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業種別部会長シンポジウム

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2011年下期の業種別部会長シンポジウム 2011/08/23

業種別部会テーマ: 「2011年上期の回顧と下期の展望」

  • 司会 伊藤 友久 総務委員長

    それでは定刻になりましので、これからブラジル日本商工会議所2011年下期業種別部会長シンポジウムを始めさせていただきます。皆さん本日はご多忙の中、ご出席大変ありがとうございます。特に、在ブラジル・サンパウロ日本国総領事館総領事、大部様、ご参加たいへんありがとうございます。

    本日全部で11部会より発表させていただきますが、私は前半の司会を担当させていただきます総務委員長の伊藤と申します。よろしくお願いいたします。後半は隣に座っております、企画戦略委員長の澤田さんにお願いいたします。よろしくお願いいたします。ではまず始めに近藤会頭より開催にあたりご挨拶をさせていただきます。会頭よろしくお願いします。

     

     

     

  • 開会挨拶  近藤正樹  会頭

    Boa tarde a todas. こんにちは。本日は会議所恒例の業種別部会長シンポジウムにご多数ご参集いただき誠にありがとうございます。また大部サンパウロ総領事様、ご多用の中たいへんありがとうございます。

    このシンポジウムは会議所のメインイベントの一つでございまして、毎年2月と8月に開催しております。会議所には、先程司会の方からご案内ありました通り11の部会があり、それぞれの部会はこのシンポジウムに向け事前に懇談会を開催し、データを集め、分析・検討を加えですね、満を持して本日に臨んでおります。

    マクロ経済を始め、取り巻く環境、さらには各業界ごとのまとまった資料・動向等が発表されますので、トレンド、そして流れを整理するには絶好の機会かと思います。

    またご存知の通り8月2日にはブラジル政府が新産業振興策「Plano Brasil Maior」を発表しております。この評価につきましても若干のコメントがあるものと思いますし、また昨今の世界の経済ですね、特に欧米経済の影響はブラジルにどのようなものがあるのかということに関しましても何らかのヒントがあるものと思いますので、とても興味深い内容になるものと期待しております。

    会議所ではブラジルにおける日本のプレゼンスを高めていくということを一つの目標としております。その意味でも最近の日本企業のブラジルへの積極的な取り組みをとても心強く感じております。今年に入り約20社の日本企業が工場新規建設、ライン増設、販売会社設立、M&A等、ブラジル進出、参入、業容拡大を表明しております。資源関連だけでなくですね、ブラジルの内情に合った投資意欲も増えております。

    ぜひこの流れにドライブをかけると同時にですね、インフラ・資源関連など大型案件につきましては官民一体となって取り組んでいきたく、引き続き皆様のご指導ご協力をお願い申し上げる次第です。

    本シンポジウムが各社の経営戦略の立案、見直しをされる上でお役に立つことができれば幸甚に存じます。最後にこのシンポジウムの担当であります総務委員会そして企画戦略委員会、そして業種別部会ならびに事務局の皆様のご尽力と会員各位のご協力に対して御礼を申し上げご挨拶とさせていただきます。ありがとうございました。

    司会
    近藤会頭ありがとうございました。それでは今回のテーマであります「2011年上期の回顧と下期の展望」について各部会より発表させていただきます。現在世界の政治経済の先行きが不透明さを増している中、非常にチャレンジングなテーマだと思いますが、各発表者の皆さんよろしくお願いします。

    また本日は18時半を終了の目標とさせていただいておりますので、発表者の皆様におかれましては時間厳守ということでよろしくお願いいたします。それでは1番バッターとしまして金融部会、小西部会長様よろしくお願いします。

     

     

     

  • 金融部会  小西輝久 部会長

    金融部会

    伊藤委員長どうもありがとうございます。本日先頭バッターを務めさせていただきます小西でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。

    金融部会からの発表内容につきましては、前回のシンポジウムであります本年2月の開催の時からマクロ経済に関わる総括についても発表の中に含むようにというご指示をいただいております。

    今回も基本的に4つのテーマ、すなわちまずマクロ経済について、2番目に為替を中心としますマーケット動向につきまして、3番目に銀行業界の動向につきまして、そして4番目に保険業界の動向につきましてそれぞれ上期の回顧および下期の展望について発表させていただきます。まず最初にマクロ経済につきまして上期を振り返らせていただきます。

    本年上期のブラジル経済を一言で申し上げますと、昨年に続いて堅調な成長が続いた一方で、年初の時点で期待されていた水準には届かず、問題点も顕在化したということになると思います。前回2月のシンポジウムの席におきましては、発表の中で、経済成長率の見込みとしてまあ4~5%ぐらいが可能ではなかろうかという点とともに、課題としまして特に3点挙げさせていただきました。

    まず1点目に個人消費の問題です。すなわち過熱感の出てきた個人消費をいかにソフトランディングをさせていくかという点です。2番目には為替レートです。行き過ぎたレアル高に伴います経常収支の悪化ですとか、乃至は国内産業、特に製造業の競争力の低下の問題です。

    そして3番目に財政支出の悪化です。こうしました問題点は現在でもそっくりそのまま残っておりまして、結果としまして経済成長率の見込みが年初の時点に比べるとやや低下してきております。

    マクロ経済の指標につきまして要約させていただきます。スライドをご参照ください。この表では左側に過去5年間の主な指標の推移をまとめまして、右側の2つの欄ですね、こちらに直近時点と前年同期を比べてございます。まず一番上の行、GDP成長率をご覧下さい。

    本年第1四半期の経済成長率は前年同期比でプラス4.2%となりました。ただこの点につきましても年初の時点での政府の目標値が5%でしたので、今のところこれを下回る水準で推移しております。

    と申し上げながら、現在でも経済成長率の見込みに対する下向きの圧力が続いておりまして、マーケットでの予想としまして最近では年間で4%、すいません数字がちょっと小さいんですが、3.94%という、4%を下回る数字が出てきております。これは、先週金曜日に新たに発表されました最新の予測値ではさらに低い数字、3.84%というところが今年1年の成長率の予測値になっています。続いて国際収支を見てみます。

    まず最初に貿易収支をご覧下さい。貿易収支につきましてはまず輸出サイドはコモディティの価格が高止まりしておりますので輸出額自体は順調に伸びております。ただ反対側に、レアル高を原因としまして工業製品の輸出が減少しております。

    この結果としまして、輸出高に占める一次産品の比率、一次産品に対する依存率ですね、これがほぼ50%に近いところまで高くなっております。さらに経常収支をご覧いただきますと、まあ輸入が増加してしまったことなどを背景に上期に240億ドルの赤字を計上しております。この数字自体は2008年に経常赤字に転落して以来、時間が経過するに伴って赤字幅が増加しているという状況でございます。

    次に下から2行目の株価の推移をご覧下さい。BOVESPA指数は年初70,000前後から今年をスタートいたしましたけれども、足元では、これは金曜日の数字ですが、年初以来25%ほど下げております。かなり大きく下げております。今年に入ってからの動きを振り返ってみますと、金融引締めなどの影響から3月ごろからジリジリと下げに転じまして、さらに8月に入って一段の下押しがございました。

    この主な要因としましては、ヨーロッパでのソブリンリスクの高まりですとか、米国の格下げですとか、そういった世界的な株価の下落、これを反映したものというふうに考えられます。ただ、下げ幅が大きいこと自体非常に気にはなるんですが、BOVESPAの指数につきましてはブラジル固有の特徴を考慮に入れるべきだというふうに考えております。

    すなわち、ガリバーのような企業が2社、ペトロブラスとヴァーレですけれども、この2社だけで時価総額が全体の4分の1以上を占めますので、この2つの株価の動きが全体の動きを引きずるということになります。

    特にこの、今年7月以降ですが、世界的な不透明感が高まったために資源株が大きく下げてございます。これはブラジル以外を含めてそういう状況にございます。このために、この2社が大きい比率を占めるBOVESPAの下げ幅が他国に比べると大きくならざるを得なかったというふうに分析できるものと考えております。

    次にインフレ率と政策金利、Selicについて見てみます。ご存知の通り、物価の誘導としまして政府の目標は標準4.5%、それから上下に2%ずつの幅を許容するという目標を置いてございます。ただ現実には物価指数でありますIPCAがこの上限であります6.5%を上回る水準で推移しております。

    スライドにお示ししております数字、6.71%、これはこの6月までの過去12ヶ月の累計でございます。これも先週金曜日に新たに発表になりました数字、この7月までの12月の累計ではついに7%を上回りまして7.1%という高水準になっております。

    こういったインフレの圧力に対しまして、中銀としては金融引締め策を継続しておりまして、今年に入ってからも1月から7月までの間、5回にわたって利上げを行いまして合計1.75%、現時点ではSelicは12.5%に達しています。

    これと併せまして、金融引締めのもう一つの施策としまして、個人消費向けのクレジットについて、量、ボリュームですね、量を抑制するといった政策もとっておりまして、これも効果を表すようになってきております。これを反映しまして、今後のインフレ率の推移としては、現状よりは落着いていくというふうに見ております。

    最初のスライドに戻らせていただきます。以上の点を踏まえまして上期におけますマクロ経済の動向をまとめてみたいと思います。まず一つは、インフレですとか個人消費のバブルに対する懸念から政府は金融引締めを行っております。この中に先程申しました通り個人向けのクレジットの抑制が含まれておりますので、この結果としまして消費の拡大ペースはやや鈍ってきております。

    この結果として内需主導型であるブラジルの経済成長率も年初の予想からは若干後退しております。もう一つの金融引締め策としまして利上げが続いてきております。この影響としましてレアルが為替マーケットで買われておりまして、工業製品の輸出競争力が失われるといった状況が現時点でも続いております。

    それでは次に為替の動向について触れさせていただきます。このグラフではドル・レアルの為替レートと、政策金利であるSelicにつきまして過去3年間の推移をお示ししております。左側の縦軸が為替レート、右側の縦軸が金利水準です。本年上期というのは、この右側の部分になりますが、ご覧の通り比較的狭いレンジの中での動きになっておりますけれども、トレンドとしては右下がり、すなわちドル高が進んだということが言えます。

    ご存知の通り先進国では景気の停滞が続いておりますけれども、その景気対策として流動性が各国で大量に供給されております。こうした流動性がこのブラジルの高金利につられる形でどんどん国内に入ってくるという状況が続きまして、年初時点のドル・レアルレート、1.7前後の水準から4月にはいったん1.6を割込むところまで強くなりまして、さらに、これはすいません7月の頭までのグラフなんですけれども、7月に入って以降ですね、米国の債務上限問題によりましてドルが一段安となりましたものですから、一時は1.55を超えるところまでレアル高となりました。

    ちょっと余談になりますが、ご存知の通りブラジルでは為替レートをお話します時にもまあ金利水準との比較を考えなきゃいけないことになるんですけれども、実は先々週サルバドールで日伯経済合同委員会が開かれました時にも金融について簡単に発言させていただく機会がありました。

    その時に申し上げました点としては、インフレ対策としての利上げ、これはまあ理解できるわけですけども、これほどまで全体金利水準が高いと長期投資、特に設備を対象とした長期投資に対しての意欲がどうしても削がれるということを申し上げました。

    確かにそうは申し上げたんですが、この日伯経済合同委員会がサンパウロ地元の某日本語新聞で取り上げられましてですね、その記事の中で、高金利政策に対して小西というやつが非難したと、まあ不満を表明したということをお書きいただきましてですね、中々ちょっとつらい思いをしたので。もし今日のこのシンポジウムが記事になるようでしたら、高金利政策に伴う問題点を指摘したぐらいの、お手柔らかにご表現いただければありがたいと思います。

    さて為替にお話を戻させていただきます。こうしましたレアル高の動きの中で、当然ですが政府としては様々に対策を打ってまいりました。昨年末ですけれども、海外からブラジルの国内に入ってくるですとか株式に対する投資について金融取引税、IOFを導入いたしました。

    これに続きまして今年の3月には短期の外貨債務に対してIOFの利率を6%に引き上げました。で何に対してこのIOF、6%を適用するかという対象ですけれども、当初期間1年以内の短期の債務を対象としておりましたけれども、その後期間2年までの債務を対象とするというふうに対象を拡大しております。

    さらに今年の7月になりまして、先物市場でのドル売りポジションに対してIOFを新たに導入いたしました。足元、直近ではレアルは米ドルに対しまして1.6前後の水準にありますけども、これはすなわち先程の7月の水準に比べればややレアルが弱含んでいるという状況ではございます。

    で、何でこうなったかというところを考えてみるんですが、もちろん一方ではIOFの導入などの政府の対策があるわけですけれども、レアルが若干弱含んだ要因としては、こういった政府の努力というよりは外部要因によるものだというふうに考えております。

    すなわち米国の債務上限問題とそれから国債の格下げ、それから欧州のソブリンリスクの高まり、こういった世界的な動きに引きずられたものだというふうに考えております。このレアル高につきましては、10日ほど前だったと思いますが、先々週の金曜日ですね、当商工会議所の月例の昼食会の席におきましてゲストスピーカーとして貿易審議会のエミリオ・フィリョ局長がお話をされたので、ご出席された方は覚えていらっしゃる方もたくさんいらっしゃると思います。

    非常に歯切れのよいコメントがございましてですね、まあ政府がこのようにして色々なレアル高対策を打っているように見えるけれども、いずれも本質的な解決にはなっておらず、いずれ来たるべき日に抜本的な対策としての金利の引き下げ、これができる日が来るまでの、対症療法と言っては何ですが、場つなぎ的な施策をとっているに過ぎないというご発言がございました。これはまさにご指摘の通りだというふうに承った次第でございます。

    次に銀行業界についてご説明させていただきます。まずスライドの上側のテーブル、これは貸出残高をまとめさせていただいたものでございます。本年度上期の貸出残高、右端の欄でございます、をご覧いただきますと、個人それから法人ともに前年に比べてそれぞれ7%、6%ということで上昇してございます。

    ただし注目点としましては、前年同期比、前年同期の伸び率が個人では8%、法人では8%でしたから、伸び率自体は前年に比べると鈍ってきているということがご覧いただけると思います。この背景として考えてみますと、先程の通りですが、中銀が景気の過熱感に対しての対策として個人消費をソフトランディングに向かわせるために個人向けの無担保クレジットを抑制しているということがございます。

    具体的には銀行が個人向けに貸し出しをしました場合に要求される自己資本比率ですとか、それから一般引当率、これを昨年12月に引き上げております。中銀の規制として引き上げております。こうしたことが伸び率の鈍化に繋がっているというふうに考えております。それから次に下側のテーブルをご覧下さい。これは延滞率のテーブルでございます。

    個人向けにつきましてはちょっとこの表からはご覧いただきにくいんですけれども、この延滞率自体も今年の3月をボトムとしましてその後徐々に高くなってきております。この背景ですが、色々考え方ある中で一つ重要なポイントとして考えられますのは、無担保の個人向けのクレジットについて先程の通り量的な規制が強くなっております。

    こうした中で、追加の借り入れがしにくいという状況が起こっておりますので、金繰り上やや厳しくなって延滞率が増えているというふうに見られております。法人につきましても、これは表でご覧いただけます通り、延滞率が若干ではございますが上がってきております。

    これらから考えられます点は、それぞれの市中銀行の融資姿勢がやや厳しいものになってきているということでございます。一方でクレジットの絶対数というか、国全体の合計について考えてみますと、これはブラジルではGDPに対して50%未満という状況でございます。

    この一つの大きな要因としては、住宅ローンのマーケットがブラジルでは未発達であるということは考えるべき点ではありますけれども、それを考え合わせてなお、中国ですとか先進国ですとかに比べると低い水準にございます。従いまして貸出残高が伸びるといいながらこのスケールがある程度の範囲である限りにおいてはバブルにつながるようなものではないというふうに考えております。特にその、個人向け貸出の抑制施策がとられたということはソフトランディングに向けての適切な施策だというふうに考えております。

    それでは、以上を踏まえまして、今まで申し上げましたことを踏まえて下期のブラジル経済および金融を展望したいと思います。総論としましては個人向けクレジットの引き締め策のために消費拡大のペースはやや落ちてきまして、年間の経済成長率は3%台半ばからせいぜい後半にとどまるというふうに考えております。

    また、個人消費の伸びが鈍化するに伴いまして、インフレも徐々に落着いてくるものと考えております。そういった中で政策金利としては現在の12.5%を当面は維持できるものというふうに考えております。一部には年内にも利下げがあるんじゃないかという観測があるということは承知しておりますけれども、果して利下げを許容するほどまでにインフレが収まってくるだろうかというところについてはいささか疑問が残るのではないかというふうに考えております。

    他方で、留意すべき点としましては、外部的な不確実性の高まりでございます。しつこいようですが欧州のソブリンリスク、米国の格下げ、あと中東の政治情勢。こういった世界の動きの中で、まあブラジル経済自体は非常に、国内、内需主導型ではありますけれども、そうはいっても海外からの影響を遮断できるものでは決してありませんので、そういった意味で、例えば銀行業界につきまして申し上げますと、リスク回避といった動きが強まるとしますれば、例えば中小銀行の資金繰りに影響を与えるといった事態もまったく考えられないというわけではございません。

    ただ、今後の見通しとしましては、少なくとも現時点ではまだ2008年のリーマンショックの時のような流動性危機が起こっているわけではございませんし、かつリーマンショックが起こりました時にもブラジル中銀は積極的に市場に対して流動性を供給しましたので、そういったことによって深刻な問題を回避し得ましたので、今回さらに事態が悪化するようなことがあったとしても政府の舵取り次第で何とか対処ができるものだというふうに考えております。

    為替相場の展望ですけれども、一方で対米ドル1.5を例えば試すようなレアル高というのも考えにくいとは思っておりますけれども、先進国の景気回復が遅れておりますので、現在のような内外金利格差、これは今後も続かざるを得ないというふうに考えております。この結果としまして、レアルが弱い方に動く要因もいささか少ないと思いまして、以上まとめますと為替レートとしては1.6から1.65程度の水準で高止まりするものというふうに考えております。

    それでは4番目の点、保険業界についてご説明させていただきます。まず一番下の行、合計の行をご覧下さい。本年1月から5月までの伸び率12.7%というところでございまして、これは昨年、2010年の伸び率も12.8%でしたので引き続き堅調に伸びてございます。特に上から2行目の火災保険ですが、これは実に20%以上の伸びを示しておりまして非常に著しい成長を遂げております。

    前回のシンポジウムでもお話させていただきましたけれども、ブラジルの保険市場の規模は円に換算しますと3兆円程度ということでして、これは日本の大手保険会社1社程度の規模でしかございません。この点は人口規模などを考えますと市場の開拓余地がまだまだあるということでございまして、今年の下期を含めて今後も保険市場の拡大が続くものというふうに考えております。またこの点は前回のシンポジウムで簡単に触れさせていただきましたが、再保険市場での規制の強化につきまして足元の動きをご説明申し上げます。

    従来はブラジルではIRBと申します再保険公社、元々公社でした、が再保険マーケットを独占しておりました。この会社はその後半官半民となりまして、2008年には再保険市場がようやく開放されるに至りました。それ以降海外の保険会社ですとか、再保険会社がブラジルの再保険マーケットに参入してまいりまして、現在では90社の再保険会社が当局に登録しております。

