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業種別部会長シンポジウム

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2012年上期の業種別部会長シンポジウム 2012/02/14
  • 司会 伊藤友久総務委員長


    皆様、そろそろ時間になりましたので、ブラジル日本商工会議所2012年上期の業種別部会長シンポジウムを開催させていただきます。

    本日はお忙しい中ご参会いただきましてありがとうございます。最新の情報でも、本日、163名以上の方に参会いただいているということで、史上最高の参加者人数となっております。本日、お忙しい中、国際公共政策研究センター理事長田中様、在サンパウロ日本国総領事館総領事大部様、在ブラジル日本国大使館参事官荒木様、ご出席本当にありがとうございます。

    改めて御礼を申し上げさせていただきます。私は本日の司会を務めさせていただきます、伊藤です。慣れない司会でいろいろ不手際もあると思いますけれども、本日はよろしくお願いいたします。

    本日のプログラムはお手元にあります通り、まず商工会議所の近藤会頭より挨拶いただき、その後、特別ゲストであります国際公共政策研究センター理事長であります田中直毅様より基調講演。

    そしてその後業種別部会長による発表とさせていただきます。途中15分のブレイクを含みまして、最終的には18時30分までに閉会を予定しておりますので、よろしくお願いいたします。それでは近藤会頭よろしくお願いします。

     

     

     

  • 開催挨拶  近藤正樹会頭

    Boa tarde. Boa tarde a todas. 本日は恒例の業種別部会長シンポジウムに多数ご参集いただき誠にありがとうございます。

    大部サンパウロ総領事、在ブラジル日本国大使館荒木参事官はじめ政府関係者の皆様、ご多用の中ご臨席を賜り厚く御礼申し上げます。本シンポジウムは会議所のメインイベントであり、2月と8月、年2回開催しております。

    全部で11の部会があり、それぞれの部会はこのシンポジウムに備え十分な分析、検討、整理を行い、満を持して本日に臨んでおります。部会活動の大きな柱と言ってもよろしいかと思います。

    マクロ経済はもちろん、各業界ごとのまとまった動向が発表されますので、ブラジル経済全般をざっと一覧、マスターできる絶好の機会となっております。今回のテーマは「2011年の回顧と2012年の展望」。副題として「景気減速が日本・ブラジルの経済関係に与える影響および日本政府への要望」という興味深い内容でございます。世界経済減速はブラジルそして日本の実体経済にどのようなインパクトを与えるかに関しても何らかのヒントがあるものと思いますし、また日本政府への要望に関しましても官民一体となって行っていくべきことに関し、実際できること、できないことも含め優先順位が整理されていくものと思います。

    一方、先程司会の方からお話がありましたように、今回は国際公共政策研究センターの田中理事長に世界経済の動向に関して基調講演をお願いしております。世界はグローバルにつながっており、瞬時に資金・情報が動きます。ブラジルは内需が旺盛でGDPも2015年には世界5位との予想もありますし、確かに自律的な面が強くなっておりますが、やはり世界の流れの影響から逃れることはできません。

    ぜひ世界経済のホットな動向を抑えていきたく、田中理事長のご講演をとても楽しみにしております。さて、会議所といたしましては日本のプレゼンスを高めていくことを一つの目標としております。ブラジルは世界から注目度が高く、その分競争も激しく、タフな市場ではありますが、ここで通用しなければ他の国でもうまくいきません。

    ブラジルを将来の、そして長期のパートナーとして位置付けて、強い意志で取り組んでいく所存でございます。環境・インフラ・資源・防災関連など、官民一体となってオールジャパンで取り組んでいくものにも挑戦していきたく、引き続き皆様のご指導とご協力をお願い申し上げます。

    各企業の皆様におかれましては、本シンポジウムが各社の経営戦略の策定の際お役に立つことができれば、幸甚に存じます。最後になりますが、本シンポジウムの担当であります総務委員会、企画戦略委員会、そして部会、および事務局の皆様のご尽力と会員各位のご協力に対して御礼を申し上げます。私の挨拶とさせていただきます。ありがとうございました。

    司会
    近藤会頭ありがとうございました。続きまして国際公共政策研究センター理事長であります田中直毅様より「世界経済の動向およびブラジル経済の景気動向調査協力願い」というテーマでご講演をお願いいたします。

    ちなみに国際公共政策研究センターとは、21世紀において日本が果たすべき役割を民間の立場から支援すべく、公共政策課題、特に外交・安全保障・環境・日本国内構造改革などの問題に関する調査研究・政策提言を行っている組織です。それでは田中様、よろしくお願いいたします。

     

     

     

  • 基調講演   国際公共政策研究センター(CIPPS)  田中直毅理事長

    ユーロ危機によって日本の政策の焦点が絞り込みが始まったと思っております。今年総選挙がある可能性が非常に高いんですが、税と社会保障の一体改革というふうに呼ばれているもの、特に消費税増税の議論は、解散の前か、解散後の新しい議会において今年中に一歩進めるものと私は予測・理解しております。

    なぜ日本において、まあ長年言われてきました財政赤字の封じ込め策というもの、まあ今回第一歩に過ぎませんけども、これが動き出したかといえば、ユーロの情勢がさすがにわが国にも大きな影響を与えたというのが私の理解でございます。

    ユーロ危機が始まりまして、色んな段階がございますけれども、国債の価格、主権国家が発行しています国債の値段が突然変わり始めるというゲームを、まあ我々は日々観察したわけであります。

    このゲームが始まる前と、始まった後では、まったくゲームの性格が違います。ユーロ圏にあるそれぞれの国が出しています国債の量、これはGDP比で見てもいろいろでございますけれども、途中まではご存知のようにこのユーロ加盟17ヶ国の国債の利回りはほとんど変わらなかったわけです。

    強気も弱気もありましたけども、ある幅の中で取引が終始していました。ところがギリシャの債務危機をきっかけといたしまして、ゲームの性格が変わってしまいました。主に投資家が三つの層に分かれました。

    第一の層は、もはや債務危機は、これはもう相当なところまで行くと考えた投資家は、例えばポルトガルの、例えばスペインの、あるいはイタリアの国債を先物で売りたてます。下がったところで買い戻して利益を上げるというのが、こういうマーケットを通じた国債価格の下落状況であります。

    二番目の投資家層は、こうした動きが始まってしまったのに対して、しまったと思うわけですが、損切りは早い方がいいというので、損失を最小にするために、持っている国債を、損が現実化するんですけども、売ると。これに入ります。ここは損害が小さいということになります。

    しかし投資家の中には、簡単には売れない、損がリアライズ、現実化するということになりますと、色んな不都合が起きるところがあります。とりわけ金融機関がそうでございまして、簡単には売りに出られないところがあります。売り始めたら、これは石を持ち上げて離すようなものですから、自分の足の甲を痛めるということが明らかになるわけですからこれは中々売れない。

    それから個人投資家の一部も当然、値下がりを始めたので困ったなとは思っていますけども、もう一度満期まで持てば何とかなるだろうということで持っています。しかしそのうちに、現在のギリシャのPrivate Sector Involvementと言われるように、まあごめんなさいと、100の価値で償還するはずだったんだけど、100はできないと。これを例えば40にすると、60は消えてなくなるわけでございますが、まあそういう情勢が今起きようとしています。

    で、投資家層の中でおおざっぱに言って三つに分かれる過程を見た以上、日本においてもしこれが起きたら、JGBが大幅に売りたてられるようなことが起きれば、日本においても同じ事が起き得ます。

    1920年代に日本がもう一度、第一次世界大戦の時に金本位制から離れましたので、もう一度世界の、1920年代の世界は金本位制に戻る形でグローバルな金融秩序を作り上げようと、日本もその中に入らなければ日本は国際社会の流れに一人遅れることになるということになって、この国際的な金本位制に戻る動きが、日本のビジネスの中でもそういう主張をする人がいましたし、それから当時の浜口雄幸とか井上準之助はもうそれをやらなければ国際的なレジームの外側に日本は立ってしまうという、まあこういう認識で金本位制に復帰しようといたしました。

    その時に、どのレートで円は国際社会に復帰するのかということを巡って大きな対立がありました。このプロセスの中で円は、かつての旧平価では戻れないんじゃないかという考え方がビジネスの間で次第に広がってまいります。

    そうしますと、個々のビジネスは自分の仕事を守るために、例えば外貨建ての債務を負ってますから、外貨建ての債務を持ったまま円が急落するということになりますと、外貨建て債務の重荷はあまりにも大きくなりすぎます。

    したがってビジネスを維持しようと思えばドルを早めに手当てせざるを得なかったわけです。この早めにドルを手当てするという、まあビジネスにおいてはごく普通の行為でありますけども、これが大手商社、大手銀行によるドル買いというふうに言われました。

    円を売ってドル買いをするという議論が出てまいりますと、当時の雰囲気ですから、すでに色んな人が殺され始めているわけですが、例えば三井の団琢磨が殺されたというのもまあそうした流れの中であります。日本が軍国主義に転換してしまった前に日本のベスト・アンド・ブライテストといわれる人が殆んどというか、ことごとくと言っていいほど殺される時代になったわけであります。

    浜口雄幸、井上準之助、団琢磨、そして高橋是清、その他挙げればきりがありませんけども、いずれも日本と国際社会との間合いというものを十分に知った上で、いかにして国際社会の中でわが国のあり方を決めようかということに悩んでこられた、そして果断に動いた人たちが片っ端から殺されたわけです。

    殺されるともうサーベルが恐ろしくて、軍部に対して物事が言えなくなるという時代を迎えたわけです。きっかけは何だったかということを今になって考えますと、円売りドル買いという状況を生み出したことが、国際社会への復帰はもちろん重要だったわけですが、この亀裂を国内において封じ込めることに失敗したというのが私は大きいと思っています。

    今回、もしわが国がJGBで大幅に値崩れする、現在、例えば、まあギリシャはちょっと極端ですけれども、例えばイタリア並みに売られたといたしますと、これはJGBにとってはただ事ではありません。現在これだけ借金が多くても、日本が少なくともクライシスを避けられているのは、国債の流通利回りが1%程度だからであります。

    これがもし現在のイタリア、一時7%まで流通利回りがなりました。まあ現在は7%は行っていませんけども、例えばまあ6%前後というようなのがしばらく続くというふうに予想されておりますけれども、もし日本が6%の利回りまで国債価格が急落したといたしますと、これはたいへんなことになります。

    今年、今作っています予算から3年か4年考えますと、新発債で40兆円が出ます。どう考えても40兆円で続ける。で、借換え債、満期になった国債の借り換えがですね、これも毎年120兆から130兆出ます。そうすると毎年160兆の国債を発行します。

    で、利回りが今1%ですから、その新しい国債を、借り換え債を含めて、出してもですね、それが問題なく、財政当局にとってはまあ受け入れられる利払いでございますが、もしこれがイタリア並みの6%になったとしますと、プラス5%余分に金利を払わなければいけないわけです。で、新発債と借換え債で160兆円出ますから、1%上がるのが1.6兆円その年利払いが出ます。

    これに、もし6%増えるということになれば、5%分増えるということになれば、8兆円増えます。でその次の年もまた8兆円増えるわけですね。新発債と借換え債で160兆、170兆行きますから。そうしますと、この、毎年8兆円ずつ増えてくるということがもし起きるとすると、と考えると、これはたいへんなことだということになります。

    消費税をいくら上げてもそれは利払い比の拡大につながってしまうということになるわけでして、これは、ヨーロッパの危機は他人事ではないということにわが国ではやっと議論が収斂し始めているというふうに私は思っています。

    まあ私はそういうふうに、まあ狼少年ではありません、もしこの問題を封じ込められなかった時にはたいへんなことが起きるということはもう言わざるを得ませんし、今私どものCIPPSで本を皆で、研究員ともどもまとめておりますが、この中ではこの問題をそのひとつとして取り上げて、どうしてもこれは封じ込めなければいけない問題だというふうに考えております。

    イタリアはちなみに、これだけ国債が売り込まれましたけども、プライマリー・バランス、プライマリー・バランスというのは政策経費に使う部門、国債の元本償還と利払いを除きました政策経費に使う支出を基本的には税金でまかなっています。プライマリー・バランスは赤字じゃないんです、イタリアは。

    わが国は今年から数年間22兆円程度の赤字が続く。これは今野田内閣が国会に発表したデータであります。これから、残念ながら、4月から始まる年度から始まって3ヶ年ぐらいはですね、今の情勢を前提にしますと22兆円のプライマリー・バランスの赤字があります。

    22兆円というのはどのくらいかというと、まあざっとですね、消費税率を10%引き上げるということにつながる金額であります。まあ逆に言えば、消費税率を10%引き上げればプライマリー・バランスはこの赤字が消えます。

    で、赤字が消えれば、問題を封じ込めることができる。要するに日本の財政と経済との関係に大きな破綻が出てくることはないということになるわけであります。で、この10%、今の5%の消費税率からプラス10%、15%までもっていくというのは、これは税と社会保障の一体改革と言われているように、消費税をお願いする以上福祉の面で余分の手当てをしなければいけないんではないかというのがまだ、政治家の頭に残っていますので、社会保障の話を引き合いに出していますけども、本当は社会保障の話はその先なんですね。

    プライマリー・バランスの赤字を封じ込めまして、その先に高齢社会化にともなう問題を議論する。ということは今の、色んな細かい計算とか相互関係とか、例えば税金、消費税率を引き上げた時に経済経営はどうなるのか言い始めると、まあ色んなパターンがありますので、その話はちょっとまあ、大学の経済学の講義ならばそういう議論も細かくやってですね、それで学生さんをテストするというのも教師の仕事ですけれども、まあ非常に雑に機械的な計算をしますとですね、5%の消費税率から15%にするまでは、これは一旦緩急をなからしめるための策なんです。

    で、そこから先に、15%から例えば20%の消費税率、さらに5%上げるという時に初めて、社会、21世紀の新しい社会に対応した仕組みを作るということにつながるというものであります。わが国でこの議論はどのくらい組ませるかというところに来ているわけですが、ヨーロッパ情勢からいくとですね、今年中にさらに議論は、私は、日本で問題の絞込みが始まると思います。

    今ヨーロッパで起きていますことは、ドイツが果たしてこのユーロ圏を維持するために本気になるのかどうかということであります。とにもかくにも現在ユーロが成り立っていますのは、ドイツが踏み込んだからであります。どうやって踏み込んだかというと、Bundesbank、ドイツの中央銀行を使いまして、ECB、欧州中央銀行におよそ50兆円の貸し出しを行いました。

    で、連邦政府が貸し出した場合には連邦政府のバランスシートにそのまま出て来るんですけれども、Bundesbankは、その昔は、すなわちマルクを使っていた時にはですね、これはもうまがうことなき中央銀行だったわけですが、欧州中銀を作りましたのでBundesbankの役割というのは小さくなったはず、事実小さくなったんです。

    しかし依然としてドイツの銀行の貸し出し資産の査定その他はやっているわけです。で、Bundesbankとドイツの連邦政府との関係はですね、まあ言うならば、連邦政府にとってオフ・バランス、バランスシートの外側にある実体であります。

    でBundesbankが実証の貸し出しを50兆円にやったんですけれども、これはBundesbankだけで決められるかというとですね、当然ですがメルケル首相に報告あるいは承認をもらっていると考えるべきでしょう。だって、ECBに50兆円を貸し出して、ユーロ圏が崩壊した場合に、この50兆円というのはじゃあどうなるんだと。誰がこれ返してくれるんだということになりますから、最終的にはドイツの納税者の負担だということになります。

    で、50兆円がECBに行きまして、ECBからギリシャ、ポルトガル、スペイン、イタリー、最近はフランスにまでこのお金が行っております。それでやっともっている。今年は世界で色んな選挙がありまして、まあ例えばサルコジさんはフランスで大統領再選されるかどうか、まあ大きな疑問符がついておりますけども、もうサルコジさんが出てくるか出てこないかはユーロとの関係ではもう関係ないんですね。

    Bundesbank、あるいはもっと言えばドイツ連邦政府が行ったこのECBへの貸し出しの問題をどう取扱うかということになっているわけです。ミュンヘンにIfo研究所というのがありまして、このIfoインスティトゥートの所長のシンという人がですね、ついにこの話を書いたんです。

    で、書いたからドイツの、皆が知ったわけじゃないんですが、まあ政策問題に関心のある人は分かったわけです。なーんだ、と。Bundesbankはそこまで踏み込まないとユーロというのは持たないのかと。これ、保証ですから、この保証というのはあちこちで破綻が起きた時にはですね、最終的な帳尻はドイツの納税者に回ってきます。

    もうサルコジが再選されるかどうかはもうどうでもいいでしょう、おそらく。とりあえずユーロのことからいけば。要するにドイツ連邦政府の中で、あるいは議会との関係でですね、どうするんだと。ユーロをどうするんだと。こんなことがまだ続けられるのかという議論が私はやっぱり始まると思うんです、ドイツで。で、メルケル首相がどう答弁するのか、まあ与野党間でですね、これはあまりギクシャクやるとユーロが本当に崩壊しちゃうかもしれないから、この話はそーっとしていこうという類の話ができるかどうか。

    あるいはそういうことを、もっと逆に、ポジティブに、何が何でもユーロは守るというふうに与野党間の合意ができるかどうかという議論になっています。このドイツ情勢の議論はですね、我々ヨーロッパの金融情勢を展望する上で、私ドイツ語ができないんで、ドイツ語ができる経済学者にはですね、とにかくドイツをフォローしてくれと言っているんですけれども、まあそういう情勢であります。

    そういう中で、私は可能性として、ギリシャの切開手術もやろうというようになるかもしれません。それはドラクマの復活を認めるということです。ドラクマをどうやって復活させるのか。オレンジからジュースを作っちゃったわけですね。ドラクマその他色んな通貨からユーロをいうのを作った。今度はユーロから離してもう一度昔のドラクマに戻すわけですから、ジュースからオレンジに戻す話です。これはそんな簡単な話ではありません。誰が考えてもジュースがもう一度果実になるわけではない。仕様がない、それは取り替えるより仕様がないですね。

    で、ジュースをオレンジにしますといって別のオレンジを与えて、これでまあオレンジになりましたと。この取り替えをやるためにはですね、預金封鎖をしなければいけない。ギリシャで預金封鎖をします。

    それで1ユーロを2ドラクマと、例えばそういう形で新しいドラクマの紙幣を配ることになります。これによって何が起こるかというとですね、ギリシャに対しては観光旅行がいっぱい増えるわけであります。

    最初の段階では今までユーロで表示されたのがそのままドラクマに表示が変わるだけですから、1ユーロは2ドラクマですから、ギリシャ旅行がですね、最初の段階、インフレがまだ立ち上がってくる前ですから、いい旅行ができるわけですから、いっぱいギリシャに人が来る。で、これはまあ、昔の経済学者はこういうのを機会輸出と言ったんですけども、いっぺんに為替レートを下げてそれでもって経済活動を立ち上げる。それはまあ観光客が来れば経済活動が立ち上がってきますので、その立ち上がってきた経済活動を通じて税収が増える。

    このプロセスをまあギリシャで産む以外にない。だけども、それをやるためにちょっとした細工がいるんですね。預金封鎖なんていうのはですね、一体いつの話だということなんですけれども、これが出る可能性もあります。

    ですから、例えばそういう議論がドイツで、この保証の問題がこれから少なくとも議論される。あるいはギリシャを切開して外すという話が出てまいりますから、冒頭申し上げましたわが国におけるこのJGBを、国債の急落を避けるための措置というのが不可欠という議論に入っていくんだと思います。

    で、野田内閣は与野党協議でとにかく増税を決めてもらって、その後解散にもっていきたいと、まあ話し合い解散ということですが、この可能性はどうも、まあ正直ですね、日本から来たんだからそのくらいちょっと言っとけと言われれば、まあ私の予想はですね、話し合い解散の可能性は小さくなったと思います。

    ということはどういうことかというと、まあ今年、予算のうちですね、増税法案、予算関連法案等は揉めに揉めて決まらない、結果として総選挙が行われる。しかし総選挙の後上がってきた議員はもうこの話から目をそらすことはできませんので、総選挙が終った後、その後どういう政党の連携ができるのかはまだ、もう誰も分からない話になってきているんですけども、しかし方向ははっきりしています。

    もう増税を、JGBの急落を防ぐため、やらざるを得ない。なぜかというと、もう、昨年の東日本の大震災で絆という言葉がずっと広がりまして、やっぱり我々は、日本列島に住むものとして絆の重要性を議論しました。

    しかし、実際にJGBが急落したら、さっき言った三層に分かれますから、投資家で。結果として儲ける人まで出てくるわけで仕様がない、マーケットというのはそういうものです。今の国債、JGBの市場はですね、強気もある、弱気もある、でも流通利回り1%前後してですね、この範囲でまあ皆同じ中で、仲間で取引しているんです。

    強気弱気はまた次の局面で変わってくる。でもその前に、でもこれが、流通利回りが5%になる、価格が急落する過程というのはですね、ものすごいドラマ、ものすごいゲームが始まるんですね。このゲームが始まったら、さっき言ったようにもう絆どころの話じゃないです。

    日本社会の分断が起きる。で、これが起きるとですね、たぶん私はもうそんなことを起してしまうと一世代は社会の絆は絶たれると考えた方がいいんじゃないかと。あんなこと、あんな情勢でも儲けたやつがいるという話はですね、この日本社会を本当におかしくすると思います。

    一度、政府の能力も含め、あるいはそういう中でマーケットとガバメントとの間の亀裂、あるいはマーケットの中における亀裂を見せ付けられると、その後の日本人は、マーケットってそんなに良いものなのかと言い始めた時にですね、そうした連鎖の声を封じこめる手段は我々は多分なくすと思います。

    政府の無能力に対する批判、それからおよそ経済を論ずるまあ私どものような職業の者が、まあいいんです、我々のような職業はまあどうでもいいんだけど、でもそれは無傷ではいられません。言論というものの品質に関わって、要するにろくなもんじゃねえと、経済を議論するやつっていうのはろくなもんじゃないと。

    で、日銀にどんどん日銀貨幣を刷らせてそれでデフレ脱却をすれば日本経済はうまくいくという、まあシンプル・マインディッドと言うんですが、まあ要するにそれだけまだ大学で講義している人が日本の大学の経済学の教師のですね、ざっと見積もって4人に3人ですね、そういう議論をやっているんです。

    でそれをやったらどうなるのかといったら、さっき言った話になります。もし日本銀行がそれをやりだしたらですね、世界は、あるいは日本の中の一番聡い投資家は、ついに日本政府はまっとうな手段で国債の返済をすることをあきらめたと見ます。ゲームの質は変わります。

    まあ、それでも我が日銀はさすがにそんな浅慮な人はあまりいない、日銀の中には。だから日本銀行はぎりぎりそんなことはしませんけれども、大学の先生の過半はそれを言っているわけですからね。まあいいんですけど、大学の先生が失職してもそれはいいんだけども、問題は日本の言論の質というのはこの程度かということになると、パブリック・ディシジョン・メイキングというこのプロセスに大きな傷が残ります。

    でこれを修復することは本当に難しくなるんじゃないかと私は思っておりまして、まあそういうことでわが国の議論は今年相当絞り込まれると思いますので、まあ逆に言えばユーロの危機はまだ続くと、残念ながら続くと。その中で日本での議論の絞込みが起きるというのが私の予測であります。

    で、今日実は皆様方に提案という形で、ブラジルの経済情勢を分析するアンケート用紙を商工会議所を中継ステーションとしてお願いできないかということなんです。これはどういうことかと言うと、ブラジルを始めエマージング・エコノミーの問題が世界経済の中でご存知のようにウェイトがものすごく高くなってきています。

    2008年のリーマンブラザーズ破綻の後、世界的な金融萎縮が起きましたけれども、これはまあヨーロッパ、そして、元々はアメリカから始まるサブプライムローンの話なんですが、このサブプライムローンを合成して証券化して、これが世界中に出回っていって、まあヨーロッパの銀行がこれをいっぱいゲップが出るほど買い込んでいたというところから話は始まるんですが、結果としてこの、先進工業国に問題がやってきます。

