石油開発鉱区の利権を対象にした新規事業入札に対して、石油業界では多国籍企業を中心にローカル・コンテンツ規定の見直しを求める声が大きかったものの、連邦政府は従来の基準を維持する判断を下した。
国家原油庁(ANP)が12日、2015年10月に実施を予定する第13回石油開発鉱区事業入札の入札図書を発表、ローカル・コンテンツ規定に関しては、変更を加えずこれまでの基準を維持した。
石油会社に対しては引き続き、国内業務で使用する設備に対して最低限の国産化比率を達成していることが求められ、これまで実施された事業入札同様、応札には一定の水準で国内の財やサービスを調達するという重い足かせがはめられることになる。
ANPの事業入札では、現地調達比率の高い石油会社ほど、落札の可能性が高くなる。ただし、ANPが採用するローカル・コンテンツ規定に対しては、投資家の不満は根強い。石油会社が抱える大きな不満は、国内サプライヤーが提供する納期と価格である。さらにこれらの石油会社は、ペトロブラスに対する石油プラットホームやタンカーなどを建造している造船会社の親会社であるゼネコンがペトロブラスに関連した贈収賄疑惑から連邦警察の進めるラヴァ・ジャット作戦の対象になっていることで、ローカル・コンテンツ規定を取り巻く状況はさらに深刻なものになっていると主張する。
石油メージャーの役員らは、ジウマ・ロウセフ大統領に対して、第13回石油開発鉱区事業入札に関連した入札図書の規定改定を働きかけてきた。だが、当初はこの問題の責任者で前向きな反応をしていたANPのマグダ・シャンブレア総裁は、ジウマ大統領が公の場で「ローカル・コンテンツ規定は現状のものを引き継ぎ」連邦政府は一切変更しないと発言して以降、議論そのものをタブーとして打ち切った。
大統領の発言は、5月14日にアトランチ子・スール造船の労働者を前に行われたものだが、この発言以前にエドゥアルド・ブラガ鉱山動力大臣が、アメリカで開催されたカンファレンスにおいて、石油会社の役員らを前に、規定を見直すと確約していた経緯がある。同大臣の発言に対してジウマ大統領は激怒、アトランチコ・スール造船の進水式に参加するためにブラジリアからペルナンブコ州に移動する際、ブラガ鉱山動力大臣は石油会社に対して屈服すべきではなかったとコメントしたとされる。
第13回石油開発鉱区事業入札では、陸上と比較的水深の浅いエリアを対象にする予定で、連邦政府はローカル・コンテンツ規定を見直さなくても大きなボトルネックは生じないと受け止めている。ローカル・コンテンツ規定を維持する場合にボトルネックが生じるのは、超深海の掘削リグ船の契約時であるというのが連邦政府の考えだ。また大統領は、業界のロビーに屈して規定を変更するのを御都合主義と受け止めており、一部の企業が主張するようなボトルネックは誇張されたものだと考えている。(2015年6月12日付けエスタード紙)