2014年3月に発覚した連邦警察のペトロブラス石油公社関連ラヴァ・ジャット作戦汚職問題による公共事業プロジェクト停止や新規インフラ事業取消などの影響で、ブラジルの大半のゼネコン大手企業が企業更生法申請、困難な資金調達や負債増加に直面して経営が圧迫されている。
ブラジル国内ではラヴァ・ジャット作戦汚職問題による中断を余儀なくされている公共事業プロジェクト総額は、900億レアル以上に達するとブラジル建設工業会議所(Cbic)では見込んでいる。
中断を余儀なくされている公共事業プロジェクトには、大都市圏の地下鉄や都市バス、環状道路、大学や病院建設など市民生活に直結するインフラ整備プロジェクトも含まれている。
Engevix社が請け負っていたサン・ロッケ水力発電所の建設工事は、すでに7億レアルを投資して80%が完成しているにも関わらず、同社がラヴァ・ジャット作戦汚職問題に関連していた影響で1年以上中断しているが、建設工事再開で10カ月間にわたって1,000人の直接雇用に結び付くとブラジル建設工業会議所(Cbic)は指摘している。
総発電能力が142メガワットのサン・ロッケ水力発電所建設工事の完成には、3億レアルの投資金の追加が必要であり、Engevix社では工事完成のため投資銀行から3億レアルのクレジット枠が確保できる中堅のゼネコンを探している。
ペトロブラス石油公社では、石油・天然ガス開発のコア事業に資金を集中させるために、積極的にポートフォーリオ関連企業の放出で資金調達を余儀なくされており、グループ傘下の農業用肥料生産会社UFN3社がGalção Engenharia社並びに Sinopec社に依頼していた肥料工場建設は、すでに32億レアルを投資して81%完成していたにも関わらず、ラヴァ・ジャット作戦による汚職発覚後の2014年12月から建設工事は中止され、未だに再開の目処は立っていない。
またUFN3社と同様に造船会社Estaleiro Enseada社が請け負ったペルナンブーコ州都レシーフェ市の循環バス回廊プロジェクトには、投資総額1億6,860万レアルのうちすでに1億3,600万レアルが投資されているにも関わらず、建設工事は約3年間に亘って中断している。
サンパウロ市地下鉄6号線の投資総額は99億レアルの大型投資案件となっているが、コンソーシアムを構成しているOdebrecht社並びにUTC社、Queiros Galvão社は、社会経済開発銀行(BNDES)からのクレジットが得られないために工事中止を余儀なくされている。
また投資総額が135億ドルに達するペトロブラスの2015年~2019年の主要な投資計画であるプレソルト鉱区で生産される天然ガスの精製向けのリオ州リオ石油製油所コンビナート(Comperj)の建設工事は2015年7月から中断されているが、ペトロブラスでは工事再開するために投資企業を探している。
ブラジル国内の各種インフラ整備プロジェクトは、ラヴァ・ジャット作戦汚職問題発覚以前から投資予算の見直しなどの要因で、しばしば中断を余儀なくされる慢性的な問題となっていた。
高等教育や治安、水力発電所などあらゆる分野のプロジェクトでは、予算見直しなどの要因で1,600件に達するインフラ工事が中断していると下院議会公共事業委員会では発表している。
ラヴァ・ジャット作戦汚職問題が発覚した2014年だけで250社以上のゼネコン企業が、運転資金のショート並びに投資銀行のクレジット縮小、新規工事発注減などの影響で企業更生法の申請を余儀なくされていた。(2017年6月18日付けエスタード紙)