう。
② 電力・エネルギー分野 生産財等への投資意欲も 依然として強く、今後 製鉄、紙・パルプ分野にても 新規投資が期待出来る エネルギー特に電力分野は 上期同様に 不透明な状態が継続すると予想される。 電力需要そのものは伸張しており、変圧器の需要は堅調である。
③ 新規大型プラント分野アマゾン河上流のリオ・マデイラの水力発電プロジェクトが案件として 具体化するのを期待。
④ 重機械・製缶分野引き続き増産投資意欲旺盛な分野は 紙・パルプ、石油化学及び 製鉄・非鉄部門である。 また 工場の自家発電設備にも案件が出るようだ。
⑤ 農業機械分野市 場の冷え込みは各機械メーカー共に 年初から折込済みで生産量はかなり絞り込んでいたが、流通在庫は増加傾向にある。更にレアル高による輸出量の減少もあ り、下期は相当厳しい状況になりそうだ。 ルーラ政権が公約の“飢餓ゼロ”政策に資金の裏づけも付き、北東部、アマゾナスで 各種の入札が始まった。 しかし 市場の冷え込みをカバーできるものでないようだ。 下期は上期の約10%ダウンと予想。
⑥ 一般産業向け、工具・ネジ及び軸受け分野‐精密 切削工具 国内の販売の落ち込みを輸出でカバーすべく 生産品種のシフトを進める。 従来程度の減少に止まるか、並みの横ばい程度で 推移すればよい。 ‐電動工具 下期に 更に 3モデルの新製品を生産・販売開始する予定。 為替の不安要因もあるが対外要因に影響されない財務体質を強化中である。 ‐ネジ 自動車の国内市場は上期同様に 好調さを維持できるとの見方で、但し 輸出はレアル高と言う逆風下で利益率は低下している。二輪車は微増、電子・電気機器生産は横ばいの見通し。したがい ネジ業界としては上期比較で 約5%の増と期待。 ‐軸受け 自動車関連産業が どこまで上期の好調さを維持できるか、輸出計画の下方修正となれば 軸受けの国内生産に影響し、更にレアル高が持続すれば 輸入品にも押されて、現地生産に関してはかなり大幅な減産を予想している。
2) 個別テーマ<移転価格税制問題> 本移転価格問題は 自動車部会が主体になり、会議所内にて委員会を立ち上げた。 各分野・業種での現状問題を整理して、両国間の政府担当局へ 提案書を提出する事になった。 当部会における現状の問題点の要旨は下記の通り:
① 重機械・重電製品更にプラント機器を構成する製品に於いては 輸入時の輸入税率が問題になる。但し 製品は一品毎の受注生産品であることから、輸入時での申請価格(Invoice Value)に関して 税制上の査問は少ない。
② 治工具及び軸受け関連の製品・部品に関して、 国外関連企業グループよりの輸入価格 更に 輸出価格に関して ブラジル国内での価格評価方法が 北米ルールに照らし合わせても明確化されていない。 製 品販売による利益を、 部品生産地 又は最終製品販売地のどちらに重点配分するかは各企業の経営方針に委ねられてきた事が多い。 しかし 製品生産方式の グローバル化が進展している昨今では 貿易当事国間にて 国際的統一規格でのルールの適用・採用を推進・明確化すべきと考える。
繊維部会報告
繊維部会長 今井達男
1.2005年上期の回顧
1. 繊維小売市況 夏物は冷夏の影響で販売も盛り上がらず、今年の冬物は昨年在庫が各段階で一掃されたので、大いに期待されたが、5~6月の天候は真夏を思わせる暑さで 冬物の消化率は20~30%(例年の消化率は最低でも50%以上)と低調に終わった。更に予想以上のレアル高、ドル安で中国からの製品輸入が増加による価 格ダウン、税務署のストライキによる年金支払遅延もあり、昨年とは一転して小売市場は沈滞。小売業界は資金繰りの悪化から支払手形の延滞・延期が続出し、 早めのバーゲンセール突入となった。2.分野別状況 (1)紡績糸の生産販売状況 ・綿糸:昨年より進行しているレアル 高により輸出競争力が著しく低下し、国内綿糸の在庫過多、月を追って下落する綿糸価格にユーザーの原料手当てマインドも消極的であった。