過去2年半で米国資本GM社及びフォード社は、ラテンアメリカ市場で39億ドルの赤字を計上、ラテンアメリカ市場の60%を占めるブラジルでの販売不振が牽引して、大幅な赤字計上を余儀なくされている。
2014年のフィアット社のラテンアメリカ市場での決算収支は、2億1,400万ドルの黒字を計上したにも関わらず、2015年は一転して7,800万ドルの赤字に転落、今年上半期は1,000万ドルの黒字を計上している。
しかし今年上半期のフォード社のラテンアメリカ市場での決算収支は、前年同期比40%増加の5億2,100万ドルの赤字を計上、GM社も1億8,800万ドルの赤字を計上しているが、前年同期の3億5,800万ドルの赤字から改善している。
ブラジル国内市場の年間自動車生産能力は、過去数年間の新規参入組による自動車工場建設が相次いだ要因で、年間530万台に達しているにも関わらず、各自動車メーカーの平均設備稼働率は50%を割っており、集団休暇やレイオフ、希望退職制度導入などでコスト削減を迫られている。
しかしブラジルの自動車メーカーでは、レアル通貨に対するドル高の為替で自動車輸出が赤字軽減に寄与しており、2015年の自動車輸出は前年比25%増加の41万7,000台を記録している。
今年のブラジルの自動車輸出は、大半がラテンアメリカ市場向けで50万台を上回ると予想されているが、ラテンアメリカ市場は規模が小さく、輸出は為替に左右されているのが現状であり、ラテンアメリカ市場以外の開拓が急務となっている。
ブラジル国内の自動車市場では3万台のロボットが稼働しているに過ぎないが、世界平均に達するには20万台のロボットを導入する必要がある。またブラジルのモデル別の平均自動車生産は年間3万台に留まっているものの、米国は11万台、メキシコでも9万台、ドイツは8万台となっている。
モデル別の平均自動車生産がわずかに3万台のために、新モデルに対する投資額がコンペティターを大幅に上回って競争力を削がれており、自動車部品業界の受注減によるパーツ供給問題も発生して、更にコスト上昇で価格競争力が減少している。(2016年9月12日付けエスタード紙)