ブラジル繊維工業会(Abit)の調査によると、今年の繊維・衣服部門の生産は前年比10%減少の190万トン、売上総額は10%減少の495億ドルに留まると予想されている。
今年1月のAbit工業会では今年の繊維・衣服部門の売上総額は7.0%減少に留まる511億ドルと予想、一般消費者の景況感の悪化、高止まりするインフレ指数、失業率の増加、家庭の実質収入の減少、銀行金利の上昇等が一般消費者の衣服品購入を控える要因となっている。
また繊維・衣服部門にとってレアル通貨に対するドル高の為替による原材料の高騰、生産コストの上昇、電力エネルギーの値上げやサラリー調整分の最終製品への価格転嫁は販売不振で難しくなってきている。
今年上半期の繊維・衣服部門のインフレ指数は1.37%と製造業部門全体の製造部門向けインフレ指数2.93%を大幅に下回っており、また小売部門向けインフレ指数は1.39%と広範囲消費者物価指数(IPCA)の6.17%を大幅に下回っている。
今年上半期の繊維・衣服部門の生産は過剰在庫のために前年同期比9.0%減少、輸入は3.3%減少、衣服の小売部門は5.0%減少、Abit工業会では今年の輸入製品は1月予想の3.6%増加から一転して7.5%減少に修正している。
Abit工業会では今年の繊維・衣服部門の雇用は4万人~6万人の減少を予想しており、昨年の2万人の雇用減少から更に大幅に増加すると予想、今年上半期は1万5,700人が解雇されている。
現在の経済危機に対応するためジウマ大統領の暫定令680号として創出された雇用保護計画(PPE)では、30%の時短勤務並びにサラリーカット分のうち労働者支援基金(FAT)から給与額の15%を補填、Abit工業会ではPPE計画の適用を検討している。 (2015年8月4日付けヴァロール紙)