トランプ大統領は、通商拡大法232条に基づき、中国産を含む鉄鋼・アルミニウムへの高い輸入関税措置の発表に対して、中国政府は、報復措置として米国からの128品目に達する輸入品に対して、30億ドル相当の輸入関税政策を発表して、両国間の過度な貿易摩擦が憂慮させている。
中国政府は、米国による対中国製品関税措置への報復として、最高25%に達する輸入関税政策を発表、128の対象品目には、大豆やトウモロコシ、綿花などが含まれている。
中国は、大豆の国内消費のうち年間1億トン前後の大豆を輸入に依存しているが、2016年のブラジルから中国への大豆輸出は4,250万トン、2017年は5,093万トン、前記同様に米国からは2,700万トン、3,300万トンとそれぞれ大幅に増加している。
ブラジルの2017/18年の大豆生産のうち中国向けは、過去最高となる7,000万トンが見込まれていたが、アルゼンチンの天候異変による隣国の大豆は大幅な減産が予想されており、今年の中国向け輸出は、最大でも7,400万トンに留まると予想されている。
ブラジルの2017/18年の大豆生産は、1億1,500万トンが見込まれているが、そのうちブラジル国内での大豆加工は最低でも4,300万トンを確保しなければならず、尚且つアルゼンチンの大豆生産が減少予想のために、大豆輸出の増加は限られている。
今年2月の中国の大豆輸入は前年同月比2.0%減少の540万トン、そのうちブラジルからの輸入は154.1%増加の170万トンに対して、米国からの大豆輸入は24.4%減少の360万トンであった。
今年のブラジル国内向け大豆消費の一部を米国からの輸入大豆で賄えば、今年の中国向け大豆輸出は、7,400万トン以上が可能であるとRabobank社アナリストのVictor Ikeda氏は説明している。
また中国政府が米国産綿花の輸入関税を25%に引き上げれば米国製と同じ品質のブラジル並びにオーストラリア産綿花の輸出増加の可能性は上昇する。中国は、昨年米国から52万6,000トンの棉を輸入、ブラジルからは8万3,000トンの棉を輸入している。
INTL FCStone社アナリストのVictor Andrioli氏は、中国政府は地理的に有利なインド並びにオーストラリアからの綿花輸入の拡大は予想される一方で、輸送費の嵩むブラジルからの輸入メリットはあまりない。
2017/18年のオーストラリアの綿花生産は100万トン、そのうち輸出は95万8,000トン、前記同様にブラジルは170万トンで91万4,000トンが輸出に回されると予想されているが、中国の綿花在庫は1,050万トンに達している。(2018年4月5日付けヴァロール紙)