    まあ当然の結果としまして政府系の再保険会社でありますIRBの保険収入は激減することになりました。こうした再保険マーケットの開放によりまして、日系の保険会社を始めとしますブラジルで保険事業を行う外資系保険会社の本社がブラジルで再保険業務を行えるように当局に登録しているわけでございます。その目的としましては、親会社ですとか子会社を含むグループの各社がお互いに協力することによりまして幅広い保険サービスをマーケットに対して提供しているということでございます。

    ところが昨年末、12月になりまして、突然再保険に関する規制を強化する通達が出されました。当初の予定では本年1月からその中身が適用される予定だったんですが、主に2点、一つはブラジル国内の再保険会社へ出再することを義務とする点、それからもう一つはグループ会社の間での再保険取引を禁止するというものでございました。

    こうした規制の強化が行われますと、再保険の開放によって可能になっていた保険サービスの提供ができなくなりますので、業界にとっては大問題でございます。これを受けまして業界では抗議活動を行ってまいりまして、規制の強化は延期こそされたんですけども結局本年4月より、この※1の通りですが、主に2点、一つはIRBを含む国内の再保険会社に対して40%出再することが義務になりました。

    またもう一点としてグループ会社の間での再保険取引、これは20%までに制限するという規制がすでに始まってございます。こういった影響のため、今後につきましては2番の通りなんですけれども、企業物件の巨額のリスクを引受けることですとか、ないしは保険料率が上がったりとかいった形の影響が懸念されておりまして、今後の展開が非常に注視されるところでございます。以上を持ちまして金融部会からのご報告とさせていただきます。どうもご静聴ありがとうございました。

    司会:
    ただいまの発表に対しまして何かご質問ありましたら、挙手、それから所属、お名前とともにお願いいたします。何かご質問ありますでしょうか。特にございませんようですので、小西さんありがとうございました。続きましてはコンサルタント部会、都築部会長よりお願いいたします。

     

     

     

  • コンサルタント部会  都築慎一  部会長

    コンサルタント部会

    皆さんこんにちは。コンサルタント部会の都築と申します。よろしくお願いいたします。

    早速なんですが、コンサルタント部会はご存知のようにサービス業で、特に業界の動向というのは非常にないものですから、それぞれの、契約といいますか、お客様との話し合いでサービス等を実施しているということになりますので、申し訳ないんですが、上記の回顧と下期の展望というテーマではなくでですね、会員皆様のコンセンサスを得まして、今回の第2回目はブラジルに新規投資をされる企業でですね、こういうところに行っているコンサルタントから色々勉強させていただいた留意点、注意点等についてこのシンポジウムで簡単にご説明差し上げたいと思います。

    それから、先程も会頭からちょっとお話がございましたが、今月の初めにジウマ政権の方から発表になりましたBrasil Maior Plan、Plano Brasil Maiorというかなり色々な施策が盛り込まれたプランがございまして、これについて説明をさせていただくということにしておりますので、二つ抱えてありますので、ちょっと長くなりますがよろしくお願いいたします。

    まずはこのBrasil Maior Planというのから始めます。まず関連法律なんですが、8月2日に政府の方からMedida Provisoria、暫定法の540と541というのを出しまして、これにMaior Planというのが全部載っています。540は主に税制恩典のことについて書いてございまして、今日の報告の中ではこの540の内容についてご興味がおありになられる方も多いと思うのでご説明したいと思います。

    まずこのPlano Maiorの期間なんですが、計画は、一応目標と、それから具体的な数値目標も掲げていますが、計画期間は今年の8月から2014年末までというのを計画の期間としております。そして、目的では国内、国外市場での内国製造業の競争力を高める、同時に労働雇用者増加の機会を増やすということを謳っています。

    これはご存知のように、ブラジルは今非常にBooming Countryということで内外からの投資が増えているわけですけれども、他国と比べた場合に技術力は推移しているだろうかということを考えますと、決して、国内製造業を含めて技術の蓄積とか研究開発という面ではいつも開発途上国の中で2番目に属するというところから脱皮できないという状況が続いていると。これを何とかしたいというのが感じられる計画になっています。

    手段としましてはここに書いてございますように、税制恩典、それから政府からのBNDES銀行を通じた融資の拡大、それから輸入品等に対するダンピングやモニタリング、相殺関税を含めた取り締まりを強化するということで、多少保護政策というのが暫定措置法の特徴になっています。

    で、主要な政策を次に書きましたけれども、1番、投資税コストの軽減及び輸出品のコスト軽減。これはPlano Maiorの中に書いたものを日本語にしたんですけれども、具体的にはもう少しちょっと違う面があるんですが、まあ表向きはこういう形のスローガンになっています。

    2番目が投資及び輸出への融資拡大と審査の簡素化。次に、技術開発利用手段の増大。それから、関連法規の改正を通じた技術開発への投資を誘導させる政策。それから、零細小企業への税法上の支援。これはもうすでに発表されて、いわゆる零細企業のですね、登録ができる税務上の恩典がある、こういうような零細企業への登録の売上高の幅を上げたことで登録企業が大幅に増えることになりました。

    それから6番の一定の国内産業の育成保護、これは後でまたご説明いたします。7番が生産過程における付加価値と技術の蓄積を目指した特別制度の創設。これは自動車業界を主に指して、国内技術の蓄積を目指すような政策を取るつもりであるということを謳っています。それから8番、政府による国産品調達優先策の法規の施行細則公布。これは、25%まではですね、政府が買い上げる時にですね、国内産業を優先して買いますと。外資系はその外という、25%の枠というのが実はあったんですけれども、これも細則をして保護をするというのを明確にしています。

    この中でひとつ面白いというか、我々の興味があるのが出てきたのは、投資をする場合にEx-Tarifarioというのがございまして、要するに国産品に同じようなものがないような場合には輸入税をゼロ%とか2%とかに下げて構わないという、機械等の輸入に関してまあ輸入税の減免措置があったわけですけども、今回の計画の中では、特に中古品等の機械等を持ってきた場合に、仮に国産品がなくてもEx-Tarifarioを使って輸入税を減免するということは中止するというふうに出ています。

    ですから他の国で余っている機械等をブラジルに持ってきてやるという形でEx-Tarifarioを使える場合が今まであったんですけれども、これがなくなるというちょっとネガティブな話になっています。

    次が、このBrasil Maiorプランで出てくる税制恩典を要約したいと思います。先程輸出業者に対するですね、融資の方はちょっとここでは申し上げませんが、輸出がご存知のように為替のレートが非常に国内通貨高になっている関係上なかなか難しいと、国際競争力がなくなってきているという状況の中で、輸出業者を助成するという政策がとられました。

    具体的には、ここに書いてございますようにREINTEGRAという名前を付けまして、工業品の製造者の輸出については輸入部品が一定限度内で使用されていることを条件に輸出売上高の3%までの金額を還付するというふうになります。2012年末までの輸出が対象であると。還付割合は輸出業者の事業により異なることとして、政府の政令で決定すると。つまりこれから出る細則によって決まってきますというふうになっています。

    この還付はですね、現金または他の税金の支払いに充当させるクレジット等のいずれかの選択を通じて行われると。つまりどちらでも受ける方の側の選択が可能ですというふうになっています。具体的には、今申し上げたように政令が出ませんので、こういう政策を行いますということが発表されただけですけれども、近々に細則が出てくるものと思われます。

    次に、売上高に関するPIS・COFINSという税金が、日本の消費税にあたるものがございます。これは、ブラジルは産業ごとに色々政府が介入しまして税率等を変えているんですけれども、特にこの製造やサービス提供に使用される固定資産取得に係るPIS・COFINSについては今後一括の仕入れ控除をするということができるようになっています。

    PIS・COFINSというのについてはですね、今まで減価償却に応じて、買うときにはご存知のようにPIS・COFINSがついて、価格の中に入ってくるわけですけれども、これを仕入れ控除する時には今までその固定資産の減価償却に合わせた形で一括してそれをクレジットとして使うということはできなかったんですけれども、今後それを一括控除するというふうに変わっています。

    とりあえず急に明日からというふうにはできないので、ここに書いてございますように、2012年7月以降の取得について上記の措置をとると。それまでは移行措置としてですね、少しずつ少しずつ期間を短くするような形で控除ができるというふうになっています。ちなみにICMS等につきましては4年間で控除するということになっていましてこれは変わりません。

    それから機械等に係るIPIが仮にあった場合に、IPIというのはコストになって、これはその一括控除の対象というのにはなりません。それから次に、国産タブレットPCの小売段階での売上に係るPIS・COFINSをゼロ課税とするというのが時限立法の形で出ています。それから、港湾施設等についての、これも特別なのでご興味のある方は実際に細則が出てから見られるとよろしいかと思います。

    それから、前回の2月のシンポジウムで発表させていただきました、政府の税制改革ということの中で、輸出競争力をつけるために政府は社会保険料企業負担分を軽くすることを考えているということを申し上げたんですが、その後この政策につきましては2月から紆余曲折がございまして、5月にはマンテガ大蔵大臣から財源確保する考えを表明すると。つまりこの考え方は継続しますと。

    ただしこの財源を別のところからとらない限りできないので、どこからこの財源をとるのかと、別の税金をアップすると。で我々や民間の方からの話では例の小切手税、金融取引税、これを復活させるような形でしたらいいんじゃないかという案があったんですけれども、結局その後変わりまして、ここに書いてございますように、とりあえず対象を衣料品それから履物、家具、ソフトウェア―プログラム製作に限ってですね、これらの産業の行っているうちの輸出品、この部分について、労務費の製造原価に占める割合が非常に高いので、ここについては競争力がなくなっているということを考えてですね、緊急支援するというふうになっています。

    よって期間は2012年の12月31日までというふうに決めまして、上記企業のINSSの企業負担分について、現在は企業は役員報酬や給与の20%を企業負担分として社会保険料を払うわけですけれども、これを今度変えまして、これらの産業については売上高の1.5%の金額に直しますと。ただし輸出は除く売上高。

    それからソフトウェア―についての製作については2.5%というのを出しています。これらの業界以外のところは今まで通り役員報酬の20%をですね、社会保険料として、企業負担分として払うということは変わっていませんが、これはとりあえず試験的に行うということで、これがうまくいけば他の業界にも回っていくというふうな感じです。それから輸入品に関してもPIS・COFINSの税率を1.5%アップするというふうになっています。

    次に自動車業界のIPIの変更というのが行われていまして、ここに書いてございますように2016年7月31日までの減税の適用可能ということで、輸入車両についても適用すると。ただし政府の通達する条件、今後通達する条件に従うことというふうになっています。でこれを満足する場合にはですね、IPIの減税を行いますよということで、技術を、国内技術を開発させるような制度を何とか呼び込みたいと。

    こういうふうな、それから国産品の調達比率を上げさせたいと、こういうのが全部条件に含まれるということになっています。当面の措置としてはですね、同じ日付で出たDecretoというのを通じまして、トラック、トレーラーとかバスなどに与えられているIPI減税を延長しています。煙草についてはちょっと省略します。

    次にSUDENE、SUDAM地域。東北伯やアマゾン地域の方ですけれども、これらのところでプロジェクトを遂行する企業はですね、現在のところ2013年までは法人税の減免が75%で期間10年というのがあります。これは変わらないんですが、これに新たにひとつ制限を加えまして。政府が出しているデジタル・インクルゾンというプログラマというのがございますけれども、この中に、このプログラマに合致したデジタル技術に基づく機器等の製造者には特に100%の法人税免除をいたしますよということです。すでに現在75%の恩恵を受けてデジタル機器の製造を行っている、同地域でですね、企業については2011年8月から、つまり今月からさらに10年間期間延長して75%の減免を差し上げますということです。

    これらの法律の効力については、多くの項目が細則待ちということになっています。これをちょっとここに書いてございます。

    次、時間もないので、日系企業の新規ブラジル投資に関する留意点ということについて述べさせていただきます。先程もお話がございましたけれども、ブラジルに進出してくる日系企業、現在のところこのような数字が出ています。これはジェトロサンパウロ事務所さんの方からの資料をお借りしていますけれども、ここに書いてございますように、実際の数字はさらにこれより多いということが予想されますので、実際にこの数字かどうかはちょっと申し訳ないんですが確認はできておりません。

    ただ傾向としましては20社ぐらい、去年から10で、また今年も同じぐらいの会社が出てきているんではないかというふうに見られています。で、M&Aについて見てみますと、会社名はここで全部発表されているものなんでございますけれども、今回のシンポジウムでは目的が違いますのでここには名前を出しておりませんけれども、2008年から少しずつ少しずつ増えておりまして、色々な分野にですね、買収が行われているということが分かります。

    それからさらにこれ以外に商社さんが主導されて資源等のですね、獲得を目指すブラジルとの企業の合弁事業もエタノール生産等ですでに数社進行中。それから鉄鉱石なんかの採掘もある商社さんがこちらとの合弁でされておられるということもございます。こういうような背景の中で、我々M&Aをやっておられるコンサルタントの方等もございますので、注意点というのについて色々話が出てきましたので、これについてもご紹介したいと思います。

    買収に関するブラジルでの注意点というのを簡単に述べますと、まず二つに分かれるんですが、買収では資産を取得するのか、それとも株式を取得するのかというのが税務関係から見た場合出てきます。これをだからどっちなのかはっきりして考えると。2番目に直接投資として行うのか、もしくはブラジルに設立した持ち株会社を通じた形で投資するのかという問題がございます。この場合はここに書いてございますように、投資ののれんの償却の問題が出てきます。

    日本から直接投資をした場合には、仮にこちらのですね、実算価格よりも大きな金額で払った場合には、この差額が一体何から発生したのかというのを国際会計基準では分けて考えると。一体何のため出てきたんだろうか、例えば棚卸資産の時価評価のために出てきた、もしくは土地の時価評価から出てきた、もしくは無形資産としてクライアントリストが非常に価値があるために出てきた、そして最後に、よく訳がわからないんだけれども残った金額というのがグッドウィルと言われるのれんというふうになっています。

    日本の税法では、このグッドウィルの償却についてはできますけれども、ある程度の制限を加えています。それからブラジルでも同じように制限は加えているんですが、ブラジルは税法上は今みたいに分ける事なく、純資産を超えた金額は全部グッドウィルと、税法上ですけれども、というふうになって、これを償却できることができるようになっています。

    したがって節税対策という意味では日本よりもブラジルの持ち株会社を作って投資を行い、そこで持ち株社で出てきたのれんを償却すると、全部、そういうやり方がメリットがあるということが言えます。それから注意点としては過小資本規制に対して注意するということが言われています。

    それから、ローンで資金を手当てするという場合には720日以内の外貨建て貸付にはIOF6%が課税されるという大きな税金がございますので注意が必要と。それから買収先が税制恩典を受けている場合には将来コアビジネスの変更などに制限がなされていることがあるので注意ということもございます。

    これは、例えば現在やっているコアビジネス以外にさらに増やすならいいんですけど、変えてしまうというふうな時には税制恩典を今度はつかえなくなるような場合もあるので気をつけないといけないですよということです。さらに税務上の欠損金が相手にある場合、これは一般的には株主が変わると使えなくなりますので、この辺も気をつけないといけないということですね。

    次。移転価格税制をクリアーして事業が成り立つのかのシミュレーションをきちんと行うと。ご存知のように極めて特殊な税法ですので、非常にビジネスが難しいということもあり得るわけで、先に事前にスタディーしておくことが必要と。それからブラジルの内国企業にはファミリー経営も多く、総合製造原価計算制度を持たない企業も多いと。

    またキャッシュフロー計算書などの存在しないところも多いと。税務、労務の偶発損失等をですね、Due Diligenceで調べるだけでは十分ではなくて、財務諸表の損益計算書上の損益やEBITADA数値等によく注意すると。そのための資料というのが中々ないと。特に今後出る利益率等についてですね、ブラジルの場合は信用できるかどうかよく気をつけないといけませんよと。

    理由は、この総合製造原価計算制度をとっていないところが多いんですね。税務上の原価計算で行っているために会計上の原価がはっきりしていないというところが多いということです。それから最後に、相手の会社の経営上の文化やフィロソフィーに対するDue Diligenceも大切と。

    つまり、会社を買うということは、そこに働いている人たちも買うわけでして、その場合やはり経営上の日本の文化を持ち込むときにやっぱりカルチャーショック等も起き得るわけで、この辺ですね、日本の会社が買うに値するような文化があるのかどうなのか、そうじゃないと買った後非常に労務問題等で苦しむということがあるので、この辺のDue Diligenceも大切ですよということです。この辺の色々な情報提供は、プライスウォーターさん、それから我々デロイト、それからウエノ・コンサルティング、これらの皆さんから情報提供をいただきました。

    次に、一般的に挙げられるブラジル投資の進出時の問題点というのをご報告いたします。まず、外国からの投資、現地法人設立手続きが複雑で、日数を要すると。それから税制が複雑であると。次、労働法が硬直的である。だから外国人の労働許可に日数を要すると。また労働許可を得て入国したところで、外国人登録に日数を要し、外国人が中々社長、役員に就任できないと、それまでに時間がかかるというふうな問題が起きています。

    それから、非関税的な複雑な輸入手続き。例えば新規設立会社のRADARシステムへの参入が制限的で日数を要すると。それからインフラストラクチャーが未整備というふうな、このような色々な問題が挙げられました。

    で、一番コンサルタントとして感じていることは、これらの問題をクリアしたところで、日本から投資する企業は本社でブラジルの進出の工程表を作成すると。ただし、まず工程表の予定通りに事が運ばないので、予定通りの事務所設営であるとか工場建設ができないというのが通常であるという問題点が皆さんから出されました。

    その理由というのは、ブラジルと日本の文化の違いにあるのではないかと。特に、許認可を出す連邦、州や市の公的部門にせよ、建設、原材料供給者の民間部門にせよ、時間・納期の観念が日本と全く異なり、予定通りに進まないということがあるかもしれません。

    で、この辺は非常に難しいんですが、まあ何年何月何日にですね、販売あるいは生産開始をするためにいつ現地法人を設立すれば良いのかとかですね、逆算していくような発想でもって計画を日本の方はお作りになられるんですけれども、必ずこういうふうにはうまくいかないということが多いということなので、どうしても時間的に余裕を持って対処していくことというのが大切であるというのが皆さんからの意見として出されました。特にこの辺の情報は関根コンサルタントからの情報を中心にお話させていただいています。

    次に、ちょっと時間が延びていますが、人事採用の留意点手短にまとめさせていただきます。まず起きている問題というのが、ここにございます人件費の高騰、好景気によって専門職が非常に不足していると。

    一例として、データはauthent人材コンサルティングさんから提供を受けましたが、秘書の場合、ポルトガル語は当たり前ですけれども、さらにバイリンガルの、日本語、英語ができると。バイリンガルじゃないですね、3ヶ国語できるという場合、2005年ですと大体4000~5000の給与だったのが、2011年では5000~6000に上がっていると。5年間で25%以上の給与相場上昇と。まあこれは一例であって、技術者なんかもこれ以上に上がっているということです。

    というわけで、人件費の占める割合というのがやはりかなり高いので、気をつけないとここら辺は難しい問題が出てくると。次に出てきたのが、人事採用の留意点ですが、履歴書に誤りがないか確認すること。給与が労働手帳に記録されている金額とマッチするかチェックすること。それから債務の支払い返済に困っていないかチェックすることというふうに細かいサジェスチョンがauthentさんの方からございました。