日系紡績のブラジ ル国内市場シェアーは10%程度、輸出に活路を求めてきた北伯ブラジル大手企業の国内アパレルへの形振り構わぬ安値攻勢に、相場は引きずられている。 採算面は原料コスト低下以上に価格が下がり、昨年比厳しい状況であった。 ・羊毛紡績糸:原毛相場のドル建価格は安定した動きであったが、衣料分野でのウール離れが進み、織布・後加工業者も少なくなり、梳毛糸の需要は益々減少傾向。 一方、衣料は不振なるも、カーテン・椅子張り等室内服飾用は好調に推移。 ・絹糸:販売量の80%を輸出に依存しており、レアル高と原料の繭不足による生産調整、更に主要輸出先の日本の絹撚糸輸入自由化の影響で、輸出数量が減少し、経営環境はここ数年来最悪となっている。(2)生地、縫製品の生産販売動向 ・綿織物:数量は前年比+51%と大幅増加となったが、主要因は中国からの輸入が1~2月に激増した為。この影響で小売商の仕入れの出足は鈍化、冷夏・暖冬により販売数量は伸びず、上期は総じて販売状況は低迷。・T/C織物:薄地やシャツ向けのT/C織物は、ポリエステル綿の価格高騰と綿花の価格低下により綿100%生地増、混紡生地の販売量は低下した。(3)綿花の生産量と価格動向 世界の綿花相場:生産は中国・米国合計でシェアー44%、ブラジルが5%、国内消費は中国のシェアーが35%、ブラジルは4%であるが、在庫率も高く相場は低迷した。(史上最大の収穫であった米国の売り圧力と中国の大量解約が主要因)ブ ラジルの綿花相場:生産132万トン(昨年比+1万トン)、輸出37万トン(昨年比+4万トン)の見込み。綿糸在庫増による価格低下及び紡績の生産調整と 綿花生産農家の融資返済の為の換金売りで、原綿相場は5月に市場最安値を記録し、その後、主産地の天候不順による生産減予想で相場は上昇している。
2.2005年下期の展望
1. 繊維小売市況 暖冬の影響で9月以降の春夏物の仕掛かりは遅れ気味ながら、これから予測される金利低下と最低賃金のアップ効果で、年末商戦に期待したい。一番の懸念 材料は現在のレアル高が、今後多少レアル安に動いたとしてもブラジルの市場自体が爆発的に拡大していない状況で、中国等アジアからの輸入衣料品が急激に増 えてゆき、一般商品の価格下落と一部のブラジル繊維製品の淘汰が進むことである。2. 分野別展望(1) 紡績 綿糸:レアル高 にも拘わらず、ブラジルの貿易黒字は減少する兆しがなく、下半期の大幅なレアル安は予測できないが、ブラジル国内市場は綿糸の需要時期に当り、例え輸出の 還流玉が国内市場に出回っても、上期ほどの影響度はないものと思われる。今後もレアル高の傾向が続けば、ブラジル綿糸の国際競争力は大きく減退する。 羊毛紡績糸:下半期の動向は、同様に上期の基調を引き継ぐものと思われる。 絹糸:中国は暑さの為に工場の操業短縮しており相場は急騰、今後は多少の輸出価格アップを期待したい。(2) 縫製品その他 主力のジーンズ分野でのファスナーは、9月以降回復傾向を示すものと思われるが、前年程の強さは見られない。ジッパーでは、婦人子供服などナイロン使い商品が諸に中国からの輸入製品の影響を受けてくる。3.欧米の繊維製品輸入枠撤廃の影響 1月から繊維製品の輸入枠が撤廃されて、中国からの輸入は、衣料品148%、糸や生地が170%、靴類180%の伸びとなり、国内産業に深刻な打撃を与え ている。実態は40%が密輸やアンダーインボイス(実際の金額より低く書類を作成し税金の軽減を図る)により輸入されて被害額は更に拡大し、繊維業界は政 府に対しセーフガード関税を課徴することを要求。法令はできたが未だ施行されていない。
食品部会リポート 「2005年上期の回顧と下期展望」
食品部会長疋田和三(三井アリメントス)
1. 2005年上期の回顧
