ユーロ危機によって日本の政策の焦点が絞り込みが始まったと思っております。今年総選挙がある可能性が非常に高いんですが、税と社会保障の一体改革というふうに呼ばれているもの、特に消費税増税の議論は、解散の前か、解散後の新しい議会において今年中に一歩進めるものと私は予測・理解しております。
なぜ日本において、まあ長年言われてきました財政赤字の封じ込め策というもの、まあ今回第一歩に過ぎませんけども、これが動き出したかといえば、ユーロの情勢がさすがにわが国にも大きな影響を与えたというのが私の理解でございます。
ユーロ危機が始まりまして、色んな段階がございますけれども、国債の価格、主権国家が発行しています国債の値段が突然変わり始めるというゲームを、まあ我々は日々観察したわけであります。
このゲームが始まる前と、始まった後では、まったくゲームの性格が違います。ユーロ圏にあるそれぞれの国が出しています国債の量、これはGDP比で見てもいろいろでございますけれども、途中まではご存知のようにこのユーロ加盟17ヶ国の国債の利回りはほとんど変わらなかったわけです。
強気も弱気もありましたけども、ある幅の中で取引が終始していました。ところがギリシャの債務危機をきっかけといたしまして、ゲームの性格が変わってしまいました。主に投資家が三つの層に分かれました。
第一の層は、もはや債務危機は、これはもう相当なところまで行くと考えた投資家は、例えばポルトガルの、例えばスペインの、あるいはイタリアの国債を先物で売りたてます。下がったところで買い戻して利益を上げるというのが、こういうマーケットを通じた国債価格の下落状況であります。
二番目の投資家層は、こうした動きが始まってしまったのに対して、しまったと思うわけですが、損切りは早い方がいいというので、損失を最小にするために、持っている国債を、損が現実化するんですけども、売ると。これに入ります。ここは損害が小さいということになります。
しかし投資家の中には、簡単には売れない、損がリアライズ、現実化するということになりますと、色んな不都合が起きるところがあります。とりわけ金融機関がそうでございまして、簡単には売りに出られないところがあります。売り始めたら、これは石を持ち上げて離すようなものですから、自分の足の甲を痛めるということが明らかになるわけですからこれは中々売れない。
それから個人投資家の一部も当然、値下がりを始めたので困ったなとは思っていますけども、もう一度満期まで持てば何とかなるだろうということで持っています。しかしそのうちに、現在のギリシャのPrivate Sector Involvementと言われるように、まあごめんなさいと、100の価値で償還するはずだったんだけど、100はできないと。これを例えば40にすると、60は消えてなくなるわけでございますが、まあそういう情勢が今起きようとしています。
で、投資家層の中でおおざっぱに言って三つに分かれる過程を見た以上、日本においてもしこれが起きたら、JGBが大幅に売りたてられるようなことが起きれば、日本においても同じ事が起き得ます。
1920年代に日本がもう一度、第一次世界大戦の時に金本位制から離れましたので、もう一度世界の、1920年代の世界は金本位制に戻る形でグローバルな金融秩序を作り上げようと、日本もその中に入らなければ日本は国際社会の流れに一人遅れることになるということになって、この国際的な金本位制に戻る動きが、日本のビジネスの中でもそういう主張をする人がいましたし、それから当時の浜口雄幸とか井上準之助はもうそれをやらなければ国際的なレジームの外側に日本は立ってしまうという、まあこういう認識で金本位制に復帰しようといたしました。
その時に、どのレートで円は国際社会に復帰するのかということを巡って大きな対立がありました。このプロセスの中で円は、かつての旧平価では戻れないんじゃないかという考え方がビジネスの間で次第に広がってまいります。
そうしますと、個々のビジネスは自分の仕事を守るために、例えば外貨建ての債務を負ってますから、外貨建ての債務を持ったまま円が急落するということになりますと、外貨建て債務の重荷はあまりにも大きくなりすぎます。
したがってビジネスを維持しようと思えばドルを早めに手当てせざるを得なかったわけです。この早めにドルを手当てするという、まあビジネスにおいてはごく普通の行為でありますけども、これが大手商社、大手銀行によるドル買いというふうに言われました。
円を売ってドル買いをするという議論が出てまいりますと、当時の雰囲気ですから、すでに色んな人が殺され始めているわけですが、例えば三井の団琢磨が殺されたというのもまあそうした流れの中であります。日本が軍国主義に転換してしまった前に日本のベスト・アンド・ブライテストといわれる人が殆んどというか、ことごとくと言っていいほど殺される時代になったわけであります。
浜口雄幸、井上準之助、団琢磨、そして高橋是清、その他挙げればきりがありませんけども、いずれも日本と国際社会との間合いというものを十分に知った上で、いかにして国際社会の中でわが国のあり方を決めようかということに悩んでこられた、そして果断に動いた人たちが片っ端から殺されたわけです。
殺されるともうサーベルが恐ろしくて、軍部に対して物事が言えなくなるという時代を迎えたわけです。きっかけは何だったかということを今になって考えますと、円売りドル買いという状況を生み出したことが、国際社会への復帰はもちろん重要だったわけですが、この亀裂を国内において封じ込めることに失敗したというのが私は大きいと思っています。
