今年10月までの化学工業部門の貿易赤字は輸入が53%増加、輸出は僅かに15%の増加に留まったために前年同月比83%増加、特に農業用化学肥料と農薬が輸入の50%近くを占めた。
農業関連部門の化学製品輸入は前年同期比133%増加、医薬品は21%増加したが、10月はドル高の為替の影響で一転して輸出が輸入を上回った。
今年の化学部門の貿易赤字は前年の140億ドルを43%上回る200億ドルが見込まれているが、9月までの輸入は264億ドルに対して輸出は91億ドル、赤字は前年同期比91.5%増加を記録している。
ドル高に振れている為替は輸出の価格競争力強化に結びつくが、先進国のリセッション入りで化学製品の需要低下の影響で製品価格低下を引き起こしている。
クレジットの流動性に大きく左右される自動車、建設、農業部門の需要が大きいプラスティック樹脂の輸入は50%増加、輸出は15%低下して赤字幅は前年の10倍に達して大幅な影響を受けている。
ドル高に振れている為替は輸出企業にとって追い風となっているが、欧州連合が今年12月1日から導入する新たな化学物質規制であるREACHでは、既存化学物質の安全性評価についてそれを製造・輸入する企業に義務づけられるために、化学製品を輸出する企業にとってはコスト高になる。(2008年11月13 日付けガゼッタ・メルカンチル紙)