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業種別部会長シンポジウム

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2019年上期の業種別部会長シンポジウム 2019/02/28

2019年上期の業種別部会長シンポジウム

テーマ:「2018年の回顧と2019年の展望」
副題: 『成長への期待、変化への対応』
日時:   2019年2月28日(木曜日)
13時~18時 シンポジューム(途中コーヒーブレイクが入ります)
18時~19時 懇親会(カクテルパーティー)                  
会 場: ホテル インターコンチネンタル
(Hotel Intercontinental São Paulo , Alameda Santos, 1123 – Tel.: (11) 3179-2600 )

発表順序:(発表者および発表順は必要に応じ変更の可能性も御座いますので予めご承知おき下さい)
前半の司会: 讃井慎一(さぬい しんいち)総務委員長
13:00~13:05    開会挨拶     安田篤(やすだ あつし) 副会頭    (損保ジャパン日本興亜)
13:05~13:35    ①  金融部会    津田 双羅(つだ そら)    部会長         (ブラデスコ)
13:35~14:00     ②  貿易部会    猪股 淳(いのまた じゅん)    部会長    (伊藤忠)
14:00~14:25    ③  機械金属部会    植田 真五(うえだ しんご)    部会長     (三菱重工)
14:25~14:50     ④  自動車部会    下村 セルソ(しもむら せるそ)    部会長    (トヨタ)
14:50~15:15     ⑤  コンサルタント部会     吉田 幸司(よしだ こうじ)    部会長     (KPMG)
xxxxxxxxx コーヒーブレイク (15分) xxxxxxxxxxxx    
後半の司会: 大久保 敦 (おおくぼ あつし)企画戦略委員長
15:30~15:55     ⑥  化学品部会     村松 正美(むらまつ まさみ)    部会長    (PILOT PEN)
15:55~16:20     ⑦  電気電子部会    日比 賢一郎(ひび けんいちろう)    部会長    (ソニー)
16:20~16:45     ⑧  食品部会     黒崎 正吉(くろさき まさよし)    部会長    (味の素)
16:45~17:15    ⑨  運輸サービス部会     吉田 信吾(よしだ しんご)    部会長     (NYK DO BRASIL)
17:15~17:45    ⑩  生活産業部会(建設不動産・繊維)     今川 尚彦(いまがわ なおひこ)    部会長    (戸田建設)
17:45~17:50       講評    野口 泰(のぐち やすし)総領事    在サンパウロ日本国総領事館
17:50~17:55       閉会の辞    讃井慎一(さぬい しんいち) 総務委員長            

2019年上期業種別部会長シンポジウムの各部会の発表プレゼンテーション掲載

Pdf金融部会

Pdf貿易部会

Pdf機械金属部会

Pdf自動車部会

Pdfコンサルタント部会

Pdf化学品部会

Pdf電気電子部会

Pdf食品部会

Pdf運輸サービス部会

Pdf生活産業部会

Pdf全プレゼンテーション

2019年上期の業種別部会長シンポジウムテープおこし記事掲載

前半の司会 讃井慎一 総務委員長

 皆様、こんにちは。時間を少し過ぎておりますけども、天候の悪い中お集まりいただきましてありがとうございます。若干遅れていらっしゃる方がおられるので少しお待ちしましたけども、過ぎましたのでそろそろ始めさせていただきたいと思います。

 今日はですね、2019年上期業種別部会長シンポジュームでございます。私、本年度カマラの総務委員長を拝命しています、みずほ銀行の讃井と申します。前半進行させていただきますのでお付き合いください。後半はですね、企画戦略委員長の大久保さんの方に進行の方を渡したいと思ってございます。

 それでは早速ですけども、開会に当たりましてですね、安田副会頭よりご挨拶をいただければと思います。安田さんよろしくお願いします。

 

開会挨拶

安田篤 ブラジル日本商工会議所副会頭

 皆さんこんにちは。SOMPO SEGUROSの安田でございます。本日は土屋会頭がご不在ということでですね、私が代理で本会の開会のご挨拶をさせていただきたいと思います。

 今回のシンポジューム、キーワードは、お手元にありますように、経済成長への期待、それから変化への対応ということでですね、ここ3、4年、ブラジルの経済をご覧になった方はご承知の通りですね、2015年、16年、2年間マイナス成長、17年、18年は1%台の低成長ということで、まあ若干もやもやした時期が続いたんですが、今回新政権に替わったということでですね、潮目は変わってきているのかなというふうに思っております。

 まあ巷の景況感調査なんかでもですね、去年の10月ぐらいから大分改善の兆しが見えておりまして、今からちょうど半年前、前回のシンポジューム、2018年の8月、この時はちょうど大統領選の直前ということもあってですね、まあ選挙前の不透明感一色という感じでしたけれども、今回、明けまして2月はですね、まあかなり視界が良好になってきているということでございます。

 ブラジルにつきましては、2003年から長く労働者党の政権が続いておりまして、まあこの間、世界的にはTPP11であるとか、あるいは日本とEUのですね、EPAが結ばれたというような、世界は自由貿易の流れの機運に乗っていますので、まあ今回このボルソナロ政権になりまして、まずは国内の地固めということで、年金改革であるとか、財政改革等々を進めつつですね、まあブラジルも世界に羽ばたいていく時期だというふうに認識しております。

 これに合わせて当会議所もですね、この機会に攻めに転じたいということで、ただ攻めるにあたってですね、やはりそれぞれの業界ごとの特性がございますので、ぜひ今日の機会にですね、この業界の動きというのをですね、会員の皆様が共有できるような、そんな場にしたいと思っております。

 本日は各業界のですね、最前線でビジネスに携わっておられる方々がですね、各部会ごとにコンパクトな発表をしていただきます。総領事館からは野口総領事にお越しいただいて、後ほどご講評をいただく予定になっております。

 今日は前半5部会、後半5部会、間にお休みをはさんで10部会の発表になりますけれども、会議所の部会再編という意味ではですね、今回大トリを務めていただきます生活産業部会、これは以前の建設不動産部会と繊維部会が合体して新しい部会になっていますので、その辺が今回の違いかと思います。

 来週からカーニバル休暇ということで、お休み前の雰囲気。サンパウロの街並みもですね、サンバのバテリアの音なんかが聞こえてきて、ちょっとお休み的な雰囲気ではあるんですけれども、今日、お休み前にですね、皆さんぜひ頭の整理をしていただいて、来週以降、カーニバル休暇以降ですね、ブラジルはやはりカーニバルが終わらないとビジネスが始まらないというような雰囲気もあるので、来週以降すぐに現状にキャッチアップできるような、そんなご準備をしていただければと思います。

 あらためまして、本日、お忙しい中、皆様、雨の中ご参集いただきまして、本当にありがとうございます。これをもちまして私のご挨拶と代えさせていただきます。どうもありがとうございました。

 

司会

 安田副会頭、たいへんありがとうございました。お話にありましたけど、今回の副題はですね、「成長への期待、変化への対応」ということで、前回から6ヶ月経ってですね、より皆様いろんなことに取り組まれていると、期待も込めてこういった副題にしてございますので、そのあたりを確認できればいいのかなというふうに思ってございます。庶務的なことですけども、今日は10の部会に発表していただきます。お手元にスケジュールあると思うんですけども、まあすでに5分遅れていますが、多少の前後はあるにせよですね、時間は意識いただきまして、ご発表いただき、あと質疑応答等もしていただければと思いますので、タイムキープの方はぜひご協力の方をお願いいたします。

 それでは早速、最初は金融部会の方からお願いいたします。津田部会長、よろしくお願いします。

 

金融部会

津田双羅 部会長

 皆さん、こんにちは。金融部会長を務めております、ブラデスコ銀行の津田でございます。本日は、シンポジュームのテーマでございます2018年の回顧と2019年の展望を念頭に、ブラジル経済動向、銀行業界動向、保険業界動向について簡単にご説明をさせていただきます。それでは3ページ目をご覧ください。

 本スライドの左側ではですね、2018年ブラジル経済の振り返り、右側で2019年の見通しについてポイントをまとめております。まず2018年の振り返りですが、2018年は世界経済全体が循環的な成長軌道にある中ですね、ブラジル経済も比較的良好な成長見通しの下、一年のスタートを切りました。しかしながら、2018年の中頃にかけて、ブラジル内外で各種リスクが顕在化した結果、年中頃以降は経済成長が減速し、2017年と同水準の経済成長率での着地となりました。

 結果的にですね、緩やかな経済回復基調は維持したものの、経済成長に力強さを欠いた背景といたしましてはですね、以下のボックスに記載させていただいております逆風があったと考えられます。

 まずは、国内の要因といたしましてはですね、ブラジルの大統領選挙の年であり、政治・経済の先行きに対して非常に不透明感が強かったことが挙げられます。大統領選という重要なマイルストーンを控えて、積極的な投資や消費は増加しがたい環境であったと考えております。加えまして、かような環境の下ですね、トラック運転手のストライキによってですね、ブラジル経済・社会の歪みや脆弱性が改めて顕在化し、国民の将来への不安を惹起したことも逆風となったと考えています。

 次に、経済成長を減速させたブラジル国外の要因として、米国金融政策と通商政策の影響を挙げられます。前者の米国の金融政策ですが、昨年は良好な経済環境を背景に、米国が金融正常化を目指して緩和的であった金融政策から引き締めに転じたことで、新興国からの資金流出やですね、新興国の通貨の切り下げが発生いたしました。ブラジルも他の新興国同様、相応の影響を受けました。

 後者の米国の通商政策に関しまして、懸念されておりました米国と中国の貿易摩擦が本格化いたしまして、双方で高関税措置を採る等の動きがございました。かかる動きは、経済成長の成長を妨げる一つの要因となり、ブラジルの経済成長へも負の影響を与えたと考えております。

 続きまして、スライド右側の2019年の見通しのポイントについてお話いたします。結論はですね、2018年と同様、緩やかな経済回復基調が継続するという見通しではございますが、背景が若干異なります。

 まず成長ドライバーですが、昨年は世界経済の好況に支えられた経済成長を想定しておりましたが、本年はブラジル自体のファンダメンタルの改善に牽引された成長を想定しております。2019年の世界経済の成長は減速する見通しであり、ブラジル経済にも相応の影響が出ると想定されます。昨年比、厳しい外部環境が想定される一方で、ブラジル経済のファンダメンタルは相応に強く、短期的な脆弱性は低くなっており、循環的な景気回復局面にあると考えられます。

 続きまして、リスク要因ですけれども、2018年と2019年ではリスクの質が若干変容していると考えています。2018年は、大統領選後、次にどのような政権により、どのような政策が進められるかというところが判断できない、きわめて不透明な環境でございましたが、2019年は政権も政策も相応に明確になったことから、政策そのものに対するリスクは後退し、政権による政策の実行力がリスクとして意識されるようになりました。したがいまして、2019年ですね、ブラジルが力強い経済成長を実現できるか否かを見通す上で最も注視すべきリスク要因は、今は新政権の年金改革をはじめとした政策の実現力に変わったと考えております。

 新政権が掲げている各種政策は、ブラジルの中長期的な潜在成長率を押し上げ、持続可能な成長を可能にすることにつながると考えられるものが多く、マーケットにも支持されております。同政策が実現できるとですね、ブラジルの経済成長を力強く後押しする追い風ともなり得ますが、反対にですね、政策の実現力に疑義が生じるような場合は、今の期待が不安に変わり、ブラジルの経済成長にとって逆風となる可能性もあると考えています。議会での年金改革法案の協議状況等、政策の実現状況をですね、一定のマイルストーンを置いて確認できるようになったことですね、確認することである程度先行きを見通すことが可能になったという点は、昨年と比較して改善した点と考えております。

 それでは続きまして、ここからは具体的な数字を追いながらご説明をさせていただきます。次のスライドは2012年以降の主要経済指標の推移と予測についてまとめております。次ページ以降ですね、一つ一つの計数についてはご説明いたしますので、ここでは説明を割愛させていただきますが、各指標とも2019年は改善するものと見込んでおります。次のページは、GDP成長率について推移をグラフにしたものです。

 2003年から2010年にわたる8年間のルーラ政権においては、リーマンショックの影響を受けた2009年を除いて、概ね年率3%から7%の安定した成長を遂げました。しかしながら、ジルマ政権では徐々に経済が減速、過剰な景気刺激策の反動もあり、2015年、2016年の2年間は景気後退となりました。2016年の大統領弾劾、政権交代を経てですね、2017年、テメル政権の下、緩やかな回復基調に戻りましたが、景気後退期の2年間、合わせて7%のマイナス成長分を打ち返すには至っておらず、景気後退前と比べると完全には経済は戻っておらず、依然として回復の途上にあると考えられます。

 2019年の予測値、2.8%と置かせていただいているんですけれども、こちらの予測値は、年金改革が採択されることをある程度前提とさせていただいております。2019年の前半は昨年と同程度の緩やかな経済成長を見込んでおりますが、まあ年金改革法案にある程度目鼻が立ったですね、年後半以降に、本格的に経済が加速していくのではないかというふうに予測しております。

 続きまして、経常収支です。労働者党政権下、積極的な財政、金融政策の下、内需拡大を図った結果、特に2007年以降のルーラ第二次政権以降ですね、赤字幅が拡大し、2014年には1000億ドル、GDP対比で4.2%の赤字を計上いたしました。一方で、2015年以降はですね、政府支出を抑えたことによってですね、過度な景気刺激策等の効果も剥落し、景気後退にも至ったというところがありますけれども、経常収支だけを見ると、経常収支の赤字幅は大幅に減少いたしました。今後、順調に経済成長が力強さを取り戻した場合は、経常収支の赤字幅が徐々に増えてくることも予想されますが、テメル政権以降ですね、政府予算に上限を設定しているということから、過度な政府支出を伴う景気刺激策等が採られる可能性は低い状況でございますので、当面はこの経常収支については健全な水準で推移すると考えております。

 続きまして基礎財政収支です。2013年までは黒字を維持しておりましたが、2014年あたりから景気減速の影響で税収が伸び悩み、支出のコントロールも中々難しく、赤字に転じ、そのまま現在に至っておる状況です。テメル政権の時にですね、歳出上限法の施行等、支出の抑制、財政規律の回復を図る取り組みを進めたことや、緩やかではあるものの景気が回復基調にあることを受け、徐々に赤字幅は減少傾向にございます。歳出上限法にてですね、支出のキャップですね、支出のコントロール自体はできる形になっておりますので、新政権のリーダーシップの下、年金改革法案が可決され、中長期的なブラジル経済の成長に必要な政府のインフラ整備等への予算が確保できるようになれば、経済成長が再び加速し、中長期的には基礎財政収支の部分もプラスに転じることが期待できるのではないかと考えています。

 続きまして、失業率の推移です。ルーラ政権下では失業率は低下基調にございましたが、2015年からの景気後退を受けて雇用調整局面に入り、失業率が11%から12%台の高い水準となりました。2017年後半以降ですね、雇用環境は若干ですが改善傾向にはございますが、引き続き高い水準となっております。失業率は経済成長の変化に少し遅れて反応する傾向がございますので、景気後退前までの水準への回復は相応に時間が要する見込みでございます。

 続きまして、消費者信頼感指数でございます。真ん中の青線で示されているグラフが消費者信頼感指数となっております。2015年に最悪の水準を記録いたしましたが、政権交代以降、少しずつ回復傾向にございます。昨年5月から6月にかけてのトラック運転手によるストライキによって、ブラジル経済や社会構造の脆弱性が露呈して以降、一旦減少いたしましたが、大統領選以降急速に回復しており、足元では景気後退前の水準まで戻ってきております。

 注目されるのは、赤線で示された将来への期待感の部分と、灰色、一番下ですね、灰色で示された現状認識の間に大きな乖離が生じていることです。消費者の将来への期待感がきわめて高いことがうかがわれる一方で、現状認識としてはまだまだ本格的な回復に至っていないと消費者は認識しているということが分かります。消費者信頼感指数は消費行動の先行指標とも言われておりますので、今後、実態もですね、少しずつ消費者信頼感指数の水準に近づいていくことが期待されます。一方で、新政権への期待が先行している部分もあろうかと思いますので、引き続き動向は留意が必要と考えています。

 続きまして、CDSですね。ブラジルリスクの増減を表す指標である5年物のクレジットデフォルトスワップと、対USドルのレアル為替相場の推移についてご説明申し上げます。クレジットデフォルトスワップは、2018年は大統領選の年であったことに加え、トラックスト等の影響もあり、不安定な動きとなりました。一時的に高水準となることもございましたが、大統領選後は減少に転じ、2016年の年初に450bpsを超えていたCDSが、足元では169bpsと景気後退前の水準まで戻ってきております。投資適格の新興国のCDSがだいたい130bps程度と言われておりますので、まあ相応にマーケットからの信頼は戻ってきていると考えられます。

 一方で為替につきましてはですね、ブラジル・レアルのボラティリティの高さについてはですね、皆様ご高承の通りかとございますが、過去5年間の推移を見ても、政治経済イベント等の影響を大きく受けて乱高下してきたことが分かります。2018年はブラジルの大統領選挙を控えた政治・経済情勢の不透明感に加えて、米国政策金利の引上げ、貿易摩擦の本格化といった外部要因もあり、レアルに下落圧力がかかり、特にトラック運転手によるストライキの際は、一時的に1ドル=4レアルに近い水準まで下落いたしました。大統領選以降は比較的落ち着きを取り戻し、足元は3.7近辺で推移しております。CDSのみがレアルの変動要素ではないためですね、一概には申し上げられませんが、マーケットからの信用力が高まっていることを鑑みると、今後、少しずつレアル高に進んでいくことが考えられます。しかしながら、年金法案が通らない等ですね、国内の政情不安が再燃するようなことになりましたら、再びレアル下落圧力が急速に高まり、1ドル=4レアルを超えるようなですね、レアル安局面へ突入することも想定されますので、引き続き動向には留意する必要があると考えています。

 続きまして、サンパウロ証券取引所の株価指数の推移です。ブラジルに対する投資家のセンチメントはここ2、3年で改善してきておりまして、トラックスト等で一時的に下振れしたことはあったもののですね、一貫して上昇基調にございます。足元では、歴史的な高値水準を更新し、10万ポイントの大台に迫る水準となっております。市場関係者の中ではですね、年金改革等の政策が実現されるような場合にはですね、12万ポイントに迫る可能性もあるというふうな声も出ておりますので、引き続き相場は堅調に推移するのではないかというふうに見ております。

 続きまして、インフレですね。棒グラフがインフレ率、横に入っている点線がインフレターゲットとなっております。2016年以降インフレを沈静化し、2017年にはインフレターゲットの下限に近い水準になっております。2018年は国内経済の回復、レアルの下落等を背景に、若干インフレ率が上昇。2019年は微増となる見込みです。

 続きまして政策金利の推移です。2016年のインフレ率の沈静化を受けて以来、景気刺激を目的とした金融緩和を進め、足元、6.5%まで下がっております。短期的にインフレ率が大きく上昇する環境にないことから、当面は現状の水準で推移することが見込まれます。

 続きまして、外国直接投資の推移です。外国直接投資は2015~17年まで、ブラジル経済の先行き不透明感が強い中ですね、低い水準で推移しておりました。2018年に景気後退に入る前のですね、2014年の水準まで回復いたしましたが、2019年もまあほぼほぼ同程度の水準となると見られております。

 次のスライド、こちらのスライドは金融部会所属の各金融機関にご回答いただきました、2019年、2020年の予測数値について、予測最大値と最小値というレンジで表記をいたしました。Focusと呼ばれる、100以上のブラジル金融機関の予測をブラジル中銀がまとめた指標トレンドもご参考までに比較しております。

 まずGDP成長率ですが、2019年が2~2.8%、2020年が2.5~3%と、Focusと同様ですね、各行とも緩やかな成長の継続を見込んでおります。一方、年金法案をどの程度織り込むかという点には違いがありですね、金融部会の参加メンバーの中でもレンジが開いている要因となっております。

 インフレ率は2019年が3.8~4.3%、2020年が4%と、概ね政府が定めるインフレターゲットのレンジ内に収まるものと見ております。

 為替レートは2019年が3.6~3.7レアル、2020年が3.6~3.8レアルと、足元の水準で比較的安定するものと見ております。

 年末の政策金利は、2019年が6.5~8%、2020年は若干金融引き締めに動き、7.5~8%へと、緩やかに金利引き上げに向かうものと予測しております。

 続きまして、ブラジル経済に関する金融部会参加社の今後の経済見通しについてコメントをサマリーしたものでございます。

 まず、一項目目のですね、ブラジルが本格的な経済成長に転じる契機となるものは何か?、という問いに対する回答が一つ目です。まずは、構造改革の実行ということで、社会保障制度改革、財政改革、税制改革、政府保有企業の民営化等をどこまで具体的に前に進めることができるかといった点がポイントとなります。かかる取り組みを着実に現政権が実行に移すことを通じて、内外マーケットの信頼を勝ち得、低インフレ、安定的な低金利環境を構築するとともに、本格的な個人消費の回復や企業の投資活動の活発化へつながるものと考えております。

 次の項目は、今後、ブラジル経済に影響を与える外的な要因があるとすれば何か、またどの様な影響か、という問いかけです。米中貿易摩擦やBrexit等の問題を背景に、世界経済の見通しが急速に不透明になってきており、実際に足元の世界の経済成長は減速しております。国際社会の不透明な状況は2019年以降も続くことが想定され、ブラジルへの影響も避けられないと考えております。

 個別国で申し上げますと、貿易、直接投資とも、きわめて重要な割合を担う中国の動向は引き続き注視が必要と考えております。また、本年は隣国アルゼンチンが大統領選挙という年でもございますので、同国の先行き不透明感が強まっております。もし、アルゼンチンの次期政権がマーケットの信認を得られないような場合には、一層の混乱が生じる可能性もございます。アルゼンチンがさらに厳しい局面となった場合は、隣国であり、かつ自動車産業等でもですね、非常に関係の深いブラジルにも相応の影響が出る可能性があると思われます。

 最後の項目。短期、中長期のそれぞれの時間軸でブラジル経済はどのように変化していくと考えられるか、という問いかけです。変化の方向性は以下二つと考えます。

 一つは、各種構造改革を通じて、ブラジルがビジネスフレンドリーな環境へ移行していくことです。政権は各種改革に真摯に取り組む姿勢を示しており、多くの国民は改革の必要性について認識しております。この環境で改革を着実に実現していくことができれば、短期的には市場の信認を得て、経済環境が安定し、本格回復へ移行することが期待できますし、中長期的には、教育、インフラ等への資金が適切に配分されることで、潜在成長率が引き上げられ、持続可能かつ力強い発展につながるものと考えております。

