2018年の資源大手ヴァーレ社の純益は、鉄鉱石の国際コモディティ価格上昇並びにドル高の為替が追い風となって、前年比45%増加の256億レアルを記録している。
しかし今年1月25日にヴァーレ社所有のミナス州都ベロ・オリゾンテ市近郊のブルマジーニョ鉱山のフェイジョン1鉱滓用ダムの決壊事故が発生、死者並びに行方不明者が300人以上に達し、ヴァーレ社にとって4億8,000万レアルの資産減少のインパクトになると予想されている。
ヴァーレ社は、連邦裁判所から被害者への損害賠償や環境改善などの対応として169億レアルの資金凍結を言い渡されており、今年の決算悪化は避けられない状況となっている。
2018年第4四半期のヴァーレ社の純益は前年同期比472%増加の144億8,000万レアル、前記同様に同期の売上は25.57%増加の374億4,500万レアル、昨年1年間では前年比24.0%増加の1,344億8,000万レアルを記録している。
また2018年第4四半期のヴァーレ社の税引前利益に支払利息と減価償却費を加算したもので総資本に対してどの程度のキャッシュフローを産みだしたかを簡易的に示すEBITDAは28%増加の170億レアル、昨年のEBITDAは610億レアルに達していた。
ミナス州では2015年11月にサマルコ社のマリアーナ鉱山鉱滓用ダムの決壊事故発生で過去最悪規模の人身事故となり、有毒物質を含んだ濁流によるドーセ川流域一帯の環境破壊、漁業および農業への壊滅的被害が発生、鉱山鉱滓用ダムの補強や保全対策が最重要課題となっていたにも拘らず、僅か3年後に同様の事故が発生した。
更に2月初めのミナス州最大の鉄鉱石生産を誇るブルクツ鉱山のラランジェイラス鉱滓用ダムの操業許可の停止など相次いで、保全対策が等閑にされている鉱滓用ダムの不良が相次いで発覚して社会問題になっている。(2019年3月28日付けヴァロール紙)