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業種別部会長シンポジウム

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2003年上期業種別部会長懇談会-食品部会(資料) 2003/02/06

≪業界全体≫

2002 年度下期は、大統領選挙の影響から金融市場が大きく動揺した。米ドル為替はR$4.0付近まで高騰し、株価も8,500ポイントまで下落、カントリーリス クは2,400ポイントまで上昇し、一時は経済不況に喘ぐアルゼンチンに次いで世界第2位のリスク国となった。労働党のLula新政権発足後、動揺はよう やく沈静の兆しを見せ始めたものの、米ドル高に誘発される形で物価上昇は継続し、IMFとのインフレ目標(IPCA)6.5%(上限9.0%)を大きく上 回る12.5%となった。このインフレ抑制のため、12月に中銀は Selic金利を25%まで引き上げた。このような状況の下、各社原材料等の高騰になやまされはしたが、食品業界は概ね堅調に推移したものと思われる。

2003年上期はLula新政権が為替制度、IMFとのインフレ目標等旧政権の主要経済政策を引き継ぐことを明確にしたこと、更に、大蔵大臣、中央銀行総 裁等、閣僚の人選が国内および海外からも妥当な評価を受けたこと等により、年初より対米ドル為替はR$3.3前後で推移し、株価も12,000ポイントま で回復、カントリーリスクも1,200ポイントまで下降した。米国の対イラク攻撃といった不安要素は拭い切れないが、食品業界においてはさほど大きな変化 はなく今後は徐々に安定基調に入るものと予想される。

 

≪業界別動向≫

【外食業界】

2002 年下期は、米ドル高騰による食材・飲料原価及び諸経費の上昇が経営を圧迫する形となった。原価においては主要輸入食材であるカリフォルニア米とチリ産サー モンが著しく上昇、特にサーモンは下期のみで64%もの値上りをみせた。輸入ウィスキー、ワインは米ドルの動きに合わせる形で、毎月価格が変動(上昇)し ていった。また、諸経費の中で特に影響したのは光熱費であった。この大幅なコストアップを補うためには販売努力だけでは追いつけず、価格調整(値上)を行 わざるを得なかったが、"競争激化"と"外食離れ"が進む中、容易に価格に転嫁することができなかった。

輸入品という認識の高いウィスキーやワインといった商品は問題なく価格転嫁が計れたが、料理に関してはかなり難しい結果となった。繁盛店と言われていたところでさえ影響が出てきており、差別化の図れていないレストランは経営を危ぶまれ、中には閉店した店も何軒かあった。

2003年上期は、2002年と同じレベルで景気が推移する(良くはならない)と見られている。このような状況下では、料理等、質の向上・サービスのグ レードアップ・雰囲気の向上といった、他店との差別化を図り、来客数・客単価アップによる経営体質の向上を目指すことが必要と思われる。それができないと ころは、いずれ淘汰されることになろう。

 

【加工食品業界】

1) 飲料

2002年下期の醗酵乳分野では、昨年末より投入した大人向け乳酸菌飲料新商品が徐々に売上を伸ばしてきている。また、豆乳部門が比較的好調に推移したこ と、醗酵乳飲料の新製品投入などの効果はあったものの、依然続く各社の安売り攻勢で厳しい状況が続いた 一方、栄養補助食飲料、ヨーグルト・デザート分野 などは概ね堅調に推移した。
飲食材の販売においては、急激な米ドル高により国内産に益々値頃感が出、売上は順調に推移したものの、10月頃よ り、ダンボール等資材の値上り、農産物を主とする輸出最優先の動きに伴う大豆、砂糖といった原料の値上りが国内中小食品加工メーカーに大きな影響を与え始 めた。レストラン等の得意先は昨年在庫を切らしたところもあり、またメーカー側の値上を懸念して年末は厚めの在庫を持つこととなった。

2003年上期は、ルーラー新政権誕生後もさほど大きな変化はないものと思われるが、急激な対米ドル為替下落に伴う原材料の輸入コスト上昇、その他国内調 達の原材料などのコストアップをいかに吸収するかが今後の課題であろう。乳製品市場では、世界最大の輸出量を誇るニュージーランドのFONTERRA組合 グループが、ネスレ社の乳製品部門と技術・販売提携を結び、DAIRY PARTNESS AMERICAS BRASIL社を設立。同社は、米州、カナダからブラジル・アルゼンチン・ベネズエラ市場でのオペレーションを開始しており、本年後半にはチリ・コロンビ アからカリブ諸国まで乳製品の活動範囲を広げる計画といわれており、同市場においては今後競争がさらに激化するのは避けられない見通しである。
飲食材の販売においては、原材料(輸入、国産を問わず)価格の上昇に伴い、ある程度の値上はやむをえない状況ではあるが、国産品には引続き追い風が吹くも のと思われる。但し、極端な値上を行った業者は消費者離れを招き、いずれ値戻しの傾向が見られるのではないかと推察される。

2) 即席麺

2002年下期も市場そのものは引続き拡大基調で推移した。年央からの急激な米ドル高は小麦粉の大半を輸入に頼らなければならない各メーカーの急激なコス トアップを誘発し、値上や値締めを余儀なくさせ、スーパー等の実勢価格もアップした。小麦以外の原材料でも、明らかに便乗値上的な動きも散見され、為替に 翻弄された半期であったと言える。但し、基礎食品に近い即席麺は、耐久消費財に比べれば、景気の影響も少なく順調に拡大したものと思われる。

