昨日、キリンホールディングスは創業家の一部親族から発行済み株式の49.55%を23.5億レアルで取得、少数株主であるアドリアーノ氏の兄弟のダニエラ女史、ジョゼ・アウグスト氏並びに従兄弟であるジルベルト・スキンカリオール副社長の創業親族は、キリンが提示した買収金額以上を望んで交渉中であったが、最終的に提示額で合意した。
キリンは今年8月にブラジルの飲料大手スキンカリオール・グループの株式 50.45%を39.5億レアルで取得することで合意したと発表、しかし、その後スキンカリオール社の少数株主が、キリンHDによるアレアドリ社の株式取得差し止めを求める仮処分申し立てを提訴、ブラジル・サンパウロ州イトゥー市裁判所が当該仮処分申し立てを部分的に認める決定を下していた経緯があった。
スキンカリオール社は1939年にイタリア移民の子供が創立、アドリアノ・スキンカリオール氏は来年1月までキリンに残留、しかし従兄弟であるジルベルト氏はすぐに退任する。
今回のキリンの完全子会社化でブラジル国内のビールのマーケットシェアの90%を多国籍企業が寡占、トップはBrahma,Skol Antarcticaのブランドを擁するAB Inbev傘下のAmbev社が68%、残り22%のシェアをキリン並びにハイネケン傘下でKaiserを擁するメキシコ資本Femsaが占め、唯一ブラジル資本はPetropolisだけとなった。
キリンのスキンカリオールの完全子会社化で今後のビールや清涼飲料の大幅な消費が見込まれているブラジル国内市場でのマーケットシェア拡大、またラテンアメリカ市場への参入の足掛かりを築くことが可能となった。
日本のビール市場は少子高齢化や景気後退で縮小が見込まれており、また金融危機に直面しているヨーロッパ市場も拡大が望めず、キリンはアジアで積極的に参入しているが、有望市場参入を必要としていたキリンにとっては、またとないチャンスを得た。
今後数年間に亘って世界のビール業界は再編が進むと予想されており、ラテンアメリカの拠点を築いたキリンにとってはスキンカリオールの完全子会社化は大きな武器になると、買収案件を進めた銀行アナリストは分析している。(2011年11月4日付けエスタード紙)