今回、もしわが国がJGBで大幅に値崩れする、現在、例えば、まあギリシャはちょっと極端ですけれども、例えばイタリア並みに売られたといたしますと、これはJGBにとってはただ事ではありません。現在これだけ借金が多くても、日本が少なくともクライシスを避けられているのは、国債の流通利回りが1%程度だからであります。
これがもし現在のイタリア、一時7%まで流通利回りがなりました。まあ現在は7%は行っていませんけども、例えばまあ6%前後というようなのがしばらく続くというふうに予想されておりますけれども、もし日本が6%の利回りまで国債価格が急落したといたしますと、これはたいへんなことになります。
今年、今作っています予算から3年か4年考えますと、新発債で40兆円が出ます。どう考えても40兆円で続ける。で、借換え債、満期になった国債の借り換えがですね、これも毎年120兆から130兆出ます。そうすると毎年160兆の国債を発行します。
で、利回りが今1%ですから、その新しい国債を、借り換え債を含めて、出してもですね、それが問題なく、財政当局にとってはまあ受け入れられる利払いでございますが、もしこれがイタリア並みの6%になったとしますと、プラス5%余分に金利を払わなければいけないわけです。で、新発債と借換え債で160兆円出ますから、1%上がるのが1.6兆円その年利払いが出ます。
これに、もし6%増えるということになれば、5%分増えるということになれば、8兆円増えます。でその次の年もまた8兆円増えるわけですね。新発債と借換え債で160兆、170兆行きますから。そうしますと、この、毎年8兆円ずつ増えてくるということがもし起きるとすると、と考えると、これはたいへんなことだということになります。
消費税をいくら上げてもそれは利払い比の拡大につながってしまうということになるわけでして、これは、ヨーロッパの危機は他人事ではないということにわが国ではやっと議論が収斂し始めているというふうに私は思っています。
まあ私はそういうふうに、まあ狼少年ではありません、もしこの問題を封じ込められなかった時にはたいへんなことが起きるということはもう言わざるを得ませんし、今私どものCIPPSで本を皆で、研究員ともどもまとめておりますが、この中ではこの問題をそのひとつとして取り上げて、どうしてもこれは封じ込めなければいけない問題だというふうに考えております。
イタリアはちなみに、これだけ国債が売り込まれましたけども、プライマリー・バランス、プライマリー・バランスというのは政策経費に使う部門、国債の元本償還と利払いを除きました政策経費に使う支出を基本的には税金でまかなっています。プライマリー・バランスは赤字じゃないんです、イタリアは。
わが国は今年から数年間22兆円程度の赤字が続く。これは今野田内閣が国会に発表したデータであります。これから、残念ながら、4月から始まる年度から始まって3ヶ年ぐらいはですね、今の情勢を前提にしますと22兆円のプライマリー・バランスの赤字があります。
22兆円というのはどのくらいかというと、まあざっとですね、消費税率を10%引き上げるということにつながる金額であります。まあ逆に言えば、消費税率を10%引き上げればプライマリー・バランスはこの赤字が消えます。
で、赤字が消えれば、問題を封じ込めることができる。要するに日本の財政と経済との関係に大きな破綻が出てくることはないということになるわけであります。で、この10%、今の5%の消費税率からプラス10%、15%までもっていくというのは、これは税と社会保障の一体改革と言われているように、消費税をお願いする以上福祉の面で余分の手当てをしなければいけないんではないかというのがまだ、政治家の頭に残っていますので、社会保障の話を引き合いに出していますけども、本当は社会保障の話はその先なんですね。
プライマリー・バランスの赤字を封じ込めまして、その先に高齢社会化にともなう問題を議論する。ということは今の、色んな細かい計算とか相互関係とか、例えば税金、消費税率を引き上げた時に経済経営はどうなるのか言い始めると、まあ色んなパターンがありますので、その話はちょっとまあ、大学の経済学の講義ならばそういう議論も細かくやってですね、それで学生さんをテストするというのも教師の仕事ですけれども、まあ非常に雑に機械的な計算をしますとですね、5%の消費税率から15%にするまでは、これは一旦緩急をなからしめるための策なんです。
で、そこから先に、15%から例えば20%の消費税率、さらに5%上げるという時に初めて、社会、21世紀の新しい社会に対応した仕組みを作るということにつながるというものであります。わが国でこの議論はどのくらい組ませるかというところに来ているわけですが、ヨーロッパ情勢からいくとですね、今年中にさらに議論は、私は、日本で問題の絞込みが始まると思います。
今ヨーロッパで起きていますことは、ドイツが果たしてこのユーロ圏を維持するために本気になるのかどうかということであります。とにもかくにも現在ユーロが成り立っていますのは、ドイツが踏み込んだからであります。どうやって踏み込んだかというと、Bundesbank、ドイツの中央銀行を使いまして、ECB、欧州中央銀行におよそ50兆円の貸し出しを行いました。
で、連邦政府が貸し出した場合には連邦政府のバランスシートにそのまま出て来るんですけれども、Bundesbankは、その昔は、すなわちマルクを使っていた時にはですね、これはもうまがうことなき中央銀行だったわけですが、欧州中銀を作りましたのでBundesbankの役割というのは小さくなったはず、事実小さくなったんです。
