Câmara do Japão
Português
検索: OK
(500)

ブラジル特集

検索期間を指定してください: OK
グローバル・タックス 2021/06/18

セルソ・ミンギ*

過去に例を見ない合意を通じて6月5日に先進7か国首脳会議(G7)で、フェイスブックとアマゾン、グーグル、アップルのような多国籍企業の巨人に対するグローバル・タックスを設立することが決定した。

この提案には、最も重要なポイントが2つある。こうした大企業の利益に対して15%を最低税率とする所得税を導入すること。そして、各国が、自国内でこれらの企業が財とサービスを販売して得た利益分に対して、法人の本社が国外にあったとしてもその税金を課徴可能とすることだ。

新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミック時期に失われた税収を補填するためだとか、あるいは、そうでなければ税負担のより公平な分配を保証するためだと一部の人は言うわけだが、そうした意見は内実を伴わないレトリックだ。この税金の承認プロセスが完了するのは、つまり最終的な確定に至るには各国の議会での可決が必要になるはずで、3年とはかからないだろうが、それまでにはパンデミックは終息しているだろう。100社強の企業の利益にわずか15%の税率で課税したところで、税負担の公平性の改善というものに大きな違いは生まれないだろう。早速行われた計算では、この追加の税金で欧州連合(EU)には580億ドル相当、アメリカには490億ドル相当の税収が発生するという(表を参照のこと)。単なる比較として例を挙げると、ジョー・バイデン大統領が立ち上げたインフラ及びクリーン・エネルギー分野への投資の新パッケージは、2兆3,000億ドルである。

今回の合意は、課税を統一する初めての試みであり、世界的に課税を調整する必要性が高まっていることを示している。それはまた、タックスヘイブンの影響力を取り除くために初めて真摯に共同で推進される取り組みだ。そして同様に、これまで課税の網をすり抜けていたデジタル取引を組み入れる第1歩でもある。

合意は、より広範囲なグループを形成する新興国、20か国・地域首脳会合(G20)の加盟国殻も賛同を求めていく。この方面での交渉は、7月にベニスで初会合が予定されている。この提案に反対がないとは誰も考えていない。むしろ反発があり、それも、強いものになるだろう。ただ、少なくとも今回の合意は、経済的に豊かな国が将来的に他国の鍋にスプーンを差し入れる先例になると解釈されるはずだ。

何はさておき、疑問は解消しておくべきだ。今のところ、どれほどの数のどのような企業がこの課税の対象になるのか、さらに今後、どのように他の多国籍企業にこの税金が課徴されるようになるのか、不明なままである。こうしたポイントの策定は、未確定の規定がこれから決められるという意味だ。第2に、企業に対してだけでなく国に対しても、違反をどのように扱う(処罰する)のかという点だ。

グローバル・タックスを導入する大きな理由のひとつが、税制戦争を抑止すること、言い換えると、特定の国に投資する傾向のある企業に恩恵を与える減税を阻止することである。こうした減税は、12.5%の法人所得税率を設定してビッグテックと小企業を呼び込んできたアイルランドの政策の柱である。発展途上国も同様に、今回の判断に満足しているようには思えない。これらの国々は、最低税率という体制が開発にインセンティブを与える政策に対して扉を閉ざすこととなり、これらの国々が世界経済の中で取り残されることにつながりかねないと主張している。

途上国のアナリストらは今回の取り組みについて、先進国がライオンの役回りをして肉にかみつき、貧しい国にはしゃぶり終わった骨だけを与えるものだと批判している。中国は意見を表明していないが、それでも同国はこの取り組みが同国の成長を抑制するという目的も含まれていると理解しているはずであり、同国を納得させるのは難しいだろう。

もうひとつ、多国籍企業が事業を展開している多く国にとってこの15%の税金が、財政赤字を埋め合わせるような十分な税収増につながらないという主張もある。アメリカは、税率を21%に設定すべく取り組んだ。だが15%で妥協した理由は、より高い税率では引き続きタックスヘイブンに魅力を与え続けるだけだと理解したからだ。またG7の首脳らは、今回の合意が単に最低税率を定めただけでありこれを上回る課徴が禁じられたわけではないという点を明確に強調した。

一部の多国籍企業の経営者は、今回の決定を支持したようだ。だがそこでの印象は、とりわけフランスなどで合意以前に計画されていた水準よりもG7の合意が少ない出血で済んだことを歓迎しているだけのようでもある。

新興国、あるいはより重要な中国とロシア、インドのような国がこの提案を受け入れなかった場合、G7が次にどのような方向に足を踏み出すのかはわからない。大国が、一方的に遠慮なく税金を課徴できるようになるのだろうか?

