電気電子部会
皆さんこんにちは。今回は三好部会長がご出張中ですので、私の方で代わりにご説明申し上げます。
今日は3点ほどについてお話をさせていただきたいと思っております。まずは本年の市場の推移と展望ですね。それから家電流通の動きと懸念。それから3番目といたしまして、製造事業環境の変化と展望という点につきましてお話を申し上げたいと思います。
まず最初にですね、これは電気電子部会で約30数社メンバー会員がおりますけれども、皆さんにアンケートいたしましてですね、今年の前半どうでしたかという問い合わせをいたしました結果をまとめたものでございます。
まず市況・外部要因としまして、やはりインフレ対策、政府からの高金利政策・クレジット抑制策等がですね、まあ若干伸びつつある市場の中でそれにブレーキをかけた部分があるのではないかというご指摘がありました。
それから、私どもの産業というのはやはり日本製の部品、特に電子部品にですね、依存している部分が大変多くございまして、3・11の東日本大震災の影響を受けましてかなりその生産・販売に対して影響があったという状況が続いております。
これはセカンドハーフに参りましてかなり影響は和らいでまいりますけれども、当初ですね、4月5月の段階ではいつごろ回復するのか全く先が見えないという状況もあったかのように聞いております。また一部の輸入部品の不足が売上に影響してですね、我々も大手の量販店の皆さんとお話をする際に、いつになったらどれぐらい商品が戻ってくるという確約をするのが中々難しいという状況の中で、まあ韓国勢、中国勢との戦いに非常に不利な展開が若干ありました。
また、後で詳しくご説明申し上げますけれども、流通の寡占化、これが欧米・日本にとどまらずにですね、ここでもものすごい勢いで進んでおります。まあこういうところとどうやって、うまく売上を伸ばしながらですね、なおかつ彼等の依存率をあまり上げないようにしていくかというところが今回のお話のテーマの一つとして持ち上げたいと思います。
売上の実績と評価に関しましてですけれども、下のグラフを見ながらご説明申し上げたいと思います。まず販売実績ですけれども、まあ色々申し上げながらもですね、このブラジルの好景気に支えられて売上は結構伸びたというところが多くあります。その一方ですね、人員の変化なんですけれども、ちょっとこの矢印の指しているところが違ってこっちの方なんですけれども、人員の変化に関してはあまりその増加というふうには至っておりません。
現状維持もしくは若干増というところでですね、今の景気に乗っかって大幅増というところまでは中々行っていないと。皆さんやはり慎重に考えておられる部分が多いかと思います。それから拡大投資、投資に関してもですね、まだ現状維持というところで、中々これはあの、ブラジルのマーケット自体が日本から遠いものですから、また税制も複雑でですね、色々と説明を要するものですから、まあよく分からないからちょっと様子を見ようかというところが実際は多いのではないかというふうに考えております。
まあこのような状況の中でですね、売上と評価に戻りますと、好業績を残した企業とそうでない企業の二つに分かれております。前半好業績を残せた企業の方としましては、まあ基本的に消費全体が好調であったと。それからやはり営業活動をですね、かなり強化をして、変化していく販路に対して積極果敢に好条件を出していって取り込んだというところが売上を伸ばしていると思います。
それからあの、これはおそらくシステム系のところですけれども、ソリューションビジネス、いわゆるターンキーと言いますか、商品だけもしくは機械だけを売って終りじゃなくて、それをどうやって運用・メンテナンスしていくかというところのそのソリューションビジネスに入っていって、商品の販売以降に色々その付随する契約をもって収益率を上げていったという頼もしい例も何件かレポートされております。
また他社との協業等というところで、これは、一社でやっぱりやっておりますと中々その、買い叩かれますので、やはりコンソーシアムを組んで、例えば球場全体をオペレーションするようなアライアンスを組むと。ソニーの例でいいますと、古河電工さんなんかと色々とそのアライアンスの話をさせていただいておりますけれども、まあそういうやり方があるんじゃないかなということが好業績につながっているという原因になっていると思います。
一方で業績に中々その苦労したというところはですね、やはり固定費がもう上昇して止まらないと、それから地震の影響もあって売上が下がったというそのダブルパンチで、結果的にそのフィックスコストが高騰してですね、事業自体見直しをせざるを得なかったというところがあったかと思います。