 二つ目は、ブラジルでも高齢化が進んでいくということです。各産業が高齢化社会に適応する中で、IOT、AI等の各種技術革新を通じてですね、生産性を引き上げると同時に、多くの関連する新しいビジネスを誕生させることが期待されます。ブラジルは先進的な発想や技術等を取り入れることには長けており、変革を受け入れる柔軟性にも富んでいると考えられますので、環境変化の局面に立ち向かった際にはその強みを発揮するのではないかと期待しております。

 では、かような変化にどのように備えるか、ということですが、日系企業としては、通常時にはスリムな社内体制を維持しつつも、潮目が変わった時に迅速かつ集中的に人、モノ、金を投下できるようにですね、準備しておくこと。常日頃から本社経営陣ともブラジルの状況を密に共有し、迅速に動けるような明確な戦略・戦術を決めておくことが大切と考えます。

 私ども金融機関といたしましても、適切にお客様の成長のお役に立てるように、世の中の動向を注視するとともに、安定的な資金の供給、的確な金融商品のご提案や、サービスのご提供、情報発信等に努めていくことが必要だと考えております。ブラジル経済動向のご説明はこちらで終わらせていただきます。

 続きまして、銀行業界動向についてご説明いたします。

 まず、貸出残高の推移です。2011年以降、毎年二桁ペースで増加しておりました融資残高合計は、2015年には6.7%と一桁の伸び、2016年以降はマイナスでございました。2018年は、個人向け貸出のみならず、法人向け貸出も回復に転じ、貸出は緩やかながらもようやく回復基調に転じたと考えられます。

 次のスライドは、業界全体における平均貸出利鞘の推移になります。2017年以降は政策金利の引下げや金融機関による審査の厳格化、クレジットポートフォリオの改善等を背景に貸出利鞘は縮小しております。

 続きまして、不良債権比率の推移です。2015年以降、景気後退による企業の資金繰り悪化等のですね、影響を受けて、延滞債権が増加していきましたが、2017年6月以降は景況感の回復に伴い、企業業績も改善に向かい、法人向け、個人向けともに不良債権比率は改善傾向にございます。この不良債権比率の低下ということがですね、金融機関の貸出余力につながるということもありですね、各行とも積極的な融資スタンスを示し始めておりますので、2019年はこれまで以上にですね、本格的にクレジットの回復が期待されるのではないかというふうに見ております。

 続きまして、保険業界の動向です。2018年、2019年の保険市場の動向についてご説明いたします。

 保険料収入ですが、ブラジルの保険監督庁であるSUSEPの統計データによりますと、2016年の1.5%を底に、2017年は4.2%、2018年は6.6%の成長を実現しております。保険市場の成長トレンドがはっきりと見て取れると思います。

  続きまして、保険種目別の保険料収入ですが、生命保険分野ではですね、10%と、引き続き高い成長を維持しております。生命保険のニーズが高まっていること、また、銀行セクターにおける個人融資の回復に伴い、団体信用保険が伸びていることが主な要因と考えられます。2017年にはマイナス成長を記録した自動車保険が、2%と弱いながらもプラス成長に転じております。また、保険料規模としては小さいですが、マリン分野も大きく伸びております。

  次のスライドは、保険種目別の損害率のデータです。全体では損害率が44.7%と、昨年対比2.2ポイントの改善を見ました。しかしながら、この大きな要因は、2018年年初の雨季に降雨量が少なく、水害があまり発生しなかったこと、また、5月のトラック業者のストライキや、6、7月のサッカーワールドカップで交通量が減少したことにより自動車保険の損害率が改善したことです。つきましては、表面的な数値ほどですね、実態は改善していないと思われますので、2019年の動向は引き続き注視する必要があると思います。

 最後のスライドとなりますが、今後の保険市場の成長見通しについてご説明いたします。

 2019年のブラジル保険市場の成長見通しは、損害保険、生命保険、傷害保険ともに引き続き高い成長が予測されています。ブラジルにおける保険の普及率は日本や欧米に比べると低い状況にありますが、中長期的に中間所得者階層が増加いたしますと、保険商品に対するニーズは高まってくると思われます。

 最後になりますが、足元、ブラジル経済はですね、循環的な回復基調にございますと。ございますが、なにぶん諸行無常でございますのでですね、再び難しい局面に直面するリスクは常にあると我々も理解しております。私ども金融機関といたしましてはですね、ブラジルの金融セクターの健全性はブラジルの強みの一つであると考えておりますので、目先の環境変化に右往左往するようなことはなくですね、お客様の事業の発展を一貫して支援できるように、これからも不断の努力を行って参りたいと考えております。長時間にわたりご清聴いただき、ありがとうございました。以上です。

 

司会

 津田部会長、たいへんありがとうございました。よろしければご質問ある方、挙手いただければと思います。いかがでしょうか。じゃあ1点だけ、15ページのところのですね、皆様ご関心あると思うんですけども、為替の予測ということだと思うんですけど、まあ見通しは3.6~3.8ぐらいということで比較的安定していますということなんですが、前回の発表が3.2~3.5ということで、半年前と全く外れていますよねというのはあるんですが、これは確か私の記憶ですと8月下旬に急激にレアルが下落して、取りまとめの都合だったというふうに記憶していますので、ただまあ一方で色んな事があるので、皆さん色んな情報を集めていただくのがいいのかなということが気付いた点。それと1点だけ、これは全て共通すると思うんですが、年金改革の、いろいろこれは見通しがありますけども、どのような前提で見通しを立てておられるのかというところだけ1点お知らせいただければと思うんですが、いかがでしょうか。

 

津田部会長

 ブラデスコとしてはですね、年金改革の程度にですね、まあいくつか段階があると思っているんですけれども、テメル政権の時に掲げていた年金改革案が大体真ん中ぐらいのレベル感の年金改革案で、いまボルソナロ政権下で提出された年金改革案というのは結構踏み込んだ内容のものになっていると考えておりまして、一方で、テメル政権がいろいろ譲歩して最後に出した年金改革法案というのが、かなり、まあ内容としては中身の薄い内容となっているというふうに見ているんですけれども、この3つある中では、ちょうど間をとったぐらいのですね、まあある程度国民としても受け入れやすいレベル感の年金改革法案が、今提出しているものほど踏み込んだ内容ではないものが通ったという前提で私どもは予想値を作っております。

 

司会

 はい、ありがとうございました。では、ご質問がないようでしたら金融部会からのご発言をこれで終了とします。たいへんありがとうございました。

 それでは、続きまして貿易部会の方からお願いいたします。猪股部会長、よろしくお願いいたします。

 

貿易部会

猪股淳 部会長

 高い所から失礼いたします。貿易部会の部会長を務めさせていただいております、伊藤忠商事の猪股でございます。早速ですが、18年の回顧と19年の展望ということについて説明させていただきます。

 まず、最初にですね、貿易額の推移でございます。前回同様ですね、半期ごとの貿易額の推移を示しております。左側の青い棒グラフが輸出額。右側の緑色の棒グラフが輸入額。また、この折れ線グラフが貿易収支を表しております。

 2017年のブラジルの貿易収支は、これは半期ごとですけども、通期で670億ドルの黒字ということでありましたが、18年につきましては、貿易黒字は通期で587億ドルということで、貿易収支は縮小いたしました。しかしながら、輸出額、輸入額ともにですね、上昇しておりまして、2016年の上期を底といたしましたところから、まあ回復基調が続いているのではなかろうかというふうに見ております。

 為替につきましてはこの下段に書いておりますが、17年の期中の平均は3.18レアルと。一方18年につきましては、為替の動向については皆さんご存じの通りでございますが、平均で3.68レアルということでございました。

 続きましてブラジルの輸出でございます。商品別に記載しております。輸出総額を見てまいりますと、金額ベースでは10.2%の増加。数量ベースでは2.3%の増加ということでございます。で、ここには数字を記載しておりませんけども、直近10年のピークでありました2011年、これ2560億ドルだったんですけども、ここに次ぐ輸出額ということでございます。

 輸出額の構成比ではですね、相変わらず一次産品が全体の49.7%を占めているということでございまして、国際市況に大きな影響を受けるという輸出構造は相変わらずでございます。

 一次産品につきましては、前年比18.1%、数量プラス4.5%増ということでございます。この中で金額構成が一番大きい大豆でございますが、大豆は金額で29.1%、数量で22.7%の増加でございました。金額を見てみますと、大豆は中国向けの輸出がこの大豆輸出の実に82%を占めたというのが18年の状況でございます。17年は79%でしたので、まあ中国向けの輸出が非常に大きいんですけども、17年からさらに伸びているということでございます。

 半製品を見てみますと、金額、数量ともに落ち込んではいるんですけども、非常に高い好調な国際市況を示しておりました木材パルプはですね、金額で31.6%、数量も10.6%という伸びを示しております。

 工業製品の中ではですね、まあ数量は落ち込みましたが、金額ベースではプラスと。中でも燃料油、いわゆるディーゼルオイルですね、が金額、数量ともに伸ばしまして、ご覧の通りの数字になっているということでございます。

 続きまして、向け先別の輸出でございます。輸出額の増加率が大きい国はちょっと分けて囲ってあるんですけども、やはり中国向けの伸びが大きく、35.2%前年比増ということでございます。17年と比べまして金額も大きく伸びておりまして、輸出の構成も5%伸びているということで、やはり米中貿易戦争によってブラジルの輸出における中国の存在感が増えた結果であろうというふうに見ております。

 対日輸出は、前年、17年は5位だったんですけども、18年は9位ということで、減少率はここに記載しております10ヶ国の中で最も大きく、マイナスの17.6%という状況でございます。

 続きまして輸入でございます。また商品別なんですけども、輸入総額は金額で前年比プラス20.2%、数量が2.3%増ということでございます。増加が目立つ品目としましては、一次産品では原油、それから小麦でございます。半製品ではアルミニウム、まあ金額的にはそんなに大きくはありませんけどもアルミニウムが40%増と。それから色々な合金関係が54.6%増という状況でございました。

 続きまして国別・地域別の輸入でございます。中国は2017年の下期にアメリカを抜きましてトップになりましたが、18年も27.1%輸入額を伸ばしまして、引き続き1位を維持するという結果になっております。一方日本を見ますと、日本は15.8%の増加で9位ということになっております。

 続きまして、日本の貿易に焦点を当てて説明させていただきます。左側が輸出でございます。輸出は前年対比で17.6%のマイナスということでございます。まあ全体はマイナスではあったんですけど、増加率が高い品目を見てみますと、大豆、木材パルプ、オレンジジュース、大豆かす等が挙げられます。減少率が高かった品目としましては、鶏肉、アルミニウムというのが挙げられます。鶏肉につきましては、まあ2017年に発生いたしました食肉のスキャンダルの影響がまだ引き続き残っているんだろうというふうに見て取れますし、アルミニウムにつきましては、これは一例ですけども、日本のナショナルプロジェクトでありますアルブラスという会社がございますが、これは新聞報道にもあったんですけども、原料のアルミナの調達にちょっと支障をきたしました関係で生産量減少と。それがそのまま輸出減につながったという側面はあるかというふうに考えております。

 続きまして輸入でございます。日本からの輸入でございますが、こちらにつきましては15.8%増加ということになっております。増加率が大きかったのは自動車、トラクター部品、乗用車。金額比は小さいんですけども、金属用のマシニングセンタとか工作機械がですね、非常に大きな伸びを示しているという状況でございます。

 続きまして直接投資でございます。左側のグラフは2011年からの直接投資額の推移を示しております。このグラフでいきますと、2011年が通年で695億ドルということで非常に高い数字だったんですけども、以降減少。ちょっと14年から持ち直したんですけども、18年につきましては13年を下回る、このグラフの中では一番低い結果ということになっております。やはり18年は、年初は期待感もあったんですけども、期中トラックストがございましたり、まあ大統領選を取り巻く不透明感がありまして、全体的に投資が抑制されたのではなかろうかというふうに見ております。また、各国別に減少で見てみますと、アメリカが33%減ということで昨年の1位から2位に落ちているということでございます。日本はですね、順位は12位ということですが、17年から比べますと109%ということで、増加率は伸びているという状況でございます。

 続きまして業種別の直接投資でございます。やはり一次産品が45%ということで伸びております。ただし金額構成比の大きい工業、あるいはサービス業というのは減少しております。サービス業につきましては41.6%の減少ということでございますが、その中でも金融、同補助サービスという項目が117.3%の増加。またITサービスが169.5%の増加ということで、増加率が目立っているという状況でございました。

 続きまして、日本からの直接投資でございます。これは10年間をプロットしておりますけども、10年間では2011年が最も直接投資額が大きく、14年以降は減少しておりました。18年は17年比で回復は見せましたが、まあ2倍以上伸びているんですけども、これグラフを見ていただくと分かる通り、依然低いレベルの直接投資であったということが言えると思います。

 続きまして、2018年の回顧でございます。これは先程ご説明ありました通り、18年の成長率は1.1%ということでございます。確定値待ちというふうに本表には記載させていただいておりますが、本日の報道によりますとこの1.1%が確定値ということになっております。まあ18年の年初はやはり経済成長への期待感があったわけですけども、途中から、まあ色んな不透明感と、一言で言ってしまいますけども、等々でですね、この期待感からは大きく落ち込む結果になったのではなかろうかというふうに考えております。

 為替につきましては、8月のシンポジュームの時点ではですね、18年の年末の為替をまあ3.7レアルというふうにお話しさせていただきましたけども、やはりその後、大統領選動向とかですね、米中貿易戦争、トルコショック、等々がございました関係で、安く推移しまして、年末は3.9ということで終了したという状況でございました。

 続きまして19年の展望でございます。19年につきましては、ボルソナロ政権が目指す財政改革、それから経済活動の自由化拡大、国営企業の民営化が、うまく進みますと、経済はやはり成長が期待されますし、我々日本企業としましても投資のチャンスが生まれてくるのではなかろうかというふうに考えております。

 このような前向きな経済環境の中で、GDP成長率につきましては、まあ18年の1.1%を上回りまして2.5%の成長は期待できるのではなかろうかというふうに見ております。実際、2月15日の中銀のアンケート結果を見ますと、2.48%の成長と。また1月21日のIMFの見通しでは2.5%という予測になっておりますので、まあこのぐらいの成長率が現段階では期待できるんだろうというふうに考えております。

 為替レートにつきましては、まあブラジルの金融政策に大きな変更はないというふうに考えております。足元は3.73レベルで推移しておりますけども、19年の為替レートは現時点では3.5から4の間というふうに我々としては考えております。まあアメリカの金利政策がですね、金利の上げ止まりというんですかね、というような状況が言われております。また、ブラジル経済の成長も期待されております。為替市場はこういうことはもう織り込み済みだというふうには思いますが、そういう中での3.7台、足元の推移ですので、やはりこのレベルを中心に動いていくと現時点では考えるのが妥当なんではなかろうかと。逆にこのレベルの推移で、我々の経営計画であったり、事業計画であったりというのを立てていくのがやはり妥当なのではなかろうかというふうに考えております。

 一方、国外に目を転じますと、ブラジル経済に影響を与えるようなアメリカ、ヨーロッパ、中国の景況感の悪化、米中貿易戦争、アメリカの内政やBrexitですね、等々、実際、経済動向に不透明感がない時はないと思うんですけども、ブラジル経済に影響を与える不透明感はやはり依然残っているというのがブラジル国外の状況ではなかろうかというふうに見ております。

 最後でございますが、まあ今回の副題であります「成長への期待、変化への対応」ということで、貿易部会としまして部会の各社の皆様にアンケートを取りました。この各社様の意見、アンケート結果をですね、簡単に取りまとめておりますので、皆様これを参考にしていただければというふうに思っております。以上でございます。

 

司会

 猪股部会長、ありがとうございました。ご質問、ぜひよろしくお願いいたします。多少時間が前倒しになっていますので、ご遠慮なくお願いできればと思うんですけど。すみません、進行の腕がなくて申し訳ありません。35ページのですね、もしお分かりになれば、今更なんですけども、オランダというのは輸出が非常に多いということなんですが、これ何か特徴的なものがあるんでしょうか。

 

猪股部会長

 このオランダからの投資の内訳というのは実は把握できておりませんで、ただですね、要は税務上の問題で、オランダを経由した投資がやはり増えているのではなかろうかなと。だから実態として、オランダからの投資というよりは、オランダを経由した投資というのが実態なのではなかろうかというふうに思います。

 

司会

 輸出もそうなんですかね。

 

猪股部会長

 輸出も、だから、輸出のインボイシングというんですかね、それで結構オランダとかルクセンブルグとかを使って輸出するブラジル企業は多いかと思います。

 

司会

 分かりました。他、よろしいですか。では野口総領事、ありがとうございます。マイクをお願いします。

 

野口総領事

 どうもありがとうございます。先程の質問と関連するんですけれども、投資をしている国のリストでですね、私もよく質問を受けるんですけれども、中国が入っていないというのがあって、これは先程も言われたように、色んな国を経由して入ってきているのではないかという見方もあるんですけども、そこについてはどういうふうに、理解といいますか、まあ対外的に説明したらいいのかというのを、お分かりだったらちょっと教えていただければと思っています。そういう第三国を経由した投資、要するに中国は色んな、電力セクターとか、そういうところでブラジルにも非常に多額な投資をしているというふうに報道をよく見聞きするんですけども、他方で国別の対内直接投資では中国という名前は出てきていない訳ですけども、そこらへんはどういうふうな形で中国の投資というのをこの表から読み取ればいいのかということですね。そういうところをもしお分かりだったら教えていただければと思います。

 

猪股部会長

 この中でですね、いわゆる投資を、経由国で、オランダ、ルクセンブルグ、バハマもそうですしケイマン、バージンというのは、やはり税務的な恩典がある国で、ここから中国を抽出するのは難しいと思うんですけども、実際その、色んな新聞発表とか見ていますと、やはりこれらの国の過半のお金の出元は中国なのではなかろうかというふうには考えております。

 

司会

 はい、ありがとうございました。他、よろしいですか。はい。それではこれにて貿易部会のご発言を終了とします。たいへんありがとうございました。

 それでは続きまして、機械金属部会、植田部会長からよろしくお願いいたします。

 

機械金属部会

植田真五 部会長

 皆様、こんにちは。ブラジル三菱重工の植田でございます。機械金属部会長を務めさせていただいております。当部会は多岐の事業分野に携わる、機械および金属に関連するメーカーならびに商社の方々を中心としたメンバーで構成をされております。本年2月現在で50数社の皆様に代表者として登録をしていただいております。

今回のシンポジュームでの発表にあたり、事前に各社の状況に応じてレポートをまとめていただきました。また、2月11日の月曜日には部会を開催して、情報および意見の交換を行いました。本日はその内容を発表させていただきます。

 まず私の発表の構成でありますけども、当部会の事業環境に関係するマクロ指標を説明させていただきます。続いてセグメント別に、鉄鋼、電力、建設機械、自動車およびその他の産業、オイル&ガス、ならびに紙パルプの状況を説明させていただきます。まとめ方は、昨年8月に開催された2018年下期のシンポジュームの時と同様でございます。最後に副題である「成長への期待、変化への対応」ということで部会メンバーの意見を紹介させていただきます。どうかよろしくお願いいたします。

 それでは、マクロ指標ということで、最初はブラジル工業生産の状況をグラフにまとめたものであります。これはブラジル地理統計院の資料です。2014年以降2018年末までを示していますが、ご覧の通り、2014年、15年、16年はマイナスが続いて、中でも15年と16年は、先程もありましたけれども、GDPのマイナス成長という非常に厳しい時期でありました。多くの企業の方々が大変苦労され、景気の回復を強く望んでいた時期でありました。

2017年に入ってプラスに転じ、18年もそれが継続すると期待をしておりましたが、5月に大きなマイナスとなりました。これはトラック運転手のストライキの影響であると理解をしております。その後、年末にかけてマイナスが続いておりますが、これは大統領選挙の前後、さらには新政権発足までの様子見ということが表れている結果だというふうに理解をしております。

 次は土木建設指数を示したグラフです。これもブラジル地理統計院の資料でございます。2012年を100として、その後の推移を折れ線グラフで示しています。それぞれの年ででこぼこはありますが、傾向としては2017年に向けて低下が続き、2017年で底を打ったものの、その後上がったり下がったりということで、安定しているとは言い難い状況だと思います。

 我々の部会が深い関心を示している設備投資意欲も全体としては戻りきっていないという意見も多く出されました。ただ、これまで手を入れることができなかった生産設備の老朽化対策としての更新需要等、一部に光が見え始めている業種もございます。新政権が発足して、さあこれから、という時に、ヴァーレの鉱山ダムの決壊や、大統領の子息に対するスキャンダル等、不安な部分もありますが、機械金属部会としては、何か変えてくれるだろうというボルソナロ大統領への期待感が具体的な表れとなり、経済の活性化につながることを強く願っています。

 ここからはセグメント別の状況を説明させていただきます。

 まず鉄鋼でございます。ブラジル鉄鋼協会がまとめている数値を使っています。左上に2014年から18年までの年間の粗鋼生産推移を示しております。その右側に昨年の粗鋼生産、国内販売、輸出を示しています。

 左のグラフから、2016年に底を打った後、17年に大きく改善をして、2018年も引き続き対前年比で増加いたしました。昨年8月の時点では、5月のトラック運転手のストの影響で減速が大きいのではないかと心配をいたしましたが、結果は若干ではありますが前年を超えることができました。

 また、国内販売は回復をしてきた自動車業界の牽引により増加傾向が続き、対前年比8.2%の増加となりました。

 輸出については対前年比で減少傾向が継続し、最終的には4%のマイナス。輸入は国内景気の回復により3.3%のプラスとなりました。

 2019年の展望といたしましては、景気回復に期待を寄せつつも、そのスピードは依然緩やかな見通しという状況下、自動車、機械設備ならびに建設部門での鋼材需要が復活してくると予想をしています。一方で、米国の通商拡大法232条の影響や、EUのセーフガード措置といった保護貿易に対する懸念は払しょくできない状況です。

 しかしながら、長い目で見れば、ブラジルの一人当たりの粗鋼消費量はまだまだ低く、今後の伸びしろは大いに期待できると認識しています。さらに、自動車分野での軽量化、EV化、環境対応等、鋼材需要分野における質的な変化も含めてビジネスチャンスの期待をしています。

 続いて電力です。こちらはエネルギー研究公社の資料です。左の棒グラフが2014年から昨年までの電力消費量の推移。右の棒グラフが2018年の電力消費の内訳を示したグラフです。

 2018年の回顧といたしましては、2017年に前年を上回る消費量となり、続いて昨年も対前年比で1.1%増加したということで、回復基調が続いておりまして、過去最高だった2013年、14年のレベルに近づいてまいりました。この資料の中には含まれておりませんが、昨年の電力オークションの結果を見ますと、風力や太陽光といった再生可能エネルギーによる発電が占める部分が多く、発電単価を大きく下げて増加しているという状況であります。昨年の5月時点では、前年同月比で、トラック運転手ストはあったのですが、まだその影響は出ていなかったのか、2.9%の増加を示しています。