    これは実際にこういうことで問題が起きているからということだそうです。さらに、日本から来られると技術職の大卒教育レベルが日本と比べると一般的に低いので、日本から来られる方はびっくりすると。で採用する時に給与は非常に高いのに内容が伴っていないということもあるみたいなので、事前にですね、専門知識についてよくチェックするということが必要であると。特に、残念なんですが、卒業するその大学のレベルによってやっぱりレベル格差も相当大きいということがありますということでした。以上、駆け足ですけれども、ブラジルで新しくビジネスをする時に我々が見聞いたしました事柄についてご説明申し上げました。どうもご静聴ありがとうございました。

    司会:
    都築さんどうもありがとうございます。たいへん我々にとって興味深い内容だったと思います。なにかご質問ありますでしょうか。では若干、ブラジルタイムといいますか、5分だけビハインドですので、次、自動車部会中西部会長様、ご発表お願いします。

     

     

     

  • 自動車部会   中西俊一 部会長

    自動車部会

    それではですね、自動車部会を代表して私の方からシンポジウムの発表をさせていただきます。今日はこういう項目においてやらせていただきます。

    まず四輪業界の動向ですけども、この表ですけれども、棒グラフで1月から6月までの販売台数について示しております。乗用車・商業車が青、薄いオレンジ色がトラック・バスとなっておりまして、オレンジ色の折れ線がトラック・バスの前年同期比、同月比ですね。それから乗用車・商業車の前年同期比がブルーの折れ線となっております。

    2011年はですね、堅調な経済に支えられておりまして、この3月を除いては各月前年同期を上回っております。上半期の販売台数実績は174万台ということで、まあ前年比110%となっております。

    3月はですね、去年の3月がIPI減税、乗用車のIPI減税の最終月だったためにかなり市場が高くなりましたので、その影響で3月は割れております。そのIPI減税ですけれども、乗用車につきましては今申し上げました通り昨年の3月末で終って4月からは従前のですね、率に戻っております。商用車とトラック・バスにつきましては、先程都築さんからお話ありましたけども、政府が12年12月末まで減税を延長するということを発表しております。

    これはですね、四輪車の年別の販売数の推移です。2001年から示しておりますけれども、まあ昨年が351万台ということで史上最高でした。今年も、ANFAVEA、自工会が発表しておりますけれども、2月の予測、6月の予測と二つ書いておりますけども、まあ369万台ということで総数は変わっておりません。引き続き調子がいいということは全体としては言えます。

    ただ、ただというか、輸入の販売台数なんですけれども、2月には73万台と予測していましたけれども、6月に上方修正しまして85万台と。まあここら辺もですね、Brasil Maiorなんかの一つの要因になっているのかなというふうに思っております。

    次に、これは四輪車の生産・輸入台数の推移です。まあ生産につきましても、ANFAVEAの予測では過去最高の368万台というふうになっております。ただ輸入について、先に申しました通り上方修正されておりますので、輸出はそのままステイしていますから、輸出入差は拡大を予測しております。

    これは需要構造の一つとして、1L車の販売比率を見ておりますけれども、1L車の比率は01年をピークに年々減少しております。まあ、やはりあの、昨今ですね、経済も好調だということで、まあ基本的にはブラジルのお客様はよりパワーを求めますので、まあ懐も暖かくなったということでより高排気量のですね、車に移行しているという状況でございます。

    これが四輪車の支払い形態で、現金、コンソルシオ、頼母子講ですね、それからリース、ローンというふうに分けて見ておりますけれども、まあ08年末に金融取引税が引き下げられたためにですね、ローンの比率が高まってきておりましたけれども、今年4月にその税金がまた引き上げられたためにですね、今後の動向はやや不透明という状況でございます。

    これは四輪メーカーの投資計画です。2月に発表させていただいたものから赤い丸で示してあるところが新しい情報で、まあVolksWagen、Renault Nissanグループ、それからHyundai、それから中国勢ではCheryに引続きましてJACがですね、サンパウロ州での新工場を発表しております。引き続き韓国勢、中国勢が元気がいいという状況になっています。

    その韓国車なんですけれども、先程申しましたように全体としてはまあ110ぐらい今年市場が伸びておりますので、1-6では、それに比べるとちょっと落ちていますけれども、まあ何分にも昨年ですね、かなりジャンプ、アップしましたので、まあ引き続き好調には推移して来ているということは言えると思います。まあ我々にとってもたいへん脅威であります。

    この現象、2月には全然なかったことなんですけれども、まあ最近起こったこととしてトピック的に挙げさせていただきました。インポートライセンスの発給問題ということで、まあ経緯としましては、このインポートライセンスというのは我々がアルゼンチンで作った完成車をブラジルに輸入するに当ってのインポートライセンスの発給問題です。経緯としましては昨年の12月10日にですね、アルゼンチン政府が輸入ライセンス制の対象品目に自動車を加えるとともに、2011年輸入ライセンスの発給を2010年実績の8割までしか認めないと公表しました。

    で今年2月にはさらにですね、ライセンスの対象400製品から農業製品、家電製品など約600製品に義務付けを拡大したと。かつ慢性的な発給遅延がアルゼンチン側で発生したと。それに対して5月にブラジル政府が報復措置として、アルゼンチン製の自動車の輸入ライセンス発給につき、それまで自動承認、最大10日で承認されていたんですけれども、ブラジルの開発商工省の認可制とすると。

    で、かつそのリードタイムはWTOで許されている最大60日までとするというふうになりました。それに対してですね、日本の政府も非常に協力して頑張っていただきましてですね、先日サルバドールで行われました8月8日の日伯貿易投資促進合同委員会でですね、岡田審議官よりブラジル政府に対して善処を申し入れていただいております。

    まあ課題としましてはですね、アルゼンチン製だけでなく日本製、他国製輸入車も対象になっていると。それから、現在、週1回ですね、我々自工会を通じて開発商工省へ発給要望リストを提出しておりますけれども、まあ安定的な発給がこれまで必ずしも行われておらず、まあ私の会社としまして言わせていただくと、まあ在庫がたまったりしてですね、中々お客様に約束した納期を守れないとかですね、まあそのような状況も発生しております。

    ただですね、岡田審議官から申し入れていただいたおかげで、最近、まあ順調というんですかね、ひところの停滞はなくなりまして、かなり良い方向になりつつあります。ただあの、ただただばっかりであれなんですけども、アルゼンチンが10月末の大統領選までですね、まあ非常にこの貿易赤字に困っておりますので、保護主義的な動きが出ないとも限らないと。そうなってくるとまたブラジルもどう反応するか分からないというところで、非常に何というか、ちょっと心配しているというかそういう状況であります。

    ここまで話すと、先程の小西さんの話ではないですけれども、中西は伯亜両政府を批判しているなんていうふうに、あの、思われるとちょっと困ってしまうんですけれども、これしゃべるのやめようかなとさっき途中で思ったんですけれども、まああの、真摯な気持ちでですね、我々やっぱり企業としては、メルコスール協定というのは投資の大前提として考えておるものですから、まあ両政府にはぜひともですね、スムースな運用をお願いしたいなというふうに考えております。そのようにご理解ください。お願いします。

    次に二輪車の動向ですけれども、これがホンダさんにご協力いただいて作ったものですけれども、生産と販売の推移です。このブルーのものが生産で、濃いブルー、棒グラフですけれども濃いものが年別で、薄いブルーが1-6月を2007年から取り上げてもらっています。で折れ線の緑のやつが輸出の台数で、それぞれ濃いものが年別、薄いものが1-6ですね。これ、まあピンクというんですかね、の方は国内の市場を同様に表しております。

    まあ上半期はですね、二輪市場103万台、生産108万台、輸出は3万台ということで、前年をそれぞれ大きく上回っております。堅調なファイナンス販売を背景に、08年、この水準までですね、二輪車市場いったん落ち込んでいましたけれども、回復しているという状況ではあります。

    これは月別の推移ですけれども、まあ3月を除いて前年を上回っておりまして、今後の引き締め政策が懸念材料けれども今後も緩やかな拡大傾向が続くというふうに予測されております。

    これは支払い形態別ですけれども、与信の引き締めが2008年9月にあり、大幅な販売減少、二輪として、先程申し上げましたように要因になったんですけれども、まあ最近はファイナンスも緩やかに拡大基調でローンの比率も上昇しているということでございます。

    最後にですね、部品業界ですけれども、まあやはり四輪二輪とも生産・輸出台数増加に伴って、昨年大きくジャンプアップしたけれども、売上が、それを上回るというふうに今年も予想されております。大変簡単ですけれども私からの報告は以上とさせていただきます。どうもありがとうございました。

    司会:
    中西さん、率直なコメントありがとうございます。誰かご質問ございますでしょうか。多分中西さんですから率直にお答えいただけると思います。ありがとうございます。では続きまして、電気電子部会、筒井副部会長様よりお願いいたします。

     

     

     

  • 電気電子部会   筒井隆司   副部会長

    電気電子部会

    皆さんこんにちは。今回は三好部会長がご出張中ですので、私の方で代わりにご説明申し上げます。

    今日は3点ほどについてお話をさせていただきたいと思っております。まずは本年の市場の推移と展望ですね。それから家電流通の動きと懸念。それから3番目といたしまして、製造事業環境の変化と展望という点につきましてお話を申し上げたいと思います。

    まず最初にですね、これは電気電子部会で約30数社メンバー会員がおりますけれども、皆さんにアンケートいたしましてですね、今年の前半どうでしたかという問い合わせをいたしました結果をまとめたものでございます。

    まず市況・外部要因としまして、やはりインフレ対策、政府からの高金利政策・クレジット抑制策等がですね、まあ若干伸びつつある市場の中でそれにブレーキをかけた部分があるのではないかというご指摘がありました。

    それから、私どもの産業というのはやはり日本製の部品、特に電子部品にですね、依存している部分が大変多くございまして、3・11の東日本大震災の影響を受けましてかなりその生産・販売に対して影響があったという状況が続いております。

    これはセカンドハーフに参りましてかなり影響は和らいでまいりますけれども、当初ですね、4月5月の段階ではいつごろ回復するのか全く先が見えないという状況もあったかのように聞いております。また一部の輸入部品の不足が売上に影響してですね、我々も大手の量販店の皆さんとお話をする際に、いつになったらどれぐらい商品が戻ってくるという確約をするのが中々難しいという状況の中で、まあ韓国勢、中国勢との戦いに非常に不利な展開が若干ありました。

    また、後で詳しくご説明申し上げますけれども、流通の寡占化、これが欧米・日本にとどまらずにですね、ここでもものすごい勢いで進んでおります。まあこういうところとどうやって、うまく売上を伸ばしながらですね、なおかつ彼等の依存率をあまり上げないようにしていくかというところが今回のお話のテーマの一つとして持ち上げたいと思います。

    売上の実績と評価に関しましてですけれども、下のグラフを見ながらご説明申し上げたいと思います。まず販売実績ですけれども、まあ色々申し上げながらもですね、このブラジルの好景気に支えられて売上は結構伸びたというところが多くあります。その一方ですね、人員の変化なんですけれども、ちょっとこの矢印の指しているところが違ってこっちの方なんですけれども、人員の変化に関してはあまりその増加というふうには至っておりません。

    現状維持もしくは若干増というところでですね、今の景気に乗っかって大幅増というところまでは中々行っていないと。皆さんやはり慎重に考えておられる部分が多いかと思います。それから拡大投資、投資に関してもですね、まだ現状維持というところで、中々これはあの、ブラジルのマーケット自体が日本から遠いものですから、また税制も複雑でですね、色々と説明を要するものですから、まあよく分からないからちょっと様子を見ようかというところが実際は多いのではないかというふうに考えております。

    まあこのような状況の中でですね、売上と評価に戻りますと、好業績を残した企業とそうでない企業の二つに分かれております。前半好業績を残せた企業の方としましては、まあ基本的に消費全体が好調であったと。それからやはり営業活動をですね、かなり強化をして、変化していく販路に対して積極果敢に好条件を出していって取り込んだというところが売上を伸ばしていると思います。

    それからあの、これはおそらくシステム系のところですけれども、ソリューションビジネス、いわゆるターンキーと言いますか、商品だけもしくは機械だけを売って終りじゃなくて、それをどうやって運用・メンテナンスしていくかというところのそのソリューションビジネスに入っていって、商品の販売以降に色々その付随する契約をもって収益率を上げていったという頼もしい例も何件かレポートされております。

    また他社との協業等というところで、これは、一社でやっぱりやっておりますと中々その、買い叩かれますので、やはりコンソーシアムを組んで、例えば球場全体をオペレーションするようなアライアンスを組むと。ソニーの例でいいますと、古河電工さんなんかと色々とそのアライアンスの話をさせていただいておりますけれども、まあそういうやり方があるんじゃないかなということが好業績につながっているという原因になっていると思います。

    一方で業績に中々その苦労したというところはですね、やはり固定費がもう上昇して止まらないと、それから地震の影響もあって売上が下がったというそのダブルパンチで、結果的にそのフィックスコストが高騰してですね、事業自体見直しをせざるを得なかったというところがあったかと思います。

    それからあの、やはり、寡占化が進んでおりますので、マーケット全体の中でのその価格競争、特に韓国勢等ですね、価格競争に打ち勝たなければいけないものですから、売上は上がっているんだけれども収益性がいまいち追いつかないというところで、下手をすると売上だけ伸びてあまり魅力のないマーケットにしてしまう可能性がありますので、日本企業としましてはそこのところでですね、きちんとその収益性を確保できる売り方というものを考えていかないと付加価値がつかないというふうな理解をしております。

    我々の業界は一般のお客さんを相手にしている場合が多いものでございますから、いわゆるそのCクラスといいますか、新しい購買力をつけている層がどういうふうに伸びていくのかというのが非常に気になるところでございます。

    これは所得階層別に、左は世帯収入の伸び率を比較したものとですね、それから我々のAV・IT家電、オーディオビジュアル、ITですね、この業界におけるそのCクラス、もしくは所得階層別に占める売上の比率を、まあこういうデータがあること自体非常に私はブラジルというのは優秀な国だと思うんですけども、見た場合にですね、この黄色いところ、これがいわゆるCクラスというところでございます。

    この人口が約1億人おりまして、どんどん伸びていると。DクラスからCクラスに入ってくる人、それからCクラスの中でもC1、C2という比較的その所得の高い、月の収入でいきますと3000ドル近辺のところにいる人たち、こういう人たちが今非常に購買力をつけているということでございます。

    でこの人たちが今すでに全体の3分の1近くを占めているんですけれども、さらにですね、これがどんどん伸びていくということが予測されておりますし、この方々というのはですね、いわゆるAクラスと違いまして、一旦買って壊れたり、使い勝手が悪かったら困っちゃうんですね。ということでですね、ある意味ステータスシンボル的に信頼できるブランドのもの、それからサービス体制が整っているもの、それから持っていて人から羨ましがられるもの、こういうものに興味をお持ちの方が多いようです。

    ということで我々もですね、AクラスBクラスに関してはもう積極果敢な攻撃を仕掛けてきましたけれども、やはりCクラスの中でステータスシンボルとして我々の商品を買っていただけるお客さんに焦点を定めて利益のあるビジネスをしていくというところがある一方で、韓国勢はここをかなり戦略的に抑えておりますので、そこからそのAクラス、Bクラスに上がってくるんですね。

    で韓国メーカーはどんどんブランドイメージを上げていってAクラスを狙って行く中で、日本メーカーがCクラスを狙っていっていいんだろうかというそのパラドックスがありますけれども、そこはそこできちんと見極めながらですね、1億人いるという市場はこれは、単なる一億人全部同じ人じゃありませんので、その中でどうセグメントをつけてですね、我々が収益性もそれから売上の伸びも期待できるセグメントを狙っていくかというところがこれからの戦略戦術の見せ所だと思っております。

    ここから先はちょっと、門外不出のデータをまとめて出しておりますので、ちょっと後でノイズが出るかもしれませんけれども、あえて家電、電気電子の方でですね、まあデータというのは基本的に開示してこそ付加価値を産むものであって、まあ研究開発等のデータ以外はですね、これはむしろ共有して議論した方がいいんじゃないかという姿勢でですね、いろんなデータを開示しています。

    これはマナウスで作りました、作っておりますその電子機器類とですね、それからカンピーナスとかサンパウロを含めた品物を作っているもののデータを全て集めたものです。

    ちょっとあの、大きな誤解がありましてですね、この一番下のところのこの白物ですけども、これは年間の1月から6月までの生産の台数ベースの数字ですけれども、6ヶ月で2000台しか電子レンジを作っていないわけがありませんで、これは1000台の、単位が、ここは実数ベース、こっちは1000台単位でご理解をいただきたいと思います。

    ということで、電子レンジで行きますと200万台、去年作りましたと。今年の1月-6月同時期では193万台作りましたと、こういう理解をしていただきたいと思います。そういう訂正を踏まえてですね、ちょっとご説明申し上げますと、まず電気電子のところの家電製品ですね、いわゆるホームオーディオ、日本でいうそのステレオシステムというところですけれども、これはほとんど伸びていないというのが実態なんですが、一方でこのカテゴリーというのは全世界で今ものすごい勢いで縮小しております。

    もう年間15%、20%縮小しているのは当たり前というところでございまして、むしろ台数ベースでもって維持しているというのは非常にこの頼もしい状況ですし、半年間で5000万台作っているというのはかなり大きなマーケットで、弊社にとりましてもブラジルというのは世界でも1位2位を争う大きなマーケットになっております。

    それから小さめのオーディオシステム、これはまだ、まあ格好はいいんですけれども非常に音のボリュームが小さいものですからブラジル向けの商品としてはまだ一つ成熟していないと。それからホームシアターですね、これは、まあ液晶テレビがどんどん伸びているんですけれども、それに加えてですね、もうちょっと映画館と同じような音で楽しみたいというお客様がいますので、平均単価は下がっておりますけれども、比較的マーケットとしては大きく成長しております。

    ということでオーディオ全般としましては16%増。それからカーオーディオに至りましては、先程中西さんからのお話もありましたけれども、車の販売が伸びておりますので、それに見合ってですね。こちらの車は純正の部品、純正のカーステが少ないものですから、まだまだ穴があいていると、その穴を狙って今商売を進めているところでございます。

    ブラウン管テレビは大幅に削減されましてですね、全体で64%減。それを補う液晶テレビがどんどん伸びているということで、23%増と。これはあの、23%しか伸びてないのという見方もあるんですけれども、去年はワールドカップがございました。

    ワールドカップ向けの商材というのは全て6月までに生産を完了しております。去年はばんばんばんばんエアーで送ってですね、空輸しないと間に合わないというその、素晴らしい商売をさせていただきましたけれども、それを上回る23%増というのがこの素晴らしいマーケットだと思っております。

    ということでテレビ全体としましては6ヶ月間で440万台ということですけれども、大幅に薄型テレビに移行しているという状況がご理解いただけると思います。DVDのマーケットもですね、比較的大きな台数を作っておりますけれども、Blue-Rayと併せてですね、全体で27%増というふうになっております。Blue-Rayもようやく画質の高精彩さに理解を示していただいてですね、ようやく全体の10%ぐらいになってまいりました。