しかし依然としてドイツの銀行の貸し出し資産の査定その他はやっているわけです。で、Bundesbankとドイツの連邦政府との関係はですね、まあ言うならば、連邦政府にとってオフ・バランス、バランスシートの外側にある実体であります。
でBundesbankが実証の貸し出しを50兆円にやったんですけれども、これはBundesbankだけで決められるかというとですね、当然ですがメルケル首相に報告あるいは承認をもらっていると考えるべきでしょう。だって、ECBに50兆円を貸し出して、ユーロ圏が崩壊した場合に、この50兆円というのはじゃあどうなるんだと。誰がこれ返してくれるんだということになりますから、最終的にはドイツの納税者の負担だということになります。
で、50兆円がECBに行きまして、ECBからギリシャ、ポルトガル、スペイン、イタリー、最近はフランスにまでこのお金が行っております。それでやっともっている。今年は世界で色んな選挙がありまして、まあ例えばサルコジさんはフランスで大統領再選されるかどうか、まあ大きな疑問符がついておりますけども、もうサルコジさんが出てくるか出てこないかはユーロとの関係ではもう関係ないんですね。
Bundesbank、あるいはもっと言えばドイツ連邦政府が行ったこのECBへの貸し出しの問題をどう取扱うかということになっているわけです。ミュンヘンにIfo研究所というのがありまして、このIfoインスティトゥートの所長のシンという人がですね、ついにこの話を書いたんです。
で、書いたからドイツの、皆が知ったわけじゃないんですが、まあ政策問題に関心のある人は分かったわけです。なーんだ、と。Bundesbankはそこまで踏み込まないとユーロというのは持たないのかと。これ、保証ですから、この保証というのはあちこちで破綻が起きた時にはですね、最終的な帳尻はドイツの納税者に回ってきます。
もうサルコジが再選されるかどうかはもうどうでもいいでしょう、おそらく。とりあえずユーロのことからいけば。要するにドイツ連邦政府の中で、あるいは議会との関係でですね、どうするんだと。ユーロをどうするんだと。こんなことがまだ続けられるのかという議論が私はやっぱり始まると思うんです、ドイツで。で、メルケル首相がどう答弁するのか、まあ与野党間でですね、これはあまりギクシャクやるとユーロが本当に崩壊しちゃうかもしれないから、この話はそーっとしていこうという類の話ができるかどうか。
あるいはそういうことを、もっと逆に、ポジティブに、何が何でもユーロは守るというふうに与野党間の合意ができるかどうかという議論になっています。このドイツ情勢の議論はですね、我々ヨーロッパの金融情勢を展望する上で、私ドイツ語ができないんで、ドイツ語ができる経済学者にはですね、とにかくドイツをフォローしてくれと言っているんですけれども、まあそういう情勢であります。
そういう中で、私は可能性として、ギリシャの切開手術もやろうというようになるかもしれません。それはドラクマの復活を認めるということです。ドラクマをどうやって復活させるのか。オレンジからジュースを作っちゃったわけですね。ドラクマその他色んな通貨からユーロをいうのを作った。今度はユーロから離してもう一度昔のドラクマに戻すわけですから、ジュースからオレンジに戻す話です。これはそんな簡単な話ではありません。誰が考えてもジュースがもう一度果実になるわけではない。仕様がない、それは取り替えるより仕様がないですね。
で、ジュースをオレンジにしますといって別のオレンジを与えて、これでまあオレンジになりましたと。この取り替えをやるためにはですね、預金封鎖をしなければいけない。ギリシャで預金封鎖をします。
それで1ユーロを2ドラクマと、例えばそういう形で新しいドラクマの紙幣を配ることになります。これによって何が起こるかというとですね、ギリシャに対しては観光旅行がいっぱい増えるわけであります。
最初の段階では今までユーロで表示されたのがそのままドラクマに表示が変わるだけですから、1ユーロは2ドラクマですから、ギリシャ旅行がですね、最初の段階、インフレがまだ立ち上がってくる前ですから、いい旅行ができるわけですから、いっぱいギリシャに人が来る。で、これはまあ、昔の経済学者はこういうのを機会輸出と言ったんですけども、いっぺんに為替レートを下げてそれでもって経済活動を立ち上げる。それはまあ観光客が来れば経済活動が立ち上がってきますので、その立ち上がってきた経済活動を通じて税収が増える。
このプロセスをまあギリシャで産む以外にない。だけども、それをやるためにちょっとした細工がいるんですね。預金封鎖なんていうのはですね、一体いつの話だということなんですけれども、これが出る可能性もあります。
ですから、例えばそういう議論がドイツで、この保証の問題がこれから少なくとも議論される。あるいはギリシャを切開して外すという話が出てまいりますから、冒頭申し上げましたわが国におけるこのJGBを、国債の急落を避けるための措置というのが不可欠という議論に入っていくんだと思います。
で、野田内閣は与野党協議でとにかく増税を決めてもらって、その後解散にもっていきたいと、まあ話し合い解散ということですが、この可能性はどうも、まあ正直ですね、日本から来たんだからそのくらいちょっと言っとけと言われれば、まあ私の予想はですね、話し合い解散の可能性は小さくなったと思います。
