米国石油化学業界ではシェールガス革命で投資ブームが続いており、シェールガス生産増加に伴って天然ガスのコモディティ価格が大幅に減少してきており、今後は更に米国の石油化学業界が価格競争力で優位となり、世界の石油化学業界の地図を塗り替える可能性がでてきている。
現在の米国のポリエチレン生産は年間2,000万トン、5年~6年後のポリエチレン生産は50%以上増加すると米国ブラスケン社のフェルナンド・ムザ社長は予想している。
米国化学・石油化学メーカー協会(AFPL)では、シェールガスを原料とした米国内の石油化学業界の投資は910億ドルに達すると予想、また米国の石油化学メーカーは、中近東や中国から米国内への投資に軸足を移すと予想している。
約5年前からシェールガス生産の投資が急上昇してきた影響で、100万BTU当たりの価格は、約4ドルと2008年の3倍以上も価格が減少して、更なる米国内の石油化学の競争力が増加してきている。
石油化学の樹脂生産コストの75%は、原材料が占めているとコンサルタント会社IHC Chemical社のRina Quijada取締役が説明、また前記のムザ社長は、世界のポリエチレン需要は、毎年500万トン増加しているために、今後数年後の米国はポリエチレン生産の30%~35%を輸出できると説明している。
中国もシェールガスの膨大な埋蔵量が確認されているが、シェールガスの技術開発のノウハウがないために、実績のある海外企業の誘致が余儀なくされ、ブラジルはプレソルト油田開発を優先しており、またシェールガス開発のための環境規制の整備やインフラ整備の遅れが障害となっているために、米国の石油化学業界は拡大の一途をたどると予想されている。(2014年4月3日付けヴァロール紙)