ブラジル国内20都市の広告に掲載された販売価格を基準にまとめられる1平方メートル当たりの不動産価格動向を取り扱う「FipeZap」によると、2年以上続いた経済リセッション並びに失業率増加、実質賃金減少、住宅ローン向けクレジット縮小などの要因で、過去2年以上に亘って住宅価格が減少している。
2011年から2014年まで経済成長が順調であったブラジルでは、リオのオリンピック関連や基礎インフラ整備プロジェクト、住宅建設ブームで建設労働者の賃金や土地価格の上昇に伴って、不動産価格はうなぎ登りの現象をきたしていた。
しかし2015年からの住宅ブーム終焉や経済リセッション入りなどで住宅価格が低調に推移してきており、今年7月のインフレ指数を差引いた実質住宅価格は、2015年1月比で14.0$値下がり、2018年からの住宅価格の反転は、難しいとZap不動産エコノミストのブルーノ・オリヴァ氏は説明している。
2015年12月の過去12カ月間のインフレ指数を差引いた実質平均住宅価格は8.9%値下がり、前記同様に2016年12月も5.8%値下がり、今年初め7か月間でもすでに3.0%値下がりしている。
サンパウロ州内の不動産業界企業が加盟するサンパウロ不動産関連業者組合(Secovi-SP)の発表によると、今年5月の過去12カ月間の平均住宅価格は5.9%値下がり、また2016年12月の過去12カ月間の平均住宅価格は、需要の下落に伴って19.7%と大幅な値下がりを記録していた。
今年7月の政策誘導金利 (Selic)は9.25%と2013年8月以来4年ぶりに一桁台を記録、2016年9月の14.25%から5.0%も引き下げられており、賃貸用の不動産投資を考慮している投資家にとってはチャンスとなっている。
今年7月の1平方メートル当たりの不動産価格の「FipeZap」指数は、前月比0.15%減少して5カ月連続で減少、7月は1平方メートル当たりの不動産価格は7,654レアル、特にリオ市の1平方メートル当たりの不動産価格は、1万28レアルでブラジル国内では最も高かった。(2017年8月4日付けエスタード紙)