サンパウロ市内で最近建設された住宅の価格が、2013年第1四半期に7.8%値下がりしていることが調査で明らかになった。
サンパウロ市内で販売されている新築物件の不動産価格が、過去4年で初めての値下がりし、値上がりに対して広範囲にブレーキがかかっていることが示された。ブラジル資産調査社(Embraesp)が調査を実施したもので、これによると第1四半期に分譲された売れ筋である1LDKと2LDKの価格は、2012年12月と比較して、7.8%値下がりした。
その結果、2012年12月に平均6,400レアルだった2LDKの物件の床面積1平米あたりの価格は、2013年3月には5,900レアルに値下がりした。3LDKと4LDKの物件も同様に、第1四半期にそれぞれ5%と1%値下がりした。「恐らく、値下がりは販売の不振と通貨の流動性の低下を反映したものだろう」と、Embraespのルイス・パウロ・ポンペイア取締役は言う。
2012年末以降、販売を後押しして在庫を合理化するための異常な特売の嵐が市場を吹き荒れた。3月中旬には、例えば分譲会社のシレラは、サントス市(サンパウロ州)で、2010年当時の価格で2LDKと3LDKのアパートを販売すると発表した。エウジェニオ・マーケティング・イモビリアリオのカルロス・ヴァラドン社長は、「このような値下げが行われるのは初めてのことだ」と言う。
これに対してシレラは、当該の土地を2010年に購入した金額をもとに、この金額で提供することが可能になったもの、と説明する。
4月には、エヴェンが住宅用と商用の不動産価格を引き下げに踏み切り、最大30%引きの特売を現在まで延長している。
3月1日から販売する800か所の不動産に対して最大25%の割引を実施してきた建設会社のトリスルは、さらに、購入者の不動産登記料や引っ越し料金も負担する判断を下した。同社のリカルド・ステラ部長によると、販売は落ち込んでいないと話す。その上で、供給の拡大と契約のキャンセルに伴い在庫が若干だぶついてきたのだと話す。これは主に、購入者がローンを継続できなくなったことを意味する。
サイクル
ポンペイア取締役は、2010年と2011年に不動産価格の急激な値上がりと分譲ブームに沸いた不動産市場が、低迷期に入ったと確信している。同取締役によると、業界の企業は、不動産を買い求める人と投資として参加する人の規模を誤算した。最近になって不動産を購入している消費者は投資が目当てだった。現在、これらの購入者の一部が資金を回収するために不動産を販売している。これが、さらなる値下げ圧力につながっているのだ。
「最初に、2012年に新規建設が落ち込んだ。そして現在、各社は、より実情に即した価格へと値下げを実施しているのだ」と、ポンペイア取締役は言う。同氏は、2013年に1平米あたりの単価が10%値下がりすると予想する。「もしインフレを考慮するなら、新築不動産は、3%から4%の実質損失を計上することになる」と言う。一方、不動産業界の企業が加盟するサンパウロ不動産関連業者組合(Secovi-SP)のチーフエコノミスト、セルソ・ペトラッシ氏は、「市場は極めて堅調、ご心配いただきどうも」と力説する。同氏によると、不動産市場は値下がりもしていない上、「完全に」適切な状態という。
だが、データを見る限り、この意見に十分な説得力はない。Secovi自身が実施した調査によると、最新のデータである1―2月期は、サンパウロ市内で売却された不動産の件数が前年同期と比較して12.7%減少した一方、新たな販売分譲件数は16.8%増加している。だが、ペトラッシ氏によると、2013年は2月の販売が3月にずれ込んだのだという。このため、1―3月期で見ると1―2月期を上回る実績が記録されているはずだと同氏は話す。(2013年5月4日付けエスタード紙)