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業種別部会長シンポジウム

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2003年上期業種別部会長懇談会-コンサルタント部会(資料) 2003/02/06

1-カルドーゾ政権実績の評価(蔵相としてレアルプラン導入を実施した1994年7月~2002年12月まで)

(1) 政 治

A) プラス評価
民主政治の定着化
中南米第一の大国としての高い国際的評価の定着
長期間にわたる与党連立の維持
政治にたいする国民の信頼性の回復
政府系企業の民営化の遂行
行政の情報化

B) マイナス評価
憲法改正の重要事項の未達成

文字どおり国民の総意を反映した90%を上回る高い投票率の総選挙が平穏裡に実施され、さらに過去に見られた大統領の政権放棄  やクーデーターも起こら ず、ブラジル流の民主政治の定着化が顕著ですが、これはカルドーゾ大頭領の安定した政治運営に負うところ  大であると考えます。
グローバル化した国際政治の舞台で積極的に展開された大統領外交のおかげで、中南米第一の大国としての国際的評価が定着して います。
8年にわたる長期の在任期間、小党分立のブラジル政界において、連立政権を大過なく維持してきた政治手腕は高く評価されるべきで しょう。

後述のレアルプランの成功と相まって、これらの政治上の実績がそれまで失われていた国民の政治に対する信頼感を回復した事実は 特筆に価すると考えます。
政府系企業の民営化はカルドーゾ政権のまえに開始されていましたが、通信、道路、運輸、金融等の経済の動脈部門の民営化が同政 権において計画的に進めら れ、有利な条件で遂行されました。その結果各分野で投資が進み、国民生活の向上、経済の発展に多大の こうけんをしています。

最後に高い評価を与えられるべきと考えますのは、行政組織全般にわたる情報化の実施です。この結果、行政の大幅な効率化と市  民が政府機関よりうける サービスが大きく好転しました。マイナス評価としては、1988年制定の現行憲法にみられる多くの欠陥・不備の改正問題がはやくより論議されましたが、重 要な社会保障制度、税制、金融制度等の改正は未だに実現せず、ブラジル社会の大きな歪は残されています。

 

(2) 経 済

A) プラス評価
レアルプランの遂行
経済成長を犠牲にせず経済危機を克服
外貨による直接投資の高水準維持
州財政再建のための州債務の連邦政府集中化とリスケ契約
財政責任法法制化の実施
企業家マインドの変換

B) マイナス評価
貧富格差の是正、雇用の確保、公的債務の膨張抑制等ブラジルの抱えるクルーシャルな問題解決の効果微小
インフラ投資の不足

カ ルドーゾ政権最大の功績は、以前数度にわたって実施されたショック療法の失敗を分析、慎重にそして大胆にレアルプランを導入、成功させたことでしょう。こ のプランにより、ハイパーインフレの沈静化と経済の安定をもたらし、長年のインフレ経済に苦しんでいた国民すべてに、インフレのない生活がどのように素晴 らしいものかを実感させました。特に低所得層の生活水準の向上におおきな貢献をしました。
また、1994年のメキシコ危機、97年のアジア危機、 98年のロシヤ危機、2001年のアルゼンチン危機とブラジルの電力危機、そして昨年のブラジル為替危機を、すべて経済成長を大きく犠牲にすることなく克 服しました。 これは先進諸国の政府や国際金融機関の支持のお陰でしょうが何といっても、カルドーゾ政権の適切な対処措置があったからこそ実現できたとい えましょう。

ブラジルの国内貯蓄の大半が、長年にわたり公的財政赤字の補填や公的債務のファ イナンスに使われているために、経済成長に不可欠な投資は外資に大きく依存しています。政府系企業の民営化に多くの外国企業が参加したという特殊事情もあ りますが、カルドーゾ政権は8年にわたる長期間、外貨による直接投資を高水準に維持することに成功し、米国を初めとする先進国の経済が低迷する中でも、ブ ラジル経済の成長を、低い率にせよ、確保してきました。

長年にわたり、州政府の独立性が強い ために、夫々の州が抱える公的債務のコントロールが、連邦政府にとって頭痛の種でした。カルドーゾ政権は辛抱強い政治折衝をかさねて、97年にはすべての 州債務を連邦政府に集中、6%という低金利と30年の長期リスケ契約を結び、各州の財政コントロールと再建のベースを作りました。
また、2001年には財政責任法の国会承認をかちとり、公的債務と財政の全般的なコントロールとその健全化が可能になりました。この功績は特筆に価すると考えます。

グ ローバル化した世界経済のなかでブラジルの企業が生き残るためには、企業家マインドの変換が不可欠と考え、法制、行政、外交の面で積極的なサポート、指導 をしてきました。各分野で多くの新しいタイプの企業家、投資家が輩出しています。彼らの多くは国際的なヴィジョンをもち、社内留保を増やし、新しいテクノ ロジーの導入に挑戦する等の共通項を持っています。
これらの業績を得るためには、カルドーゾ大統領が全幅の信頼をおき、8年間経済のすべての舵取りをまかせた、ペドロ・マラン蔵相の存在を無視することは出来ません。

こ れらの素晴らしい業績の反面、かなりの努力を払ったにもかかわらず、十分な効果をあげることが出来なかった、貧富格差の是正、雇用確保、公的債務の膨張抑 制、インフラ投資の不足などを、残念ながらマイナス面として指摘しなければなりません。これらは一政権で解決できるような性質のものではなく、同じような 政治理念を持って、その実現に不屈の強い意志をもった後続政権との連携が必要と思われます。

