米中貿易摩擦の激化に伴って、ブラジルの米国並びに中国向け輸出が拡大傾向となっており、中国向け農産物や米国向け資本財の輸出拡大に繋がって漁夫の利を得ている。
中国は過去10年間に、国内の需要に伴って世界の大豆を猛烈な勢いで購入してきたが、米国との貿易摩擦が激しくなる中で、中国の大豆輸入は15年ぶりに減少する見通しであるにも関わらず、今年初め7か月間のブラジルから中国向け大豆輸出は前年同期比18.0%増加、また今年初め7か月間の中国向け豚肉輸出も199%増加している。
今年3月23日、米国のドナルド・トランプ大統領は、突発的に国家の安全保障上の脅威になるとして、通商拡大法232条に基づいて鉄鋼・アルミニウム製品の輸入制限を発動した。
米通商代表部(USTR)のライトハイザー代表は、上院財政委員会公聴会で、北米自由貿易協定(NAFTA)を再交渉中のカナダとメキシコに加えて、更にオーストラリア、EU、アルゼンチン、ブラジル、韓国の計7カ国・地域を当面、輸入制限の対象から除外すると発表していた。
しかし5月31日に米国政府はブラジルとの取決めでも半完成品の鉄鋼輸出では、2015年~2017年の平均の70%に制限していた経緯があったが、今年初め7か月間の米国向け鉄鋼製品輸出金額は、38%増加に相当する18億ドル、鉄鋼製品輸出量は14.2%増加している。
ドナルド・トランプ米大統領は、鉄鋼とアルミ輸入の割当枠の適用対象国から韓国並びにブラジル、アルゼンチンを除外する文書に署名したと8月29日に米国商務省は発表した。
商務省では、米国の鉄鋼・アルミメーカーから入手できる製品が国内需要を満たせない場合、米国企業は該当する輸入製品の適用除外を申請、割当枠適用免除及び輸入関税免除が可能と説明している。
今年初め7か月間の米国向け機械・装置輸出は前年同期比16.9%増加、重車両は14.9%増加、自動車パーツ類は7.9%増加、樹脂や肥料などの化学製品輸出6.6%増加している。
前記同様に米中貿易摩擦の影響を受けて中国向け果物輸出は108.2%増加、オレンジジュースは48.3%増加、鶏肉は7.1%増加した一方で、中国向け鉄鉱石輸出は4.6%減少している。
中国政府が鳥インフルエンザの発生を受けて2015年1月に導入した米国産鶏肉の輸入禁止措置を取っている上に、米中貿易摩擦の激化で、ブラジルの中国向け鶏肉輸出の拡大のチャンスとなっている。(2018年9月3日付けエスタード紙)