2020年の経済動向の指標の一つであるセメント販売は、COVID-19パンデミックの影響で、4月並びに5月はブレーキが掛かって大幅に落ち込むと全国セメント工業組合(SNIC)では悲観的な見方をしていた。
しかし連邦政府によるCOVID-19パンデミック対応策として、600レアルの緊急給付金(auxílio emergencial)支給、住宅リフォーム需要増加、新規住宅販売の増加などの要因で、昨年のセメント販売は前年比10.9%の二桁増加の6,080万トンに達し、誰にも信じられない数字を記録したと全国セメント工業組合(SNIC)のPaulo Camillo Penna会長は驚嘆している。
COVID-19パンデミックや国内経済の不透明感増加、貧困層向けの緊急給付金(auxílio emergencial)支給の終了、構造改革の遅れなどの要因で、2021年のセメント販売は、前年比僅か1.0%微増に留まると全国セメント工業組合(SNIC)では悲観的な予想をしている。
COVID-19対応のワクチン接種は、国内経済回復にとって不可欠要因であり、また税制改革や行政改革などの構造改革の進展も不可欠であるが、昨年末のクリスマスや正月休暇時の第2波の感染拡大傾向をPaulo Camillo Penna会長は憂慮している。
また2009年のルーラ政権の経済成長加速プログラム(PAC)の大衆住宅建設"私の家、私の暮らし Minha Casa Minha Vida"に替わる既に上院で承認されている“ブラジルシンボルカラー大衆住宅 緑と黄色の家 Casa Verde e Amarela”プログラムや昨年6月に国会で承認された基本衛生法案PL 4.162/2019の新基本衛生法案(法的枠組み)の下、インフレ整備部門で最も投資の遅れている上下水道事業の初めのインフレ整備プロジェクト向け官民合同プロジェクト(PPP)はセメント業界にとって追い風になるとPaulo Camillo Penna会長は強調している。
2020年の年初のセメント販売予想は、前年比3.0%増加を予想していたが、COVID-19パンデミック直後の昨年4月のセメント需要は7.0%~9.0%減少、しかし5月からの需要回復傾向で6月は27.0%急増して、増加予想に転じていた経緯があった。
昨年12月のセメント販売は、前年同月比16.6%増加の470万トン、しかし1日当りの営業日数換算では、前月比13.2%減少の20万8,400トンに留まっていた。
現在のブラジル国内のセメント生産能力は年間9,400万トン、昨年のセメント工場の平均稼働率は65.0%、54カ所の多岐に亘るセメント生産一貫工場並びに39カ所のセメント工場を擁している。