米国の経済回復並びにブラジルの港湾戦争終焉で輸入業者に対する税制インセンティブの取消の影響を受けて、化学製品の輸入価格が上昇してきており、今年上半期の化学製品の輸入価格は、前年同期比11.59%増加、ブラジル国産の化学製品の価格は4.32%増加に留まっている。
ブラジル化学工業会(Abiquim)のフェルナンド・フィゲイレード会長は、「米国経済の回復並びに港湾戦争の終焉で、ブラジルの化学製品市場が変化してきている」と説明、今年上半期の化学製品の貿易収支は、前年同期比13.4%増加の149億ドルの赤字を計上している。
今年上半期の化学製品の輸入は前年同期比13.4%増加の220億ドル、輸出は5.1%増加の70億ドル、特に穀物生産が好調に推移しているため化学肥料の輸入が急増している。
ブラジルの農業部門は化学肥料の輸入に頼っているが、国内では肥料の生産増加のための大プロジェクトが数多くあるにも関わらず、計画が先送りされているために輸入に頼らざるをえない。
レアルに対するドル高の為替は肥料の輸出にとって価格競争力を引上げる効果があり、Abiquim工業会のフィゲイレード会長はR$2.40 が理想的なドルの為替であると説明、また最近開始された社会統合基金(PIS)/社会保険融資納付金(Cofins)の減税政策も業界にとっては追い風になっている。
米国のシェールガス生産による天然ガス価格の低下は世界市場にとって革命的な出来事であり、ブラジルの化学工業会にとっても米国の化学工業界の競争力上昇は世界的な脅威となっている。(2013年7月11日付けエスタード紙)