2. 下期の展望下期は、現在進行中の政治的混乱が、経済にどう影響してくるのかにより、経済環境の変化は大きく変わる可能性もあり予断を許さないが、国内消費市場は、ほぼ順調に推移すると見るが、上期よりは若干悪化することも予想される。
ネスレが乳製品、穀物食品の生産工場建設に1億レアルを、ペルナンブコ州に建設する話や、カレフール、ウォールマート、ポンジアスカールなどの大手小売チェーンが、東北部に積極的に店舗展開をするなど、東北部への関心が高まっている。
2005年度上期回顧
SUFURAMA(ア マゾン経済特区監督庁)発表の1-5月生産統計によると、家電商品の生産は引き続き高い伸びを示している。 主要カテゴリーでは携帯電話端末機が84%増 の1530万台、カラーテレビ17%増(380万台)、DVDプレーヤー69%増(180万台)、電子レンジ53%増(58万台)、カーステレオ42%増 (90万台)などほぼ全商品に渡って高い成長が記録され昨年以来の好調さを維持した事が伺われる。 一方据え置き型音響機器だけが唯一のマイナス成長となった(-11%)。会員の中では家電セットメーカー各社が20-60%の高い成長実績を達成 した。 電子部品各社はレアル高から納品先の仕入れが直接調達に切り替わった分もあったものと思われ、部品消費そのものは好調であったものの、ブラジル法 人としての業績は見かけ上大幅減少となった例も見られた。 通信部門では昨年末から見られた移動体通信各社の投資が活発化した事を受け大幅増収(昨年比倍 増)の例も見られた。 事務機器メーカーでも13%増と二桁増収の例があった。 一方、通信・事務機器の中でも政府系へのビジネスは入札方法がオークショ ン形式主流となり事実上値段だけが勝負の世界となっている。 技術的用件や付帯サービスを訴えかける機会が無いだけに日系企業には厳しい市場となってい る。
2005年度下期展望
後半にかけては家電セットメーカーでは、レアル高からくる値下げ圧力が高まる事が予想され、前半のような高成長は期待できないと見る。 概ね昨年比10%から20%の増収を予想。通信部門では移動体通信各社向け事業が順調に伸びるとの予測から40%増を計画する例があった。 部品各社では15%増収の例と、20%減収の例があり先行きへの予想が分かれた。 事務機器部門では過当競争の中、新製品投入で25%の増収を見込む例も見られた。また各社とも最近のCPIで明らかになったPT議員への買収スキャンダルに注目しており、これが経済に与える今後の影響を懸念する声が多かった。最近のレアル高は輸入部品や完成品輸入品が多くを占める会員企業にとって収益性の向上に繋がったと思われるが、一方でこのように長期に渡って為替がレアル高で安定した事もめずらしく、今後への懸念は常に各社とも抱いている。
以上。
【建設不動産部会】
では、これから建設不動産部会の発表をさせていただきます。まず2005 年上期の回顧ですが、建設部門は昨年下期からの好調さが持続されており、各社とも計画値をクリアーしている状況です。ただ、受注競争が激化しているため利 益確保に苦労している物件が増えております。鋼材価格が安定したため受注時利益の確保の見通しが立てやすくなりましたが、石油価格高騰の影響でゴム製品や プラスチック製品の値上がりの影響がだんだん現れ始めています。アルミ建材の価格は、昨年地金の国際相場が高騰し今年に入ってもその傾向にありますが、レ アル高の影響もあり昨年と同水準を保っています。
不動産部門、特に住宅関連 部門は高金利が続いていることと、融資期間が短いことが影響しているため融資が受けづらく、業績が思ったほど伸びていません。以前は住宅の計画段階での販 売が可能でしたが、最近は完成後に購入を希望する人が多く、プロジェクトの早期段階での契約率が低下しているため、工事金の立替金利が業績を圧迫していま す。