ということはどういうことかというと、まあ今年、予算のうちですね、増税法案、予算関連法案等は揉めに揉めて決まらない、結果として総選挙が行われる。しかし総選挙の後上がってきた議員はもうこの話から目をそらすことはできませんので、総選挙が終った後、その後どういう政党の連携ができるのかはまだ、もう誰も分からない話になってきているんですけども、しかし方向ははっきりしています。
もう増税を、JGBの急落を防ぐため、やらざるを得ない。なぜかというと、もう、昨年の東日本の大震災で絆という言葉がずっと広がりまして、やっぱり我々は、日本列島に住むものとして絆の重要性を議論しました。
しかし、実際にJGBが急落したら、さっき言った三層に分かれますから、投資家で。結果として儲ける人まで出てくるわけで仕様がない、マーケットというのはそういうものです。今の国債、JGBの市場はですね、強気もある、弱気もある、でも流通利回り1%前後してですね、この範囲でまあ皆同じ中で、仲間で取引しているんです。
強気弱気はまた次の局面で変わってくる。でもその前に、でもこれが、流通利回りが5%になる、価格が急落する過程というのはですね、ものすごいドラマ、ものすごいゲームが始まるんですね。このゲームが始まったら、さっき言ったようにもう絆どころの話じゃないです。
日本社会の分断が起きる。で、これが起きるとですね、たぶん私はもうそんなことを起してしまうと一世代は社会の絆は絶たれると考えた方がいいんじゃないかと。あんなこと、あんな情勢でも儲けたやつがいるという話はですね、この日本社会を本当におかしくすると思います。
一度、政府の能力も含め、あるいはそういう中でマーケットとガバメントとの間の亀裂、あるいはマーケットの中における亀裂を見せ付けられると、その後の日本人は、マーケットってそんなに良いものなのかと言い始めた時にですね、そうした連鎖の声を封じこめる手段は我々は多分なくすと思います。
政府の無能力に対する批判、それからおよそ経済を論ずるまあ私どものような職業の者が、まあいいんです、我々のような職業はまあどうでもいいんだけど、でもそれは無傷ではいられません。言論というものの品質に関わって、要するにろくなもんじゃねえと、経済を議論するやつっていうのはろくなもんじゃないと。
で、日銀にどんどん日銀貨幣を刷らせてそれでデフレ脱却をすれば日本経済はうまくいくという、まあシンプル・マインディッドと言うんですが、まあ要するにそれだけまだ大学で講義している人が日本の大学の経済学の教師のですね、ざっと見積もって4人に3人ですね、そういう議論をやっているんです。
でそれをやったらどうなるのかといったら、さっき言った話になります。もし日本銀行がそれをやりだしたらですね、世界は、あるいは日本の中の一番聡い投資家は、ついに日本政府はまっとうな手段で国債の返済をすることをあきらめたと見ます。ゲームの質は変わります。
まあ、それでも我が日銀はさすがにそんな浅慮な人はあまりいない、日銀の中には。だから日本銀行はぎりぎりそんなことはしませんけれども、大学の先生の過半はそれを言っているわけですからね。まあいいんですけど、大学の先生が失職してもそれはいいんだけども、問題は日本の言論の質というのはこの程度かということになると、パブリック・ディシジョン・メイキングというこのプロセスに大きな傷が残ります。
でこれを修復することは本当に難しくなるんじゃないかと私は思っておりまして、まあそういうことでわが国の議論は今年相当絞り込まれると思いますので、まあ逆に言えばユーロの危機はまだ続くと、残念ながら続くと。その中で日本での議論の絞込みが起きるというのが私の予測であります。
で、今日実は皆様方に提案という形で、ブラジルの経済情勢を分析するアンケート用紙を商工会議所を中継ステーションとしてお願いできないかということなんです。これはどういうことかと言うと、ブラジルを始めエマージング・エコノミーの問題が世界経済の中でご存知のようにウェイトがものすごく高くなってきています。
2008年のリーマンブラザーズ破綻の後、世界的な金融萎縮が起きましたけれども、これはまあヨーロッパ、そして、元々はアメリカから始まるサブプライムローンの話なんですが、このサブプライムローンを合成して証券化して、これが世界中に出回っていって、まあヨーロッパの銀行がこれをいっぱいゲップが出るほど買い込んでいたというところから話は始まるんですが、結果としてこの、先進工業国に問題がやってきます。
この時中国が、2年間にわたって4兆元という金額ですから、まあ50数兆円ですね日本円にすれば。先程BundesbankがECBに貸したのも50兆円、中国が政府支出を一気に増やしたというのもですね、まあ50兆円、50数兆円ですから、今もう世界を動かすというか、いざという時にはもう50兆円の議論になっちゃっているんですけども、中国がまあ50兆円を出しました。
ところがこれによってですね、中国は経済経路が変わってしまいました。今、この2年ほど、要するにこれが議論が始まったというか行われたのが2008年の暮れからなんですが、2009年に入ると中国の人たちは国進民退という、国有企業が前に出て民有企業は退くという国進民退という形になりました。
2年間にわたって50数兆円の金をばらまく時に、民間企業にそのままお金をつける手段というのは中国はない。入札において公開入札するような仕方はできない。結局国有企業を通じてできることは限度がありますから、橋をかけたり、ダムを作ったり、鉄道を延ばしたり、そして工業団地を作ったり、そしてまあ中国の自治体政府が色んな思惑で、この、高いビルディング、商業用ビルディングはじめを作ると、もうそういうものにしかお金が行かない。
