欧州連合(EU)に対する自由貿易協定(FTA)に向けた統一条件のとりまとめに向けたメルコスルの代表者会議は、最終的に結論を出すことなく終了し、今後の進捗の可否は、政治的解決に依存する事態に陥った。
技術面と外交面での議論は空転しており、EUとのFTA締結に向けたメルコスル域内全体での統一条件の提示は、域内各国の大統領による政治的判断と裁量でしか解決できない状況に陥った。2週間前にベネズエラで行われた直近の実務者協議では、結論を出すことなく終了した。各国が合意するには程遠く、「政治的解決」に舞台が移ったというのが担当者らの見解だ。
この問題は、今後、サッカー・ワールドカップ開催後の7月中旬にセアラー州フォルタレーザ市で予定されるBRICS首脳会談と併せて開催される南米諸国連合(Unasul)の首脳会談期間中に、メルコスル域内各国首脳が集まる協議での、大統領らの調節交渉が、新たな、しかも最終判断が下されるラウンドになる。
共同提案の取りまとめに様々な課題を抱えつつも、ジウマ・ロウセフ大統領は、欧州側にメルコスルが統一条件を提示することは「象徴的な意味のある問題」と受け止め重視している。そのため、仮に統一条件を提示できるのであれば、同大統領は、EUとの合意が2015年にずれ込むこともいとわない構えだ。政府高官の1人によると、「彼女は個人的に、前回のブリュッセル訪問でこの点について約束している」と言う。
メルコスル側が域内合意を取り付ける期間は、4月末にモンテビデオで行われた協議が不発に終わって以降、「タイムリミットの線上にある」状況だ。この会合以降、進捗は全く見られない。公共に関係する人物によると、見解の相違だけが際立っている状態だという。加盟4か国の統一的提案は、カラカスで開催された共同市場グループ(GMC)の協議においても改善は見られなかった。
その結果、仮提案は、欧州からの輸入品に対する課税率をゼロに引き下げる期間においても不十分で、対象に含める品目の扱いでは各国の思惑から議論が紛糾している。両経済圏は、EU=メルコスルFTA協議に向けた提案書を6月上旬に交換する事になっていた。だが、カラカスでアルゼンチンが交渉を再び妨害し、ブラジルは提案を前進させるだけの力を持ち合わせていなかった。
メルコスルが統一条件を提示するには、87%の品目に対して関税をゼロに減らすことになるが、現在平均で82%であり、その目標とは依然隔たりがある。
メルコスル側は、関税をゼロに漸減させる期間を、当初の12年から15年に引き上げた模様である。他方、EU側はこの期間を10年にするよう強く求めており、その上で、非課税枠を拡大した場合には12年でも受け入れるという立場である。
だがアルゼンチンは、漸減期間の拡大だけでなく、「移行期間」への準備として7年の猶予期間の導入を強く求めている。だがブラジルを始めとした同盟国らは同国の主張に反対している。
両経済圏の貿易の計算において、「上方硬直性」と呼ばれる状況が蔓延している。言い換えると、ある国が特定の品目について提案するのを阻止した場合、この財は経済圏の提案品目から除外される。共同提案を改善せず、むしろ、最終的な提案内容の悪化につながる。いわゆる「センシティブ」と分類される品目が、統一条件のとりまとめの足を引っ張っているのである。(2014年5月28日付けエスタード紙)