運輸サービス部会資料
運輸サービス部会の畠山です。私どもの部会も航空・海運からITまでですね、いろいろな業界が入っておりますが、2009年の回顧と2010年の展望を業界ごとに説明させていただきたいと思います。
まず航空業界。2009年の回顧ということで、まず国内線。昨年の総需要5830万人。ブラジルの国内の景気が良かったこととか、3連休が多かったこと、あるいは新型インフルエンザによりまして海外から国内旅行に変えた方が多かったということで、前年比13.2%の増となっております。
そのうち航空会社別の構成比、シェアを見ますと、まあ近年オーシャン・エアーとか、ウェブジェットですか、新しい航空会社がシェアを伸ばしておりましたが、昨年につきましては大手、TAMとかGOLとかですね、乗客の伸びに応じてチャーター便とか臨時便を飛ばしたということで、彼らのシェアのダウンを食い止めております。
それから国際線につきましては、941万人ということで、まあ世界的な景気後退の中ではございますが、ブラジルに関しては前年比1.4%にとどまったということです。ここに書いてありますのはブラジルの航空会社だけのシェアで、外国の航空会社は入っておりませんが、ブラジルの航空会社だけのシェアを見ますとほぼ例年並みということでございます。
それからポイントとしまして、燃油費ですね、これは私ども海運も同じなんですが、金融危機以降値下がりしたものの、昨年6月以降高止まりになっているということです。
それからブラジル・日本間の乗客の動向のトピックスということで、08年10月以降日本を出国してブラジルに来られる方がブラジルから日本へ入国される方を大幅に上回る状況が続いているということで、具体的には日本の出入国管理統計によりますと、08年の10月から09年の10月で6万8千人という推定値が出ておりまして、まあほぼこれがいわゆるデカセギに行かれた方々の帰還状況だろうということでございます。
それから2010年の展望ということで、2点挙げております。第一点はメジャー航空会社のサバイバルということで、先ほど申しましたような世界的な景気後退で需要減、それから燃料費の高騰ということで経営環境が厳しくなっていると。まあこれはJALさんだけでなくて他の航空会社も同じだと思います。
そういった中でですね、航空機の代替とか、機材を小さいサイズにするとかですね、人員の効率的運用とか、あるいは不採算航路の縮小とか、そういった対策をとられて、今後ともメジャーの航空会社間でのサバイバル、生き残り競争が厳しくなっていくだろうということでございます。
それからもう一点、日本・北米間のオープンスカイ開始ということですが、今年の10月ごろオープンスカイ協定米国との間で締結されるだろうということなんですけども、これによりまして路線を自由に設定したりですね、運賃を自由に設定したり、もちろん空港の発着枠の制限はあるんですけども、そういったこととか、あるいは独禁法適用除外になって外国の航空会社との提携が自由にできるようになるとか、まあこういったことが起こるだろうと。まあブラジルに関しましても、米国で経由される場合利便性が高まるであろうということでございます。
それからもう一点付け加えますと、JALさんのサンパウロ便ですが、2月3月、3便から2便に減便されておりますけども、正式な発表としましては、2010年度の上期、すなわち9月末までこの2便体制を継続されるという発表をされております。
続きまして海運の方まいります。コンテナの方とそれから鉄鉱石に分けていきたいと思うんですけど、まずコンテナの荷動きにつきましては、一番下のここですね、全航路ということでこれがブラジルから全世界に行きます輸入輸出の2009年度の数値でございます。
私どもはTEUという単位を使うんですが、これはご承知のようにコンテナには20フーターと40フーターと大きさが2種類あるんですが、この大きい方、40フーターを20フーター2個に換算して計算した数値だと、荷動き量だということなんですけども、輸入につきましては165万TEUからおよそ132万TEU、約20%の減。
輸出につきましては211万TEUから190万TEU、10%の減になっております。主要航路で見ますと、まあ先ほど貿易部会の方でもお話ございましたけども、もともとブラジルのメインな輸出先は米国それから欧州なんですけども、欧米の景気後退を受けていずれも、米国は23%減、欧州向けは15%減になっております。
それからアジアにつきましては、米国欧州がどちらかというと輸出が多くて輸入が少ないという貿易の構造なんですけども、アジアにつきましては輸入が輸出よりも圧倒的に多いということなんですけども、輸入につきましては65万TEUから53万TEUに20%減、かたや輸出の方は約30万TEUから34万TEU、15%伸びております。
まあこれは昨年の前半、レアル安だったということと、それから欧米で落ちている分を他のマーケットでカバーする、中国あるいはアジアの市場向けに多角化しているということで、ここだけ伸びております。
それからあと鉄鉱石の方でございますけども、鉄鉱石を運びますケープサイズと、いわゆる標準的な15万トンくらい運べる船なんですけども、これも08年の秋ごろまでものすごい暴騰しておったんですが、金融危機発生後暴落。09年は底値からスタート。それから6月には逆に最高値をつけ、あと軟化し回復し軟化し回復しというちょっと乱高下の激しい傭船料の動きになっております。
それから海運業界の10年の展望につきましては、まあ各国政府景気刺激策を取っているけれども、欧米につきましてはまだまだ荷動き回復につながっていないと。中国を中心としますアジアからの輸入につきましては、20%減という説明しましたけども、これは特に昨年の前半35%ぐらい落ちておりまして、その後後半回復したけどもまあ20%減になったということで、今年2010年につきましては昨年後半からの回復基調を維持していくだろうと。