で、それは中国の持続的な成長を難しくするという面が明らかになりました。で、この、まあブラジルの場合も多かれ少なかれ言えると思いますが、中国においてこの、経済統計というのは難しいんですね。信頼できるものというのは本当に少ない。
例えば在庫統計というものは中国ではろくなものが無い。民間企業のことを分かっていないんです、中国政府は。なぜかというと、中国という国には統計法というのがないんです。統計法というのは、統計を作るためだけに調査をする、しかしそのデータ、その資料が国税とかそういうところに回ることはないと。だから統計の調査にご協力くださいということを決めているのが統計法。
市民社会を前提とした国には統計というのはそういう位置付けを得ている。ところが中国では統計法がない。そうするとですね、どういう手段で、例えば在庫、民間企業にある在庫をどうやって調べるか。調べられないんです。
それは、いや調べられるだろう、聞いて回ればいいじゃないかと、統計員が行ってもですね、本当のことを書かないんですね。そりゃ利益に関わる話だし、お前さんのところそんなに積み上げたその製品在庫があるんかいと、じゃあこれまではどうだったんだ、売上との関係はどうなっているんだと色々言われちゃかなわないと思うから協力しませんから。中国の経済とGDP統計ってありますけれども、在庫統計というのはもうあてずっぽで作っているんですね。
それは私が今から10年ほど前ですね、中国の国家統計局の局長に会った時に、どう考えても中国経済の在庫循環をあなたが作っている統計では解明できないと言ったら、それはそうだと、あれは出鱈目だと言ったんです。統計局長が。
その、まあ、後日談を言わせていただくとですね、この統計局長は上海のGDPを小さくするために、なめたんですね。なぜそんなことが必要だったかというとですね、胡錦濤政権において上海を抑えるというのはものすごく重要だったんですね。
要するに上海ばかりが発展するというのは良くないので、上海を抑えようと、でもっと中西部とか経済発展が行かないところにリソースを回すというのが胡錦濤の政策でしたから、上海はその経済成長率を低く見せたかった、投資を続けるために。
それで統計局長にですね、まあここから先は色々な話があるんですが、まあ言うならば、ちょっと細工してよと言ったんですね。で、対価を要求したかどうかは分からないですが、結果として、まあ、美人の女性が彼の周りにウロウロするようになってですね、で彼が解任した時は不倫罪というので、奥さんがいるのに他の女性を連れ歩いたという、まあ何かそういう。実際はですね、上海が統計局長に鼻薬を効かせたと、それが美女だったということらしいんですが。
私は、彼は非常に素直な人で、私に教えてくれたくらいですからね、その不倫罪を惜しんだんですけれども、まあそのようにですね、中国の経済統計というのは使えないんですね。そこで我々は中国における在庫循環を取り出すためにですね、日本から中国に進出して事業活動をやっておられる企業にお願いしてアンケートを行いました。
これはですね、同じことをブラジルでやってもらおうと思って配っているんですが、こういう、中国の場合はですね、これで見ていただくとお分かりかと思いますが、この統計、日本から中国に進出して中国で生産活動や販売活動をやる拠点における責任者の人に答えてもらうんですでども、これは何ら企業機密に関わることを聞いてはおりません。
最初のところでですね、何を聞いているかというと、先月と今月との景況感で、どう思いますか、大いに改善している、やや改善している、変わらない、やや悪化している、等々に丸を打っていただくわけです。
ですからこれは、その、仕事をされている責任者の人がですね、まあ自分が仕事をしている限り上りのエレベーターだなと、あるいは下りのエレベーターだと、あるいは止まっているね、ということについて印を付けていただくわけですね。
でその次に中国でやったのはですね、これはブラジルの場合ですけれども、ところで国内要因はこの景況感にどういう影響を与えていますか。欧米要因はどうですか。あるいは日本の要因はどうでしょうね、というのをこう聞いているわけです。で、これで何に反応しているか、何が影響をもって、これもチェックしていただくわけですから、これも企業機密めいたものは一切ございません。
その後、売上高予想を聞き、あるいは売上高が前の月に比べてというのと、前年同月に比べてどうですかというのを聞いております。それから、事業にとってインプット・プライスに関わるところを聞いていまして、購入する資材や原料の値段は上がると思いますか、変わらないと思いますか、下がると思いますかということを聞いています。
それから在庫はどうでしょう。減ってますか、増えてますかという、これも感じた所にチェックを入れていただくわけです。で、これは中国に行っている企業の方にお願いしていますので、中国はなんせ共産党一党支配ですから、スパイ罪とか何とかという、国家反逆罪とかですね、まあややこしいといいますか、そんなものに引っかかったらビジネスの方はたいへんですから。
でもこれに答えてもらう分にはですね、中国の機密を漏らす話でも何でもないんですね。そのビジネスの方が、自分はビジネスをしていて、投入費用はどんどん高くなるけれども、他方で出荷価格に乗っけることは難しいなという、例えばそういうことを聞いているわけでありますし、今月は前の月に比べて売上は増えそうだと、あるいは前年同月に比べてどうなのかということを聞いていますし。