    これはしばらく、導入してからしばらくはですね、数%、2%、3%の数字で推移しておりましたので、そういう意味では非常に大きな成長が期待されるというところでございます。ぜひ皆さんもBlue-Rayをお買いいただきたいと思っております。

    その後ですね、ビデオカメラ、これはいわゆるカムコーダーという部分ですね、これはわずか4万5000台。これは若干増えておりますけれどもまだまだマーケットは小さいところなんですけども、Digital Still Cameraに関しましてはこれは非常に世界でも有数のマーケットに育っております。

    最近のデジタルカメラというのは動画も記録できましてですね、よく皆さんコンサートなんかに行かれますと、こうやって手を伸ばしてですね、写真を撮っている姿があると思いますけれども、撮った後もカメラを下ろしていない方々、この方々は動画を撮っているんですね。

    日本でデジカメを持ち込んでこんなことをやっているとすぐに没収されるんですけれども、この国はまだ撮っておれるのでまあここは非常に良いマーケットかなということで我々も一生懸命販売しておりまして、今弊社にとりましてはデジカメというのは世界で3番目の大きなマーケットになっております。ということでカメラ全体で40%の増となっております。

    その下ですね、先程も申しました1000台単位で表示してありますけれども、マイクロウェーブオーブン、電子レンジですね、これが若干下がって参りまして、まあ過程普及率が上がってきたんだと思いますけれども、ほぼまあ一周したと。

    それに対して、新しい機能をつけました洗濯機、それから冷蔵庫ですね、これはまだ25%、8%の台数ベースの伸びで増えておりますけれども、今回パナソニックさんが作られた新しいその家電工場というのもですね、かなり高機能で付加価値の高い商品を作られているということですので、やはり日本メーカーというのはそういう、そのブランドイメージに合ったしっかりしたものを作る一方でですね、CクラスDクラスに向けても比較的求めやすい商品を買っていただくという、その自分達の立ち位置というものをしっかりと理解しながら売っていかないとですね、単なる韓国勢の後追いになってはいけないというふうに考えております。

    で先程小西社長の方からですね、いわゆるその個人の遅延、まあ支払いといいますか、クレジットに対する支払いが遅れているというデータがございましたけども、我々も家電業界の中でですね、かなりここのところは懸念を持っております。

    これはIBGEという、まあTendenciasという特別なデータを取っているところと契約をしまして色々細かく見ているんですけども、こと我々の業界におけるデフォルトに関しましてはですね、今までずっと14~5%で推移していたものが、この最近、直近ですね、6月後半から7月にかけてどうも支払いが滞っている人が22%近くいるようだと。

    これはあの、この後で借り替え等ですね、こっちの電気屋さんというのは基本的に電気屋さんでなくてですね、高利貸しがたまたま電気製品を扱っているということが実態なので、返せなくなったらその商品を取り上げるんじゃなくて、またその返しやすいようなパッケージを組んでさらに買ってもらうというその、追い貸しをする人たちが多いものですから、中々これが実態が掴めないのが事実でございます。

    まあそういう中でこの、率が上がりながらもですね、なおかつ売上が伸びているというところで、我々もちょっとその、薄氷を踏む思いで進んでいる部分が若干ございます。ということを申し上げて、いわゆる、今度は後半戦ですね。下期の展望というところに話を移して行きたいと思います。

    全体的な市況でございますけれども、レアル高ドル安による輸入品で例えば中国製、もしくは韓国製、韓国ウォンというのは非常にやっぱりまだ安いものですから、この辺の部材とか中国製の製品が大量に流れ込んでくる恐れがあるというふうに懸念を持っています。

    中国メーカーも、先程中西社長のお話にありましたその、自動車だけじゃなくてですね、だんだんやはりその家電の方にも進出してくることが懸念されております。あとやはり加熱するインフレ経済下でございますので、まあ消費の拡大はいいんですけれども、取りっぱぐれにならないようにですね、しっかりとそのディーラーさんとの与信というものを見直していく必要があるだろうと。

    それから高金利政策が続いて、今実勢のですね、いわゆるその消費者が量販店からものを買ったときの年間の金利というのは35%から45%ぐらいと想定されております。まあとんでもない金利でございます。こういう金利を払って買っていたお客さんが、海外に行ってですね、例えばプレイステーションですとか、デジカメとかそういうものを見るとですね、何でこんなに安いんだろうというふうに思うのは当然であります。

    ということで今、マイアミとかダラスから帰ってくるブラジル人のお客さんというのは、マトリョーシカというロシアの人形をご存知だと思いますけど、開けても開けても中から人形が出てくるということと同じで、マトリョーシカ・ラゲッジというんですかね、大きな鞄の中に小さい鞄を入れて、小さい鞄の中にまたショルダーバッグが入っているというふうに一つの鞄の中に三つぐらい鞄を隠し持ってですね、帰ってくる時はもうとんでもない量の荷物を持ち帰るということが今大変流行っています。

    特に2010年度ですね、2009年度に比べましてパスポートの発行数が34%増加しておりますので、ますます海外から持ち込んでくることも多いと思うんですね。そういう中でお客さんに対してですね、ちゃんと中で税金を払って買うことのメリットも感じていただかなきゃいけないと。それに対してはどういうそのサービスとか、メンテナンスをすればいいんだというところが我々の一つの挑戦でございます。

    それから下期の販売予測ですけれども、先程申しましたように、震災の影響、これはもうほとんどないと思っております。これはあの、まあ驚くべき復興のスピードでありまして、まあ実際にその復興はしてないんですけれども、ソーシングを変えたりとかですね、他の工場で作ってもらったり、でそのところから資材を仕入れてということで補っていると。その補いがほぼ完了したといっても差し支えないかと思います。

    それから新製品の投入や販売対策の建て直しを実施して販売増を予想するというところで、各社ですね、やはり販売に対する投資というのはかなり手厚く人員も配置していくというふうに考えております。

    それから、積極的な拡売策を実施して市場の再活性化に向けて下期挽回を見込むと。これは先程申しました中々その前半苦労した企業の方々ですけれども、やはりその、本社からのプレッシャーが非常に強いんですね。今ブラジルはBoomingエコノミーといわれていますので、全体的に良いみたいだけどお前のところどうして下がっているのという非常に強いプレッシャーを感じて、もう本当に休む暇ないと、東京からの出張者がやんや来るというような状況になっておられるようです。

    サッカーのワールドカップが2014年に開かれますけれども、それに向けてですね、いわゆる地デジ関連のビジネスを含む、まあインフラが計画通りに進むことを予測してですね、我々も新しい提案というのを政府にしていくべきだと思っております。

    まあ地デジというのは、あくまでその、アナログ信号が2016年に停波されますので、その後にですね、より短い帯域を有効に使おうということだけでございまして、これ自体は決してその、画質が良くなるわけでもないし、他の新しいアプリケーションというものを一緒に組み合わせてなんぼの世界なものですから、まあ地デジみたいな機能を利用しながらですね、副放送というんでしょうか、補完的な放送を行うとか、もしくはその、ジンガといいますけれども、いわゆるそのメタデータをくっつけてですね、これを教育に活用しようとか、色々な試みを考えております。まあそういうその提案型のビジネスを日本企業の方から持っていきたいと思っております。

    ということで、下期の販売予測は全体に比べて約60%が拡大というところですけども、若干縮小するというふうな危惧を持っておられるメーカーの方もおられます。で経営課題としましては、先程申し上げたその、コストがやはり上がっておりますので、売上が上がるのに比べてですね、コストが上がらないように、まあうまくバランスをとるというそのコストダウンと、人材の確保と育成。その中での営業力の強化。

    それからあの、今までは欧米で作ったものをブラジルに持ってきて売るというパターンの会社が多かったんですけども、やはりここに来て市場のニーズにマッチした商品作りをしていかないとやはり韓国勢や中国勢と値段で負けていくのではやっていられないということがございます。

    あとは取扱い製品の開発強化ですね。これは、やはりブラジルはものを作っておりますので、せっかくエンジニアを置いて作る以上はこちらから本社に対する提案をしていかないといけないということを話し合っているところでございます。まあIT等の設備投資をしていくこと。新規販路を開拓していく。

    特にここはEコマースがですね、我々の業界でも非常によく伸びておりまして、他の国と比べても遜色ないと。欧米と比べてもその売上の比率としては非常に高いEコマースの商売の実態がございます。まあこういうところで売りやすい商品をですね、どんどん開発して売っていこうというのが今回の趣旨でございます。

    ここから二つほどですね、物議をかもすかもしれない議題に触れたいと思います。一つは小売業界の合従連衡ということでございます。今まではですね、他の国に比べますと、まあ地方の中小量販チェーンといいますか小売店チェーンが群雄割拠しておりまして、日本の戦国時代のような様相を呈しておりました。

    これは依存率を分散する意味でもですね、非常に利益の取れるおいしい商売をしていたんですけれども、2009年の後半からまあ昨今にかけてですね、ものすごい勢いで合従連衡が進んでおります。ここに映っておりますこういうブランドがですね、一緒になって一つの法人を作りまして、これが全部で約890店舗、売上高約7.2ビリオンレアルということで、全体のAV・IT市場の12%程度を占めるというふうにご理解いただきたいと思います。

    Pao de Acucarグループが合併しましたCasasBahia、PontoFrio、その他CBD、Extraですね、こういうところが何と45%を一社で占めると、1300店舗まで持っていくというとてつもない売上規模を誇ってまいります。MagazineLuizaが今度MaiaとBauを合併しまして750店舗、約10%。まあこの辺になってきますとほとんどアメリカのBestBuyとかドイツのMediaMarktですとか、日本のヤマダですね、こういった規模の量販店と同じ寡占状況になってきます。

    こうなるとメーカーというのは非常に弱いもので、このまま依存率を持っていくと、もうCasasBahiaとかPao de Acucarからいらないと言われたら基本的には商売は成り立たないというふうになってまいります。

    まあ弊社の場合を例にとりますと、この半分以下で何とか依存率を抑えておりますけれども、やはりこれから彼等がどんどん伸びていくとですね、どんどん依存率が高まってしまうということで、彼等の買い取る量に対して評価をするんではなくて、買い取った後一体彼等が何をしてくれるんだというところに、その、彼等に対するリーダーマージンの価値をですね、見出していくような。買い付け量よりも、彼等がお客さんにしてくれるサービスの内容ですとか、商品の説明ですとか、展示ですとか、そういうその質的な変化に対してきちっと取り組んでいくような、プログラムを作り変えていくというようなことをしていかないとですね、大きなマーケットで全く儲からないというふうなマーケットに成り下がってしまいます。

    この辺りがやはりその、60年から100年かけてですね、色々辛酸をなめてきた日本メーカーの成すべきミッションかなと考えている一方で、韓国メーカー等はですね、これはもうとにかくジャブジャブとお金をつけてですね、とにかく要求されるものは全部出すと。それ以上に出すということで、まああの、札っぴらで顔をひっぱたくという話がありますけれども、それに近いようなまあ攻め方をしております。

    まあそれが良い悪いは別としてですね、そういうことをするメーカーに対して勝って行かなきゃいけないということがありますので、我々としても色々な仕掛けをしていきたいと思っております。その、若干、内容ですけれども、過度の価格競争に対してですね、やはりその、取引法人の分散化というのをやっております。これは、直営店を持つこともありますし、先程申し上げたEコマースで効率よく商売をしていくということも考えられると思います。マージン要求の激化に対してはやはり量から質への取引条件の見直しをしていくというところですね。

    それから、激安自社ブランド製品の導入。これはアメリカ東部のですね、BestBuyが自社ブランドを導入したりするんですけれども、結局やはり彼等は量販店に過ぎませんので、いわゆる本当の意味での商品開発というのはできなくてですね、実際撤退しているケースがほとんどでございます。まあこういう無駄な抵抗はやめてですね、ちゃんとしたブランド物をしっかり売っていただくというところに早く気がついていただくための、その、仕掛けをですね、ディーラーなどを含めてやっていかなきゃと思っております。

    それから、収益性を補完できるサービス事業の開発とありますけれども、現在BestBuyの売上というのはとんでもない金額を誇っておりますけれども、実際のその収益性という面から見るとサービスからの収益がほとんどでございます。家電製品を売って上がる収益というのは全て固定費の回収に使われてしまっております。

    まあそういうことを考えてですね、ディーラーさんにもある程度そのサービス収入というものをちゃんと取っていただく、我々もそれに沿ってですね、商品の販売以外にですね、メンテナンスサービスをしたりとか、新しい接続の可能性を提案したりとかいうことで、新しい収益源となる事業を展開していきたいということで、弊社の例でいきますと、その、プレイステーションネットワークというものを全世界で1億人以上のお客さんを作ってやっていますけども、まあハッカーにやられてですね、大変なご迷惑をかけたりとかするわけですね。

    新しい事業というのはそれなりにリスクを伴いますので、積極果敢にですね、勇気をもって取り組んでやっていくという中でいろんな勉強をしていくんだろうというふうに考えております。

    それからあの、ここは非常にセンシティブな部分なんですけれども、家電の製造事業環境と変化の展望というところで、今環境が大きく変わっております。今、ゾナ・フランカ、マナウスのですね、そのいわゆるフリーゾーンで我々家電事業というのは白物とコンピューター以外は展開しておりますけれども、ここは元々その、辺境開発といいますか、アマゾナス州の辺境を開発して、まあその麻薬カルテルとかですね、それから外部からの侵入に対して守るという、その、軍事施設をですね、国境警備部隊を支援していくような経済活動を根付かせるというような趣旨が元々あったと思います。

    同時にこれは昔天然ゴムの産業が、欧米の産業がいっぱいあったところですので、これをテイクオーバーするという部分もあったと思いますけれども、まあ70年近辺にですね、いろんなその軍事政権下でできた構想ですので、まあ当時アマゾンの奥でですね、家電製品を作って海外に輸出して利益を出すようなそういう国際競争力を持たせるような仕組みというのはほとんどなかったというふうに認識をしております。

    まあちなみに今サンパウロからマナウスというのは直行距離で2700キロ、実際のその海路とか陸路を使いますと4000キロございます。4000キロ離れたところでですね、ものを作って持ってくるというのはですね、これはもうほとんど、例えば日本のマーケットに対してまあ中国の奥地とかですね、それからモンゴルでものを作って持ってくるようなものですから、全くその意味をなさないわけですね。ここら辺のその経済原理というものがこれからどういうふうになっていくのかというのが一つの課題かと思います。

    まあそうは言いながらもですね、最近はその、環境保護、それからその、原住民のですね、生活権利と、先住権というものも重視されておりますので中々業界だけでですね、どうこうできる問題ではございません。また家電、空調機、バイク、化学品等に税の特恵が沢山供与されておりますので、この税の恩典を全部なげうってですね、本当にサンパウロに来て商売になるかというと今の時点ではならないのが実際です。

    まあそういうことで、色々あるんですけども、簡単にまとめますと、経済合理性がないところで本当に作りつづけていいんだろうかと。それからITとの境界線というのがこれがどんどんなくなってきますので、マナウス以外で作っていいIT製品と一般の家電製品との境界をどこに設けるんだという非常にその曖昧な部分が出てまいります。

    それから、下に出ておりますけれども大規模投資の案件が次々とサンパウロとかミナス・ジェライスで出てきてますので、そういうその案件をですね、指をくわえて見ていていいのかというところがこれからの政府の悩みどころだと思います。ということで変化点を三つほど挙げさせていただきました。

    まず一つはですね、この急成長期にアマゾンのインフラが全然その成長をサポートしていないという実態がございます。これは、市場に対するアクセスの遠さ、それからその、陸路で持ってくる場合の治安の悪さ。先週も私どものトラックが襲われて、警備にあたっていた人間とその銃撃されましてですね、二人ほど今負傷して病院に入っておりますけれども、そういう件が去年だけで19件ございます。ソニーの19件というのはサムスン、LGの半分以下でございます。それほど大きな治安問題に発展している中でですね、運送しておりますので、非常に厄介な治安状況だと思います。

    賃金・物流費の高騰も中々、ここで得た利益をですね、回収できないという状況にもなっていく理由だと思っています。それから、他の州からするとアマゾナス州だけが非常に大きな恩典を与える機会を独占しているのはおかしいんじゃないかということで、ずいぶん物議をかもしたんですけれども、今のところ法律上は2023年までこの税特権をマナウスが独占するということが法律上確約されているようです。

    変化点2番目としましてですね、サンパウロ州を中心とする大規模投資案件、これは皆さんご存知の通りFoxconnという組み立ての会社がですね、何と12ビリオンダラーですから約1兆円ですよね、1兆円近くを投資して従業員10万人、それから、ここ140万人と書いてありますがこれはちょっと間違いで、実際40万人ですね、40万人の人が暮すような大きなインテリジェント・シティーを作ってあげるよと。

    それに向けてマナウスだけじゃなくて、マナウスと同じような特恵をですね、特恵税制をサンパウロ周辺でも出してくださいという交渉を今しております。テリー・ゴウという会長がFoxconnにおりますけども、テリー・ゴウさんに聞きましたら、元々7月に来る予定だったのが今9月の下旬にですね、ブラジルを訪問して、ジルマ大統領ともう直に交渉すると、非常に意気込んでおります。

    まああの、こういう業界の人たちを敵に回すのではなくてですね、彼等の交渉力にうまく入り込んでいってですね、隙があれば一緒にそういう条件を取って、マナウスでのその製造事業をやりながらですね、それ以外の新しいところでも投資をしていくというふうな戦略をとりたいと思っております。

    変化点の3番目ですけれども、上で申しました通りですね、いわゆるその家電製品の進化とIT化ではですね、いわゆるコンピューターと家電の境というのをどんどん今減らしていっていると思います。まあ各社で売り出しておりますインターネットテレビ、これはパソコンなのか、もしくはパソコンの機能をもったテレビなのか、もしくはテレビの画面をもったパソコンなのかと。まあ非常に難しい問題でございます。

    それからPCモニター。よくモニターありますよね。モニターにUSBのジャックがたくさんついていますけれども、ここに地デジとかデジタルチューナーを差すとですね、これはテレビになるんですね。それにまたコンテンツを乗っけたものを差しますとこれはビデオになるんですね。でそういうものを本当にマナウスで作っていては儲からないので、サンパウロで作っている人たちだけが特恵を得ていいんだろうかということがございます。

    それからカーステレオもですね、今はDVDが搭載されているものですとか、それからGPS機能で自分がどこにいるかというのが分かるような機能もありますけれども、これもいずれインターネットとの接続可能性がどんどん高まってきますので、車の中でインターネットを楽しむということが可能になってまいります。

    もしくはiPodの商品というのは元々家電製品ではなくてパソコンではないのかということもありますので、この辺の境界線が下がってくるというような大きな変化点が三つ出てまいりました。そういう中で今のところ政府はですね、それは全部マナウスでやってくださいということを言い切れずに、まあじりじりとサンパウロでの条件を小出しにしているというところで、今水面下でですね、色々な交渉が進んでいると思います。

    まあそういう中で我々はブラジルの製造業を担うメーカーとして、さらにマナウスでの投資を加速するのか、それともここでサンパウロの生産にかけるのか、この大きな分かれ目に来ているというところが現状でございます。以上駆け足で早口で大変恐縮でございますけれども、また後ほどですね、懇親会等の場を利用してご質問等ありましたらお話させていただきたいと思います。ありがとうございました。

