皆さん、こんにちは。今年より金融部会長を務めさせていただきます、三井住友銀行の大谷でございます。どうぞよろしくお願いいたします。恒例によりまして、まずは金融部会より、ブラジル経済動向、銀行業界動向、また保険業界動向に関して発表させていただきます。
なお、資料で使っております市場の各指数は日々変化いたしますので、本日の資料では便宜的に2月17日時点という体裁をとっております。ご理解のほどよろしくお願い申し上げます。それでは、最初のスライドをご覧ください。
ここでは2016年の主なトピックスを4つお示ししております。
まずはペトロブラス社を巡る汚職捜査の進展です。2014年3月に捜査がスタートして以降、2016年末までその捜査は第37ステージまで進展しております。現在、オデブレヒトグループの司法取引による供述内容に注目が集まっております。その内容次第ではテーメル政権に甚大な影響を与える可能性があります。
二つ目はブラジルのソブリン格付についてです。政治的混乱に伴う財政再建の遅れ等に対する懸念から、格付機関はブラジルのソブリン格付を軒並み「投機的水準」に引き下げました。ただし、政治的混乱に一服感がある現在、各格付機関はアウトルックの見直しを検討し始めております。
三つ目は、先ほど会頭からもお話がありましたように、2015年12月から始まりました大統領弾劾、およびテーメル政権成立です。昨年8月末、下院、上院とも圧倒的賛成多数でルセフ大統領の弾劾が成立し、その結果、副大統領であるテーメル氏が正大統領に就任しました。
しかしながら、テーメル氏は国民の負託を受けて誕生した大統領ではなく、また贈収賄等の面で若干後ろ暗い点があることから、国民からの支持率は10%程度と非常に低い状態が続いております。ただし、調整型政治家であるテーメル大統領の高い議会運営能力や、優秀な政権メンバーの存在により、歳出上限法、景気刺激策といった新しい施策を打ち出すことに成功しており、史上センチメントは大幅に改善しております。
四つ目は8月に開催されましたリオデジャネイロ・オリンピックです。南米初の夏季オリンピックは準備遅延、ジカ熱、リオ・デ・ジャネイロ州の財政危機等の諸問題で非常に心配されましたが、予想外に成功裏に終了しました。
次のスライドは2012年以降の主要経済項目推移についてお示ししています。簡単にご説明申し上げます。
まずGDP成長率ですが、2016年はマイナス3.5%という見込みでありまして、2015年に続いて2年連続のマイナス成長になりそうです。一方、今年は、現在推進している金融緩和策や、昨年12月に発表されましたFGTS、勤続年数保証基金の給付資格発生前の引出し許容等の景気刺激策によりまして、0.5%のプラス成長となる見込みです。
貿易収支は2014年に2000年以降初の赤字を記録しましたが、2015年、2016年は国内経済低迷による内需停滞、それに伴う低調な輸入を主要因としまして、貿易黒字を確保しております。なお、今年につきましても、コモディティ価格の復調により、昨年と同程度の黒字を確保する見込みです。
株価につきましては、景気低迷、政治的混乱を背景に、2012年から15年まで4年連続で前年末終値割れを記録しました。このトレンドは2016年の初めまで続きまして、2016年1月には終値37497ポイントまで低下。しかし、当時労働者党と連立政権を組んでいたブラジル民主運動党が連立離脱を決定して以降、ルセフ大統領の弾劾可能性が高まったと好感し、株価は上昇に転じまして、2016年10月には2012年3月以来の64000ポイント台まで回復しました。
11月の米国大統領選におきまして、市場予想に反しましてトランプ氏が勝利したことから、先行き不透明感が高まったとして、2016年終値は60227ポイントとなりました。
次に政策金利とインフレについてです。2012年以降、インフレ圧力は食料価格や人件費の上昇を背景に強まってまいりました。当時、2014年の大統領選を控えていたルセフ大統領は、これ以上のインフレを看過できないとして、電気料金やガソリン価格等の政府が価格決定できる財について市場とは乖離した形で価格を統制しました。これによりまして2014年のインフレ率を、ターゲットレンジをかろうじて下回る水準に抑え込むことができました。
しかしながら、これらの抑制は、電力公社や石油公社の業績に大きくマイナス影響を与えたため、2015年からは政府は介入を控え、その結果、前年対比大きな反動となり、インフレ率は2015年末時点で前年比10.67%と二桁台に突入してしまいました。