    この時中国が、2年間にわたって4兆元という金額ですから、まあ50数兆円ですね日本円にすれば。先程BundesbankがECBに貸したのも50兆円、中国が政府支出を一気に増やしたというのもですね、まあ50兆円、50数兆円ですから、今もう世界を動かすというか、いざという時にはもう50兆円の議論になっちゃっているんですけども、中国がまあ50兆円を出しました。

    ところがこれによってですね、中国は経済経路が変わってしまいました。今、この2年ほど、要するにこれが議論が始まったというか行われたのが2008年の暮れからなんですが、2009年に入ると中国の人たちは国進民退という、国有企業が前に出て民有企業は退くという国進民退という形になりました。

    2年間にわたって50数兆円の金をばらまく時に、民間企業にそのままお金をつける手段というのは中国はない。入札において公開入札するような仕方はできない。結局国有企業を通じてできることは限度がありますから、橋をかけたり、ダムを作ったり、鉄道を延ばしたり、そして工業団地を作ったり、そしてまあ中国の自治体政府が色んな思惑で、この、高いビルディング、商業用ビルディングはじめを作ると、もうそういうものにしかお金が行かない。

    で、それは中国の持続的な成長を難しくするという面が明らかになりました。で、この、まあブラジルの場合も多かれ少なかれ言えると思いますが、中国においてこの、経済統計というのは難しいんですね。信頼できるものというのは本当に少ない。

    例えば在庫統計というものは中国ではろくなものが無い。民間企業のことを分かっていないんです、中国政府は。なぜかというと、中国という国には統計法というのがないんです。統計法というのは、統計を作るためだけに調査をする、しかしそのデータ、その資料が国税とかそういうところに回ることはないと。だから統計の調査にご協力くださいということを決めているのが統計法。

    市民社会を前提とした国には統計というのはそういう位置付けを得ている。ところが中国では統計法がない。そうするとですね、どういう手段で、例えば在庫、民間企業にある在庫をどうやって調べるか。調べられないんです。

    それは、いや調べられるだろう、聞いて回ればいいじゃないかと、統計員が行ってもですね、本当のことを書かないんですね。そりゃ利益に関わる話だし、お前さんのところそんなに積み上げたその製品在庫があるんかいと、じゃあこれまではどうだったんだ、売上との関係はどうなっているんだと色々言われちゃかなわないと思うから協力しませんから。中国の経済とGDP統計ってありますけれども、在庫統計というのはもうあてずっぽで作っているんですね。

    それは私が今から10年ほど前ですね、中国の国家統計局の局長に会った時に、どう考えても中国経済の在庫循環をあなたが作っている統計では解明できないと言ったら、それはそうだと、あれは出鱈目だと言ったんです。統計局長が。

    その、まあ、後日談を言わせていただくとですね、この統計局長は上海のGDPを小さくするために、なめたんですね。なぜそんなことが必要だったかというとですね、胡錦濤政権において上海を抑えるというのはものすごく重要だったんですね。

    要するに上海ばかりが発展するというのは良くないので、上海を抑えようと、でもっと中西部とか経済発展が行かないところにリソースを回すというのが胡錦濤の政策でしたから、上海はその経済成長率を低く見せたかった、投資を続けるために。

    それで統計局長にですね、まあここから先は色々な話があるんですが、まあ言うならば、ちょっと細工してよと言ったんですね。で、対価を要求したかどうかは分からないですが、結果として、まあ、美人の女性が彼の周りにウロウロするようになってですね、で彼が解任した時は不倫罪というので、奥さんがいるのに他の女性を連れ歩いたという、まあ何かそういう。実際はですね、上海が統計局長に鼻薬を効かせたと、それが美女だったということらしいんですが。

    私は、彼は非常に素直な人で、私に教えてくれたくらいですからね、その不倫罪を惜しんだんですけれども、まあそのようにですね、中国の経済統計というのは使えないんですね。そこで我々は中国における在庫循環を取り出すためにですね、日本から中国に進出して事業活動をやっておられる企業にお願いしてアンケートを行いました。

    これはですね、同じことをブラジルでやってもらおうと思って配っているんですが、こういう、中国の場合はですね、これで見ていただくとお分かりかと思いますが、この統計、日本から中国に進出して中国で生産活動や販売活動をやる拠点における責任者の人に答えてもらうんですでども、これは何ら企業機密に関わることを聞いてはおりません。

    最初のところでですね、何を聞いているかというと、先月と今月との景況感で、どう思いますか、大いに改善している、やや改善している、変わらない、やや悪化している、等々に丸を打っていただくわけです。

    ですからこれは、その、仕事をされている責任者の人がですね、まあ自分が仕事をしている限り上りのエレベーターだなと、あるいは下りのエレベーターだと、あるいは止まっているね、ということについて印を付けていただくわけですね。

    でその次に中国でやったのはですね、これはブラジルの場合ですけれども、ところで国内要因はこの景況感にどういう影響を与えていますか。欧米要因はどうですか。あるいは日本の要因はどうでしょうね、というのをこう聞いているわけです。で、これで何に反応しているか、何が影響をもって、これもチェックしていただくわけですから、これも企業機密めいたものは一切ございません。

    その後、売上高予想を聞き、あるいは売上高が前の月に比べてというのと、前年同月に比べてどうですかというのを聞いております。それから、事業にとってインプット・プライスに関わるところを聞いていまして、購入する資材や原料の値段は上がると思いますか、変わらないと思いますか、下がると思いますかということを聞いています。

    それから在庫はどうでしょう。減ってますか、増えてますかという、これも感じた所にチェックを入れていただくわけです。で、これは中国に行っている企業の方にお願いしていますので、中国はなんせ共産党一党支配ですから、スパイ罪とか何とかという、国家反逆罪とかですね、まあややこしいといいますか、そんなものに引っかかったらビジネスの方はたいへんですから。

    でもこれに答えてもらう分にはですね、中国の機密を漏らす話でも何でもないんですね。そのビジネスの方が、自分はビジネスをしていて、投入費用はどんどん高くなるけれども、他方で出荷価格に乗っけることは難しいなという、例えばそういうことを聞いているわけでありますし、今月は前の月に比べて売上は増えそうだと、あるいは前年同月に比べてどうなのかということを聞いていますし。

    でお宅の事業所の利益はいくらですか、なんていう話は、そんな無粋なことは一切聞いていませんので、企業機密には何ら触れないわけです。じゃあこういうデータを集めることによって何が出来るかというのをちょっと、例えばこういうことが出てくるんですね。

    去年の4月から中国について行いましたけれども、3月11日の大震災によってサプライチェーン・マネージメントがいくつかで齟齬をきたしました。ルネサス・エレクトロニクスという、まあ自動車向け半導体を中心に作っておられたところが大きな影響を、茨城県の工場が影響を受けました。

    これはまあ津波の影響ではなくて、震災によってクリーンルームに問題が起きたんですけれども、これは、ルネサス・エレクトロニクスというのは元々ですね、三菱電機と日立が一緒になられたところにNECが参加されましたから、これはもう本当に大きな、サプライチェーンで言えばですね、本当に中枢的なところだったわけですが、そこが駄目になると自動車が、ご存知のように作れなくなったわけですね。

    でこのサプライチェーン・マネージメントの破綻によってですね、4月、5月は中国のビジネスで日本から出ておられる拠点でですね、まあルネサスだけじゃなくて他のもありましたので、サプライチェーンの混乱によって状況が悪化したんです。で、それはまあ明らかだったんですが、6月をご覧になってください。

    6月には、両側にピンク色が出ていますけども、ほんの少しですが大幅に改善したと言っておられるところとですね、このプロの人たちが、もうよう分からんという人も一部出たわけですね。これはどういうことかと言うと、日本のサプライチェーンが一挙に立ち上がってきたんですよ、6月にかけて。

    で、その影響でプラスが出たところはですね、もう日本がものすごい勢いで、その、復活しましたので、部材が中国に着いたんですね。だから、状況は改善したと答えられているところもあるし、錯綜したところもあるわけですね。もう作れないと言われていたのが作れる、あるいは逆のことも出る。まあ情報が交錯してですね、一体わが生産拠点は増産体制を取っていいのかどうかというのを困られた時もある。

    で、これは6月にこういうデータが出ているわけですが、それ以降ですね、悪化しているという声は小さくなるんですが、この、秋にかけて、今度は悪化しているというのが増えてくるわけですね。これは中国における、まあ経済情勢をですね、写し取っていると言っていいわけです。

    これは気象図で言うと等圧線なんですね。まあ日本列島周辺で言えばですね、ヒマラヤ山系ですごい大気流が発生しています。あるいはシベリアの高気圧があります。太平洋には低気圧があります。で、等高線というのを書きますね。で、観測地点をある程度稠密にすればですね、我々は気象図、今の、現在ただ今の気象図というのが書けるわけです。何ミリバールというのがずっと書けますから。これがいわば等圧線に相当するものです。

    中国でこれに相当する等圧線を手にしていると自負される予測機関はそんなにはないんです。わからない。中国の話というのは、もう本当に、さっき言ったように在庫統計そのものがありませんし、ミクロのデータというのは中国政府は持っていませんから。アクセスできませんから。企業情報にアクセスできないんです。

    統計法も無い国だから。だから、在庫が分からないのに等圧線なんか書けないでしょう。でもこの、こういう調査をお願いして、ちなみに中国で今協力をいただいているのは60弱の拠点でこれをいただいています。

    まあ今年ちょっと増やして、徐々に増やしていこうと思っていますけれども、まあ80とかそのくらいまで行くとですね、もうちょっと良いかなと思っていますが、60弱でもですね、こういういわば等圧線は出ました。

    こういう調査はさらに、何かもっとわかる事があるのかということは次のを見てください。これはですね、横軸と縦軸に取っていますのは、横軸に取っているのは先程のように、色で見たようにやや悪化しているというのは青く出るわけですが、縦の方はですね、この景況感に大きな影響を与えるのは何ですかというもののうち、ここは中国の国内要因というのを取っているわけですね。

    で中国の国内要因が非常に影響しているというのが一番上のところで、やや影響しているというものが広い幅になっていますから、それだけそういう回答をされる方が多いということであります。

    これを見ていただきますと、中国要因が景況感に大きく影響しているというところではですね、悪化しているというところがもう圧倒的に多いわけです。で、中国の影響が全くないというところはですね、例えば沿岸の輸出拠点ですと、所詮作った製品は中国に行っていませんから、ヨーロッパなりアメリカなり他のところに行っているわけですから、中国要因の影響はまったくないと言っておられるところはですね、全部悪いと言っている。

    それは輸出環境がまあ無茶苦茶崩れちゃったということを、この一番最後の全く影響がないと言っておられるところは。で、あまり影響がないというところでもですね、悪化していますし、まあこれがですね、ここまではクロス統計で取れるわけであります。

    で、まあ我々はですね、中国を例に今主催させていただいていますけれども、もうちょっとやりたいと思っているわけです。何かと言うと、等圧線で気象図を作りましても、それは現在ただ今は西高東低の気圧配置になって、太平洋岸ではお日様が出て、日本海岸ではいっぱい雪が降っていますという、現実と等高線とは対応していますので、これはこれでいいんです。

    しかし、明日はどうなるのか、3日後はどうなるのかというのは、等圧線だけからはですね、ご存知のように予測はできないんです。それはそうやって予測できるかというと、等圧線を作っています変数があるわけですね、主要な変数。例えばシベリア高気圧とか、ヒマラヤ山系から上がってくる大量の上昇気流とか、太平洋岸にある、太平洋上にある低気圧の塊と、これが変数です。その変数がどういう形でこれまで推移しているか、で推移してきたのに対して結果として等圧線の変化がどういう形で生まれたのかという関係を調べるわけです。

    で、変数として何を選ぶか、しかもそれは次々と変わりますから、さかのぼったデータを変数として取りますね。で変数間のパラメーターの推計をやるわけです。そうしたモデリングを通じて予測ということができるわけです。

    で、中国経済の予測を、まああてずっぽでやっている人はいますけども、今申し上げたようなモデリングを通じてやっているのは、まあ私は無いと思っています。在庫統計もないところでですね、経済予測なんてできないんです。ビジネスサイクルというのは全く分からない国ですから。

    まあ、分からないというか、外からは観察できない国。で、皆さんの協力を得ると等圧線ができることまで分かったと。等圧線ができたら、その等圧線の変化の、これまでの変化を変数として取って、変数間のパラメーターを推計するモデルを取って予測を行います。

    一つこの予測の事例を、これを見ていただきますと、今中国について、さっき言いました在庫とか景況感とか色々答えていただいていますので、それを通じて中国経済のディフィージョン・インデックスを独自に作成いたします。そうすると、それにどういう影響が出てくるのかを、中国の変数は使えませんので、外の変数を使う。

    例えばハンセン指数の中でですね、中国経済に一番大きな影響、中国系企業で上場しているものの指数がありますので、このハンセンH株指数というのを取って、それで推計を行うとですね、推計は逐次推計で毎月やるんですけれども、6月までぐらいはですね、大体幅が同じところ推計で行くんですが、7月の推計からは抉るような形、8月はさらに抉るようになっていきます。

    先行きについて。これ9月10月11月ずっとやるんですけれども、これで見ていただいてもですね、大きな変化が夏に起きていることが分かります。夏のデータまでを取ると、先行きについて、中国経済の景況感と言いますか、ディフィージョンインデックスが下の方にふれる可能性があるというのをこれは拾っています。

    でこれは先程言いました、等圧線を通じてこの足元を固めた後、そこに影響を与えている変数で、変数といっても数字ですから、最終的には、信頼できるものを使わなければいけない。で、中国で使える、信頼できる、まあ物価統計って使えるでしょうという人もいますけど、まあ使わない方がいいですね。おかしくなっちゃうんです、中国がなめてると考えた方がいいんですね、変な動きをします。まあ比較的使えるのはですね、輸出統計は両側でチェックしている、輸入国の方と両方でチェックしていますから、輸出統計はまあ辛くも使えるかもしれない。

    それから電力消費はですね、これはやっぱり、発電所の数はそんなでもないですし、まあ足し上げるが簡単なので、そんなには操作できないので、電力消費はまあ使えるかなと思っていますけども、それ以外の色んな異質的な、異質なものを足し上げるようなのは今の中国では何も使えない。

    で、それを使ってですね、我々は予測しようとしています。でブラジルはですね、中国経済とブラジル経済は地殻で言えば重なり合っている部分がものすごく強いんですね、それはまあご存知のように、原料炭、まあ石炭とかですね、鉄鉱石とか、まあ穀物とかというのはもう、中国の経済プレートとブラジルの経済プレートは重なっていますし、それからバラ積み船の海運市況を決めるものは、このブラジルと中国を結ぶ航路の繁閑によって決まるんですね。ものすごく大きな影響を受けます。

    中国とヨーロッパを1としますと、中国とブラジルは距離で2.5倍になりますので、この2.5倍の長い距離で商売が盛んになりますと、船舶は一挙に不足いたします。逆にここで商売が縮こまりますと船舶過剰が一挙に表面化する。

    今そういう意味でバラ積み船の、まあノルディック海運指数というのがものすごく動くんですけども、一番大きいのは中国プレートとブラジルプレートの重なりのところを拾い上げるとですね、海運市況の推計は、これは比較的簡単だというふうに思っていまして。じゃあブラジルでどうやったら等圧線が作れるのかといいますとですね、これはまあ皆様方のお知恵を借りなければいけないわけですが、私の見るところですね、今までブラジル経済の足下どうなっているのかの等圧線は、ブラジル政府も多分できていないのではないかというふうに、まあ違うかもしれませんがそう思っています。

    で、もしこの商工会議所の皆様にご協力をいただければですね、最初のアンケート用紙を見ていただくと分かると思いますけれども、これ、例えば事業所長の方にですね、すいません月一回このチェックだけ入れて下さい、それをメールで送ってくださいというお願いをするんですが、それが集まるとですね、等圧線が書けると思います。

    等圧線ができたらもちろんご協力していただいた方にはこの等圧線はお返ししますし、これを、まあ中国は去年の4月から始めました。もし例えば皆様のご賛同が得られてブラジルについて今年は4月から、中国から1年遅れて4月から発足できるということになりますと、多分今年の4月から年末ぐらいの間にですね、ある程度のデータが集まりますので、等圧線に近いイメージは持っていただけると思います。

    さらにその後1年先になると、中国経済プレートもまだ色んな変化をいたしますが、それとブラジル経済との関係は取れるというふうに思いますし、あるいはアメリカとかヨーロッパにつなぐ場合は経済データをもう少し使えますので、要するに発表されている経済データを変数として選んで、それとの間でパラメーターの推計を続けるという作業ができますので、まあブラジル経済の先行きについての予測ということについてもそれなりのものは作れるのではないかと期待しています。

    でも、これはやってみなければ分からないので、今日申し上げて、よしそれなら、この程度の話なら別にたいした負担でもないから引受けてやろうとお答えいただいて、1年経って、何だ何にも出ないじゃないかと、あいついかさま言っていたなと言われる可能性もゼロではないんですが、まあ多分だいじょうぶだと思います。

    今までも、これまではですね、日米の、日米経済については経済統計だけを使ってアンケートはゼロ、日本の統計とアメリカの統計は、例えば生産指数とか、卸売り物価とか、それからまあ金利ですね、これはは毎日取れますし、為替レートも取れますし、それからマネタリーサーベイという金融に関わる指標も取れますので、これはもう発表されているものだけですが、日米経済統合モデルで日米経済の先行きについてはもう相当なものを手にすでにしていますので、もう10年以上前に。多分ブラジルについてもですね、できるのではないかと思います。

    で、これまでもですね、じゃあそんなに良いものなら10年前に日米経済をやったならなぜそれをやらなかったんだと、今までやらなかったんだということなんですが、それほどエマージング・エコノミーに対しての関心が高くなったことはないんです。

    しかもやっぱりよく分からない、在庫統計がわからない国のビジネスサイクルはとてもじゃないが予測できないと。そしてまあ先進国経済とのデカップリング、先進国経済が駄目になってもエマージング・エコノミーはうまくいくという、思ったときもあるけれども、話は簡単じゃないというところまで来たんですね。

    で中国について協力してやろうという今事業所、事業所数でいって60弱なんですが、これはもう少し増やせますが、じゃあなぜ協力してやろうというふうに皆さんが言われたかというと、やっぱりこの程度の負担で何の企業機密にも、コンプライアンスにも、あるいは相手の国、共産党にいちゃもんつけられることもない。

    ちなみに私は中国共産党の政策スタッフにこれを説明に行ってですね、中国経済やっているけど、これはアメリカのCIAがやるのと全然違うよと、誰かを、国の機密を売れとか言って誰かを脅したり、あるいは金を払ったりしてやっているんじゃないんですよ、何の文句もないでしょうと言ったら、中国共産党の経済スタッフがですね、何の文句もありません、でも等圧線が出たら私どもにも教えてくださいと言うから、まあそれはいいですよと、あなたたちどうも手立てがないみたいだから等圧線は教えてあげましょうと言っていますけれども、まあ要するに中国でもそれはないんですね。

    多分、どうももっていないらしい。で、やっとここまで来ました。で、ぜひですね、年2回勉強会の集約をやっておられ、非常に積極的な活動を商工会議所の中でやっておられますので、ぜひこのご賛同いただければですね、今日賛同するよと、このぐらいの、一ヶ月に一度のこの位の労なら取ってやるよというふうにご回答を事務局の方にしていただければ、私どもで、これは毎月同じ質問表と、少し変えるところもあるんですけれども、いずれにせよもう全然手間取らせません。

    で、本当に思った通りのところ、そこで違う話にされちゃうとデータがゆがんできますので、これ誰にも機密は何もありません。無いはずですから、思ったところに印をつけていただかなければ。逆なところにつけてやれとかそれは困るんですけども、それはいわば鏡がゆがむのと同じですね。鏡がゆがめばその、本当はスリムにしなければいけない腹をですね、少しはスマートに見えるというゆがみがあったんでは中々自己努力は続きませんので、鏡はいつも磨いてなきゃいけない。

    磨いてなきゃいけないというのは、素直に印をつけていただくということだけが条件なんですが、それをしていただければですね、もちろん等圧線に関わる情報が集約できた段階でですね、すぐ調査協力者の方にはお知らせするという手順になろうかと思います。もしご質問がありましたらですね、この後コーヒーブレイクの時に時間もあるそうですから、その時にお寄せくださればと思います。どうもありがとうございました。

    司会
    田中様、たいへんありがとうございます。ちょっと時間が押していますけれども、もし何かご質問ありましたら挙手をお願いいたします。

    それでは、アンケートに対するご説明いろいろありましたけれども、このアンケート、商工会議所の方でもフォローさせていただきますので、もしご賛同いただける場合は連絡をお願いいたします。

    欧州経済とか、それから日本の増税とか、いろいろためになる説明をありがとうございました。それでは各業種の部会長もしくは部会長代理による発表を続けさせていただきます。先程も申し上げましたけれども、時間は厳守でよろしくお願いいたします。決して短くしろとは言いませんが、長くするのはご勘弁をお願いします。では金融部会、遠藤部会長よろしくお願いします。

     

     

     

  • 金融部会   遠藤秀憲 部会長

    金融部会

    今ご紹介にあずかりました南米安田の遠藤でございます。それでは時間もあれなので、簡単に金融部会の方からマクロ経済、それから為替・金利動向、そして銀行業界ならびに保険業界について簡単にご報告をさせていただきます。

    まず昨年、2011年のブラジル経済の動きについて概観させていただきます。今田中先生の方からもご説明ありましたが、世界金融危機の影響でマイナス成長となりました2009年の反動から、2010年は7.5%という非常に高い経済成長を記録し、2011年初めはブラジル経済過熱気味。それからインフレ懸念が非常に広がっておりました。

    これを受けてですね、政府は金利の引き上げ、それから引当強化を通じた個人向け貸出金利の抑制策等、旺盛な個人消費というものを何とかソフトランディングさせたいと、インフレ懸念を抑える政策を採ってまいりました。

    一方、諸外国、つまり先進国が低金利政策を継続する中で、ブラジルだけが高金利ということで、ブラジル資産に対する魅力が結果的に高まり、ブラジルへの資金流入、それからレアル高が継続したという状況でございます。このレアル高は、輸入品との競合激化、それから輸出競争力の低下ということを通じてですね、国内製造業の投資意欲、これを減退させ、結果として個人消費の一定の沈静化、それから年初からの、これはブラジル特有かもしれませんが、主要閣僚のスキャンダルと、こういったこともあり、公共投資の停滞もあって、GDPの成長率を引き下げ、御承知の通り昨年第3四半期のGDPの成長率はゼロと、ゼロ成長にまで低下する結果となりました。

    一方、昨年半ば、欧州の経済不安が深刻化した結果、国内経済への波及を警戒したブラジル政府は、世界経済停滞によるインフレ圧力が低下したことを理由に、マクロの経済政策目標というものを、これまでのインフレコントロールからむしろ成長、つまり国内産業重視というものに転換をしました。

    具体的には金利の引き下げ、それから金融取引税の導入をはじめとしたレアル高の対策、それから一部の個人向けの金融に対する引当率低減等の貸出の抑制策の緩和、それから御承知の通り国産化比率、この基準を満たさない自動車等へのIPIの上乗せ課税、それからレアル高に苦しむ特定の業種向けの社会保険料の控除・免除などの国内産業保護政策を相次いで導入したわけでございます。

    その結果、レアルの為替レートはご承知のとおり急落しまして、ブラジル中銀の介入等もあり、結果としてほぼ政府の望む水準であります、1ドルが1.7レアルから1.9レアルの水準で推移してまいりました。