でお宅の事業所の利益はいくらですか、なんていう話は、そんな無粋なことは一切聞いていませんので、企業機密には何ら触れないわけです。じゃあこういうデータを集めることによって何が出来るかというのをちょっと、例えばこういうことが出てくるんですね。
去年の4月から中国について行いましたけれども、3月11日の大震災によってサプライチェーン・マネージメントがいくつかで齟齬をきたしました。ルネサス・エレクトロニクスという、まあ自動車向け半導体を中心に作っておられたところが大きな影響を、茨城県の工場が影響を受けました。
これはまあ津波の影響ではなくて、震災によってクリーンルームに問題が起きたんですけれども、これは、ルネサス・エレクトロニクスというのは元々ですね、三菱電機と日立が一緒になられたところにNECが参加されましたから、これはもう本当に大きな、サプライチェーンで言えばですね、本当に中枢的なところだったわけですが、そこが駄目になると自動車が、ご存知のように作れなくなったわけですね。
でこのサプライチェーン・マネージメントの破綻によってですね、4月、5月は中国のビジネスで日本から出ておられる拠点でですね、まあルネサスだけじゃなくて他のもありましたので、サプライチェーンの混乱によって状況が悪化したんです。で、それはまあ明らかだったんですが、6月をご覧になってください。
6月には、両側にピンク色が出ていますけども、ほんの少しですが大幅に改善したと言っておられるところとですね、このプロの人たちが、もうよう分からんという人も一部出たわけですね。これはどういうことかと言うと、日本のサプライチェーンが一挙に立ち上がってきたんですよ、6月にかけて。
で、その影響でプラスが出たところはですね、もう日本がものすごい勢いで、その、復活しましたので、部材が中国に着いたんですね。だから、状況は改善したと答えられているところもあるし、錯綜したところもあるわけですね。もう作れないと言われていたのが作れる、あるいは逆のことも出る。まあ情報が交錯してですね、一体わが生産拠点は増産体制を取っていいのかどうかというのを困られた時もある。
で、これは6月にこういうデータが出ているわけですが、それ以降ですね、悪化しているという声は小さくなるんですが、この、秋にかけて、今度は悪化しているというのが増えてくるわけですね。これは中国における、まあ経済情勢をですね、写し取っていると言っていいわけです。
これは気象図で言うと等圧線なんですね。まあ日本列島周辺で言えばですね、ヒマラヤ山系ですごい大気流が発生しています。あるいはシベリアの高気圧があります。太平洋には低気圧があります。で、等高線というのを書きますね。で、観測地点をある程度稠密にすればですね、我々は気象図、今の、現在ただ今の気象図というのが書けるわけです。何ミリバールというのがずっと書けますから。これがいわば等圧線に相当するものです。
中国でこれに相当する等圧線を手にしていると自負される予測機関はそんなにはないんです。わからない。中国の話というのは、もう本当に、さっき言ったように在庫統計そのものがありませんし、ミクロのデータというのは中国政府は持っていませんから。アクセスできませんから。企業情報にアクセスできないんです。
統計法も無い国だから。だから、在庫が分からないのに等圧線なんか書けないでしょう。でもこの、こういう調査をお願いして、ちなみに中国で今協力をいただいているのは60弱の拠点でこれをいただいています。
まあ今年ちょっと増やして、徐々に増やしていこうと思っていますけれども、まあ80とかそのくらいまで行くとですね、もうちょっと良いかなと思っていますが、60弱でもですね、こういういわば等圧線は出ました。
こういう調査はさらに、何かもっとわかる事があるのかということは次のを見てください。これはですね、横軸と縦軸に取っていますのは、横軸に取っているのは先程のように、色で見たようにやや悪化しているというのは青く出るわけですが、縦の方はですね、この景況感に大きな影響を与えるのは何ですかというもののうち、ここは中国の国内要因というのを取っているわけですね。
で中国の国内要因が非常に影響しているというのが一番上のところで、やや影響しているというものが広い幅になっていますから、それだけそういう回答をされる方が多いということであります。
これを見ていただきますと、中国要因が景況感に大きく影響しているというところではですね、悪化しているというところがもう圧倒的に多いわけです。で、中国の影響が全くないというところはですね、例えば沿岸の輸出拠点ですと、所詮作った製品は中国に行っていませんから、ヨーロッパなりアメリカなり他のところに行っているわけですから、中国要因の影響はまったくないと言っておられるところはですね、全部悪いと言っている。
それは輸出環境がまあ無茶苦茶崩れちゃったということを、この一番最後の全く影響がないと言っておられるところは。で、あまり影響がないというところでもですね、悪化していますし、まあこれがですね、ここまではクロス統計で取れるわけであります。
で、まあ我々はですね、中国を例に今主催させていただいていますけれども、もうちょっとやりたいと思っているわけです。何かと言うと、等圧線で気象図を作りましても、それは現在ただ今は西高東低の気圧配置になって、太平洋岸ではお日様が出て、日本海岸ではいっぱい雪が降っていますという、現実と等高線とは対応していますので、これはこれでいいんです。