2003年上期も市場の拡大基調は継続するものと思われるが、主要変動費である小麦粉の大半が輸入または米ドル相場に翻弄されるコスト構造の業界であり、 まず為替の安定が望まれる。2003年に入り小麦粉の国際相場がやや下落基調になってきたものの、中東、極東情勢および米国経済そのものの不透明さが議論 される中、昨年以上に予断を許さぬ厳しい(我慢の)1年となろう。

3)調味料

国内調味料市場は、2002年下期43,000t、対前年比114%と成長を見せた。これは上期からのトレンドである家庭回帰(外食離れ)による調理機会 の増大が市場拡大に寄与したと考えられる。非調味料分野では粉末ジュースが非常に大きく売上を伸ばしている。国内加工用途調味料市場は、対前年比約 110%と順調に推移した。また、輸出市場は対アルゼンチン前年比70%、対ベネズエラ前年比90%と南米市場で苦戦したものの、全体では好調に推移し た。飼料用アミノ酸(リジン)市場は、2桁を超える順調な伸長を維持している。

2003 年上期においては、ルーラ新政権の「飢餓撲滅運動」(Fome zero)が食品産業界の最大の関心事の一つである。この計画で最初に恩恵を受けるのは、基礎食品(牛乳・フェジョン・食用油・砂糖等)であるが、同計画 が一過性のものでなく更に発展し、所得の再配分による低所得者層の水平的な購買力の向上というところまで達成できれば食品産業の裾野が広がり、国内調味料 および加工用途調味料事業共に恩恵を受けることになるであろう。

 

【農産・畜産】

1)大豆・大豆粕

2002年の大豆輸出数量は15.5百万トンとなり、前年の11.7百万トンを大きく上回った(32.5%増)。これは、生産量が前年よりも5百万トン強増えたことが主因。国内における搾油用大豆の使用数量は約22百万トンで、過去4年間ほぼ横這いの数字となっている。
2003年3~4月収穫のブラジル産大豆生産予定数量は48.4百万トン(前年対比約15%増)、大豆粕生産予定数量は19.9百万トン(前年対比 12.4%増)となっている。 同様に輸出量も増加が見込まれており、2003年1年間の輸出予定数量は大豆16.0百万トン(前年対比3.2%増)、大 豆粕12.6百万トン(前年対比16.7%増)を見込んでいる。

2) ブロイラー

2002年下期の生産量は3.7百万トンに達したと推定される。上期の3.6百万トンを加えて2002年の生産量は7.3百万トンと推定される(前年対比 12%増)。輸出も1.6百万トン(前年対比33%増)に達している。これは、ロシア・キューバ・東欧等の新興マーケットへの輸出が定着してきていること が主な要因といえる。また最近では、カナダ・中国・韓国等の新規マーケットへの取組も模索されている。対日輸出も170千トン(前年対比56%増)と増加 しているが、これは中国・米国からの対日輸出が品質問題により減少し、ブラジル・タイが増加した形となっている。一方、国内消費においては牛肉の価格上昇 に対して、鶏肉価格が安定的であったことから、国内消費の増加につながっている。
2003年上期も、引続き増産が見込まれ、7.9百万トンの予 想となっている。また、国産のトウモロコシ生産量も10%増が予想されており、鶏肉増産をバックアップすると考えられている。対日輸出においては、日本国 内の在庫が10万トン程度と言われており、2003年は2002年の輸入増の反動があるとも考えられている。

3)砂糖

2002~2003年(5月~4月)の砂糖黍生産量は309百万トン(前年対比10%増)となった。砂糖生産量は 19百万トン(前年対比3.3%増)、アルコール生産量は12百万キロリットル(前年対比7.1%増)となった。輸出も砂糖13.2百万トン、アルコール 0.5百万リットルと順調に推移した。
2003~2004年クロップの砂糖黍生産量は311百万トンと増産が予想されている。新政権によるアルコール消費拡大政策の導入、また米国・インド等への輸出拡大が期待されている。

4)オレンジジュース

2002年はオレンジ生産者にとっては極めて良好な年であった。1月にR$8.71/箱(40.8kg)であった生果価格は11月にはR$11.21まで 上昇し、通年では対前年比20%程度のアップとなった。輸出価格も上昇し、結果として輸出量は1.28百万トンと前年対比6%減に留まった。
2003年6月で終了する2002~2003年クロップのオレンジ生果生産量は350百万箱の見込み。2003~2004年クロップは昨年10月までの旱 魃により大減産が懸念されたが、11月の降雨で回復が期待されており、予想では320~340百万箱と減産予想が主流である。

5)コーヒー

2002年のブラジルの輸出量は27.99百万袋(60kg/袋)、前年比19.3%増、世界輸出のシェア30% に達した。これはブラジルのコーヒー輸出275年の歴史における最高値である。これは、記録的な生産量(約50百万袋)、レアル安による輸出ドライブの加 速によってもたらされた。逆に金額ベースでは、14.3億ドル(前年対比5.4%減)に留まった。一方、国内においてはレアル安が国際相場商品に連動する 国内生豆原料相場の上昇を招いた。さらにこのレアル安はエネルギー、包装資材等の価格急騰を引き起こし、国内焙煎業者は値上げせざるを得ない状況となっ た。

2003~2004年クロップは、2002年の反動で30~40%の減産(約37百 万袋前後)と見込まれている。 2002年度産の繰越在庫は輸出国、輸入国とも高水準と予想され、輸出も減少が見込まれる。2003年度もブラジルの輸出競争力は為替に左右されることと なろう。国内においては、ルーラ新政権の「飢餓撲滅運動」(Fome Zero)における新需要の掘り起こしができるかも大きな鍵になろう。ブラジル国内需要の増大を予想して、既に動き出している生産者(東北伯)もあるようだ。

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