それからあの、やはり、寡占化が進んでおりますので、マーケット全体の中でのその価格競争、特に韓国勢等ですね、価格競争に打ち勝たなければいけないものですから、売上は上がっているんだけれども収益性がいまいち追いつかないというところで、下手をすると売上だけ伸びてあまり魅力のないマーケットにしてしまう可能性がありますので、日本企業としましてはそこのところでですね、きちんとその収益性を確保できる売り方というものを考えていかないと付加価値がつかないというふうな理解をしております。
我々の業界は一般のお客さんを相手にしている場合が多いものでございますから、いわゆるそのCクラスといいますか、新しい購買力をつけている層がどういうふうに伸びていくのかというのが非常に気になるところでございます。
これは所得階層別に、左は世帯収入の伸び率を比較したものとですね、それから我々のAV・IT家電、オーディオビジュアル、ITですね、この業界におけるそのCクラス、もしくは所得階層別に占める売上の比率を、まあこういうデータがあること自体非常に私はブラジルというのは優秀な国だと思うんですけども、見た場合にですね、この黄色いところ、これがいわゆるCクラスというところでございます。
この人口が約1億人おりまして、どんどん伸びていると。DクラスからCクラスに入ってくる人、それからCクラスの中でもC1、C2という比較的その所得の高い、月の収入でいきますと3000ドル近辺のところにいる人たち、こういう人たちが今非常に購買力をつけているということでございます。
でこの人たちが今すでに全体の3分の1近くを占めているんですけれども、さらにですね、これがどんどん伸びていくということが予測されておりますし、この方々というのはですね、いわゆるAクラスと違いまして、一旦買って壊れたり、使い勝手が悪かったら困っちゃうんですね。ということでですね、ある意味ステータスシンボル的に信頼できるブランドのもの、それからサービス体制が整っているもの、それから持っていて人から羨ましがられるもの、こういうものに興味をお持ちの方が多いようです。
ということで我々もですね、AクラスBクラスに関してはもう積極果敢な攻撃を仕掛けてきましたけれども、やはりCクラスの中でステータスシンボルとして我々の商品を買っていただけるお客さんに焦点を定めて利益のあるビジネスをしていくというところがある一方で、韓国勢はここをかなり戦略的に抑えておりますので、そこからそのAクラス、Bクラスに上がってくるんですね。
で韓国メーカーはどんどんブランドイメージを上げていってAクラスを狙って行く中で、日本メーカーがCクラスを狙っていっていいんだろうかというそのパラドックスがありますけれども、そこはそこできちんと見極めながらですね、1億人いるという市場はこれは、単なる一億人全部同じ人じゃありませんので、その中でどうセグメントをつけてですね、我々が収益性もそれから売上の伸びも期待できるセグメントを狙っていくかというところがこれからの戦略戦術の見せ所だと思っております。
ここから先はちょっと、門外不出のデータをまとめて出しておりますので、ちょっと後でノイズが出るかもしれませんけれども、あえて家電、電気電子の方でですね、まあデータというのは基本的に開示してこそ付加価値を産むものであって、まあ研究開発等のデータ以外はですね、これはむしろ共有して議論した方がいいんじゃないかという姿勢でですね、いろんなデータを開示しています。
これはマナウスで作りました、作っておりますその電子機器類とですね、それからカンピーナスとかサンパウロを含めた品物を作っているもののデータを全て集めたものです。
ちょっとあの、大きな誤解がありましてですね、この一番下のところのこの白物ですけども、これは年間の1月から6月までの生産の台数ベースの数字ですけれども、6ヶ月で2000台しか電子レンジを作っていないわけがありませんで、これは1000台の、単位が、ここは実数ベース、こっちは1000台単位でご理解をいただきたいと思います。
ということで、電子レンジで行きますと200万台、去年作りましたと。今年の1月-6月同時期では193万台作りましたと、こういう理解をしていただきたいと思います。そういう訂正を踏まえてですね、ちょっとご説明申し上げますと、まず電気電子のところの家電製品ですね、いわゆるホームオーディオ、日本でいうそのステレオシステムというところですけれども、これはほとんど伸びていないというのが実態なんですが、一方でこのカテゴリーというのは全世界で今ものすごい勢いで縮小しております。
もう年間15%、20%縮小しているのは当たり前というところでございまして、むしろ台数ベースでもって維持しているというのは非常にこの頼もしい状況ですし、半年間で5000万台作っているというのはかなり大きなマーケットで、弊社にとりましてもブラジルというのは世界でも1位2位を争う大きなマーケットになっております。
