ブラジル繊維工業会(Abit)並びにサンパウロ州繊維工業組合(sinditextil)の調査によると、2017年のブラジル繊維・衣料業界は、過去3年連続での前年割れから売り上げは回復したにも関わらず、2018年は再び輸入製品に席捲される可能性を指摘している。
今年第1四半期の繊維・衣料製品の輸入総額は、前年同期比27.9%増加の15億9,000万ドル、輸入量は24.8%増加の38万600トンに達しているとブラジル繊維工業会(Abit)のフェルナンド・ピメンテル会長は、輸入製品急増を危惧している。
ブラジル地理統計院(IBGE)の発表によると、今年1月並びに2月の国産メーカーの衣料・アクセサリー生産は、前年同期比7.5%減少している一方で、今年の繊維・衣料製品輸入は、前年比20%増加の上方修正をしている。
ブラジル繊維工業会(Abit)では、今年の衣類生産は前回予想の前年比5.0%増加から2.5%増加に下方修正。またブラジル国内販売の30%を占めるサンパウロ州では、今年の国産メーカーの衣料生産は前年比2.0%増加、繊維は4.0%増加を見込んでいる。
今年第1四半期のサンパウロ州内の輸入衣類販売は、国内メーカー向けのICMSの減税にも関わらず、前年同期比17.3%増加の4億370万ドル、輸入量は15.6%増加しているとサンパウロ州繊維工業組合(sinditextil)のルイス・アルツール・パチェコ会長は指摘している。
2017年5月にサンパウロ州政府は繊維・衣類メーカー向けのICMS税を引き下げたにも関わらず、昨年の繊維メーカーによるICMS税の歳入は、12.0%増加の5億2,210万レアル、衣類メーカーの歳入は3.0%減少の4億8,810万レアルを記録している。
輸入衣類品の大半は大手量販店が一括購入している一方で、輸入繊維製品は輸入業者や再販業者が取り扱っているが、大半は不正規輸入で国産品価格よりも小売販売価格が低いために、国内の繊維・衣類メーカーが大きなダメージを受けている。(2018年4月12日付けヴァロール紙)