メルコスールとカナダは、自由貿易協定締結に向けて3月9日にメルコスール議長国であるパラグアイの首都アスンション市で、実質交渉入りを発表、自由貿易協定が締結すれば、ブラジルにとってカナダへの製品輸出が拡大すると全国工業連盟(CNI)の調査で判明している。
カナダは世界10位の輸入国であり、2017年にカナダは5,000億ドルを輸入した一方で、ブラジルとカナダの貿易総額は僅か45億ドルに留まっており、自由貿易協定締結で、輸入関税が軽減すればブラジルからの自動車並びに化学製品、鉄鋼製品、農畜産製品、情報機器や鉱物関連製品の輸出拡大が期待できる。
メルコスールとカナダは自由貿易協定締結に向けての実質交渉入り前に、トランプ米大統領は3月初めに、鉄鋼とアルミニウムの輸入増加が安全保障上の脅威になっているとして輸入制限発動を表明、輸入鉄鋼製品に25%、アルミ製品に10%の高関税の課税を発表して、保護貿易主義を主張していた。
カナダ政府は自由貿易協定を締結していないブラジルに対して、自動車部品には6.0%の輸入関税を課しており、また履物には16.0%~18.0%の関税、特にブラジル製食料品には、最高70%に達するセーフガードに匹敵する関税を課している。
全国工業連盟(CNI)の調査によると、自由貿易協定締結で北米地域に輸出していないブラジルの321品目が関税削減などで恩恵を受けるが、そのうち255品目は完成品、27品目は半完成品、39品目は第一次産品、これらうち84品目は輸入関税の対象となっている。
2017年のブラジル産牛肉に対するカナダの平均輸入関税は13.25%、最高の輸入関税率は26.5%に達しているために、ブラジルからの牛肉のカナダ向け輸出は実質ゼロとなっている。
また2017年のブラジル製履物に対するカナダの平均輸入関税は、16.7%と高関税で価格競争力を削がれているために、履物輸出総額は50万ドルに留まっているとCNI工業開発担当のCarlos Abijaodi取締役は説明している。
EUとメルコスールの自由貿易協定の最終合意は農業部門での交渉が難航しているが、カナダとの自由貿易協定でも競争力のあるブラジルの農業製品に対する輸入関税率や課税対象期間などで交渉が難航すると予想されている。(2018年3月20日付けエスタード紙)