COVID-19パンデミックの影響で世界経済の停滞による世界貿易の縮小並びに米中貿易摩擦の継続にも拘らず、2020年のブラジルから中国向け輸出は記録更新が予想されている。今年8月のブラジルの中国向け輸出は、前年同月比20.8%増加した一方で、中国の今年8月の輸入総額は前年同月比マイナス2.1%を記録していた。
2020年のブラジルと中国の貿易総額は、昨年の1,150億ドルを上回ると予想、今年初め8か月間のブラジルの中国向け輸出は545億ドル、中国からの輸入は199億ドル、今年初め8か月間のブラジルの貿易黒字は346億ドルに達している。
昨年12月の中国湖北省武漢市が発生源の新型コロナウイルスのパンデミック拡大、中国でヒトに感染能力を持つ豚インフルエンザの新型ウイルス発生、記録的な洪水による農産物被害など今年の中国は波状攻撃のような災害に見舞われている。
ブラジルの今年の中国向け輸出は,農畜産コモディティ商品に留まらず、一早く経済回復サイクル入りしている中国は、国際コモディティ価格安に乗じて,ブラジル産の原油を昨年の3倍以上輸入して在庫蓄積を行っている。
今年初め8か月間のオーストラリアの中国との貿易は、437億ドルの黒字を計上してブラジルの貿易黒字346億ドルを上回っている数少ない国となっている。
しかし新型コロナウイルス感染拡大に関する国際調査を要求してきたオーストラリアに対し、中国は「経済制裁」を思わせる措置を相次いで取っており、検査・検疫の要件に違反する事例が相次いで見つかり、オーストラリアの食肉大手4社からの牛肉輸入を停止。またオーストラリアから輸入しているワインについて、反ダンピング(不当廉売)調査を開始、オーストラリアから中国向け輸出減少が予想されている。