2000年に始まったメルコスールとヨーロッパ連合とのFTA協定交渉は、2004年に一時中断したにも関わらず、欧州委員会は、2010年11月、新たな通商戦略「EUの2020戦略の中核要素としての通商政策」を発表して、メルコスールとのFTA協定交渉を再開した。
2013年1月にサンチャゴで行われた閣僚会合では、メルコスールとヨーロッパ連合との間で商品・サービス・政府調達などの市場アクセス提案で合意したにも関わらず、その後の交渉は一向に進展せずに難航していた。
今週のヨーロッパ連合の非公式会合では、メルコスールに対して年間7万トンの食肉並びに60万トンのエタノールの輸入関税撤廃を提示したにも関わらず、メルコスールにとっては到底受け入れられない非輸入関税枠となっている。
ヨーロッパ連合は年間7万トンの食肉の輸入関税撤廃として3万5,000トンは生肉、3万5,000トンは冷凍肉の枠を提示したが、2004年の提示枠10万トンから更に削減されている。
ヨーロッパ連合の中でもメルコスールからの食肉輸入枠拡大に反対しているのはフランスやアイルランドの食肉生産国が中心となっている。ヨーロッパ連合は、年間平均24万6,000トンの食肉を輸入しているが、輸入食肉の74%はメルコスールであると指摘している。
またヨーロッパ連合は60万トンのエタノールの輸入関税撤廃では、40万トンが工業部門向けエタノール、20万トンは燃料向けエタノール枠となっているが、これは2004年の輸入枠と同じで一向に自由貿易協定の話し合いは進展していないとサンパウロ州砂糖キビ加工業者連合(Unica)のGeraldine Kutas上級顧問は指摘している。
2016年のヨーロッパ連合とメルコスールとの貿易総額は840億ユーロであったが、ヨーロッパ連合側は16億ドルの貿易収支黒字を計上していた一方で、日本とヨーロッパ連合とメルコスールとの貿易総額は1240億ユーロであったが、ヨーロッパ連合側は82億ユーロの赤字を計上していた。
ヨーロッパ連合は、メルコスールとの貿易では赤字を計上しているにも拘らず、FTA交渉では日本とのFTA交渉よりも優先すると予想されているが、農畜産や自動車分野での交渉が難航して進展が見られない。(2017年9月29日付けヴァロール紙)