    司会:
    筒井さんどうも、内容の濃いかつ分かりやすいご説明ありがとうございました。何かご質問ありますでしょうか。そうしましたら前半部分最後になりますけども、機械金属部会、西岡部会長よろしくお願いいたします。

     

     

     

  • 機械金属部会   西岡信之 部会長

    機械金属部会

    今年から機械金属部会の部会長を仰せつかりました西岡と申します。えー、三菱重工の西岡でございまして、前任者は日立の西岡が非常に名物男だったんですけど、私はきわめて地味な人間ですので、よろしくお願いいたします。

    それでは2011年上期の回顧と、それから下期の展望ということで、一応今年の前半に従ってですね、各業種別に分けてご報告をしたいと思います。一応鋼板、鉄鋼ですね、それから電力および社会インフラ、プラント機器、建設機械、それから産業用の圧縮機、農業機械、各種工具・計測機器、潤滑油と。一応この8項目に分けてご説明をいたします。

    まず鉄鋼ですけれども、上期につきましては国内粗鋼生産量が第1クォーターで前年同期比6.2%増、量にして50万トン増えたと。第2クォーターが前年同期比9.9%増、約80万トン増えたということで、上期全体としては前年同期比8.2%伸びました。

    したがってまあ上期としてはですね、在庫調整が一段落して需要が底固いという見方をしています。その中で輸出につきましては第1クォーターで280万トン、前年同期比で30%を超える増加がございました。

    まあこれは特殊要因で、CSAのスラブ製鉄所が本格稼動いたしまして、北米向けのスラブ、半製品の輸出が増加したという要因です。問題は輸入でございまして、昨年の、特に後半ですね、月間40万トンから50万トンというすさまじい量が輸入されたわけですが、これは上期になってだいぶ減りまして、月間20万トンのレベルまで減少をしております。

    続いて下期ですけども、下期の展望につきましては、国内粗鋼生産、これは今年の全体として3940万トンという予測を立てております。これは去年が過去最高で3293万トンでございましたので、これを大きく更新する見込みです。

    輸出につきましては、スラブ、半製品の輸出は上期に続きまして引き続き高水準で推移するものと考えています。ただ鋼板の製品類ですね、これは先程からちょっと問題になっておりますレアル高の影響で減少するだろうと見ています。

    ただ輸入につきましては、上期の月間20万トンのレベルで今後も推移するという見込みでございます。であの、鉄鋼の中で、まあここの数字に出てこない、非常に問題というか影響が大きいのが、鋼材二次加工製品という形で輸入が増加していると。

    まあつまり鉄という形ではなくて部品という形で鉄が入ってきていると。これが今、今年の予測で450万トンから510万トン程度と。ですからまあ、製鉄所二ヶ所分ぐらいの量で輸入される見込みですので、この辺の影響が非常に大きいというふうに考えています。

    それでは引続き、2番目の電力と社会インフラでございます。上期の回顧といたしましては、まずペトロブラスの大型投資、これはまあよく皆さんご存知だと思いますけれども、これが継続されていますので、まあ経済の牽引役・原動力として大きな波及効果があると。

    ただ、この大型投資の中身を見ますとプレサルの上流部門に偏っておりまして、まあFPSO等の生産部門という意味では好調ですけれども、下流の方のプラント機器とうへの投資がまだ大きく出ていないという状態でございます。それから電力につきましては、一応A-3オークションが今年実施されまして、すでにもう発表になっております。まあ一応そういう意味では、電力の開発という意味で進んでいるんですけれども、過去のオークションで落札した発電設備というのが中々実際に建設されないという遅れが深刻になってきております。

    それから、まあPAC2なんかにあります大型プロジェクト、これがまあ次々と入札が行われているわけですけれども、例えば高速鉄道は7月に入札となりまして、今後スキームを変更するというようなまあ色々問題は出ていると。

    で下期の展望でございますけれども、まずペトロブラスの大型投資。これは若干見直されましたけれども、引き続き国内経済の牽引役としてまあ大きな期待がされると。それからFPSOの商談等も継続される見込みでございます。

    で、先程申し上げましたA-3の電力オークションは先週発表になりまして、これはペトロブラスとMPXが落札をしております。あの、A-5の方ですね。で年末あるいは来年の初めにA-5の電力オークションが発表されるという見込みでございます。

    それから高速鉄道につきましては、上下分離、機械ものと土木の分離という形での入札が一応年内に、まあ年末ぐらいになると思いますけども、に発照されるということで政府から話がされております。その他の地下鉄、モノレールなんかのまあ都市交通、それから道路、空港拡張、まあこういった社会インフラ関係もおそらく下期には発注されていくだろうというふうに見ております。

    続いて紙パルプ、それから石油化学、エタノール等のプラント機器でございますが、上期につきまして、まず紙パルプ業界。ここは設備投資が回復しまして、大型ソーダ回収ボイラ、それからバイオマスボイラ、こういったところの発注が出ております。

    それから石油化学業界につきましては、まあ好調な業績に支えられまして、かなり意欲的に設備投資を行っておりますけども、大型案件が中々、一度入札にかかっても繰り延べとかまあそんなケースが多々出ております。それから鉄鋼・非鉄業界でございますけれども、ValeのAlpa製鉄所等の設備投資が計画されました。エタノール業界につきましては、業界再編が進んでいる状況で、中々具体的な設備投資は出てきていないというのが上期の状態でした。

    続いて下期でございますが、紙パルプ業界につきましては、まあ業界としては復活しつつあると。ただまあ、上期で大体出たものが下期にその勢いで出来るとはちょっと思えませんで、まあちょっと下期では大型商談は出ないかなという状況です。

    それから石油化学業界につきましては、ペトロブラスの案件としてペトコーク焚ボイラとか、あるいは舶用機械とかこういったところが色々出てくるだろうというふうに期待します。鉄鋼非鉄業界につきましては、新規製鉄所以外での大型投資というのは中々期待薄なんですけども、まあ一部にコスト低減のためのパーク投資というのも期待できるというふうに見ています。それからエタノール業界につきましては、これは再編が進展中なので、まあ中々先行きが見通せないという状況でございます。

    続いて建設機械でございますけれども、上期につきましては、ブラジル全体の需要として第1クォーターで2782台、これが前年同期比で21%増。第2クォーターが3052台で前年同期比2%増と。まあ先程から話に出ていますように、ジウマ政権のインフレ抑制のための金融引締めによりまして、第1クォーターの大きな伸びが第2クォーターで鈍ってきたという状況でございました。

    下期につきましては、今年の年間総需要台数11万7千台と見ておりまして、前年比でまあ8%の伸びと。今後金融引締めが継続されるという見込みでございますので、下期の伸びは5%程度で、当初今年の初めぐらいには10%ぐらい伸びるかなと見ていたものが、やっぱりトータルでまあ8%ということで、その年初の予測は下回るという見込みでございます。

    産業用圧縮機につきましては、まず上期でございますが、食品業界向けは上期で前年同期比10%伸びました。これはまあビール、清涼飲料水等の飲料業界の設備投資が堅調だったということ。

    一方牛肉、豚肉産業の伸びというのは昨年よりはあまりなくて横ばいの状態。それから鶏肉産業につきましても国内・輸出ともにまあ堅調といいますか、大体同じような調子できていると。それからペトケミ業界につきましては上期の伸びは無かったということで、まあ先程のペトロブラスのプレサル案件ですね、これで少し話が実際に動き出したかなぐらいの感じでございました。

    まあ陸上プラントが少し出てきたというのが上期の状況でございました。で下期につきましては、食品業界につきましては下期は前年比、まあ伸びがないという見方をしています。これはまあ、飲料業界では各社共に設備投資がほぼ一巡したという影響でございます。

    それから、BRFの完全一社化によりまして鶏肉業界の再編が起きるものというふうに予測をしています。で、まあ欧州メーカーが非常に安いユーロを武器にプラント市場に進出してくる可能性がございまして、まあこれが一つの脅威になっていると。それからペトケミ業界につきましても、下期はまあ前年と同じということで、まあプレサル案件が本格化してくると思いますけども、それ以外のまあケミカル業界の動きが鈍いということで、ほとんど伸びがないという見方をしております。

    それから次に小型ディーゼルエンジンを含みます農業機械でございますけれども、まず上期につきましてはエンジンビジネスそのものが上期で19%の落ち込みがございました。これは米作用産業機器向けの多気筒エンジンと単気筒エンジンの販売が大きく落ち込んだ影響でございます。

    トラクターにつきましては、上期でやはり17%の落ち込みということで、これは小規模の農家を支援するマイス・アリメントスという、まあ75馬力以下のトラクターに対する低金利融資が、これによって昨年までは小型トラクターが非常に売れていたわけですけども、これがまあ一巡して、上期はかなり落ち込んだということでございます。

    で下期につきましては、まずエンジンにつきましては、下期は上期よりも若干は回復するのではないかと期待しておりまして、これはまあ発電機セットのレンタル会社等からの発注が踊り場を迎えるものの、上期よりは回復するだろうと。ただまあ安い中国製のエンジンの流入というのがあって、少しこの辺が心配点というところです。

    トラクタービジネスにつきましては、7月から先程の低金利融資政策に代わるものとして新しい融資政策が導入されておりますけれども、なんと言ってもまあ一応トラクターが一巡しているということもありまして、まあ下期の販売は上期並みかなという予測でございます。

    続きまして切削工具を含みます各種工具、それから計測機器でございますけれども、まず上期の切削工具ですが、市場としては好調だったんですが、先程ちょっと電気の方で話に出ました、日本の工場がやっぱり震災被害を受けたメーカーがございまして、ここでは供給不足でシェアが落としてしまったと。まあ被害がなかったメーカーでは販売は好調でございました。

    それから精密切削工具につきましては、国内需要それから、まあここからアメリカ向けに輸出をされているんですけれども、両方とも好調で販売は前年同期比10%増ということで、ブラジルでの生産体制を強化しつつございます。

    それから計測機器につきましては、販売はプラス23%ということで、特に教育機関向けと輸出が好調でございました。で下期につきましては、まず切削工具は市場としてはまあ伸びておりまして、日本側の工場の震災被害も回復しますので、一応前年同期比で15~20%の増加を期待しております。

    ただ原材料のタングステンの原料供給不安というのがございまして、この辺が影響する可能性がございます。精密切削工具につきましては、生産数量は過去最高となる見込みで、売上は前年同期比8%増を予想しております。

    計測機器につきましては、日系企業それから中韓メーカー等が工場をかなり建設中でございますので、こういったところに売り込みをするということでかなり伸びるというふうに見ております。

    次に潤滑油と金属加工油でございますが、上期につきましてはまず潤滑油は市場全体としては前年同期比5%の堅調な伸びをしたと。ただまあ、ベースオイル、ペトロブラスが供給しているベースオイルが不足をして、各社が輸入するような状況になっていると。それから金属加工油につきましては前年同期比5%増ということで、ここでもやはり第1クォーターはプラス6%だったんですけれども、第2クォーターでその伸びが鈍化していったという状況でございました。

    下期につきましては、潤滑油はエンジンオイル、それから工業用の潤滑油等、まあこれらが引続き堅調な伸びをするだろうと見ております金属加工油につきましては、下期、前年同期比で5ないし6%。まあ上期同様の伸びということを期待しておりますけども、まあ下振れする可能性があるというところでございます。

    以上でそれぞれの分野別にご説明をしましたけども、機械金属部会全体として見ますと、まず上期につきましては、まあ去年の後半から加熱ともいえる経済状況がございまして、各製品とも順調に販売・生産とも伸びてきたわけです。

    で上期の第1クォーターはその勢いが維持されて、まあ非常に調子が良かったと。ただ第2クォーターに入って伸びが鈍化してきたというのが大体各分野共通の、まあ傾向かなと。したがって上期トータルとしては、まあ今年の初めに予想していたほどには伸びないという結果に終ったというのが上期の回顧でございます。

    当然この原因というのが、高金利政策の消費抑制にあるというふうに見ております。下期につきましては、今のその高金利政策、それから消費抑制策に変化がないと思われますので、まあ下期のトレンドというのは大体上期の第2クォーターとほぼイコールになるのかなというふうに見ています。

    まあただ、社会インフラ関係それからプラント機器ではまあこれまで計画段階にあったものがいよいよ具体化して、入札にかかって発注に結びつくものが出てくるというふうに見ていますので、これらの分野では大型受注の可能性があるというふうに見ております。以上でございます。どうもご静聴ありがとうございました。

    司会:
    西岡様、多岐にわたる業界、分かりやすく簡潔にありがとうございました。では何かご質問はありますでしょうか。なければここで、ちょっと15分を切っていますけども、コーヒーブレイクにさせていただきます。後半はですね、16時20分からのスタートになりますので、よろしくお願いします。

     

     

     

  • 司会   澤田吉啓    企画戦略委員長

    それでは後半に入らせていただきます。前半は伊藤総務委員長に司会進行をしていただきましたけれども、後半からは企画戦略委員会の澤田でございますが、私の方で司会進行をさせていただきます。よろしくお願いいたします。

    前半ちょっと、まだお見えでいらっしゃいませんでしたので、ご紹介できませんでしたので、今ちょっとご紹介をさせていただきたいと思いますけれども、在ブラジル日本国大使館から一等書記官の金子様がお見えになっていらっしゃいますので、ご紹介させていただきます。

    金子様には最後、この後半部分の発表が終った後にご講評をいただきたいというふうに考えております。それでは早速後半に参りたいと思いますが、まず貿易部会でございますが、伊藤総務委員長が実は貿易部会長でもいらっしゃいますので、伊藤貿易部会長の方からよろしくお願いいたします。

     

     

     

  • 貿易部会   伊藤友久 部会長

    貿易部会

    では貿易部会から発表させていただきます。2011年度上半期ブラジル貿易動向ということで、説明させていただきます。最初に2011年上半期の貿易額の総括ですけれども、輸出におきましては2010年1-6月期の892億ドルから33%増の1183億ドル。

    輸入におきましては、813億ドルから30%増の1053億ドルとなりまして、輸出入ともに過去最高額となっております。この結果、貿易収支は64%増の130億ドルという結果になりました。

    ただしこの金額は2009年1-6月期の139億ドルを下回る水準でありまして、過去10年間では5番目に低い水準となっています。ではこれから輸出入の取引ごとに違った角度から説明させていただきます。

    まずは輸出に関してですが、先程申し上げました通り、2011年度上半期の輸出総額は2008年下期の金融危機からの回復傾向が続き、前年同期比33%増の1183億ドルとなりました。カテゴリー別で見ても、表に記載の通り全てのカテゴリーで増加になっています。

    特に一次産品が45%増の562億ドル。半製品が31%増の162億ドルと大幅な増加になりました。その一方で工業製品は20%増にとどまり、全体の伸び率を下回る結果となっています。

    なお、一次産品が輸出総額に占める比率につきましては、先程もちょっと紹介がありましたけども、2007年から32%、翌2008年は37%、翌年は40%、さらに次の年は45%と年々増加傾向にありますが、この上半期ではその割合が48%に上昇しております。すなわち輸出に占めます一次産品の割合が拡大傾向にあり、この傾向が続いているということが言えると思います。

    次に商品別で主な項目について述べさせていただきます。まずは第一次産品ですが、この表の通り鉄鉱石の輸出額が大幅に増加し、輸出総額を牽引しています。このほか、コーヒーの輸出額が前年同期比で83%と大きく伸びているというのも特徴かと思います。

    また、工業製品ですが、ブラジルの輸出の主力であります航空機が前年に引続いて減少し、前年同期比で14%減となっています。さらに、下の方にありますが、乗用車。乗用車についても、8%の減少となっています。

    それでは輸出の相手国別について見てみます。輸出相手国上位10ヶ国はこの表の通りですけども、まず注目すべきは2009年度から輸出相手国第1位となった中国です。全体の伸び率をさらに超える伸び率となっており、そのシェアも前年の15%からさらに拡大し、17%を占めるに至っております。ますますブラジルの輸出が中国依存を深めているということが分かると思います。

    中国向けの商品としては、鉄鉱石がトップで86億ドル。伸び率では前年同期比で約2倍に増加しています。このほか、伸び率が著しかった品目としては、8位ではありますが鶏肉で約2倍。10位の鋳鉄・銑鉄がやはり前年同期比で約4倍の増加を見せています。

    次に2位のアメリカについてですが、鉄鋼半製品が前年同期比で約6倍と大きく拡大し、石油に次ぐ最大の輸出品目となっています。金額では、コーヒー豆が鉄鋼半製品に匹敵する約7億ドルの輸出となっています。また輸出品目としては第9位でありますが、土木機械の輸出も前年同期との比較におきましては約3倍の増加が見られます。

    3位のアルゼンチンは、輸出主要品目としては乗用車、自動車部品、鉄鉱石などですが、輸出品目順位の6位の燃料油は2.3倍の増加となっています。日本につきましては、後ほど対日貿易として触れさせていただきますが、順位としては6位で、前年と変化はございません。

    このスライドは、全輸出総額における地域別のシェアを表しています。中国を含むアジア向けのシェアが29%、EUが22%、中南米・カリブが22%となり、全体の7割を占めることになります。この3地域について前年のシェアと比較してみますと、アジアとEUのシェアがそれぞれ1ポイントずつ増加し、中南米・カリブが2ポイントシェアを落とすという結果になっております。

    そして次に来るのが米国ですけれども、ブラジルの米国への依存度はわずか10%に過ぎません。その傾向を見ますと、米国のシェアは2008年は14%であったものが、10%まで減少している一方で、アジア向けは2008年の19%から29%までシェアを伸ばしているということになります。

    こちらからは輸入になります。2010年度の輸入総額は前年比42%という大幅な増加でしたが、この上半期では30%増と若干勢いが鈍化した傾向があります。ともあれ、30%の増加というのは依然高い伸び率ですし、輸出同様に全てのカテゴリーで増加を記録しています。

    カテゴリー別では最も大きなシェアを占めるのは原料・中間財ですが、伸び率では最もシェアの低い燃料・潤滑油で、前年同期比で4割の増加が見られます。消費財も183億ドルと輸入全体の伸び率を上回る拡大が見られています。

    次に商品別について見ます。元々シェアが大きいのは化学品・薬品ですが、伸び率で見れば輸入総額が3割伸びている中で、このアイテムについて見れば2割に留まっています。

    一方で特筆すべきは耐久消費財の中の自動車の伸びです。実に前年同期比で47%も増加しております。台数では17万7000台が輸入されております。この結果、新車登録台数に占める輸入車の割合は2010年で18.8%であったものが、この2011年1-6月期では22.4%を占めるに至っております。

    こちらは輸入の相手国別です。輸入相手国上位10ヶ国はこの表の通りであり、2010年通年に引続いて、この上半期も全ての相手国に対して増加という結果になっています。1位はあいかわらず米国であり、ほぼ全体の伸び率に比例する30%増の157億ドルを記録しております。

    米国からの主要輸入品としては石炭がトップで、前年同期比77%と大きく拡大しています。さらに航空機用モーター、タービン類、燃料油、医薬品などというのが主な項目となっています。2位も変わらず中国ですが、伸び率は全体の伸びを上回る37%の増加となっています。