    一言で総括するとですね、昨年のブラジル経済は、前半は金融引締めによってインフレ懸念を何とか押さえ込み、後半はマクロの政策目標をインフレ重視からむしろ成長、国内産業の重視というものに変化させて、為替レートの水準を是正し、金利を引き下げ、そして国内産業保護により世界経済停滞の中で何とか成長への布石を打ってきたと。まあこういうふうにブレーキといわばアクセルをうまく使い分けたマクロな経済運営を実施した年であったというふうに私どもとしては見ております。それでは次のスライドをお願いします。

    こちらがですね、主要なマクロの経済指標についてかいつまんでご説明をさせていただきます。2011年、昨年のGDP成長率は3.0%、これで着地するというふうにエコノミストの方々は予想されております。

    ブラジルの場合、輸出がGDPに占める割合、これは15%程度であるために、この減速は欧州の経済危機によるというものよりも、昨年行われた、昨年前半の金融引締め、これが奏効した結果というふうに見ております。

    一人あたりのGDPは2010年に1万ドルの大台を突破し、2011年にはまあレアル安というものにも関わらず1万2514ドルというふうに予想をされております。全体的な所得水準の向上は、ご承知の通り中流階級の拡大を促し、日本企業が得意としておりますより良いサービス、より良い商品への需要を高めているものというように期待をされております。

    次に国際収支、こちらに目を転じますと、コモディティ価格の上昇を主要因とした輸出の好調、それから国内景気減速による輸入のスローダウンということにより、貿易収支は298億ドルの黒字を計上しております。

    一方、利益配当金の送金、それから観光収入のマイナス、こういったものを主要因として経常収支は526億ドルの赤字と、赤字幅が拡大してきております。しかしながら、対GDP比で見てみると、昨年2011年は、年間を通じて見ると2.20%であったものが、年末2.16%と、ほぼ横ばいでございまして、経済全体に占めるインパクトはさほど拡大していないと言うことができようかと思います。

    526億ドルに上る経常収支は667億ドルの直接投資により結果的にファイナンスされておりまして、数少ない成長地域としてブラジルが企業の直接投資の対象になっていることをこれは示していると考えております。日系企業においてもですね、新規参入、それから設備拡大の両面で多くの直接投資がなされております。

    その結果、外貨準備高は3520億ドルの水準まで積みあがり、ブラジルの、この国の経済に対する各方面の信頼を担保している状態にあります。信頼の一例としましては、昨年欧州経済不安が高まっていた最中でありますが、6月にムーディーズはブラジルの格付けを1ノッチ引き上げております。市場が評価しておりますブラジルリスクの指標、いわゆるCDSのスプレッドは、2010年末に161.9と若干上昇しているものの、他の国、例えば中国が148.9、メキシコ153.2、韓国170、ロシア275.1、アルゼンチン919.6、などと比較してもまあまずまずの水準にあるのかなというふうに思います。

    ちなみに現在足下では140.0というふうに改善しているという数値が出ております。また、インフレ指数ですが、IPCAの指数、これが6.5%と政府のインフレ目標上限ぎりぎりで着地をいたしました。

    しかしながら9月をピークに沈静化の傾向が観察され、前半の金融引締めの効果、それから世界経済停滞の影響があったものというふうに見ております。一方、失業率でございますが、4.7%と歴史的に非常に低い水準にございまして、国内消費を底堅く支えており、一方で潜在的なインフレ圧力にもなっているという状況にございます。

    最後に株価でございますが、ずっとじり安が続いておりましたけれども、昨年7月の欧州経済危機の深刻化を契機として急落。8月8日にはBovespaが47793まで下落をいたしました。その後国内の産業重視の政策転換が行われた結果、反発し、年央は56754まで回復をしております。それでは次のスライドをお願いいたします。

    こちらがですね、金利ならびに為替の動向についてでございます。金利は右の軸、赤のグラフでございます。前半はご承知の通りインフレ懸念を抑えるために金利が引き上げられ、ピーク時では12.5%となりました。

    後半は、国内産業重視ということで、金利の引き下げが進み、年末で11.0。現在、市場はですね、今後、今年度、2012年末までには一桁の金利、多分9.5%程度まで引き下げをするだろうというふうにエコノミストは見ております。他方、左の軸、青のグラフですね、こちらで為替レートを示しておりますが、2011前半にあたってはレアルがレアル高のトレンドと。

    それから7月最終週に発表された為替デリバティブへのIOF課税を契機に1ドル=1.5341レアル、これを最高値としてまあ反転し、8月31日の皆様もこれはご記憶にあると思いますが、サプライジングな金利の引き下げによって急落。9月22日には1ドル=1.9012レアルまで一気にレアル安が進んでおります。その後ですね、上下動の激しいボラティリティの高い状態ではあるものの、大きく見ると1ドル=1.7レアルから1.9レアルのボックス圏の中で推移している様子が見て取れます。

    昨年9月の為替レートの急落の理由としては、一般的な要因として欧州経済不安ならびに米国の経済停滞によって投資家のリスク回避が高まり、いわゆる株式などの資産価格全体が下落、サプライサイドの限界のあるコモディティにおいてもコモディティ通貨の下落という形で現れ、ブラジルの特殊要因としては、サプライジングな利下げによって政策目標をインフレターゲットというものから、むしろ国内の成長、レアル安に変更したということを、マーケットがショックを受けながらも認知したということではないかというふうに挙げられております。

    また一連のIOF課税の強化などレアル高の対策の中で為替相場の動向を決定付ける為替デリバティブ市場へのIOFの課税表明が、ブラジル政府の強いレアル安への期待というか意思、これを市場参加者に印象付けたというふうに評価をされております。

    ブラジル政府にとってはですね、国内製造業をどうしても重視する関係上、1ドル=1.8レアル程度の水準が望ましいというふうに言われており、その水準から大きく離れそうな場合には為替介入等をし、一定の範囲内に収めていく意向があるというふうに言われております。それでは次のスライドをお願いいたします。

    ここから業界動向ということで、初めに昨年の銀行業界について簡単にお話を申し上げます。貸金の残高でございますが、法人向け、個人向けともに全体の量は増加しておりますが、伸び率で見た場合には、個人向けの貸金は政府の個人向け貸金抑制策というのの影響もあって、去年末より15%の伸びに留まっております。

    法人向けにつきましても、欧州の経済危機、それからレアルの為替高、こういうものによる競争力低下などによって国内産業全般の不透明感が高まり、18%の伸びに留まっております。一方でクレジット、これの絶対水準ですが、引き続きGDP50%を切る水準にあり、政府の金融政策転換にともない今後も一定の水準で拡大が続くものというふうに見込まれております。

    あとですね、不動産の融資というものがあります。一方でバブルではないかという声があるんですが、不動産融資についてもですね、拡大はしているものの、GDP比で見ますとですね、4.9%の水準に収まっており、先進諸国に比べた場合にはまだまだ非常に低い水準にございます。

    昨今特にこのサンパウロ、もしくはリオ・デ・ジャネイロ等のですね、大都市圏において、不動産価格の高騰というものが実際観測されておりますし、皆さんも実感されているかと思いますが、この不動産融資の残高を見る限りにおいては、いわゆる信用バブルという状態ではなく、いずれかの時点でですね、不動産価格が下落し、まあ投資家が損失を被るという可能性はございますが、いわゆる日本や米国のような、不動産価格の下落が金融機関を通じて経済全体に波及するというふうな事態にはならないものというふうに見ております。それでは次のスライドをお願いいたします。

    ちょっと小さくて恐縮なんですが、貸出金の質についてのご説明になります。期間の長期化、それから特に個人向け融資におけるスプレッドの上昇、それから不良債権比率の若干の拡大が観測されております。

    しかしながらですね、今現在ブラジルの大手行はすでに100%を超える引当を十分に行っており、銀行の金融機関そのものの健全性には影響はないということでございます。しかしながら、引き続き厳格な融資規制というものは当面継続するものというふうに考えられております。なお法人向けにつきましては、期間、それからスプレッド、不良債権比率ともにほぼ横ばいの状態で推移していることが見てとれるかと思います。それでは次のスライドをお願いいたします。

    以上、これまで申し上げてきたことをまとめまして、本年、2012年のブラジル経済の展望ということについて簡単にまとめさせていただきました。まず初めにですね、世界経済どうなるのかと、先程田中先生のお話もありましたけども、私どもとしてはまず欧州はどうなるか。

    欧州は欧州経済危機の深刻化回避に向けてですね、現在ドイツはじめ関係諸国が交渉作業をしている最中であり、今後それなりの一定の道筋が示されるものというふうに大いに期待をしております。

    次に米国ですが、米国ではマクロ経済の各種指標は回復をしてきているということを示しており、米国がリセッション入りする懸念そのものは薄らいでいるのではないかというふうに見ております。

    それから次に、先程お話もありました中国でございますが、これまでに比べると若干低めではあるものの、8%程度の成長率は確保でき、また、ご承知の通り政権交代の時期でもあるためにですね、経済成長を維持していくため金融の緩和措置を採る可能性もあるのではないかというふうに見られております。まあ以上を踏まえてですね、世界経済全体からすると、昨年2011年に比べれば、懸念材料、懸念点それから不透明感が多少は薄らいでいくというふうに考えております。

    それでは、それを受けて本年2012年のブラジル経済はどうなるのであろうかということでございます。昨年中盤からですね、政府は成長もしくは国内産業重視ということで経済政策を転換しましたが、この経済政策が継続して、本年12年末には政策金利は多分、先程申し上げましたが9.5%の一桁台で収まるだろうというふうに予測をされております。

    またですね、貸金抑制策の緩和というもので国内消費ならびに設備投資を刺激して、GDPの成長率は3.3%程度ではないかというふうに予想されております。工業部門に関して言いますと、2014年ワールドカップへの準備が本格化。また今年はブラジル国内で統一地方選挙の年であるために公共投資が増加。

    一方、この政府の国内産業重視の方針を反映して、BNDESとかブラジル銀行等の国営銀行の融資実行額も増加するものというふうに見込まれております。他方で、最低賃金、ご承知の通り545レアルから625レアルと14.6%調整がされ、これにともない中・低所得者層、この部分の所得を引き上げることになります。で、先程もご説明しましたが、歴史的に非常に低い水準の失業率、こういうものとも相まって、個人消費については引続き堅調に推移するものというふうに見込まれております。

    インフレについてですが、インフレについては堅調な国内消費、それから金融緩和政策などのインフレ上昇要因と欧州危機による世界経済減速というインフレの抑制要因、この両者のバランスの中でブラジル中銀そのものは非常に微妙な舵取りを余儀なくされるものというふうに考えられておりますが、民間の予測では、コアターゲットの4.5%以内はきついだろうけれども、5.3%程度のインフレということで、昨年、2011年よりは安定した水準になるものというふうに予想されております。

    直接投資についてですが、ブラジルの成長性を評価し流入は継続するものの、先進国経済の本格的な回復が見えない中で、2011年に比べると全体量としては減少するものというふうに見られております。経常収支の引き続きの赤字幅の拡大、これもあってですね、レアルの水準は1ドル=1.7から1.8レアル程度というふうに予想をされております。

    財政全体はですね、諸外国に比べますと健全というふうに言えますが、先程のお話にも出ていましたプライマリーの黒字幅、これは最低賃金の調整、公共投資の拡大により縮小する見込みでありまして、インフレ率のコントロールと相まってこの部分がブラジルの課題というふうに言えるものと思います。

    一方ですね、ブラジルの金融機関全般に関して言いますと、欧州諸国の国債などの国外資産をほとんど持っていないこと、それから国内資金というものはその大層を国内預金よりまかなっているということ、まあこの辺を考えますと引続き健全な財務状況を維持して、金融機関経由での欧州経済危機の飛び火というものは可能性は低いものというふうに考えております。以上を総合しましてですね、本年2012年のブラジル経済は緩やかな回復軌道をたどるのではないかというふうに見ております。それでは次のスライドをお願いいたします。

    最後にですね、保険業界につきまして簡単にご報告を申し上げます。ブラジルの保険統計データ、これは監督官庁でございますSUSEPが毎月統計を公表しております。これまでですね、保険業界はこのデータを元に今回の業種別シンポジウムのデータを作成してきたのですが、実は昨年の8月以降ですね、このSUSEPの公表データの更新が止まってしまいました。

    システムトラブルらしいんですけども。で、困っちゃったものですから、今回は保険業界連合会、CNSegというところの、ちょっと古いんですが2010年までのデータを使いまして簡単にご説明を申し上げたいと思います。

    このCNSegのデータはですね、昨年までご説明しておりました、伝統的な自動車保険、それから火災保険、運送保険などのいわゆる損害保険の分野だけではなくて、ブラジル国内で急激に拡大しております健康保険ですとか年金事業などの統計データも入っております。こちらのグラフはですね、それらの保険全部を含めた保険料収入がこの10年間でどれぐらいに伸びたかというものを示しておりますが、市場規模が見ての通り約6倍弱に膨らんでいる状態になっております。それでは次のスライドをお願いします。

    こちらがですね、その内訳の数字でございまして、保険種目ごとの動向を示したものでございます。ご覧いただいて、お分かりの通りですね、伝統的な自動車保険というようなSeguros Geraisと呼ばれているような保険、損害保険の分野も伸びてはいるものの、それ以上に、いわゆる健康保険ですとか年金事業といった分野の伸びがですね、非常に著しいのが見て取れると思います。

    まさにブラジルの中間層の急激な拡大がこうした分野の拡大につながっているものというふうに思われます。2011年度、まだ統計データがないもののですね、各社の決算コメントを見ていましても、非常に順調に保険料収入伸びているというコメントがなされております。で、2012年はどうなるかと言うと、CNsegの予測では、これら業界全体を見てですね、12.8%程度の伸びを予想しておりまして、今年も市場は引続き拡大の傾向が続くものというふうに予想されております。次のスライドをお願いいたします。

    最後にですね、トピックスということで、昨年のシンポジウムでもご報告を申し上げましたが、ブラジルの再保険マーケットというものについての規制があるということを簡単にご報告を申し上げます。本件はですね、昨年ご報告申し上げた状況と特に変化はございません。現状どうなっているかについて簡単に申し上げます。

    再保険というと何かというご質問もあるかと思いますが、いわゆる再保険というものはですね、保険会社が他の会社にですね、自ら保険をかけるという仕組みでございまして、これをすることで自らの引受けの能力をまあ補完したり拡大したり、それからもしくは自分が引受けたリスクというものを他に分散をして平準化するという仕組みでございます。

    多くの国ではですね、基本的に保険会社が自由な再保険取引をして、世界中の再保険会社を活用するという仕組みになっております。ブラジルではですね、いわゆるこの元請の保険会社と再保険会社が同じ会社で営業できないという仕組みになっておりまして、なおかつ2008年までIRBという半官半民の再保険公社、これが再保険マーケットを独占しておりました。

    その結果としてですね、引受けの条件、それから保険料がいくらになるのかといったことにまでですね、このIRBの意向が大きく影響していたという事実がございます。しかしながら2008年にですね、再保険市場を段階的に自由化するということを政府が決めてですね、IRB以外の再保険会社と直接取引きをすることが可能になり、現在このブラジルではですね、いわゆるブラジル国内で営業している国内資本の再保険会社、それから海外の会社だけれども認可を受けている会社をあわせてですね、現在98社が当局に登録をされております。

    しかし、昨年4月にですね、再びその再保険に関する規制が強化をされました。それは一つ、どういうことかと言いますと、IRBを含む国内の再保険会社に40%出さないといけないということが義務付けられたということ。

    それからもう一つは、一つの金融コングロマリット、一つの、ですから保険会社のグループの中で子供から親もしくは兄弟の会社に再保険取引を行う場合には上限が20%になるということが決められました。

    結果的にですね、この規制によって、何が起きたかというと、国内再保険会社の出再をまず行わなければならないということでIRBの発言権がもう一回増してきているということですね。それからもう一つは、ブラジルで事業をしております世界的な保険会社が親会社に再保険を出す上限が20%に制約された結果として、世界的なキャパシティを十分に活用することができなくなってしまったということになっております。

    この結果として、じゃあブラジルの国内にローカルの再保険会社を作ろうという動きはですね、実は加速されておりまして、1年前、2010年年末には6社でありましたローカルの再保険会社は、実は昨年末10社に増えているという状況でございます。

    ご承知の通りですね、ブラジルは14年のワールドカップ、それから16年のオリンピックに向けて、大規模なプロジェクトが数多く、まあ実行、もしくは予定されておりまして、競争条件を制限するような部分、それから大きなキャパシティの不足、まあこれによる保険料率の上昇といった部分のマイナスがですね、懸念されるところでありまして、このまあ、規制といいますか、これについては引続き展開を注視していく必要があるかなというふうに私どもとしては見ております。若干ちょっと駆け足になりましたが、以上が金融部会の報告でございます。どうもご清聴ありがとうございました。

    司会
    遠藤さんありがとうございます。本来ならば質問をお願いするところですけれども、今回は前半とりあえずまとめて発表していただきまして、その後にまとめて質問をお願いするということで進めたいと思います。では続きましてコンサルタント部会、都築様、よろしくお願いします。

     

     

     

  • コンサルタント部会      都築慎一 部会長

    コンサルタント部会

    皆様こんにちは。コンサルタント部会長の都築と申します。ご承知の方も多いかと思うんでございますけれども、我々コンサルタント部会は特にテーマは決まっておりませんので、まあ専門家の集団なのでですね、その時にふさわしいテーマでコメントをしてほしいというふうに言われております。

    で、今回はですね、ここにございますように、最近のブラジルにおけるM&Aおよび日本からのM&Aや投資の際の留意点、ということでお話させていただきたいと思います。特に昨年の8月では、投資をする際の注意点ということについてこのシンポジウムでお話させていただきました。

    ということで今回はM&Aに関するお話ということでいたします。それで、コンサルタント部会はM&Aの専門集団ということではございませんので、私もですね、コンサルタント部会の皆さんの意見をまとめさせていただいているということでご承知していただきたいと思います。次のページお願いします。

    まず、M&Aと。Mはmergersで、Aはacquisition。日本語で言いますと合併および買収ということになるんですが、ご承知のように外国からの投資も増えており、経済活動も活発にですね、今のお話にもございましたように進んでいるということで、では買収、M&Aの方はどうなっているんだろうかということなんですが、ここにございますように、数字としては一番これ、発表されている数字をまとめたもので、まずここに件数が書いてございます。

    で、2011年の後半についてはまだ統計がですね、ちょっと出てなかったので、前期の数でまとめていますが、一言で言ってしまいますと2010年が少し多かったんですけれども、ここ数年はStable、つまり安定した状態で続いているということで、特にですね、ここ数年大幅に買収や合併が増えているというふうになっているというわけではないということが言えるかと思います。

    ただですね、金額、というか、もう少し金額的にですね、年ごとの動きを見てみますと、ここに時系列で2007年から11年が書いてございますけれども、今度はこれ金額ベースで書いてございます。金額ベースと国別で、後でまたご説明しますけども、ここで見ていただくと分かるように、傾向というのがちょっと取りにくい。大体まあ、2008年と2010年が金額で突出したということでですね、特にまあ、お分かりになられるように、買収の案件が、金額が大きいと当然そこで突出するということであって、傾向としてはですね、数で見ていくと先程申し上げたようにそんなに増えているのではないんだなということが分かるかと思います。

    ここでですね、ちょっとお詫び申し上げないといけないんですが、ここに2010年のブラジルでの主な買収取引で発表されているものを2ページにわたってですね、書いております。これは国内企業とそれから外資系、外国からの買収だとか、主なものだけでございます。

    これ以外に当然たくさんあるんですけれどもそんなものを書いています。ただ、今申し上げたように、ちょっとお詫びしないといけないのは、中にはですね、買収だけじゃなくてジョイント・ベンチャーおよび合併というケースもございまして、皆様の方には商工会議所のホームページを通じてこのスライドをですね、修正したものを発表させていただきたいと思いますので、ここでは、上の方に取得企業、被買収企業と書いてございますが、すべてこの通りであるというわけではないので、その辺のところはお詫び訂正させていただきます。

    特に金額が大きいので、2010年で目立つのは、シェルがCOSANというところをですね、これは資本参加だと思うんですけども買収しております。同じようにシェルはその後2011年にCOSANとジョイント・ベンチャーでエタノールの関連するRaizenというやはり大きなジョイント・ベンチャーを立ち上げて、この分野でですね、リーディングカンパニーになろうというふうな形で動いておられます。

    次のページお願いします。さらに2011年では一応こんなような名前が挙がっております。特にTAM、ご存知のように航空会社ですけれども、TAMとLANは、LAN Chileは、これは買収ではなくて合併だということです。

    それからElavonというのとCredicardというのがございますが、これはですね、Elavonというところがですね、外国系企業と思いますけれども、Credicard、Citiが株主ですけども、このCredicardとジョイント・ベンチャーを行ったということで、買収したというわけではございません。これも修正してお届けしたいと思います。次のページお願いします。

    2011年の主要な買収取引では、ここにおられるかもしれませんけれども、日本スティールさんの、日系企業では名前も挙がっておられます。それから、国内系企業ですね、この辺も大きく上がっています。金額で大きいのは、ジェニジミ(Genzyme)というんですかね、真ん中ら辺にございます、世界的な大きな企業ですけれども、これがSanoti-Aventisというフランス系の会社を買収して、ワールドワイドで買収しています。その結果ブラジルの子会社もGenzymeが取得したというふうな形でたいへん大きな金額となっております。次のページお願いします。

    これは、残りのですね、やはり我々日系企業としてはたいへん日本でも話題になりました、キリンさんがですね、Schincariolを買収ということで、日系企業の名前もここに大きく出てきております。それから、やはり大きな金額としてはですね、GoogleがMotorola Mobility、これを世界中で買収しまして、そのためブラジルでもですね、MotorolaがGoogleの、Motorolaの一部ですけれども、その子会社がGoogleの傘下に入ったということです。

    それから最後にあるSodexoという、一番下にございますけれども、これはフランス系の食品の会社で、これがブラジルのPurasというところを買収としています。それから2番目、反対になりましたけども、2番目にございますSkypeとMicrosoftというのがございますけども、これは反対でございまして、これも修正させていただきますけどもMicrosoftがSkypeをですね、買収しているということでお詫び申し上げます。

    次のページお願いします。これが2011年の残りの方ですが、Sonyさんがですね、Sony EricssonのEricsson側の株を全部取得されて、ブラジルの方では100%になられていると。それから、下から主なものでですね、金額は発表されていないんですが、カナダのMagnaという自動車のパーツメーカーさんが、ブラジルでやはり大きくオートパーツを生産されておられるThyssenKruppというオートパーツの会社を昨年末に買収をされておられるというのがございます。

    それから、その下にございますPortobelloというのがございますけども、これはセラミックの会社でタイルとかを作っている大手なんですけれども、これとやはり大手のEliane、これは床とかそういうところのやはり同じくセラミックの大手なんですけれども、Portobelloというのは資本を公開している会社で、現在証券取引委員会の審査中ということですけれども、昨年末に発表して、この2社が合併しますと、相当なシェアをですね、とるということになります。

    というわけで、ちょっとこれがデータなんですけれども、どういう傾向にあるのかというのを次のページにまとめました。特にですね、外国からの買収だけではなく、ブラジルの内国企業間の取引も非常に活発であるということが言えるかと思います。

    同様に、海外それから国内の投資ファンドによる投資が件数別で非常に増大しており、件数でいきますと40%以上を占めるなど、非常に活発であるということです。それからブラジルの、まあ日本もそうですけれども、特徴としては、いわゆる敵対買収、TOB等をかけるとかいうのはあまりないということで、友好的な買収が多いと。

    日本と同じように、投資ファンドのやり方としては、聞いておりますのは、例えば50%とか、マイノリティーという形で株主として入るにも関わらず、経営は現経営陣にお願いしていると。そして1年か2年ぐらいしてですね、いろいろ問題あれば株主総会でですね、いろいろ問題を指摘して、経営陣に代わってもらう。