建設指標で申しますと、ブラジル全体の建設業の第1四半期における対前年同期比の受注伸 び率は 0.6%と微増となっています。また、建設業の動向を現すセメント販売量は、2005年度の1月から4月までの合計で昨年同期比の2.4%増、建設雇用労 働者数は同様に1.7%増となっており、若干の増加傾向にあります。しかしながら、建設雇用労働者数はここにきて減少傾向にあり、今後の受注動向が気に掛 かります。
次に下期の展望ですが、建設部門では前期と同程度かやや悪化を見込んでいます。し かしながら、最近の工業生産指数の低下傾向や継続されている高金利政策、レアル高、また大きくなるばかりの政治スキャンダル等、経済を取り巻く状況が悪く なりこそすれ良くなる環境があまり見られませんので、期待とは裏腹に現実はかなり厳しいものになると感じています。特に、レアル高が続くと海外からの投資 環境を悪化することにもなり、建設投資の縮小あるいは延期という結果を招けば、業績の下方修正を考えざるを得ません。また、最近は1件の入札に参加する建 設業者の数が増加する傾向にあり、見積の引き合い数の割には受注に結びつく物件が少なくなってきています。
不動産部門では、サンパウロ市内の新築アパートの販売戸数が過剰気味であり、高金利の影響もあって今後も厳しい競争が続くと思われます。全体的には横ばいの状態が続くのではないかと思われます。
と ころで、先日新聞にも掲載されましたのでご存知の方もいらっしゃるかと思いますが、サンパウロ市の建物容積率の算定基準が今年から変わり、以前は含めな かった駐車場の面積を含めることにしたため、新規に計画される建築物はそのかなりの部分が駐車場となってしまう摩訶不思議な状況になってしまっています。 そのため今年に入って市内の新規建設許可は軒並みストップ状態になっていて大混乱をきたしています。現在サンパウロ市の担当者が対応を検討中で、うわさで は9月頃までには以前の基準に戻るのではないか、と期待されています。(オ エスタード デ サンパウロ紙説明)
次に個別テーマに関してですが、当建設不動産部会では今年になって丸紅不動産さん、協栄不動産さんと相次いで退会され、新規に加入される企業がないため規 模の縮小傾向が続いています。現在正会員11社、副会員11社の計22社が登録されていますが、実際に活動に参加されている企業は建設会社3社、不動産会 社1社、建材メーカー1社の5社のみとなっております。今後部会を少しでも活性化させるべく、少ない人数でも知恵を出し合って活動を継続させていこうとい うことで、個別テーマを『セミナーを開催するなどして部会への関心を高めてもらおう』と決めました。 10月か11月を目標に今年度中にセミナーまたは見学会を開催することでこれから具体的な作業に入る予定にしています。
例えば、セミナーであれば①事務所や工場に設置したい防犯機器や安全対策ツール(ハード面)の紹介②アパートを選ぶ場合の選択基準の紹介、および室内改修の注意点やその実例の紹介③高級アパート建設の実情の紹介などを考えています。また、見学会であれば、こちらは相互啓発委員会と合同での開催も視野に入れて、①CBA(ボトランチングループのアルミ建材メーカー)工場でアルミの巨大押し出し工程を見学 ②普段入ることのできない塀の中の建設現場を見学などを考えておりますので楽しみにしていただければと存じます。
以上で発表を終わりにさせていただきます
業種別部会長懇談会発表要旨(於)ホテル ソフィテル (03/AUG/05) (運輸サービス部会長:平野)
テーマ:「2005年上期の回顧と下期の展望」