しかし、明日はどうなるのか、3日後はどうなるのかというのは、等圧線だけからはですね、ご存知のように予測はできないんです。それはそうやって予測できるかというと、等圧線を作っています変数があるわけですね、主要な変数。例えばシベリア高気圧とか、ヒマラヤ山系から上がってくる大量の上昇気流とか、太平洋岸にある、太平洋上にある低気圧の塊と、これが変数です。その変数がどういう形でこれまで推移しているか、で推移してきたのに対して結果として等圧線の変化がどういう形で生まれたのかという関係を調べるわけです。
で、変数として何を選ぶか、しかもそれは次々と変わりますから、さかのぼったデータを変数として取りますね。で変数間のパラメーターの推計をやるわけです。そうしたモデリングを通じて予測ということができるわけです。
で、中国経済の予測を、まああてずっぽでやっている人はいますけども、今申し上げたようなモデリングを通じてやっているのは、まあ私は無いと思っています。在庫統計もないところでですね、経済予測なんてできないんです。ビジネスサイクルというのは全く分からない国ですから。
まあ、分からないというか、外からは観察できない国。で、皆さんの協力を得ると等圧線ができることまで分かったと。等圧線ができたら、その等圧線の変化の、これまでの変化を変数として取って、変数間のパラメーターを推計するモデルを取って予測を行います。
一つこの予測の事例を、これを見ていただきますと、今中国について、さっき言いました在庫とか景況感とか色々答えていただいていますので、それを通じて中国経済のディフィージョン・インデックスを独自に作成いたします。そうすると、それにどういう影響が出てくるのかを、中国の変数は使えませんので、外の変数を使う。
例えばハンセン指数の中でですね、中国経済に一番大きな影響、中国系企業で上場しているものの指数がありますので、このハンセンH株指数というのを取って、それで推計を行うとですね、推計は逐次推計で毎月やるんですけれども、6月までぐらいはですね、大体幅が同じところ推計で行くんですが、7月の推計からは抉るような形、8月はさらに抉るようになっていきます。
先行きについて。これ9月10月11月ずっとやるんですけれども、これで見ていただいてもですね、大きな変化が夏に起きていることが分かります。夏のデータまでを取ると、先行きについて、中国経済の景況感と言いますか、ディフィージョンインデックスが下の方にふれる可能性があるというのをこれは拾っています。
でこれは先程言いました、等圧線を通じてこの足元を固めた後、そこに影響を与えている変数で、変数といっても数字ですから、最終的には、信頼できるものを使わなければいけない。で、中国で使える、信頼できる、まあ物価統計って使えるでしょうという人もいますけど、まあ使わない方がいいですね。おかしくなっちゃうんです、中国がなめてると考えた方がいいんですね、変な動きをします。まあ比較的使えるのはですね、輸出統計は両側でチェックしている、輸入国の方と両方でチェックしていますから、輸出統計はまあ辛くも使えるかもしれない。
それから電力消費はですね、これはやっぱり、発電所の数はそんなでもないですし、まあ足し上げるが簡単なので、そんなには操作できないので、電力消費はまあ使えるかなと思っていますけども、それ以外の色んな異質的な、異質なものを足し上げるようなのは今の中国では何も使えない。
で、それを使ってですね、我々は予測しようとしています。でブラジルはですね、中国経済とブラジル経済は地殻で言えば重なり合っている部分がものすごく強いんですね、それはまあご存知のように、原料炭、まあ石炭とかですね、鉄鉱石とか、まあ穀物とかというのはもう、中国の経済プレートとブラジルの経済プレートは重なっていますし、それからバラ積み船の海運市況を決めるものは、このブラジルと中国を結ぶ航路の繁閑によって決まるんですね。ものすごく大きな影響を受けます。
中国とヨーロッパを1としますと、中国とブラジルは距離で2.5倍になりますので、この2.5倍の長い距離で商売が盛んになりますと、船舶は一挙に不足いたします。逆にここで商売が縮こまりますと船舶過剰が一挙に表面化する。
今そういう意味でバラ積み船の、まあノルディック海運指数というのがものすごく動くんですけども、一番大きいのは中国プレートとブラジルプレートの重なりのところを拾い上げるとですね、海運市況の推計は、これは比較的簡単だというふうに思っていまして。じゃあブラジルでどうやったら等圧線が作れるのかといいますとですね、これはまあ皆様方のお知恵を借りなければいけないわけですが、私の見るところですね、今までブラジル経済の足下どうなっているのかの等圧線は、ブラジル政府も多分できていないのではないかというふうに、まあ違うかもしれませんがそう思っています。
で、もしこの商工会議所の皆様にご協力をいただければですね、最初のアンケート用紙を見ていただくと分かると思いますけれども、これ、例えば事業所長の方にですね、すいません月一回このチェックだけ入れて下さい、それをメールで送ってくださいというお願いをするんですが、それが集まるとですね、等圧線が書けると思います。