*エスタード紙解説者(2021年6月13日付けエスタード紙)



2021/06/18 » グローバル・タックス
2021/06/17 » 多国籍企業に対する法人税の最低税率が導入されればブラジルは年間56億レアルの税収増に
2021/06/08 » GDPの錯覚
2021/06/04 » 第1四半期GDPの発表を受け市場では2021年に最大で+5.5%の成長を予測
2021/05/13 » 「特許に関する最高裁判決は特権にピリオドを打つものだ」と専門家がコメント
2021/05/11 » 特許権の存続期限延長を認める規定をSTFが破棄
2021/04/05 » 「自由で開かれたインド太平洋」の実現に向けて
2021/02/17 » 全社員を対象とした在宅勤務など企業が急進的にリモートワークを推進
2021/02/17 » 事務所の賃貸解約の「波」が押し寄せサンパウロ市内の空きオフィスが50%増加
2021/02/01 » 2020年にGDP比10%に達する財政赤字
2021/01/26 » 急速かつ激しく崩壊する工業
2021/01/26 » フォードの撤退はこのところの脱工業化の2波
2021/01/22 » 過去6年に平均で1日に17か所の工場が閉鎖
2021/01/08 » 【州政府が公衆衛生事業に対する投資で民間部門との提携に期待】
2020/11/13 » 【クリーンネットワーク・イニシアティブの支持表明はファーウェイの排除を意味しない】
2020/11/13 » 【5Gでブラジルが親米反中に傾斜】
2020/10/21 » 【5Gに対する判断は2021年に下すべきだとブラジル大使がコメント】
2020/10/21 » 【今回の代表団に関連したFAQ】
2020/10/21 » 【トランプ米大統領が求めたのは大統領選で繰り出すカードのひとつ】
2020/10/21 » 【「アメリカの非難には根拠がない」とファーウェイ現地法人】

バックナンバー »

会議所マップ

会議所所在地

【会議所 トピックス】

定例理事会・第71回定期総会(2020.3.19開催)

Pdf海外在留邦人の一時帰国の際の
新型コロナワクチン接種のニーズ調査(2021年4月)

Pdfウェブツールおよび情報収集媒体アンケート結果(2020年9月)

  会員企業の新型コロナSDGs (CSR) 他、関連取り組み状況

Pdf渡航・オフィス再開等に向けてのアンケート(2020年9月)

Pdf 新型コロナウイルス感染拡大に伴う企業活動や危機管理に関するアンケート結果【速報】(2020年6月)

Pdf【速報2】新型コロナウィルス感染に関するアンケート【その2】一時帰国対応について 3/31日現在

Pdf【速報 (更新)】新型コロナウィルス感染に関するアンケート調査結果 4/3日現在 128社

Pdf新型コロナウィルス対策に関連する各種法律・政令 3/24

Pdf感染対策情報(サンパウロ日伯援護協会提供)3/19

Pdf新型コロナウィルス情報(ポル語、サンタクルス病院提供)3/17

Pdfブラジル保健省フェイスブック

Pdf新型コロナウイルスに関するQ&A 保健省(ポルトガル語)

Pdfブラジル保健省ホームページ

Pdf感染発生連絡③ 3/20

Pdf感染発生連絡② 3/17

Pdf感染発生連絡① 3/11

 

______

「ブラジル労働法のポイント」
(表紙クリックで内容表示)

Pdfブラジルのポテンシャル

(麻生元総理との意見交換会)

 

→ バックナンバー

Pdfブラジル概要資料