それから小さめのオーディオシステム、これはまだ、まあ格好はいいんですけれども非常に音のボリュームが小さいものですからブラジル向けの商品としてはまだ一つ成熟していないと。それからホームシアターですね、これは、まあ液晶テレビがどんどん伸びているんですけれども、それに加えてですね、もうちょっと映画館と同じような音で楽しみたいというお客様がいますので、平均単価は下がっておりますけれども、比較的マーケットとしては大きく成長しております。
ということでオーディオ全般としましては16%増。それからカーオーディオに至りましては、先程中西さんからのお話もありましたけれども、車の販売が伸びておりますので、それに見合ってですね。こちらの車は純正の部品、純正のカーステが少ないものですから、まだまだ穴があいていると、その穴を狙って今商売を進めているところでございます。
ブラウン管テレビは大幅に削減されましてですね、全体で64%減。それを補う液晶テレビがどんどん伸びているということで、23%増と。これはあの、23%しか伸びてないのという見方もあるんですけれども、去年はワールドカップがございました。
ワールドカップ向けの商材というのは全て6月までに生産を完了しております。去年はばんばんばんばんエアーで送ってですね、空輸しないと間に合わないというその、素晴らしい商売をさせていただきましたけれども、それを上回る23%増というのがこの素晴らしいマーケットだと思っております。
ということでテレビ全体としましては6ヶ月間で440万台ということですけれども、大幅に薄型テレビに移行しているという状況がご理解いただけると思います。DVDのマーケットもですね、比較的大きな台数を作っておりますけれども、Blue-Rayと併せてですね、全体で27%増というふうになっております。Blue-Rayもようやく画質の高精彩さに理解を示していただいてですね、ようやく全体の10%ぐらいになってまいりました。
これはしばらく、導入してからしばらくはですね、数%、2%、3%の数字で推移しておりましたので、そういう意味では非常に大きな成長が期待されるというところでございます。ぜひ皆さんもBlue-Rayをお買いいただきたいと思っております。
その後ですね、ビデオカメラ、これはいわゆるカムコーダーという部分ですね、これはわずか4万5000台。これは若干増えておりますけれどもまだまだマーケットは小さいところなんですけども、Digital Still Cameraに関しましてはこれは非常に世界でも有数のマーケットに育っております。
最近のデジタルカメラというのは動画も記録できましてですね、よく皆さんコンサートなんかに行かれますと、こうやって手を伸ばしてですね、写真を撮っている姿があると思いますけれども、撮った後もカメラを下ろしていない方々、この方々は動画を撮っているんですね。
日本でデジカメを持ち込んでこんなことをやっているとすぐに没収されるんですけれども、この国はまだ撮っておれるのでまあここは非常に良いマーケットかなということで我々も一生懸命販売しておりまして、今弊社にとりましてはデジカメというのは世界で3番目の大きなマーケットになっております。ということでカメラ全体で40%の増となっております。
その下ですね、先程も申しました1000台単位で表示してありますけれども、マイクロウェーブオーブン、電子レンジですね、これが若干下がって参りまして、まあ過程普及率が上がってきたんだと思いますけれども、ほぼまあ一周したと。
それに対して、新しい機能をつけました洗濯機、それから冷蔵庫ですね、これはまだ25%、8%の台数ベースの伸びで増えておりますけれども、今回パナソニックさんが作られた新しいその家電工場というのもですね、かなり高機能で付加価値の高い商品を作られているということですので、やはり日本メーカーというのはそういう、そのブランドイメージに合ったしっかりしたものを作る一方でですね、CクラスDクラスに向けても比較的求めやすい商品を買っていただくという、その自分達の立ち位置というものをしっかりと理解しながら売っていかないとですね、単なる韓国勢の後追いになってはいけないというふうに考えております。
で先程小西社長の方からですね、いわゆるその個人の遅延、まあ支払いといいますか、クレジットに対する支払いが遅れているというデータがございましたけども、我々も家電業界の中でですね、かなりここのところは懸念を持っております。
これはIBGEという、まあTendenciasという特別なデータを取っているところと契約をしまして色々細かく見ているんですけども、こと我々の業界におけるデフォルトに関しましてはですね、今までずっと14~5%で推移していたものが、この最近、直近ですね、6月後半から7月にかけてどうも支払いが滞っている人が22%近くいるようだと。
