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「特許に関する最高裁判決は特権にピリオドを打つものだ」と専門家がコメント 2021/05/13

ゼツリオ・バルガス財団法科大学(FGV Direito)の教師は特許権の存続期限延長は「世界に類を見ない」贅沢な行為だと位置づけるとともに延長の終了は常態に復帰したことを示すのみだと指摘した。

 

(写真)エロイーザ・マッシャード教授 今回の判決が他の係争に対する判決も加速させる可能性があると指摘。

 

【エスタード紙】5月6日の連邦最高裁判所(STF)の判決で何が決まり、今後にどのような判決が残されたのでしょうか?

 

【エロイーザ・マッシャード教授】昨日(5月6日)の判決は、工業所有権法第40条の単項が違憲だと宣告するものだった。ただし裁判所は、当該の判断が及ぶ範囲については定義しなかった。法律として、遡及効果がある。それが意味するのは、15年、あるいは20年を過ぎて効力の延長が認められている特許権は何であれ、消滅するということだ。だが既にSTF内では、判決の効力を調整すべく取り組みが始まっている。言い換えると、遡及適用を考慮した場合、医療分野の特許権の存続期限の延長分に限って消滅させるということだ。その他の業界、IT業界とアグリビジネス(種子)業界は影響を受けないだろう。だが業界が何であれ、今後は、新たに延長措置が認められることはない。

 

【エスタード紙】今回の判決が意味するところは何でしょうか?

 

【エロイーザ教授】工業所有権法のなんらかの条文の合憲性に関して、憲法の定めるところに照らしてSTFが判断を下したのは今回が初めてのことだ。それは、きわめて重要な判断だ。この評決に判事らを至らしめた原動力になったのは、これらの特許権が医薬品の価格と調達可能性に関係しているという影響面だ。このことは、STFが別の訴訟でもこの問題に関して審理していることから、今後の新たな判決にも影響を与える可能性がある。

 

【エスタード紙】別の係争があるのですか?

 

【エロイーザ教授】そうだ。高額な医薬品を巡る訴訟は、特許に関するこのような議論だけでなく、パイプライン特許を違憲とする主張、つまり既にパブリックドメイン状態にあった医薬品の排除するような主張に対しても争われている。福祉を受ける権利、薬価、特許権の観点から行われているこのような議論はSTFの他のいくつかの訴訟でも審議されているが、今回の判決は、不適切な保護によって生じる不均衡が福祉へのアクセスに与えている弊害についてSTFが注意を払っていると強いメッセージを発したのだといえる。

 

【エスタード紙】判決はイノベーションに対するインセンティブを奪い投資の逃避を引き起こすでしょうか?

 

【エロイーザ教授】私はそう思わない。議論しているのは、特許権に関する基準を曲げようというのでも消滅させようというのでもない。特許を正常な状態に戻すこと、つまり20年を上回って権利を認めることが違憲だと議論しているのだ。こうした状況にもかかわらず様々な業界が、変更は何であれインセンティブを奪うものだと大々的に主張する。だが、それは事実と異なる。その上、約束されていたように次々とイノベーションを生み出す能力を持ったシステムではなかったことで様々な分野、何より貧困国に壊滅的な打撃を与える疾病に関して、イノベーションが生み出されるケースが欠如していることに懸念を生じさせていると、広く世界的に認められた診断結果が存在する。この診断結果はつまり、わずかなイノベーションと引き換えにイノベーションへの特権を与えすぎているのではないかということだ。それは危機に瀕しているシステム、国際的に改正が様々に議論されているシステムである。パンデミックがこのシステムの深刻な欠陥を明らかにしたにもかかわらず、その解決策を見出す方法を考えることに生産部門が強く抵抗するのは残念というしかない。

 

【エスタード紙】では今回の判決は法的不安定性を引き起こさないということでしょうか?

 

【エロイーザ教授】そうではない。ここでの話は、憲法の定めるところに従って法令を適応させることと、国際的なパラメータに適応させるということだ。このような法外な保護(20年に10年を加算)は、世界のどこを探しても存在しないパラメータだ。ここで話しているのは、20年にわたってその発明と特許権を行使してきた企業がその権利をさらに10年にわたって行使することを求めているが、それは違憲だということなのだ。これらの企業は残りの存続期限を排他的かつ独占的でありたいと希望するだろうが、それは私たちの扱うシステム、競争力と競争、自由なイニシアティブによるシステムではない。

 

【エスタード紙】STFの判決で利益を得るのは誰でしょうか?

 

仮にある法律が違憲だというのであれば、我たちすべてが勝者だ。なぜなら我が国の憲法と対立する法的歪曲がないということだから。公共予算を執行する人たち、公共システムを利用する人たち、健康保険の加入者、医薬品を消費する人たち、すべてが利益を得る。正常化し違憲状態を正すという試みによって、誰もが勝者なのだ。違憲な規定に基づいて違法に富を蓄積して強い力を持つ業界や産業はそれほど満足していないだろう。この特権をもう少し長く保持することを望んでいたのだ。

 

【エスタード紙】COVID-19がSTFにおける審理を迅速化させた側面があるのでしょうか?

 

【エロイーザ教授】この議論はかなり以前からのものだ。ブラジルでは、この論争によってある時、我が国のHIV患者治療政策を盛り上げた。医薬品の特許権に対する議論、ジェネリック医薬品産業を考慮しようという政治志向、規定の適用を柔軟化して保護すべきでないものを保護しないことの重要性を認めようということに国内外で戦いがあった。その結果、医薬品に対する普遍的な調達可能性の確保、より多くの患者の生存率向上という素晴らしく成功した政策につながった。COVID-19の緊急事態に直面して、統一保健システム(SUS)が完全な危機的状態に陥り、想定外の支出と継続的に資金不足に陥る問題が発生する中、福祉を受ける権利を真剣に受け止めるべきだとブラジルが国家としての選択を求められている。パンデミックは欠陥を示し、白日の下に晒した。人々の調達可能性には非対称性が存在する。パンデミックは世界規模のものであるが、その解決策は一様ではなく、一部の国は余剰のワクチンを確保し、別の国は医薬品有効成分(API)の製造に集中し、貧困国は産業を発展させられずに未だ具現化していない国際的な連帯の親切にすがる状態だ。(2021年5月7日付けエスタード紙)



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