昨日14日、アルゼンチンのマウリシオ・マクリ新大統領は、アルゼンチンの貿易拡大促進のため貿易障害となっているセーフガード撤廃を表明、初めに貿易収支黒字確保のための実質的な輸入制限措置である輸入事前審査制度(DJAIs)撤退は発表した。
またマクリ大統領は小麦・とうもろこし・ひまわりなど穀物輸出税の撤廃方針を表明、例外として大豆の輸出関税は35%から30%に削減、輸出税撤廃による10億ドルの歳入減にも関わらず、穀物輸出拡大による外貨収入急増で歳入減の補填が見込まれている。
23%の小麦、20%のトウモロコシ、32%のひまわりの輸出関税がそれぞれ撤廃されるが、大豆は35%の輸出関税を毎年5.0%減税して7年後の2022年に関税ゼロが予定されており、食肉並びに魚肉の輸出関税も撤廃される。
アルゼンチンの穀物生産者は穀物の輸出関税撤廃の影響で小麦並びにトウモロコシの生産は30%増産を予想、またアルゼンチンペソの下落で更に価格競争力が増加すると予想している。
輸入事前審査制度(DJAIs)撤廃は来年1月から予定されているが、米国政府は、アルゼンチンが米国からの輸入品に対して広範な輸入制限措置をとっていると世界貿易機関(WTO)にパネル(小委員会)設置を2012年に要請していた経緯があった。
アルゼンチン中銀は2011年からドル流出を防ぐために為替操作を行ってきたにも関わらず、現在の外貨準備高は250億ドルまで減少、今週中にマクリ大統領は為替市場の統一を発表、しかしアルゼンチン工業連盟では繊維セクター並びに履物、金属セクターが為替安に伴って輸入製品急増で壊滅的な影響を受けると反対している。
小麦並びにトウモロコシなどの穀物の輸出関税撤廃でアルゼンチン国内の在庫品輸出で60億ドル~80億ドルの外貨収入に結び付くと予想されている。(2015年12月15日付けエスタード紙)