    米国と中国の差は年々縮まっておりますが、この上半期でもその傾向が続いていることが分かります。中国からの主な輸入品としては、送受信機、データ処理機器、電話機向けプリント回線などですが、輸入品目としては第6位の携帯電話向けトランスミッター、レシーバー機器が前年同期比で172%と大きく伸びています。

    また、8位のエアコンも80%と大きな増加を示しています。3位のアルゼンチンからの輸入品目は、乗用車、小麦、貨物車などですが、貨物車は上位10品目の中では唯一、対前年同期比で13%のマイナスを記録しています。

    こちらは、輸出同様に地域別にシェアについて示したものです。輸入になると米国の割合は輸出に比べて5%程度増加しますが、地域別のシェア順位は輸出と変わらずで、アジアが1番、EUが2番、あと中南米・カリブ、そして米国と続くということで、全体的に地域バランスは取れていることが示されています。

    ただし、先程のスライドでご説明いたしました通り、中国からの輸入総額が大幅な増加傾向にあり、アジアからの輸入シェアは31%となっており、これは2008年以降徐々にアジアからのシェアも増えていることを示しています。

    次に外国からのブラジルへの直接投資についてご説明いたします。左側グラフの通り、貿易総額と同様に2009年に大幅に減少した直接投資も、2010年度は前年比66.1%増加いたしましたが、この上半期では前年同期比で77%増となり、引き続き好調に推移していることが見て取れます。

    この額は2009年の年間の投資額である317億ドルをすでに上半期で上回るものとなっており、ブラジルに対する各国の投資額が非常に増えているということが読み取れます。

    右の表で各国別に投資額を記載しておりますが、ご注意いただきたいのは、この数値は直接投資ベースになりますので、低税率国を経由した間接投資の場合はその経由国の投資額となることです。すなわち、必ずしも実態に即さない形になっています。例えばよく新聞紙上等で話題になります中国はこの表には出ていませんが、順番としては22位。額としても1.4億ドルに過ぎませんでした。

    しかしながら、今ご説明した通り、実際の中国からの投資は第三国を経由して行われているというふうに推測されており、これが中国がこの上位ランクに入って来ない理由と考えられます。この表の中で特筆すべきものは、日本からの投資です。

    2010年通年で約25億ドルという数字ですので、本年度上期でその数字に近いところまで来ています。現状、日本からの投資は前年上期の勢いをそのまま保っているように見えます。この結果、国別順位でも前年の7位から、上半期で日本は4位に浮上しています。

    こちらは、直接投資の業種別の目標になります。2010年通年ではブラジルで最も強みのある資源関連事業、農業、畜産、工業が295%の増加となっておりましたが、石油・天然ガス採掘を中心に依然好調ではあるものの、他の部門もそれを上回る伸びを示したところが複数出てきております。

    部門全体のこれらのエネルギー関連等の占める割合も、前年の35%から13%に縮小し、比較的目立たない感じがしてきています。投資分野で最大のシェアを占めたのはサービス業ですが、こちらは対前年同期比で218%の増加を記録しました。投資額全体の6割近いシェアを占めています。

    特に通信業への投資や電気・ガス関連への投資が多くなったことが分かりました。工業部門ですが、業種別で見ますと、非鉄金属、製鉄業等の基礎冶金、自動車関連への投資が増加していることが分かります。一方、コークス、石油派生品、バイオ燃料等化学品は前年同期と比較してそれぞれマイナスになっています。

    次に対日貿易という点について触れさせていただきます。2010年度の対日貿易は、左側、輸出が前年同期比43%増の41億ドル。右側、輸入が25%増の40億ドルとなり、全体の傾向と同様に輸出入ともに増加となりました。また、2007年から連続3年間続いていた貿易赤字は2010年に黒字転換しましたが、この上半期でもその傾向を引き継いでおり、1億3000万ドルの黒字となっています。

    ブラジルの貿易額に占める日本のシェアは、輸出が3.5%、輸入が3.8%で、2010年とほぼ変わっておりません。90年代以降について最もシェアが高かった頃を調べて見ますと、輸出では91年に8.1%、輸入では90年に7.2%を記録していますので、この数字から比べますと、今のこの水準というのは決して高くないことが分かります。

    国別のスライドでご説明の通り、輸出において順位は変動ありませんでしたが、輸入においては2010年に韓国に抜かれ、さらにこの上半期ではナイジェリアにも抜かれ、日本の順位は7位まで下がっています。ちなみにナイジェリアからの輸入は原油と思われますので、ある程度スポット的な要素ではあるとは考えられます。

    最後に2011年上半期のトピックスをまとめますと、輸出額も輸入額もともに前年同様に増加したこと。貿易収支は悪化傾向から上半期では若干の好転をしていますが、2005年から3年間にわたって毎年400億ドル台の貿易黒字を計上していたことを考えれば、高い水準にあるとは言えないと思います。

    新興国を中心として資源・食料の需要増加により、一次産品の輸出総額が大きく伸び、その比率が増加しているということも最近の特徴といえます。輸入先として、乗用車を中心とする韓国からの輸入総額増加に加え、ナイジェリアにも抜かれて、日本の順位がさらに下落したこともこの上半期のトピックスとして言えると思います。

    また、2011年下半期の見通しについては、ご覧の通り気がつく点をまとめてみました。これまで説明しました通り、世界の好調な一次産品需要や、国内の旺盛な消費に支えられ、ブラジルの貿易額は順調に回復・増加しており、さらなる増加が見込まれると思います。しかしながら、レアル高による輸出企業の競争力低下や、オリンピック、ワールドカップに向けての国内インフラ整備のためさらなる輸入増加が見込まれ、貿易黒字減少傾向については歯止めがかからないと予想されます。

    ブラジルへの外国からの直接投資についても、引き続き好調に推移することが見込まれます。これは、日本企業の投資という側面でも同様と見ております。ジウマ政権発足以降7ヶ月あまりで早くも複数の重要閣僚が交代になり、また最近の世界の政治経済の先行き不透明感が増す中で、ブラジルがその影響をどう受けるのかというネガティブな面もありますが、当面貿易および投資の面で我々のビジネスチャンスは引続き大いにある、そして拡大していると思いますので、俗に言われるブラジルコストに屈せず、皆様のさらなるご活躍を祈念して、私のプレゼンテーションを終らせていただきます。どうもご静聴ありがとうございました。

    司会:
    伊藤部会長ありがとうございました。何かご意見ご質問等ございますでしょうか。結構時間が厳しいものですから、それでは先に行かせていただきます。また懇親会も後ほどございますので、ご利用いただければと思います。それでは次、化学品部会でございますが、大澤部会長様の方からお願いいたします。

     

     

     

  • 化学品部会   大澤巌 部会長

    化学品部会
    レポート

    化学品部会長を務めておりますダイカラー・ド・ブラジルの大澤です。よろしくお願いいたします。

    それでは早速化学品部会、会員からのアンケート結果をご報告申し上げます。化学品部会、会員数は54社ですが、アンケートの依頼は38社に対して行いまして、16社より、うち1会員より3分野につき回答を得ました。全部で13分野18回答となります。

    筆記具分野が2会員より、農薬原体分野は3会員より、また商社・化学品分野からは2会員より回答を得ています。化学品分野は多岐にわたる分野の会員が加入されておりますので、素材産業分野、それと消費物資産業分野ですね、それと商社と、この三つに大別いたしました。

    素材産業分野には架橋ポリオレフィン発泡体、スポンジをご想像ください、そして樹脂用着色剤、接着剤、農薬原体、生松脂より精製されますロジン・テレビン油の5分野、7回答が含まれております。

    消費物資産業分野には、一般医薬品、家庭防疫薬、化粧品、飼料添加物、写真・デジタルカメラ、種子、接着剤、農薬の製剤、そして筆記具、9分野10回答が含まれております。接着剤分野と農薬分野は両分野に含まれております。そして商社・化学品分野は2回答を得ております。では次お願いします。

    これは化学品部会全体のアンケートの取りまとめです。2011年上期、回顧。この売上につきましては18回答中、増収が15回答、不変3回答、減収ゼロ回答で、増収と不変合わせますと100%。利益に関しましては、増益13回答、不変ゼロ回答、減益5回答であり、増益・不変合わせて72%となります。

    2011年下期の展望でも、売上に関しましては増収予測が12回答、不変予測が4回答、減収予測2回答ということで、増収と不変あわせますと89%。利益に関しましては、増益予測が14回答、不変予測が2回答、減益予測が2回答で、増益と不変合わせますと89%となります。次お願いいたします。

    次は大別分野の素材産業分野での回答をまとめたものです。素材産業分野、7回答で、2011年上期売上では増収が6回答、不変1回答、減収回答ゼロ。増収と不変回答を合わせまして100%。利益では、増益4回答、不変ゼロ回答、減益3回答。増益と不変合わせて57%。2011年下期展望におきましては、売上予測では増収予測4回答、不変1回答、減収2回答。増収・不変合わせて71%。利益予測では、増益が6回答、不変予測が1回答、減益予測ゼロ回答。増益・不変合わせて100%となります。次お願いいたします。

    次、消費物資分野ですけども、10回答行っておりますが、11年上期売上におきましては増収8回答、不変2回答、減収ゼロ回答。増益・不変合わせて100%。利益では、増益8回答、不変ゼロ回答、減益2回答となりまして、増益・不変合わせますと80%となります。

    2011年下期の展望ですが、売上予測で、増収予測が6回答、不変予測が4回答、減収予測がゼロ回答。増収・不変合わせて100%。利益予測では、増益が4回答、不変予測が2回答、減益予測2回答。増益と不変予測合わせると80%という結果になります。次お願いします。

    次、商社分野は2回答のみですが、2011年上期では増収1回答、不変1回答。利益では増益1回答、減益1回答と分かれました。2011年下期展望では、売上・利益とも2会員とも増収・増益予測です。

    以上ですけれども、総括としまして2011年上期は消費物資産業、素材産業この両分野ともに2010年上期よりも好調に推移している会員が多く、また下期も好調さを持続できると見ている会員が多数です。商社分野では上期は好調・不調に分かれましたが、下期は好調予測です。では次お願いします。

    それでは各分野からの回答を駆け足でご紹介いたします。まず最初に写真・デジタルカメラですが、2011年上期回顧、増収増益でした。プラス要因は、医療費支出増加による市場の拡大と、シェアアップによる医療事業での伸長。またデジタルカメラ市場拡大に伴う、デジタルカメラの販売増加です。マイナス要因は、競争激化による販売価格のダウンを挙げられております。

    下期の展望ですが、増収増益予測です。プラス要因は写真関連およびデジタルカメラ製品の需要期であることから販売増が期待できることと、医療事業の伸長です。マイナス要因は、競争激化による販売価格ダウンと、原材料と価格高騰によるコストアップです。次お願いいたします。

    次は筆記具。2社からの回答を得ております。11年上期回顧。2会員からの回答ですが、両社ともに増収増益でした。プラス要因は、雇用情勢の改善、教育投資の増加、予想以上の年初の需要高、レアル高による原価安。

    マイナス要因は景気の減速傾向と労務費のアップです。11年下期の展望ですが、1会員が増収、1会員が不変の予測です。プラス要因はプロモーション活動による売上増加。また下期需要高という業界傾向の寄与もあります。そして継続的なレアル高です。マイナス要因は景気の減速と労務費のアップということです。では次お願いします。

    化粧品。化粧品の中でも高級化粧品になりますが、2011年上期の回顧としましては増収増益でした。プラス要因はレアル高による原価安、欧米系競合他社にない分野での売上が伸びたこと。マイナス要因はドル安で海外免税店での購入者が増加、高級化粧品の客数が減ったことを挙げておられます。

    11年下期の展望ですが、増収増益予測です。プラス要因は年末商戦による売上の増加。マイナス要因は上期と同じくドル安の影響による高級化粧品の客数減少を挙げておられます。次お願いいたします。

    一般用医薬品、外用薬ですが、2011年上期増収増益でした。プラス要因は市場の拡大、シェアの拡大、各州で行った販促プロモーション活動の効果。マイナス要因は厚生省による新製品への審査・承認の遅れです。

    11年下期の展望ですが、増収増益予測で、プラス要因は好調さの継続。マイナス要因は上期と同じく厚生省による新製品への審査・承認の遅れです。次お願いいたします。

    家庭防疫薬ですが、2011年上期は増収増益で、プラス要因は新規顧客の開拓と国内生産の増加です。マイナス要因はジェネリック品との競合です。11年下期の展望は、売上・利益とも横ばいの予測です。プラス要因は国内生産の増加。マイナス要因は、顧客在庫の増加、また気候不順による販売の減少、そしてジェネリック品との競合継続を指摘しておられます。次お願いいたします。

    次、農薬の原体販売ですが、これはあの、高濃度の有効成分である農薬原料の商いです。2011年上期の回顧ですが、3会員より回答を得ておりますが、3会員ともに増収増益でした。

    プラス要因は農作物国際価格の高騰、農産物作付け面積の増加、特に綿です。そして販売品目の増加。マイナス要因は、事務所賃料、人件費等の経費アップ、それからジェネリック品、また中国製の違法品との競合。レアル高による輸出作物の利益低下です。

    11年下期の展望ですが、3会員ともに増収増益を予測しております。プラス要因は農作物価格高値堅調、農産物作付け面積の増加、特に綿。そして綿向け販売の堅調さ。それと農薬の場合販売時期が下期に集中しますので、これも大きく寄与しております。

    マイナス要因はレアル高の急激な進行、また、米をはじめとする一部農産物価格の低下、そして中国製違法品との競合、レアル高による輸出作物の利益低下、これを挙げておられます。次お願いします。

    次はこの原料を使って製剤化した分野、農薬の製剤販売分野ですが、11年上期の回顧、増収増益で、プラス要因は、農作物国際価格の高騰、農薬市場の拡大、綿向け取引の拡大、それと財務収益の増加です。

    マイナス要因は、インフレによる経費の増加、人件費増加を挙げておられます。2011年下期の展望ですが、増収増益予測で、プラス要因は農薬使用シーズンのピークが下期にあるということ、農作物国際価格の高値が、高値高騰ですね、高騰が継続、そして農薬市場の一層の拡大。

    マイナス要因は為替レートへのまあ懸念、それとインフレによる経費・人件費の増加、それから綿花先物価格の動向に対する不安要素、この点を挙げておられます。次お願いいたします。

    次、野菜、花の種の分野ですが、2011年上期の回顧、増収増益でした。プラス要因は、新商材の好調な販売、既存商品の市場シェアのアップ、高利益商品の販売増加です。

    マイナス要因は、主力製品の品薄、新商品の品質クレームが起きました。2011年下期の展望ですが、増収減益の予測で、プラス要因は主力商品玉葱種子の安定販売、また安定した為替による利益の確保、新商材の販売増加。マイナス要因は一般管理費の増加、試験農場費用の増加を挙げておられます。次お願いします。

    次は鶏用の飼料添加物分野ですが、2011年上期の回顧は、売上は不変、利益は減少でした。プラス要因は新規顧客の開拓。マイナス要因は競合品との競争激化による販売価格の低下です。11年下期の展望、売上は不変、利益は減少の予測です。

    プラス要因としては特にありませんが、マイナス要因は競合品との競争激化による販売価格のさらなる低下を挙げておられます。次お願いいたします。

    接着剤分野です。2011年上期の回顧、売上は不変、利益は減少でした。プラス要因は、欧米系自動車メーカーの生産販売台数が維持されたこと。マイナス要因は、人件費等の経費の上昇と東日本大震災による日系自動車メーカーの休業です。

    2011年下期の展望ですが、売上・利益ともに不変の予測です。プラス要因は社内の改善活動による効果が期待されることと、経費の削減、コストダウンです。マイナス要因は原材料費の値上がりということを指摘しておられます。次お願いします。

    樹脂用着色剤。2011年上期の回顧ですが、増収減益でした。プラス要因はレアル高による原材料費の安定。マイナス要因は、競合他社との競争激化による顧客との値上交渉の困難さ。またレアル高による輸入品増加による顧客への悪影響。それから高金利政策による顧客の在庫圧縮、また新規開発品の停滞。そして経費全体のアップが挙げられます。

    11年下期の展望ですが、減収増益の予測です。プラス要因としては人員削減、その他コストダウンによる経費の減少。上期在庫圧縮への反動を期待しています。マイナス要因は上期と同じく、競争激化による値上げ交渉の難しさ、輸入品増加の悪影響、そして高金利政策です。次お願いいたします。

    架橋ポリオレフィン発泡体分野ですが、上期の回顧、増収増益です。プラス要因は製造コストの改善、ブラジル市場の需要拡大、新規事業の立ち上がり。マイナス要因は人件費のアップ、原材料のコストアップです。11年下期の展望ですが、増収増益予測です。プラス要因は営業拡大による売上の増加、新規事業の拡大。マイナス要因は原材料コストのアップ傾向、人件費の高騰、またレアル高による競合輸入品の増加です。次お願いいたします。

    生松脂からロジン・テレビン油を製造販売しておりますが、この分野、上期は増収減益でした。プラス要因は特に指摘ありませんが、マイナス要因は原料価格の高騰に値上が追いつかなかったことです。

    下期の展望ですが、減収増益の予測です。プラス要因は原料価格の下降傾向ですが、原料価格と製品価格の下降にタイムラグがあるため減収増益という予測をしております。マイナス要因は特に指摘されておりません。

    最後に商社分野、2会員から得ておりますが、上期回顧、売上は増収1回答不変1回答、利益では増益1回答減益1回答の結果です。プラス要因は石油化学品をはじめとする全般的に市況が堅調であったこと、需要拡大です。

    マイナス要因としては人件費の増加、レアル高による輸出不振、東日本大震災のため日本の内需増加によるブラジルへの輸出減少を挙げておられます。下期展望は2会員とも増収増益回答です。

    プラス要因は新規ビジネスの開拓、既存ビジネスの伸長、さらなる市況上昇と堅調な需要、および東日本大震災からの日本の回復を挙げております。マイナス要因は、ブラジルの内需過熱による輸出向け数量の減少を指摘しておられます。以上で化学品部会からの報告を終ります。どうもありがとうございました。

    司会:
    大澤部会長ありがとうございました。それでは何かご質問ご意見等ございましたら。よろしゅうございますか。化学品部会は13分野ということで、たぶんこの部会の中で一番多くの分野を抱えていらっしゃるところで、取りまとめ大変だったかと思いますけれども、大変お疲れ様でございました。それでは次に参りたいと思います。運輸サービス部会でございますが、岐部部会長様の方からご報告いただきます。よろしくお願いいたします。

     

     

     

  • 運輸サービス部会  岐部ルイス 部会長

    運輸サービス部会

    運輸サービス部会の岐部と申します。よろしくお願いします。

    まず最初に、前回の報告の際に、大統領が替わると大きなストライキがあると私発表しましたが、今回のジウマ大統領にはこのジンクスは当てはまらなかったようです。まあ一部郵便でストライキが発生しましたが、大きな混乱もなく収束いたしました。

    さて当部会の報告ですが、内容的には前回とほぼ変わりません。ブラジル経済の好調さに支えられた人、物の動きが顕著に表れてきておりますが、物流業界全体から見た場合はたして皆様が感じられておられるような好調さと一致するかと言えば、必ずしもそうではないという現象が出てきております。

