2015年のブラジルの貿易収支は、輸出額の増加率が輸入額の増加率を上回ったことが主因となって196億8,100万ドルの黒字収支を計上、2011年以降では最大の貿易黒字を記録した。
今年の国内経済は昨年に引き続いて停滞が予想され、ブラジル製造業界では、国内の売上の落ち込みをカバーするために輸出による収益改善が余儀なくされている。
一般消費者の景況感の悪化、高止まりするインフレ指数、失業率の増加、家庭の実質収入の減少、銀行金利の上昇等が一般消費者の衣服品購入を控える要因となっており、また繊維・衣服部門にとってレアル通貨に対するドル高の為替による原材料の高騰、生産コストの上昇、電力エネルギーの値上げやサラリー調整分の最終製品への価格転嫁は販売不振で難しくなってきている。
ブラジル繊維工業会(Abit)の2014年8月の調査によると、繊維会社の僅かに27%が輸出を検討していたにも関わらず、2015年10月には大幅なドル高の為替の影響で80%の繊維会社が輸出増加を検討している。
2014年の自動車メーカーの自動車輸出は前年比40%減少、しかし昨年の自動車輸出はドル高の為替が追い風となって前年比24.8%増加の41万7,000台を記録、全国自動車工業会(Anfavea)のルイス・モアン(Luiz Moan)会長は、今年の自動車輸出は前年比8.0%増加を予想している。
昨年のワーゲン社の自動車輸出は前年比35%増加の12万4,959台でブラジルの自動車輸出の約1/3を占め、そのうちアルゼンチン向けは6万8,800台であった。
2015年第3四半期の製造業部門の輸入部品の比率はドル高の為替に伴って全体の23.5%と前年同期の23.7%から減少、しかし2009年の製造業部門の輸入部品の比率17.5%から6年連続で増加傾向となっていた。(2016年1月18日付けエスタード紙)