今月5日にブラジル南東部に位置するミナス・ジェライス州のサマルコ社の鉱山廃水用ダムの決壊事故は過去最悪規模の人身事故となり、有毒物質を含んだ濁流によるドーセ川流域一帯の環境破壊、漁業および農業への壊滅的被害が発生している。
ブラジル地理統計院(IBGE)の統計によると2013年のミナス州の鉱業部門のGDPに占める割合は同州全体の7.5%に相当して大きな割合を占めており、州内の20都市の財政は鉱山会社からの歳入に依存している。
サマルコ社は大手資源開発会社ヴァーレ社とBHPビリトン社の合弁会社であり、ダム決壊事故の被害を受けたマリアナ市の税収の80%はサマルコ社に依存しており、サマルコ社の操業停止は死活問題となっている。
ブラジル鉱物院(Ibram)の発表によると、2014年~2018年の鉱業企業によるブラジル国内投資は536億ドルが予定されており、そのうち41.8%に相当する224億ドルはミナス州への投資となっている。
ミナス州ではヴァーレ社、アングロ・アメリカン社、CSN社、ウジミナス社など72鉱業会社が鉄鉱石生産に従事、今年上半期の同州鉄鉱石鉱山の失業者は2,097人に達していると鉱山局(DNPM)では見込んでいる。
2014年初めの鉄鉱石の国際コモディティ価格は1トン当たり134ドルであったが、今では45.1ドルと約1/3まで下落したためにロイヤリティ収入も大幅に減少している。
今年初め10か月間の鉱物資源によるロイヤリティ収入は11億9,150万レアル、そのうちミナス州は44.8%に相当する5億3,410万レアル、パラー州は28.7%に相当する3億4,170万レアルを記録している。
ブラジル国内の鉱山廃水用ダムは658か所、そのうちミナス州内には218か所あり、鉱山を擁している都市にとって非常に重要な歳入並びに雇用の創出につながる一方で環境破壊や不慮の事故発生の危険性が増加する。
ミナス州マリアナ市で起きたサマルコ社の鉱山廃水ダムの堤防決壊事故による環境破壊の修復や各種の賠償必要額は100億レアル以上に達すると予想、同社と同州検察局、連邦検察庁は当面の緊急支出用に10 億レアルの基金設立で合意している。(2015年11月25日付けエスタード紙)