◎ 航空業界・ 国内マーケットについては、TAM社がシェアーを50%近くに伸ばし、GOL社が28%、RG社が22%の状況で,メルコスール域内でもTAM、GOLの 進出で座席供給過多の状況となり経営面では厳しい状況となっている。特にヴァリグ社は、新会社更生法の基に再建案を出し建て直しを図っているが、政府の政 治問題などの発覚により厳しい状況が憂慮される。・国際マーケットについては、レアル高により近隣諸国、中米、ヨーロッパとマーケットは拡大して いるが米国はVISA問題により低迷している。日本への動向は、米国VISA問題でカナダ及びヨーロッパ経由へ移行される傾向が更に進み全体の60%と推 測されるが、やはり直行便の便利さは日本人にとって利用価値が高い。・ 下期の展望としては、最大の懸念材料は航空燃料の高騰であり、原油市場の今後の推移が航空運賃にどのように反映されるか課題となる。レアル通貨の強さが継続されれば、国内外共に好調な動きが持続できると期待する。・ 上期に報告した入国審査に対する改善要請書を関係当局へ提出し、一様確認は取れているが残念ながらその後の進展はない。継続した要請が必要である。◎ 海運業界・ 上期の状況としては、アジア向けコンテナで前同期約5%増、欧州・北米向けは昨年の大幅な伸張は無かったが安定したに動きであった。農産物全体としては好 調な荷動きであり、加えて冷凍チキンが前同期の15%増となりリーファー貨物の引続き強い成長が顕著である。輸入貨物も堅調な経済を反映して自動車部品、 機械を中心に堅実な伸びであった。・ 下期の展望としては、季節的な荷動き(コットン、タバコ)並びに砂糖、レジンなどに輸出ドライブの兆しがあり、上期以上に荷動きの伸びが予測される。・ 昨年度は供給スペース不足となったが、アジア極東航路の改編や増便が見込まれるので安定したスペース供給は期待できるが、相変わらずの港湾インフラは深刻であり港湾オペレーションの対応が非常に危惧される。・ 運賃については、スペース供給・原油の動向により大きく左右されるので予測不可。◎ フォワーダー業界・ アジア発の輸入貨物が好調であり消費大国の米国向け貨物の増大により、特にブラジル北部地域への海貨スペース手当てが困難となっている。・ 米国経由の事前申請に伴い、経由貨物の確認などでスムーズな取扱が出来ず海空貨物共にスペース確保が出来ず分割搭載されるケースもあり、ブラジル税関で通関に支障を来たし、リードタイムに影響がでている。・ 下期展望については、トータル物流費において、相変わらずの燃料高騰・テロによるセキュリティー強化・前途の米国経由事前申告制度の適用などにより、航空運賃及びその他費用のアップ並びにブラジル通関の遅延によりコストアップが懸念。・ 貨物梱包材の木材検疫の規制が世界的に強化されてきており、各国における輸入貨物梱包規制の適用が拡大してブラジルからの輸出貨物梱包にも義務付けられることが必至であり、更なる物流費のコストアップが懸念される。・ 鉄鋼内物流は世界的な結構需要に支えられ好調さを持続。下期においても大型設備投資案件が一部動き出す見込みであり、工事案件が期待される。・ 引越取扱状況で赴任者と帰国(転出)者と比較して今年は赴任者が増加傾向にある。◎ 旅行業界・ 上期に於ける海外旅行状況は、運賃値上げが行われたがドル安により欧州への渡航者が順調に伸びており、西ヨーロッパから東ヨーロッパへと新しい渡航先が目 立ち始めた。国内旅行もブラジル各航空会社の競争激化により、運賃値下げが続き需要が順調に伸びた。特に東北地域のビーチリゾートが人気であり、カーニバ ル時期は盛況であった。・下期の展望としては、テロによる治安の不安があるが昨年度と比較して徐々に上向き傾向にあるが、テロ活動が各国に拡がる ことが不透明で厳しい環境になる可能性もある。反面、国内旅行はBRA航空、ウエブジェット航空の新規参入で競争が益々激化する中で運賃値下げに伴う需要 が拡大すると予想される。◎ ホテル業界・ホテル業界のデータが出てないが、ブルーツリーホテルズの状況では、上半期の稼働率は 全体で55%、平均レートはR$191,00。リゾートホテル系では稼働率36%、平均レートはR$413,00。前同期比較で稼働率が4%増加、平均 レートは9.4%のアップであった。・ 下期の展望としては、全体の稼働率を対前年6%アップの予測。リゾートホテルはイベントや海外からの観光客増を見込んで5%以上のアップと期待している。◎ 情報通信業界・ 上期状況としては、携帯電話の契約件数が7,080万に増加。プリペイド方式固定電話の導入が進行中。個人向けブロードバンドがダイアルアップユーザーと同程度まで増加。企業の情報セキュリティー投資が堅調。・ 下期の展望として、IP電話の法人向け導入が本格化。IT業務のアウトソーシングが更に一般化する。情報セキュリティーではシステム的及び人的対策両面から総合的なセキュリティー対策へのニーズが高まってくる。