 2019年の展望としては、汚職にまみれた旧労働者党政権下の政治経済の混乱から脱却し、堅実な経済成長を期待する中で、エレトロブラスの民営化や、PPIによる民間資金を利用したインフラ投資の拡大等、新政権の具体的取り組みの行方を注視しつつ、経済が回復した時に取り残されぬよう準備をしていく必要があると思っています。

 当部会関連企業が関係するバイオマス関連の新規案件の動きは依然低調でありまして、紙パルプや製鉄といった業界の業績回復が見られるので、これらの分野での新規プラントの受注や大型メンテナンス案件の具体化を期待しております。

 次に建設機械に関してです。これは2012年を100とした建設機械の生産実績を示す折れ線グラフであります。この資料からも、2017年まで生産の減少が続き、その後回復傾向にあるという推移をご理解いただけると思います。

 2018年の回顧といたしましては、国内販売は前年比プラス47%と、当初予想であった8%を大幅に上回る伸びを見せました。その理由としては、まずレンタルや農業向けが好調であったことが挙げられます。さらに言える事は、落ち込みが心配された選挙から年末にかけての時期に官公需が好調で、建設機械需要を下支えしたことがございます。そして、長年にわたった景気低迷による建設機械の需要減少が底を打ったと感じることができる点であります。

 続いて、今年の展望といたしましては、国内では昨年好調であったレンタル関係はその勢いを維持すると期待していますが、昨年後半の需要を下支えした官公需の落ち込みを懸念しています。

 一方、輸出に目を向けますと、米国経済の先行き懸念や米中摩擦の悪影響を受ける可能性も高く、予断を許さない状況と認識しています。

 しかしながら、もう少し長い目で見ますと、新政権による民営化をツールとしたインフラ整備の再始動の予感もあり、新技術、イノベーションを含めて一気に景気が加速する可能性もあるので、流れに遅れないための準備と構造強化を着実に進める必要もあると思っています。

 続きまして、自動車その他の産業関連セグメントです。資料としては、左下に自動車生産協会がまとめた自動車生産台数の棒グラフを、その上にブラジル地理統計院が発表したその他機械の生産動向、これは2012年を100とした指数で表した資料を準備いたしました。この資料からもお分かりいただけるように、上のグラフが示す当部会メンバーが関連している製品の生産動向の傾向は一定しておりません。したがって、当部会のメンバーが関わっている分野の状況を一口で語るのは非常に難しいところがございます。このグラフを参考にしていただきながら、当部会メンバーが実際のビジネスを通じて感じている点を中心に、昨年の状況と今後の展望を紹介させていただきます。

 まず切削工具に関してです。この製品の主力ユーザーは自動車産業であります。この自動車産業は長いトンネルからようやく抜け出し、回復傾向が鮮明化していることはこれまで申し上げてきた通りです。この自動車産業に加えて、農業、金型分野、航空機ならびに医療分野といったところも堅調に推移している状況下、切削工具の需要は昨年に続き今年も回復傾向が継続するものと期待しています。

 次に、回転機械において重要な部品となるベアリングでありますが、自動車の状況を連動して需要は回復傾向にあります。不安要素としては、お隣のアルゼンチンの経済混乱による同国向け自動車輸出の減少で、ブラジルの自動車産業が悪影響を受けて順調な回復に水が差されることであります。

 金属加工油剤や潤滑油に関しても、自動車産業の影響を受けてベアリングの同様の状況であると言えます。不安材料としては、ブラジル通貨であるレアルが安くなり、または原油価格高になることで、輸入原料の材料が急上昇することです。

 小型ディーゼルエンジンにつきましては、昨年は5月に発生したトラック運転手のストライキの影響で約1月間販売ができず、その機会を逸してしまった時期がありました。今年は輸送車両用の冷凍機や農業機械向けといった需要に対して、日本製の多気筒エンジンを中心として販売の回復傾向が続く見込みであると予想をしております。

 トラクター分野に関しては、2018年は前年同期との比較で105%と、2年連続の増加を示しました。2019年は農作物の収穫は概ね良好と予想されるものの、最大の輸出国である中国の経済動向とボルソナロ政権の対中政策を注視する必要があると思っています。販売全体としては昨年並みか若干上回るものと予想しています。

 ポンプに関しては、2018年は農業や一般産業向けが好調で、一昨年対比で増加するものと見込んでおりました。今年についても、新規投資や省エネ目的による設備更新需要により、業界として回復基調が維持されることを期待しております。

 プラント向けの制御機器関連としては、2018年は経済成長がプラスに転じたことを背景にしまして、ここ数年低調な推移を見せていた石油、石油化学、紙パルプや鉄鋼といった業種で既存設備の更新需要が増加したと感じています。また、石油・ガスの上流工程や、紙パルプ業界では新規投資も復活してまいりました。今年もこの傾向は継続するものと期待しています。ただ、製鉄業界においては既存設備の更新や最新鋭化といった動きは各社によって異なるので、しっかりと情報を入手して、臨機応変な対応が求められると思っています。

 移動式クレーンやレーザー切断機は依然として厳しい状況が続いておりまして、2019年もまだ種まきの時期であると認識しております。

 最後にオイル&ガスと紙パルプセグメントの状況です。資料としては、ブラジル地理統計院の石油製品、紙パルプの生産実績を、2012年を100とした指数で表したものを準備いたしました。石油製品の生産実績は赤の折れ線が示しています。

 2018年の市場の動きといたしましては、ペトロブラス社がコア事業である石油・天然ガスの開発や生産に資本を集中する中で、GDPのプラス成長は年初からの原油価格上昇を背景に、洋上の生産貯蔵設備であるFPSOの新規建設に対する期待感が高まりました。その一方で、内需に関わる下流の石油化学分野では投資は減少するという傾向にありました。

 2019年に目を向けますと、昨年末に発表されたペトロブラス社の5ヶ年計画において年間3隻のFPSOの建設計画が含まれており、需要拡大の期待が増しています。ただし、石油価格は昨年末より原油安に転じており、予断は許されない状況と言えます。

 紙パルプの生産実績は青い線が示しております。昨年は5月のトラック運転手のストによる一時的な影響はありましたが、パルプ需要全体の拡大により生産・輸出とも対前年比で増加する結果となりました。今年につきましても、紙パルプの大手企業が中規模のプラント建設計画を発表しており、ビジネスチャンスの拡大に期待をしております。

 以上、当部会を取り巻く環境について、2018年を振り返り、また2019年を展望いたしました。最後に、副題である「成長への期待、変化への対応」ということについて部会メンバーの見方を紹介させていただきます。各位から提出していただいた内容を部会長として私がまとめさせていただいたものです。

 これまで説明申し上げた通り、われわれ機械金属部会としては経済の回復は実感し、一部で業績回復に反映されているところはあるものの、ボルソナロ新政権の各施策の具体化が待たれる状況下、引き続き不安も払しょくしきれないということだと思っております。その中で、1.期待要素とポテンシャル、2.不安要素、そして3の変化への対応という、この3点にまとめてお話しをさせていただきます。

 まず、期待要素とポテンシャルでありますが、より鮮明な経済の回復と、民間主導、あるいは貿易拡大政策に大きな期待とポテンシャルを感じています。具体的な内容でいいますと、鉄鋼分野のところでも申し上げました通り、ブラジルの一人当たりの鋼材消費量は依然低位にあり、まだまだ伸びしろがあると期待できることや、ペトロブラスの設備投資計画が増加する中でのビジネスチャンスです。

 その半面で不安要素もあります。各種の改革や規制緩和にはとても時間がかかることは過去の歴史が証明しています。そして、期待感で膨れ上がっているボルソナロ新政権の実力はまだ未知数であることも、不安要素と言えばその通りです。それを考えますと、我々機械金属部会メンバー企業の業績を大きく左右するインフラ、建設市場の本格回復は今年ではなく、来年、2020年以降となるのではないかということも念頭に入れて事業運営をする必要があります。アルゼンチンとブラジル以外の南米諸国の景気動向や、米国の保護貿易の拡大がどこまでいくかという心配も現実的に存在します。

 それでは、我々としてこの変化にいかに対応するかでありますが、あまり前のめりになるのではなく、今年は新しい政権の力量を含めてその成り行きを見極める年と位置付けて、不安要素に伴って生じるかもしれないネガティブサプライズに備えた取り組みを継続しつつ、景気動向にかかわらず、持続的に成長して利益を出し続ける強固な企業体質を構築することが肝要であると思っています。

 その具体策としては、積極的な人材投資、または生産性向上と教育によるものづくりの強化といった地道な活動が例に挙げられると考えておりますが、各社おのおののサイズや実力に応じ、身の丈に合った諸対策を講じる必要があるというふうに思っております。

 ご清聴ありがとうございました。

 

司会

 はい、植田部会長、たいへんありがとうございました。ご質問ある方、挙手をいただけますでしょうか。よろしくお願いします。

 

発言者

 ありがとうございました。丸紅の藏掛です。建設機械のところなんですけども、鉱山向けですね、マイニング関係の今年の需要についてはどういった見立てでしょうか。

 

植田部会長

 私、細かなその数字を手元に持っていないので、適切な答えにはなっていないのかも分かりませんけども、やはり景気が回復してくると、ブラジル経済を支えている鉱山分野はですね、伸びてくると。したがってそれに必要な建設機械というのはですね、現在彼らが持っている設備をしっかりメンテナンスしていくという活動に加えて、新しい機械も需要は出てくるものだというふうに、一般的な期待は持っております。

 

発言者

 ありがとうございました。

 

司会

 ありがとうございます。他、よろしいでしょうか。ご質問のある方は挙手をいただければと思いますが。

 

発言者

 こんにちは。2019年にブラジルでどの部門が最も有望かということについて、どのような見通しをお持ちでしょうか。

 

植田部会長

 はい。質問どうもありがとうございます。私の今日の発表の中でも申し上げたんですけども、機械金属部会、非常に多くの業種がありまして、今回、部会を通して意見交換した中ではですね、やはり、早く、そういう意味で数字が上がって来るのは切削工具の分野だというふうに思っております。とにかく工場を稼働する時に、そういった消耗品をしっかりと補充していくというのは重要なことであると考えておりますので、その点は早いと思っております。

 

司会

 よろしいでしょうか。他、ご質問のある方おられますか。はい。それでは植田部会長、たいへんありがとうございました。それでは続きまして自動車部会の方からお願いいたします。下村さん、よろしくお願いいたします。

 

自動車部会

下村セルソ 部会長

 皆さんこんにちは。自動車部会の下村と申します。私から自動車部会の報告をいたします。今回は、去年の振り返りと今年の展望などについて、二輪、四輪の順に説明いたします。

 まずは、始めに四輪の振り返りです。新車市場についてです。14年以降大きく縮小していますが、16年から回復しました。18年は257万台、前年比115%と大きく伸びました。経済回復と金利低下が消費者の需要を押し上げました。

 続いて月別の販売台数です。去年の販売は、トラックドライバーストライキがありましたが、それでも前年より良く、前年比14%増えました。後半は大統領選挙など心配な要素もありましたが、前年比115%増えました。

 次に生産と輸出です。18年の生産台数は288万台でした。国内市場が好調でしたが、アルゼンチン向けの輸出が減ったため、前年より少し増えるにとどまりました。輸出台数については、主な輸出国アルゼンチンの市場が縮小し、前年比82%でした。

 次に、新車・中古車別の市場です。このグラフから、中古車は横ばいで、新車所有が伸びている事が分かります。中古・新車トータルで1300万台を超え、順調に伸びています。

 続いてブランド別の台数とシェアです。フォルクスワーゲン、VWですね、新型Poloが好調で、前年比でシェアが2%増え、大きく成長しました。日系メーカーは、販売台数を伸ばしながらも、生産制約などからシェアを少し落としています。ただ、ここ数年のトレンドを見ると、Fiatなど欧米メーカーが台数シェアをかなり落としましたが、日系メーカーが台数シェアを伸ばしています。

 次に今年の展望です。こちらは2019年の予測です。自動車市場は経済回復に伴い引き続き拡大するものと見ています。生産も314万台で前年比9%増、輸出は59万台で前年比減と見ています。これは先程言ったアルゼンチンの市場が減るためです。

 続いて長期展望です。長期展望としては、重要なテーマはこちらになります。ブラジルの自動車産業の長期指針で、競争力強化に関わるRota2030、大気汚染防止のための排ガス規制、将来のビジネスモビリティであるモビリティサービス、そしてモノ・人の流れを変えるFTA。本日はこの4つを説明いたします。

 自動車政策については先回のシンポジュームで7月に発表された内容を説明しました。内容をおさらいすると、優れた技術の現地化に向けてR&Dとエンジニアリング投資が強化され、燃費改善やセーフティなどの技術の導入が促進されます。新たにサプライヤー育成プログラムも入っています。

 その後、12月に法令として正式に発効されました。インセンティブの対象や基準はブラジルでビジネスをする上で重要であり、日系メーカーが競争力のあるビジネスを展開できるように政府に働きかけていきたいと思っています。

 続いて排ガス規制です。去年11月、環境省の委員会で、2022年、2025年以降の排出ガス規制の大枠が決まりました。ブラジルの自動車メーカーにとって、規制導入のタイミングがとても厳しいので、販売できなくなる車種が出てくる可能性があります。これを避けるためには、規制導入のタイミングが現実に即したものになるよう政府に働きかけることが大事です。

 現在、グローバルでは自動車業界が100年に一度の大変革期を迎えていると言われる通り、Connected、Autonomous、Shared、Electricの流れでブラジルにも来ています。シェアリングやエレクトリックについては各社が実証実験を進めており、今後成長する分野を見据えて、業界を超えたプロアクティブな取り組みをしていく必要があります。

 日本では米国とのタッグ、協定や、東アジアにおけるRCEPが注目されていると思います。日メルコは、経済規模でGDP約8兆ドル、約4億人の大規模な経済圏であり、今後さらに成長する市場であることを考えると、日本にとても重要な市場だと思います。自動車部会としては、日メルコEPAの早期交渉開始に向けた活動を後押ししていきたいと考えております。

 続いて、日系ブランドの対応について説明します。先程話したように、Rota2030については、インセンティブを活用するため、今後発行される細則をしっかり見ていく必要があります。Proconveについては、規制導入のタイミングが現実に即したものになるよう、政府や関係機関に働きかけていくことが大事です。また、今後拡大するモビリティサービスを見据えて、業界を超えたプロアクティブな取り組みをしていく必要があります。州税やIPIについても、問題解決のため最大限努力していきたいと思います。今日話したことを次のスライドにまとめます。こちら、本日のまとめとなりますので、見て下さい。

 続いて、二輪業界について説明します。まず生産・販売についてです。二輪市場でも、去年前半から市場が回復し、後半もその傾向が継続。去年の販売は96万台です。前年比118%と7年ぶりに前年を上回りました。経済の緩やかな回復や、政策金利が低く維持されている事などから、特にローン販売で購買意欲が改善しています。一方輸出は、アルゼンチン経済の減速により、前年比83%となりました。

 こちらは登録ベースの月別の販売です。大統領の経済政策への期待が高まる中、18年後半は全ての月で前年を上回り、回復傾向がより鮮明となりました。

 最後に二輪販売の支払い形態別推移です。緑のグラフ、ローンによる販売比率を示していますが、金利が低く抑えられ、金融機関からの貸出が過去3年で最高水準ということもあり、ローン販売が伸びていることがお分かりかと思います。金利の安定や、失業率の改善で、販売が増え、今年も二輪市場のさらなる回復を期待しています。

 これで私の発表を終わります。ありがとうございました。

 

司会

 はい。下村部会長たいへんありがとうございました。では、ご質問よろしくお願いいたします。

 

発言者

 岡と申します。下村さんのコメントをちょっと聞きたいんですけど、たしかこの前、GMも撤退するっていうそういう噂も流れたし、Fordはサンベルナルドでもう工場を撤退しますよね。そのコメントをちょっとお聞きしたいんです。

 

下村部会長

 絶対そういう質問出るかと思ったんですけど。はい。FordとGMは、バックグラウンドは同じと思います。ブラジルの厳しい市場の中に今がんばっているんですけど、ただそれぞれのカンパニーのストラテジーはちょっと違うんですね。やっぱり、Fordがプロダクトが、いろいろあって、ちょっと悪くなっているんですね。GMはやっぱり、何とかがんばっていきたいけど、何とかもっとサポートをいただけるためにそういう動きをやっているかなと思います。ただ、日系メーカーですね、トヨタ、ホンダ、日産は変わらない。ブラジル、まあ今は、いつでもイサオが言っているようにこういう形ですけど、こういう形ですからね。絶対戻ると思っていて、しかも、さっき話した、この国がまだ伸びると思っていて、インベスティメントは続けます。例えばトヨタが去年インダイアトゥーバ工場に1Billion Reaisぐらいインベスティメントしまして、今年からハイブリッドFFVを生産します。ホンダも実は、今月かな、今月から、新しい工場でも生産が始まっているし、日産もどんどんエレクトリックカーを入れています。だからそういう意味では、日系メーカーはブラジルから出るつもりはありません。ちゃんとインベスティメントをやりますと、安心してください。ただ、ここにいる、色々うちのサプライヤーあるんですけど、一緒にがんばらないといけないので、よろしくお願いします。

 

司会

 はい、ありがとうございます。他、ございますか。どうぞ。

 

発言者

 いつもお世話になっています。谷口です。ひとつお聞きしたいのは、ブラジル政府に対して、電気自動車とかハイブリッドに対してね、もう少し恩恵がもらえるべきなところ、全然交渉がうまくいっていないのは、ANFAVEAの方でも、例えばGMとかフォードとかがあまり力を入れていないという意味なんでしょうかね。もう少し本当は、恩恵をもう少しもらって、例えばハイブリッドを買っても一時的にはIPVAの減税があったんだけど、今のドリアになってからまた高う決めてくれたんですけど、そんな邪魔をするような連中と何か交渉できないのかなと思ってちょっと悔しいんですけどね。それだけちょっとお聞きしたい。

 

下村部会長

 さっき私のプレゼンテーションで話した通り、これから大分変ります。日系メーカーはハイブリッドとか電気のところ、もっとできると思いますけどね。ただ、他のカーメーカーもできることはあるんですけど、たぶんまだ、他のカーメーカー、エタノールとかFFVはインベスティメントしまして、だからまだどうなるかはっきり決まっていないんですよ。たぶんまだ、そういう、FCAとかエタノールにフォーカスするかもしれない。いずれにしても、日系メーカーはやっぱりそういう新しいトレンド、エレクトリック、ハイブリッドについては、やります。インセンティブがなくてもやらないといけない。こういうトレンドになりますというのは、うちは見ているんですね。ただ、政府は去年12月に、たとえばRota2030の中にはハイブリッドFFVに、ブラジルで生産したら3%IPIリダクションできるという新しいルールができたので、そういう意味ではちょっとサポートしているかもしれない。ただ、新しい政府はそういうインセンティブがそんなにあれじゃないですから、まあこれからアプローチしましてですね、どうやってやるか、ちゃんとANFAVEAと一緒にやらないといけないと思います。ただ、先月、うちの社長がドリアと会って、ドリアがやっぱり、何とかサポートしますので、一緒に、インセンティブまでもらうとかそういう話ではなくて、だけどそういうトレンドにサポーティブな活動をできるだけはやりましょうと、そういうことはあります。ただ、言った通り、もうちょっとね、そういう新しい技術が、問題はボリュームですから、今ボリュームがないので、ちょっと助けないといけない。その後、ボリュームがあったら、助けなくても、皆やらないといけないと思っているんですね。だけど最初はやっぱりちょっとやらないといけないので、その辺がもうちょっと政府の理解をやらないといけないかなと思っていますので、はい、一緒にやりましょう。

 

司会

 はい、ありがとうございます。ではもう一つ質問、お時間ございますが、もう一方ぐらいいかがでしょうか。よろしいですか。ありがとうございました。非常に、環境対応であるとか、モビリティであるとか、Rota2030とかこの辺りが具体的になってきているのかなというのが非常に、色んな情報が出てきているというのが私個人的には印象的に思いましたし、まあ今後、今おっしゃったような、より効果のあるといいますか、スピード感をもった対応にぜひ期待したいなと思うところです。ありがとうございました。それではこれで自動車部会さんからのご説明を終了とします。たいへんありがとうございました。

 それでは前半最後となります。コンサルタント部会の方からお願いいたします。吉田部会長、よろしくお願いいたします。

 

コンサルタント部会

吉田幸司 部会長

 本年度よりコンサルタント部会長をさせていただいております、KPMGの吉田と申します。前半最後ということで、ちょっとお疲れのところもあるかもしれませんけども、何とか時間通りに終わらせたいと思いますので、最後までお付き合いいただければというふうに思います。

 本日、たぶん、お手元に資料印刷されてお持ちになられている方もいらっしゃるかもしれませんが、すみません、昨晩にちょっと一部修正を入れさせていただいたところがございまして、ちょっとお手元の資料とスクリーンで一部違う所があるかもしれませんけども、その時はスクリーンの方を見ていただければというふうに思います。それでは、私の方からコンサルタント部会の内容についてお話をさせていただきます。

 まず、最初にですね、ひとつビジネス環境のお話をさせていただく中で、ご紹介させていただきたいところといたしまして、こちらですね、実は世界各国の1300人のCEOの方にアンケートを取らさせていただいて、その結果をまとめさせていただいたものとなっております。日本からは100名、ブラジルからは53名、ラテンアメリカ全体で見ると278名の方々からですね、ご回答をいただいた内容というところになっております。ちなみにこのアンケートをしたのは2018年の1月、2月ということで、ちょうど1年前ですね、1年前に各国のCEOがどのようにして経済を見ていたかというところの一つの参考数値として見ていただければと思います。

 世界とブラジルという形で比較させていただいておりますが、世界経済については3分の2の人が成長していくと。ブラジルは半分ぐらいの数値で成長していくというふうに見ていますよと。一方ですね、自分の会社が伸びていくんだというふうに見ているところは、グローバルでも強気だと思うんですが、90%と。一方でブラジルはですね、全員が絶対伸びるんだというふうに見ているというところです。中々これはブラジルらしいなというふうに思ったところです。

 一方、成長していくにあたって何がリスクかというところを質問させていただいたところ、まあグローバルは中々グローバルらしいなと思うんですけども、保護主義への回帰というところで55%というのが一番高いですよと。あとはですね、やっぱり最近の技術の進化が激しいものですから、破壊的技術のリスクとかですね、サイバーセキュリティのリスクが上がってきていると。一方、ブラジルですね、やっぱり自社の運用のところでオペレーションリスクが高いとかですね、あと、ブラジルらしいなというところなんですけども、金利の上昇というところがビジネス上のリスクというふうにブラジル人のCEOは見ているというのがこのアンケートから見て取れるかと思います。