これはあの、この後で借り替え等ですね、こっちの電気屋さんというのは基本的に電気屋さんでなくてですね、高利貸しがたまたま電気製品を扱っているということが実態なので、返せなくなったらその商品を取り上げるんじゃなくて、またその返しやすいようなパッケージを組んでさらに買ってもらうというその、追い貸しをする人たちが多いものですから、中々これが実態が掴めないのが事実でございます。
まあそういう中でこの、率が上がりながらもですね、なおかつ売上が伸びているというところで、我々もちょっとその、薄氷を踏む思いで進んでいる部分が若干ございます。ということを申し上げて、いわゆる、今度は後半戦ですね。下期の展望というところに話を移して行きたいと思います。
全体的な市況でございますけれども、レアル高ドル安による輸入品で例えば中国製、もしくは韓国製、韓国ウォンというのは非常にやっぱりまだ安いものですから、この辺の部材とか中国製の製品が大量に流れ込んでくる恐れがあるというふうに懸念を持っています。
中国メーカーも、先程中西社長のお話にありましたその、自動車だけじゃなくてですね、だんだんやはりその家電の方にも進出してくることが懸念されております。あとやはり加熱するインフレ経済下でございますので、まあ消費の拡大はいいんですけれども、取りっぱぐれにならないようにですね、しっかりとそのディーラーさんとの与信というものを見直していく必要があるだろうと。
それから高金利政策が続いて、今実勢のですね、いわゆるその消費者が量販店からものを買ったときの年間の金利というのは35%から45%ぐらいと想定されております。まあとんでもない金利でございます。こういう金利を払って買っていたお客さんが、海外に行ってですね、例えばプレイステーションですとか、デジカメとかそういうものを見るとですね、何でこんなに安いんだろうというふうに思うのは当然であります。
ということで今、マイアミとかダラスから帰ってくるブラジル人のお客さんというのは、マトリョーシカというロシアの人形をご存知だと思いますけど、開けても開けても中から人形が出てくるということと同じで、マトリョーシカ・ラゲッジというんですかね、大きな鞄の中に小さい鞄を入れて、小さい鞄の中にまたショルダーバッグが入っているというふうに一つの鞄の中に三つぐらい鞄を隠し持ってですね、帰ってくる時はもうとんでもない量の荷物を持ち帰るということが今大変流行っています。
特に2010年度ですね、2009年度に比べましてパスポートの発行数が34%増加しておりますので、ますます海外から持ち込んでくることも多いと思うんですね。そういう中でお客さんに対してですね、ちゃんと中で税金を払って買うことのメリットも感じていただかなきゃいけないと。それに対してはどういうそのサービスとか、メンテナンスをすればいいんだというところが我々の一つの挑戦でございます。
それから下期の販売予測ですけれども、先程申しましたように、震災の影響、これはもうほとんどないと思っております。これはあの、まあ驚くべき復興のスピードでありまして、まあ実際にその復興はしてないんですけれども、ソーシングを変えたりとかですね、他の工場で作ってもらったり、でそのところから資材を仕入れてということで補っていると。その補いがほぼ完了したといっても差し支えないかと思います。
それから新製品の投入や販売対策の建て直しを実施して販売増を予想するというところで、各社ですね、やはり販売に対する投資というのはかなり手厚く人員も配置していくというふうに考えております。
それから、積極的な拡売策を実施して市場の再活性化に向けて下期挽回を見込むと。これは先程申しました中々その前半苦労した企業の方々ですけれども、やはりその、本社からのプレッシャーが非常に強いんですね。今ブラジルはBoomingエコノミーといわれていますので、全体的に良いみたいだけどお前のところどうして下がっているのという非常に強いプレッシャーを感じて、もう本当に休む暇ないと、東京からの出張者がやんや来るというような状況になっておられるようです。
サッカーのワールドカップが2014年に開かれますけれども、それに向けてですね、いわゆる地デジ関連のビジネスを含む、まあインフラが計画通りに進むことを予測してですね、我々も新しい提案というのを政府にしていくべきだと思っております。