    もしくは、100%取得に動くというふうな形で投資ファンドはやっているという、まあ日本もそういうことがあるのかと思いますけども、同じようなやり方で動いているということです。それから、特にあの、特徴として、データの収集なんですが、ファミリー系支配による企業というのが結構、ご存知のように多いので、中小企業では信頼できる数値データの入手が難しい場合もあるということで、買収取引、つまり我々はあなたの会社を買いたいんですというふうなプロポーザルを出す時に、相手からの数値をですね、取得して、それによってですね、いろいろ買収価格等も決まってくるわけですけど、その場合の数字が非常に出にくいと、他国と比べて、そういう特徴があるというふうに言われています。

    特に買収件数のベースによる上位3業種というのを見てみますと、2011年では情報産業に関する投資が買収件数で非常に多かったと。それから、ごめんなさい、買収だけじゃなくて合併もそうですね、含めまして。

    2番目に化学や石油化学。これはペトロブラスの海底油田、プレサルというのに関連した事柄が非常に多かったということです。3番目が食品関係ということで、食品は今までも安定的に買収件数の上位を占めていますけど、今回1、2位が業界には情報産業と化学石油の下に甘んじるというふうな形になったということです。先程ちょっとお見せしましたけれども、国別の今度は状態を見てみますと、ブラジル投資を拡大しているのは、上にも書いてございますスペインや中国による増加が顕著であるというふうになっています。

    特にその他の中には国内の、国内間企業のやつが入っておりまして、これからもお分かりになられるように半分以上はまあ国内のあれであると。ただし、後の国はですね、特にどこの国が非常に大きいというわけではないんですけれど、2010年を見ていただくと分かるように、中国がやっぱり今後増えていくであろうということはですね、出てきております。

    これをもう少し今度は、円グラフで見たやつでございます。これも、国内の、左側が内国系企業になっておりますが、後のところはですね、結構皆で仲良く同じくらいの大きさで分けているという感じがするんですけれども、久々に、日系企業はやはりブラジルに関心を示してきているということがですね、はっきり分かるような数字も出てきております。この後ですね、2011年、発表されているものだけですけれども、日系企業および中国系企業がどんな企業が買収等合併等をしているのか発表させていただきたいというふうに思います。では次お願いします。

    次、どんな分野かということで、先程は件数から見た分野。次は、今度は年に応じてですね、どの辺の分野に集中的なM&Aが起きているんだろうかというのを示したグラフでございます。ざっと言いますと、2010年は金融、エネルギー、資源、通信業界が目立つということですね。

    特に先程申し上げた投資ファンドと、ブラジルはインフラ関係に非常に、今後伸びていくということが言われておりまして、この辺の分野にですね、積極的に今後もですね、M&Aが行われるだろうというふうに言われております。資源等につきましては、中国系企業がですね、やはり盛んにM&Aをかけてくるであろうということですね。次のページお願いします。

    駆け足で、時間も無いので進めさせていただきます。日本や韓国、今度は中国の動向について紹介させていただきます。特にこの辺の資料につきましては、PricewaterhouseCoopers社の多大なご協力をいただいておりますので、ここでちょっとそのことを申し伝えさせていただきます。

    日本、韓国、中国、香港のブラジル投資の比較表が次にございます。まあ時間もないので、2011年のところを見ていただきますと、先程申し上げたように、件数で見ましても中国系企業がですね、投資件数が8件、日系企業も10件ということで、特に中国に、変な言い方ですけれども負けているというわけではないということで、まあ逆に言えばアジアの、勝負を皆さんは積極的にかけてきているんだなということでございます。

    では次に2011年の日本企業で株式投資に主なブラジル投資がどんな内容があったのかというのもですね、ここに発表されていることから企業名も含めて一覧表にさせていただいております。

    では次お願いします。まあ一応だいたいこんなようなところがですね、発表されているところですけれども、さらに発表されていないものもいくつかあるであろうというふうに思います。次に、中国系の発表されている投資の一覧表でございます。ここに書いてございます、最後のですね、Sinopecグループというのがですね、石油と天然ガス、こちらの方の方面に入ってきているということで、金額も71億ドル、30億ドルとやはり相当大きな投資をかけてきているということが分かります。

    それから同じく中国系企業は、先程申し上げたように資源の獲得ということで、Wuhanというところが鉄鉱石の方でMMX Sudesteとか、ミナスにある外国系企業から株式を取得しております。次は韓国系企業でございます。韓国系企業はそんなに大きなのはないんですけれども、特に通信サービスの分野でSK NetworkさんがMMX Mineracao Metalicos、金属・鉱業の方にですね、出資しているという面白いデータがありますけども、金額は非常に大きな、6億9800万ドルという金額になっております。

    今まではデータをですね、簡単にご紹介したんですけれども、まああの特に、部会の中でですね、M&Aにおける留意点、特にご意見いただいた、先程ご紹介させていただきましたPricewaterhouseCoopersさんのご意見等を参考にさせていただいていますけれども、まず株式取得では国内株主からの取得というのががあると、それから国外株主間で国外での譲渡に基づいてブラジルの子会社もそのある会社の傘下に入るという二つのことがあります。

    それから、もちろんですけれど国内株主間での合併であるとか売買というのがあります。で、ブラジルの場合はこの株式の取得以外に資産の譲渡というやり方もあるわけですけども、資産の譲渡という形でですね、あまりないのは、そこに書いてございますように、資産のみを取得して新会社を設立しても同じ場所で事業を継続して行っている限りは旧譲渡者の納税未払い負担や労働法上の偶発負債に対して法律により新会社は連帯責任を負うというのがございます。

    よってですね、前の会社のいろいろな、まあダーティーなところをですね、これは前の経営者が負担したらいいと、私はだから新しい会社きれいな会社にするために資産だけ買いましょうというやり方で事業を引き継いでも、ブラジルの場合には税法上こういう縛りがありまして、新しい取得者がやはり前の納税者のいろいろなライアビリティ、雇金税支の責任を負いなさいという法律になっていますので、資産譲渡について、株式取得の代わりに資産譲渡でこのへんを逃れるということができないというのがブラジルでのM&Aにおける留意点というふうに言われております。

    それから、同様、そういうことを含めまして、税務・労務の法規が非常に複雑だということで、まあ多くの企業が100%守っていないと、守りきれないということも多いということですね。

    よって、そこでですね、買収監査というのが非常に重要になってくると。つまり会社の貸借対照表には載っていないんですけれども、載っていない、そういう目に見えない隠れ負債があるんじゃないかというので、買収監査の時にこの辺を良く調べるというのが重要であろうということと、それから、場合によっては買収候補先から法外な価格がぶつけられてくると。日本から考えるとどうしてこんな価格をですね、ふっかけてくるんだろうという、そういうのもあるんですけれども、これについては、ブラジルの場合にはもちろん会社によって違うわけですけれども、相手がファミリー系企業だったりする場合にはこういうのは交渉の一つであるんだと、つまり値段もですね、最初からフェアな値段を出すというのは作戦のうちに入っていないんだということでですね、それを日本的に考えてフェアじゃないともっていくべきではないというのがやはり皆さんの意見でした。

    それから、やはり日本の企業文化に起因する問題だと思うんですけれども、M&Aの決定までの時間が長くかかりすぎる場合があるということですね。例えば、買収監査でも平行してですね、法的な買収監査と、それから会計上の買収監査とかをですね、どんどんやっていかないと、いろいろな情報をその都度相手先にぶつけていると、ブラジル側の法人等はですね、日本は何か一つ決めるのに一つ聞いてまた本社に持っていってですね、それでまた時間がかかって、次にこういう情報を出してくださいとか、そういうことでズルズルズルズルなると。

    例えば、一例として挙げるのが、まあ車をですね、一台買いたいと、相手から。そうするとまず価格はいくらですかと。次にその車がですね、あまり故障がないのか調べたいと。

    次に今度はこっちを調べたいということで、いつまで経っても車を買うのかどうか分からない、じゃあ他の会社にですね、売りましょうと。こういう傾向が、日系企業の場合には非常に、慎重すぎるのか文化なのかわかりませんけれども、ある傾向がありますということで、価格の交渉に逆に時間を使うということについてはブラジルでも結構行われているそうです。

    1年でも2年でも交渉しているというところもあるらしいです。したがって、その辺では問題はないんだけども、その決定に時間を使うというのではいろいろブラジル側と日本側の間でですね、理解が違うということが起きるということですね。

    それから、やはりこれもご意見だったんですけれども、M&Aで大事なのは、あまりブラジルの場合ミクロに入り過ぎないようにして、細かいところをですね、あまりコンプライアンス、コンプライアンスとやっていくとですね、逆にその、何のためにじゃあM&Aをやるんだろうかということで、分からなくなってくると。

    つまり、一番何が大事なのかという大きなところを見て判断をしていくというふうにしていかないと、やはりM&Aのメリットというのはなかなか取れないのかなという話でございました。まあ、というわけで、M&Aに関しまして、中々お話できない部分もございます。というわけで、今回ご協力いただいたコンサルタント部会員の皆さんの名前を出させていただいてですね、ここで改めて御礼申し上げたいと思います。時間になりましたのでこの辺でお終いにさせていただきます。ありがとうございました。

    司会
    都築さん、どうも興味深いトピックスについてありがとうございました。続きまして自動車部会、末部会長代行よろしくお願いいたします。

     

     

     

  • 自動車部会   末一義 部会長代理

    自動車部会

    皆様こんにちは。Honda South Americaの末と申します。本年度ですね、トヨタさんから部会長会社のバトンタッチを受けまして、本来であれば私どもの代表の武田川の方でプレゼンをしなければならないんですが、あいにく国外出張に今出ておりまして、私の方で代行を務めさせていただきます。

    2011年のレビューと2012年の展望ということで、こちらの方ですね、まずは四輪車。販売、生産・輸出、輸入ライセンス、メキシコとのFTA。それから二輪車。販売、生産・輸出。部品ということで、目標15分でお話をさせていただきたいと思います。

    それではまず四輪業界動向からご説明いたします。こちらがですね、歴年の推移でございまして、昨年、ANFAVEA、こちらの自工会の予測した数字に対しまして、若干下回ると、前年比3.4%増と。拡大ペースの方は鈍化したんですが、過去の最高、販売については更新を続けております。

    続きまして、こちらが月度販売台数の推移でございます。3月にですね、ちょっと前年割れを起している所があるんですが、これはですね、実は前の年がIPI、工業製品税の減税の期限ということがありまして、その前の年が駆け込み需要があったもので前年比に対して割込んでいるだけで、大きな変化はございません。で、年後半の方からクレジットの引き締めで乗用車の拡大ペースが鈍化して、まあ結果的にですね、通年では前年同等レベルとなっております。

    で、今話の出ましたIPI減税、IPIの今度は増税ですね、こちらに大きな変化が出ております。これは、保護主義ということでも取れるんですが、9月15日にですね、ブラジル政府から増税をしますよという発表がありまして、まあ結果は、最高裁の決定を受けてですね、実際発効したのは12月16日と。したがいまして、昨年度の実績ということでは大きな影響は出ておりません。

    ただ内容的にはですね、非常に、30%増税ということで、大きなものがあると思います。まあただ、適用除外ということで、まあこちらの条件を満たす国産車、それからメルコスール現調率65%以上の車というところはですね、適用を除外しますと。さらにメルコスール・メキシコからの輸入車についても適用を除外しますということで、国内もしくは域内の産業保護というふうに解釈することができます。で、今年がその影響が出てまいりまして、韓国車さん、それから中国車さんについてはですね、完成車ビジネスが中心ですので、今後こういったところに影響が出るのではないかというふうに見ております。

    こちらが生産・輸出台数の推移でございます。生産についてはほぼ前年並みというところですね。でトレンドといたしましては、輸出が減って、輸入が増えていると。この輸入が増えているところは、先程もちょっと出ましたように、韓国車さんが低価格車、それから付加価値の高い車を中心にですね、急激に伸びてきているということがあります。まあ輸出が減っている、輸入が増えているというトレンドもですね、こういうところで見て取ることができます。

    続いてその内訳になります。まあブラジル自動車の市場ということでは、乗用車におきまして、まあ1リットル車というのが象徴的な存在でありまして、10年前にはですね、こちら、7割あったんですね。それが昨年ついに5割を切ったというところがですね、象徴的なところでございます。これは皆さんの購買力が上がったということもございます。

    それからやっぱりクレジットが低価格車ほど付きにくいと、こういった状況もございまして、ついに5割を割ったと。で、このトレンドはですね、今後も続くのではないかというふうに見ております。

    こちらがですね、支払い形態別の内訳になります。まあ2009年の法改正以降、ローンとリースというところがですね、金利が同率になったと。それから法人登録が必要ということでそこの比率は大きく変化したんですが、まあローンとリースを合わせて5割を超えるレベルということで言うと、そんなに大きなトレンドの変化はございません。

    こちらが小売と在庫の状況でございます。こちらも象徴的でございまして、国産車については市場は伸びているんですが、前年を割りましたと。その分ですね、輸入車の方は3割のアップということになっております。

    それからこちらは、まあ景気減速のひとつのバロメーターであるんですが、在庫日数がですね、これが2010年末の在庫に対して、総計でいいますと10日近く在庫が増えております。ですから、まあ今後、各社ちょっと生産調整の局面というのもあり得るんではないかと、こういったところも予測しております。

    それから、全体で3割アップいたしました輸入小売台数の内訳でございます。こちらはまあ世界的にですね、全世界的に攻勢をかけているHYUNDAIさん、こちらが3年連続で輸入車トップと。さらに、ついに10万台というところで大台を越えました。

    でその韓国のHYUNDAIとKIAを合計した販売推移です。両社ともまあ単に安いだけではなくて、付加価値を上げて台数を増やしていまして、HYUNDAIの方が6位、それからKIAが11位と。さらに今年については、HYUNDAIの15万台工場、こちらの方が稼動を始めますので、さらにまあ攻勢をかけてくるというふうに見ております。

    こちらが四輪、ANFAVEA、ブラジル自工会の方の市場予測でございます。国内市場につきましては、まあほぼ横ばい。まあ2010年までは二桁成長だったんですが、ほぼGDP並みの5%程度の安定成長が続くというふうに見ております。一方で輸出の方は、まあレアルがやはり高めの傾向、それからブラジルコストによる元々のコストの高さからやっぱり競争力が落ちているということで、10%近いダウンと。生産台数については、ほぼ横ばいと。ただ、台数についてはさらに記録を更新するだろうというふうに見ております。

    で、ほぼ横ばいという予測の中で、一方で各社さんですね、これは発表されている数字を元に作成した表なんですが、非常に積極的な投資が計画されております。2010年から2014年の3年間で約130万台の能力が増強されるということで、まあ今後も競争が激化するものというふうに見ております。

    それから、こちらもですね、まあ保護主義的な傾向というふうに見ることができるんですが、輸入ライセンスの発給問題というものが発生しております。そもそもでいいますと、これはブラジルとアルゼンチン間の問題なんですが、アルゼンチンの政府の方で2010年、輸入ライセンスの対象品目に自動車を追加しました。

    さらに、まあ発給を前年比8割までしか認めないとこういった公表を行っております。さらにまあこういった、輸入許可の義務付けを拡大すると。こういったことに対しまして、昨年5月にブラジルがまあ報復措置ということでアルゼンチン製自動車の輸入ライセンスの発給を変更いたしました。

    それまではですね、自動承認でだいたいもう10日もあれば出ていたものが、ブラジルの開発商工省の認可制ということになりまして、最大60日と、6倍もかかるようになっております。まあこれに対しまして、昨年日伯貿易投資促進合同委員会におきまして経済産業省岡田審議官様よりブラジル政府に対して輸入ライセンスの発給遅延に対する善処を申し入れていただいたと、こういう経過がございます。

    で、まあ今後の課題ということで、ブラジルの開発商工省に発給要望リストを提出するんですけど、中々発給状況は安定せずということで、まあアルゼンチンで完成車を組み立ててこっちへ持ってくるというそういったオペレーションに対して多大な影響が継続をしております。

    それからこちら、アルゼンチン製だけでなくて、日本など他国製の輸入車両も対象ということで、非常にオペレーションの効率が悪化をしております。それから、アルゼンチンに対して更なる事前申告の拡大要求など、報復が泥沼化しておりまして、まあ今後のブラジル・アルゼンチンのそういったビジネスに影を落としておりますので、早急な改善を期待しております。

    それからもう一つ、それからもう一つ、こちらはつい最近こちらの新聞、有力紙Valorを中心に発表された中身なんですが、メキシコとの間で自動車FTAの破棄というのをブラジルを行うといったこういった記事が掲載をされました。

    で、翌日にですね、ピメンテル開発商工相の方で、まあ来週から協議を開始して短期間内に協定の内容を変更する、こういった発表がありました。まあ多少トーンが和らいだと。一方的に破棄という状況は免れると。それからまた、これはちょっとメルコスールとの関係もございまして、一方的に協定が破棄されるということはないんですが、まあ今後変化の可能性はありますと。

    メキシコ・ブラジル間の自動車FTAというのは我々自動車業界にとって非常に重要なスキームでございます。まあ両国間による十分な協議を経て、納得できる変更内容に合意・継続されることを我々としては期待しております。以上が四輪の状況でございます。

    続きまして、二輪業界について概況を説明いたします。こちらの方は生産と卸販売の推移でございます。こちらはABRACICLOという、二輪自工会ですね、で販売実績ということでは204万台、生産実績214万台ということでですね、まあやっと右肩上がりに戻ってまいりましたと。

    やっとですね、リーマンショック前のレベルに戻ってきたということでございます。ただ、まあこちらの緑の線を見ていただければ分かるように、四輪と同様にやっぱりちょっと前半レアル高がございまして、輸出については横ばいになっているという状況でございます。

    こちらは二輪の月度別の登録推移です。月度別に見ると、6月までは高い数字だったんですね。まあ3月ちょっとへこんでいますが、これは、昨年は3月にカーニバルがありまして、稼動日数が少なかったという影響ですので、こちらはトレンドには大きな影響はございません。ただ、四輪同様に7月以降前年比の伸びが鈍化をしております。背景にはファイナンスの与信状況が厳しくなったというふうに見ております。この傾向は今年になっても続いております。

    続きまして、支払い形態別の販売推移でございます。ファイナンスということで、約半分を占めておるんですが、金利、インフレ、それからローン引き締めが販売に影響を与えていると。で、3クオーターまでは比率が拡大しているんですが、4クオーター以降、まあ今年に入ってもですね、やはりこのファイナンスのところの引き締めがちょっと厳しいというふうに見ております。

    続きまして、まあこれは二輪の特性なんですが、地域別の登録の推移を追いかけております。まあ全体としましては先程申し上げましたように2008年の金融危機以前のレベルにもうほぼ戻っております。ただ、この薄いブルーのところ、こちらがサンパウロを含む南東部なんですが、まあ一応拡大傾向にはあるものの、この2008年のレベルには戻ってないんですね。

    代わって、この南東部を抜いて伸びてきているのが北東部、さらに北部ですね。これは従来平均所得の低いエリアということだったんですが、まあコンソルシオというブラジル独特の割賦方法、ならびにファイナンスの広がりを受けて、非常にこう北部、北東部が力をつけていると。まあこういったところから、まだまだ拡大の余地があるというふうに見ております。

    最後になりましたが、部品業界の動向についてお話をさせていただきます。こちらはSindipecasという部品売上高のデータとなります。2010年は輸出台数が増えましたことによって、前年に対して大幅な伸びになったんですが、2011年については、まあ前半のレアル高というところが大きく影響しまして、輸出の方が伸びませんでした。

    というところで、全体ではまあこちらも約4%の伸びに留まっております。ただ売上の方は900億レアルを超えまして、史上最高を記録と、こういった状況になっております。以上が自動車部会の方で四輪、二輪、部品の動向でございました。皆様ご清聴ありがとうございました。

    司会
    末様、タイムマネージメントご協力たいへんありがとうございました。続きまして、電気電子部会、篠原様、部会長よろしくお願いいたします。

     

     

     

  • 電気電子部会     篠原一宇 部会長

    電気電子部会

    Boa Tarde. 電気電子部会のPanasonicの篠原です。よろしくお願いします。まず、シンポジウムの開催準備に向けてご協力いただきました部会のメンバーの皆様へ御礼を申し上げたいと思います。

    昨年から今年にかけてですね、人事の異動等で副部会長が空席となりまして、今回Epsonさんと村田さんとNECさんとSonyさんにお願いして、ちょっと体制固めをさせていただきました。体制固めが一応できまして、今日の発表は昨年度の回顧とですね、それから事業環境の変化、それと12年の展望、プラス、三分の一ぐらいの時間を遣わさせていただきまして、ブラジルの全国電気電子製品メーカー協会でありますEletros協会の紹介をさせていただきたいというふうに思います。

    字が細かくて分かりにくいかもしれませんが、約20社からですね、回答をいただきまして、16社さんが販売の伸び、または維持を達成されております。人員の方もですね、19社さんが増員または維持と回答され、まあ市場で人材不足が見られるのは70年代以降起こらなかったことじゃないかというふうに思います。

    投資に関しましても、6社さんが2011年度に投資をされておりますので、投資意欲は旺盛であると言えるのではないでしょうか。市況はどうであったかと申しますと、コンシューマー商品を中心にCクラスの拡大が需要の伸びを反映しておりまして、ボリュームは拡大しておりますが、価格の下落は終わりを知らず、まだ続きそうです。

    震災の影響または欧州経済危機による景気後退が顕在化し、特に第3四半期からはですね、販売がスローダウンをしておりましたが、現在は政府の政策等によりですね、かなり正常化されていると思います。通信インフラ・ファクトリーオートメーションの設備関連事業はたいへん良かったと伺いました。

    まあマイナス要因を言いますと、輸入税の税率の引き下げ、固定費の上昇、震災の影響による生産・販売減、統合によるスリム化、市場減速と競争激化による価格下落、人材確保の難しさ、古い労働法の悪影響等が挙げられておりました。次お願いします。

    この表はブラジルの家電商品の需要規模でございますが、例えばテレビ、一番上の線はテレビなんですね、を例に挙げますと、ハイパーインフレでたいへんでした80年代と比較しますとですね、80年代はテレビの事業というのは年間200万台だったんです。

    それが現在は1400万台のレベルまで上がっておりまして、約7倍の市場規模になっているということなんですね。いかに高インフレが国民の生活に大きな影響を与えていたかということを物語っているというふうに思います。洗濯機もですね、600万台のレベルまで上がっておりまして、当然今は共稼ぎとかが増えて、そういった社会構造の変化の中で生活に潤いをもたらす家電商品が貴重がられているということが言えるというふうに思います。

    次にですね、商品の技術革新について若干触れさせていただきたいと思うんですが、テレビに関しましてはですね、重たい厚いあのCRTテレビの率がですね、急速に減ってですね、薄型に変わっていっているということですね。

    同時に、テレビもですね、スマートモデルと言いますか、スマートテレビに変わって行っているという傾向がございます。これは当然、地デジの導入が行われましたので、それがこういったスマートテレビへの市場の変化という形で現れてきております。したがいまして、おそらく2012にはCRTテレビはほぼゼロになるという傾向がでております。

    携帯の方に移りますとですね、実は去年、ブラジルで携帯電話を作っておられた、特に普及型の携帯が、中国から非常に安い携帯が入りましてですね、ブラジルで作っている携帯が三分の一、四分の一になったというようなことがございました。まあこのトレンドはですね、世界のトレンドをここで使用させていただいているんですが、まあそういったことでですね、携帯に関しましても、まあブラジルでもハイエンドか普及品かと、ローエンドかという商品を見ますとですね、必ずしも普及品だけこの市場で戦えるかいうと、この携帯の例を見ましてもですね、非常にその辺をうまく落ち着いていかなくちゃいけないということが言えると思います。次お願いします。

    白い表が出てきましたけども、これは日本とブラジルの冷蔵庫の歴史の比較をちょっとさせていただいたんですが、要するに日本ではですね、80年代にすでにその、全盛期といいますか、かなりの技術革新とか、1ドアから2ドアになり、マルチ・ドアになり、発展していったと。

