ブラジル国内20都市の広告に掲載された販売価格を基準にまとめられる1平方メートル当たりの不動産価格動向を取り扱う「FipeZap」によると、2年近く続く経済リセッション並びに失業率の増加、住宅ローン縮小などの要因にも関わらず、名目住宅価格は8カ月連続で上昇している。
中銀の最終フォーカスレポートによると、10月のインフレ指数は0.3%増加が予想されているが、今年初め10カ月間の名目住宅価格は、0.38%上昇してインフレ指数を大幅に下回っている。
調査対象の20都市の10月の名目住宅価格調査では、7都市で値下がりを記録、4都市でインフレ指数0.3%以上の値上がりを記録、今年初め10カ月間では5都市で名目住宅価格を上回っている。
ブラジルの国内住宅市場は回復が期待できない停滞状態に陥っているが、住宅市場回復には失業不安の解消、住宅向けの低金利のクレジット復活をZap Imoveis社のEduardo Schaeffer社長は指摘している。
10月の過去12カ月間の1平方メートル当たりのインフレ指数を差引かない名目不動産価格は、僅かに0.33%上昇した一方でインフレ指数は7.0%前後上昇しているために、実質的には7.03%の住宅価格の値下がりとなっている。
下院を通過した歳出がインフレ以上に肥大化するのを阻止する憲法修正案(PEC)241号/2016は、来月20日から上院議会の特別委員会で修正案241号のテキスト分析開始、12月13日若しくは14日に最終採択が予定で公共支出の大幅な削減、労働法改正並びに年金・恩給改革の早期着手などの問題が山積みしている。
政策誘導金利引き下げ開始による金融緩和政策、海外投資家の信頼回復によるサンパウロ平均株価の上昇、ドル安の為替、エンリケ・メイレーレス財務相への期待など景気の底からの脱出兆候も出てきているものの、Eduardo Schaeffer社長は、来年下半期から住宅市場は回復サイクル入りすると予想している。
10月の過去12カ月間のブラジル全国の住宅価格は、大半がインフレ指数以下の値上がりに留まっているが、リオ市並びにニテロイ市、連邦直轄地ブラジリア市、ゴイアニア市では名目住宅価格でも値下がりしている。
20都市の10月の1平方メートル当たりの名目住宅価格調査では、平均価格は7,652レアル、リオ市は1万236レアルで最も高く、サンパウロ市は8,622レアルで続いている。
一方ミナス州コンタージェン市の1平方メートル当たりの名目住宅価格は、全国平均を大幅に下回る3,611レアル、ゴイアニア市は4,111レアルに留まって格差が拡大している。
観光都市リオ市でもレブロン地区の1平方メートル当たりの名目住宅価格は2万1,727レアルとブラジルで最も高く、サンパウロ市ではヴィラ・ノーヴァ・カショエイラ地区が1万5,798レアルとなっている。(2016年11月4日付けエスタード紙)