等圧線ができたらもちろんご協力していただいた方にはこの等圧線はお返ししますし、これを、まあ中国は去年の4月から始めました。もし例えば皆様のご賛同が得られてブラジルについて今年は4月から、中国から1年遅れて4月から発足できるということになりますと、多分今年の4月から年末ぐらいの間にですね、ある程度のデータが集まりますので、等圧線に近いイメージは持っていただけると思います。
さらにその後1年先になると、中国経済プレートもまだ色んな変化をいたしますが、それとブラジル経済との関係は取れるというふうに思いますし、あるいはアメリカとかヨーロッパにつなぐ場合は経済データをもう少し使えますので、要するに発表されている経済データを変数として選んで、それとの間でパラメーターの推計を続けるという作業ができますので、まあブラジル経済の先行きについての予測ということについてもそれなりのものは作れるのではないかと期待しています。
でも、これはやってみなければ分からないので、今日申し上げて、よしそれなら、この程度の話なら別にたいした負担でもないから引受けてやろうとお答えいただいて、1年経って、何だ何にも出ないじゃないかと、あいついかさま言っていたなと言われる可能性もゼロではないんですが、まあ多分だいじょうぶだと思います。
今までも、これまではですね、日米の、日米経済については経済統計だけを使ってアンケートはゼロ、日本の統計とアメリカの統計は、例えば生産指数とか、卸売り物価とか、それからまあ金利ですね、これはは毎日取れますし、為替レートも取れますし、それからマネタリーサーベイという金融に関わる指標も取れますので、これはもう発表されているものだけですが、日米経済統合モデルで日米経済の先行きについてはもう相当なものを手にすでにしていますので、もう10年以上前に。多分ブラジルについてもですね、できるのではないかと思います。
で、これまでもですね、じゃあそんなに良いものなら10年前に日米経済をやったならなぜそれをやらなかったんだと、今までやらなかったんだということなんですが、それほどエマージング・エコノミーに対しての関心が高くなったことはないんです。
しかもやっぱりよく分からない、在庫統計がわからない国のビジネスサイクルはとてもじゃないが予測できないと。そしてまあ先進国経済とのデカップリング、先進国経済が駄目になってもエマージング・エコノミーはうまくいくという、思ったときもあるけれども、話は簡単じゃないというところまで来たんですね。
で中国について協力してやろうという今事業所、事業所数でいって60弱なんですが、これはもう少し増やせますが、じゃあなぜ協力してやろうというふうに皆さんが言われたかというと、やっぱりこの程度の負担で何の企業機密にも、コンプライアンスにも、あるいは相手の国、共産党にいちゃもんつけられることもない。
ちなみに私は中国共産党の政策スタッフにこれを説明に行ってですね、中国経済やっているけど、これはアメリカのCIAがやるのと全然違うよと、誰かを、国の機密を売れとか言って誰かを脅したり、あるいは金を払ったりしてやっているんじゃないんですよ、何の文句もないでしょうと言ったら、中国共産党の経済スタッフがですね、何の文句もありません、でも等圧線が出たら私どもにも教えてくださいと言うから、まあそれはいいですよと、あなたたちどうも手立てがないみたいだから等圧線は教えてあげましょうと言っていますけれども、まあ要するに中国でもそれはないんですね。
多分、どうももっていないらしい。で、やっとここまで来ました。で、ぜひですね、年2回勉強会の集約をやっておられ、非常に積極的な活動を商工会議所の中でやっておられますので、ぜひこのご賛同いただければですね、今日賛同するよと、このぐらいの、一ヶ月に一度のこの位の労なら取ってやるよというふうにご回答を事務局の方にしていただければ、私どもで、これは毎月同じ質問表と、少し変えるところもあるんですけれども、いずれにせよもう全然手間取らせません。
で、本当に思った通りのところ、そこで違う話にされちゃうとデータがゆがんできますので、これ誰にも機密は何もありません。無いはずですから、思ったところに印をつけていただかなければ。逆なところにつけてやれとかそれは困るんですけども、それはいわば鏡がゆがむのと同じですね。鏡がゆがめばその、本当はスリムにしなければいけない腹をですね、少しはスマートに見えるというゆがみがあったんでは中々自己努力は続きませんので、鏡はいつも磨いてなきゃいけない。
磨いてなきゃいけないというのは、素直に印をつけていただくということだけが条件なんですが、それをしていただければですね、もちろん等圧線に関わる情報が集約できた段階でですね、すぐ調査協力者の方にはお知らせするという手順になろうかと思います。もしご質問がありましたらですね、この後コーヒーブレイクの時に時間もあるそうですから、その時にお寄せくださればと思います。どうもありがとうございました。
司会
田中様、たいへんありがとうございます。ちょっと時間が押していますけれども、もし何かご質問ありましたら挙手をお願いいたします。
それでは、アンケートに対するご説明いろいろありましたけれども、このアンケート、商工会議所の方でもフォローさせていただきますので、もしご賛同いただける場合は連絡をお願いいたします。
欧州経済とか、それから日本の増税とか、いろいろためになる説明をありがとうございました。それでは各業種の部会長もしくは部会長代理による発表を続けさせていただきます。先程も申し上げましたけれども、時間は厳守でよろしくお願いいたします。決して短くしろとは言いませんが、長くするのはご勘弁をお願いします。では金融部会、遠藤部会長よろしくお願いします。