開発商工サービス省(MDIC)の発表によると、今年初め10カ月間の貿易収支は385億2,700万ドルの黒字計上、統計を取り始めた1989年以降では最高の貿易収支黒字を計上している。
また10月の輸出総額は137億2,100万ドル、輸入総額は113億7,500万ドル、貿易収支黒字は23億4,600万ドル、10月としては2011年以降では最高記録となったが、今年の月間記録としては1月に次いで2番目に低い貿易黒字となっている。
今年初め10カ月間の輸出総額は1,530億8,800万ドル、輸入総額は石油の輸入減少に伴って大幅減少の1,145億6,100万ドルに留まったために、貿易収支は385億2,700万ドルの黒字を計上している。
10月の貿易収支黒字が23億4,600万ドルに留まった要因として、ブラジルの輸出を牽引する鉄鉱石や農産物の国際コモディティ価格が上昇したにも関わらず、輸出を牽引する大豆輸出が9月までに終了していた。
10月の石油・潤滑油の貿易収支は、石油の国際コモディティ価格の停滞並びにブラジルの原油輸出増加、経済リセッションによる石油の国内消費減少などの要因で、14億1,400万ドルの黒字で3カ月連続で黒字を計上していると開発商工サービス省(MDIC)貿易担当のエルトン・ブランドン取締役が説明している。
今年初め10カ月間の石油・潤滑油の貿易収支は、1億1,400万ドルに留まって前年同期の45億2,600万ドルから大幅に減少、年末までに石油・潤滑油の貿易収支は黒字に転じる可能性がある。
経済リセッションの影響を受けて製造業部門向け資本財や中間財輸入が継続して減少傾向にあり、また伝統的に年末は貿易収支黒字を計上するために、今年の貿易収支黒字は450億ドル~500億ドルをブランドン取締役は予想している。
今年の貿易収支黒字は415億ドルを予想、また2017年は国内経済回復に伴って輸入増加で、黒字幅は335億ドルに減少すると4E Consultoria社エコノミストのブルーノ・ラヴィエリ氏は予想している。
今年初め10カ月間の輸出総額は前年同期比5.1%減少、10月の輸出総額は前年同月比10.2%減少、前記同様に輸入総額は23.1%減少、15.0%減少して経済リセッションから抜け出していない。
また10月の中間財の輸入は前年同月比4.1%減少、製造業部門向け機械・装置などの資本財輸入は19.9%と大幅に減少、消費財も13.3%減少、特に経済リセッションによる製造業部門の電力エネルギー消費減少で石油輸入は52.8%減少している。
10月の第一次産品輸出は前年同月比18.6%減少、半完成品は0.4%減少、完成品は4.0%減少、また今年初め10カ月間では半完成品輸出が砂糖の国際コモディティ価格上昇に伴って唯一3.5%増加したが、第一次産品輸出は10%減少、完成品輸出は1.6%減少している。
ブラジル貿易会(AEB)では今年の輸出総額を1,820億ドル、輸入総額を1,400億ドル、貿易収支黒字を420億ドルと予想、経済リセッションからの脱出並びに貿易収支改善には、税制改革並びに労働法の見直し、年金・恩給改革を進める必要があると指摘している。(2016年11月2日付けエスタード紙)