3年近く続いたブラジル国内の経済リセッションからの回復並びにアルゼンチンの好調な経済が牽引している自動車輸出増加、自動車業界向けの技術開発投資振興計画(Inovar Auto)として知られる自動車振興策が世界貿易機関(WTO)から国際貿易協定に違反しているとされた問題で、これを置き換える新たな政策案Rota2030を2018年1月1日から実施が予定されている。
2012年のブラジルの自動車販売台数は380万台に達したものの、2013年以降の自動車販売は毎年前年割れを記録、2015年は257万台、2016年は僅か205万台まで減少、しかし今年は5年ぶりに前年の自動車販売を上回る回復サイクルに突入している。
過去2年間の自動車業界では、金利の高い国内での銀行クレジットの代わりに本国から総額187億ドルの送金を受けて、ブラジル国内の自動車販売不振による従業員への賃金支払い、負債軽減、自動車部品購入や設備近代化を余儀なくされている。
ブラジル国内の銀行金利は昨年下半期から継続して減少しているにも関わらず、依然として世界最高金利を維持しているために、本社からの借入金としての資金調達を余儀なくされていると全国自動車工業会(Anfavea)のアントニオ・メガレ会長は説明している。
今年初め8か月間の自動車メーカーの本国からの投資向け送金は、自動車販売がピークであった2012年並びに2013年の2年間の56億ドルを大幅に上回っている。
自動車販売が360万台に達した2011年のブラジル支社から本国への利益・配当金送金は56億ドル、2012年及び2013年はそれぞれ57億ドルに達していたが、自動車販売が205万台まで落ち込んでいた2016年は8,600万ドル、今年初め8か月間は1億3,400万ドルに回復している。
2016年11月以降の自動車メーカーの投資計画発表では、ルノー社はパラナ工場での新型エンジンやインジェクション開発に7億5,000万レアルの投資を発表、VOLVO社は、2019年までにパラナ工場の設備投資並びに新型モデル開発に9億レアルの投資を発表している。
またMAN社では2021年までに電気トラック開発、リオ州のトラック生産工場の近代化及び新型モデル開発に15億レアル、メルセデス・ベンツ社は、2022年までに新型モデル開発及びABC工場の近代化に24億レアルを投資する。
ワーゲン社では2021年までに新型モデル開発、自動車生産工場の近代化並びに設備投資に26億レアル、トヨタ社は、2019年までにYaris車の生産開始及びエンジン工場拡張に16億レアル、スカニア社は、2020年までにABC工場の近代化及び新型モデル開発に26億レアル、GM社は、2020年までに新型モデル開発並びに技術開発に45億レアルの投資を発表している。(2017年10月22日付けエスタード紙)