これらの一連の過程におきまして、ハイパーインフレのトラウマを持つ政策決定者は金融引き締め策を志向し、政策金利を14.25%まで引き上げました。
2016年に入りまして、食料価格の安定、エネルギー価格の安定により、年後半以降インフレ上昇圧力は次第におさまり、結果として2016年は6.29とインフレターゲットレンジ上限を下回りました。これに合わせ、政策金利も10月以降2回にわたり引き下げられ、13.75%となりました。
2017年につきましても、インフレ圧力は小康状態でありまして、4.5%未満になるとの予測でして、政策金利も9.5%と一桁台になるとの予測です。
それでは個別に見ていきたいと思います。
このスライドは四半期ごとのGDP成長率および鉱工業生産推移をお示ししておりまして、棒グラフがGDP成長率を、折れ線グラフが鉱工業生産をお示ししております。
2016年第3四半期のGDP成長率は前年同期比2.87%と10期連続のマイナス成長ではありますが、そのマイナス幅は縮小しております。
鉱工業生産につきましても、前年同期比4.6%と12期連続のマイナス成長ですが、GDP成長率同様マイナス幅は縮小に転じております。
次のスライドはGDP成長率推移です。2015年、2016年と2年連続のマイナス成長ですが、2017年以降はセンチメントの改善や現政権の政策によりプラス成長となる見込みです。
次のスライドは財政収支についてお示ししております。2013年までは黒字を維持しておりましたが、2014年の景気鈍化以降歳入が伸び悩む一方、歳出がふくらみ、赤字に転じております。テーメル現政権は歳出上限法や年金改革を通じまして、歳出抑制を図り、財政規律の回復に努めております。
次のスライドは対米ドルのレアル相場推移をお示ししています。2002年の大統領選の過程におきまして、当時急進的な左派勢力であった労働者党のルーラ氏が勝利する可能性が高まり、市場は急激なレアル売りを進めました。その結果、一時的に1ドル=4レアルを突破する事態となりました。しかしその後、ルーラ氏は大統領就任後、市場の予想に反し、前任大統領カルドーゾ氏の政策を引き継ぎ、財政規律と所得格差是正のバランスを重視した穏健な姿勢を示したため、次第にレアルは落ち着きを取り戻しました。
以降、中国の成長に伴うコモディティバブルの恩恵を受けて、資源国であるブラジル通貨は買われ続けてきました。リーマンショック付近でいったんは売られましたが、内需刺激策推進により先進国に先駆け成長軌道に戻ったこともあり、2011年7月には対ドルで1.5391レアルの最高値を記録しました。
2011年後半からは徐々にレアル安が進展しました。資源価格の下落による資源国通貨売り、国内景気減速、政治的混乱等により、2015年後半にはそのトレンドは加速しました。2015年9月には4.2レアル台に突入し、2002年以来のレアル安更新となりました。
2015年後半から2016年2月ごろについては一進一退の状態となりましたが、先ほど申し上げました通り、16年2月にブラジル民主運動党が連立を離脱するという話が出てから、ルセフ大統領弾劾の可能性が高まりまして、急速にレアル高が進展しました。
その後、ルセフ大統領停職、テーメル暫定政権の発足、ルセフ大統領弾劾成立、テーメル新政権発足という一連の政治イベントが、ブラジルの先行き不透明感を払しょくしたとして、市場はさらに好感しました。
11月の米国大統領選結果により、一瞬揺り戻しがありましたが、テーメル政権の政策に対する信任は高く、2016年末は3.2552、昨日時点では節目である3.1レアルを割る3.06レアルまでレアル高が進展しております。
続きまして、次のスライドは対円のレアル相場推移をお示ししております。
対円のレアル相場は2016年2月時点に、いったん1レアル=28円までレアル安が進みましたが、ブラジルに対するセンチメント改善および対ドル円相場が円安に進んでいることもありまして、昨日時点では1レアル=36円後半までレアル高が進展しております。ドル・レアル相場は激しく乱高下しておりますが、円・レアル相場は比較的落ち着いておりまして、またレアルの最高値、最安値のタイミングもドルとはずれております。
次のスライドはBOVESPA市場推移をお示ししております。ブラジルに対する投資家センチメントは改善し、昨日時点では68590ポイントまで高くなっております。
