2014年から財政赤字が続いてきたブラジルだが、財政状況が弱り切っている状況下で新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミックが直撃し、支援策に資金を提供するために国庫の解放を余儀なくされた。その結果は、7,431億レアルという過去最悪の赤字である。
パンデミックは、2020年のブラジルの公会計に過去最悪の赤字をもたらし、最終的に我が国の歳入が歳出を上回る状態まで復帰するには2027年を待たなければならないという、大きな傷を残した。財政赤字は、ブラジル経済が生み出した富の総額として計測される国内総生産(GDP)の10%に相当する7,431億レアルだった。2014年から財政赤字が続いてきたブラジルは、財政状況が弱り切っているタイミングでパンデミックの直撃を受け、COVID-19が引き起こしたパンデミック禍で身を守る術のない企業と国民を支援するため、国庫の開放を余儀なくされた。政府総債務残高はGDP比90%まで急上昇し、これまで年を追いながら先送りされてきた黒字化は、さらに遠のいた。連邦政府の経済スタッフは、公共支出の削減を支援して公会計の改善の足取りを加速させる財政改革を弁護する主張を強めた。
国庫管理局のブルーノ・フンシャル局長は、「歳出の効率を改善してGDPに占める歳入の比率を改善する改革を推進して前進していくかどうかは、我々次第だ。税制改革と行政改革が歳出入の方向性に影響し、より早期の黒字化達成を可能性にする」と話す。
さらなる悪化もあり得た財政赤字
こうした状況であるが、2020年の財政赤字はさらなる悪化も有り得た。この赤字は、8,000億レアルの壁を突破すると予想されていたのだ。だが、COVID-19対策費の一部が2021年に繰り延べられたほか、社会保障費と、公務員への給与と賞与、失業保険に関連した支出が2020年は想定を下回ったこともあり、国庫管理局を助けた。
投資を含めた裁量的経費は、想定を76億レアル下回った。社会保障費(70億レアル)と、賞与及び失業保険(45億レアル)、人件費(32億レアル)でも支出が想定を下回った。社会保障サービス(INSS)の赤字は、11月の時点で2,682億レアルと予想されていたが、最終的に、年末時点で2,592億レアルに落ち着き、その差額は91億レアルだった。
こうした状況を踏まえて連邦政府は、2021年に歳出上限規定の履行を助けると期待される、これらの支出を見直すことになる。歳出上限規定はインフレ率以上に歳出が肥大しないように制限をかけるもので、義務的経費の増大と国会の思惑という圧力に強くさらされている。
「税制改革と行政改革が歳出入に影響し、より早期の黒字化達成を可能性にする」(国庫管理局のブルーノ・フンシャル局長)
国庫管理局によると、機械の調達費と投資を含めた裁量的経費は、2021年に「2020年の実績額に近い規模」になるはずだという。2020年が1,082億レアルだっただけに、財政への打撃を軽減する要因のひとつと言って差し支えないものになる。2021年の裁量的経費に関する最新の予測は、この中でおよそ830億レアを経費と投資に見込んむというもので、楽観性に非常に乏しいものだった。
エスタード紙の既報のように、連邦政府は既に、社会保障費及び人件費を引き下げるよう見直し、その結果、歳出の引き上げ圧力を緩和できる余地を生み出せると期待している。こうした歳出肥大への圧力のひとつは、最低賃金の調整に使用されるインフレ率、全国消費者物価指数(INPC)の昂進である。2021年予算では1,067レアルと計画された最低賃金だが、最終的には、これを大きく上回る1,100レアルに定められたのだ。(2021年1月29日付けエスタード紙)