大統領就任6か月のアルゼンチンのマウリシオ・マクリ大統領は、チリ並びにコロンビア、ペルー、メキシコで構成される太平洋同盟接近に舵を切るために、初めての公式訪問国として今月30日にコロンビアを訪問する。
1991年3月26日のアスンシオン条約署名から25年経過した南米南部共同市場(メルコスール)はブラジル、アルゼンチンの保護主義色の強い貿易政策で貿易の自由化を進めるという役割を完全に失っており、一向に他のブロックとの自由貿易協定が進展していない。
2010年にコロンビアで誕生したフアン・マヌエル・サントス大統領は、南米では先駆けて自由貿易を推進しており、またアルゼンチンでは、12年間に亘ってキルチネル一族の保護貿易主義から一転して自由貿易主義を唱えるマクリ大統領は、太平洋同盟国に積極的に接近を図っている。
マクリ大統領はアルゼンチン政府のイメージ改善のためキルチネル前政権のイメージを払拭するために、米国の投資ファンドに対する2001年の債務不履行(デフォルト)の全額返済による国際金融市場への復帰、また政治経済危機に直面しているブラジルとの関係は維持するものの、積極的に太平洋同盟国への接近を図っている。
2011年に発足した太平洋同盟は、域内の90%の製品は貿易関税がゼロ、ラテンアメリカへの投資総額の41%が集中、今年のペルーのGDP伸び率は3.7%、コロンビアは2.5%、メキシコは2.4%、チリは1.5%と国際通貨基金では予想している。
また2016年5月から貿易・投資・サービス分野の取り組みをまとめた追加議定書発効の太平洋同盟は、コロンビア以外は環太平洋パートナーシップ(TPP)の署名国のために、今後の東南アジア諸国との貿易拡大が期待できることもアルゼンチン政府が接近する要因になっている。(2016年6月15日付けエスタード紙)