現在の外資系航空会社によるブラジル航空会社への資本参加率は20%に制限されていたが、180日間の停職処分を受ける前のジウマ政権下では、資本参加率49%までの引上げが議論されていた。
しかし昨日の下院議会で暫定令714号の外資系航空会社によるブラジル航空会社への資本参加率100%が賛成票199票に対して反対票は僅かに71票に留まって承認、今後上院議会で承認されれば外資系航空会社の完全なブラジル航空市場への参入が可能となる。
トジーニ・フレイレ弁護士事務所のアナ・カンジダ・デ・メロ・カルバーリョ弁護士は、負債増加で多くのブラジル航空会社は破産危機に瀕しているが、資本規制のない外資系航空会社の参入で、ブラジル航空市場の業界再編につながると予想している。
昨年のブラジル系航空会社の純益は59億レアルの赤字を計上、過去5年連続で赤字を計上、2011年からの赤字累計額は154億レアルに達していると民間航空庁(Anac)は発表している。
昨年のゴール航空の赤字は35億レアル、TAM航空は15億7,000万レアル、Azul航空は7億5,300万レアル、Avianca航空は、1,200万レアルの赤字をそれぞれ計上しているとブラジル国内航空会社協会(Abear)は発表している。
5月の国内便の需要は前年同月比7.7%減少して10カ月連続で減少しており、ブラジルの航空各社では、今年の国内便数を前年比10%以上削減するとブラジル国内航空会社協会(Abear)のエドアルド・サノヴィクズ会長は予想している。
アイルランド国籍の格安航空会社ライアンエアー(Ryanair)は、2017年からアルゼンチン国内で営業を本格的に開始予定、また過剰な汚職にまみれているブラジル以外の南米諸国の政府関係者と参入交渉を行っている。
1985年に設立され、1997年の規制緩和以降格安運賃を武器に瞬く間に規模を拡大、現在ヨーロッパの格安航空会社の中では最大の航路ネットワークを展開するライアンエアーは、10年前にメキシコ、4年前にコロンビアにそれぞれ進出している。
コスト削減のために大都市の第一国際空港を使用せず、郊外の第二、第三国際空港を使用、またインターネットによる航空券予約が中心で販売代理店を置かずにコストを省くことで、ライアンエアーは他の航空会社よりも低価格料金設定をしている。
ライアンエアーは現在のアルゼンチンでのマーケットシェア5.0%~7.0%を3倍、コロンビアでのマーケットシェア2.5%を10%まで引き上げる計画を予定している。
メキシコではメキシコシティ空港ではなくコア空港としてMonterrey 空港、コロンビアではMedellin空港、アルゼンチンではブエノス・アイレスから50キロ以上離れた Cordoba航空並びに La Plata空港をコア空港として検討している。(2016年6月22日付けエスタード紙)