 ちなみにですね、2017年度、実はアンケートさせていただいているんですけど、ブラジルで2017年度、58%の人がリスクだと言っていたのがですね、2018年で消えたものがあります。これですね、インフレーションの上昇ですね。2017年度はインフレリスクがあると思っていたのが、2018年度にはそれがなくなったというのがこのアンケートから見て取れるところだというふうになっております。

 これが1年前のCEOの方々が見ていた経済の見方というところなんですが、実際どうだったかというところで、地政学リスク、もう各部会の方が発表されていますけども、地政学リスクが高まりましたねとか、あとはトラック運転手のストライキ、あとボルソナロ政権の誕生といったところがブラジル経済にも大きく影響を与えているかなと。

 あと、コンサルタント部会らしくというところではあるかもしれませんが、法律や規制の改正もありましたと。税制についてはeSocialの適用、BLOCO Kが規模にかかわらず全面適用になったとか、あと税務申告のデジタル化の流れ、Rota2030の導入とかですね、法律ではデータプライバシーの導入とか、労働法の改正、まあ2017年度ですけど、ありましたと。あとは会計ですね。売上とか、金融商品会計基準。国際財務報告基準が変わったことによってブラジルの基準も変わりましたと。あと、2019年度、今年からはですね、賃貸、オフィスの賃貸も、これを、オフィスを使うという権利とオフィスを借りている事に対する支払い義務、これを両立てしないといけないという会計基準が今年、2019年度から導入になるということで、法律の部分も色々と変わっているというところが見て取れるかと思います。

 あと、ビジネスの変化といった時に、やはり最近の大きな変化ということで、デジタル化の流れというのが非常に大きな一つのポイントかなというところで、デジタル変革のところについても今回CEOのアンケートを取っておりますので、その内容についてこちら紹介させていただいております。

 この技術の革新によって自分のビジネスがなくなってしまう、いやいや技術革新によって自分のビジネスがさらに伸びるんだと、どう思いますかというところなんですが、グローバルではほとんどのCEO、95%がビジネスが伸びると。ブラジルは100%ですね。この技術革新が自分の会社をさらに大きくしてくれるんだ、成長させてくれるんだというふうに信じていると。

 また、AIですね。AIを導入することによって、日本ではAIの導入が仕事を奪うと。我々のような仕事もですね、AIが仕事を奪うランキングのトップの方に入って来るんですけども、まあそうは言っているところで、グローバルとブラジルではAIの導入がさらにビジネスを作っていく、雇用を生み出すんだというふうにポジティブに見ているというのがアンケート結果に出てきました。

 実際にじゃあ、AI、どこまでブラジル企業が取り組んでいるかというところについても、こちらアンケートさせていただいているんですけども、これがですね、私正直、AIはまだそんなに入っていないだろうと思っていたんですが、アンケート結果を見るとですね、一部導入とか、試験的に導入というので、足しても85%と。ほとんどの企業が何かしらのAIに取り組んでいるというのがブラジル企業の状況というところですね。これかなり高いなと、正直、びっくりしたところです。ただ、ご本人の意見なので、本当かどうかちょっとわからないところもあるんですけども、一応そういうような結果が出ているというところです。

 あと、AIの導入によって、どんどんデジタル化、人の手が入らなくなっていきますので、それによってどういうところを改善していくかと聞くと、大体皆さん、利便性が上がるとか、コストの削減とか、さらに成長していくだろうということで、AIに対して非常にポジティブな意見が多かったというのがアンケート結果になっております。

 今まではアンケート結果のご紹介になるんですけども、ここからちょっとスライド3枚ほどでですね、絵だけになっているんですけど、そんなの皆さん分かっているよというところかもしれませんが、最近のビジネスのバリューチェーンの変化というところについて簡単におさらいをさせていただければなというように思います。

 向かって右側ですね、右側の図が多分今までのビジネス形態というところになるかと思うんですけども、ものを作る会社さんであれば、サプライヤーさんからものを買って、そこを作って、お客さんに売っていくと。基本的にはバリューチェーンは上流から下流に流れていく垂直的バリューチェーンというのが一般的に言われている流れではないかなというところなんですが、最近ですね、皆さんアマゾンを使ったり、ネットを使ったり、色々されているかと思いますので、実体験されているかと思うんですけども、もうサプライヤーさんが直で顧客と結び付くと。で顧客側も、別に代理店とか企業さんを通さずに、もう直で連絡を取り合うということで、複数、ネットワーク的な、色んなところがつながるようなバリューチェーンに変わってきているというのが最近のビジネスの流れじゃないかなというふうに言えるかと思います。

 一つ、産業としてのご紹介、私がしゃべるまでもないかもしれませんけども、伝統的バリューチェーン、自動車ですと、OEMさんですね、自動車メーカーさんが自動車を作って代理店に売りますと。それを我々みたいな消費者が買いますと。で、買った後は当然自分たちはガソリンも入れに行きますし、政府に税金も払います、保険も入ります、ローンをするときには金融機関の方に行きますとか、あと修理だと工場に行きますというような、こういうようなバリューチェーンになっていましたと。それが、先程下村部会長からも話がありましたけども、モビリティサービスというふうな動きの中で、今後、車を所有して何か使うというわけではなくて、サービスとして見ていくと。またそのサービスをどうやって企業が見ていくか、サービスのチャンスをどう見ていくかというところで言われているのが、このデータアグリゲーションのところですね。データを集めて、それぞれターゲットに合ったマーケティングをやっていくと。その情報を使った上で、どのようなものがその顧客に向いているかというのをやっていくというところで、ますますこのバリューチェーンの方が変わって行っているというのが今のビジネスの流れかなというところになります。

 すみません。ちょっと話がポンポンと飛んでいくような感じかもしれませんけども、ここからは少しグローバル資本市場の変化というところについてお話させていただければと思います。こちら、どこの年代を取るかとかですね、どのタイミングで取るかによってちょっと順位が確かに前後するところもあるんですけど、ひとつ、世界の株式市場の時価総額というところについて、こちら比較させていただいております。

 2007年と2018年のトップ10と。なぜ2007年かというふうに思われるかもしれませんが、一応ですね、リーマンショック前ですね、リーマンショック前にどういうところがトップ10だったか。で、直近ですね。直近だと世界でどういう所がトップ10になっているかというところなんですけども、リーマンショック前ですね、エクソンモービルがトップ10でした。この時の時価総額が確か5000億ドルぐらいというのがトップ10となっています。それ以外もですね、シェルとかBPとか、エネルギー関係の会社がやっぱり大きいですし、やっぱりGEですね。最近はちょっとGE、昨年度は大きな減損とか株価を落としてしまったんですけど、という辺りが2007年時点では世界のトップ10として名を上げていますと。

 ところが2018年、約10年経った後ですね、どうなっているかというところなんですけども、皆さん良く使われているアップル、アマゾン、アルファベット、マイクロソフト、フェイスブックといったデジタル、インターネットっていう会社がトップ10のしかもトップ5に入ってきています。これらトップ5の会社、時価総額は全ての会社が7000億を超えていると。特にアップルについてはですね、一時期1兆ドルを超えていたということもありますので、デジタルの企業についての時価総額というのはどんどんどんどん高くなっているというのが世界の株式市場の状況かなと。

 あと、有望株というところで、ちょっと一番左側に挙げさせていただきましたけども、皆さん、このうち全ての会社を知っているという方はどれぐらいいらっしゃいますでしょうか。正直、私全部知らなかったです。全部知らなかったですけども、色々調べていくと、確かに世界でも非常に成長有望株として見られていると。特にウーバーとか、これは皆さん利用されているんでご存じだと思うんですけども、ウーバーについては2019年度中に株を上場させようというような動きになっていますけども、ウーバーについては問題は赤字です。設立以来ずっと赤字ですと。大体株式市場上場する前は前の年黒字にならないといけないんですけども、ウーバーは赤字と。ただ、ちなみに南米諸国だけでは10%とかの利益が取れているらしいんですけども、アメリカの方でかなり熾烈な争いをしていて、アメリカで大きなマイナスを出していると。ただ、やはりウーバーについてはかなり注目ということで、今年中に上場するんじゃないかなというふうに言われているところです。

 という形で、非常に株式市場も10年間で大きく変わりましたと。実際皆さんの生活も、このような企業が出てきたことによって大きく変わったんじゃないかというふうに言えると思います。

 一方で、ブラジル資本の市場のところですね。ブラジルの株式市場のトップ10を、これも2007年と2018年で取ってみました。これを見ていかがでしょうか。結構ですね、2007年と2018年、あまり差がないんじゃないかなというふうに見られるところもあるかなと。特にペトロブラスにつきましてもですね、2007年だと1位、2018年だと2位にいっているとかですね、なっているかと思うんですけども、まあ変化としてあえて言えるとすると、やっぱり銀行さんが2018年度は結構上に来ていると。資源系が2007年ではあったのが、ペトロブラスとヴァーレだけになっているとか、2018年は銀行系が増えてきているというのが言えるかなと。

 あと時価総額もですね、これはドルで見てしまうとあれなんですけども、2007年は確かペトロブラスが820億ぐらいだったのが、2018年では600億ぐらいまで下がっているということもありまして、これは石油価格の下落とか為替の下落とかも影響しているかと思うんですけども、株価で見ると資源系は下がっていると。金融機関は逆に数も増えてきていますので、金融機関の時価総額は上がっているというのがブラジル市場かなと。

 実際ですね、株式の時価総額の全体の産業ごとに占める割合を見ていくとですね、金融機関は2007年度が11%ぐらいだったのが、2018年度には27%まで増えていると。あと、ここには書いていないんですけども、大きな変化として、教育系の企業とか、小売系の企業とかが、2007年度は上場会社がゼロだったのが、2018年度にはそういう会社が出てきているということで、ここの表には出ていないんですけども、ブラジルの株式市場も少しずつ変化が出てきているというのが言えるんじゃないかなというふうに見ているところになります。

 そういう中で、今度はユニコーン企業ですね。皆さん聞かれたことがあると思いますけども、ユニコーン企業というのは時価総額が10億ドル以上の新興の会社で、テクノロジーを持っていて、非上場、設立10年以内というところで言われていますけども、これ非常に小さくて見づらいんですけども、そのような会社がどのタイミングで誕生してきたかというところについて、一応時系列でグラフにしたものですね。どの会社が何というのは細かすぎるので、そこは割愛させていただくとして、ここで見ていただきたいのが、これは世界の動きですけども、2014年度以降にこのユニコーン企業というものがものすごく増えてきていると。ということは、2014年度以降でかなりのスピードでデジタル革新が起きているというのが、今のこの会社の数からも見れるんじゃないかなというところですね。

 ちなみに日本でのユニコーン企業、これはすでにユニコーン企業でなくなってしまったんですけども、メルカリがユニコーン企業としてありましたと。ただ、メルカリはもう上場してしまいましたのでユニコーン企業から外れているというところですね。

 じゃあブラジルのユニコーン企業、どういうところがありますかというところですね。これ、各社さんがどういうビジネスをされているかというところについては、ジェトロさんが昨年の11月ですね、2018年11月にスタートアップ企業の調査をされてそのレポートを出されておりまして、そこにも細かく書いておりますね。各社さんが何をやられているかはそれを見ていただければなというように思うんですけども、一応ブラジルでは7社のユニコーン企業が代表的に言われているというところですね。皆さんも99とかご存知だと思いますし、もしかするとフェイスブックとかでnubankですとぽこっと広告が入ってくるとかですね、pagseguroですとタクシー運転手にカードで支払おうとするとpagseguroの機械を持ってくるとかですね、ということで、身近なところに世界にも実はこのユニコーン企業が感じられるというところになってきているところかなと。

 ここには書いていないんですけども、これ以外にユニコーン企業だというふうに言われている企業が実はあります。これ、挙げていないのではですね、オフィシャルに実は発表がなくてですね、ニュースだけになっているんですけども、皆さんご存知でしょうか。ソフトバンクが投資したGympassですね。これ、ソフトバンクが投資したと新聞には出ているんですけども、ソフトバンクもGympassも発表していないので分からない、オフィシャル出ないので挙げていないんですけども、Gympassという会社がありまして、そこがユニコーン企業になっているんじゃないかというふうに言われているというところですね。

 あとここに、まだユニコーン企業に達してはいないんですけども、ユニコーン企業になるんじゃないかと言われているのが、もしかすると利用されている会社もあるかもしれませんが、ContaAzulという会計のクラウドサービスですね。いま会計、外注されている会社さんがたくさんあるかと思うんですけども、外注じゃなくても中でやろうと、しかも経費を削減しようというところで、ContaAzulというのをもしかすると利用されている会社さんもあるんじゃないか。こちらも将来的にはユニコーン企業になるんじゃないかというふうに言われているところになります。

 ということで、ブラジルも、証券市場上位だけを見るとあまり大きな差はないように見えるかもしれませんけども、下位まで見ていくと色んな産業が出てきていますと。あとユニコーン企業も、数は7社で少ないんですけども、前のページで見ていただきました通り、世界も最初は少なかったのが2014年を境に爆発的に増えてきている。ということは、ブラジルもこのユニコーン企業、またはその前のスタートアップ企業というのがどんどんどんどん増えていく可能性があるというふうに言えるかなというところになります。

 またこれ、アンケートの方に戻るんですけども、こうやって新しい企業が今起きているという中で、その世界の1300人の経営者に、今後成長のためにどういう策が必要ですかと聞いたところで、ここですね、特にどっちがどっちという訳ではないんですけども、見ていただきたいのは、ブラジルの方だと3つ目と4つ目ですね。スタートアップ企業のためのインキュベータープログラムの策定、革新的なスタートアップ企業と連携ということで、新しく出てきた企業と連携していく、新しく出てきた企業に対してどうやってサポートしていくかというところが、今後の成長に必要だということが、グローバルの方のCEOも言っていますし、ブラジルのCEOも言っているというところになるかと思います。

 またですね、今後3年間の成長のために最も重要な戦略ということで、一つだけ選んでくださいとやった時なんですけども、グローバルもブラジルも第三者との提携が一番大事だと、そういう意味では、さっき話しをしたスタートアップ企業との提携、これはスタートアップ企業への投資をしていくということも非常に重要というふうに考えているというふうに言えるのかなと。あと、グローバルとブラジルで、あえて、大きな差はないんですけども、どこか差があるかなというふうに見た時に、グローバルはオーガニック成長、内部で育てていきましょうというところを強く意識している一方で、ブラジルはM&Aとかジョイントベンチャーというところで、外のどこか会社を買いましょうとか、外と手を結びましょうというところをちょっと考えているというのが一応言えるのかなと思ったんですけども、下の方に行くとですね、M&Aやる気ありますかと聞いたら、グローバルの方は27%なんですが、ブラジルはたった13%しかやるというふうに言わなかったということで、何か上のアンケートとちょっと矛盾しているような回答になってしまっているんですけども、このように、M&Aの方もブラジルの中では一応成長の戦略として考えているというのが、一応、数は少ないんですけどあるというところですね。

 実際M&Aがこの2018年度どうだったかというのが次のスライドですね。こちらですね、ずっと、このM&Aの件数の中には普通の買収以外にも増資も入っているので、他のもしかすると出てくる資料と数字が違うかもしれませんけども、何件あったかと。ブラジル国内の件数と海外からの投資という件数で、合計すると2018年度は最高件数でしたと、967件と。ただ、よくよく内容を見ていくと、ドメスティック、ブラジル国内での取引が多かったです。海外からの投資という意味では、やはり2018年度は様子見というところもあったかなというところで、件数は2017年度よりも減りましたというところがM&Aの実績ですというところに表れた数値になっております。

 ここまで色々と話が飛んできたんですけども、最後に一つだけ、今のデジタルの流れが進んでいるというところで、デジタルを取り入れて会社を改善してきたところを一つご紹介させていただければなというところで挙げております。聞いたことがあるかもしれませんけども、Aliarというところで、医療の画像診断センターの会社ですね。2011年度設立の2016年度上場した会社で、確か従業員が5000人。900人の医者と提携をしているという会社で、画像診断の医療センターと。こちらの会社ですね、困っていたことが大きく3つありましたと。

 すごいコールセンターに問い合わせと。どういう問い合わせがあったかというと、この保険適用になりますかとか、非常に単純なことがすごい数でコールセンターに問い合わせがありましたと。

 内部のコミュニケーション。患者さんが来ましたと。患者さんの症状によって、この人は軽いといったら青、ちょっと重いと黄色、重症患者は赤という色分けをしていて、赤の患者さんになると上司に必ず相談しないといけない。過去同じような症状であった人でも、赤になったら必ず相談しないといけないということで、本当は相談しなくてもいいような内容でも赤だから相談するということで、内部のコミュニケーションが非常に多くなっていましたと。

 あと診断予約ですね。診断予約を取ったんですけども、来ないとかですね。あと健康診断のような時、皆さん想像していただければいいと思うんですけど、健康診断とかで、前の日にご飯を食べてはいけませんよと言われたにも関わらず食べてくる患者さんと。実は私もやったことがあってこれ医者に怒られるんですけども、そうやって患者さんが結局言うことを守らずに来てしまって、その結果無駄な時間を過ごしてしまうということもあってですね、非常にコミュニケーションのところで苦労していた会社というところですね。

 この会社が、これをなくすために今どうやっているかというところで、絵だけなんですけども、どんどんデジタルを、今のテクノロジーを使いましょうと。予約を受け付ける時もサイトから入れてもらうとかですね。あと、チャットボットですね。チャットボットを使うことによって、同じ問い合わせだったら標準化して、標準化で答えられるようにする、内部も同じような質問であったらチャットボットによって標準化して同じように答えていくということを進めていきまして、ものすごい件数、連絡が減って、ものすごく効率的になったというふうになっております。

 で、この会社、今取り組みをですね、ずっとしていっているんですけども、その取り組みを始めたのが2018年の4月からと。ほんの1年ぐらい前ですね、今2019年で大分良くなって来まして、2020年度までに、これLIAって書いてあるんですけど、何かというとAIの名前ですね、このAIを作り上げてほとんど自動化にしていきましょうと。また、患者さんから問い合わせを受けるだけではなくて、患者さんの方にも有益な情報があれば発信していきましょうということで、どんどんどんどんデジタル、テクノロジーを使って患者さんへのサービスのレベルアップをやっていきましょうということを今この会社は取り組まれているというところですね。

 ですので、ブラジル企業も世界にもれず、テクノロジーに対しては非常に敏感に、新しいものをどんどん取り入れていこうという姿勢は、この会社の例からも見て取れるのかなというところになります。

 最後ですね。コンサルタント部会のまとめというところで、じゃあこのような中で、日系企業さんはですね、今後どのようなところにビジネスチャンスがあるのか、どういうことを考えないといけないのかというところなんですけども、今一度、じゃあなぜブラジルに来たのかなとか、今中国企業が非常に攻勢をかけてきているところもあるかと思うんですけども、今一度、自分がなぜブラジルに来て、じゃあブラジル人がそもそも何を我々に期待しているんだというところを見直すことによって、新たなビジネスチャンスというのが見えてくるかもしれない、とかですね。あと、非常に今、ダイソーさんとかすき家さんとか日本から受け入れられています。また、コンサルタント部会の中で話がありましたけども、おもてなし精神、日本のサービスというものが非常にブラジル人に受け入れられているということであれば、日本のこのブームを利用したビジネスということで、コンシューマーマーケットとかサービスというところについては、さらにビジネスチャンスがあるのかもしれない、とかですね。

 あと農業分野。ブラジルは農業分野が非常に大きな部分だと思いますし、多くの会社さんも投資されているかと思うんですが、この農業分野のところについても、今スタートアップ企業がどんどん出てきています。ドローンを使った、農薬を撒いたりとかですね、画像診断とかもどんどんやって、効率的に農作物を作っていきましょうということを始めるスタートアップ企業というのが非常にここに出てきていますというところもありますので、農業分野の元々のブラジルの強みのところにスタートアップ、日本のテクノロジーというのを組み合わせていけるのも一つの考えじゃないかと。

 あとは、やっぱりどこの部会も今言っておりますけども、今後の改革に対して備えていくことも重要じゃないかというところがコンサルタント部会のまとめというところになります。

 以上が私の発表となります。ありがとうございました。

 

司会

 はい、たいへんありがとうございました。皆様ご質問の方、よろしければ挙手の方お願いいたします。

 

発言者

 非常に画期的な報告をいただいて、ありがとうございます。質問はですね、ここで言うブラジル企業というのは当然外資系も含むという理解でいいのかなと考えているんですけど、その確認とですね、ちょっと日本と比較するとどうなるのかなといったところがちょっと気になってましてですね。スタンスの違いとか、例えば。一番関心があるのはスタートアップ企業との連携といったところで、どのぐらい関心があるのかというところですね。もし情報があればということで。一番聞きたいのは、実は皆様参加されている中でどのぐらい関心があるのかというのが本当は一番聞きたいところなんですけども、その辺分かる範囲でお願いできればと思います。

 

吉田部会長

 ご質問は、スタートアップ企業についてのところでよろしいですかね。

 

発言者

 そうですね。ブラジル企業、グローバルってありますけども、もし日本というカテゴリを加えた場合、どういった特徴的な違いがあるのかというのがもし分かれば教えていただければ。

 

吉田部会長

 実はこれ、日本のアンケートのやつもあって、最初入れていたんですけども、ちょっと時間的にも厳しくて取り除いたところがあるので、細かいものはもしご要望があればお渡しすることはできるんですが、日本企業とブラジルと世界の大きな違いというと、このAIのところですかね。まずAIによって雇用を生み出せる可能があるかないかというところについては、実は、ある程度日本の会社、AIによってなくなると言われてはいるんですけども、実は経営者に聞くと、AIがあっても雇用は増えると思っている経営者、これ実はそれなりにいましたと。一方で、AIをどれだけ導入しているかというところについては、日本企業はもうちょっと数が少ないというところが一つあったかなというところですね。あとは、今後の成長戦略というところについても、日本はオーガニック成長、内部で育てていこうという所が非常にパーセンテージが大きかったなというのが私の今の記憶のところになります。スタートアップ企業との連携のところについては、ブラジル、私も今回お話させていただく時に色々調べさせてもらったんですけども、結構ブラジルは政府を挙げてですね、スタートアップ企業を支えていこうという動きは最近かなり出てきているのかなと。また、民間企業の中にもですね、これジェトロさんの資料の中にも出てきてはいるんですけども、民間企業でもこのスタートアップを支えていきましょうということで、アクセレレーターとかですね、インキュベーターとしての活動をされている民間企業さんもたくさんありますので、かなりブラジルは、このスタートアップ企業を盛り上げていこうという動きはかなり見られるのかなと。一方、日本は正直、私はネットで見ても日本はやはりスタートアップが中々盛り上がっていないというような話は聞くことは聞いています。なぜその違いがあるのかというのは、そこまでは勉強不足で分かっていないところではあるんですけども。

 

