米中貿易摩擦の煽り並びに世界経済停滞の影響を受けて、2019年8月の1日当たりの平均輸出金額は前年同月比8.5%減少、平均輸入金額は13.3%と二桁台の大幅減少を記録している。
今年8月の輸出総額は188億5,300万ドル、輸入総額は155億6,900万ドル、貿易収支は32億8,400万ドルの黒字を計上、今年初め8月間の貿易収支は317億5,900万ドルの黒字を記録している。
今年8月の輸出入ともに前年比で大幅に減少した要因として、昨年8月のプレソルト原油生産向けFPSO(洋上浮体式生産・貯蔵・積出施設)の石油採掘向けプラットフォーム輸出は13億ドルを計上した一方で、同プラットフォーム輸入は26億ドルを計上していた。
今年8月の完成品輸出は前年同月比25.8%減少、特に為替危機のアルゼンチン向け輸出が大幅に減少した影響で自動車輸出は47.5%減少、航空機輸出も23.6%減少している。
しかし8月の1日当たりに農産品輸出は2.5%増加した一方で、中国内の豚ペスト発生による飼料向け大豆消費減少の影響で、中国向け大豆輸出は38.3%減少、大豆粕も19.3%減少して大きな影響を受けている。
8月の半完成品輸出は、インフラ整備部門活性化政策の導入を受けて中国向け鉄鋼半製品は14.4%増加、今年1月25日に発生したヴァーレ社のミナス州ブルマジーニョ鉱山のフェイジョン1鉱滓用ダムの決壊事故で鉄鉱石生産が大幅に減産した影響で、鉄鉱石の国際コモディティ価格の上昇に伴って鉄鋼製品の値上がりは鉄鉱石減産を補っている。
8月のブラジルの輸出先動向では、アジア向けが前年同月比0.3%減少、南米は21.3%減少、中央アメリカは80.1%減少、オセアニア向けは19.3%減少した一方で、北米向けは5.1%増加、中近東は9.5%増加、アフリカ向けは14.8%増加している。
また8月のアルゼンチン向け輸出は、10月27日の大統領選を前に、8月11日に実施された大統領選挙の予備選で野党候補に大敗した影響で、通貨アルゼンチンペソが大幅に下落でさらに自動車輸出減少が牽引して37.7%減少したが、数カ月前の減少幅50%から最近は40%前後で推移している。
今年初め8か月間の牛肉輸出は10%増加、鶏肉は9.6%増加、豚肉は27%増加したが、豚ペスト発生している中国の豚肉生産は50%減少している影響で、ブラジルからの飼料用大豆派生品輸出が大幅に減少している。
ブラジル国内の景気低迷に伴って8月の輸入も13.3%と大幅に減少しており、資本財輸入は35%減少、燃料・潤滑油は34%減少、消費財7%減少、中間財輸入は2%減少している。(2019年9月3日付けヴァロール紙)