まあ地デジというのは、あくまでその、アナログ信号が2016年に停波されますので、その後にですね、より短い帯域を有効に使おうということだけでございまして、これ自体は決してその、画質が良くなるわけでもないし、他の新しいアプリケーションというものを一緒に組み合わせてなんぼの世界なものですから、まあ地デジみたいな機能を利用しながらですね、副放送というんでしょうか、補完的な放送を行うとか、もしくはその、ジンガといいますけれども、いわゆるそのメタデータをくっつけてですね、これを教育に活用しようとか、色々な試みを考えております。まあそういうその提案型のビジネスを日本企業の方から持っていきたいと思っております。
ということで、下期の販売予測は全体に比べて約60%が拡大というところですけども、若干縮小するというふうな危惧を持っておられるメーカーの方もおられます。で経営課題としましては、先程申し上げたその、コストがやはり上がっておりますので、売上が上がるのに比べてですね、コストが上がらないように、まあうまくバランスをとるというそのコストダウンと、人材の確保と育成。その中での営業力の強化。
それからあの、今までは欧米で作ったものをブラジルに持ってきて売るというパターンの会社が多かったんですけども、やはりここに来て市場のニーズにマッチした商品作りをしていかないとやはり韓国勢や中国勢と値段で負けていくのではやっていられないということがございます。
あとは取扱い製品の開発強化ですね。これは、やはりブラジルはものを作っておりますので、せっかくエンジニアを置いて作る以上はこちらから本社に対する提案をしていかないといけないということを話し合っているところでございます。まあIT等の設備投資をしていくこと。新規販路を開拓していく。
特にここはEコマースがですね、我々の業界でも非常によく伸びておりまして、他の国と比べても遜色ないと。欧米と比べてもその売上の比率としては非常に高いEコマースの商売の実態がございます。まあこういうところで売りやすい商品をですね、どんどん開発して売っていこうというのが今回の趣旨でございます。
ここから二つほどですね、物議をかもすかもしれない議題に触れたいと思います。一つは小売業界の合従連衡ということでございます。今まではですね、他の国に比べますと、まあ地方の中小量販チェーンといいますか小売店チェーンが群雄割拠しておりまして、日本の戦国時代のような様相を呈しておりました。
これは依存率を分散する意味でもですね、非常に利益の取れるおいしい商売をしていたんですけれども、2009年の後半からまあ昨今にかけてですね、ものすごい勢いで合従連衡が進んでおります。ここに映っておりますこういうブランドがですね、一緒になって一つの法人を作りまして、これが全部で約890店舗、売上高約7.2ビリオンレアルということで、全体のAV・IT市場の12%程度を占めるというふうにご理解いただきたいと思います。
Pao de Acucarグループが合併しましたCasasBahia、PontoFrio、その他CBD、Extraですね、こういうところが何と45%を一社で占めると、1300店舗まで持っていくというとてつもない売上規模を誇ってまいります。MagazineLuizaが今度MaiaとBauを合併しまして750店舗、約10%。まあこの辺になってきますとほとんどアメリカのBestBuyとかドイツのMediaMarktですとか、日本のヤマダですね、こういった規模の量販店と同じ寡占状況になってきます。
こうなるとメーカーというのは非常に弱いもので、このまま依存率を持っていくと、もうCasasBahiaとかPao de Acucarからいらないと言われたら基本的には商売は成り立たないというふうになってまいります。
まあ弊社の場合を例にとりますと、この半分以下で何とか依存率を抑えておりますけれども、やはりこれから彼等がどんどん伸びていくとですね、どんどん依存率が高まってしまうということで、彼等の買い取る量に対して評価をするんではなくて、買い取った後一体彼等が何をしてくれるんだというところに、その、彼等に対するリーダーマージンの価値をですね、見出していくような。買い付け量よりも、彼等がお客さんにしてくれるサービスの内容ですとか、商品の説明ですとか、展示ですとか、そういうその質的な変化に対してきちっと取り組んでいくような、プログラムを作り変えていくというようなことをしていかないとですね、大きなマーケットで全く儲からないというふうなマーケットに成り下がってしまいます。
この辺りがやはりその、60年から100年かけてですね、色々辛酸をなめてきた日本メーカーの成すべきミッションかなと考えている一方で、韓国メーカー等はですね、これはもうとにかくジャブジャブとお金をつけてですね、とにかく要求されるものは全部出すと。それ以上に出すということで、まああの、札っぴらで顔をひっぱたくという話がありますけれども、それに近いようなまあ攻め方をしております。