 

2-ルーラ政権への期待と評価

ルーラが大統領になって一ヵ月しか経っておらず、実績を見て評価することが出来ませんので、彼やその閣僚、補佐官の発言、談話、声明より判断して期待、評価を述べたいと思います。

(1) 政 治

A) プラス期待
社会的弱者への配慮 - 貧富格差縮小への第一歩
対話をもとに変革のための社会的合意を求める姿勢
国際協定、契約の遵守表明
カルドーゾ政権が果たせなかった憲法改正の重要法案の国会承認を求めるという強い意志の表明

B) マイナス評価
ルーラ人気に支えられた政権
PT急進派に対するコントロールの永続性に対する不安
連立政権のベースの脆弱性
拠点州におけるPTの政治力の弱さ

ルー ラ本人の出身からみても、彼の社会的弱者への配慮は想像以上に強いものと思われます。安易な人気取り政策におわらず、本格的な貧富格差縮少への第一歩とし て、総合的な合目的的な施策をとって貰いたいと強く希望しています。特に社会的弱者を対象にした教育投資に特別の注意をはらって欲しいと願っています。

ルー ラ大統領は '変革、これがキーワードであり、10月選挙でブラジル社会が示した大きなメッセージである'、とその就任演説を始めていますが、その変革を 実現するために、対話をベースとして社会的合意を求めるとの姿勢を明確にしています。 非常に困難な事業でしょうが、その基本線を明確に示し、粘り強くあ らゆる層との対話を進め、必要な変革を実現し、ブラジル国民すべてにとって願わしい経済発展と国民生活の向上を図ってほしいと願っています。ルーラ大統領 はこのような対話を進められる人物と思われます。
10月の選挙で当選が確定して後、国際協定、契約の遵守を表明し、国益を第一にする現実的な政治 家としてのイメージを定着させました。今後とも判断の基準を失うことなく、勇気を持って決断を下し、ブラジルの国益を守ると同時にその国際的な地位の向上 に努力して貰いたいと期待します。

カルドーゾ政権が国会承認を取ることの出来なかった重要法 案の成立に最大の努力をするとの意思表明は、ブラジルの近代化と大多数の国民の利益にとって何が必要か、を十分承知した上での発言と思われます。この初志 を忘れず、自己の政治生命をかけて取り組んでもらいたいと考えます。
然しながら、安易な期待は禁物です。10月選挙でのルーラ人気は未曾有の大量 票をもたらしましたが、同時に国民はPTの政策を承認していないという厳然たる事実も示しました。一党一派の利益にとらわれず、常に国民、国の求めるもの は何かを念頭に舵取りをしてほしいものです。

ルーラ政権のベースである連立政権は非常に脆弱です。最近、PMDBを連立政権に取り込むことに失敗しましたので、ルーラの政治運営は更に困難になるでしょう。
さらにPTの穏健派がルーラ政権の中核ですが、同党の40%を占めると言われている急進過激派をいつまで抑えておくことができるか、同党が二分するような事にならないかと心配です。
地方政治を決定する州知事には、PTは今回三人しか送り込めませんでした。しかもサンパウロ等の拠点州は野党の勢力下にあります。ルーラ政権の気配りは大変でしょう。

(2) 経 済

A) プラス評価
IMFとの協定合意を含む対外借款契約の遵守表明
財政責任法の厳守表明
中央銀行のオペレーショナルの自主性への理解とそのインフレコントロールの第一義性の確認
公的社会保障年金制度の抜本的改正への積極的取り組み

B) マイナス評価

経 済の面では、やはりより具体的な政策、実績をみてみないと評価できません。ただ、中央銀行総裁にはBankBostonの元頭取のメーレイレス氏が選ば れ、マーケットも安堵したようですが、各省の局長級、政府系企業の役員人事がこれから政治的に決められる可能性が高く、注目する必要があります。

 

3 - 2003年の政治経済動向の展望

(1) 政治動向

イラク、北朝鮮等の緊迫した国際情勢が、ブラジルの政治に大きな影響を与える事はなかろうと見られます。中南米のいくつかの国   で起こっている問題も同様に影響はないと考えます。
ルーラ政権の政治面でのマイナス評価で指摘したような原因で、心配すべき事態が起こる可能性も、今年中は極めて小さいでしょう。  その後は情勢の進展如何によっては、可能性が増大するやもしれません。

(2) 経済動向

国際経済は、全般的には好転を望めないでしょう。 イラクを中心とした中東情勢は、大きな不確定要素として、単に石油問題のみなら  ず、広範囲の影響を与える可能性があり、注意する必要がありましょう。
国内経済においては、財政面では非常に厳しい年になりましょう。石油価格の高騰のような不測の事態が起こると、収まりかけたインフ レが再燃する可能性もあり、国際金融マーケットも緊迫し、油断をゆるしません。
国内金利は、したがって高めに推移するのではないでしょうか。
経済成長は、基本的には輸出に依存すると思われます。
為替相場は、主として国際情勢によって安定せず、変動しやすいのではないでしょうか。

中長期的には、国際収支面がブラジルのアキレス腱であることには変わりなく、貿易収支はいうに及ばず、外貨による直接投資、外貨  債の発行や貿易金融をふくむ外貨借り入れの推移、難易等にたえず注意を払うようにすべきでしょう。
国内政策面では、次の点に注視することが必要でしょう。
公的財政の動向
社会保障年金制度改革
税制改革
労働改革

―完―

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