司会

 はい、ありがとうございました。他にご質問よろしいでしょうか。はい。大変興味深いお話をたいへんありがとうございました。今スタートアップ等々ですね、どちらかというと日本企業全体が割と問われていることなのかなというふうに思います。一方でブラジルは割とオーナーの方が即断即決という、そういう傾向もあるんじゃないかというふうにちょっと思った次第ですけども、日本の進出企業の皆さんもたくさんおられますので、新しい時代に向けてがんばっていこうということなのかなと思います。それでは、コンサルタント部会の発表をありがとうございました。それではこれで10部会のうち5部会までご発表いただきました。予定通りでございまして、今3時15分ですけども、これから15分間コーヒーブレイクということで、お休みを取りたいと思います。3時30分にまたお戻りいただければと思います。ありがとうございました。

 

後半の部 司会

大久保敦 企画戦略委員長

 そろそろ時間になりましたので、これより業種別部会長シンポジュームを再開したいと思います。よろしくお願いいたします。私、後半の部の司会を担当させていただきます、企画戦略委員長でジェトロサンパウロ事務所の大久保でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

 それでは早速、各部会の発表に移りたいと思います。またタイムキープ含めてですね、皆様のご協力をよろしくお願いいたします。まず、化学品部会からの発表をお願いしたいと思います。村松部会長より発表をいただきます。村松部会長、よろしくお願いいたします。

 

化学品部会

村松正美 部会長

 今期、化学品部会の部会長を務めます、筆記具のパイロットの村松と申します。飛べないパイロットであります。よろしくお願いします。筆記具がなぜ化学品部会の部会長をやっているの、というところ、謎解きは別といたしまして、業界のただ今勉強をしております。どうぞよろしくお願いいたします。

 それでは、化学品部会の8つの関連する部門がございますが、その中で6つほど紹介させていただいて、進めたいと思います。輸送関連、ヘルスケア関連、農業関連、印刷関連、機器関連、コンシューマー、そして総括と。最後に、メンバーの意見をまとめまして報告させていただきますが、副題として「成長への期待、変化への対応」ということで進めさせていただきます。

 まず、化学品部会のアンケートの調査内容についてご説明いたします。化学品部会所属企業は、団体を含めまして73社。アンケートに協力いただいた企業は、団体含めまして22社であります。そのうち工場を保有する企業が10社。アンケートにつきましては、8つの市場から売上と利益を増加、不変、減少というこの3つの表現で回答いただきました。その8つの市場は、先程申しましたが、輸送関連、自動車、二輪車など。ヘルスケア関連として食品、化粧品、医薬品など。農業関連といたしまして農薬、飼料、酵素などを含んでいます。そして印刷関連、インキ、製紙など。機器関連としまして、電気、電子、医療などを含みます。最後にコンシューマー、筆記具、接着剤、潤滑剤など。この分野からご説明いたします。その他には、建設関連、服飾関連となっております。アンケート総数は43件いただいております。

 それでは全体の報告から進めていきたいと思います。化学品部会の全ての市場をまとめた資料でございます。2018年の回顧といたしまして、化学品部会、8つの全ての市場を見てみますと、2018年の振り返りでは、売上が65%が増えていますよと回答いただいております。決して悪くなっていないけど不変だというのを含めますと、全体で86%という数字をいただいております。利益につきましては、増加と答えられた企業は全体の47%。不変を含めますと総体で77%という回答を得ております。

 そして、今年の2019年の展望、どう攻めるんだ、どうなるんだというところにつきましては、売上につきましては70%の企業が増加と見込んでおります。さらに不変を含めますと、実に98%が回復基調を見込んでいるという結果が出ております。利益につきましては、58%が増加と見込み、不変を含めますと、91%が回答されております。増加と不変を含めまして91%の回答を得ております。

 それでは、市場ごとに詳しく見ていきたいと思います。

 まず、2018年の回顧、輸送関連。自動車、二輪車などを含みます。用途につきましては、内外装のプラスチック部品、エンジン用のシール材、樹脂添加剤などを含んでおります。2018年回顧、振り返りには、増加したと答えられた企業が71%と高く、不変を含めますと86%で、輸送関連では市場が回復した、生産増につながっているという回答を得ております。利益面では、増加が50%。不変を含めますと76%の回答を得ております。

 売上増の主な要因といたしましては、新車種に採用された、あるいは新規需要、新規雇用獲得といった動きがあったと報告を受けております。しかしながら、マイナス面としては、価格競争が激しくなっているということを挙げております。二輪部門、二輪車はどうであるかというと、緩やかな市場の回復であったと振り返っております。マイナス面で、コスト低減要請が非常に厳しく、価格競争の激化を挙げております。総体的には、売上が増加したけど、反面、やはり価格競争、あるいはコスト削減要請というものが非常に厳しいというような報告になっております。

 それでは2019年、どうなるんだ、どう見ているんだというところでありますが、売上の減少は減り、不変が増えているという結果になっております。売上の増が64%。不変を含めますと93%と高く復調を見込んでいるという結果になっています。利益面では43%が増加と見込んでおりまして、不変を含めますと76%が維持・増えると見込んでいるということでございます。

 売上増の要因に掲げられております、新規採用、新規車種に期待するといったことと、新規メーカーへの拡販も狙っているということが挙げられております。逆にマイナス面でありますが、やはり価格競争がますます激しくなると予測し、二輪車部門ではコスト低減要請に対応せざるを得ないと。あるいは、価格競争がますます激しくなると予測しているということであります。かなり、売上は伸びますが、やはりメーカーとしての価格、あるいはコスト低減要請について対応していかなくてはならないという厳しい状況には変わりないという結果が出ております。

 続きましてヘルスケア関連。食品、化粧品、医薬品などでありまして、用途につきましては、食品添加剤、包装フィルム、海藻着色剤、一般医薬品などが含まれます。

 2018年の回顧につきましては、売上が増加したと答えられた企業が75%ありました。ヘルスケアでは、食品が健康志向ニーズが増したことを挙げ、化粧品・医薬品では市場が回復傾向にあったと回答を得ております。利益面では増加が63%の回答を得て、売上増の主な要因としては、新規得意先の開拓、あるいは営業活動の強化といったこと。さらに新規案件の増加があったと回答をいただいております。ヘルスケアでのマイナス面では、やはり価格競争が厳しくなっているということを挙げておられます。

 続きまして2019年の展望でありますが、売上が75%と前年と変わらず、しかし不変を含めますと100%と、市場回復を期待を強めているという結果が出ております。利益面では75%が増加するとし、不変を含めますと100%維持ができると見込んでおるということであります。売上の増の要因につきましては、新規開発案件が実績化すること、営業活動のさらなる強化、あるいは新規取引先の開拓をさらに推し進めるといったような報告を受けております。また、残念ながらマイナス面ではやはりここでも、価格競争がさらに厳しくなるというような話も伺っております。

 次に農業関連。農薬、飼料、酵素などを含んでおります。用途は殺虫剤、殺菌、除草剤など、診断薬原料などを含んでおります。

 まず2018年の回顧。売上が増加したと答えられた企業が71%ありました。ほとんど変わらないよという企業を含めますと、全体で100%ということであります。増加と不変で100%。従いまして、農業関連では堅調な伸びがあったという報告を受けております。反面、ジェネリック攻勢や、アルゼンチンの干ばつといったことが挙げられております。そして、売上増のもう一つの要因といたしまして、販売品目の追加があったこと、新案件の増加もあったという回答を得ております。ここでも、価格競争についてはやはり厳しいということが挙げられております。今まで、各関連企業につきましては、価格競争におきまして非常に厳しいという回答を得ております。

 今年、2019年の展望、どうなんだろうということにつきましては、売上増と見込んでいるのは71%。前年と変わらず、不変を含めると、やはり前年と変わらず100%と。市場の回復の期待を強めているといったことであります。利益面では、43%が増加と見込んでおりまして、不変を含めますと100%と、さらに期待を寄せているというところであります。売上増の要因につきましては、市場の伸びを期待している、あるいは作付拡大を期待、アルゼンチンの回復を期待といったような内容と、さらに、販売品目の増加、あるいは新規案件の増加に力を注ぐといった回答を得ております。また、反面ですね、ジェネリックの激化が予想され、さらに価格競争のさらなる厳しさが出ると予測をしているということであります。

 次に印刷関連です。用途につきましては、パッケージ用インキ、あるいは印画紙などを含んでおります。2018年の回顧につきましては、売上が増加したと回答いただいたのは100%。回復が見て取られたということであります。売上増の主な要因につきましては、販売品目の追加があった、さらには新案件の増加もあったということで回答をいただいております。非常に好調なように見える業種でありますが、反面、やはり価格競争は厳しいということを挙げております。利益面では75%が増加したと回答を得ております。不変はゼロでありました。

 続きまして、2019年、どうなるんだろうということでありますが、売上増につきましては75%と、前年から減少が見られております。不変を含めますと100%と期待を寄せているところでありますが、さらなる市場の回復を強めてほしいと期待しております。利益面では75%と、前年と同様に見込んでおり、不変を含めますと100%と期待を強めております。売上増の主な要因としては、やはり販売品目の増加や、新規案件の増加、さらに、値上げを実施したいということで回答を得ております。やはり価格の競争のさらなる厳しさ、これも出てくるだろうという予測もしております。

 続きまして機器関連。電気、電子、医療などを含みます。用途につきましては、眼科の治療用デバイスなどが挙げられております。透析等ですね。まず2018年のどうであったか、振り返りにつきましては、売上が増加したと答えられた業者が25%と、非常に厳しさが伝わって来るアンケート結果であります。不変を含めますと100%。まあ変わらない、売上は伸びなかったけど去年とそう変わらないよというのを含めますと100%という状況であります。利益面では売上と同じく、やはり25%と厳しく結果を出しております。そんな中、市場が厳しい中、医療現場の需要が増えたことが挙げられております。厳しいんだけど、医療現場の要請が強かったと、需要が強かったということであります。反面、ドイツ、アジアといったメーカーとの競争が厳しさを増している、市場の回復が遅れているといったようなアンケート結果にもなっております。売上につながった要因といたしましては、一つには、競争他社が不在と、いないよということが挙げられております。また、マイナス面では、価格競争が厳しくなったということが挙げられております。

 2019年はどうかといいますと、売上増が75%と、大きく期待しているところであります。不変を含めますと100%。やはり市場の回復の期待を強めているといった結果になっております。利益面では75%が増加と。それを見込みまして期待を寄せているといったところであります。75%と期待している売上の増の要因につきましては、医療現場の需要の堅調な維持、あるいは市場の回復を期待する、既存事業の拡大にも力を注いでいこうということで、売上増の要因となるだろうとしております。しかし、反面、ドイツ、あるいはアジアのメーカーの動向がやはり気になるということが報告されております。また、価格競争もさらに激化するだろうという予測も立てているということであります。この業種につきましても、機器関連につきましても、やはり価格競争は避けて通れないといったようなアンケート内容になっているということであります。

 続きましてコンシューマー関連。筆記具、接着剤、潤滑剤など。用途は、筆記具全般、ビジョンケア材料、車両用タイヤなどを含んでおります。この分野では、売上が増加したと答えられたのが25%で、やはり厳しさが伝わってきております。不変を含めると75%。利益面では売上と同じく、25%と厳しい数字が出ております。そんな中、市場が厳しい中でありますが、輸送関連につきましては消耗品の需要増加があり、具体的にはトラック、バス、その他のタイヤの生産が増加したということが報告されております。マイナス面では、市場の統廃合による縮小、あるいは、中国製品の台頭が見られ、価格競争の激化があったと回答を得ております。利益面では、売上と同じく25%の増加にとどまりました。やはり厳しい市場であったということであります。

 2019年、今年はどうなるんだということでは、売上は50%まで回復するだろうという期待を寄せております。不変を含めますと100%。市場回復の期待を非常に強めているといったところであります。利益面でも50%が増加と見込みまして、期待を寄せているところであります。売上の増える要因に挙げられるものの中で、やはり輸送関係の消耗品の需要が堅調であるという見込みをされている。さらに、市場の開拓も推し進めたい。さらに、商品の認知度を向上させたいということで、売上向上を図っていきたいということであります。逆に、マイナス面としては、やはり、中国製品の動向、価格競争の激化というのは避けて通れないだろうというふうに見ております。

 続きまして、総括といたしまして、2018年の回顧、全体で見ますと、売上増加が43件中28件。65%の企業の方々から増加があったという結果を得ております。2019年の展望といたしましては、70%の企業が売上の増加を見込むという数字をいただいております。売上だけの数字を見てみれば、2019年度の回復が見られるといった数字であります。市場はどうであったかというと、18年につきましては、振り返ると、穏やかな需要の回復があったんじゃないかというような全体的なアンケート結果であります。そして、2019年の動きはどうかというと、回復傾向が進むんだろうと、まあ望むといったような回答を得ております。また、全体としますとやはり、価格の話が出ておりましたが、脅威といたしましては、2018年に出てきましたアジア圏の台頭、ジェネリック品との競合、2019年におきましても同じくアジア圏の台頭、続くであろうと。ジェネリックとの競合、これも脅威であるというような回答を得ております。

 2018年、それに対してどう対応したのかというのは、新規取引先の開拓、あるいは新商品の投入、コストの見直しをして対応を取ったというような報告をいただいております。

 2019年につきましては、さらに得意先の拡販、新規取引先の開拓、新商品の投入、コスト見直し、それにコスト低減を対応しなくてはならないというようなところが挙げられていると。

 続きまして、副題です。「成長への期待、変化への対応」ということで、許認可プロセスの簡素化、敏速化を望むということでありますが、聞き取り調査の中では、登録までに8年以上かかると聞き取りをいたしまして、業種の違う私は非常に驚いたということで、8年、あるいは10年というような期間を待たされるというのは非常に厳しいなという感じがいたしました。これも簡素化・敏速化を早急に望むといったところであります。

 さらには、税制改革。これにつきましても、まあ二重課税ですとか、そういうのを含めまして早期の改革を望むといったところであります。ビジネス環境の整備も同じく望むということであります。

 全体、その動向を見極めて、素早く行動に、いかに移せるかといった対応はしなくてはいけないんだろうなというようなことを考えております。

 せっかく壇上に登らせていただきましたので、化学品部会の中に入っている、ちょっとだけ筆記具の分野をご説明させていただいて、お時間を少しだけいただきたいなと思っています。

 筆記具の世界的なシェアから、あるいはブラジルのシェア、マーケットはどうなんだろうというところを簡単にご説明し、ボールペンの構造、あるいは、なんで化学品部会に入っているのかなということも解明できればいいなと思っています。

 まず、世界的な筆記具の市場といたしましては、数年前のデータなんですが、25兆円から28兆円ぐらいあると。現在では、まあそれより超しているんだと思うんですが、そのぐらいの市場があると言われています。世界のトップ5のシェア、トップ3のシェアだとちょっと出てこない企業があるので、ナンバー5までお話ししますと、ナンバー1はNewellという企業であります。この企業はアメリカに本社を置きまして、ブランドのマネージメントをするところです。具体的には、万年筆のパーカーだとか、ウォーターマン、これを有しております。メーカーを有しております。これがナンバー1。ナンバー2はBIC。かの有名な、フランスを代表する筆記具であります。現在はフランスには工場はありませんが、ナンバー2ということであります。BICにつきましては、某大統領がこよなく愛しているブランドであるということであります。

 ナンバー3はCrayolaという企業でありまして、これも米国に本拠地がありまして、特にクレヨンが強い文具メーカーであります。第4位、おかげさまで出てきました、パイロットが第4位であります。第5位がドイツの鉛筆メーカー、STABILO。第6位が同じく画材メーカーのドイツのFaber-Castellというところで含めております。

 それでは、ブラジルはどうであるかというと、ブラジルの市場は、まず筆記具、ボールペンの市場を言いますと、BICが70%、1レアルから2レアイスぐらいの価格帯ではBICが70%のシェアを取っております。当社はというと、まあ残念ながら数%といったところであります。

 その筆記具のカテゴリー、もう少し見ていきますと、マーカー、マジックとは決して言わないんですけど、マジックと言うと内田洋行になってしまうので、マーカー。油性マーカーの市場は、おかげさまで当社が80%をいただいております。そのうち、ホワイトボードマーカーにつきましては、70%のシェアをいただいていると。そのほかがBIC、それと現地メーカーということになっております。

 それでは、あまり長くなってしまうと怒られてしまいますから、ボールペンの構造だけちょっと簡単に説明させてください。ちょっとだけ。やめた方がいいですか。じゃあ後ほど、どこか機会がありましたら。どうもありがとうございました。

 

司会

 村松部会長、どうもありがとうございました。ちょっと後ほど、懇親会等でもですね、ちょっとその話題になればと思いますので、よろしくお願いいたします。ただ今の発表につきまして何か質問ございますでしょうか。よろしいでしょうか。はい、どうぞ。

 

発言者

 許認可プロセスの迅速化、8年、10年かかるとおっしゃいましたけど、この先程の分類でいきますとどこに属してます?医薬品とかですか。

 

村松部会長

 許認可プロセスにつきましては、農薬関係が、非常に時間がかかるよというようなアンケートをいただいておりました。

 

発言者

 分かりました。

 

司会

 農薬だと、ANVISAですか。ですね。はい、分かりました。よろしいでしょうか。では、化学品部会の発表は以上とさせていただきます。村松部会長どうもありがとうございました。

 それでは引き続きまして電気電子部会の発表に移りたいと思います。日比部会長より発表いただきます。よろしくお願いいたします。

 

電気電子部会

日比賢一郎 部会長

 皆さんこんにちは。電子電気部会で部会長を担当しています、ソニーの日比と申します。よろしくお願いします。電子電気部会ですけれども、まずは民生用の電気機器、あと産業機械、あとはアプリケーションとソフトウェアをベースにITのソリューションを提供している企業さんで構成されている部会です。ではさっそく今日のプレゼンを始めさせてもらいます。

 まずこちらが本日のアジェンダになります。まずはじめに市場および生産動向のアップデート。続きまして、毎回半期ごとに部会メンバーに対して行っている景況感調査の結果報告。そして、前回のシンポジュームでもご質問がありました、電子電気部会の特徴的な活動のひとつでもあるマナウス経済特区のオペレーション概要と課題点を、今回の機会を利用しまして少し紹介できれば思っています。そして最後に、本日の副題でもある「成長への期待、変化への対応」に則して、部会メンバーからいただいた商工会議所あるいは日本、ブラジル政府への要望の要約ということで締めたいと思います。では次お願いします。

 まず市場動向ですが、電子電気部会、取り扱いの業種が非常に多岐にわたっていまして、まとめるのは難しいので、今回はその中の一例としまして、まあ弊社の取り扱い商品なんですけども、テレビとオーディオ機器、またオーディオの中でもブラジルの北東部を中心に市場規模が比較的大きい、いわゆるミニシステムですね、の市場動向について簡単に説明させてもらいます。

 チャートの左側がテレビ、右側がオーディオの市場規模で、青線が販売台数の12カ月の移動累計、赤の横線が対前年比を示しています。ご覧いただけますように、赤の縦棒ですね、真ん中にあるところですけども、これが2017年の1月になりますが、両カテゴリーともに需要は2016年の末を境に対前年ベースで回復基調に転じております。またテレビは、皆さんご記憶にある通り、昨年の6月、7月にワールドカップがございましたので、そのおかげで特需があり、市場がその時期跳ね上がっております。一方オーディオミニシステムは、市場自体は現在も縮小傾向が続いているんですが、昨年末より各社が新商品、新カテゴリーを投入し、対前年比ベースでは年末から回復の兆しを見せているという状況になっています。

 続きまして、こちらのチャートが主要家電製品のマナウス経済特区での生産数量の推移となります。総じて、ほぼ全カテゴリーにおきまして、前年を超えるベースでの売上が推移しております。唯一電子レンジのみが対前年を下回っておりますが、これは一昨年、2017年からの市場在庫調整が昨年行われたと伺っております。

 続きまして、景況感調査の結果報告に移らさせてもらいたいと思います。冒頭でも説明しましたが、こちらは毎年半期ごとに部会メンバーに対し景況感の意識調査を行い、その結果をまとめたものです。ご覧いただければお分かりの通り、今回のアンケート調査では、18年の回顧、19年の展望のどちらにおいても、悪化と回答された企業の方はゼロで、全メンバーの皆さんが維持あるいは改善と回答されており、これからもビジネス環境は回復基調にあるということがうかがえるかと思います。では次お願いいたします。

 そしてこちらが部会メンバーからのコメントをサマリーしたものになります。まず18年の回顧ですけれども、トラックスト、レアル安、大統領選などネガティブ要因となるイベントはあったものの、各社の自助努力により、回答企業の全てが対前年でプラス成長を達成したという力強いコメントが多々ありました。また19年の展望につきましても、新政権による諸改革への積極的な取り組み等から、ブラジル経済状況の好転を期待し、19年に関しても引き続き売上成長を見込むというコメントが多くありました。そして、このモメンタムを維持・拡大させていくために、各社ともに販売施策を強化させていく、ただしその一方で、こちらに書いてありますような、政治経済、金利等のリスクに備え、各社ともに事業体質、資産管理等を引き続き厳しくしていくというコメントもいただきました。

 以上が景況感調査の結果報告となります。続きまして、本日もう一つの議題ですけども、マナウスのフリーゾーンに関してですね、今回の機会を利用して少し説明させていただきたいと思います。

 まず、マナウス・フリーゾーン。おそらくお耳にした方はいらっしゃると思うんですけども、Zona Franca de Manausですけれども、この制定の目的ですが、まず二つ、地域開発と国家保安の確立という2点が大義名分となっております。マナウスは、ご覧いただければ分かるように、ブラジル北部の国境に面しており、国防の観点からも大変重要な意味を持つ都市です。人口は200万人超の都市で、国内では7番目に大きい都市となっております。

 現在このマナウス経済特区に進出している企業は全部で400社超。そのうち日系企業が32社と聞いております。また、このマナウスゾーンがですね、法令にて制定され、実際に経済特区としてのオペレーションを開始したのがですね、記録を見ますと1967年の2月28日となっていまして、偶然にも52年前の今日がマナウスのオペレーションが開始された日となり、今日が52回目のアニバーサリーとなります。

 また、これまでの間ですね、幾度となくこのマナウスのフリーゾーンの税制恩典の期間延長がなされたんですけれども、現時点で法令上ではですね、2073年、たいへん長い期間ですけれども、までこのマナウスゾーンでの税制恩典は有効と法令上では制定されています。

 この写真を見ていただければ分かるんですが、先週ですね、野口総領事にですね、実際にマナウスまでお越しいただいて、パナソニックさんと弊社の工場を視察していただきました。それと同時に、今日発表しますオペレーション面での概要と課題点も共有させてもらいました。この場を借りまして野口総領事にはお忙しい所わざわざお越しいただいてありがとうございました。