まあそれが良い悪いは別としてですね、そういうことをするメーカーに対して勝って行かなきゃいけないということがありますので、我々としても色々な仕掛けをしていきたいと思っております。その、若干、内容ですけれども、過度の価格競争に対してですね、やはりその、取引法人の分散化というのをやっております。これは、直営店を持つこともありますし、先程申し上げたEコマースで効率よく商売をしていくということも考えられると思います。マージン要求の激化に対してはやはり量から質への取引条件の見直しをしていくというところですね。
それから、激安自社ブランド製品の導入。これはアメリカ東部のですね、BestBuyが自社ブランドを導入したりするんですけれども、結局やはり彼等は量販店に過ぎませんので、いわゆる本当の意味での商品開発というのはできなくてですね、実際撤退しているケースがほとんどでございます。まあこういう無駄な抵抗はやめてですね、ちゃんとしたブランド物をしっかり売っていただくというところに早く気がついていただくための、その、仕掛けをですね、ディーラーなどを含めてやっていかなきゃと思っております。
それから、収益性を補完できるサービス事業の開発とありますけれども、現在BestBuyの売上というのはとんでもない金額を誇っておりますけれども、実際のその収益性という面から見るとサービスからの収益がほとんどでございます。家電製品を売って上がる収益というのは全て固定費の回収に使われてしまっております。
まあそういうことを考えてですね、ディーラーさんにもある程度そのサービス収入というものをちゃんと取っていただく、我々もそれに沿ってですね、商品の販売以外にですね、メンテナンスサービスをしたりとか、新しい接続の可能性を提案したりとかいうことで、新しい収益源となる事業を展開していきたいということで、弊社の例でいきますと、その、プレイステーションネットワークというものを全世界で1億人以上のお客さんを作ってやっていますけども、まあハッカーにやられてですね、大変なご迷惑をかけたりとかするわけですね。
新しい事業というのはそれなりにリスクを伴いますので、積極果敢にですね、勇気をもって取り組んでやっていくという中でいろんな勉強をしていくんだろうというふうに考えております。
それからあの、ここは非常にセンシティブな部分なんですけれども、家電の製造事業環境と変化の展望というところで、今環境が大きく変わっております。今、ゾナ・フランカ、マナウスのですね、そのいわゆるフリーゾーンで我々家電事業というのは白物とコンピューター以外は展開しておりますけれども、ここは元々その、辺境開発といいますか、アマゾナス州の辺境を開発して、まあその麻薬カルテルとかですね、それから外部からの侵入に対して守るという、その、軍事施設をですね、国境警備部隊を支援していくような経済活動を根付かせるというような趣旨が元々あったと思います。
同時にこれは昔天然ゴムの産業が、欧米の産業がいっぱいあったところですので、これをテイクオーバーするという部分もあったと思いますけれども、まあ70年近辺にですね、いろんなその軍事政権下でできた構想ですので、まあ当時アマゾンの奥でですね、家電製品を作って海外に輸出して利益を出すようなそういう国際競争力を持たせるような仕組みというのはほとんどなかったというふうに認識をしております。
まあちなみに今サンパウロからマナウスというのは直行距離で2700キロ、実際のその海路とか陸路を使いますと4000キロございます。4000キロ離れたところでですね、ものを作って持ってくるというのはですね、これはもうほとんど、例えば日本のマーケットに対してまあ中国の奥地とかですね、それからモンゴルでものを作って持ってくるようなものですから、全くその意味をなさないわけですね。ここら辺のその経済原理というものがこれからどういうふうになっていくのかというのが一つの課題かと思います。
まあそうは言いながらもですね、最近はその、環境保護、それからその、原住民のですね、生活権利と、先住権というものも重視されておりますので中々業界だけでですね、どうこうできる問題ではございません。また家電、空調機、バイク、化学品等に税の特恵が沢山供与されておりますので、この税の恩典を全部なげうってですね、本当にサンパウロに来て商売になるかというと今の時点ではならないのが実際です。
まあそういうことで、色々あるんですけども、簡単にまとめますと、経済合理性がないところで本当に作りつづけていいんだろうかと。それからITとの境界線というのがこれがどんどんなくなってきますので、マナウス以外で作っていいIT製品と一般の家電製品との境界をどこに設けるんだという非常にその曖昧な部分が出てまいります。
それから、下に出ておりますけれども大規模投資の案件が次々とサンパウロとかミナス・ジェライスで出てきてますので、そういうその案件をですね、指をくわえて見ていていいのかというところがこれからの政府の悩みどころだと思います。ということで変化点を三つほど挙げさせていただきました。