次のスライドは、政策金利とインフレ率の推移をお示ししております。政策金利の推移は実線でお示ししており、2015年7月に14.25に引き上げられて以降、2016年10月まで15カ月間にわたり同水準を維持してきました。
一方、点線でお示ししておりますインフレ率が2016年後半にかけて沈静化してきたことを受けまして、政策金利は2016年10月に0.25%、11月にも0.25%引き下げられ、2016年末の政策金利は13.75%になりました。
このインフレ鎮静化を背景に、現在ブラジルの中央銀行はインフレ退治から景気刺激策に舵を切りつつありまして、2017年、今年の1月11日に0.75%、昨日にはさらに0.75%の切り下げを行い、政策金利は現在12.25%と大胆な金融緩和策に転じております。
次のスライドはブラジルの中央銀行が発表しております外国直接投資推移です。景気低迷の局面ながらも、外国直接投資は比較的安定推移をしております。2017年も変わらない水準を維持するものとみられております。
次のスライドは失業率をお示ししております。昨今の景気低迷を受けまして、企業の雇用調整局面は継続しておりまして、昨年12月は12.0%まで上昇しました。この数値は今年第2四半期に12.6から12.8%でピークを迎えるだろうと思います。
さて、次のスライドでは金融部会所属の各銀行に回答いただきました、2017年、18年の予測について、予想最大値と最小値というレンジで表記をいたしました。なお、2月10日を回答期限に集計したものでございますので、その後の材料は織り込まれていないことをご了承ください。
まず、2017年、18年のGDP成長率ですが、それぞれ0.5%~1%、1%~4%とみております。いずれも、Focusという100以上のブラジル金融機関の予測をブラジル中央銀行が取りまとめた企業トレンドと同様に、17年は小幅な成長にとどまり、18年からはいよいよ本格的に経済回復を実感できる水準に転じるものとみております。
インフレ率は、2017年、4.5~4.8%、2018年、4%~5%と、概ねターゲットレンジの内側におさまるものとみております。
為替レートは、2017年、3.1~3.4レアル、2018年は3.2~3.5レアルとみております。
年末の政策金利につきましては、17年につきましては9.5~9.75%とみており、市場の見方同様、17年中に金融緩和はさらに進み、水準は一桁台になると考えております。
続きまして、次のスライドをご覧ください。このスライドは各行の今後の見方についてコメントをサマリーしたものでございます。まず、ブラジル経済はいつ回復に転じるのか?、その契機となるものは何か?についてですが、ブラジル経済の回復は、まあ色々意見がありますが、ベースシナリオとしては、2017年、今年の第3四半期以降になると思います。
テーメル政権の政策に対する市場の信任も高く、政治的混乱も一服したことによりまして、先行き不透明感が払拭されております。また、現在進められている政策金利引き下げや、為替の安定が、今年第3四半期以降には企業投資の増加や個人消費の活性化という形になって現れてくるものと思います。
次に、経済回復を見据えて、今、我々日系企業が行うべきことは何か?についてですが、景気回復とともに攻めの経営を行うべく、中長期ビジネスプランの策定をすべきだと思います。投資・資金計画を練り、優秀な人材を確保すると同時に、リストラ・経費削減を推し進め、攻守両面にわたる綿密かつ地に足の着いた計画を立てることが重要だと思います。
また、ブラジルにおける中長期ビジネスプランを遂行するためには、本社のサポート、コミットメントが不可欠でありまして、そのためにはブラジルに関する様々な情報を本社あてにタイムリーに提供することが重要だと思います。
我々金融部会は、政治経済情勢やマーケット情報の提供等で皆様のお手伝いをさせていただきたいと思います。
最後に第3項目目の、アメリカ新大統領トランプ氏の政策がブラジルに与える影響はあるのか?それはどのようなものなのか?についてですが、現状を踏まえますと、直接的な影響は限定的と思います。ブラジルの米国依存度は低い一方、トランプ氏の政策スコープにはブラジルが入っていないこと。また、世界が心配する米国の保護主義政策も、幸か不幸かブラジルはそもそも閉鎖的な市場であること等を踏まえますと、あまり心配するような影響はないのではないかと思います。
続きまして、2016年の銀行業界についてご説明いたします。
最初に貸出残高推移についてです。2011年以降毎年二桁ペースで増加していた融資残高合計は、2015年には6.7%と一桁の伸び、2016年にいたってはマイナス3.5%となりました。