    ワールドカップ、オリンピックを控えて、それなりのインフラ整備が始まろうとしていますが、この画面に記載されていますように依然として空港、港湾インフラは貨物量の増加に追いつかない現状があります。それでは物流業界全般、航空業界、海運業界、ホテル旅行業界、通信・IT業界の順を追って報告して参ります。

    先ほども言いましたが、物流業界は依然インフラの悪さに悩まされております。グァルーリョス空港はすでに一杯の状況が続いており、この満杯状況を嫌った荷主の皆様がもう一つの国際空港であるビラコッポスに到着貨物をシフトしていますが、当然コスト高の一因になっております。

    港の混雑は依然同じ状況が続いておりますが、事故発生件数の増加を招いております。ただ車両待機エリアが整備され、若干の改善が見られているのが明るいニュースです。経済が好調ということは、港、空港だけでなく、国内でも物が沢山動いているということですが、この、物がすごく動いているということはそれを運ぶ手段であるトラックとその運転手が間に合わないという状況が運賃の上昇を招いています。いわゆる運転手不足は物流業界は深刻で、人材の確保による給与の高騰は物の動きとは別に収益性を悪化させてきております。

    次に航空業界の実態ですが、皆様グァルーリョス空港やコンゴーニャスにおいて肌で感じられておられる通り、国内線も国際線も大変需要が増えております。ただ、旅客とは別に、貨物の動向はレアル高による輸入品は増加傾向が続いているものの、輸出は大変苦戦しております。

    次に海運業界ですが、コンテナ貨物の輸入は旺盛な国内消費とレアル高に支えられて大幅増加です。前年同期比で全体として17%強の伸びになりました。特にアジアからの輸入増が顕著で、20%程度の伸びがあったと思われます。

    一方で輸出は為替高の影響で、仕向け地を問わず約横ばいとなりました。ばら積み鉄鉱石は、最大向け地の中国の買い控え傾向もあり、前年比にて若干増にとどまりました。一方で船舶増加による需給のインバランスもあり、運賃マーケットは軟化しました。コンテナ船ではサントス港を中心とした不十分な港湾インフラの影響で、船の滞船、混雑という状況は相変わらず続いております。

    次はホテル・旅行業界です。観光庁のデータによると2011年の上期国内到着便は3794万人。2010年の同じ時期を20.7%上回っています。国外到着便は436万人です。2010年と同じ時期を18.9%上回っています。ブラジル経済が好調で、ホテル業界もその恩恵を蒙っています。

    上期の客室稼働率は70%でした。平均ルームレートは200レアル90センターボでした。この平均ルームレートは、地域によって7.1%から26.7%アップでした。ところでサンパウロ市では上期の稼働率は69.3%で、昨年と同じ時期に比べると4.61%のアップでした。

    続きまして通信・IT業界についてですが、2011年6月末現在、携帯電話の加入者数は2億1734万台になりました。加入者の伸びは、2011年6月末現時点で12ヶ月の伸び率が17.4%と、2010年末時点の12ヶ月の伸びが16.7%であったことと比べると、また増加傾向にあります。

    プリペイド方式は、2009年末が82.55%、2010年末が82.3%なのが、2011年6月末現時点で81.85%、順次減少してきております。というと、ポストペイドの率が若干増加してきています。それから、スマートフォンの普及によるモバイルブロードバンドユーザー数が増えてきています。

    3Gの加入者数は2011年6月末現在で2662万台になりました。次にIT業界ですが、上期は新規または追加投資が三つの分野で目立っています。まず第一にサーバーのバーチャル化。二番目に税制対応の業務アプリケーションの開発。で三番目に新規ビジネス向けのIT投資環境の整備があります。次にイーコマースの売上ですが、上期は84億レアルでした。昨年とほぼ同じ売上でしたが、2011年は26%伸びると業界は期待しています。

    さて2011年の下期の展望ですが、物流業界は先程説明しましたインフラの整備が追いつかない状況下での取り扱いが続き、貨物事故、盗難の発生は課題として残ったままであると見ております。

    航空業界の旅客は今後も増えつづけるものと思われますが、貨物についてはレアル高が続くと輸出貨物に与える影響は深刻なものになると予測をしております。海運業界、ホテル業界、IT通信業界の順に説明していきます。

    まず物流業界ですが、この8月開始予定のグァルーリョス空港の第三滑走路、駐車場の拡張工事が始まれば、改善への兆しが見えてくると思います。物流業界で一番気にしていることは、やはり業界の人材不足で、深刻化していることから、トラック料金、倉庫料金の値上が避けられない状況下にあるということです。

    さらに通関を取扱っている業者は、レアル高による輸入製品の増加、特に中国製品はブラジル国内企業に与える影響も大きく、当局のさらなる規制により通関自体の煩雑化、遅延といった影響が今後出ないことを願っています。さらに新規進出企業もたくさん日本から来られると聞いておりますが、RADARの申請に時間を要するようになったことを付け加えておきます。

    航空業界は先程も申しましたように、旅客は好調、貨物は輸入は好調、しかし日本からの輸入に関しては依然震災の影響が続くものと見ております。航空インフラ整備ですが、先週の新聞にも報道されましたが、Anacの調査によると、遅れる空港のランキングでグァルーリョス空港が上位でした。25%以上の出発が遅れるそうです。で、ほぼ時間通りに出発する空港はビラコッポスと報道されていました。

    次に、フライトが遅れる原因のもう一つの理由として、旅客の手荷物にもあると聞いております。確か昨年末、Anacは手荷物の合計の長さと高さが115cmのボリュームまで、重さが5キロまでの規格が決められていますので、それを超えると再度手続きが必要になってきますので、その分フライトが遅れると説明を聞いています。次に、輸出は横ばいかと期待されていますが、レアルの増加要因によるところが大きく、予測は立てられないのが本音です。

    続きまして海運業界です。ブラジル内需の堅調さと為替状況からコンテナ貨物の輸入は堅調に増加傾向で推移するものと予想しています。輸出は輸入に比べると荷物量は安定的、若干の増加するものと予想しています。

    ばら積み鉄鉱石の状況も現状が続くと見て、前年比若干増加。運賃マーケットは老齢船の撤退などで穏やかな回復を期待しています。港湾インフラではサントス港の二つの新規ターミナルの開業が2012年下期と2013年に予定されているが、それまで需給逼迫、それに起因する混乱が続く見通しです。

    次はホテル旅行業界です。観光庁の予測によると、中間層の旅行者の需要拡大の増加によって2011年末の国内到着便は7500万人と予想しています。国外到着便は890万人を予定しています。

    先程ブラジルの空港の出発について報告しましたが、到着便も問題があります。皆様もすでに経験されていると思いますが、いろんな問題の組み合わせが原因で、ピーク時の時、飛行機から降りてから荷物を引き取るまで大体1時間半かかると聞いています。

    グァルーリョス空港の受託手荷物預かり所は1985年にターミナルをオープニングした時と同じ物を利用しているそうです。さて2014年のサッカーワールドカップ、2016年のリオオリンピックを控えて、すでにイベントに関連した宿泊が目立ち、下期はさらに増えることを期待しています。先月末でしたが、各国の関係者がワールドカップ関連で、予選組み合わせ抽選会がリオ・デ・ジャネイロで行われました。

    最後に通信・IT業界ですが、まず通信業界から説明します。下期もスマートフォン販売は高い伸び率が期待されています。特にiPhone、アンドロイド端末経由でモバイルブロードバンドの活用が増える見込みです。

    次に、通信会社のOi社は4世代のLTEのテストを開始すると発表しています。2014年のワールドカップまでにサービス開始する予定になっています。次にIT業界ですが、年内に約9社のメーカーがブラジル国内でTablet型端末の生産をすると発表されています。先程の説明にもありましたが、ブラジルのMaiorPlanの課税ゼロにより、大体30%程度の価格が下がると予測されています。

    そのほかに、CloudComputing、サーバーのバーチャル化、SNSツールの利用、例えばFacebook、Twitterといったものの活用が企業内に進むだろうと期待しています。それ以外にApple社が一般ユーザー向けに無料のCloudサービス、iCloudを年末までに提供すると発表しています。

    Cloud型にすると、ユーザーはデバイスを変えても、端末を変えても、データセンターに保存している、例えば自分で購入した音楽を聞くことができるようになります。Apple社が参入することで、おそらくCloudサービスの普及が加速します。先程別の業界でも人材不足について述べましたが、同じく通信・IT業界も専門家の確保が厳しくなります。

    今回当発表の作成にご協力していただいた企業の皆様の名前を記載していただきました。以上運輸サービス部会の報告を終ります。ご静聴ありがとうございました。

    司会:
    岐部部会長ありがとうございました。それでは何かご意見ご質問等ございましたら。よろしゅうございますか。はい。それでは最後にまたお時間ができましたらそこでも皆さんにご質問等していただければと思いますので、先に進めさせていただきます。それでは次に繊維部会の方から、岡田部会長様よろしくお願いいたします。

     

     

     

  • 繊維部会  岡田幸平 部会長

    繊維部会

    繊維部会2011年上期の回顧と下期の展望について発表します。繊維部会はダイワ・ド・ブラジルをはじめ綿紡績とオープンエンドをやっている会社。それからクラシキのように綿紡績と羊毛紡績。日清紡、綿紡績。オーミも綿紡績。東洋紡は綿紡績と綿の織布をもっています。

    それからユニチカは綿紡績。サンヨーテックスは紳士服地と婦人服地の輸入販売。それからYKK・ド・ブラジルはファスナーとボタンと、それから後の建設部会に関係しますアルミサッシですね。それをやられております。

    以上、8社中6社がですね、綿紡績を主たる事業としております。部会の各社から上期の回顧と下期の展望について中身の濃い報告書をいただいておりますけども、まあ時間の関係もありますので今日は2011年の綿紡績の非常に厳しい状況を中心に報告させていただきます。

    このグラフですけども、ブラジルの綿花、これは原綿ともいいますけど、綿花の相場はエザルキ。それ以外は日経新聞の商品相場の数値を、2010年の3月を、ここを1としまして、指数化して表しております。

    この中で、今なお上昇を続けていますのは金だけですね。最近原油については去年の3月と同じレベル。それからまたもうちょっと下まで行っていると思います。で、農産品になりますトウモロコシ、コーヒーは約2倍のレベルまで行って、そこから1割2割下降しています。

    で、ここで説明したいのは、原綿関係ですね。ブラジルの原綿、それからニューヨークの定期相場、これがですね、今年の3月4月まで約2.7倍まで高騰して、その後去年の3月のレベル近くまで大暴落をしております。ほとんどの商品相場というのは今年の3月ぐらいが大体ピークになって、あとまあ下落していますけども、このような大きな下落をしているのは綿花だけでございます。

    それでは、国内の綿糸販売について2011年の上期の回顧をします。ちょっと字が小さいので後ろの方は見えないと思いますが、書いてある通りに読んでいきますので、ご心配なく。

    2011年上期の国内綿糸市場は、第1四半期こそ、30%強の値上げが通り、堅調に推移しました。しかし、第2四半期に入り、市況は激変し、綿糸相場は35%強も暴落したと。紡績各社は、大幅な赤字転落を余儀なくされています。

    相場下落の理由として、次の3点が考えられています。一つは、綿花相場の高騰と暴落による綿糸市場の混乱。ブラジルの綿花相場は2011年3月15日に、史上最高値4.01R$/Lbを記録しました。7月にはそれが1.58 R$/Lbまで暴落しました。ニューヨークの定期綿花相場は、4月に2.10US$/Lbの南北戦争以来の高値を記録しました。

    7月には、1.36まで暴落してしまいました。そこでユーザーの買い控えにより、紡績各社の綿糸在庫が膨れ、綿糸相場の下落に歯止めが掛らぬ状況が続いております。紡績各社の在庫の原綿は、高値水準のままであり、現在の綿糸相場では、赤字販売となり、危機的状況に直面しています。空紡糸、オープンエンド糸ですけども、についても、綿紡糸同様、年初糸値アップは実現しましたが、その後安値中国製品に押され、需要が落込み、減産または生産ストップ等厳しい状況となっております。

    2番目として繊維製品の販売不振。最終消費者が自己のクレジット状況・消費行動を冷静に見直しつつあり、繊維製品に対する需要に陰りが出ている。繊維の小売業界は、寒さが遅れた為に、5月まで売上を伸ばせず苦戦しました。6月には昨年同月比40%以上伸びました。

    冬物は寒さが長く続いたため、店頭販売は好調だった。しかし、春物の店頭投入が遅れ、小売店やアパレルの在庫が増加しています。アパレルは、糸、生地の値上げで、製品価格の値上げを余儀なくされ、受注が減り、かつ、輸入製品との価格競争では苦戦しています。

    衣料の輸入は、昨対、57%増、既成服の輸入は38%増加しています。分野別では、紳士服はあまり良くありません。婦人服、ユニフォーム市場は、拡大傾向が続いております。ジーンズ分野では、販売が見込みを下回り、市中在庫が増加し、第2四半期以降、ジーンズに使われているファスナー販売に陰りが見え始めました。

    婦人服分野では、トレンドがニットから、先染め格子柄織物製品に変わり、コンシールファスナーの販売が昨年に続き好調を維持しました。また、ファスナーを使用したサンダルブーツの流行もあり、靴分野のファスナーは好調に推移しています。ユニフォーム分野の厚地織物は、インフラ関連工事が減りました関係で若干減少していますが、商業とかサービス向けのユニフォームの薄地織物については、昨年並みを維持しております。

    それから、レアル高に伴う、輸入綿糸、輸入製品との競合。レアルは、2006年の2.2R$/US$から1.6R$/US$までレアル高が進行し、2006年には2万トン超あった綿糸の輸出は、今年は309トン。5年間で35分の1、もうほぼゼロになってしまいました。

    綿糸の輸入は毎年倍増していますが、主たる輸入国であるインドの綿糸輸出規制があり、昨対半減しましたが、その後インド国内での在庫増により、ブラジルへの安値オファーが出てきまして、市場をかく乱しつつあります。これは、インドでも綿花不足による綿糸生産が落ち込みましたので、輸出を禁止されました。

    今年の3月まで。で4月以降それがどっとたまっていまして、輸出に回りまして、安値で投売りの状態になっております。長期的・構造的なレアル高傾向により、量販店チェーン、SPAや大手アパレルが、中国をはじめアジアでの海外生産・調達を増やしています。

    これまで比較的ブラジル国産品の牙城であった綿カットソーやジーンズまで海外生産・調達の比率が増加しております。我々紡績の主要ユーザーは、比較的国産比率の高いカットソーメーカーでありますが、小売市場での輸入製品との競合に晒されており、現在のレアル高は、ブラジル国内で操業する繊維製造業にとり死活問題であります。

    それでは2011年上期の原綿価格の推移と原糸販売価格の推移と想定されるコストの推移をグラフにしました。2010年3月、ここですね、ここを1としています。これは原綿、先程見ていただきました綿花相場の動きですね。これがそれによるコストを見ています。

    このコストを1とした時にその原糸の売値が1に対してどれだけだったかというのをこのグリーンのグラフにしています。ですから、去年までは、原綿はどんどん上がっていきましたけども、コストはそんなに上がっていません。といいますのは、原綿を紡績会社は2ヶ月ほど在庫で持っています。で、2ヶ月前の原綿を使って糸を作っていますから、すぐにはコストアップにはなりません。

    この間、約2ヶ月ずつぐらいのタイムラグがあります。ですから、上がっていった時には、コストは遅れて上がってきました。で、売上については、うまく値上ができた時は、例えばここですね、それから今年のここですね、大幅な利益が生み出されています。

    しかしあまりにも急激な原綿の値下がりがありましたので、ここで原綿の在庫を持っていますので、コストはすぐには下がらない、遅れて下がってきますので、それに今回は糸の売値の方が早く早く下げろという圧力が強くなりましたので、急激に原綿の下がりを見て糸値も下がってしまったというということで、今年の4月から先というのは赤字ということになっております。この赤字幅が、まあ、それぞれの会社のコストだとか原綿の在庫によって違いますけども、大幅に出ていまして、これが今の我々の業界を苦しめております。

    それでは2011年下期の展望についてお話します。2011年下期は何とか市況が底打ちさせ、価格転嫁を図る一方、原綿コストの入替えをすすめ、早期の赤字脱却と収益力の回復が切望されています。その為には、次の3点が重要なポイントであると考えています。

    一つは、過剰在庫の削減。紡績・ユーザーともに高値の糸在庫を抱えており、今後夏物の糸手当てが進む中で早期の在庫削減が必要です。原綿については、不透明な要素も多いが、大幅な需給緩和から相場は弱含みで推移されると思われ、上期の高コスト原綿からの入替えをしつつ、綿糸相場の回復を図らねばなりません。

    綿花相場は、主要綿産国の増産予想、綿糸市況低迷による世界的な紡績の回復遅れから弱含みが予想されています。アメリカのテキサス綿の旱魃の影響、原綿の大ユーザーである中国の手薄になった備蓄綿の補充時期など。

    ブラジル国内原綿も一部地域の雨不足による減産や品質不良綿の増加、また寒波による収穫の遅れ等の影響から綿花相場は今不透明な状況になっておりまして、1.6R$/Lbを割込んだエザルキが現在、1.9R$/Lbを超えて続伸をしております。

    いったん下がったものがまた一寸上がってきております。綿糸相場は、インド綿糸の安値オファーの影響や綿糸在庫が多いということと、原綿価格の下落・高騰等の相反する情報により今は混迷を続けております。

    二番目としては、価格転嫁ですけども、原綿相場が弱含みの中、価格転嫁あるいは維持は非常に困難が伴います。原綿相場が安定した時点で綿糸相場もしかるべきところに収斂されるという見方もあるが、前述した業界の販売低迷や輸入との競合等もあり、紡績の適正な利ザヤを確保した綿糸相場へ持っていけるかどうか予断を許しません。

    夏物の本格生産に入る下期の早い段階で一段の価格転嫁が必要であり、紡績各社の協調が不可欠であります。例年ニット製品の生産時期と販売時期は、半年のギャップがあり、真冬の今は真夏の糸から編・織の最盛期で、糸の生産は10月には来年の冬物へ切替わります。

    6月には夏物の生産が活発になり、綿糸の販売が伸びるはずでしたが、7月になっても原糸の購入の勢いがつかない状況です。織物については、インフラ関連工事が再度加速し、ユニフォームの需要は回復し、衣料は原料価格の低下を受けて、生地値が下がり、クリスマス商戦も含めて販売量の増加が期待されています。ファスナーの分野では、サンダルブーツへのファスナー使いの流行が縮小する傾向があり、好調さを維持できないと見ております。

    最後に、業界としての陳情ですけれども、何かとまとまりの悪いABIT、ブラジル繊維工業会でありますけども、ブラジルの繊維は今170万人の雇用を守っております。インド輸入糸に対するアンチダンピング提訴や、アジアからの輸入製品増加に対する何らかのガード、あるいは国内繊維産業へのインセンチーボの連邦政府への陳情など、リーダーシップを発揮してやるべき仕事はたくさんあります。

    綿花相場の形成システム、エザルキと、それにもたれた取引習慣にも何らかのメスを入れるべきでありましょう。繊維部会もABITの一員として、課題の解決に今後取組んでいきます。以上で発表を終ります。ご静聴ありがとうございました。