まず一つはですね、この急成長期にアマゾンのインフラが全然その成長をサポートしていないという実態がございます。これは、市場に対するアクセスの遠さ、それからその、陸路で持ってくる場合の治安の悪さ。先週も私どものトラックが襲われて、警備にあたっていた人間とその銃撃されましてですね、二人ほど今負傷して病院に入っておりますけれども、そういう件が去年だけで19件ございます。ソニーの19件というのはサムスン、LGの半分以下でございます。それほど大きな治安問題に発展している中でですね、運送しておりますので、非常に厄介な治安状況だと思います。
賃金・物流費の高騰も中々、ここで得た利益をですね、回収できないという状況にもなっていく理由だと思っています。それから、他の州からするとアマゾナス州だけが非常に大きな恩典を与える機会を独占しているのはおかしいんじゃないかということで、ずいぶん物議をかもしたんですけれども、今のところ法律上は2023年までこの税特権をマナウスが独占するということが法律上確約されているようです。
変化点2番目としましてですね、サンパウロ州を中心とする大規模投資案件、これは皆さんご存知の通りFoxconnという組み立ての会社がですね、何と12ビリオンダラーですから約1兆円ですよね、1兆円近くを投資して従業員10万人、それから、ここ140万人と書いてありますがこれはちょっと間違いで、実際40万人ですね、40万人の人が暮すような大きなインテリジェント・シティーを作ってあげるよと。
それに向けてマナウスだけじゃなくて、マナウスと同じような特恵をですね、特恵税制をサンパウロ周辺でも出してくださいという交渉を今しております。テリー・ゴウという会長がFoxconnにおりますけども、テリー・ゴウさんに聞きましたら、元々7月に来る予定だったのが今9月の下旬にですね、ブラジルを訪問して、ジルマ大統領ともう直に交渉すると、非常に意気込んでおります。
まああの、こういう業界の人たちを敵に回すのではなくてですね、彼等の交渉力にうまく入り込んでいってですね、隙があれば一緒にそういう条件を取って、マナウスでのその製造事業をやりながらですね、それ以外の新しいところでも投資をしていくというふうな戦略をとりたいと思っております。
変化点の3番目ですけれども、上で申しました通りですね、いわゆるその家電製品の進化とIT化ではですね、いわゆるコンピューターと家電の境というのをどんどん今減らしていっていると思います。まあ各社で売り出しておりますインターネットテレビ、これはパソコンなのか、もしくはパソコンの機能をもったテレビなのか、もしくはテレビの画面をもったパソコンなのかと。まあ非常に難しい問題でございます。
それからPCモニター。よくモニターありますよね。モニターにUSBのジャックがたくさんついていますけれども、ここに地デジとかデジタルチューナーを差すとですね、これはテレビになるんですね。それにまたコンテンツを乗っけたものを差しますとこれはビデオになるんですね。でそういうものを本当にマナウスで作っていては儲からないので、サンパウロで作っている人たちだけが特恵を得ていいんだろうかということがございます。
それからカーステレオもですね、今はDVDが搭載されているものですとか、それからGPS機能で自分がどこにいるかというのが分かるような機能もありますけれども、これもいずれインターネットとの接続可能性がどんどん高まってきますので、車の中でインターネットを楽しむということが可能になってまいります。
もしくはiPodの商品というのは元々家電製品ではなくてパソコンではないのかということもありますので、この辺の境界線が下がってくるというような大きな変化点が三つ出てまいりました。そういう中で今のところ政府はですね、それは全部マナウスでやってくださいということを言い切れずに、まあじりじりとサンパウロでの条件を小出しにしているというところで、今水面下でですね、色々な交渉が進んでいると思います。
まあそういう中で我々はブラジルの製造業を担うメーカーとして、さらにマナウスでの投資を加速するのか、それともここでサンパウロの生産にかけるのか、この大きな分かれ目に来ているというところが現状でございます。以上駆け足で早口で大変恐縮でございますけれども、また後ほどですね、懇親会等の場を利用してご質問等ありましたらお話させていただきたいと思います。ありがとうございました。
司会:
筒井さんどうも、内容の濃いかつ分かりやすいご説明ありがとうございました。何かご質問ありますでしょうか。そうしましたら前半部分最後になりますけども、機械金属部会、西岡部会長よろしくお願いいたします。