先週、ジウマ・ロウセフ大統領は、ブラジルの停滞する経済状況からの脱出並びに新経済班の財政再建策の導入による公共投資縮小などの停滞ムードを一新するためにも新たな国家輸出振興計画(PNE)を発表した。
しかしジウマ第一次政権の2011年~2014年の過去4年間の輸出拡大振興の最優先国32か国の輸出は大幅に減少、最優勢輸出品目32品目のうち23品目で減少している。
連邦政府は国家輸出振興計画(PNE)を発表して、完成品輸出が主な製造業部門の輸出競争力の追い風となっているレアル通貨に対するドル高の為替にも関わらず、今年初め5か月間の輸出最優先国向け輸出は前年同期比6.4%減少の219億ドルにとどまっている。
ジウマ第一次政権の2011年~2014年のアルゼンチン向けの完成品輸出はアルゼンチン国内経済の停滞や中国の台頭で家電並びに自動車部品、履物、繊維を中心に22.1%減少している。
また同期のチリ向け完成品輸出はドルに対するレアル高の為替の影響で価格競争力を失って18.4%減少、ウルグアイ向けは25.4%減少、ドイツ向けは38.5%減少、日本向けは19.5%それぞれ大幅に減少していた。
2011年7月のドルの為替はR$1.56でブラジルの輸出製品の価格競争力を削いでいたが、過去12か月間のレアル通貨に対するドルの為替は40%上昇して輸出に追い風となっているにも関わらず、世界経済の停滞による需要減がブラジルの輸出拡大の障害になっているとブラジル貿易会(AEB)のジョゼ・アウグスト・デ・カストロ会長は説明している。
国家輸出振興計画(PNE)では、ブラジル製品の輸出拡大を振興するための最優先国32か国並びに優先輸出品目3,200品目を選定、輸出相手国との輸出業務の簡素化や関税手続き緩和政策の導入、輸出企業の競争力強化に対するサポートを行う。
ジウマ大統領の米国訪問による経済ミッションの派遣以外にも、牛肉輸出を再開する中国向け企業ミッション団の派遣、またコロンビアにも機械・装置、電気電子製品、情報機器、エタノール、自動車部品やプラスティック製品関連の40企業のミッション団を派遣する。
南米・カリブ地域の輸出拡大最優先国はアルゼンチン並びにボリヴィア、チリ、コロンビア、キューバ、パラグアイ、ペルー、ウルグアイ、ヴェネズエラ、中近東地域ではサウジアラビア、アラブ首長国連邦、イラン、トルコとなっている。
アフリカ地域の輸出拡大最優先国は南アフリカ、アンゴラ、アルジェリア、エジプト、ナイジェリア、モザンビーク、アジア・太平洋地域ではオーストラリア、中国、韓国、インド、日本、ヨーロッパ地域ではドイツ、フランス、英国、ポーランド、ロシアとなっている。(2015年6月29日付けヴァロール紙)