人々が集まり会話を交わす光景は、ABCパウリスタ地区にある大規模な自動車工場では見慣れた光景だと言える。とりわけ製造ラインの交代時間や食事時間、ストなどの判断を下す会議などでは活発になる。だが、新型コロナウイルス(COVID-19)がこうした労働者の習慣的な行動を変えてしまった。完全に停止していた工場の製造ラインを業界で他社に先駆け4月27日から再稼働させるスカニアの工場では、集団休暇から復帰した労働者たちが温かく再開の喜びを分かち合うようなことにはならない。また一部の人たちにとって、その生活はパンデミックの前の状態に戻ることもない。
変化は、自宅を出たところから始まる。会社が用意した輸送を利用するスカニアの労働者は、バスのステップが既にこれまでとは違うことを認識するはずだ。靴用の消毒薬を備えたマットが設置されている。最初に入った人はバスの後部まで行く。誰かが座っている椅子の横に座ることは禁じられる。最後に着席した人から、消毒用アルコールジェルで対策し下車する。社員同士の距離を保つため、送迎用のバスの台数は2倍になり、バンもチャーターして対応にあたる。また人込みを形成しないよう、バスの到着時間も変更された。
サンパウロ州サン・ベルナルド・ド・カンポ市のアンシエッタ街道の横にあるスカニアのトラック/バス工場の入り口は、看護師が温度計で従業員1人毎に体温を測定する。また工場の入り口では、これまでのように労働者が食堂で朝食をとることもなくなった。パンとケーキ、フルーツ、果汁飲料のキットを受け取り、各自が、独りでこれらを食べられる場所を確保して口にするのである。
スカニアの生産体制は、パンデミック発生前の1直から2直に移行した。だがこのことは、生産量が増加したことを意味しない。距離を保つために従業員を2つの時間帯に分け、ラインの速度を落としているのである。同社のダニーロ・ロッシャ人事担当部長よると、1直の勤務時間は通常8時間だが、最初の数日間は3時間を超えることはないとコメントした。
「医師と労組代表者を含め、ガイドラインの策定に向けて様々な協議を進める予定だ。新たな基準作りを模索している」とロッシャ部長は言う。さらに同部長は、「人生が変転するように、労働のスタイルも変化する」と付け加えた。(2020年4月23日付けバロール紙)