    司会:
    岡田部会長ありがとうございました。今ご報告があった通り、レアル高の影響ということでの安い輸入品が入ってくるということが、まあひとつこの業界が厳しいということのお話だったかと思いますけれども、何かご質問ご意見等ございましたら。はい、それでは次に参りたいと思います。次は建設不動産部会で、部会長代理の大滝様の方からお願いいたします。

     

     

     

  • 建設不動産部会  大滝守 部会長代理

    建設不動産部会
    レポート

    20110823大滝

    建設不動産部会、部会長代理を務めますホス建設の大滝と申します。よろしくお願いいたします。

    2011年の上期の回顧ですが、日系建設業界では昨年と同様、日本企業の工場建設が継続されまして、また日系企業以外の工場建設の受注があるなど、各社とも活況でありました。

    地盤改良や止水、特殊基礎の工事につきましても、受注する機会が増えてきたそうです。問題としましては、エンジニア・職人の不足、資材・設備メーカーの供給が遅れる現象が顕著となりまして、工程に支障が出ているなど、労務・資材の不足は人件費や建設物価の高騰が各社の採算に影響している点であります。

    ブラジル全体の建設業界では、住宅関連、公共事業関連は好調でありまして、下半期もこの状態が続く予測をしております。ブラジル政府が進めるPACでは、土地の収用が裁判等で進まず、停滞しているようです。2014年サッカーワールドカップのスタジアムの工事も動きを見せていますので、建設業界は好景気と言えます。

    表の1は建設労働者数の推移ですが、去年と比較しますと労働者の増加のペースは少しゆっくりしていますが、増加の傾向であります。本年7月の速報では、全体300万人が建設業に正規登録したとありました。また、最近2年間では女性の進出が増えておりますが、女性労働者は現在で17万人が正規登録されており、地域によっては30%の比率を占める建設現場があるとの報告です。

    まあ最近の傾向でも、女性エンジニアは現場に出ることを嫌いませんが、男子エンジニアの方がまあ現場を嫌がるという傾向がありまして、ここでも男子の草食化が現れております。女性のエンジニアが配置された場合は何卒よろしくお願いいたします。

    サンパウロ州の建設労働者の賃金上昇ですが、本年は9.75%と5月に決定されまして、5年間連続で国のインフレ率の2倍近い上昇率となっております。この賃金水準・建設会社の負担金額は他の国と比較しても高額となっておりまして、今後、技能の訓練や建設工事の機械化を進め、生産の向上をはかることが課題となっております。

    次に、表2は建設資材の価格の推移ですが、2011年上半期におきましては、昨年以上に値上がりを示しております。特に建物の仕上げ材、設備資材の価格上昇が大きくなっておりまして、ブラジル建材協会の発表によれば、昨年後半から着工された建物について今仕上げ段階に入っていることが原因と見られております。

    また、資材とは別に、2016年まで9000件の公共工事が想定されまして、建設機械の需要が現状よりも70%増加する予定で、建設機械は2010年では7万件、2015年の予測では12万件に需要が増加されるのではないかと予測されております。

    次に、表3は建設工事量の動向を示すセメントの販売量の昨年との比較であります。ブラジル全地域では平均8%以上の増加率を示しております。セメントメーカーは設備増大を進めておりまして、現在の60万トン能力から、2015年には100万トンの生産能力にする予定だそうです。

    サッシ業界では、アパートの建設工事の遅れが目立ちまして、そのため施工費用の増大や次の工事の遅れで、受注に影響を受けているようです。またサンパウロ市内では、アパートの着工件数が昨年と比較しまして20%落ちまして、今後とも受注が厳しい1年となっているそうであります。

    家具業界ですが、メーカー同士の競争が激しくて、採算が厳しい状況であります。最近ではサッカー場の椅子の取り替え工事があり、ワールドカップを前にした商売が出現しているということも聞きました。

    次に表4ですが、不動産関係、住宅建設の各都市の発売件数です。2011年上期と2010年の比較を示しております。サンパウロ、ポルト・アレグレ市は去年よりは落ち込みましたが、フォルタレーザ、東北伯等では急激な伸びを見せております。

    政府が進める大衆住宅政策につきましては、最低賃金の3倍収入の世帯まで普及させるものですが、最近の土地価格、建設物価の上昇で、政府の設定価格では供給ができないまま停滞していました。6月になりまして価格が調整され、再開されましたが、今後とも土地価格の上昇等で供給は少なくなると予測されております。

    銀行によるポウパンサ住宅融資は、去年は560億レアルでしたが、2011年上期では370億レアルで、今年は850億レアルになると予測されています。
    オフィスビルの建設投資は前年比80%の増加で、460億レアルの投資規模といわれております。

    特にリオ・デ・ジャネイロはビルの販売価格がニューヨークと並んで上昇しておりまして、またオフィスビルの着工申請が前年と比べて60倍となっているようです。ショッピングセンターを含めた商業施設・ビルの投資は、昨年上期760億レアルが本年は1300億レアルに増大しております。

    工場用地の土地価格は上昇が継続しておりまして、サンパウロ市から100~150キロ圏内でも安価な土地が少なくなっておりまして、地方都市によってはインセンティブを出すなど企業誘致が熱心で、特に中国系・韓国系の工場進出計画もあり、今後土地の上昇傾向は強まると思います。

    2011年下期の展望ですが、日系建設業界では、昨年、今年に受注した工事の完工を目指した繁忙な時期となりますが、今後とも建設案件は発生するため、一層の受注努力を考えております。

    ブラジル建設業全体としましては、好景気はしばらく続くと思いますが、アメリカ・ヨーロッパ経済の影響を受け、来年、2012年には停滞もあり得るとの見方もあります。また、来年は市長・市議会議員の選挙が行われるため、まあ前兆としまして市内の公共工事が増加しそうであります。

    ニュースとしましては、建設現場では今でも多くの廃材を出しておりますが、政府は規制を強化しておりまして、「建設廃材リサイクル法」の検討を進めております。

    その影響で工事費のコストアップにつながりそうであります。しかしながら、日系建設業界としましては、技術力・安全管理を向上させる努力につとめ、自然環境保全や省エネ、CO2の軽減等に積極的に取り組みたいと考えております。ご静聴どうもありがとうございます。

    司会:
    大滝様ありがとうございました。何かご質問ご意見等ございましたらお願いいたします。よろしいでしょうか。それでは、最後になりますけれども、食品部会の方で天野部会長様からご報告いただきます。よろしくお願いいたします。

     

     

     

  • 食品部会  天野一郎 部会長

    食品部会

    どうもこんにちは。食品部会の天野です。食品というのは軽いし、簡単ですし、澤田司会にあわせてですね、予定の時間の6時5分に終るように努力いたしますので、皆さんご安心ください。

    題目としてはですね、特に今回の3月11日の大震災と大津波で東京電力の福島第一原子力発電所がまあ事故を起しまして、それで日本の農産物、あるいは食品業界にですね、放射性物質の拡散ということで、多大な影響を及ぼしまして、各国で日本の食品の輸入規制ということがありましたので、まあブラジルではどういうふうになったかということについて触れたいと思います。

    それから部会各社の動向、それから、原料ですね、先ほどから色々コーヒーとか出ていましたけども、まあその辺りが非常に高くなっているということで、原料の動向。それから全体のまとめということでお話していきたいと思います。

    大震災でですね、まあ結局福島第一の炉心のメルトダウン、それから水素爆発ということで、世界を震撼させて、その影響でですね、ブラジルでも4月1日にですね、ANVISAが日本の食品の輸入規制、放射性物質がついてないかどうかというような証明書をつけるようにということで、規制が発表されました。

    それからですね、その、全てについて規制するというわけじゃなくて、現実に、その、福島に近い12都県というところのものについては放射性物質の付着がないという証明をするようにという形になりました。

    で、実際問題としてはですね、この4月から6月の間は皆様もご存知のように、リベルダージにですね、日本食がないと。やっと見つけると韓国か中国のものであるというような状況が続いたわけでありますけれども、ここに、在伯日本大使館の皆様はじめ、政府関係の方のご努力によりまして、日本当局の発行した英文の産地証明、あるいは放射性検査の証明をポルトガル語にですね、まあここでは英文は通じないものですから、英文あるいは日本語は通じないものですから、ポルトガル語に翻訳してそれを提出すれば通関ができるというふうにしていただいたものですから、今週末か来週の初めに震災後の最初のプロットが日本から入ってくるそうです。

    ですから、来週からはですね、我々も日本食が食べられるようになるという非常にありがたい話だと思います。

    その12都県というのはですね、夏なので南西の風というんですかね、南の方、福島、宮城、山形、それから栃木、群馬、茨城、新潟、長野、山梨、埼玉、千葉、東京と12都県になります。で、これのですね、12都県の生産物については放射線の検査が必要であると。

    で放射線の検査をした結果、コーデックス、コーデックスという規格は世界的な食品に関する規格なんですけども、コーデックスで放射性ヨウ素がキログラムあたり100ベクレル以下、それからセシウムが1000ベクレル以下というふうに決まっているわけですけども、これを満たしていれば証明書を都道府県が発行して、それでその英語のものをポルトガル語に翻訳して、通関できるというスキームができています。

    それからですね、12都県以外はその生産地が12都県以外だということの証明をつければ、それをポルトガル語に翻訳して通関ができるということです。

    で、この翻訳人はですね、一応事前にANVISAに登録するんですけども、日本大使館を通じて翻訳人を登録します。ちなみに当社でももう登録は済んでおります。まあ具体的にこんなような形のものにですね、一番右の下の方に判子がありますけども、あれが県の証明の判子になってこういう形の証明書ができると。

    この発行された証明書をポルトガル語に書き換えてですね、そうするとブラジルの方にですね、そのさっきの右の下にあった判子が全部一覧がありますので、これなら大丈夫だということで通関できるという仕組みになっています。
    次に部会各社の動向ですけれども、まあ色々、高金利でたいへんなんですけども、まあ食品をですね、ローンを組んで買ってくれる人もいないし、分割払いということもないので、おしなべて各社好調です。

    調味料製造関係に関しては、売上は14%増。下期はですね、前年比二桁以上を目指すと。それから乳酸飲料に関しては、数量9%増。前年比、下期については5%増を目指すと。食品添加物の販売。徐々に販売増であると。下期は現状維持であろうと。コーヒー販売に関しては、順調であると。

    下期は昨年を大きく上回ると。それから清酒に関しては増収増益であるけれども、色々競争が激化して下期は苦戦するだろうと。醤油に関しては順調に伸張していますけども、その反動の懸念をしています。それから果実ピューレに関しては数量がアップするも、輸出で苦戦。国内は良いんですけれども、輸出はまあどうしてもレアルが高いということで、輸出の場合は苦戦のようです。

    それから即席めんに関しては北東部で、北部、北東部で伸張していると。下期3%前後の成長を見込んでいると。それから香料に関して、22%超の増加と。下期は若干厳しいのではないかと。外食関係では、輸入規制でダメージがあったと。下期については、輸入が始まるので、明るい展望であるということです。

    それから、品目別にですね、まあほとんどのもの皆それなりに伸びているんですけども、一番向かって左が調味料、それから粉末スープ、粉末ジュース、乳酸飲料、ジュース、果実ピューレ、即席めん、香料ということで、最大40%から、低くても5%近い伸長を見せているということです。

    それから輸出のことに関しましては、各社ともまあレアル高ということで、コーヒー、比較的厳しい状況。調味料、拡大めざすも苦しい。飼料、採算は依然不透明。果実ピューレ、苦戦中。国内販売の強化。ジュース、コストダウンも限界ではないかということで、輸出関係は皆さん苦労されているようです。

    それから原料の動向ですけれども、これは先程出てきたのとほとんど同じ形で、今年の3月ぐらいがピークになっているんですけども。これは砂糖です。

    それからこれは牛乳の相場です。これもずっと上がってきています。それからこれはコーヒーの相場です。これもずっと上がってきています。原料の動向として、相場高騰の要因は、ブラジルとか中国をはじめとした経済新興国で生活水準が向上して、食品消費が拡大したと。

    それから、石油代替燃料となるエタノール需要の増加が砂糖やトウモロコシなど穀物の価格を下支えしていると。それからあとは生産の問題として、異常気象と。それから、まあ世界的に流動資金が非常に余っているということで、投機マネーのコモディティ市場への流入ということですね。

    で、まとめといたしまして、上期の回顧は、全般的に国内市場は引き続き順調な拡大を続けていると。ただし、原料相場が収益を脅かしていると。それからレアル高による輸出環境の悪化。それから一部に日本製品輸入制限措置による影響。

    これが下期になりまして、まあ不透明要因はあるものの国内は好調維持するであろうと。それから輸出についてはですね、為替トレンドは引き続き1.6というような形になるということで逆風であると。

    まあこういう形の状況を生かして経営基盤の強化を行っていきたいというのが各社の状況です。大体2分ぐらい超過しましたけども、これで終ります。ありがとうございました。

    司会:
    どうも天野部会長ありがとうございました。それでは今の天野部会長のご報告に対しまして何かご質問等ございましたらお願いいたします。よろしゅうございますか。さすがに百戦錬磨の部会長様、副部会長様で、司会の時間進行までご心配いただきまして、滞りなく予定通り全11部会のご報告が終わりました。

    皆様におかれましては、今日午後からこの夕方の時間まで、一貫してご出席をいただきまして、誠にありがとうございました。

    それではここで、在ブラジル日本国大使館の金子一等書記官様にご講評をいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

     

     

     

  • 講評 金子 創  一等書記官   在ブラジル日本国大使館

     

    私の方も司会の議事進行を妨げないようにですね、簡潔にご挨拶申し上げたいと思います。まずはですね、先日、8月の8日でございましたか、日伯の貿易投資委員会、サルバドールの方で開催されたということでございまして、近藤会頭をはじめですね、商工会の皆様には大変お世話になったと。

    特にサルバドールという、私もまだ行ったことはないんですけれど、ちょっと離れた場所ということで、非常にそのロジとかですね、そういった面で不安があったというふうに伺っておりますが、おかげさまで非常に良い会議ができたということで、大使の三輪、また経産省の審議官の岡田の方から皆様に感謝を伝えてほしいというふうに仰せつかっておりますので、この場を借りて、私で申し訳ございませんが、感謝の意を述べさせていただきたいというふうに思っております。

    またその会議の場で、一つはその、例のビザの話、また移転価格税制ですか、こちらの方についてですね、ご指摘をしていただいたと伺っております。おかげさまでブラジル側にも日本側の強い思いというのが伝わったというふうに伺っております。重ねて感謝をいたす次第でございます。

    この貿投委については、また半年後と伺っておりますが、開催されるということでございまして、引き続き皆様のご協力をいただけると大変ありがたいなと。ひいては日伯関係のさらなる強化というふうにつながればというふうに思っておりますので、よろしくお願いいたします。

    私事ですが、6月の22日にですね、当地に赴任いたしまして、ちょうど2ヶ月経ちました。私は元々は総務省の情報通信担当ということで、前任の臼田から引継ぎを受け、引き続きその、地上デジタル放送とか通信の関係を担当することになっております。

    皆様に色々と教えていただきたいことが一杯ありまして、今後ともお付き合いをよろしくお願いしたいというふうに考えております。

    一つその、こちらに来ての感想というか、雑感になりますけど、ブラジリア、まあご承知の方も多いと思いますけど、郊外というかですね、ちょっとセントロから外れたところにフェイラ・デ・パラグアイというのがありまして、色んなその雑貨とかですね、良く言うまあコントラバンドと言うんですかね、密輸品だとかそういうものが安く売られているので、割と庶民が週末に行くところがございまして。

    まあそういうフェイラ・デ・パラグアイと、ご承知の通りパラグアイだと模造品とかそういう、あまり良い意味で使われていないようですけど、実は私、10年ほど前、2000年前後にかけて実はパラグアイに住んだことがありまして、まあ色々とその、ラテンアメリカの苦労というのをちょっとは、まあ10年ぐらい前に味わってですね、横でブラジルをこう見ていて、ブラジルへたまに行くと、パラグアイから行くと非常にブラジルって何か素晴らしい国だなというふうに思って今回赴任してきたわけですけど、正直言ってですね、すごい期待があったんですが、非常にその、まさかと思ったんですけど、例えば手続き一つとっても色々とその、私の身分証の発行とか、非常に時間がかかったと。

    まあ3週間ぐらいかかったということで、パラグアイの時はそんなにかからなかったのに何でブラジル、あの時の感触だとブラジルはもっと素晴らしい国で、こんなに時間かかるなんて信じられないということが色々多々ありまして。

    そういった意味で非常にその、あの別に政府を批判しているわけじゃなくて私の個人的感想になるんですけど、ちょっとですね、ここもやっぱりこういうところが大変なんだなと改めて実感している次第で、何が言いたいかというとですね、まあ皆様のご苦労、色々と商売の上でですね、ご苦労が多いのかなというふうに感じている次第です。

    日本はやっぱりその、我々役人もそうですけど、割と連携プレーとかですね、そっちの方は、個人プレーはまあ置いておくとしても連携プレーはそれなりに自信を持ってできるということで、やっぱりこういう商工会の活動を通して横の連携を強化していただいてですね、ぜひともブラジルに進出している皆様がですね、こうハッピーな時間が過せることが多くなるよう、この商工会のこういった活動をぜひ積極的にやっていき、またこういう場を通じて色々と皆様のご相談とかですね、お悩みについてですね、もちろんその、ブラジリアですけど、日本大使館、またはサンパウロ総領事館の方にですね、色々とご相談していただいて、少しでも皆様のビジネスがですね、まあハッピーになるようお手伝いできたら幸いかなというふうに思っておりますので、引き続きご支援、また色々とご迷惑かけることあるかと思いますが、よろしくお願いいたします。ありがとうございます。

     

     

     

  • 閉会の辞   澤田吉啓   企画戦略委員長

    司会:
    金子様、ありがとうございました。まあ既に商工会議所の方からメールでご案内を差し上げておりますけれども、本日各部会長様からご報告いただきましたプレゼンの資料ですね、こちらは商工会議所のホームページの方にすでにアップされておりますので、今日お聞きになられて、もしよろしければまたお戻りになられてそれをご活用いただければというふうに思います。

    それから、今日は本当に大勢の皆さんにお越しいただきまして、一部の皆様につきましては、大変申し訳なかったんですが、ちょっとテーブル付きじゃない席ということでですね、大変窮屈な形になりまして申し訳ございませんでした。

    先程平田事務局長様の方から、次回はさらに大きな会場でやりますということをおっしゃっておられましたので、これに懲りずですね、ぜひまた次回も皆様のご参加をお願いしたいと思います。

    また今回ご出席いただいた中で、商工会議所の会員ではまだいらっしゃらない方々というのは実は5名程度しかご参加いただいておりませんで、ぜひですね、次回の時には、多分皆様のお仕事の関係で携わっておられる方々で、会員になっておられない方いらっしゃると思いますので、ぜひこういう機会にですね、そういった方々にもお声をかけていただいて、こういったところにご出席いただければ大変ありがたいと思います。

    それではこの後懇親会がございますので、今日、申し訳ありませんでしたけれどもあまり質疑の時間が取れませんでしたけれども、ぜひ各部会長様を囲んでですね、さらに種々ご議論をいただければと思います。

    本日は最後までずっとお付き合いいただきまして、誠にありがとうございました。それではこれで閉会とさせていただきます。ありがとうございました。

     

     

     

 

 

 

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