2016年の貸出状況は、個人向け貸出はかろうじて微増いたしましたが、邦人向け貸出は全部門において減少しました。これは経済の減速、ペトロブラス社汚職問題等を背景とした大手ゼネコン、造船会社の倒産等により、金融機関が保守的な与信運営を行ったことや、景気低迷による企業の資金ニーズの低下等を要因としたものと考えます。
次のスライドは、業界全体における平均貸出利鞘の推移になります。2015年以降上昇トレンド、すなわち金利引き上げが行われております。これは昨今の保守的な貸出姿勢を示すものと考えます。
次のスライドは不良債権比率についてです。これらのグラフは90日超の延滞債権の推移をお示ししております。2015年以降、金融機関の保守的な与信方針や失業によりまして、延滞債権が増加してきました。2016年については、貸出抑制、借入ニーズの低下等により、不良債権は改善傾向にあります。
銀行業界としては、しばらく保守的な運営が続くものと考えられます。ただし、収益性や財務基盤は非常に堅固であるため、引き続き銀行業界は堅調に推移するものと考えております。
最後に、2016年の保険業界についてご説明させていただきます。
このスライドは保険料収入推移をお示ししております。保険監督庁の統計データによりますと、2016年1~11月までの累計の保険料収入の伸び率は前年同期比で0.9%にとどまりました。二桁成長が続いておりました2010年~2014年に比較いたしますと、2015年に続き2016年も、経済が低迷する中、保険マーケットの成長に大きくブレーキがかかっていると言えます。
次のスライドは、保険種目別の保険料収入をお示ししております。全種目とも成長が鈍化している中、自動車保険について新車販売不振が大きく影響し、前年同期比マイナス成長を余儀なくされています。また、生命保険、傷害保険も失業率の増大に伴って伸び悩んでいるのが実情です。
次は保険種目別の損害率のデータをお示ししております。全体としては2016年1~11月累計で損害率は48.2%に達し、前年同期比2ポイント悪化しております。特に運送保険、自動車保険の損害率悪化が顕著となっておりますが、景気低迷による治安悪化を背景に、運送貨物の盗難や、自動車車両や部品の盗難といった事案の増大が少なからず影響しているものと考えられます。
最後に今後の保険市場の成長見通しについてご説明いたします。2016年のブラジル保険市場の成長は、損害保険、生命保険ともに名目1%程度の成長に留まったと見込まれておりまして、インフレ率を加味した実質成長見通しでは大幅なマイナスとなっております。
2017年以降、ブラジル経済の先行きには薄日が差しているようにも見えますが、実体経済回復の足取りは重い中、ブラジルの保険業界をめぐる目先の環境は引き続き厳しいものと予想されております。
しかしながら、中長期的には、社会構造の変革に伴いまして、ブラジルにおける保険商品に対する一般的ニーズは間違いなく高まると思われておりますので、かかる将来的な需要の発掘に向けて現時点から準備を進めていくことが肝要かと思います。
以上で金融部会の発表を終わらせていただきます。ご清聴ありがとうございました。
司会
大谷部会長どうもありがとうございました。ちょっと関心の高い分野でもございますので、ただ今の発表につきましてご質問のある方、挙手をお願いできますでしょうか。いかがでしょうか。はい、どうぞ。
質問者
為替について質問させていただきたいと思います。もう一つは先ほどのスライドにあった外国の直接投資の点で。為替についてはですね、今レアルは対円ベースで非常に、円に対してだんだんじり高の状態になっていると思います。
それについて、色々客観的に言われているのは、先ほど仰られたようなテーメルの歳出制限法とか、年金改革とか、そういうものが功を奏しているような話を言われているんですけども、それは非常に期待度をマーケットが持っているということなんだろうと思いますけど、ではこのじり高がですね、いつまで続くのか、本質的要因はどういうふうに考えられるのかとか、あと先ほどのグラフを拝見させていただきますと、じり高の後急激に下がるという、こういう傾向がブラジルの通貨に対してはあるように思います。
そこら辺を勘案して、実際今後どうなるのかと。一人事務所で、円ベースでお金をいただいているので、3月決算時期、またレアルが上がると実質値段が下がってしまうことがあるので、その点でちょっと関心を持っていることです。