    まあ省エネに対してもそうですし、非常にですね、ノンフロンガス、そういったことも積極的に日本では導入していったということなんですね。それに対しましてブラジルでは、白物、冷蔵庫等はですね、まず壊れなかったらいいと。

    それから錆びなかったらいいというようなですね、投資型の消費が、そういった期間が非常に長く続いたわけなんですね。そういったことでですね、新しい日本の技術の冷蔵庫の導入も意味があるんじゃないかということですね。この表は私どもの会社のPRになりますので、コピーはまずカットしておいてください。次お願いします。

    この表はですね、2012年の展望でございまして、市場の成長は鈍化するものの、Cクラス層のさらなる拡大で個人消費は堅調に推移することが期待されています。2014年のワールドカップ、16年のオリンピック開催に向けたインフラ投資、大型政府の入札関連ビジネスに伸びが期待されます。

    今年は市長選挙でございますので、特に年内のタイムテーブルはですね、影響を受けることが予想されます。選挙立候補者はですね、祭りごとにアピールできない等がございます。コスト面では、人件費がますます高騰しますので、加工工業の需要は厳しさを増します。

    環境面ではリバースロジ、要するに固形廃棄物法の細則がテーマグループ検討から実行に移される段階に来ておりますので注視することが必要と思われます。販売予想には80%を超す成長・維持の見通しが出ております。各社様とも投資の体制固めを進められているように思います。ここで電気電子部会の発表を終らせていただき、家電メーカーでありますEletrosの紹介をさせていただこうと思います。

    Eletros、皆様方にはまだなじみのない協会の名前だと思いますけれども、ブラジル国内で家電を生産している工業会なんですね。政府への陳情、企画、税制変更、またはそういった役割がですね、この協会の重要な役割と言えます。簡単にですね、この活動内容を紹介させていただきたいと思います。次お願いします。

    この表は、白物の家電のメーカー、15社が入っておりまして、赤いインクが日本の資本が入っている会社というふうにご理解ください。まあ取扱商品は下に書いています白物商品ですね。次お願いします。

    オーディオ・ビデオ関係の会社はこの通りなんですが、特にマナウスに工場を持っております。次お願いします。

    ポータブル、白物小物のメーカーが6社ございますけれども、このほかにですね、国内で約15社ほど、まだISO9000と14000とかですね、そういった手続きというか、規模に達していないようなメーカーさんがございましてですね、そういったメーカーさんが力をつけることによって、またこの協会にも入っていただくような規模に育っていくんじゃないかなというふうに期待しております。次お願いします。

    Eletrosは、会社を見ますと28社ほどで、まあ売上金額はおそらく44ビリオン・レアイス、直接雇用が約9万人というふうに見ているんですが、工場の数ですね、50ヶ所にございます。まあマナウスがオーディオ・ビデオ、南部が白物ということなんですが、かなり地方にもですね、非常にその、優良会社と言いますか、例えばフォルタレーザにESMALTECというガス配給の会社、まあグループの会社の配下に白物を作っているメーカーという非常に、白物の場合はそのボリュームの関連でですね、フレート代が非常に高くつくということがございまして、地方でもですね、そういった生産活動が、ある条件、まあ経営の環境として存在するということなんですね。

    まあ拠点はこういうことなんですけども、かなり、やはり東北伯の経済発展と需要が伸びているという要素もございまして、販売店にしましても、ベレンのヤマダさんとかですね、東北伯のMaquina de Vendasとか、ピアウイ州というまああの、所得レベルの低い州があるんですけども、そこにでもマテウスという、まあ25年ほどでですね、5000名規模の1ビリオン・カンパニーというふうに成長している、非常に魅力のある会社がですね、東北伯にはございますので、ぜひ皆さんも機会がございましたらそういった地域を見られたらいいんじゃないかなというふうに思います。次お願いします。

    Eletrosで把握していますその家電製品の数字、小さくて見づらいと思うんですが、まずテレビとかオーディオ関係ですね、マナウスで生産されている数量、このデータはですね、かなり精度は高いです。Suframaのフリーゾーンの管理局もございますので。小物もかなり精度は高いと言えます。ただ白物になりますとこれはデータが、いろいろな競争の観点とかコンプライアンスとかいろいろございまして、この数字は若干推定に近いというデータでございます。次お願いします。

    それからですね、まあ最後になりましたけれども、協会、Eletros協会として政府へのどういった提案、あるいはネゴシエーション含めてですね、やっているかという内容をちょっと書いてみたんですけども、2年ほど前にですね、市場がかなり冷え込んだ時に、IPIの税制を、下げるいろいろなアプローチがございまして、それは確かに1年間ほど高いIPI税を下げてもらってですね、市場の需要といいますかデマンドを維持したということで、今回もですね、12月から3月まで一応、IPIは白物に関しまして10%低いレベルでですね、税金が適用されているということでございまして、協会としましてはやはり耐久消費財としても税率が高いということで、継続を、つまり今の10%低い税率の継続をお願いしています。

    それから、二つ目にマナウスの恩典に関しましても、マナウスは、皆さんご存知かどうか知りませんけれども、リオネグロ川に大橋をかけちゃったんですよね。これでたいへんアマゾナス州としてはお金を使ったということがございまして、なおかつ、マナウスでもワールドカップの試合が行われるんですよ。そうするとスタジアムも作らなきゃいけない。

    スタジアム、プラスやはり交通の便利を図るためのモノレールの建設の案もありまして、お金が州政府としては要りますので、その分ですね、恩典地域、優遇策として恩典を与えているんだけれども、その、州の税収をできるだけ増やすために今の恩典を減らしたいというアプローチがございまして、まあ私どもとしてはやはり輸入品等の競争の見極め、マナウスで作るべきか、輸入すべきかというような点で、州政府との話し合いを続けているということなんです。

    次ちょっと、簡単にGINGAという、テレビに双方向性のミドルウェアを強制的に政府としては付けなさいと、早く付けなさいと、全テレビにそれを適用する義務を持たせますと、それが恩典の条件です、というような今話し合いがされています。

    それができればいいんですが、コストが高くなりますし、ソフトウェアのロイヤルティーを国外に払わなくちゃいけないというような問題もありますので、まあ市場の原理に沿ったですね、市場の要望に沿ったレベルのGINGAの適用が一番適当ではないかという主張をメーカー側としてはさせていただいております。

    それから港湾物流インフラ。とにかくブラジルのロジコストはですね、おそらく、世界一とは言いませんけど、世界でも最も高い物流コストじゃないかと思うんですね。これは為替の要素は当然ございますし、シンガポールからサントスまでのコンテナの運送費がですね、マナウスからサントスまでのコンテナ輸送費よりも安い、まあほぼ同額ですね。それからリオ・チントという鉱山の運送をですね、直接サントスに運ばずに、パラナ川からラプラタ経由で海に出しているというような国内の物流コストが高いことによる問題がございます。

    なおかつですね、特に通関関係ではですね、税務署の体制、または農林省、ブラジルのMinsterio de Agriculturaの職員の通関の体制がですね、非常に弱い。弱いというか、おそらく必要な要員の半分くらいのですね、例えばマナウスであれば連邦の監査員というのは100名ほど必要なんですね、それを50名弱でやっている。

    これはいろいろお願いしても中々解決しないというようなことをですね、政府側にはお願いしていますし。最後に不正取引、これは後に書くダンピングとかコピーとか模造品に関することなんですけれども、まあこれは非常に法的にもですね、アタックしにくい要素はあるんですけども、我々としては言いつづけていかなきゃいけないと。

    常にですね、商工大臣の方とかですね、いろいろそのことに関するお願いをしているんですけども、協会の方でも定款とかプロシージャーを見直してですね、常に厳しいスタンスでこの問題には取り組もうというふうにしております。

    私のプレゼンはこれで終らせていただきますけども、今日は東京の方から私の友人がですね、その友人というのはいろいろそのメーカーさんの、まあエネルギー関係を供給されている会社に勤めておられるんですけども、日本では本当に明るい話がないというか、暗い話が多いというようメールをいただいたので、いや今日は私は午後シンポジウムで発表させていただくんですけれども、ブラジルの電子電気部会は明るい話題といいますか、明るい案件をたくさん持っていますよというふうにですね、回答しようというふうに思っております。今日は長時間ご清聴いただきましてありがとうございました。

    司会
    篠原さんありがとうございます。続きましては前半の最後になります、機械金属部会、西岡部会長よろしくお願いいたします。

     

     

     

  • 機械金属部会        西岡信之 部会長

    機械金属部会

    こんにちは、機械金属部会部会長の三菱重工ブラジルの西岡でございます。それでは機械金属部会の2011年の回顧と2012年の展望ということで報告をさせていただきます。

    我々機械金属部会、非常に業種が広きにわたっておりまして、各業種ごとに分けてご説明をしたいと思います。ここに書いてございますように、1番鉄鋼、2番電力及び社会インフラ、3番プラント機器、4番建設機械、5番産業用圧縮機、農業機械、それから各種工具・計測機器と潤滑油と、こういうふうに8つに分けてご報告をしたいと思います。

    それではまず鉄鋼関係ですけれども、2011年につきましては、国内粗鋼生産量が上期で1770万トン、前年比プラス6.2%。これが第3クオーターでは889万トン、前年比プラス8.2%。2011年の通年予想といたしましては、3526万トンと、上期は好調だったんですけれども、下期でやや減速をいたしました。

    輸出につきましては1000万トンを超えまして、前年から比べてかなり増加をいたしました。これはCSAのスラブ製鉄所が本格稼動いたしまして、北米向けの鋼塊、半製品が輸出を牽引したためでございます。それから輸入につきましては、予想が360万トンということで、前年比マイナス37.9%。まあ減っているんですけども、ただ加工製品の輸入予想がかなり増えておりまして、500万トン前後と無視できない量になっています。

    それから今年の展望ですけども、国内粗鋼の生産といたしましては、3750万トンということで、過去最高の去年から6%増加する見込みでございます。輸出につきましては、鋼塊・半製品の輸出は引続き高水準で推移するものと考えております。ただ鋼板製品類につきましては欧州危機等の影響で横ばい乃至は減少と予想しております。それから輸入につきましては2011年の水準で推移する、あるいは若干減るものと予想しております。全体的には自動車分野等の需要が堅調に推移する見込みでございますし、インフラ向けも増加する見込みでございます。

    続きまして電力および社会インフラでございます。2011年の回顧でございますが、ペトロブラス等の大型投資が継続され、経済の牽引役・原動力となって、波及効果が非常に大きいと。ただしプレサル等の上流部門に偏っておりまして、造船等への投資には積極的ですけども、プラント機器等への投資がまだ不十分というふうになっております。

    電力関係につきましては、2011年に電力オークションそのものは実施されたんですが、ペトロブラスが2016年までガス供給を保証しないという発表をいたしまして、ガス火力での入札がほぼ停止をしてしまいました。インフラ関係につきましては、大型プロジェクトの入札が遅れておりまして、例えば高速鉄道では7月に流札となってスキームを変更するという予定になっております。

    サンパウロメトロにつきましては工事を再開いたしました。2012年の展望でございますが、ペトロブラスの大型投資、まあこれは計画に対する実施率が70%前後と低くなっているんですけれども、まあ額としては大きいので、引き続き国内経済の牽引役として期待をされております。

    ただ造船関係での遅れが拡大しておりまして、プレサル開発が遅れるおそれが出ておりますけれども、まあ舶用機械の拡販に期待をしております。ガス火力につきましてはA-3電力オークションでは応札が無いものと考えておりますけれども、A-5では、年末に行われますA-5では出て来る可能性がありまして、まあ期待をしておりますけれども、全体的には低調だろうと予測をしております。

    高速鉄道につきましては上下分離での入札が一応年内に発照される見込みでございますが、まあその確度についてはまだ不透明な部分もございます。その他の都市交通、道路、空港拡張等の社会インフラ関係につきましては、まあ選挙もございますので、発注されていくだろうというふうに見ております。

    続きましてプラント機器関係でございます。2011年の回顧でございますが、まず紙パルプ業界でございますが、この業界はまあ国際競争力がありますので、2010年から設備投資が回復してきておりまして、2012年決着の大型商談が出てきておりました。

    石油化学業界につきましては、ペトロブラスの設備投資が相変わらず好調で、まあ他社さんを含めてかなり意欲的に進められました。鉄鋼・非鉄業界ですけれども、製鉄所の老朽設備更新、それから省エネ対策が計画されましたが、具体化が遅れておりました。

    エタノール業界につきましては、砂糖価格の高騰によりまして国際競争力が低下しておりまして、設備投資には動いておりませんでした。セメント業界につきましては、ワールドカップ、オリンピックに向けての設備投資を積極的に行ってまいりました。今年、2012年の展望ですが、まず紙パルプ業界につきましては、今年、2012年に大型商談が決着する見込みです。

    ただ世界的な景気後退リスク、先程から申し上げられておりますけども、ここに要注意ということでございます。石油化学業界につきましては、ペトロブラス案件はペトコーク焚ボイラ等好調に推移いたしまして、Braskemも国内投資を増加させる予定でございます。

    鉄鋼・非鉄業界につきましては、まあ世界的には供給能力過剰という傾向にありまして、生産能力増強よりも生産効率向上のための投資が出るものというふうに予想しております。

    エタノール業界につきましては、業界の競争力向上のためにBNDESが4ビリオン・レアルの融資枠を決定しておりますので、これに期待をしております。セメント業界につきましては、排熱発電設備の販売拡大を期待しております。

    続きまして、建設機械でございます。2011年の回顧ですが、総需要台数、これは第1クオーターで2782台、第2クオーターで3052台、第3クオーター2862台、第4クオーター2518台。2011年の合計で11214台と、2010年に比べまして4%の伸びをいたしました。

    全体的には、公共工事それからプロジェクトの遅延によりまして、需要の伸びが年後半で鈍化したという傾向でございます。年初にはGDPの成長5%、プラス公共工事伸び5%、トータル10%の伸びという予測をしてまいりましたが、予測ほどには伸びなかったというのが実体でございました。今年の展望でございますが、総需要台数、これは予想として1万1800台という予想でございます。

    すいません、皆さんのお手元の資料は11.8万というふうに書いてあると思いますけども、千のミスプリでございます。訂正をお願いいたします。まあ2010年比では大体9%の伸びというふうに、まあ少しずつ伸びているという予想をしております。全体的にはまあ、急激な需要増というのは期待できないんですけれども、中長期ではやはりインフラ関連工事がありますので需要増を期待しております。

    続きまして産業用圧縮機ですけれども、2011年の回顧でございますが、食品業界につきましては2010年比でマイナス20%。飲料業界の設備投資が堅調でしたけれども、2010年程には伸びなかったと。鶏肉産業の設備投資、まあそのものは堅調なんですけど、牛肉・豚肉産業については苦しい状況が続いているということでございます。

    ぺトケミ業界でございますが、2010年比でマイナス40%、大きく落ち込みました。これはペトロブラスのプレサル案件で漸く需要が動き始めたものの、まだ売上にはなっていないという状況でございます。

    飲料業界の伸びを受けまして、まあCO2の製造設備、冷却設備の受注がやや好調でしたけれども、まあ落ち込みをカバーできなかったということでございます。2012年の展望でございますが、食品業界については2011年比でプラス20%を予想しています。まあつまり2010年に戻るということですね。飲料業界では引続き設備投資案件があり、まあ継続した引合いがございます。

    鶏肉産業につきましては引続き好調で、自動化機械・冷却設備の投資に期待をしております。また牛肉・豚肉業界ではまあ輸出がわずかながら復調しておりますので、冷蔵庫設備に期待をしております。ペトケミ業界につきましては、2011年比でプラス30%、つまり2010年には戻らないというふうに予測をしております。まあペトロブラスのプレサル案件での受注活動が本格化いたしまして、売上はようやく2012年以降にかけてという状況です。それ以外のケミカル業界では、ガス圧縮装置の受注に期待をしております。

    続きまして農業機械でございます。2011年の、まずエンジンビジネスですが、これは2010年比で、台数で参りますと29%、金額でマイナス21%の落ち込みでございました。米作用作業機向け多気筒エンジンと単気筒エンジンの販売が大きく落ち込んだのが原因でございます。

    トラクタービジネスにつきましては、2010年比でマイナス5%の落ち込みでございました。これは小規模農家支援策、Mais Alimentosによりまして、小型トラクターの販売は昨年まで活況を呈してまいりましたが、これもまあだいたい一巡してきたということです。すいません、皆さんのお手元の資料、トラクタービジネスのところ、2011年比というふうになっていると思います。

    すいません、2010年比が正解でございます。訂正をお願いいたします。小型建機ビジネスですが、これは小型バックホーの輸入が前年比で2倍になっております。続いて2012年の展望でございますが、まずエンジンビジネスにつきましては、エンジン販売はまあ若干の回復を期待しておりますけども、単気筒エンジン販売は地方の電化による市場縮小、それから安価な中国製エンジンの流入によりまして低迷を予測しております。

    トラクタービジネスにつきましては、昨年7月1日よりMais Alimentosに代わる新たな融資制度が導入されておりますが、まあ先程申し上げましたように小型トラクター販売はだいたい一巡しておりますので、若干減少を予測しております。小型建機ビジネスにつきましては、都市部での、まあインフラ投資によりまして需要の伸びを期待しております。

    続きまして、各種工具・計測機器でございます。2011年の、まず切削工具でございますが、市場としては好調で販売も伸びたんですが、日本での震災、タイでの洪水で供給不足に陥りまして、シェアを落としたメーカーもございました。

    チェーン・軸受につきましては、上期は好調でしたが、下期はレアル高の影響、日系自動車メーカーの減産等によりまして、まあ製造業の後退により販売は失速をいたしました。計測機器につきましては、販売が2010年比でプラス14%と伸びております。これは教育機関向けと輸出が牽引をいたしました。

    それから2012年の展望でございますが、まず切削工具につきましては、自動車販売の伸びが期待されまして、市場としては伸びるものと予測をしております。ただまあ欧州危機等の影響もあり、まだ不透明な状況でございます。

    チェーン・軸受につきましては、市場としては下降局面が続く可能性が高いものと見ております。軸受では年央からの回復を期待し、チェーンではローカル化による販売拡大を期待しております。計測機器につきましては、日系企業及び中韓メーカーが非常に、ラッシュと言えるほど工場建設を予定しておりますので、市場環境としては良好というふうに見ております。

    続きまして、潤滑油・金属加工油でございます。2011年につきましては、まず潤滑油は市場全体としては同期比でプラス7%で堅調に需要が伸びております。ベースオイルが不足して各社が輸入する状況になっております。金属加工油につきましては、第1クオーターでは前年同期比でプラス6%の伸びでしたが、第2クオーターでは金利上昇の影響もあり、最終的には通年でマイナス1%の販売数量となっております。

    それから2012年の展望でございますが、潤滑油につきましてはディーゼルエンジンオイル、ガソリンエンジンオイル、工業用潤滑油等の主力製品で引続き堅調な伸びが期待できるものと見ております。金属加工油につきましては、自動車関連では2011年に比べて大きな伸びは期待できずにまあ現状維持となるものというふうに見ておりますけれども、二輪での回復が期待されますので、合計でまあプラス5乃至6%の伸びを期待しております。

    以上が8つに分けた業種ごとの報告でございまして、最後に部会全体としての報告でございます。まず2011年でございますが、2010年の経済情勢から各製品共に順調に販売・生産が伸びてきて、上期第1クオーターはその勢いが維持され、各製品共に伸びました。

    ただ第2クオーターに入って伸びが鈍化し、下期はそのまま減速が継続されてまいりました。従って、2011年トータルとしては、年初に予想していた程には伸びない結果となりました。まあこれは高金利政策等の消費抑制、レアル高、欧州財政危機等が効いたものと思われます。

    2012年の展望でございますが、政府が金利政策を転換いたしまして、まあ内需拡大に向けて金利を下げてきていること、それから国内産業の保護を強めてきていること、そういったことから内需は横這いか上向くものと予想しております。

    ただ一方で、世界的な景気減速により中国向け輸出が減少する可能性がありますので、まあ予断を許さないというふうに考えております。社会インフラ関係、それからプラント機器関係では、これまで計画・入札段階にあったものがまあいよいよ具体化して、発注になるものがありますので、これらでは大型受注の可能性があるというふうに見ております。以上でご報告を終ります。ありがとうございました。

    司会
    西岡さん、たいへんありがとうございます。おかげさまで少し時間を短縮できました。ではこれで15分間のコーヒーブレイクに入りたいと思います。

    後半のパートはですね、16時30分からのスタートとさせていただきますので、よろしくお願いします。また、後半の司会は澤田企画戦略委員長にお願いいたします。では、16時30分ということでお願いします。

    (コーヒーブレイク)

     

     

     

  • 司会 澤田吉啓 企画戦略委員長

    それでは後半に入らせていただきます。企画戦略委員会の澤田でございます。よろしくお願いいたします。後半は6部会からご報告をいただきます。

    申し訳ございませんが、若干ちょっと時間が押している関係がございますので、発表いただきます各部会長様には心持短めを心がけていただければたいへん助かります。よろしくお願い申し上げます。それでは最初でございますが、貿易部会、伊藤部会長の方からよろしくお願いいたします。

     

     

     

  • 貿易部会 伊藤友久 部会長

    貿易部会

    貿易部会から発表させていただきます。2011年の貿易動向について簡単に説明させていただきます。最初に2011年の貿易額の総括ですが、輸出におきましては2010年の2019億ドルから26.8%増の2560億ドル。

    輸入におきましては1818億ドルから24.5%増の2262億ドルとなりました。輸出入ともに過去最高の金額となっています。その結果、黄色い折れ線グラフで示しております貿易収支につきましても、47.9%増の298億ドルという結果になっております。

    次に半期ごとの推移を見ていただきます。2011年下半期の貿易額は、半期ベースとしては輸出入ともに過去最高額となりました。このグラフを見ていただくと分かると思うのですが、リーマンショック移行、2009年上半期をボトムにブラジルの貿易額は少なくとも2011年末までは順調に回復していることが見て取れると思います。

    では、これより輸出、輸入の取引形態ごとに説明させていただきます。まずは輸出に関してですが、2011年の輸出総額は前年度比26.8%増の2560億ドルとなりましたが、カテゴリー別で見ても、この表に記載の通り、全てのカテゴリーで増加になっています。特に一次産品が36.1%増の1225億ドル。半製品が27.7%増の360億ドルと大幅な増加となりました。

    なお、一次産品が輸出総額に占める比率につきましては、2007年度から32.1%、36.9%、40.4%、44.6%、47.8%と年々増加傾向にあります。
    次に商品別について見てみます。まず一次産品ですが、この表の通り、鉄鉱石、原油、大豆の輸出額が大幅に増加して、輸出額の増加を牽引しています。工業製品については、自動車、航空機、製糖といった製品はいずれも微減となっています。一次産品が好調で、工業製品が頭打ちという結果は、レアル高等に見舞われているブラジル産業界の現状を表しているものかと思われます。

    それでは、輸出の最後に相手国別について見てみます。輸出相手国上位10ヶ国は表の通りです。まず注目すべきは、2009年から輸出相手国第1位となった中国です。全体の伸び率をさらに超える伸び率となり、輸出全体の17.3%となる443億ドルとなりました。

    品目としては、鉄鉱石および大豆が大きな伸びを示しています。次に2位のアメリカですが、前年度比33.7%増の258億ドルとなりました。米国向け品目としては原油が大きな伸びを示しています。3位のアルゼンチンは22.6%増加で227億ドルとなっています。

    日本も32.7%の増加となっていますが、のちほど対日貿易という括りでご説明させていただきます。こちらのパイグラフは全輸出総額における地域別シェアを示しています。中国を含むアジア向けの金額が30%、EU諸国が21%、中南米・カリブが22%となり、全体の7割強を占めています。

