2017年10月から2018年10月にかけて、外国製品に対して市場を開放するための対策を最も導入したのがブラジルだった。世界貿易機関(WTO)が12月11日、世界的に保護貿易主義が広がっていることを警告するとともに、緊張を「緩和」する対策を講じる用呼びかけるデータを発表した。
全体として見ると、テーメル政権は、国際貿易の障壁を引き下げる16件の措置を講じた。これらには、輸入税率の引き下げや特定の障壁の中止、輸出に対するインセンティブなども含まれる。ワクチンや医薬品などを対象に、一部の輸入税を撤廃。また化学品と資本財、その他の業界でも同様に政府の対策による恩恵を受けた。
2018年に各国の政府が採用した世界貿易の障壁を引き下げる対策の10件に1件が、ブラジル政府により採用されたものだった。
今回の検証でWTOは、2014年まで保護貿易主義的対策をより多く講じる国と付けてきたブラジルが方向性を抜本的に転換したと位置づけた。
今回の検証期間を通じて、例えばカナダは、貿易を促進させる措置を導入したのがわずか1件だった。欧州連合(EU)も同様に取り組んだのは1件、中国は6件だった。アメリカは、対象となった1年を通じて2件の措置を講じた。
さらにブラジルの場合、同期間に政府がアンチダンピング調査を実施した件数が9件と、2017年の12件、2016年の15件を下回った。それだけでなく、アメリカが2018年に着手した40件以上というアンチダンピング調査件数と、ブラジルは大きな隔たりがある。
ブラジル国内では、同じ期間に政府は依然としてアンチダンピング課税を10件導入。14件だった去年の導入件数を下回った。アンチダンピング課税の導入という点で最多だったのは、43件のインドだった。他には、トランプ政権が率いるアメリカが34件を記録した。
むしろブラジル政府は、世界的な保護貿易主義の台頭と米中貿易戦争という状況の中、世界の潮流に逆らっている形だ。ジュネーブで今回の結果を発表したWTOのロベルト・アゼヴェード事務局長は、世界貿易が障壁の影響に見舞われる状況が「著しく拡大している」と指摘した。
今回発表された文書は、覇権国の間で緊張が高まる現在の国際情勢下で過去1年間に導入された対策を包括的に調査した初のケースとなる。「世界貿易を抑制する対策が広がることと、これによって生じた不安定な状況が、経済回復の脅威になりえる」とアゼベード事務局長はコメント。その上で、「すべての加盟国に対して現状を逆転させるような対策を可能な限り利用するようお願いする」と同事務局長は呼びかけた。(2018年12月12日付けエスタード紙)