 続きまして、一番重要なところなんですが、マナウス経済特区でどういう税制恩典があるのというところなんですが、実際税制恩典のルールは非常に、業種、オペレーション、形態により様々で、一言で言い表すのは非常に難しいんですが、今回はあくまでも一般的な情報共有という形で、大括りでこのようにチャートにまとめてみました。

 まずですね、一点目なんですが、マナウス経済特区に登記した企業に対しては法人税の25%が減免。続きまして、一番大きいインパクトがあるところですけれども、工業製品税、いわゆるIPIですね、が、マナウス経済特区で生産された部品に関しては100%免除。そして州税にあたるICMSですが、該当商品によりこのパーセンテージが違いますが、55~100%減免。また、マナウスに原材料として持ち込まれる素材部品に関しては、最大88%までの輸入関税の減免。そして、国が徴収するPIS/Cofinsですね、に関しても、3.65%までの減免となっております。繰り返しますが、このチャートはあくまでも、今回のために一般的なパーセンテージを利用したので、業種により個々違うので、今日は一般的なサマリーとしてご理解ください。

 続きまして、マナウス経済特区の現在のオペレーション概況ですが、まず左上のチャートですね、棒線のグラフがあると思いますが、こちらがマナウス経済特区での生産高になります。青の棒線がレアルベース、オレンジの棒線がドルベースになります。レアルベースでは2018年の生産高大きく伸ばしておりますが、ドルベースではほぼほぼ横ばいなのが見て分かるかと思うんですが、これはやはり為替の影響が一番あるんじゃないかと思われます。しかしながら、右下ですね、チャートを見てもらいますと、これはマナウス経済特区に持ち込まれた輸入材、これは黄色の棒線ですね、それとマナウスから輸出されたもの、こっち緑です、の推移のチャートなんですが、輸入材はドルベースでも、こちらはドルベースの棒線なんですが、ドルベースでもしっかり伸びておりますので、為替の影響はあるものの、各社ともに昨今の経済状況の好転に伴い、先行きのビジネス経済に向けた仕込みを行っているのではないかと思われます。

 続きまして、左下のチャートですけれども、こちらはマナウス経済特区で働く従業員の方の数の推移ですね。こちらも数年間ほぼ横ばいが続いていますが、まあ我々生産設備ですとか、常に生産効率を求めていますので、生産のオートメーション化、あるいはロボット等の導入により、生産面の効率化が図られているんじゃないかというふうに見ております。

 最後に右上の、経済特区の業態別の比率ですが、電気機器、パソコン、携帯を中心としたIT機器、二輪、オートバイですね、それとあと化学製品で全体の約8割近くを占めるという状況に今なっています。

 続きまして、まあこれだけ見るとマナウス、非常においしいビジネスだという感じなんですが、マナウスの経済特区でビジネスをするにはいくつかの制約があります。それをですね、今日一部ご紹介するとともに、ここにやはり大きな課題点も存在しておりますので、こちらも少し合わせて紹介したいと思います。

 まず、今までに説明してきた税制恩典ですね、を得るには、ある一定の割合で部品の現地調達をクリアする必要があります。これはPPBと呼ばれているんですけれども、具体的な例を挙げますと、例えば弊社の商品でテレビですと、テレビで税制恩典を受けるには、皆さん良くご存知、リモコンですね、リモコンは100%部品から現地調達、そして現地で製造しないといけないというルールがあります。あるいは、基盤の一部、あるいはメモリーの一部といった主要なコンポーネントにも現地調達のルールが課されています。最近のトレンドとしてはですね、この現地調達のルールが年々厳しくなってきています。現地調達の比率が上昇傾向にあります。問題はこの現地調達する部品自体のですね、質とコスト競争力が問題で、彼らは規制で守られているので、ここの技術革新が非常に遅れているんですね。なので、質・コストともに非常に、粗悪と言っては言葉は悪いんですけど、世界標準からするとやや見劣りするという状況です。なので、せっかく税制恩典を受けてもですね、この部分でかなり相殺されてしまう部分がある現実がございます。

 もう一点はですね、現在の装置組立産業ですと、部品の送付というのは、すでに部品サプライヤーから送付される時にですね、複数の部品を組み合わせて、モジュール化と呼ばれるんですが、モジュール化された形で送付されるのが一般的なんですが、マナウス経済特区ではあくまでもひとつひとつの部品単位の輸入、そしてマナウスでの組み立てが義務付けられております。これもひとつ作業効率の悪化を招いているという要因でもあります。

 もう一点ですが、経済特区は税制恩典を与えることで産業の誘致を図ることが目的なんですが、同時にですね、常にアマゾナス州の州の税制アップというターゲットも同時に持ち合わせているので、毎年のようにルールが変わるんですね。ルール改訂が行われます。このルール改訂が突然起こったりするので、我々としては非常に採算構造の確定、決めるのが難しい、あるいは先行きも不透明なので、結果として投資判断が難しいという課題もございます。

 こういったいくつかの課題点に関しまして、現在ですね、我々の電機業界を代表した産業団体でエレトロスというのがあるんですが、そこを通じてですね、マナウス経済特区の窓口機関であるSuframaという機関があるんですが、そこと今協議を重ねて改善を図っているんですが、ここはぜひとも、野口総領事も来ていただいたので、ぜひとも日本政府からも強いサポートをいただけたらなと思います。

 以上がマナウスのオペレーションの概要を簡単にまとめたものなんですけど、こちらが最後のページになります。本日の副題でもある「成長への期待と変化への対応」に則してですね、部会メンバーからいただいた、商工会議所、日本あるいはブラジル政府への要望のサマリーとなります。

 まず1点目ですが、前回のシンポジュームでも話題となった、日本とのEPA締結推進のところですが、特に産業機器の業界ですね、欧州勢の競合が非常に激しくて、欧州とブラジルとの間のEPAの動きにたいへん注目しております。ぜひ日本政府にお願いしたいのは、我々が、日本が優位にならずとも、少なくとも劣後しない環境は最低限確保していただきたいという要望が出てきております。

 また、先程述べました、昨今の米中摩擦の影響もあり、特に中国からの官民一体となったブラジルへのアグレッシブなアプローチが昨今顕在化していますが、日本もですね、負けないように官民が一体となった関係構築をぜひ進めてほしいというリクエストも出てきております。具体的にいくつかの例が出ているんですが、商工会議所を通じたオールジャパン連携。具体的には五輪と連携した日本の技術展、日本の省エネ技術紹介セミナーといったことなどをやったらどうかといった具体的なコメントも出てきております。

 最後ですが、先程ご説明したマナウスのところですけれども、マナウス特区でオペレーションをしている企業メンバーからは、先程述べた課題点に関してですね、やはり税制恩典ルールの適正かつ公平な運用をぜひともお願いしたいというリクエストが出てきております。

 電子電気部会からは以上です。ご清聴ありがとうございました。

 

司会

 日比部会長どうもありがとうございました。ただ今の発表につきましてご質問のある方、挙手をお願いできればと思います。よろしいでしょうか。それでは電気電子部会の発表は以上とさせていただきます。日比部会長、どうもありがとうございました。

 引き続きまして、食品部会の発表に移りたいと思います。黒崎部会長より発表をいただきます。よろしくお願いいたします。

 

食品部会

黒崎正吉 部会長

 味の素の黒崎でございます。よろしくお願いいたします。

 本日はこの大きく3本立てで、1に食品部会会員企業、2に市場および会員企業状況、3に本日の副題「成長への期待、変化への対応」という形でご報告させていただきます。

 まず、食品部会企業でございますけれども、食品部会も様々な業態で構成されていると。特徴はですね、懇親会ですか、の参加率がきわめて高い。前回もそうだったんですけど、一方ですね、このシンポジュームへの参加率が低い。ちょっと寂しいというところがございますが、非常に明るい部会ということで、みんな前向きにがんばっておるという部会でございます。

 市場概況ということでございますが、まず小売市場全体は2016年以降緩やかな回復基調が継続しております。ただし、一般のスーパーは落ちております。対前年、18年度95%になっているというふうに見ております。一方、キャッシュ&キャリー、これは本来業務用スーパーからスタートしておるんですけれども、低価格で販売しておると。で、今は一般消費者にも開放しておると。これが対前年で118%ほど伸びていると。そういったことで全体の底上げがなされて、小売市場は伸びているという状況。つまり、流通構造の変化も同時に起きているということでございます。当然、消費者は低価格志向がさらに強まっている、プラス、品質へのこだわりというのもさらに強くなってきているというのが状況でございます。また外食市場については、対前年で108%程度ということで、安定的な成長が続いているというふうに見ております。はい、お願いします。

 続きましてセグメント別会員企業状況ということでございますが、まず最初に、やはり18年度、食品部会の企業もトラックストライキの影響が大きく出ました。ただ、リカバリーをですね、各企業とも非常に迅速に努力をしたということ。また、メーカーでございますので、為替変動、原料輸入、あるいは、業態によっては国内販売、あるいは輸出といったことで、為替影響がですね、ポジ、ネガ双方に期を追うごとに出ているという状況でございます。また、大統領選後はですね、市場が新政権を好意的に受け止めて、消費も好転しつつあるというふうに見ております。

 それでは、主な企業状況ということでございますが、調味料、これ弊社でございますけれども、こちらの方の市場は先程申し上げた通り、活動状況としましては主要商品でシェアアップというのが図れてきているという状況でございます。

 次にしょうゆ、これキッコーマンさんですけれども、やはり輸入しょうゆは輸入コスト等に加え流通マージン、ご存知のようにこの国は非常に高い。で、現地メーカーとの価格差から厳しい競争が続いていると。ただし、右側にございますけれども、新たな手をキッコーマンさんもどんどん打って、始めてきていると。これは後ほどご紹介させていただきたいと思います。

 酒類。こちらもですね、こちら東麒麟さんですけれども、市場としてはやはり低価格志向と。じゃあそこにどう手を打っていくのかというのが去年の課題でしたけれども、18年度、具体的な手を打って、19年度につながる対応が東麒麟さん取られていますので、これも後ほどご紹介したいと思います。

 コーヒーにつきましては、これは三井アリメントスさんとイグアスコーヒーさんでございますけれども、コーヒーについては豊作による生豆価格下落により競争は激化も、国内市場は103%で拡大。輸出インスタントコーヒーも国際競争力を維持といったような状況の中で、それぞれ、18年度、あるいは将来に向けての工夫をされていますので、後ほどこれも紹介させていただこうと思います。

 即席めん、これ日清さんですね。総需要はやはり、キャッシュ&キャリーですね、全体を押し上げていると。18年度すばらしいのは、金額シェアで過去最高を更新中と。これ、コミュニケーション戦略も相まってですね、非常に良い効果が出ているということでございます。これも後ほど少し紹介させていただきます。

 食肉のNHフードズん。鶏肉ですね。生産量はトラックストライキ等の影響で調整が行われ、対前年微減という状況でございますが、新たな取り組みをですね、右にございますようにNHフーズさんも取られ始めているということで、攻めの方に移っているという状況でございます。

 乳酸飲料。こちらはヤクルトさんでございますが、ヤクルトさんの商品は独特の商品でございますので、市場として中々捉えられないというか、ヤクルト自体が市場と。とはいえ、似ている商品の競合はあるという中での戦いということでございます。

 香料。食品添加剤等ですね。高砂香料さん等ですけども、前年に比べて好転の兆しということでございます。右にございますように、日系企業のイメージをしっかり活用した戦略を進めていこうという状況でございます。関連業種、こちらにございます通りですね、ありますので、ご覧ください。

 それでは次に、これからのキーワード、市場の今後のポイントを我々なりに分析、整理した内容がこちらでございます。

 一つ目、他の部会でもございましたけれども、景気は回復基調にあり、新大統領就任によってですね、市場は歓迎ムードと。急激な成長はですね、市場、望めません、というふうに見ております。ただし、緩やかな成長が期待できるだろうと。まあそういった中で流通の力関係、構造も変化してきていますので、そこも見逃さずに対応していく必要があるであろうと。

 片カッコ2でありますが、一方、とはいえまだまだ先行きに不透明感が残ることも事実であろうと。為替相場、食品関連の場合、表示規制ですね、の問題、あるいは、どこも一緒ですけど税制、あるいはトラックストライキ等ですね。我々としては、企業として不測の事態に備えたリスク対応は必須であろうということでございます。

 3点目。また消費者のライフサイクルの変化に伴って、消費者自身のニーズが新たに変化してきていると。そして、先程申しましたように、品質へのこだわり、あるいは健康へのこだわりといったことがさらに強くなってきていると。

 大きく3点挙げていますけども、先程も言いましたように、低価格志向の強まり、高付加価値や品質へのこだわり、そしてデジタルツールの普及と多様化が与える影響も非常に大きくなってきているということでございます。

 それでは、ここから副題の「成長への期待、変化への対応」を踏まえて、これからのキーワードはということでございますが、食品部会としては大きく二つに整理させていただきました。一つは、三つの戦い。もう一つは、リスクマネージメントの強化ということでございます。

 一つ目の三つの戦い。三つをどういうふうに選んでいるかといいますと、一つは当然ですけれども競合との戦い。そのためには消費者ニーズの掘り起こし、さらなるですね。スペシャリティ―による差別化。つまり、付加価値をどうつけていけるか。真似されないものをどう作っていけるか。単に商品だけではなくて、サービス等々も含めてですね。そして、低価格志向に対しての価格戦略ということです。単に価格競争に入らない価格戦略といったものをどう作り上げていけるかというのがポイントになってくるだろうと。

 二つ目は、時間との戦い。こちらの方はスピードとタイミングというふうに我々の中では整理しております。一つは製品サービス開発のスピードアップですね。許認可も含めた開発のスピードアップ。事業環境ほんとうに早く変化しますので、変化への迅速な対応をどうできるのかということ。これはスピード。三つ目。成長の機会を逃さないということですね。こちらの方はタイミング。まあ、チャンスが来たら、がばっと掴むということですね。中々、チャンスが来たら、がばっと掴まないと、すっと前を通り過ぎるともう中々掴まえられませんのでね。色んなケースがございますが、成長の機会を逃さないと。

 三つ目は固定概念との戦いと。どうしても我々、過去の成功体験、失敗体験から、知らないうちに固定概念を作っておりますけれども、この変化の激しい中で、どうそれを我々自身が打ち破っていけるかということが大切だろうと。そういった意味では、一つ目は既存ビジネスの強化と革新。そして二つ目は、さらに踏み込んで新たな製品、あるいはサービス、事業ポートフォリオの進化といったことにチャレンジしていく必要があるだろうと、メーカーとしてですね。三つ目。デジタルトランスフォーメーションと書いておりますけども、これから先、もう既に始まっておる訳でございますが、まだどの企業も十分な対応ができていない。あるいはデジタルトランスフォーメーション対応とそれをどう活用するかというレベルにはまだまだこれからというところですので、固定概念を打ち破っていかにこれをですね、メーカーとして取り組んでいくか。逆に言うと、固定概念、特に年を取ってきている人たち、私も含めてなんですけど、頭かたい訳ですよね。デジタルトランスフォーメーションとか言われても、ふんなんて言って。分からないことを限界にしないようにですね、我々リーダーとしてやっていく必要があるだろうということでございます。

 それでは、この三つの戦いに沿ってですね、ちょっと各社の具体的事例をご紹介したいと思います。

 まず一つ目ですけれども、競合との戦いでございますが、これは東麒麟さんの例です。東麒麟さん、清酒で低価格競合品に非常に悩まされていた訳ですけれども、実は東麒麟さん、18年度に低価格帯清酒の大幅なリニューアル、これは競合に価格でミートしつつ、圧倒的な品質差を出していると。価格だけではありませんと。消費者に合わせて低価格は用意したけれども、価格競争にさらに入らないような品質差異というのを作って行ったということであります。そして同時に、これまでの高価格帯、フードサービスも好調ですので、高価格帯の清酒も売れる訳ですね、その両輪で回していくという取り組みでございます。

 しょうゆ、キッコーマンさんの例でございますけれども、こちらも先程ありましたように、輸入、非常にマージンかかる。そして、ブラジルには非常に伝統的なブランドの低価格のしょうゆがある。そしてブラジルの人はその味に慣れているという中で、苦労されておりますけれども、非常に東麒麟さんと似た戦略であります。液体調味料。新コンセプトの現地志向の、価格がミートするもの。しかも差別化ができるもの。ということで、現地の志向に合わせたものを、やっぱり伝統あるしょうゆという一つのコンセプトを乗り越えていくというのは非常にたいへんな訳ですけれども、そこを乗り越えての商品開発。と同時に、写真にございますように、非常においしい、我々にとっておいしい新鮮な、常にですね、しょうゆも、これも高価格ですけれども、両輪で回していくということでございます。

 これ、競合との戦いでご紹介させていただいておりますけども、ある意味では固定概念との戦いといったようなこともあったかと思います。

 あと、キッコーマンさんでいうと、キッコーマングループの中のJFCさんがブラジルに本格参入。事業拡大路線にこれからさらに入っていくということで、食品部会、全面的に応援をしていきたいというふうに思っております。

 競合との戦い。続きましては、コーヒー、三井アリメントスさんの例でございますけれども、グルメコーヒー、カプセルコーヒーの拡充ということで、こちらの方は逆にブラジル人のニーズに合わせて、高品質を重視する製品ラインナップを拡充しているということでございます。

 チョコレート。これハラルドさんですけども、母体の不二製油さんが油の技術をもっていらっしゃると。その技術を使って、ブラジルでのチョコレート市場に新たな商品を展開していこうと。スペシャリティ―ですね。それが、日本ではない、チョコレートピザドッセ、チョコレートのピザですね、そういったチャレンジを始められているということでございます。

 競合との戦い、多いんですけど、ヤクルトさんの例でございます。プロバイオティクス普及の取り組みと。これは競合との違い、商品品質のレベルの違いというのをしっかり敷衍していくと、普及していくという取り組み、そこで差別化を作っていく。これは非常に地道な活動を続けていらっしゃると。ただし継続は力なりと。これを継続していくということでございます。

 食肉、NHフーズさんでございますけれども、ウルグアイに拠点を移すと。ブラジルからですね。南米リソースを集中と。で、欧州および米国の巨大市場に加えて、食料需要が急増するアジア市場に食肉を提供。海外売上の拡大の加速をめざすということでございます。これによって、まあ大胆な判断をされた訳ですけれども、田島社長ですね、こちらの、ウルグアイに引っ越すということに相成りました。田島社長はブラジルの方が好きだそうです。そうなので、食品部会継続して関係を維持していこうということにいたしております。

 次、時間との戦いでちょっと挙げさせていただいておりますのが、これもヤクルトさんの事例でございます。ご存知のように、ヤクルトさんの強みはヤクルトレディですね。これ、IT技術を駆使して、現場情報、売りの情報をタイムリーに電子伝票で集約すると。それによって、動き方を瞬時に決められるという取り組みに入ってらっしゃってきています。こちらは時間との戦い、スピードということでもあるし、過去の固定概念というものを打ち破ってということでもあるかと思います。

 NHフーズさんも、時間との戦いでは、先程他の部会でも出てきましたけれども、商品の登録ですね。発売の期間をどう短くできるかといった取り組みをしている。

 次は弊社なんですけれども、あまりにも環境変化が激しいし、リスクが多い訳なので、これは何とかせないかんというので、New Action Planという簡単な仕組みを、私自身が作っちゃいました。社内で。何をやっているかといいますと、常に課題、常にリスクというのを、常に洗い出している。各部門がですね。それを常に統合して早く手を打っていくという、最初はうまくいきませんでしたけども、何とか機能するようになってきたということで、ちょっと僭越ながら入れさせていただいております。

 最後、固定概念との戦いでございますけれども、これはイグアスコーヒーさんの例でございますが、IT技術を活用した製造メンテナンス管理等の強化によるさらなる製造効率の向上ということで、ここでもデジタル活用というのが始まる、さらに強化していく。AIの活用も含めてですね、さらに進化がこれからされていくということでございます。

 固定概念との戦い、味の素ですが、アミノバイタルというのを売っておりますけれども、ちょっと、高いんですよね、あれ。で、粉体なので、日本人にはいいんですけど、ブラジルの方にちょっと飲みにくいとかね。アミノバイタルは粉体だと思い込んでいる訳ですね、勝手に企業として。だから、粉体にこだわらないぞと。そこは固定概念を破るぞと。e-Commerceだけで売っていたんですけど、まあ一部PLゴルフ場とかありますけども、やっぱり一般のスーパーにも置こうと。ポンジアスーカル10店選んで、交渉して、これ食品部の方がアミノ酸部じゃなくてやっている訳ですね。で、10店に入りましたと。1週間置きましたと。ある店、4個売れましたと。でもポスデータ見たら、売れているのは本当は2個なんですね。2箱なんです。要は2箱万引きにあっている訳ですね。まあ、これをどう見るかと。やっぱり、ポテンシャルはあるんじゃないかと。でもちょっと高いぞということなので、現地生産に向けたスタディを加速しています。これは、コマーシャルですけどね。19年度中には半額ぐらいの価格で皆さんにご提供できるようにがんばりますので、ぜひお使いください。

 固定概念との戦い、最後、これは日清さんの素晴らしい例です。一つはですね、即席めん業界のスペックと相いれない乾麺の、規制ですね、重量規制みたいなのにあっていた訳ですね。これ、今までは受け身でそれに合わせるパターンが多かった訳ですけども、自らロビー活動を展開。で、スープを含む即席めんですね、ラーメンはその規定の対象外にすると。だから重量も非常にフリーに販売できるようなことができて、この業界には貢献しているというのが一点。

 もう一点、今日ぜひご紹介したいのがですね、新たなコミュニケーション戦略です。Youtube、Facebookを活用したユニークなコミュニケーション戦略を構築。これ、シリーズになっているんですけども、ブラジル人消費者に対して、これからもお好きなようにラーメンを調理してください、こういう調理の仕方しかないんですよではなくて。ブラジルの消費者の方の味覚は非常にレベルが高いということと、あともう一つは、やっぱりブラジルの皆さんは非常にですね、ユーモアを解する方々だと。そこにジャストミートして、YoutubeやFacebookを活用したコミュニケ-ション戦略を展開されているということでございます。

 これ、懐かしい写真でございますが、日本放送系だったと思いますけど、欽ちゃんが司会をやっているスター誕生、日曜日にやっていたと思うんですけどね。これ若い方はご存知ないと思います。これ、私が中学校のころ、青春時代ですよね、毎週楽しみに観ていましたね。野口総領事も昔ご覧になっていました?スタ誕ですね、そうですね。色んなスターが誕生いたしましたよね。やっぱり野口総領事もご覧になっていたと。平田事務総長はちょっと年代が上ですよね。そうですね。失礼しました。まあ、この前は映画からスターが出ていた訳ですね。そして、スター誕生に代表されるようにテレビからどんどんスターが出て行ったと。テレビの時代ということですね、当時。そして今は、ということで、これが日清の浅野社長です。これ、Youtube、Facebook、SNSですね、デジタルです。これ、製作費はですね、正直にはおっしゃっていただけませんでしたけども、ものすごく安い値段で作ったそうです。そして、Youtube、Facebookで、2月の最近の時点で1500万回の動画再生が記録されています。さらに伸びています。