    この構図は昨年度から大きく変わっていません。そして、次に来るのが米国であり、ブラジルの米国への依存度の割合は高くないことが見て取れます。なお傾向として米国のシェアは2008年度は14%であったものが、現在の10.1%まで減少している一方で、アジア向けは2008年の18.9%から30%までシェアを伸ばしたということになっています.シェアの割合は変化していますが、ブラジルの輸出先は様々な地域に分かれており、バランスが取れた状況となっていることがこのパイグラフからお分かりいただけると思います。

    では、輸入について説明させていただきます。2011年の輸入総額は前年比24.5%増加で2262億ドルでしたが、こちらも全てのカテゴリーで増加を記録しています。カテゴリー別では、資本財が16.8%増の479億ドル。原料・中間財が21.5%増の1021億ドル。消費財が27.5%増の401億ドルとなっています。

    輸入を商品別に見てみますと、金額シェアの5割弱を占める原料および中間財の伸び率は21.5%となる一方、消費財は27.5%と堅調な伸びを示しています。耐久消費財では乗用車と燃料および潤滑油の増加率が目立ちます。特に前者については中国・韓国車の輸入の急増と、その対策として出てきたIPI増税に対する駆け込み需要も重なったと見られています。旺盛な個人消費、レアル高による輸入商品への依存は引続き続いていると見られます。

    次に輸入を相手国別に見てみたいと思います。輸入相手の上位10ヶ国はこの表の通りです。すべての相手国に対して増加という結果になっています。1位はあいかわらず米国であり、25.6%増の340億ドル。2位も変わらず中国ですが、28.1%増の328億ドルとなり、1位米国との差は12億ドル程度と迫っています。

    3位のアルゼンチンは17.1%増の169億ドルです。また2011年でもっとも注目すべきポイントとしては、ナイジェリアからの輸入総額が41.7%の伸び率で、84億ドルとなり、日本を上回って6位となっています。またインドも前年比43.3%増の61億ドルとなっています。ちなみにナイジェリアからは原油の輸入が主であり、インドからも石油製品の輸入が伸びているということになります。

    輸出と同様に地域別にパイグラフで示したものです。順位としてはアジアが1位。EUが2位。あと中南米、米国と続き、全体的に地域バランスが取れていることが分かると思います。これらの順位は昨年と同じです。ただこの中で、先程も申しましたアフリカの伸び率が36.6%と目立っています。

    次に対内直接投資について説明させていただきます。2010年に前年比66.1%増加の526億ドルとなった対内直接投資額ですが、11年も堅調な伸びで、32.2%増の695億ドルを記録いたしました。

    右の表では各国別の投資額を記載しておりますが、ご注意いただきたいのは、コンサル部会でも話が出ましたけれども、この数値は直接投資ベースになります。オランダのような低税率国を経由した間接投資の場合等はその経由国の投資額となりますので、必ずしも投資国の実態を表したものではありません。

    中国が上位に入っておりませんが、これは第三国経由の間接投資を行っている可能性、またさらに、中国の投資はマイナーな出資が多いという形態が見て取れます。ただし、残念ながら正確なデータがなく、推測の域を出ていません。次お願いします。

    次のスライドは直接投資の業種別のものになります。ブラジルで最も強みのある資源関連業種、農業、畜産、工業の伸び率が大幅に減っています。一方で、キリンによるSchincariolへの投資でも注目された飲料部門、食品などの分野への投資は大きく伸びています。サービス業も通信などを中心に倍以上の伸びを示しました。

    なお、ブラジル中央銀行が詳細を開示していないため、投資先等の正確な名前・詳細は不明となっています。また、資料が無いので裏づけが取れてはいませんが、最近の投資の傾向としては、グリーンフィールドへの投資というよりは、M&Aといった出来合いのものを買収する傾向が増えているのではないかというふうに見られています。

    次に対日貿易という点について話をいたします。2011年度の対日貿易は、左側、輸出は前年比32.7%増の95億ドル。右側、輸入が12.7%増の79億ドルとなり、全体の傾向と同様に輸出入ともに増加となりました。

    引き続き一次産品を中心として輸出が旺盛であったことから、2011年はブラジル側にとっての貿易黒字となりました。ブラジルの貿易額に占める日本のシェアは、輸出が3.7%、輸入は3.5%で、国別のスライドでお分かりの通り、輸出においては順位に変動はありませんでしたが、輸入においてはナイジェリアに抜かれ、昨年6位から7位に順位を落とす結果となりました。

    ちなみに日本は2010年度に韓国に抜かれ5位から6位に転落し、今回さらにナイジェリアにも抜かれ7位に転落したということになります。最期に、直接投資額については日本からの投資額が大幅に伸びるなど、例年にない結果を残した1年と言えます。

    キリンが発表したようなM&Aなど新しい動きも出てこようとしています。当然ながら、低税率国を通した間接投資等も考えられるため、一概には言えない部分がありますが、ブラジルでの日本進出企業の増加、日本人駐在員数の増加にあわせるように、ブラジルに関心を寄せる日本企業が増えた証のひとつであると見て取れます。

    最期に2011年のトピックスをまとめてみますと、一つ、輸出入ともに増加して過去最高額を記録したこと。二つ目、貿易収支も改善をしたこと。三つ目、新興国を中心として資源・食料の需要増加により一次産品の輸出総額が大きく伸び、その比率が増加していること。輸入先として日本の順位が7位に下落したこと。大きくはこの四点が言えるのではないかと思います。

    そして、2012年の見通しについて簡単に触れますと、ブラジルの経済の好調ぶりは11年中央の欧州不安の顕著化によって踊り場にいる状況に入り、今年の経済成長率も色んな見方があるものの3~5%前後と見られており、貿易につきましても、一次産品への影響も含めて不透明さが増していることが見て取れます。昨年後半から打ち出しているブラジル政府の景気刺激策が効を奏し経済が回復に向かうのか、あるいは欧州発信の不透明感がさらに影響を強めていくのか、十分注意していく必要があると思います。

    さらに気になる点は、政府が保護主義の姿勢を強めつつあることです。11年の自動車のIPI引き下げにつきましては、レアル高とそれによる輸入車の増加という背景がありました。12年に入ってもアルゼンチンの保護主義政策の強化によってブラジルが対抗処置を検討するという話も出てきております。

    これは自動車部会からの発表の通りです。その結果、効果は限定的かもしれませんが、機運としては必ずしも貿易に携わるものとして、必ずしも好ましいものではないと思われます。しかしながら、ブラジルに対する世界の注目度は減ることはないかと思われます。それは昨年の対内直接投資額の増加にも見られる通りです。

    日本企業のみならず、欧米、さらにはアジア企業も引続きブラジルへの関心を高めるものと見ることができます。毎回申し上げておりますが、日本とブラジルは補完関係にある国同士であり、ブラジルの日本におけるプレゼンスを高め、逆に日本のブラジルにおけるプレゼンスを高め、さらなる関係の強化、そしてその結果の実現を切に望みつつ、貿易部会からの発表を終らさせていただきます。どうもありがとうございました。

    司会
    ありがとうございました。ちょっと前半と同様に、とりあえず各部会よりご報告いただきまして、時間を見ながら場合によって質疑を入れさせていただくという形で進めさせていただきますので、申し訳ございませんがご了承いただければと思います。それでは化学品部会、藤下部会長様、よろしくお願いいたします。

     

     

     

  • 化学品部会 藤下温雄 部会長

    化学品部会

    化学品部会の藤下と申します。化学品部会の2011年の回顧と2012年の展望を報告させていただきます。化学品部会では業界の回顧と展望を発表するに際し、会員各社にアンケートをお願いしておりまして、その結果を発表することとしております。

    化学品部会の会員数は55社ですが、アンケートの依頼は39社に対して行われており、今回は19社より、うち1社は3業種やっておられますので3回答をいただきましたので、計21回答。これを業種に分けますと16業種の回答をいただきました。

    まずアンケートの全体の結果を見ますと、2011年の売上につきましては、21回答中、増加が18回答、不変が1回答、減少が2回答で、増加と不変をあわせますと76%。利益に関しましては増加15回答、不変1回答、減少5回答であり、増加と不変をあわせますと同じく76%となりました。

    2012年の展望でも、売上に関しましては、増加予測が14回答、不変予測が5回答、減少予測が2回答で、増加と不変をあわせますと90%。利益に関しましては、増加予測が10回答、不変予測が6回答、減少予測が5回答で、増加と不変予測をあわせますと76%となりました。

    全体の結果だけでは業界の傾向が分からないと思いますので、今回のアンケートではこの21回答16業種を5分野に分けまして、結果を見てみました。化学品というのは非常に多岐の分野に使用されておりますので、果たしてこの分類方法が良いのか分かりませんが、ある程度の市場別の傾向はつかめるのではないかと思います。

    まず、工業材料分野ですが、タイヤ、樹脂着色剤、ロジンおよび誘導体、合成樹脂、水処理薬品、石油化学製品、シール・接着剤、印刷インキ、おのおの1社ずつ、合計8社8業種の回答がありました。

    それで、アンケートの結果といたしまして、売上では増加6回答、不変0回答、減少2回答で、増加と不変回答をあわせまして75%。利益では増加4回答、不変0回答、減少4回答となり、増加と不変回答をあわせて50%になりました。2012年の展望では、売上で増加予測5回答、不変2回答、減少1回答で、増加と不変とあわせて75%となり、利益では増加5回答、不変2回答、減少1回答で、増加と不変をあわせて75%となりました。

    次に、農業・畜産分野ですが、農薬が3社、飼料添加物が1社、合計4社2業種の回答がありました。結果としまして、2011年の売上では増加4回答、不変0回答、減少0回答で、増収と不変回答をあわせて100%。利益でも増加4回答、不変0回答、減少0回答で、増加・不変あわせて100%でした。

    2012年の展望では、売上で増加2回答、不変1回答、減少1回答で、増加と不変をあわせて75%。利益では増加1回答、不変1回答、減少は2回答で、増加と不変とあわせると50%になりました。

    次に、医薬・化粧品分野ですが、一般用医薬品が1社、化粧品が1社、合計2社2業種の回答がございました。結果は、2011年の売上では増加2回答、不変・減少それぞれ0回答で、増収が100%。利益でも増加が2回答、不変・減少0回答ですね。増加100%でした。2012年の展望では、売上で増加2回答、不変・減少0回答。増加が100%。利益ではちょっと分かれまして、増加1回答、減少が1回答と回答が二分されました。

    次に、一般消費財分野ですけど、これは写真・デジカメ1社、文房具2社、家庭用防疫薬1社、合計4社3業種の回答がありました。2011年の売上では増加3回答、不変1回答、減少0回答で、増加と不変とあわせて100%。

    利益では増加3回答、不変1回答、減少0回答で、増加と不変とあわせて同じく100%となりました。2012年の展望としましては、売上で増加2回答、不変2回答、減少0回答で、増加と不変をあわせて同じく100%。利益では増加1回答、不変2回答、減少1回答で、増加・不変とあわせると75%になりました。

    最後に化学品貿易ですが、化学品貿易では3社の商社から回答がありました。2011年の売上では増加3回答、不変・減少ともに0で、増加は100%。利益でも増加が3回答、不変・減少0回答で、増加が100%でした。2012年の展望では、売上で同じく増加が3回答、不変・減少ともに0で、増加が100%。利益では増加が2回答、不変が1回答、減少0回答で、同じく増加と不変とあわせると100%になります。

    ちょっと細かいもので申し訳ないんですけども、今までお話したことを総括しますと、分野別に分けましたアンケートの結果を総括いたしますと、2011年の回顧では農業・畜産分野、医薬・化粧品分野、化学品貿易分野が売上・利益とも絶好調。一般消費財分野がそれに次いで好調。工業材料分野は業種により苦戦中という結果と思われます。

    2012年の展望では、引き続き医薬・化粧品分野、化学品貿易分野が売上では絶好調。利益では若干の不安があり、またそれに次いで、農業・畜産分野、一般消費財分野が好調を維持。工業材料分野は業種によって引続き苦戦中、こういう展望だと思われます。

    最後にですね、各分野別の回答を、ちょっご多いので駆け足でご紹介させていただきます。

    まずタイヤのメーカーさんですけども、2011年の回顧としては増収・減益でした。プラス要因としては、マーケットの拡大による車両販売の増加。マイナス要因は海外からの安い輸入製品との競争激化、これは中国とのことですけど。それから2012年は増収・増益の予測で、プラス要因としては引続きマーケットが拡大する予想で、マイナス要因としてはやはり引き続き安い輸入品との価格競争ということだそうです。

    次に同じ工業分野の樹脂用着色剤メーカーさんですけども、2011年の回顧としては減収・減益だったそうです。プラス要因としては、国内市場は安定していたそうですが、欧米経済の低迷による需要減、レアル高による顧客の販売不振、同業他社との販売競争激化がマイナス要因だったそうです。

    2012年の展望としては売上不変、利益は増加の見込みとのことです。プラスの要因としては、新機械の導入、人員削減の効果、それからマイナス要因としては景気の低迷、レアル高、それから引続き同業他社との競争激化と、こういうことだそうです。

    それから工業材料分野でロジンおよびその誘導体、これ1社ですけど、2011年の回顧としては増収・増益。プラス要因は、年の前半に原料が上がっていて、後半で下降したので、原料価格が上昇したので売上増となり、年後半は逆に下降となったのでこれは利益増に貢献したとのことです。2012年の展望としては、減収・増益の予測で、原料価格は引続き下落の見通しのため増益の見込みで、マイナス要因としては国内の景気の低迷の可能性があるとこういうことだそうです。

    それから、工業材料分野の合成樹脂の輸入販売。2011年の回顧としては増収・増益だったとのことです。プラス要因は市場の拡大、新製品、新顧客の開発、レアル高などを挙げられておられます。マイナス要因としてはインフレによる経費の増加。それから2012年の展望としては、売上不変で増益との予測とのことです。プラス要因は引続き市場の拡大。マイナス要因は欧米の経済危機の影響による需要減退、レアル安、インフレによる経費の増加などとのことです。

    それから工業材料分野の水処理薬品。2011年の回顧は増収・増益で、プラス要因は着実な売上の実施、食品、飲料工場など新規顧客の開拓だったとのことです。マイナス要因は石油化学コンビナートでの競争激化だったとのことです。

    2012年の展望としては、売上、利益ともに増加の予定で、プラス要因としては値上げ交渉の継続、それから食品・飲料工場への拡販、それからRO膜洗浄薬品市場での新規開拓とのことです。マイナス要因としては引き続き石油化学コンビナートでの競争激化、それからレアル安による原料価格の上昇などとのことです。

    それから、工業材料分野の石油化学製品の輸入販売。2011年の回顧としては増収・増益とのこと。プラス要因は2010年に新オフィスを立ち上げて以来順調に推移しているとのことです。2012年の展望としては、売上・利益とも増加の予測とのことです。プラス要因は引続き取り扱い商品の拡大で、マイナス要因は特に無いとのことです。

    それから次に同じく工業材料分野のシール材・接着剤。2011年の回顧としては減収・減益だったとのことです。プラス要因は特に無く、マイナス要因としてブラジル経済の減速、原料価格などの上昇を挙げておられます。今年の展望としては増収で利益は不変の予測とのことです。プラス要因としてはブラジル経済の復調の見込み、マイナス要因で為替の変動、インフレなどを挙げておられます。

    それから工業材料分野の最後ですけれども、印刷インキの輸入販売。2011年は増収・減益だったとのことです。プラス要因は、2010年7月に輸入販売を開始されたそうですけど、以来販売が順調に拡大したためとのことです。

    マイナス要因としては円高・レアル安の影響で日本からの輸入品の利益が減少したとのことです。今年の展望としては、売上・利益ともに増加の見込み。プラス要因としてはアメリカ、中国、インドなど日本以外からの輸入を開始したこと。それからマイナス要因としては円高・レアル安で輸入のコストが上がって利益増加があまり期待できないことだそうです。

    それから次に農業畜産分野で、農薬のメーカーさんが3社ございますので、それをまとめて報告させていただきますと、去年の回顧としては3会員ともに増収・増益だったとのことです。プラス要因としては、農産物作付面積の増加、大豆、オレンジ、特に綿だそうですけど。あと農産物価格の上昇。

    それからマイナス要因としては、中国製違法商品との競合。特に水稲用の除草剤。これは、違法商品というのは要するにブラジルでは使用を認めていない農薬をですね、隣の、規制の緩いパラグアイとかウルグアイに輸入して、そこから密輸で陸送してブラジルに持ってきている密輸が結構あるんだそうです。それから2012年の展望としては、売上・利益ともに3会員のうち1社増加、1社不変、1社減少でした。プラスとしては、引き続き作付け面積は拡大するであろうと。農産物価格も安定しているだろうと。マイナス要因としては引続き中国品、中国の違法商品との競合。あとジェネリック品の新規市場参入。円高。それから登録規制などとのことです。

    それから農業畜産分野で飼料添加物。これ1社さんございまして、去年の回顧としては増収・減益とのことです。プラス要因は販売量の増加、マイナス要因は販売価格の低下とのことです。今年の展望としては増収・減益の予測で、プラス要因は販売数量のさらなる増加、マイナス要因は販売価格のさらなる低下とのことでした。

    それから医療・化粧品分野で、1社、一般用の医薬品をやっておられるメーカーさんがございまして、去年の回顧としては増収・増益。プラス要因としては購買層の拡大、それから販売促進活動の成功。マイナス要因としては原料・人件費などの高騰により利益が思ったほど上がらなかったと。それから今年の展望としては、増収・増益の予測だそうです。プラス要因は、引き続き市場が拡大するであろうと。それからマイナス要因としてはまあ経費のアップ、特にマナウスの人件費のアップを挙げておられました。

    同じく医療・化粧品分野の化粧品ですけど、1社さんございまして、去年は増収・増益だったと。プラス要因としては、欧米メーカーにはないカテゴリーでの販売増。それから既存品の売上も順調だったとのことです。

    マイナス要因としては、レアル高によって海外で化粧品を買う人が増えて、ブラジル国内の高級化粧品の客数が減ったそうです。それから来年の展望としては、引き続き増収・増益の見込みで、プラス要因としては新ブランドの導入。それから5月から新しい外貨化粧品チェーン店がブラジルに参入するので、販売増が期待できると。それからマイナス要因としては、新ブランド導入のためのコスト増による利益の減少を挙げておられます。

    それから次に一般消費財分野の写真・デジカメでございますけど、これ1社さんございまして、昨年の回顧としては増収・増益だったとのことです。プラス要因としてはブラジル国内の景気の上昇、マイナス要因はレアルの大幅下落とのことです。今年の展望としては引続き増収・増益の予測で、プラス要因としては引き続きブラジル国内の景気の上昇、マイナス要因としてはレアルのレートの低迷だそうです。

    それから一般消費財分野で、文房具のメーカーさんが2社ございまして、去年の回顧としては2社ともに増収・減益だったとのことです。プラス要因は市場の好況拡大、レアル高、コスト削減努力などで、マイナス要因としては人件費・材料費のアップを挙げておられます。今年の展望としては、売上は1社増加1社不変。利益は1社不変1社減少。プラス要因としてはメディアを活用した販売促進の効果。マイナス要因としては景気の後退、人件費・材料費などのアップ、レアル安、輸入ライセンスの発給遅れなどということです。

    それから同じく一般消費財分野で、家庭防疫薬。これ1社さんございまして、これは要するに家庭で使う防疫薬、要するに虫を殺す薬品の原料を納入されているメーカーさんですけれども、去年の回顧としては売上・利益ともに不変だったとのことです。

    プラス要因としては、デング熱の流行の継続、新規顧客に対する販売増、マイナス要因としては顧客の再編、ジェネリック商品との競合だったとのことです。今年の展望としては売上・利益ともに引き続き不変の予測とのことです。プラス要因としてはデング熱の流行の継続、マイナス要因としてはジェネリック商品との競合だそうです。

    それから、最後に化学品貿易ですけど、これは商社3社さんから回答を得まして、昨年は3社ともに増収・増益。プラス要因としては、内需拡大、レアル高による輸入増、取り扱い商品の拡大。マイナス要因としては、内需拡大とレアル高による輸出の減少、それから海外マーケットの不調などを挙げておられます。

    今年の展望としては、3社ともに引続き増収。利益は2社が増加、1社が不変と記載されております。プラス要因は引続き輸入の拡大、それから日系およびアジア企業のブラジル進出、取り扱い商品の拡大。マイナス要因としては、輸出の減少継続、韓国・中国などライバルの出現、景気回復の遅れ、経費の増加による利益の減少などを挙げておられます。

    以上が、ざっと見ました業種別のアンケートの結果でございます。で、最後にですね、今度のアンケートで副題の「景気減速が日伯経済関係に与える影響」についても、2社さんから回答をいただきましたので、ここでご披露して私の報告を終りたいと思います。

    回答のひとつは、当地の保護主義は主に国内企業の既得権益を守る為のものとなっており、国内企業の国際競争力の向上に寄与しているとは思えない。当地での生産品を輸出出来る状態となれば投資機会は大きく増えると感じている。これはまあブラジル政府に対する要望だと思います。

    それから回答の2としては、景気減速と円高で日本企業は苦しんでいる。さらに増税するようなことは絶対に避けるべきである。むしろ、韓国の様に政府の為替介入による円高の阻止を実施すること、法人税カットなどで景気を浮揚してもらいたい。この二つの回答がありましたのでここでご披露させていただきます。以上で化学品部会からの報告を終ります。ご清聴ありがとうございました。

    司会
    ありがとうございました。それでは運輸サービス部会、岐部部会長様、よろしくお願いいたします。

     

     

     

  • 運輸サービス部会  岐部ルイス 部会長

    運輸サービス部会

    運輸サービス部会の岐部と申します。よろしくお願いいたします。物流業界の話をさせていただくときに必ず出てくるのが、インフラが悪い、改善されないということですが、空港・港湾とも若干の改善の兆しが見えてきたのではないかと思っています。しかしこの発表でも何回も出てきますが、人材不足は深刻な問題となってきております。

    物流業界はたいへん厳しい一年ではありましたが、当部会の一つであるサービス業界は航空旅客業界、旅行業界とも絶好調の一年でありました。そして通信・IT業界もここブラジルでの発展は皆様が肌で感じておられる通り、好調に推移してきました。それでは物流業界全般、航空業界、海運業界、ホテル旅行業界、通信・IT業界の順を追って報告して参ります。

    先程からの続きになりますが、空港・港とも混雑はあいかわらずで、特にターミナル会社は常識を逸した料金体系に値上をしております。ここでは陸上運送は貨物量の増加に車両が不足していると書いていますが、運転手も需要に供給が間に合わず、運賃の上昇傾向が続いております。給与レベルの高騰は物流業界も同じであり、人材の確保がたいへん難しい状況にあります。

    次は航空業界です。さて、皆様もグアルーリョス、コンゴーニャス空港で感じられる通り、航空旅客業界は絶好調の一言です。国内線・国際線ともとても高い率で伸びています。貨物の輸入は依然好調に推移しており、スペース不足、空港インフラの悪さにはあいかわらずフォワーダーも苦労しております。輸出は伸び悩んでおります。東日本震災とタイの洪水は、船便から航空便への切り替えで、ここブラジル向けにも影響を及ぼし、貨物量が増加しております。

    次は海運業界です。海運業界の昨年を振り返りますと、中間層の増大による消費意欲の増大に比例する形で輸入は大幅に増えました。全トレード対象で12%増、アジアからの輸入に限って言えば19%の大幅な増加となりました。一方で輸出はレアル高もあって横ばいに推移しました。ブラジルの鉄鉱石の輸出は前年比4%増という結果になりました。

    旅行・ホテル業界は2011年はたいへん良い結果でした。特にビジネス旅行者の増加、国際会議、多数のイベントが目白押しの状況で、ホテルの稼働率は78.7%とたいへん良い結果となっております。航空旅客が国内・国際とも二桁の伸長を見せているのは、旅行者が増えたということもありますが、やはりブラジルの好景気がビジネスマンを呼び、ビジネス旅行者の増加が旅行業界・ホテル業界の好調を支えているとも言えます。

