ブラジル国内20都市の広告に掲載された販売価格を基にまとめられる1平方メートル当たりの不動産価格動向を取り扱う「FipeZap」によると、新規住宅向けクレジットの縮小や失業率の増加などの要因で、2015年の全国の不動産価格上昇率はインフレ以下で2008年以降では最低の上昇率を記録している。
2015年のインフレ指数の広範囲消費者物価指数(IPCA)を差し引いた実質不動産価格は前年比8.5%減少、特にベロ・オリゾンテ市並びにクリチーバ市、リオ市、ブラジリア市のインフレ指数を差引かない名目不動産価格は減少に転じている。
高い失業率、住宅向けクレジット金利の高止まりや並び与信強化などの要因で、2016年の不動産価格は現在の価格よりも減少すると不動産市場関係者は予想、「FipeZap」コーディネーターのEduardo Zylberstajn氏は前年比6.0%減少を予想している。
2010年のリオ市の1平方メートル当たりの不動産価格は前年比39.63%上昇したが、2015年はマイナス1.36%、前記同様にサンパウロ市は26.96%上昇、2.51%増加に留まっている。
2015年のブラジル国内20都市の1平方メートル当たりの不動産価格比較ではフロリアノポリス市は前年比8.38%増加、しかしインフレ指数の広範囲消費者物価指数(IPCA)予想10.72%を下回った。
フロリアノポリス市に次いでエスピリット・サント州ヴィトリア市の1平方メートル当たりの不動産価格は7.82%増加、セアラー州フォルタレーザ市は5.99%増加、サンパウロ州サント・アンドレ市は4.56%、エスピリット・サント州ヴィーラ・ヴェーリャ市は4.48%それぞれ増加している。
続いてサンパウロ州サントス市は4.18%、ミナス州コンタージェン市は3.73%、サンパウロ州サン・カエターノ・ド・スール市は3.57%、サンパウロ州カンピーナス市は3.48%、サンパウロ州サン・ベルナルド・ド・カンポス市は3.09%、南大河州ポルト・アレグレ市は2.92%それぞれ増加、しかしクリチーバ市はマイナス0.16%、リオ市はマイナス1.36%、ブラジリア市はマイナス1.47%、リオ州ニテロイ市はマイナス3.02%となっている。
昨年1月~11月の新規住宅/不動産購入向けクレジット供給元のポウパンサ預金の引出残高は580億レアルと同期間のクレジット供給総額708億レアルに匹敵する預金が引き出されている。
現在の政策誘導金利(Selic)14.25%は、最も安全な投資であるポウパンサ預金による収益率を大幅に上回っており、更にSelic金利の上昇予想でポウパンサ預金から他の投資への資金移動が予想されているために、新規住宅/不動産購入向けクレジットの供給が更に難しくなると予想されている。(2016年1月6日付けエスタード紙)