アルゼンチンの中央銀行は5月4日に、外国為替市場でのアルゼンチンペソの下落が止まらないため、政策金利を6.75%引き上げ40%とする緊急利上げを発表した影響で、ブラジルのアルゼンチン向け自動車輸出減少が顕著になってきている。
今年5月~8月のアルゼンチン向け自動車輸出は前年同期比22.4%と大幅に減少、輸出金額も昨年5月~8月の24億ドルから今年同期は18億ドルに減少している。
商工サービス省(MDIC)の発表によると、今年5月のアルゼンチン向け自動車輸出は前年同期比10.0%減少、6月は19.0%、7月は40.0%、8月は21.0%それぞれ二桁台の減少をしている。
8月13日に一挙に5.0%の政策金利引き上げで、年利が45%で世界最高の高金利国になっていたアルゼンチンの中銀は、30日にもトルコの通貨危機が飛び火した影響で更なるアルゼンチンペソの暴落防止対策として、政策金利を一挙に15%引上げて60%に決定した影響で、今後のブラジルの自動車輸出は更に減少することが明確になってきている。
アルゼンチン向け自動車輸出でリーダーのワーゲン社では、今後のアルゼンチン向け自動車輸出減少を少しでもカバーするために、ブラジルと自動車協定を結んでいるチリ並びにコロンビア向け自動車輸出を強化する。
しかしワーゲン社の今年のアルゼンチン向け自動車輸出は、アルゼンチンの為替危機による金利引き上げの影響で、当初予想を大幅に下回る6,000台の下方修正を余儀なくされている。
経済リセッションに見舞われていた2015年~2016年のブラジル国内の自動車販売は低迷をしていた一方で、ブラジルの経済好調なアルゼンチン向け自動車輸出は全体の70%に達して、ブラジルの自動車メーカーの破綻危機を辛うじて救った経緯があった。
今年6月のアルゼンチン国内の自動車向けクレジット件数は12.2%減少、現金販売は18.2%減少、前記同様に7月は17.2%減少、22.8%減少、8月は25.0%減少している。
アルゼンチン中銀が8月末に政策金利を一挙に15%引上げて60%に決定した影響で、アルゼンチン国内の今後の自動車販売の落込みが明白であり、今年のアルゼンチン国内の新車販売は、年初予想の100万台から90万台以下に落込むとコンサルタント会社HIS Markit社では下方修正している。(2018年9月6日付けエスタード紙)