    続きまして通信業界についてですが、2011年12月末現在、携帯電話の加入者数は2億422万台になりました。加入者の伸びは2011年12月末時点で12ヶ月の伸びが3928万台です。約19%伸びています。

    ブラジルの人口を超えても増加傾向にあります。プリペイドは2010年末が82.34%、2011年末が81.81%と減り、ポストペイドが若干増加しました。3Gの加入者数は2011年12月末現在で4000万台になりました。3Gの携帯電話全体におけるシェアは16.5%です。スマートフォンなどを利用したネットアクセスが増えることによって、さらにポストペイドの契約が増えると考えられます。国家電気通信局のANATELはMVNOの参入を認可しました。現在保険会社のポルト・セグーロとSeastar社が準備中です。

    年内サービスインする予定になっています。PNBLですが、全国ブロードバンド化計画の実施が昨年10月末から全国約350都市で開始されました。下り回線速度が1メガbpsのインターネット回線が月額35レアルで利用可能になりました。通信省は2014年までに全国で契約が可能になると発表をしています。次にIT業界ですが、IT投資の継続が続いています。特にサーバーの仮想化、業務アプリケーション、ITインフラ、セキュリティの分野が目立っております。

    さて、2012年の展望ですが、当部会はいつも通り、好調の二つに大別されます。いつも通りは物流業界全般、特に一次産品を除いた輸出輸入のバランスは変わらず、インフラの悪さがさらに顕著になっていくものと見ています。ただ今年サントス港では新規のターミナルが開業する予定ですので多少は期待できるのではないかと見ています。もう一方の、好調さを続ける旅行業界、ホテル業界、そして通信・IT業界は今年も相応の伸びが期待できる状況であることは間違いないと思います。では、各業種を順番に説明していきます。

    物流業界全般は、空港・港・道路鉄道関係のインフラ改善を期待することはいつも通りですが、人材不足と人件費の値上があり、物流コストがアップするのに対して、高騰する全般的なコストを削減する動きが出てくるのではないかと見ております。また今度、さらに中国製品の輸入が増えるようであればブラジル政府は何らかの規制に踏み切ることも予測されます。

    航空業界、2012年の展望はたいへん明るいと見られております。特にブラジル人のアメリカのビザ取得が緩和される動きがあり、これが実現すれば一気に増えると見られています。ただ貨物の場合は震災、タイの洪水の影響もあり、輸入はあいかわらず好調に推移すると見られていますが、ブラジル工業製品の輸出は横ばいであると考えられます。トピックスは、Lan ChileとTAMのアライアンスですが、どうなるか興味があるところです。

    続きまして海運業界ですが、コンテナ船の輸入に関しましては、国内消費の旺盛な需要から顕著な拡大を予想します。一方で輸出は為替の問題と欧州の景気動向から大きな伸びは見込めず、横ばいと予想します。

    ブラジル出しの鉄鉱石に関しては中国の買い付け量次第ですが、ほぼ前年並みか若干増加を予想しています。長く問題になっていたサントス港の港湾ターミナルの問題ですが、新規に二つのターミナルが2012年末に開業する予定になっており、これにより状況の改善が期待されております。

    続きまして旅行・ホテル業界ですが、ブラジル経済の好調さによるビジネス旅行者の増加に加え、個々期待されているビッグイベントの効果として、事前準備のためにブラジルに来ている関係者も増加傾向になっています。ホテル業界としては、増える旅行者に対するサービスアップの一環として、人材の育成に業界として取り組み始めています。

    今年の期待することとして、やはり、グアルーリョス空港の新ターミナルがありますが、期待のほどはいかなるものかは未知の状況です。今後気になる点は、先週にも報道されましたが、Infraeroがグアルーリョス、ビラコッポス、ブラジリア空港の運営権の競売を実施したことです。

    最後に通信・IT業界ですが、まず通信業界から報告します。携帯電話の番号は今までの8桁から、9桁に変更する予定になっています。7月29日からサンパウロの市外局番の011から変更する予定になっています。既存の電話番号は現在の8桁の数字の前に数字の9番が追加される予定になっています。

    次にIT業界ですが、今年こそブラジル国内でApple社のipadタブレットが生産する予定です。ブラジル国内生産により30%程度価格が下がると予想されています。そのほかに、Cloud Computing、サーバーのバーチャル化、SNSツールの利用、例えばTwitter、Facebook、こういったものの活用が企業内に進むであろうと期待しています。

    Cloud Computingの例ですが、大手のUOLがMicrosoft社のOffice365を提供する予定になっています。先程別の業界でも人材不足について述べましたが、同じく通信・IT業界も専門家の確保が厳しくなります。以上、運輸サービス部会の発表を終ります。ご清聴ありがとうございました。

    司会
    ありがとうございました。それでは次に参りたいと思います。繊維部会、岡田部会長様よろしくお願いいたします。

     

     

     

  • 繊維部会  岡田幸平 部会長

    繊維部会

    こんにちは。繊維部会の発表を行います。前回の発表の時には、原綿相場と綿糸相場ということに特化して発表いたしましたが、今回は8つのテーマを8社で報告していただいた報告書通りに発表させてもらおうと思っております。

    なお、今日のオーバーヘッドに出てくる内容は今ホームページの中に入っていますけども、それに本来の各社から出てきた報告を今後取り替えていただきますので、私の方では今日は回顧と展望について口頭で説明させていただきます。グラフとか表は画面の方に出させていただきます。それではお願いします。

    まず最初は国際原綿です。2011年の回顧。2011年7月末の世界季末綿花在庫率が、40%を切るという極めて逼迫した需給ポジションを背景に、2011年上期には未曾有の綿花暴騰相場が現出した。

    年初から上昇を続けたNY定期は、3月4日の期近物引値で140年の商品取引史上最高値の215.15セント/ポンドを記録した。中国を中心とした綿花輸入国の狼狽買いと投機筋の介入が、この高騰相場を下支えしたが、製品市況の崩壊から綿糸価格は急落し、紡績は操業縮小や既契約原綿のキャンセルに転じた。

    この結果2011年下期にはNY定期相場は反落し、7月には期近物が100セント/ポンド前後で推移し、さらに年末には91.80セント/ポンドの水準に至った。2011年は、まさに綿花相場史上類を見ない歴史的な変動の一年となりました。

    さて、2012年の展望ですが、今季2011年、12年の世界綿花生産量は前年度比6.5%増加、世界綿花消費量は前年度比4%減少、さらに世界季末在庫は前年度比約30%増加が予想されている。

    大幅な需給バランスの緩和、綿糸市況の回復遅れ、BRICs、新興諸国の経済成長減速などを考慮すると、綿花相場を押し上げる材料は乏しいと言える。

    しかし、大豆やとうもろこしなどの競合作物相場や原油価格が高止まりしており、綿花相場も投機筋からの買いに支えられ95セント/ポンド前後の統計的には高値水準を維持しています。今後EUユーロ危機が世界経済に及ぼす影響など懸念材料も多く、実需面だけから綿花相場動向を予測することは危険ではあるが、基本的には相場は弱含み推移と見るのが妥当である。

    次に国内綿花。2011年の回顧。一昨年にポンド=2.91レアルで引けた綿花相場、国内はESALQです、は2011年に入り、新綿入荷、7月頃までの原綿不足が見込まれる中、NY相場が世界綿花需給の逼迫感の高まり、投機マネーの流出で連日高騰。その影響もあって、ESALQは3月15日のポンド=4.01レアルの史上最高値まで大暴騰した。

    その後新綿の増産が確実となる発表、NY相場の値崩れ等で相場は反転。7月の1.58の大暴落と相場の乱高下が起きた。綿花生産量は190万トンと前年度より大幅に増産したが、量・品質面不足で紡績はその対応に苦慮。綿花生産者の売り控えもあって相場は高値で推移しました。2012年の展望ですが、綿花生産量は昨年並みの190万トン前後が見込まれている。

    古綿は十分な量があるが、量・品質面不足が相場を強くしています。国内相場はもはやNY相場に連動していると見てよいが、2012年期末在庫が72万トンとあまりにも大きな数量で、この綿花の需給バランスで見ると相場は弱含みを予想されるが、投機マネーの動向、綿花生産者の資金的ゆとりの売り控え等で不透明な相場が推移すると予測されています。さてそれでは、国内綿糸の方をお願いします。

    2011年の回顧。2011年の綿糸相場は、第1四半期は綿花の暴騰に対応した値上げを実施し利益を確保したものの、4月以降、市況は激変し年末まで回復の兆しすらないまま2012年を迎えた。

    紡績各社は、マーケットの冷え込みと中国をはじめとしたアジア諸国からの製品または生地の輸入品増加による需要減退で過剰在庫を抱え、売値がコスト以下になっても、販売量確保のため更なる値下げ競争を展開する異常事態が下半期を通して継続した。2011年12月の糸値は、2年前2009年末の糸値とほぼ同水準となったが、しかし、原料の綿花相場は2009年末と2011年末の比較では2011年末が22%も高くなっている。ある程度連動していた綿花相場と綿糸相場の関係が大きく崩れた。

    綿糸におけるコスト構造が変更を余儀なくされた激動の年となった。2012年の展望です。2011年末に、ブラジル政府は国内繊維産業の保護を目的とした、繊維衣料製品に対する特別関税を導入し、輸入税の引き上げを検討していることを発表した。すでに原案は作成済みで、今後WTOとの交渉を進め、3月末をめどに導入することを目指しているというものだ。

    実施に至るまでには紆余曲折があり、予定どおりに進むかは予断を許さないが、実施となれば繊維製品輸入に対するけん制となり、衣料品生産の国内回帰による綿糸需要の回復につながるのではと期待を寄せている。

    今年に入り綿糸需要は回復基調となったが、持続した本格的回復かどうかはまだ見極めが必要である。さらに、大きくコスト割れした価格の回復にはさらに時間を要すると推測される。ただ、在庫に関しては紡績から縫製まで各工程を通し、昨年後半ほどの過剰感は薄れている。

    安定した利益を確保し業界として生き残るため、一層のコストダウンをはじめとした自助努力と、業界が一体となって政府に働きかけ繊維産業を維持していくための環境作りを推し進める厳しい1年となるだろう。次お願いします。

    次は空紡糸、いわゆるオープンエンド糸です。2011年の回顧。2010年末から高騰を続けた原綿相場が3月には一転暴落に転じた。原料高に連動した糸値の高騰にユーザーが付いてこれず需要が停滞した事に加え、原料安から糸値の下落を期待した買い控えが起こり、また縫製加工品の輸入急増もあった事で、糸需要は大幅に減退した。

    紡績各社は大量の製品在庫を抱え、減産体制を続けたが、在庫処分での値崩れもあり、糸市場は年末まで回復の兆しを見ることは出来なかった。特に空紡糸が使用される冬物衣料は、安い輸入品に市場を蚕食され、年初から減産を余儀なくされた最悪の年となった。

    2012年の展望。ここにきて、政府は漸く繊維業界の窮状に気付き、輸入抑制に手を打つ事になった。空紡糸の主力用途の冬物衣料については、小売段階での在庫も減ってきており、輸入品の圧力が減ってくれば実需の回復に繋がってくると期待している。

    昨年は一人紡績だけが大赤字の状況にあったが、2012年も同じ状態が続くのであれば、ブラジルでの繊維加工業は成り立たない事態となる。これからも業界が一致して政府に働きかける姿勢を強めていかなければならない。2012年は、繊維業界にとって生き残りをかけた勝負の年になる。次お願いします。

    次は綿糸の貿易です。2011年の綿糸輸出は672トン、前年比マイナス50%。綿糸輸入は3万1193トン、前年比マイナス56%で共に大幅減少となった。綿糸輸出はレアル高により国際競争力を喪失、定番綿糸の輸出は実質ゼロといえる。

    綿糸輸入は国内綿糸需要が極度に悪化した為、前年比半減以下に落ち込んだ。繊維製品全体、まあ原料を除く、の輸出は、殆どの品目が数量ベースで減少。輸入は数量ベースでは微減だが、金額ベースでは前年比24.3%増となった。要因は素材相場の上昇によるものである。

    なお、2011年度の製品輸入は統計には表れていないが、上半期に大量の冬物衣料が違法に輸入されたのではないかと業界関係者は指摘している。2012年の展望。綿糸輸出はレアル高による国際競争力喪失により当面復活の見込みはない。綿糸輸入はブラジル国内綿糸相場が回復、需給が逼迫すれば、2011年度比増勢に転じる可能性がある。次お願いします。

    次は薄地織物。2011年の回顧。織物輸入は引続き増加、国内産を輸入生地に置き換える傾向は続いているが、全体的な需要減で、10年の大幅な増加には至っていない。顕著な動きとして、先染格子柄の輸入が増加した。生産統計は未発表だが、需要の減少で国内生産は対前年比減少と推測される。原綿価格の高騰を織物価格へ転嫁したが、許容限度を超え、アパレルの生産減となった。

    製品輸入の増加で、国内縫製が減少。公共投資の停滞でユニフォーム需要が減少。2012年の展望。輸入品対策として非正規輸入の取り締まり強化・輸入許可審査の厳格化などが始められており、効果が発揮されると期待している。ブラジル経済の回復、賃金のアップ、金利のダウンやインフラ投資の再開による需要増も期待しております。

    次に紳士、婦人服地小口販売市場の動向。2011年の回顧。昨年は2010年の高成長を誰もが続くと期待していたが、綿の高騰や中国等の消費拡大からの全素材の値上がりで市場がストップ状態で年が始まった。

    冬物商戦も母の日までに寒くならず期待はずれとなり、春夏物も年末まで涼しく苦戦、クリスマス商戦も盛り上がりなく終わってしまった。1年を通して、市場の動きが悪く不透明な年だった。

    市場動向。綿の値上がりは上半期には生地、縫製品へのコストアップとなり、小売屋に高値で並ぶことになった。店頭価格の値上がりと冷夏とで下半期の夏物の動きは非常に悪かった。ユニフォーム、婦人服は堅調に推移したが、紳士服は今年更に動きが悪くなり、価格競争が激化した。小売業界。天候には恵まれなかった年だったが、繊維業界の中では一番の成長株で、今年も10%前後の売上げを伸ばした所が多い。

    チェーン店も多店舗化に力を入れた。また、コストダウンをする為に仕入れ先を国内から海外縫製に切り替えて行くところが多くなった。アパレル。1年を通して苦戦、冬物、夏物共に小売からの追加注文が入らず生産、売上げ共に5%-10%のマイナス。特に中級以下の価格滞は中国製品に市場を奪われた。縫製工場の中には、国内の生産を諦め、自ら製品輸入を始めた所も現れた。

    輸入業界。2011年の生地の輸入量は前年比3.3%アップ、既製服が41.2%アップだった。上半期にレアル高が続き、既製服輸入業者の増加に拍車をかけた。生地輸入業者は縫製業界と共に苦戦しました。2012年の展望。高価格の綿製品が一巡して、市場から一掃され、綿製品の動きが良くなるように期待します。今年約70件のショッピングセンターがブラジルにオープンする予定です。ブラジルの国内消費はまだまだ伸びると期待しております。

    それでは最後になりますが、ファスナー業界。2011年の回顧。衣料の輸入品は大幅に伸び、通年で前年比60ポイント上昇となった。依然、中国からの輸入が全体の6割を占めており、伸び率は前年比61ポイントの増加と輸入衣料増加の牽引役となっている。

    その他、バングラディシュ、対前年166%、インド、151%増、ペルー、184%増、と輸入が増加しております。ファスナーの販売に関して、主力のジーンズ分野においては、顧客の強気の販売予想から前倒し生産が行われ、年初から5月までは堅調な販売が続いた。しかし、6月の恋人の日のプレゼント需要も、期待されたほど伸びなかったため、市場の在庫が高まり、コットンなど原材料価格の高止まりによる顧客の生産抑制傾向も重なり、市況は下降線を辿った。

    また、11月に入っても、気温が例年通りに上がらないことで夏物の販売が遅れ、回復が期待されたクリスマス商戦においても期待ほどの販売には至らず、在庫削減のため年明け早々セールが開始されており、全体として厳しい一年となった。

    靴分野では、昨年、サンダルへ飾りとして使用されるファスナーの傾向があったが、今年はそのブームが続かず、一部顧客を残してサンダルへのファスナー使いは大きく減少した。

    2012年の展望。欧州債務危機の影響を受け、ブラジルの経済成長は減速傾向にあり、輸入衣料の増大が国内衣料生産の発展を妨げており、強く懸念される。しかし、中間所得層が増加するブラジルの内需市場は継続して拡大を続けると見られ、ブラジル政府による安価な輸入衣料への対策とあいまって、12年に向けて期待される材料はある。

    店頭在庫の調整に関して年明け早々繰上げで行われているが、特に主力のジーンズ分野に関しては、暫くは時間がかかる見込みだが、在庫の調整後一挙に動く可能性もあり、今後在庫の消化具合を見極めていく必要がある。10年より減少したものの、11年も引き続き見られたサンダルへのファスナーの飾り使いが 更に減少するものと見られ、顧客のコレクション情報を適宜つかむなどして対応していく。以上、繊維部会の発表を終ります。

    司会
    ありがとうございました。それでは建設不動産部会、三上部会長様よろしくお願いいたします。

     

     

     

  • 建設不動産部会 三上悟 部会長

    建設不動産部会

    建設不動産部会、ブラジル戸田建設の三上と申します。よろしくお願いします。はじめに2011年の回顧ということで、上半期はですね、一昨年同様、皆様日本企業の建設が継続しました。欧米系の工場建設の受注も好調でした。

    下半期に入りますと、ユーロ圏の危機が露になり、そのために一部欧米系の会社で建設が延期・凍結、一部出ております。好調な受注にやや影を落としたという結果になりました。日系企業は工場建設が継続され、全体としては非常に活況な一年と言えると思います。この活況ということの裏付けとしては、いろんな方面の検証は必要でありますが、ブラジル国内の建築資材の販売、これが一昨年比2.9%上昇して、1080億レアイス。過去最高の2008年を上回り、過去最高になりました。会員各社の状況は、過去最高を記録する会社が多く、リーマンショックを乗り越えたというような事態と言えると思います。

    一方、大サンパウロ圏というところの集合住宅の着工件数、着工件数ですから、今年仕事を、新築を始めたという件数は、実は一昨年に比べて1割ほど減少しております。ですから集合住宅関連の仕事を柱とする会員の会社は、仕事の減少、それから競争の激化、こういうことで経営が非常に厳しくなっております。

    それから逆に、専門技術を柱とする会社、これは著しい伸びを見せているということで、業態によってややばらつきが出た一年となりました。共通する問題ということになりますと、エンジニアの不足、労働力の不足、それから資材・機材の供給遅れ、ますます顕著になり、工期の確保が非常に難しくなってきたということと、人件費を始めとする建設物価の高騰、これが各社の経営に影響を与えつつあるという回顧になると思います。

    建設・不動産の状況ということで、まず表の1番をご覧下さい。これはですね、販売を中心とした、集合住宅の販売戸数ですね、各年11月だけを切ってみました。そうしますと、右側の新築物件数、ですから大体完成した数のうち売り出しになっているものというふうに捉えてもらっていいと思います。

    概ね4000戸ですね、4000戸ですけどもやや微増ということが言えると思います。だいたい2006年以降はですね、売り出し件数というのは月に1万戸から1万8000戸ぐらいのところで推移しています。

    これはこれとして、次にですね、ブラジル全国の7主要都市、ブラジリアは入っていないんですが、表2を見ていただきます。2010年、2011年、比率を見ていただいただけでも相当な好調がうかがえると思います。活況を呈しています。特にフォルタレーザと、色はつけていませんけども、フォルタレーザの活況はものすごいものと思いますが、注目したいのは、まずはリオ・デ・ジャネイロですね。2010年、2011年と急激な伸びを見せております。

    続いてサンパウロ。サンパウロも順調に戸数が増えてきていると。販売戸数ですねこれは。おそらく投資の中心はリオとサンパウロ周辺の大都市圏に投資されているというのがこれでお分かりかというふうに思います。

    一方ですね、資料はございません、先程言いましたように着工の方は1割ほど落ち込んでおります。これはですね、昨年の暮れは皆様にちょっと工期についてはかなりご迷惑をおかけしました。これはものすごい労働者不足が顕著でした。何とか凌ぎきったことは凌ぎきったんですが、この集合住宅の繁忙というのが非常に影響しています。

    現在着工数が1割減っているということは、注目すべきは今年これが回復するのか否かということの考え方です。もしかすると今年は反動があるだろうという見方も多くあります。としますと、再び労働者不足が起きるのではないかという可能性が出てくると思います。

    加えて工場用地について言いますと、サンパウロ周辺、これもまた高騰を続けています。正直に言いますと、大規模な土地はもう手に入らない状況というのが言えると思います。我々も非常に苦労しているところです。ですからこれから進出をめざす、あるいは新しいところを見つけようとする思いをする時には、的確な判断と、早い動きですね、さきほどのコンサルタント部会の方でもお話があったように、ぐずぐずしていると非常にまずいことになるというのが最近の傾向だと思います。

    ここでちょっと話題を変えまして、皆様の住んでいらっしゃる主にサンパウロの駐在員向け、アパートの案件ですね、高い値段を他の都市と比較してみます。表の3です。これは左側にサンパウロ、それからバンコック、ドイツ・デュッセルドルフ、ニューヨークと比較をしました。

    これは1月から新会員になりましたスターツ様のご協力を得ております。ありがとうございます。まずサンパウロ。サンパウロはですね、皆様おそらくお住まいになっている方が多いと思います。一番高いのはParaiso、Jardim Paulista、非常に高いです。それからそのパウリスタの向かい側、BelaVista、これが続いて高い。Vinte e tresを越えてVilaMarianaに行くと相当下がるということが見て取れると思います。

    ちなみにこれ、1レアル=42円、大体今の値段で換算しております。単位は1000円です。昨年の今ごろは多分49円とか50円という時代ですから、去年はこれより2割ぐらい高かった感覚があると思いますが、今はこの程度と言えると思います。それでもバンコック、デュッセルドルフの、下手をすると倍以上ということが言えると思います。ニューヨークに追いつけ追い越せという状況が続いているというふうに言えると思います。

    つい、多分先週の金曜日ですかね、新聞にここ1年のアパートの単価の上昇率というのが出ていました。1年でサンパウロは26.4%。リオは32.9%も上がったということで、サンパウロよりリオの方が、大体1.1倍から1.2倍ぐらい高いので、リオはニューヨークにほぼ匹敵する値段ということが言える。

    で、これがこれから下がるのかといいますと、それほど下がらないんだろうと思っています。というのは、高いところの空室はなかなかないというのが今も現状で続いております。ですから新築物件でもなかなかサンパウロでもParaisoとかBelaVistaは少ないですから、そう簡単に値段は下がらないんじゃないかなというふうに見ています。よくご検討のほどと言うほかないなと思っています。

    続きまして、建設物価、建設単価ですね、いつも高い高いと私どもがしかられております。皆様にしかられております。見方としましてですね、今どういう状況下にあるかと言いますと、表がないんですが、ブラジルの建設労働者数というのは去年300万人を超えました。

    女性は20万人を超えたという報告がされています。で、今日本がどういう状況か、日本と比べて見ますと、日本は昨年ついに労働者数が500万人を切ったんだそうです。499万人。ブラジルが300万人。日本が500万人と。日本は下がりつづけている、でブラジルはだいたい年に30万人増えています。ですから、4、5年するとですね、日本とブラジルの建設業界で働く労働者数というのはだいたい同じぐらいになるんじゃないかなということで、大体同規模、ある意味同規模というふうに考えられると思います。