 これ、たぶんこの中でもご覧になった方いらっしゃるんじゃないかと思うんですけども、ご覧になった方ちょっと手を挙げていただいてよろしいですか。ありがとうございます。野口総領事ご覧になっていますか。若い方の方が多いのかと思ったらそうでもないんですね。すばらしいですね。1500万回、さらに伸びています。私、一応調べてまいりました。1500万回がどのぐらいの意味を持つのか。正確には僕の部下が調べたわけですけども、例えば、2年前に大ヒットした「君の名は」という映画。これは日本だけでなくて世界中、特に人口の多い中国で爆発的にヒットした「君の名は」という映画、ご存知ですよね、皆さん。私も日本出張の時5、6回観ましたけども。これの予告の動画再生が1600万回。もうすぐこれを、浅野さん抜きます。ちなみにですね、もうちょっと感覚的に、人気がある歌手で、歌で再生されている、調べました。氷川きよしの「きよしのずんどこ節」。150万回。もうめじゃないわけですね。あとはですね、ちょっと前にはやったピコ太郎の一番再生された動画が1.3億回。まだ開きがあるんですね。ただ、日清さん、これからシリーズでやりますので、2、3年後にはこれも抜くかもしれません。ということで、食品部会の中では浅野さんのことをザ・スターと呼ばせていただいておりまして、この前の懇親会の時にですね、浅野さんの隣に座って、ザ・スターとか言ったら、いや黒崎さん、たいへんなんですよと。PL行ったらキャディさんが全員私のことを知っているんです。私、ブラジル中でどうも面が割れているようです。やっぱり身の安全を守らなきゃいけませんからね。注意してください、ということで、リスクマネージメントも大切よということを確認しあった次第でございます。

 で、リスクなんですけれども、リスクマネージメントの強化もセットだよということでございます。一つは為替変動リスク。為替感度をしっかり見て、一喜一憂、どうしてもしちゃんですけど、できるだけしないように。為替が振れて利益が変わる訳ですけれども、うまく行っているのか行っていないのか、為替感度をしっかり見ておかないと評価を間違ってしまいますので、ぜひそういったことを我々していこうと。

 あとブラジル特有のリスクですね。こちらにあるようなリスクでございますけども、こちらの方は食品部会で勉強会を開いて、勉強していこうじゃないかということでございます。

 3番目。将来的な環境変化へのリスク対応ということでございます。これは基礎体力の強化、他の部会でも発表、同じ内容ございましたけれども、我々もこれが必要だろうと。それは、やはりメーカーですので、現場での創意工夫でのコストダウンということもございますし、やはりキャッシュマネジメントの強化ということが今後非常に重要と。PLだけではなくて、BSキャッシュフロー、そして全バリューチェーンで何が我々できるかといったような取り組みをさらに強化していくということかと考えております。

 事業運営、事業を成長させる事業マネジメントと、リスクマネジメントは、別物ではなくて、表裏一体でやっていかないと、どこかでつまずくだろうというのが我々の考えで、リスクマネジメントの強化ということでございます。

 最後に、食品部会、Team Japanとしてがんばっていこうと。企業の垣根を超えた積極的な交流、これは食品部会にとどまらず、他部会ともということです。そして、互いの強みを生かした協業、アライアンスみたいなことですね、ができないか、これからちょっと模索していきたいね、という話になっております。我々の事業を通じてブラジル社会、消費者への貢献、を通じてさらに成長と。で、リスクに十分に備えながら成長の機会を逃さずチャレンジしていこうということでございます。ご清聴ありがとうございました。

 

司会

 黒崎部会長、どうもありがとうございました。前回三つの戦いという言葉が出てきて、今回さらに、非常にバージョンアップしてですね、具体的な取り組み事例、そしてYoutubeの話も出てきて、非常に参考になったかと思います。ただ今の発表につきましてご質問のある方、いかがでしょうか。挙手をお願いします。よろしいでしょうか。はい。それでは食品部会の発表は以上とさせていただきます。どうもありがとうございました。

 それでは、続きまして運輸サービス部会の発表に移りたいと思います。吉田部会長、よろしくお願いいたします。

 

運輸サービス部会

吉田信吾 部会長

 それでは運輸サービス部会の説明の方に入らせていただきます。NYKの吉田と申します。よろしくお願いいたします。

 当部会なんですけれども、物流、航空貨物、海運、航空旅客、旅行・ホテル、そして通信ITと、6つの細かいセグメントに分かれております。それぞれのセグメントについて、18年のレビューと、19年の展望についてご説明させていただいた後でですね、「成長への期待、変化への対応」というテーマについてですね、改めて業界まとめてご説明させていただきたいというふうに思います。

 まず、一つ目のセグメントであります物流なんですけれども、皆様の認識している物流という言葉とですね、業界内の物流、あるいは物流業界という意味はですね、若干意味が異なるかもしれないので、ちょっと補足説明させていただくと、物が動くものを全て物流というふうに理解されている方もいらっしゃるかもしれませんが、ここで言う物流というのは、主にBtoB、かつDoor to Doorのビジネスを営む、主にフォワーダー業、通関とか倉庫業といったものを含むフォワーダー業のサービスのことを指しております。

 この業界の18年の回顧でございますが、最大のトピックはですね、やはりトラック運転手のストライキというところかと考えております。特にですね、業界として採り上げたいのはですね、ストライキそのものというより、このストライキによって顕在化した物流インフラの脆弱さだというふうに考えてございます。ストライキで停滞した貨物がですね、港湾に多くたまり、そして動き出した時にですね、その荷物、大量の貨物をさばききれなかったこと。いわゆる港湾ターミナルのキャパシティの問題。それとですね、その滞ったことから、緊急性が増して空港に流れた貨物が、また今度は空港で停滞してしまったという、この問題が非常に大きかったのではないかというふうに考えております。ここにあります写真、これはカンピーナスのビラコポス空港の混雑状況を撮影したものでございます。それを踏まえてですね、2019年の展望の方に移りたいと思います。

 まずですね、一般的な話を申し上げますと、2019年は経済の伸長とともに輸出入の貨物ともに増加するというふうに期待しております。加えまして、ブラジルの方もe-Commerceが年々盛んになってきておりまして、いま規模は2兆円程度の規模なんですけども、さらに拡大していくということで、自然増でいくとですね、中々ここで期待できるというところでございます。ここでですね、期待されるのが、やはり、先程2018年の回顧で触れました空港・港湾のインフラの一層の整備ということになります。ここは非常にブラジル政府頼みになるところが大きいんですけれども、ここ数年のインフラ投資ですね。空港・港湾といったところへのインフラ投資のトレンドを見てみると、実は2014年をピークにですね、右肩下がりとなっているというところでございます。ここでですね、新政権に替わりまして、これがどう動くかというのが我々の注目事項でございます。

 すみません、ちょっと昨日気づいたので、資料を代えられなかったんですけども、この数字が3桁間違っていまして、これ、80kビリオンというと日本円で日本の国家予算並みになってしまうんですけども、これはkを除いてですね、2018年でいいますと27.8、28ビリオンレアイスということで、日本円で約8000億円ぐらいですね。それぐらいの投資であったということでございます。

 ストライキというのは非常に我々懸念事項ではございますけれども、まあ明るい話題といたしましては、昨年から始まっておりますPortal Unico。これ、昨年は輸出ブロックの方が稼働開始したんですけれども、今年はいよいよ輸入のところが、輸入ブロックの方、DU-IMPというのが始まり、これによってですね、プロセスが大幅に改善されるということが期待されます。

 あとですね、海上貨物につきまして、一つ、これ2020年の話なんですけれども、SOx規制というのが始まりまして、これがどういうふうに動くかと。おそらく2019年の後半ぐらいから具体的な事が分かってくると思いますので、ここも我々としては注視していかなければいけないと。お客さんにもかかわってくる非常に大きなポイントだと考えております。

 続きまして、海運業界の方に移ります。コンテナとドライバルク、それと自動車船という三つの切り口でご説明させていただきます。まずコンテナはですね、これは基本的には景気連動産業でございまして、2018年はですね、割と堅調に動いたというところでございます。ドライバルクにつきましてもですね、比較的堅調に推移していたんですけれども、年末にですね、ちょっと中国の景気の方が減速して、軟化傾向にあるという今の状況でございます。自動車船。ここは先程も説明がありましたけれども、アルゼンチンの経済危機というのを原因にしてですね、第3四半期から大幅に減っているというような状況でございます。

 2019年の展望ですけれども、コンテナ船はですね、まあ先程も色々なご説明がございましたけれども、中国経済の減速ですとか、米中貿易戦争の行方とかですね、Brexit等々の不安定な要素はあるのですけど、GDPの成長に連動してこの業界も伸びていくのではないかという割と楽観的な見通しを持っております。ドライバルクにつきましてはですね、これはもう完全に中国の景気次第という非常に相関関係が高いものなんですけども、加えましてですね、先日起きましたブラジルの鉱業ダムの決壊によって生産そのものが減ってしまうのではないかというところがいま気になっているところです。また、経済が上向けばですね、ブラジルのレアルは強くなりますので、それが結果として一次産品の価格を押し上げて、競争力を下げるというところは懸念されるところかというふうに思います。

 航空貨物の方でございます。航空貨物、世界的に割と堅調に伸びている業界でございます。全世界で3.5%ぐらい伸びたんですけれども、南米の方はさらに伸びが大きくてですね、北米-南米、この縦に南北を結ぶ航空貨物に関しては5.4%ということで、世界の平均の成長率よりも大きかった。加えましてですね、量は少ないんですけれども、南米間ですね、ブラジル-コロンビアだとか、ブラジル-チリといったところというのは10%伸びていると。これ、ひとつの原因はですね、ストライキによる反動というところはあるのですけれども、一方で自然増のところもあってですね、ここは非常に手堅く2018年は伸びたというところでございます。

 2019年の展望につきましても、引き続き好調であろうと。全世界的にも18年並みの伸びが期待されているというところでございます。また、ブラジルについてはですね、米中貿易摩擦によるプラスの効果があるというちょっと期待もしているというようなところです。全体的に、ブラジルの航空貨物はですね、調子は良いのですけれども、マイナス要因としてはですね、やはり輸出入のインバランスがですね、非常に大きいと。要は入って来る貨物の方が多くて、中々出ていくものが少ないというところでですね、価格にそれが反映されてしまうと。まあ我々業界として期待するところはですね、航空貨物というのは元々運賃負担力のある、高付加価値のものを運ぶための手段になりますので、ブラジル発のそういった高付加価値の競争力のあるものがですね、ブラジルから出てくるというところに期待したいというふうに考えております。

 航空旅客の方に移ります。2018年の回顧ですけれども、実は国内線、国際線ともにですね、数も増えて売上も増えていると。ただ、国際線の方に注目していただきたいんですけれども、実はですね、売上を使用者数で割った単価は実は下がっていると。ここに航空旅客の中々苦しい現状が見て取れます。すなわちですね、非常に競争が厳しいと。コストは皆さんご存知の通り年々上がる中でですね、国際競争、中東勢ですね、中東勢なども入ってきて非常に、売上の方は頭打ちになっている中でですね、非常に厳しい競争を強いられていると。それが証拠にですね、昨年の12月にAvianca、これはAviancaのブラジル法人になるんですけれども、ここが民事再生法を申請したりですとか、あるいはリオの駐在員の方が割と頻繁に使われていると聞いているんですけれども、リオ-NY間のアメリカン、これが撤退してしまったというあたりでですね、非常に、あまり景気の良い話が聞こえてこないというようなところでですね、中々解決の糸口が見えてこないというふうに聞いております。

 2019年の展望といたしましてはですね、ちょっと悲しいかな、航空会社のLCC化が進むというようなことを言われております。すなわちですね、コストも下げられない、料金も上げられない中でですね、料金を細分化して、安い運賃で乗られるお客様に対してはですね、荷物代を取ったりですとか、座席指定、これは元々はただだったんですが、そういったものを取って生き残りを模索していくような状況になっているというところでございます。

 旅行・ホテル業界。ここ、ちょっとですね、航空の話が、前の資料とは母集団が全然違うんですけれども、大体傾向としては同じですね。国内線は発券枚数も売上高も単価も全部上がっているという状況。国際線については、発券数と売上高は上がっているけれども、単価については下がっているというような状況でございます。ここで注目すべきはですね、三つ目のホテルのところでございまして、稼働率、平均宿泊費、ともに実は上がっております。当然売上高の方も上がっている訳なんですけれども、割とずっと辛い状況だったホテル業界にひとつ光が差してきたというような感じがしております。あと、この業界に属します旅行代理店の方からもですね、色々コメントをいただいているんですけれども、中々、特に日系のですね、代理店さん、10数社の旅行代理店に関しましてはですね、狭い日系マーケットというところでですね、非常につばぜり合いをしているような状況が続いてですね、中々厳しい状況にあるという状況だと、これが続いているというふうに聞いております。

 この業界の2019年の展望でございますが、一つ我々として希望を持っているのがですね、ボルソナロの新政権の優先課題の一つに観光促進があるというふうに聞いているところでございます。具体的にどのような施策が出されるのかというところまではまだ分かっていないのですけれども、一説によればですね、日本人に対して観光ビザの免除の検討をしているというような話も聞こえておりまして、こういう話があるとですね、少し日本からのお客さんなんかについても起爆剤になるのではないかというところを期待しております。また、ブラジル発の観光に関して言えば、景気が良くなればですね、ドル安レアル高というところが進みますので、それによってですね、海外への旅行者も増えてくるのではないかという期待をしているというところでございます。

 ここでですね、がらっと変わりまして、通信IT業界の方のご説明をさせていただきます。通信ITにつきましては、さらにですね、モバイル業界、それと通信業界と分けてご説明させていただきたいと思います。SIMカードのキャリア間接続料の値下げによって、二つあったSIMを一つにしたりするというようなこともあって、数字だけを見るとですね、前年比3%と、携帯電話契約数が前年比マイナス3%となっているんですけれども、実質的にはそういったSIMの一本化みたいのがありますので、実際は堅調に伸びておりましてですね、普及率も現在110%と、かなり高い水準にございます。性能の方に関しましてもですね、2G、3Gから、どんどん4Gの方にですね、移行して、マーケットとしては緩やかに成長しているというふうに認識しております。

 この2018年でですね、目立った傾向というのは、今までの、いわゆる携帯電話というよりはですね、IOTの契約者が飛躍的に伸びているというところでございまして、2018年の成長率というのはですね、前年比で約21%ということでですね、台数にして約400万の契約が増えたということになります。2017年がこの半分ぐらいだったというので、この成長というのはかなり大きいと言えるかと思います。

 キャリア別のマーケットシェアにつきましては、Vivoが32%、Claro25%、TIM24%、Oi16%というところでございます。

 2019年の展望の方に移ります。今ちょっと我々が業界として注目しているのはですね、LPWAという、低消費電力、そして広範囲のそういうサービス帯なんですけれども、これの認可というものに我々業界としては注目してございます。これ非常に使い勝手の良いサービスになるんですけれども、ブラジルでも2018年初めに認可される予定だったものがですね、遅れていて、今後の進展についても不透明というところです。これが一つ、大きな注目事項でございます。

 もう一つ、5Gですね。5G、これについてもですね、もうそろそろ、本当であれば導入される予定だったんですけれども、これもですね、もう1年ぐらいまた遅れるのではないかというような話になっております。5Gの導入というのは、世界的には2019年から20年ぐらいというふうに言われておりますので、残念ながらですね、ブラジルというのは周回遅れだと言わざるを得ないというふうに考えております。日本の総務省相当でありますAnatelの認可がもう少しすみやかに進むということを今この業界としては願っているというところでございます。

 モバイルは以上でございまして、通信の方にいきますとですね、2018年はだいたい、インターネットユーザーも1000万ユーザー増えて、いま1億5000万というところでございます。この数、絶対数で言えばですね、当然南米では1番なんですけれども、まだ契約率という、人口に占める割合という意味ではまだ下位の方にいるという状況なので、言い換えればまだここに成長の余地があるというところかと思います。この業界の注目すべき点はですね、割と大手3社、NET、Vivo、Oiがですね、メジャーな会社なんですけれども、これを足しても70%ぐらいで、他の中小が非常にシェアを伸ばしているという傾向が見て取れます。2019年の展望ですが、光ファイバー網エリア拡大や、通信品質の改善というのが期待されているというところですね。

 今のモバイル、通信、総括いたしましてですね、IT業界全体として見ますと、2018年、非常に多くの企業がビジネス成長をしましたと。老朽化の設備の更改ですとか、クラウドサービスの利用ですとか、セキュリティの導入といったところでですね、大きな成長を見せたと。こういった中で見えてきた課題というのは、ITの進歩の激しい中でですね、それをコントロールできる人材、ITエンジニアの確保。それとインフラですね。高品質、広帯域の通信回線の確保というのが課題となって、それがまさに2019年の我々が取り組んでいかなければいけない課題だというふうに考えております。

 以上を踏まえましてですね、テーマの方に移らせていただきたいというふうに思います。これも6業界、ちょっとセグメントごとにご説明させていただきます。

 まず物流につきましては、非常に自然体で、経済の成長とeコマースの拡大というところで成長が見込まれる一方でですね、インフラの脆弱さが露呈し、また政治改革への反発に伴うストライキというのが懸念されるというところでございます。対応といたしましては、まずは、他力本願なんですけども、ブラジル物流インフラの拡充という所に期待したいと思います。そのためにはですね、ボルソナロ政権の政権運営の方に期待したいというふうに考えております。あと、Portal Unicoですね。先程申し上げた、輸入ブロックのですね、導入というものが、早く、そしていい形でですね、導入されることを我々としては願っているというところでございます。

 海運につきましては、まずコンテナなんですけれども、ここは純粋にコンテナの貨物は増えていくと考えております。その中で我々がすべきこと、日系キャリアとしての強み発揮というところなんですけど、元々日系キャリアはですね、日本のメーカーさんの海外進展とともに歩んできた歴史がございます。いまコンテナというものがどんどんコモディティと化している中でですね、我々はいわゆる、現地の工場にジャストインタイムで届けるという使命感を持っておりますので、それを強みとしてですね、日系企業さんと一緒にここは成長していくチャンスだというふうに考えております。

 自動車輸送はですね、輸入は今後、経済が良くなれば輸入は増えるんですけれども、まあアルゼンチンのショックのようなことがありまして、輸出が下がっていくという事態が想定される中で、ここは臨機応変に、サービスを改編しながら生き延びていくということかと思います。

 バルクにつきましては、これはもう完全に中国の経済次第というふうに考えております。

 航空貨物。これはですね、引き続き成長が継続されるというふうに考えておりますし、米中貿易摩擦による漁夫の利を得るというところもちょっと実は期待しております。その中で、輸出入のインバランスによる運賃の上昇を懸念しているというところでございます。まあ我々の願いとしては、アウトバウンド貨物のですね、これは非常に業界の思いなんですけども、運賃負担力の高い工業製品、こういうものがですね、ブラジルで作られていくことに期待しているというようなところでございます。

 航空旅客はですね、先程申し上げましたように非常に厳しい状況が続いておりますので、この景気回復によってですね、好循環、ポジティブスパイラルの方に変わるということを、今我々としては期待しております。景気が回復して、航空機需要が増え、便の消席率が上がってですね、単価増、というところをですね、考えております。一方、日系キャリアとしてはですね、戦略の絞り込みを行っていまして、高単価の顧客層への高品質サービスの提供ということで、例えば現地通貨決済の自社カードを開発したりだとか、現地で購入可能な自社ウェブを開発したりとかいう方向に今舵を切っているというところでございます。

 旅行・ホテルもですね、2019年は比較的明るい見通しを持っているんですけども、ドル安レアル高による海外旅行者増と販売の成長というところを期待しているんですけれども、こういう時こそですね、ホテルに関しては設備投資。やはり、例えばリオなんかではかなり老朽化の激しいホテルが多いですから、そういったところでですね、もっとちゃんと設備投資をしていくチャンスと捉えると。代理店につきましては引き続き厳しい競争はあるのですけれども、お客様のニーズにかなった商品の提供と、そのための豊富な知識、経験の獲得というのをしていかなければいけないというふうに考えております。

 最後ですね、IT通信。ここはIOT分野の成長というのが2019年としては考えられております。それに限らずですね、色々なところでの成長が見込まれますことから、まずはレベルの高いITエンジニアを確保すること、それと高品質かつ広帯域の通信回線を確保するというところが課題になってくるんだろうというふうに考えています。

 ちょっと業界のセグメントが細かく分かれておりまして、全体としてちょっと総花的な資料になってしまったんですけれども、何か皆様のお役に立てれば幸いでございます。以上でございます。ご清聴ありがとうございました。

 

司会

 吉田部会長、たいへん多岐にわたる分野でございますけれども、非常に成長への期待、変化への対応というテーマにつきまして、非常に分かりやすく簡潔に取りまとめて発表いただきまして、どうもありがとうございました。ただ今の発表につきましてご質問のある方、挙手をお願いできればと思いますが、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。それでは運輸サービス部会の発表は以上とさせていただきます。吉田部会長、どうもありがとうございました。

 それでは最後の発表となります。生活産業部会の発表となります。今川部会長より発表いただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

 

生活産業部会

今川尚彦 部会長

 ブラジル戸田建設の今川です。本日大トリの発表をさせていただきます。非常に長時間のこの会議、最後、皆さんお疲れでしょうけれども、最後まで辛抱してですね、聞いていただけたらと思います。

 今年1月末に、建設不動産部会と繊維部会が合併しまして、新しく生活産業部会が発足しました。部会長を務める事になりました。どうぞよろしくお願いいたします。生活産業という名の部会ですが、建設不動産業界と繊維業界の接点を見出すことはたやすいことではなく、本日の発表は旧両部会の発表内容をあわせたものとなりますので、ご了承ください。

 まずは建設不動産業界の概況、繊維業界の概況、最後に生活産業部会の紹介をさせていただきたいと思います。

 それでは建設不動産市場の概況についてご報告します。ご覧のグラフは、2010年から今年の予測まで、10年間のGDP成長率の推移を示したものです。グレーが全体のGDP成長率、オレンジが建設、青が不動産となっています。中央銀行が2月15日に発表しました2018年のGDP成長率は1.15%でした。本日発表された数字は1.1%となっております。年初は2.4%程度が見込まれていましたが、5月のトラック運転手のストライキ、長引く政情不安等で下期にかけて減速。直近予測の1.3%も下回る結果となっております。2019年の予測としましては、新政権が推し進める年金制度改革等が成功すれば、2.5%程度の成長が見込まれるとされています。

