ブラジル国内の石油化学メーカーにとって、ブラジルの100万BTU当たりの天然ガス価格シェールガスを原料とした米国の3ドルと比較して5倍も高くて、生産コスト高で価格競争ができないために、投資計画の軒並みの先送りを余儀なくされている。
ブラジル化学工業会(Abiquim)の調査によると、ブラジル国内の石油化学工業部門の投資計画のうち総額80億ドルが先送りや中止されると見込んでおり、リオ石油化学コンビナート(Comperj)の投資は2014年の経営審議会で決定され、またブラジル資本のUnigel社は生産中止を決定している。
ブラジル国内の石油化学工業部門にとって、原材料となる天然ガスやナフサ価格が競争力を削いでいるとAbiquim工業会のフェルナンド・フィゲイレード氏は説明している。
ブラジル国内の原材料価格はアジアや米国よりも平均25%割高であり、2012年の業界の貿易収支は281億ドルの赤字を計上、今年の赤字は300億ドルを上回ると予想されている。
米州最大の石油化学メーカーのブラスケン社は、投資総額が50億ドルに達するComperjへの投資の先送りを決定、Comperjでは包装材料、繊維、文具、プラスチック部品並びに自動車部品など幅広い用途向けのポリプロピレンを年間90万トン生産する予定となっている。
またComperjでは年間96万トンのポリエチレン並びに15万4,000トンのブタジエンなどの生産が予定されており、2ヵ所の石油製油所の建設はすでに着手されている。
ウルトラグループは米国でのシェールガスの生産がすでに軌道に乗っているために、米国内での石油化学工業メーカーを買収して米国内で生産に着手、テキサス州のPasadena Property社を1,500万ドルで買収、American Chemical社を7,900万ドルで買収している。
ブラスケン社はメキシコで32億ドルを投資してエチレンを生産、また米国内でシェールガスを原料としたポリエチレンを生産するための工場建設を検討している。(2013年3月13日付けヴァロール紙)