-以上-
1.共通テーマ「2005年上期の回顧と下期の展望」
■ 自動車
2005年上期の、自動車の生産/販売実績は以下のような結果となった。
2005 年上期
2004 上期
前年同期比
2004 年通期
生産台数
1,202,084 台
1,038,830 台
+15.7%
1,827,038 台
国内販売台数 ①
761,338 台
695,592 台
+9.5%
1,354,807 台
輸出台数
394,857 台
278,724 台
+41.7%
534,745 台
輸入車台数 ②
38,790 台
27,491 台
+41.1%
73,803 台
国内販売合計 ①+②
800,128 台
723,083 台
+10.7%
1,428,610 台
2004年上期の自動車生産台数は120万台を越え、昨年の約104万台を上回る過去最高の実績となった。これは、今半期で初めて80万台に達する規模まで拡大したブラジル国内市場と共に、アルゼンチンの景気回復継続等に支えられ昨年同期比41.7%増と40万台に迫る結果となった輸出台数の伸びによるところが大きい。ブラジル国内では、フレックス車の販売が急速に拡大しており、05年6月には新車販売に占めるフレックス車の割合が51.9%まで上昇した。従来は中排気量車主体であったフレックス対応車が1.0Lクラスモデルまで含めて投入されるに至り、年末には70%を超えるという見通しもある。輸入車は、ドル安傾向の中で、上期に引き続き下期も大幅増となる見込みである。ANFAVEAの2005年通期予測によれば、、生産台数は230万台(前年比+5.4%)、国内販売は164万台(同+3.9%)、輸出は89億ドル(同+7%)が見込まれているが、レアル高の環境下、一部完成車メーカーの間ではメキシコ向け減産が発表されるなど下期の生産台数の下方修正が検討され始めている。
■ 二輪車
2005年上期の、二輪車の生産/販売実績は以下のような結果となった。
609,989 台
510,452 台
+19,5%
1,057,333 台
国内販売台数
520,603 台
450,962 台
+15,5%
911,171 台
88,305 台
62,026 台
+42.4%
157,400 台
インフレ抑制策としての高金利政策による消費動向の懸念が強まる中、各社の拡販努力や新車投入効果もあり、国内二輪マーケットは前年同期比19,5%増と過去最高記録を更新した。一方で輸出面では、厳しい為替環境の中にあって上半期に前年同月比42.4%の伸びを確保することができたものの、輸出採算は大きく悪化した状況が続いている。昨年に大きな影響を受けた一連の税制改訂は年末までに決着し、その後は操業に影響する大きな問題は出ていない。下期は、直近の政治問題の深刻化、レアル高による輸出鈍化など、国内経済を取り巻く環境は不透明な側面が強まっており、一部に消費を手控える動きが出始めているが、10月以降の夏場(販売ピーク)に向けては、19,75%の政策金利がインフレ抑制に奏功し国内消費動向が活性化されるかが一つのポイントと見ている。
■ 部品
レアル高の中で依然として好調な完成車輸出と、金利高にもかかわらず順調な国内販売により、部品業界は上期においては概ね好調を持続した。部品業界の売上は、前年比12.7%の上昇が予想されるが、ブラジル国内での金利上昇は国内の売上に徐々に影響を及ぼし、また、レアル高は輸出の売上額を減少させる中で、景気の停滞感が出始めており、下期の経済状況が心配される。