    あと女性の労働者数というのが、日本は実は67万人今います。ですからブラジルの倍以上。ブラジルもこれからどんどん増えるんだろうというふうなことが言えると思います。

    ここで表の4、これはですね、ブラジルの集合住宅、鉄筋コンクリート8階建て、内装なし、低所得者層向け、大体は公共の建物、の平米単価です。ここで注目していただきたいのは、材料費というのはそんなに上がってはいない。2008年比ですけども。労務費が年に5%以上、10%近く毎年上がっていると。で合計しますと大体毎年5%以上の上昇を続けているということが見て取れると思います。

    で、2011年の合計の平米単価というのは930レアイスと出てきます。会員の皆様にもしかられたんですが、これを出すと建築は安くできるんだろうと、誤解の無いように言っといてくれということで、これにはですね、税金も含まれていない、それから内装も無い、本当に空っぽみたいな建物なので、通常この倍近い値段がしますよということだけは付け加えたいと思います。

    先程言いましたように、特に労務費の向上というのは、昨年9.5%の賃金上昇率、インフレの倍以上の数字になっています。倍近いですね。ですから、これだけ上げてもエンジニア・労働者不足がまだまだ続くということで、この傾向は2012年も続くんだろうというふうに思います。ですから我々建設部会ですね、ますます工業化、それから省力化、機械化、これを進めていかなければと。日本に近い状況になってきたということが言えると思います。

    表として、最後ですけれども、建築資材の動向ということで、先程材料費はそんなに上がっていませんと言いました。2008年8月ですからリーマンショックの前を基準として表に上げました。

    まずセメント・コンクリートというのが去年、一昨年暮れに相当暴騰したと。元々高いんですが、暴騰したということで、非常に高値、高止まりですね、している。それから先程言いましたように建設賃金は毎年上昇を続けている。

    これに比べて、鉄骨以外の製品、鉄筋棒あるいは屋根鉄板外壁ですね、この辺は下落しているということが分かると思います。ですから一概に材料費は上がっているということではないというふうに捉えていただきたいと思います。

    ということで、2012年、今年はといいますと、先程言ったように集合住宅の着工に注目する必要はありますが、反動はある程度来る可能性は高いと思います。それからご存知の通り、ワールドカップ、オリンピックに向けてインフラ整備がかなり進むんだろうということがあります。加えて日本の企業の皆様、欧米の企業の皆様、非常に手堅く進出傾向が続いています。ということで、労働者不足あるいはエンジニア不足が最大の課題です。今我々、ここの商工会議所に入っている建設不動産部会の会員は、日本から4社、日系8社、ブラジルの会社1社となっています。

    コスト競争にこだわるならば、日本の企業の皆様に対してはですね、翻訳業務やらいろいろコストの増がかかります。多くの労力がかかる、ということは一応ここでお話をさせていただきたいと思います。我々はではどうしようかということですが、まず我々としては、この、数がまだ少ないので、州を越えた連携を強めていこうと。それと、あとは人材不足のこの折でですね、何とか人材確保をしていこうということを思っております。

    これは商工会議所のアンケートの結果でもいろいろ出ております。これからやることはたくさんあると思います。日系の良いところ、品質、安全、工期の確保を確かなものにしていきたいというふうに思っています。最後に今年は環境プラス20ということで、昨年はジェトロ様の環境ミッションに参加させていただきました。今年も積極的に取り組んで、建設不動産部会として、CO2削減ほか環境保全への取り組みの強化を進めていきたいと思っています。以上でございます。ご清聴ありがとうございます。

    司会
    ありがとうございました。それでは最後のプレゼンになりますが、食品部会、部会長代行の石嶋様、よろしくお願いいたします。

     

     

     

  • 食品部会 石嶋勇 部会長代理

    食品部会

    皆様こんにちは。このたび食品部会の発表を務めさせていただきます、ブラジルヤクルト商工の石嶋と申します。部会長、副部会長ともに出張のため、代役を務めさせていただきます。お聞き苦しいかと思いますが、ひとつよろしくお願いいたします。まず今回の発表の内容についてですが、最初に、2011年のトピックとして固形廃棄物法につきましてご紹介したいと思います。その後に販売、部会各社様の動向に原料動向、そしてまとめと続いてまいります。

    まず最初に、固形廃棄物規制に関する紹介をいたします。国家固形廃棄物法は一昨年、2010年8月20日に時のルーラ大統領の署名をもって公布されました。その趣旨はと申しますと、固形廃棄物を生成する製品を製造販売する企業はその処理について責任をもつこと、つまり販売した製品が消費された後どう処分されるかまで送り手側の企業が責任をもつということです。しかしそれで具体的にどう責任をもつかと申しますと、それについては皆さん企業側で立案し当局に提出してくださいということになっております。

    次に、どんな分野の産業が対象になっているのかということですが、まず製品そのものが環境にダメージを与えるものといたしまして、車両用潤滑油、食用油、潤滑油フィルター、バッテリー、電池、電気電子製品、ランプ類、タイヤ。

    この辺は時節柄ある程度の回収システムがすでに用意されていると思われますが、問題となるのは、下の段ですね、製品そのものでなく、入れ物や包装資材が環境にダメージを与えるものとされる製品ということです。これには、食品、飲料、衛生用品、香水、化粧品、清掃用品、農薬、車両用潤滑油などが該当します。我々食品部会に所属しております企業はこちらに分類されるわけです。さてそこで次のページに参ります。

    ただいまご説明いたしました固形廃棄物法の問題点です。そもそもですね、これらの廃棄物をどうやって回収するかということになりますとですね、お金を払って専門業者に頼むか、あるいは自社の社員に回収させるかのどちらかしかないわけですが、ちょっと考えれば分かりますように、専属の業者を雇ってお客さんを一軒一軒まわって回収するなどそれこそ膨大な費用がかかります。

    また、自社の社員にさせるという方法もありますが、今度は労働問題にも発展します。また、ものは食品ですから、衛生面でも今度は別の官庁から摘発される可能性もあるでしょう。つまり結論としてはですね、どこか、例えば業界団体ですとか、同業他社であるとか、同一地域に本拠を有する会社ですとか、あるいはNPO法人などと組んで回収のための共同プロジェクトを立ち上げるというのが現実的な落としどころではないかと思われるわけです。

    で、基本的にはですね、すったもんだありましたが、このページにありますように個々の企業や業界団体を通じて、または直接に具体的に廃棄物の監視を行うNPO団体の活動に賛同し、これに協賛金を出資することをもってその会社の逆物流プロジェクトとするというアイデアに落ち着きつつあるわけです。

    このNPO団体が何をするかと申しますとですね、まず廃棄物の回収目標、2000何年までに何%とかいう目標を立てまして、その計画に従ってごみ回収業者と契約いたします。ブラジルではカタドールと言っておりますが、ごみをですね、素材ごとに分類して、再生業者にこれを販売して生活の糧としている人たちなんですが、この人たちを組織して、契約をいたしまして、各企業から協賛金として集めた資金で彼らの資金を安定させるとともに、教育訓練体制を整えて、より効率的かつ大規模な回収活動を可能にすると、こういうスキームであります。

    まあ話はたいへんきれいなんですけども、ただしですね、サンパウロ州でもめていることがありまして、どういう割り振りで資金を協賛するのかというので現在もめております。まあ少しでも少なく払おうという駆け引きというわけなんですけども、特にですね、サンパウロ州の場合規模が大きゅうございますので、もしこれがうまくいけばですね、国家スタンダードで定着する予定だったんですけども、ちょっともめていましてですね、今雲行きが怪しい段階です。

    まあどうなるか分からないんですけども、私ども食品部会内でもですね、皆で知恵を出し合いながらより良い方法を模索していきたいと思っております。ご関心を共有する企業の皆様、あるいは情報をお持ちの企業の皆様、ぜひ情報提供いただければ幸いに思っております。続きましてシンポジウムの本体に戻りまして部会各社の動向について発表させていただきます。

    まず2011年の回顧からです。2011年はいろいろ波乱はありましたものの、一言で言えば良い年でした。ただし、各社様のご報告、結果の分析やそれに対するコメント等を拝見しますと、好況の波にうまく乗って順調に売り上げを伸ばされたというより、むしろ、後に述べますように原料価格の高止まり、賃金水準の大幅上昇、競争激化などのマイナス要因にもかかわらず、各社様そこに至るまでのご努力というものが見えてまいるような気がいたします。表の一番上から順にまいります。

    調味料製造会社様。2011年度は数量にして7%の売り上げ増がありました。要因としては末端営業活動の強化を挙げておられます。

    乳酸飲料製造会社。2011年は数量にして8.5%増加しました。要因として地道な営業活動の成果を挙げています。

    添加物販売会社様。2011年は現状維持。ただし客先からの値上げ要求のために利益が切迫しているとのご報告です。

    コーヒー販売会社様。数量にして2.3%増加しました。ただし後半に来て主要販売先である欧州地区での需要が急減し、スローダウンを余儀なくされたとご報告がありました。

    菓子用油販売会社様。2011年は減収となりました。市場価格の暴落を挙げておられます。

    清酒メーカー様。増収増益です。社員一丸となった取り組みが結実したものであると分析されています。

    醤油販売会社様。売上伸張です。震災後の放射能問題で日本産並行輸入品の通関がストップしたことによる特需の恩恵と分析されておられます。次ページにまいります。

    果実ピューレ製造販売会社様。減収減益とのご報告でした。為替要因を挙げておられます。

    即席めん製造会社様。数量にして8%増加しました。北部・北東部・中西部の構成比率アップを挙げておられます。

    種子販売会社様。2011年は売上約78%増加とのことです。要因として市場規模の拡大を挙げておられます。

    最後に外食店経営会社様。2011年の売上げは伸び悩みとのご報告でした。日本産食品の輸入規制の影響を挙げておられます。

    続きまして2012年の展望について述べさせていただきます。皆様ご承知のように欧州の問題は引き続き尾を引くものと思われますが、ここ何年か、特にリーマン以降のブラジル経済は特に大きな問題はなく乗り切ってまいりましたので、そういった要因に対する信頼もあり、各社とも特に大きなご心配はなされていないようですが、一方、ある程度の減速は避けられないものとも考えておられるようにお見受けしております。このため、各社様ともそれぞれのカラーに合わせて、販売量あるいは収益の確保を目指しているようです。表にまいります。

    調味料製造会社様。2012年の展望としては前年比二桁以上を目指すと述べられています。戦略としては既存製品の堅実な伸びに加え新製品へのチャレンジを挙げておられます。

    乳酸飲料製造会社。2012年は前年比4%強の増加を見ています。戦略としては、サルバドール、ベロ・オリゾンチ、クリチーバ等の地方への拡販に注力することを挙げています。

    添加物販売会社様。2012年は現状維持ですが、国内市場への参入をめざしておられます。

    コーヒー販売会社様。2012年は予断を許さないとのことです。その理由としてインド、ベトナム等新興国の台頭による価格競争の激化を挙げておられます。

    菓子用油販売会社様。2012年は変わらずとのことです。ただし製品群のバラエティ強化を希望しておられます。

    清酒メーカー様は2012年は市場の混乱を懸念されております。理由は、未成年者の飲酒による規制強化、流通税前払い制度の導入、それに輸入品増加による競争激化を挙げておられます。

    醤油販売会社様。2011年の回顧でも述べていらっしゃいましたが、いわゆる特需の継続について注視していきたいとのことです。戦略として代理店制度の見直しや、地方での市場予測とマーケティングを挙げておられます。次ページにまいります。

    果実ピューレ製造販売会社様。2012年は通貨危機の影響に欧州向け輸出工場で苦戦されているとの報告をいただきました。戦略としては米国等の新市場開拓を挙げられています。

    即席めん製造会社様。2012年も北部・北東部や中西部の地方での成長は継続すると予想されています。戦略としては北東部向けに低価格帯商品を、サンパウロ都市圏などの成熟市場には高価格帯商品をというような顧客ターゲットの絞り込みを挙げておられます。

    種子販売会社様。2012年は減少予想です。販売体制の再構築を計画されているとのことです。

    外食店経営会社様。2012年に入っても日本食と積んだコンテナがサントス港に停滞しているようです。戦略としてはメニューの見直しや、広告宣伝の強化を考えておられるとのことでした。次ページ。

    2011年度におけます、部会員企業様の取り扱われる品目別数量の伸び率のグラフです。特に競争の激しかった粉末ジュース以外はだいたい5~10%の伸びとなっています。ジュース、これはですね、200ミリリットルのブリックパックですが、これが20%と突出しておりますけれども、これは学校などでですね、炭酸飲料の持ち込み・販売が一部制限されたことにより子供向けの需要が増加したものによるところが大きいと思われます。次のページで輸出の動向について説明させていただきます。

    上の方に簡単に為替相場のグラフを載せました。2009年から11年の中ごろまでは1.5レアルのラインに近づくように推移しておりましたが、8月9月ごろから2レアルに近い水準まで上がるようになりました。その後、また年をまたぎまして、このグラフには載っておりませんが、再び1.7レアル台に下がってきております。これらの状況を踏まえて各社様為替動向に関しては非常に敏感になってきております。また、先にも申し上げましたように、欧州向けの需要が落ち込んでおりますので、そちらもまたマイナス材料となっているようです。

    続きまして主要な原料動向について述べさせていただきます。前回シンポジウムで発表いたしましたような相場の高騰こそ収まりましたが、依然として高い水準にあり、我々の収益を脅かしております。砂糖の相場が2009年から11年にかけて非常に大きく変動しましたが、昨年末よりほぼ一定の価格に落ち着いてきております。ただし、水準としては、2007、8年の3倍もの高い値となってきております。

    次に牛乳です。牛乳は夏になると乳牛の乳量が増えて価格が安くなり、冬場になると高くなるという季節性の商品ですが、2011年は谷がなく一方的に上がり続けるという異常な状態でした。しかしこれも昨年8月にピークをつけた後は通常のサイクルに戻りつつあります。といいながら、昨年末からまた今年にかけてですね、相場の反転等ありまして、国外のものと国内のものと、価格の逆転現象が生じて相場の混乱が生じております。

    最後にコーヒーですが、これもまた同じようなグラフですね。2010年に急上昇、ピークをつけた後落ち着いたものの高止まりという、まあ良く似た経過です。ただ依然として波の上下が結構激しく、かなり不安定な相場となっております。

    次のページに原料相場動向の要因について分析しています。これは半年前の発表とほとんど同じですので、詳しい説明は控えさせていただきますが、ただ1点、昨年末の欧州通貨危機以降、多少投機圧力が緩和されたようであることを付け加えておきます。

    最後にまとめです。2011年の回顧。全般的に国内市場は良好でした。一部に頭打ちの傾向が見られましたものの、各企業様のご努力でこれを十分にカバーされました。原料相場は引き続き高値圏にあります。また行き過ぎた賃金調整の結果、コストを一段と圧迫しています。輸出ではレアル高が一段落してほっと一息という感じでしたが、欧州通貨危機による需要の減退で打撃を受けています。

    次に2012年上期の展望です。国内市場につきましては各社様とも需要の大きな落ち込みは想定されていないようですが、競争が一層激しさを増すことについては共通して認識されているようです。

    輸出につきましてはレアル高回帰により再び厳しい局面が続くであろうと予測されています。また新興輸出国の参入による競争も激化し、いわゆるブラジルコストの存在が重くのしかかってくるであろうと認識されております。このような中、各社様ともブランド力の強化、販売戦略の再策定、コストダウンの継続的取組が必要であるとの認識で一致しております。

    また、最後に付け加えさせていただきましたが、4番として、冒頭にも申し上げました固形廃棄物の問題にも共通するのですが、一企業の対応にはおのずから限界がありますので、より上位レベルでの対応が求められる局面がこれからは増えてくるものと思われます。

    これに関連してある輸出メーカー様から問題提起をいただきました。ブラジルから日本に商品を輸出する場合、商品によりましては日本とアジア諸国との間にはすでにFTAが締結されておりますことから、関税等で著しく不利な条件での競争を余儀なくされているとも伺っておりますので、ぜひとも現状を調査していただきたいと思う次第であります。それでは、以上をもちまして私からの発表を終わります。ご清聴ありがとうございました。

    司会
    ありがとうございました。これで全11部会のプレゼンが終わりました。申し訳ありませんが、若干ちょっと時間を越えておりますけれども、年に2回のせっかくの機会でございますので、一件だけになるかもしれませんが、もしこれだけはご質問されたい等ございましたらお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。よろしゅうございますか。それでは、次にですね、大部総領事様の方からご講評をいただければと思います。よろしくお願いいたします。

     

     

     

  • 講評      大部一秋 在サンパウロ日本国総領事/ブラジル日本商工会議所名誉顧問

    どうもこんばんは。恒例によりまして、講評という偉そうなあれは、これだけ並み居る大先輩の前でおこがましいんですが、コメントのようなものを少し述べさせていただければ、5点ぐらいあります。

    最初に、いつもいつもこういう形で上半期、下半期と、まあ私も3年間参加していますが、たいへんな各部会の議論と色々な分析、さらに提言まで含めた形でこういうシンポジウムが商工会議所で開催されるということに対して本当に御礼を申し上げますし、年々、毎年盛会になっているということで、敬意を表したいと思います。

    まあ今回、163名以上というたいへんな参加があり、また日本から田中先生が、あえてカマラのこのシンポジウムの日程にあわせて来られているということもあり、前回、以前述べましたけれども、サンパウロだけのもうシンポジウムではなくなっていると。まあ世界の方から注目されるという意味でのシンポジウムになっているというのが、こういう形で裏付けされたような形になったのかなということで、非常に喜んでおります。

    2点目として、まあ全体として、日伯の経済、まあブラジルの経済は好調を維持しているし、2012年も維持する見通しであるというような印象を受けました。まあ2011年3%、2012年3.3%のGDPということで、推移は落ちますけれども、好調は、ずっとお話を聞いていると維持しているということを感じました。

    それは基本にあると思います。2009年はリーマンショックの後の影響、またどのように立ち直るかに焦点が集中し、まあ日立の西岡さんの非常にうまい、天気図で言いますと暴風雨か雨、もしくは雨ないしまた曇りというような形で現れておりましたけども、一様にリーマンショックが焦点でありました。

    2010年はまあ7.5%の成長でありましたので、ある意味でイケイケドンドンのような形で、今でも忘れられませんが、2010年の下半期のこのシンポジウムの、まあ結論というんですが、全業種増益増収というような形でほぼ総括されるような状況ではありました。この時の、まあ2010年がそういう状況で、ある意味で2009年リーマンショックの後の影響、2010年は右肩上がりで7.5%ということで、まあ単純と言えば単純な様相だったと思います。

    2011年は今、政策的には前年はインフレ懸念から始まって、後半の欧州の経済危機ということにうまくマクロ経済的にはコントロールできた、対応できたということで、75%ぐらい好調で、残りのまあ25%ぐらいが不透明な状況が出てきていると、まあ若干懸念もあるというような形で整理されたのかなというふうに思いますし。

    したがって3点目には、状況は単純な様相から、若干複雑な様相へ推移してきているということ。まあ、ということであるからきめ細かな対応が必要になってきているのかなというふうに感じました。ブラジル政府の政策、為替、金利、税体系、関税。それから競争相手の問題。中国、韓国。それからアルゼンチンやメキシコとの貿易の関係での政策の変化といった、色々な面でのきめ細かな対応が必要になってくる状況に、不透明感が若干出てきているということにあわせてそういう対応が必要になってくるんではないかというふうに思います。従って官と民の連携がより一層必要になるような状況が出てくることになったなという印象を持ちました。

    4点目は小さな話ですが、若干全体の感じを、まあ印象的にとらえるのにお天気図がよかったなと。まあ新幹線、モノレールもありましたけど、天気図でやると晴れのち曇りとか、晴れとか、暴風雨とか、一時曇りとかいうのがあると少し分かりやすいかなという感じをもちました。

    5点目として、まあ欧州の金融経済危機、それから中国の状況、またアラブの春というような情勢、それから円高、為替、米国の経済、まあ色々な形で世界経済の環境がどういうふうになっているかが直接日伯の経済関係、ブラジルの経済に響いてくる状況になっておりますので、このサンパウロのカマラが、商工会議所がより一層グローバルな視点で分析なりその把握なりに方向に行くことが非常に大事かなというふうに感じた次第です。本当に今日はたいへんな勉強をさせていただいて、貴重なお話をお伺いすることができまして、ありがとうございました。

    司会
    ありがとうございました。それでは本日、ブラジル日本大使館の方から荒木参事官にお出でいただいておりますので、一言コメントをいただければと思います。よろしくお願いいたします。

     

     

     

  • コメント         荒木要 参事官 ブラジル日本国大使館

    ブラジリアの大使館から参りました総括をやっております参事官の荒木でございます。今日はありがとうございました。コメントと題されておりますけれども、私は単に御礼のご挨拶という形をさせていただきたいと思います。

    今回非常に、初めて参加したわけですけれども、11の部会から非常に多岐にわたるお話を伺いまして、たいへん参考になりました。一言で申し上げると面白かったいう記憶がございます。私8月にブラジリアに、パリから参ったんですけれども、パリではOECD代表部というところにおりまして、OECDというのはご存知の通り、先進国クラブという形で欧米の国が集まって経済状況とか話しているんですけれども、その中で見てみますと、まあブラジルは本当にきらきら輝いていて、またブラジルの人もオブザーバーとして参加しているんですけれども、その経済状況等を分析するに、本当に停滞気味のヨーロッパ、当時はまだ8月だったので通貨危機はそれほどでもなかったんですけれども、そういう状況から見ると、もう羨ましい存在であって、8月に私このブラジルに参りまして、まあブラジリアではございますけれども実際に来てみると、本当にすばらしい経済状況でございまして、その経済状況が今回11の部会の発表の中にうかがい知りましたデータとともに勉強になりました。

    たいへん参考になりました。各部会の発表を通じてですね、各業界に共通なブラジル市場のこの特性、また問題点、現状というのを理解することができましたし、それぞれ各個別業界に固有の話も伺えてたいへん良かったと思っております。

    ブラジルはですね、まあ色々な問題もございます。その問題点について我々官民で一体として何かできないかと常に考えておりまして、そういう観点もありまして今回ブラジリアから私を含め6名の担当官が今回参加させていただいて皆様の話をたいへん興味深く伺いました。

    日本を見ますとですね、電気電子部会の篠原部会長のお話にもありました暗い話ばっかりでございますが、震災の復興に向けて頑張っているところでございます。ブラジルから、ブラジルはまさに今の日本の産業のですね、新たな一つの新天地というところで、ブラジルから日本に向けて良いメッセージが出せたらなと、政府としても大使館といたしましても皆様の活動に向けて何かできないかと。

    我々としてもビジネスチャンスを見つけていきたいと、その機会の一つとして今回シンポジウムに参加させていただいて色々勉強させていただきました。明日は官民合同会議ということで、今回参加いただいた部会長の方々の一部の方にまたプレゼンをしていただきまして、官民一体として何ができるかということをさらに詳細に議論していきたいと思いますが、またご指導ご鞭撻いただければと思います。今日はどうもたいへんにありがとうございました。

     

     

     

  • 閉会挨拶 澤田吉啓 企画戦略委員長

    ありがとうございました。本日は170名近い参加をいただきまして、また最後までご出席いただきまして、総務委員会および企画戦略委員会を代表いたしまして改めて御礼を申し上げます。ありがとうございました。

    また各部会長の皆様におかれましては、実業を抱える中でですね、短期間でご準備をしていただき、発表していただきまして誠にありがとうございました。たいへんお疲れ様でございました。

    また、商工会議所の方ではこのシンポジウムのみならずですね、今年も各部会や委員会の方で様々なイベントやセミナー、あるいは研究会等を開催してまいりますので、本日のようにですね、ぜひ皆様こちらの方にも積極的にご参加いただければたいへんありがたく思います。

    最後になりますが、本日たいへん興味深いお話をいただきました田中先生の方からお話がありましたけれども、今後そういうアンケートということでですね、またぜひ皆様方にご協力をいただきたいと思っておりますので、その点お願いいたしまして本日の業種別部会長シンポジウムを終了させていただきます。どうもありがとうございました。

     

     

     

 

 

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