2014年以前から為替危機に直面していたアルゼンチン政府は、外貨流出を防ぐために極力輸入制限を行っていた影響で、ブラジルのアルゼンチン向け自動車や自動車パーツ輸出が2016年まで大幅に低迷していた。
アルゼンチン政府は、自動車関連貿易の均衡を図るためにFlex協定の再開を要請して、2008年からのFlex協定では、アルゼンチンの自動車関連輸出が100万ドルであれば、ブラジルはアルゼンチンに対して150万ドルの自動車関連輸出ができるクオッタ制を両国は採用している。
しかし2016年のブラジル製自動車輸出は、Flex協定で定められている1.5倍を大幅に上回る1.85倍、2017年は更にFlex協定の2.34倍まで達しており、両国間の自動車貿易の不均衡がさらに拡大してきている。
1.5倍のFlex協定が終了する2020年に罰金支払いが発生するために、アルゼンチン政府のマウリシオ・マクリ大統領は、昨年7月にアルゼンチン製自動車のブラジルへの輸出を促したにも関わらず、昨年7月から今年1月までのFlex協定は2.19倍に留まっている。
2017年のアルゼンチン国内の自動車販売台数は、前年比22.5%増加の88万3,000台を記録、そのうちブラジル製自動車は50%以上を占めているが、昨年のアルゼンチンの自動車の国内生産は47万2,000台であった。
また昨年のブラジルの自動車生産は前年比25%増加、輸出は前年比46.5%増加の76万2,000台、その半数はアルゼンチン向け輸出を記録して、貿易不均衡の主因となっている。
2017年のアルゼンチンの貿易収支は84億ドルの赤字を計上、ブラジルとの二国間貿易では46億ドルの赤字を計上している。アルゼンチンの自動車生産は大型車が大きなシェアを占めている一方で、ブラジル製の輸入自動車は小型車が大半で価格が安いために、アルゼンチンでのシェアを拡大してきている。
アルゼンチン国内で自動車を生産している有望な自動車メーカー各社は、ブラジルで生産している小型車の生産向け投資を相次いで発表、自動車貿易の不均衡解消に投資を図る。
アルゼンチンのフィアット社では、先週にセダンタイプのGronos車の生産向けに5億ドルの投資を発表、またワーゲン社は、スポートタイプの自動車生産に6億5,000万ドルの投資を発表、GM社は、低価格のグローバル車の生産向けに5億ドルの投資を発表している。
2008年7月に両国間の自動車貿易不均衡解消のために1.5倍のFlex協定が発表、2008年は1.53倍、2009年0.98倍、2010年1.23倍、2011年1.40倍、2012年1.12倍、2013年1.26倍、2014年0.94倍、2015年1.39倍に留まっていたが、2016年は1.85倍とアルゼンチンにとって不均衡となり、2017年は2.34倍と更に自動車貿易の不均衡が拡大している。
全国自動車工業会(Anfavea)のアントニオ・メガレ会長は、2019年7月から現在の1.5倍のFlex協定を1.7倍のFlex協定に変更すれば両国間の自動車貿易の不均衡の改善に繋がると説明している。(2018年2月16日付けエスタード紙)