予想としましては、約20%増えて、2008年並みの荷動きになるんではないかと思っております。ただし懸念材料としましては、主として中国から来ます価格の安い消費財が主流でございますので、為替変動を大きく敏感に受けると。何かの都合でレアル安に振れますと敏感に荷動きに影響してくるということがございますのでそれが懸念材料でございます。
それから鉄鉱石の方につきましては、中国ますます鉄鉱石買っておりますし、日本、欧米、韓国、粗鋼生産も回復しておりますので、基本的には需給はタイトであろうと。ただし短期的には価格とか、それから中国の購買動向等々により、2009年と同様乱高下はするだろうと。しかし基本的には堅調な推移を続けるだろうと思っております。
それからフォワーダー業界。2009年の回顧。まずは日本発輸出航空貨物の実績でございますが、ここに書いてある数字は全世界向け、米州向けと出ておりますけども、米州向けのうち、その他米州に分類されているここのほとんどがブラジル向けだというふうに考えておりますけども、昨年は約1万2千トン。前年比35.6%減になっております。
まあ日本発ブラジル向け航空貨物につきましては、業種により好不調が分かれていると。しかし全体として貨物増にはつながらなかったということです。一方減便あるいは機材のダウングレード等々によりスペース確保は困難であったということですね。
それからもう一つの業界としましては製鉄構内物流というのがあるんですけども、鉄鋼業の減産により大きな影響を受けた。7月以降回復してきたけども、上期の落ち込みをカバーするまでに至らなかったと。2010年の展望につきましては、航空貨物、それから海上貨物、電気、自動車の増産による物流増を期待、それからブラジルへの進出企業の増加によります貨物増も期待ということでございます。
それから一点懸念材料としましては、本年は大統領選挙の年ということで、大統領選挙の年には連邦公務員のストが激しくなる傾向があるということで、まあ具体的に物流関係でいいますと、港の検疫、連邦警察あるいは税関、ここらへんのストが長引きますと物流にも影響が出てくるんではないかというふうな懸念をもっております。
それから製鉄構内物流、生産の回復に伴い構内作業も増加してきたと。それから金融危機により凍結されていました投資案件も再開しておりますけども、競争環境は厳しいということでございます。
それからもう一点、クーリエ。これは昨年末からですね、クーリエ貨物の電子通関システム、HARPIAというシステムが稼動しておるんですが、いろいろ混乱が続いておって要注意ということです。具体的に申しますとこれは海上貨物の通関システムも同じなんですが、元々不正防止という目的で作られておりますのでいろいろフレキシビリティがないと。
データの入力ミス等ありますと、貨物を押さえられたりですね、それから例えば5箱送ったのに4箱しか着かなかったという場合にはもう一回送り返して、4箱として手続きしたほうが早いというようなことが起こっておるそうでございます。
それからホテル・観光業界。2009年の回顧。観光収支と数字がでておりますけども、ブラジル人の海外旅行支出、53億ドル。前年比8%減。それから外国人のブラジルでの旅行支出、109億ドル。前年比0.6%ということでこちらの方はあまり減っておりません。
それから航空業界のところでも申し上げましたように、国内の旅行が増えておりますので、金融危機の影響なく国内旅行の方は増えていると。ホテルの方もですね、ホテルの稼働率ですか、前年60%だったのが2009年65%に増えているということもございます。
2010年の展望につきましては、3月のインディーをはじめ多くのイベントがあり、2010年も好調を期待。また2014年のワールドカップ、2016年のオリンピックに向けたホテル投資も増加していると。まあこの情報はブルーツリーさんからいただいているんですけども、ホテル10軒、10棟ですか、投資されることも進められているというお話でございました。
それから最後に、通信・IT業界。2009年の回顧。携帯電話加入者数、1億7400万台、世界で5位ということで、これは前年比15%の伸びでございます。この調子で行きますと、ブラジルの人口を1億9000万人としまして、今年中には、まあ数字だけの話でございますけども、一人一台を超えるということでございます。
それから、携帯電話のうち約4%、700万台が3G携帯だと。それから、一昨年ですか、ナンバーポータビリティーもはじまっておりますけども、受付件数440万台に対して実際に移行したのが340万台。まだ100万台残っていると。それから固定電話加入数、これは4160万台、横ばいでございます。
それからインターネットユーザー、ブロードバンドユーザー、これも13%ぐらい伸びております。まあこのブロードバンドにつきましては、ブラジル全土にアクセスできるようにするというようなことで、ブラジルの国家戦略として検討されているそうでございます。
それからITにつきましては、IT産業全体の成長率は9.3%ながら、収益は苦しいということでございます。それから展望につきましては今年のトレンドをいくつか述べておりますけども、第一点としましてはサービス提供会社のもつソフトを使用して、経営判断に使えるようなツールであるビジネス分析とか顧客管理、CRMのシステムの利用が増えるであろうと。
それから企業内で社会的ネットワークですか、SNSツール、まあいろんなコミュニティを作ってそこでいろいろ情報交換をするというようなツールの活用が見込まれると。
それから仮想サーバー、クラウドコンピューティング、それからもう一点ですね、最後にデータセンターの活用ということで、日本でございましたら特に地震対策ということでデータサーバーを活用するケースが多いんですけど、まあこの間ありましたような大停電対策ということで、まあブラジルは地震はないと思いますけども、大停電対策ということでデータセンターの活用が増えていくのではないかというふうに見られております。以上でございます。ありがとうございました。
司会:畠山様、多岐に渡りありがとうございました。それでは最後になりますが、建設不動産部会、大滝部会長代理お願いいたします。