今年の国内セメント販売は、前回予想の前年比5.0%~7.0%から前年比5.0%~9.0%に下方修正したと13セメントメーカーが加盟する全国セメント工業組合(SNIC)のパウロ・カミーロ・ペーナ会長は指摘している。
今年の国内セメント販売は前年比平均マイナス7.0%に修正されたが、2018年の国内セメント販売は前年比では最高でも0.5%増加に留まると予想、また現在のセメント工場の設備稼働率は45%に留まっている。
ブラジル国内の年間セメント生産能力は1億トンに達しているにも関わらず、今年初め5か月間のセメント販売は、前年同期比マイナス8.9%を記録して建材販売のマイナス7.0%を上回っている。
2016年のブラジル国内セメント販売は前年比マイナス11.9%、2015年のセメント販売はマイナス9.5%、今年はマイナス7.0%の予想で3年連続で前年を下回ると予想されている。
国内セメント販売が大幅な伸び率を示していた期間のセメント販売は、個人住宅並びに商業施設や工場建設部門が牽引していたが、ラヴァ・ジャット作戦関連汚職問題発覚で公共事業の中止や先送り、汚職問題関連ゼネコンへのクレジット停止の影響を受けて、2015年以降のセメント販売は3年連続で前年割れとなっている。
しかしラヴァ・ジャット作戦汚職問題で建設業界が大きな影響を受けて壊滅的な様相を施しているために、テーメル大統領による経済成長加速プログラム(PAC)の大衆住宅建設プログラム“私の家、私の暮らし” による大衆住宅60万戸の建設発表や連邦貯蓄金庫の建材購入向けクレジットカード❝Construcard❞向け70億レアルの特別枠設定などでセメント販売の大幅な落ち込みを防いでいる。
2016年の国内のセメント消費は5724万トンであったが、今年のセメント消費は5,300万トンに留まると全国セメント工業組合(SNIC)では前回予想を下方修正している。
2004年~2014年の間には、連邦政府主導による大衆住宅ブームやインフラ整備プロジェクトが目白押しで、ブラジル国内の鉱工業部門が大幅に伸びたために、42カ所のセメント工場が新たに建設され、セメント生産は3,100万トンから7,100万トンと2倍以上に増加していた。
またセメント生産能力も6,300万トンから1億トンに増加、また経済リセッションが始まったにも関わらず、2014年~2016年には新たに13カ所のセメント工場が建設されて生産能力が需要を大幅に上回って更に設備稼働率を下げていた。(2017年6月27日付けヴァロール紙)