もう一つは外国直接投資の関係ですけど、先ほどのスライドでまあ安定的なようなお話をされたと思います。それほど変わっていないと。最後の方のところですね。でも日本企業を見るに、どんどん帰っている駐在員、私も顔の見える駐在員もどんどん帰って行ったり、少なくとも日本は投資をやっていないと。
代わりにだからどこかの国がやっているという形になると思っているんですが、中国とかありますけど、そこのような代わりにやっているところはどういう視点でどういう目的でやっているのかということを推測できるようでしたら、個人的で結構ですので、ご教示いただきたいと思います。2点で、以上お願いいたします。
大谷部会長
ご質問ありがとうございます。まず為替の動きですが、ブラジルの為替は非常に思惑で動くんですね。だいたい市場と、スポット取引と先物取引とあるんですけども、通常でしたら、普通のマーケットでしたら大体6対4のところがですね、このブラジルの通貨に関しては1対10の割合でですね、先物のボリュームが非常に多いんです。
ブラジルの通貨といいますと、皆さん為替する時に中銀に登録するということで、regulated carrencyだと思われがちですが、実は先物につきましては、シカゴのマーカンタイル市場を通じましてBM&Fとつながっておりまして、そこから先の取引ができるんですね。だいたいボリュームが1対10ぐらいですので、先物の参加者というと大体、昨年のデータで46%がオフショアの参加者というふうになっています。これがですね、思惑でばーっと投機したりするもんですから、はっきり言ってですね、良くわかりません、動きは。
ブラジル、まあいま経済良くなる良くなるという期待感はありますけど、実体経済はよくなっていないですよね。そんな中でなんで為替はこんなに強くなるんだろう、というのはですね、外からの投資家が、テーメル政権がいろんな政策に取り組んでいると、そういうのを基に、これはブラジルよくなるんじゃないかという思惑でダーッと買っているもんですから、これが大きな動きを呼んでいるんですね。
これは本当にブラジル独特の特徴でございまして、大体6対4のところが1対10で先物が10倍ぐらいあるというところですので、はっきり言ってですね、ブラジルの為替を予測するのは非常に難しいです。こんなこと言ったら身もふたもありませんけども、大体各銀行さん色んな、ブラジルの銀行含めまして、為替セミナーやっていますけど、大体為替の予想というのは外れています。これは難しいんです。
で、皆さん、予想を聞きますと、オフィシャルなコメントが大体返ってきます。大体現状より0.2~0.3ぐらい安くなるという予想ですね。これは単に金利差のアービトラージで、セオリーに基づいてコメントしているだけですので、実際のところはよくわかりません。その時々の状況でころころ変わるというのが本当だと思います。ですから、ぜひ、皆さんにはですね、お取引先の銀行のディーラーに声をかけていただいてですね、本当に彼らが皮膚感覚で感じている相場を聞いていただいたらいいのではないかと思います。大体、正面切って銀行に聞きますと、銀行はオフィシャルのコメントを返すというのが普通でございます。
それから、外国直接投資ですけども、まあ確かに日本からの大きな投資というのは減っていますけども、実際10億とか20億ぐらいのですね、小さな投資というのは、小さなM&Aというのはたくさんありまして、件数的には決して減っていないんじゃないかという気がしております。それと、金額的に大きいのはやはり、まあ統計で中々出てこないんですけども、中国が大きいのではないかと思います。
あとは、やはりブラジルというのは、まあアジアが日本の裏庭と言ったらアジアに失礼かもしれませんが、第一投資目標地域としますと、やはりヨーロッパにとっては裏庭といいますか、最初に投資するべきところというのはやはりブラジルなんじゃないかなと思っておりまして、そういった意味で、今のような状況でも、ブラジルに対する投資熱といいますか、直接投資額は衰えていないのではないかと思います。
司会
どうもありがとうございました。大変貴重なコメントをいただきましてありがとうございます。ちょっと時間がオーバーしておりますので、これで金融部会の発表から今度は貿易部会の発表に移りたいと思います。どうもありがとうございました。
それでは、貿易部会の今井部会長より発表をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。