2016年12月31日で終了した自動車技術革新政策(Inovar Auto)に替わって、昨日マルコス・ペレイラ産業通商サービス相は、環境にやさしいエコカーを優遇するROTA2030プログラムを発表した。
ROTA2030プログラムは、排出ガスと燃費基準に沿った環境にやさしい省エネカーの拡大を目指して工業製品税(IPI)の減税率を設定、ブラジル製自動車の国際競争力を高めて世界の自動車生産国6位に再度引き上げる。
またROTA2030プログラムは、自動車メーカーやパーツサプライヤーの排気ガス減少並びに燃費効率の向上に伴うブラジル自動車産業の競争力強化を狙って、海外から新規サプライヤーの参入を促す。
自動車の内燃機関から排出される一酸化炭素・窒素酸化物・炭化水素類・黒煙等の大気汚染削減を目指して、排出ガス規制強化のための自動車検査登録制度(車検)を地方政府(州・市町村)から連邦政府に移す計画が検討されており、排出ガス検査の不合格車を廃車にすることも検討されている。
2012年まで主に安価な中国製の輸入車の急増で、ブラジル国内市場が中国製自動車に席捲されるのを防ぐために、連邦政府は2012年10月に自動車技術革新政策(Inovar Auto)を発表していた。
自動車技術革新政策(Inovar Auto)は、輸入車急増に対して国内の自動車産業育成を目的に工業製品税(IPI)を30ポイント引き下げる条件として、国内での一定の生産工程履行や実質的な国内部品調達義務、燃費の向上義務付けによる最新技術の導入など、国内の自動車産業の保護及び競争力強化につながる条件を課していた。
自動車技術革新政策(Inovar Auto)導入後、特に輸入による販売を伸ばしていた中国・韓国メーカーの販売が急減速した一方で、海外自動車メーカーによる投資計画の発表が相次ぐなど一定の政策効果をあげた。
しかし2014年以降のブラジル国内の経済リセッションの影響や自動車販売台数が急激に減少した要因として、ブラジル自動車市場において需要と供給にギャップが生じているという懸念で供給側に偏るInovar Auto政策の効果が疑問視されていた。
2015年以降のブラジルの自動車生産は国内の経済リセッションによる在庫や生産調整の影響を受けて42%下落、また自動車メーカーは生産調整のために3万5900人に達する従業員の解雇を余儀なくされていた。
また世界貿易機関(WTO)では、日本やEUなどが提訴していたブラジルの自動車技術革新政策(Inovar Auto)と減免税措置がWTO協定に違反すると2016年に判定されていた経緯があり、早急なInovar Auto政策に代替案の発表が待たれていた。(2017年4月19日付けエスタード紙)