2.部会別個別テーマ
■ 移転価格税制
移転価格税制は、その問題の構造が複雑であることから、各企業が各々の問題認識に沿って個別に対応しているか、移転価格に対して全く無防備な企業もあるのが現状である。実際に二重課税を課せられている(あるいはその認識に至っていない)ケースを含め、多くの企業にとってブラジルでの事業展開に重大な影響を及ぼす事項であることから、自動車部会企業にとっても総じて関心が高い事項として本年度の部会主要テーマの一つとして取り上げることとし、会議所内で同問題に先行して取り組んできた機械金属部会と合同で横断的な議論を行なうなどの活動を行ってきた。その結果、7月に会議所内に「移転価格税制検討委員会」が設立され、移転価格税制に関して発生する問題に対して、柔軟に対応・解決できる体制(例えばOECDガイドラインに準拠する等)の整備をブラジル政府に対して求め、同時に、二重課税防止条約に基づき、日系進出企業の不利益及びリスクの解消を、日本政府を含む関係諸機関に対しても働きかけてゆくことを意図して、活動が展開されることとなった。
■ 業界内のその他の問題・課題 ▽FTAFTAの進展の遅れがブラジルを世界マーケットから遠ざける懸念とFTA締結をスピードアップする必要性。当地で調達可能な品目には制限があり、その供給先が特定の地域に限られ、その供給先の国がブラジルとFTAを締結していない場合、競合メーカーとは価格競争において不利な立場に立たされる事が予想される。
▽中国製品中国製品による市場での価格破壊が、アフターマーケットにおいて危惧される。OEMビジネスにおいて中国製品などのCopy品が品質面で上回ることはないが、将来的にはOEM価格への影響を及ぼす懸念。
▽税制の定義税制の内容が複雑で、制度の見直しのたびに時間を要しての内容吟味が必要。世界基準に沿った税制の簡素化を期待。
▽労働法および労働組合過保護な労働法、過激な組合が生産活動を脅かし、その結果海外との競争力低下に繋がる恐れがある。公正な労働法への移行を望む。
▽ビザ取得労働ビザの取得プロセスが長期かつ煩雑、ビザ取得手続きの一貫性がないため、技術支援等に支障が生じることがある。引き続き改善を望む。
会議所所在地
【会議所 トピックス】
定例理事会・第71回定期総会(2020.3.19開催)
海外在留邦人の一時帰国の際の 新型コロナワクチン接種のニーズ調査(2021年4月)
ウェブツールおよび情報収集媒体アンケート結果(2020年9月)
会員企業の新型コロナSDGs (CSR) 他、関連取り組み状況
渡航・オフィス再開等に向けてのアンケート(2020年9月)
新型コロナウイルス感染拡大に伴う企業活動や危機管理に関するアンケート結果【速報】(2020年6月)
【速報2】新型コロナウィルス感染に関するアンケート【その2】一時帰国対応について 3/31日現在
【速報 (更新)】新型コロナウィルス感染に関するアンケート調査結果 4/3日現在 128社
新型コロナウィルス対策に関連する各種法律・政令 3/24
感染対策情報(サンパウロ日伯援護協会提供)3/19
新型コロナウィルス情報(ポル語、サンタクルス病院提供)3/17
ブラジル保健省フェイスブック
新型コロナウイルスに関するQ&A 保健省(ポルトガル語)
ブラジル保健省ホームページ
感染発生連絡③ 3/20
感染発生連絡② 3/17
感染発生連絡① 3/11
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「ブラジル労働法のポイント」 (表紙クリックで内容表示)
(麻生元総理との意見交換会)
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ブラジル概要資料