 不動産は、昨年と今年のデータがございませんが、2017年までの動きは全体とほぼ一致した成長率を示しております。一方、建設は2014年から5年間に累計21%減退をしております。全体がプラスに転じた2017年以降もマイナス成長が続いております。2018年はマイナス2.6%前後でしたが、今年は何とか1.3%程度の成長が予測をされております。

 建設市場は他産業同様、2014年下期から不況に見舞われましたが、主要建材の生産量を見ればその落ち込みぶりがはっきり分かります。ご覧のグラフはブラジル地理統計院が実施している工業生産調査における、セメントの消費量と、鉄板コイルの生産量です。建設市況の指標となるセメントと鉄板コイルの生産量は、リセッション前の2012年を100とすると、2018年まで約7割程度まで落ちております。

 建設業界はどの国においても不況のあおりをまともに受け、回復も他産業より遅れるのが通例です。先程金属部会様からの発表にもございましたけれども、2020年以降の回復というふうになると思っております。ブラジルの現状は、2017年まで続いた景気低迷に加え、公共工事の大幅な減少と政界汚職事件が大きく影響しております。公共工事は過去の財政失策と、景気低迷に伴う歳入減で大幅に削減され、いまだに再開のめどが立っていません。

 次に建設コストの変動について説明いたします。年々確実に発生するインフレにより、建設コストも上昇しております。その中で特異なのは、人件費の上昇です。グラフは2007年から2018年までの建設コストに対する人件費と材料費の比率の変化を表したものです。2014年にリセッションが始まり、建設業界が低迷しているにもかかわらず、人件費は年々上がり、不況にあえぐ建設業界をさらに圧迫する一因となっております。

 次に、建設就業者の数について見てみます。上のグラフはブラジルの全体失業率です。直近の調査では、昨年第4四半期が11.6%となっておりました。最もひどかった1年前の13.7%からは2%の減で、改善はしつつあるものの、あいかわらず高止まりが続いています。下のグラフは建設就業者数の増減を表したものです。建設部門は2014年以降、正規雇用者を減らす一方で、過去4年間の離職者数は累計100万人に上っております。昨年は5年ぶりに増に転じましたが、1万7000人にとどまっており、ここ数年間で大幅に減少した建設就業者数の回復にはまだまだ程遠い状況でございます。

 次に不動産市場について報告いたします。2015年、16年と低迷したものの、持ち直しをしてきております。これを後押しするのがマイホームの購入です。政策金利は昨年2月に6.5%まで下がり、1年間変動をしておりません。過去2年間はインフレも低く、持ち家購入の動機となっております。グラフは2015年から18年の退職金積み立て制度、FGTSと、連邦貯蓄銀行の不動産融資の申込件数と総額です。FGTSの方は変動幅が小さいですが、連邦貯蓄銀行のSBPEは2016年、17年と落ち込んだものの、2018年、昨年は大きく増えております。

 上のグラフは、2017年1月から昨年9月までの全国の新築マンション販売と制約の累積件数。下のグラフは同期間の市場供給数です。上のグラフの通り、発売、制約ともに伸びているため、下のグラフの市場供給数は減り、近年目立っていた売れ残りマンションの数が減って、供給バランスが改善されてきていると言えます。

 次にマンションの平均価格についてですが、昨年第3四半期までの直近15ヶ月の上昇率を見てみますと、2017年3月を基準とした際に2%から7%の上昇率で推移しております。昨年7月以降は全国建設コスト指数、INCCを下回り、最近は約2年前の価格水準となっています。平均価格は地域によりばらつきがありますが、全国平均では平米あたり6123レアルでありました。

 次に賃料の推移を見てみます。FIPEZAPの統計はオーナーの取引希望価格をまとめたものであり、実際の賃料とは若干違いますが、分かりやすく賃料として今回説明をさせていただきます。先程のマンションの平均価格同様、賃料はここ1年間は2%程度の上昇率で推移しており、総合物価指数と比べても低い水準です。今年に入ってからも、ほぼ動きがなく、この傾向は当面は続くと見られています。

 以上、簡単ですが、建設不動産部門の概況を報告させていただきました。続いて、旧繊維部会からいただいた繊維業界の傾向を報告いたします。

 2018年は紡績の主原料である原綿が急激に高騰し、繊維業界、そして紡績業界を直撃いたしました。いまだに原綿のポジションは厳しいものがあります。それに対してこれからどうするかということですが、相場に左右されない定番商品からの脱却と競争力の強化、より強固な企業体質づくりを行う必要があります。このたびは全社の相場商品からの脱却についてご紹介いたします。

 ブラジルの繊維業界は、Tシャツをはじめとする丸編みが40~50万トンの糸を1年間で消費をしております。デニム関係が20万トン、タオルが10万~15万トン、その他10万~20万トンとなっております。あわせて約100万トンの市場ですが、ここに上位数%のプレミアムな市場を形成、創造したい、そう考えております。本日は、デコラソンという、生活に密着した、そしてやすらぎを与えるソファーやカーテンの市場に対してのプレミアムな開発を紹介いたします。

 こちらは、今年1月にフランクフルトで開催されたハイムテキスタイル展です。多くの情報をここで収集し、開発につなげ、お客様への情報提供を行います。こちらの赤枠に注目してみます。こちらを拡大しますと、生地のカラーと外観、形状のサンプルとなっております。そして、サンプル群の中でも赤色のこの生地に注目してみますと、生地の表面の凹凸感等がございますが、これを研究して、下のような新しい、このような糸の形を考え出して開発していくということになります。同様に、このカーテンについても、細かくクローズアップしてみますと、繊維の業界ではロングスラブと言っておりますが、この形状を参考に新商品開発を行ってまいります。そして、唯一無二の商品でプレミアムゾーンを形成したい、市場に新しい価値を提供したいと考えております。

 最後に、情報提供の一環としまして、今の注目カラーをご紹介いたします。現在の注目カラーはピンク系とグリーン系になっております。先程のイベントにおいても、例えばソファーとかカーテンですね、ピンクやグリーンでリビングのカラー構成を提案するブースもたくさんございます。一方で、確かにこれらのカラーは存在しますが、摩訶不思議な部分もございます。このように、日本では至極当然の活動をこのブラジルでも行い、プレミアムな生活環境のご提供につながればと考える次第です。

 最後に、まあ今年からですね、新しい生活産業部会というものができまして、この生活産業部会の今後の取り組みについて少し紹介させていただきます。

 旧建設不動産部会と旧繊維部会が統合ということでも、中々その接点というのは見つけることが難しくて、我々部会会員もですね、非常にまだとまどっている状況です。しかし、生活産業という言葉に注目すれば、新たな視点での展開が可能になるのではないかと思っております。

 これは、経済産業省の、子供向けのホームページです。皆さんちょっと頭が疲れていると思いますので、この簡単なやつで行きたいと思います。生活産業とは、人間が快適に、便利で、安心して、楽しく暮らすこと、全てに関わる複合産業となります。その中でも一般的には、衣食住および環境、娯楽などにおいて、一般消費者を顧客対象とするビジネスを指しております。製品で言えば、私たちの日々の生活に密接に関係する製品全てとなります。経済産業省の定義では、繊維、アパレル、服飾品、住宅、建材、住宅設備、家具、インテリア、生活、スポーツ用品、伝統的工芸品等とされています。この中の繊維、アパレル、服飾品は旧繊維部会に深く関わっております。住宅、建材、住宅設備は旧建設不動産部会に直結をしております。しかし、それだけでは全体を網羅しているとは言えません。生活産業は、業種を横断して、私たちの生活の質の向上をもたらす重要な複合産業です。繊維と建設不動産だけで生活産業部会を構成するよりも、多くの関連企業に広く参加していただくことで充実した部会になると考えております。

 我々は活動方針としまして、会議所内会員ならびに、関連業界への有用な情報の発信を掲げております。特化した業種にとらわれず、幅広く全体を見渡せる部会として存在し、情報を共有していきたいと思っております。情報交換会や勉強会も予定しており、関心のある方には広く開いていきたいと考えております。もちろん、懇親会やゴルフコンペも予定をしております。

 現在、商工会議所事務局でも、その他の部会の再編成を考えられております。主要部会員のみならずですね、準部会員でもオブザーバーの参加でも結構です。この機会にぜひ入会をご検討いただければと思っております。以上で発表を終わります。長らくのご清聴ありがとうございました。

 

司会

 今川部会長、どうもありがとうございました。ただ今の発表につきまして、ご質問のある方、挙手を。お願いいたします。マイクをお願いします。

 

発言者

 疲れているところ質問してごめんね。だけど、ちょっと本当に疑問に思ったのが、あれだけ失業率が高いのに、なんで人件費が高くなっているの。というのが、正直言って、他の業界みんなね、再ネゴしちゃっているんだよね。もうお前たちの給料高すぎて払えないから、今後続けるためには給料下げるしかないと。今回GMもそれをやっているんだよね。だからそういったところで、御社の業界だけがなんでこんなことができるのかなと、ちょっと不思議なもので、すみません。

 

今川部会長

 ご質問ありがとうございます。我々というか、建設業界についてですけれども、非常に、作業員とかですね、人手というのが非常にかかっております。で、我々、当然、弊社の社員だけのみならず、現場には色んな協力会社のスタッフがいたり、作業員がいるんですけれども、彼らは組合に守られておりまして、毎年、業績に関係なくですね、給料が上がっていきます。ですので、弊社のスタッフを入れ替えてもですね、中々、建設コスト全体のコストとしては上がっていくと。ですので、先程もちょっと説明しましたように、ここ数年間で、元々は材料費の方が高い比率を示していたんですけれども、今は逆転しまして、建設費にかかる人件費の方がウェイトを占めているというのが現状です。まあこれはブラジルの法に守られた労働者保護の形が表れているのかなと思っています。

 

司会

 はい。他に質問ございますでしょうか。いかがでしょうか。はい。それでは生活産業部会の発表は以上とさせていただきます。今川部会長、どうもありがとうございました。

 以上で、前半5部会、後半5部会、計10部会の発表を全て終了いたしました。最後に、時間が5分ぐらい余る結果となりましてですね、ちょっと時間はあるんですけれども、今回、2018年の回顧と2019年の展望、そして副題のテーマは「成長への期待、変化への対応」となっており、各部会から様々な発表がなされたかと思います。各業界の景況感としてはですね、やっぱり2019年は18年よりも若干いいのかなというふうな感触がですね、確認できたかと思いますけれども、やはり国内景気にかなり頼っている部分があって、外部環境は必ずしも良くない、不透明なところがあると。あと、アルゼンチンの影響なんかもございますので、予断はできないといったことが挙げられるかと思います。

 まあ、一部業界ではですね、例えばブラジルの社会変化に対応している、例えばヘルスケアですとか、そういったところは底堅くですね、成長が期待できるといったことが言えるかと思います。そうした、中々、リスクへの対応というところも、やっぱり重要になってきますので、そうした中でですね、やはり、発表の中で特に印象的だったのは、利益を生み続ける強固な企業体質といった指摘が挙げられたかと思います。その具体例としてですね、人材投資ですとか、コスト見直し、生産性の向上、教育、そして、例えば営業力の強化ですとか、新商品投入ですとか、それから、デジタル化、イノベーションへの対応とか、そういった課題が挙げられたかと思います。あと、日系としての強みというのもですね、指摘があったかと思います。

 あと、今後の景気のところですけども、かなり年金改革への期待、構造改革の先頭に立つ年金改革への期待、ここの動向がですね、やはり重要視されているなという。まあこれが実現できないとですね、その他の構造改革が中々進んでこないといったところかと思いますので、ちょっとその辺はですね、期待でもあり、リスクでもあるということではないかというふうに考えております。

 あと、発表の中で色々ご要望もいただいておりましてですね、ビジネス環境、特に許認可、8年、10年かかってようやく認可されるとか、そういったところを迅速化、簡素化してほしいとかですね。あと、税制改革。それから、電気電子部会ではですね、欧州・メルコスールEPAに劣後しないことといった要望が挙げられております。また、オリンピックと連携した日本技術展をやったらどうかとかですね、省エネセミナーをやったらどうか、あとチームジャパンへの取り組みとか、そういった具体的な要望とか取り組みが挙げられたかと思います。

 では、本日ですね、特別に出席いただきました在サンパウロ日本総領事館の野口総領事に、本日の各部会の発表につきましてですね、講評、コメントをいただければと思います。それでは野口総領事、よろしくお願いいたします。

 

講評

野口泰 在サンパウロ日本国総領事館総領事

 皆さんこんにちは。長時間にわたりまして御苦労さまでございます。

 私、着任しましてからこれが3回目のカマラのシンポジュームでございますけれども、これまで2回と比較するとですね、かなりポジティブと言いますか、皆さんの表情も明るくなったかなという感じがいたしております。まだまだ不透明感はぬぐえないところはありますけれども、色んな意味で、先程大久保所長の方からもお話がありましたが、明るい兆しもちょっと見えてきたかなという感じがいたしております。

 確かに昨年はですね、トラック運転手のストとか、あるいは大統領選挙の帰趨がどうなるか分からないという不透明感が漂う中でですね、日本企業さん、様子見というふうな状況が強かったと思います。その後ですね、大統領選挙がありまして、ボルソナロ新政権が1月から発足をしております。

 ボルソナロ政権ですね、非常に経済の自由化というのを政権の大きな柱として位置付けておられると思います。非常にプロ・ビジネスな政権が誕生したのではないかと。まあ税制を簡素化するとかですね、あるいは、今日も日本企業さんがご苦労されている色んな許認可とかですね、輸入の審査とかですね、そういったビューロクラシーをできるだけ排除していくということもおっしゃっておりますけども、まだ総論にとどまっていまして、中々具体的な各論にまでまだ踏み込んでいない状況ではありますけれども、こうしたボルソナロ政権の経済自由化の政策、方針というのをですね、今後フォローしていきたいというふうに思っています。

 特にですね、繰り返し言及のありました年金改革でございますけれども、私がニューヨークのマーケットを見ておられる方なんかとお話ししますとですね、ニューヨークのマーケットでもブラジル経済を見る時に、一丁目一番地が、どうも年金改革が議会を通るかどうかと。これが通ればですね、国際的なマネーが本格的にブラジルに注目をするのではないかというふうな感じがいたしております。ただ、これが通らなければですね、非常に失望感が広がって来るのかなということでですね、その年金改革についての動向を見極めて、フォローしていきたいというふうに思っております。

 今日は、ここで活動しておられる日本企業の皆様方のですね、見方というのをたいへん勉強させていただきました。実は昨年の半ばぐらいにですね、JBICさんがですね、日本企業の本社にアンケート調査をした結果というのがちょっと印象に残っていますので、ご紹介をいたしますと、ブラジルというのはここ20年ぐらい、ずっと中長期的な有望国のトップ10に入っていたんですね。一番良い時は上位5位以内にも入るという、そういう、非常にやはり、新興国として注目を浴びていたんですけれども、昨年の調査ではですね、とうとうトップ10から落ちてしまったようでして、12位に落ちてしまったということだったようです。

 ただ、若干ブラジルに対する見方というのが、ちょっと上向きになってきているといいますか、下げ止まっているのかなという数値も出ておったようでして、ブラジルでこれから企業活動を活発にしますという日本企業さんの比率がですね、2011年以来ずっと下がってきたのが、昨年の調査では若干上向いてきたと、比率が上向いてきたということで、そういった意味でも明るい兆しはあるのかなというふうな感じがいたしております。

 こうした、ボルソナロ政権ですね、本格的な政権が誕生したということで、日本政府、特に官邸の方もですね、非常にブラジルの動きに注目をされておられます。1月にはですね、スイスのダボスでダボス会議が行われまして、ボルソナロ大統領にとって初めての国際的なデビューになったわけですけども、そこでもやはり、安倍総理がですね、ボルソナロ大統領と初めての会談をされる等ですね、日本政府としてもこの政権と本格的にがっつりですね、つきあっていきたいというふうな意向を示しております。特に今年は、日本がG20の議長国にもなっておるということで、5月にはG20の財務大臣会合が日本で行われてですね、パウロ・ゲデス新経済大臣もですね、ぜひお越しいただきたいというふうに思っておりますし、さらにG20の首脳会議がですね、6月の下旬に大阪で行われまして、これにつきましてはボルソナロ大統領は安倍総理大臣に自分は出席しますというふうに仰っておられますので、こうしたハイレベルの対話を通じてですね、ボルソナロ政権の具体的な政策というのがですね、さらに判明をしてくるのではないかというふうに思っております。

 いずれにしましても、ボルソナロ政権、最初の6ヶ月が勝負だと言いますか、まあロケットスタートと言いますかですね、この最初の6ヶ月に矢継ぎ早に改革をしていきたいというふうなことでですね、年金改革もですね、この6ヶ月でどうなるかというのが、非常に注目をされているところだと思います。

 そして日本とブラジルの間ではですね、インフラについてのインフラ会合というのを、まあこれは日本企業の皆さん方にも入っていただきましてですね、今年の前半にもですね、また第3回目のインフラ会合を、おそらく日本で開催をすることになろうかと思います。こうした対話を通じてもですね、日本としての、ブラジルのインフラプロジェクトへの関心とか、あるいはブラジルの新政権がどういったインフラについての政策を打ち出してくるかというのをですね、聴取できればと思っていますし、7月には、下旬にですね、ここサンパウロで日伯の経済合同委員会というのも開かれてですね、そういったところでブラジルの新しい政権の政策というのが見えてくるのではないかというふうに思っております。

 今日の発表でですね、日・メルコスールEPAについてのご要望、あらためて承ったところであります。実は昨年来ですね、カマラの方でタスクフォースを作っていただいてですね、官房長官にも要望書をいただいているところであります。実は昨年のアルゼンチンでのG20の会議の時にですね、安倍総理が出席される時にですね、ぜひ前進を図ってほしいというようなご要望であったんですけども、残念ながらその時にはですね、はかばかしい前進というのは図られてはおりません。ぜひ今年にですね、私としては何とか前に進めていきたいというふうに思っておりますが、

 まずですね、ブラジルのボルソナロ政権がですね、このメルコスールに対してですね、まあ若干政権の中では、メルコスールとしての交渉というよりかは、バイの交渉、ブラジル一国での交渉というのをほのめかしている発言も時々耳にしております。今のところは、メルコスールとしてFTAをやるというふうな方針に変更はないというふうなことにはなっておりますけども、そうしたブラジル政府のですね、メルコスールとの距離の置き方といいますか、そういったものも、今後見極めていきたいと思っていますし、そして今年はですね、日本は選挙の年になっております。

 EPAの交渉を始めるとなるとですね、非常に政治的にセンシティブな品目があるということで、日本政府の中でもですね、やはり政治レベルの方々にご相談をしていかなければならないわけですけども、今年は亥年でありますけども、12年に1回ですね、統一地方選挙と参議院選挙が同じ年にあると。今年は4年に1回の統一地方選挙が4月に行われまして、7月には参議院選挙が、3年に1回の参議院選挙、4×3で、12年に1回、亥年はですね、必ず大きな選挙が行われる年になっていまして、こうした選挙の年の中でですね、各省の政治レベルともご相談しながら、日・メルコスールEPAというのをですね、どういうふうに動かしていくかというのを引き続き検討していきたいというふうに思っております。

 そして、ソニーの日比社長の方からですね、マナウスのフリーゾーンで活動されておられる日本企業の取り組みに関しまして、現地の調達の比率の向上を求められているという、非常にご苦労されている中でですね、私も現場に行きまして、関係者のお話を聞きまして、あらためて困難さというのを感じたところでありますけれども、ちょうどこの業界団体と言いますか、エレトロスのですね、会長さんがですね、3年前までマナウスにおられまして、マナウスの総領事館が日本に招へいをしたことをきっかけにですね、非常に日本とは良い関係にあるということで、ぜひこうした会長さんにもですね、この問題意識をぶつけていきたいというふうに思っております。

 いずれにしましても、次回は8月に行われるということだと承知しておりますけれども、8月にはですね、年金改革法案が無事通ってですね、日本企業さんの様々な前向きな動きをまたお聞きする機会になればというふうに思っていますので、最後にそうしたことを祈念いたしまして、私の挨拶とさせていただきます。本日はどうもご苦労さまでした。ありがとうございました。

 

司会

 野口総領事、どうもありがとうございました。以上で本日の部会長シンポジュームを終了するにあたりましてですね、閉会の辞を讃井総務委員長にですね、バトンタッチしたいと思います。讃井総務委員長、よろしくお願いいたします。

 

閉会の辞

讃井慎一 総務委員長

 讃井でございます。本日は半日、長い間たいへんお疲れ様でございました。冒頭申し上げるあれだったんですけども、私ども、こんな高い所から、座ったままで、たいへん、半日間失礼いたしました。野口総領事におかれましては、ご講話いただきまして、コメントもいただきましてたいへん感謝しております。ありがとうございます。

 今ご案内ございましたけども、次回のシンポジュームは8月に予定されております。全般的には非常に明るい兆しがあるのかなというふうに私も思ってございますので、今後、半年後にですね、またこういった、カマラの一番大きなイベントの一つでもありますので、情報共有ができる場を楽しみにしているというところでございます。

 一点だけ、先程来いろいろとコメントありましたけども、まあ世の中、第4次産業革命だとかですね、産業構造の変化とか、こんなことが言われておりまして、日々の事業の中ではですね、当然ブラジルはどうするんだという話はあるんですけども、やはり世界中で起こっていることはブラジルでもやはり起こっているのかなというのは、これは、バリューチェーンの話があったりですね、Youtubeの話があったりだとか、色んな事がございましたので、あるいはむしろブラジルの方が、スピードだとかそういったところで優れていて、場合によっては学ぶところもあるのではないかなというふうに思ったところです。この辺りは既存のビジネスとは別にですね、今後のチャンスじゃないかなというふうに思いますので、このたびは私も非常に印象深く思ったところだったので、コメントさせていただきました。

 そういった意味では、生活産業部会ということで新しい部会として初めてご発表いただきましたけども、年初来申し上げていますが、部会の所属会社の社数であるとかですね、事業の内容の見直し、この辺り、より活発に活動していく中でですね、色んな見直しを今、総務委員としてですね、事務局とも、あるいは皆様ともご相談しながら進めているところ、こういったのも自然な流れなのかなというふうに思いますので、色々とご相談をさせていただきたいなというふうに思います。

 簡単でございますけども、皆様のご発展と申しますか、半年後にまた明るいご報告会ができるようにということを祈念しまして、ご挨拶とさせていただきます。たいへんありがとうございました。

 それで、ご案内と思いますけども、この後、出たところで懇親会がございます。有料でございますけども、お一方80レアルということでありますが、ふるってご参加いただければと思います。あらためまして、たいへんありがとうございました。

 

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Pdf【速報 (更新)】新型コロナウィルス感染に関するアンケート調査結果 4/3日現在 128社

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