経済リセッションによる歳入減少並びに石油の国際コモディティ価格下落によるロイヤリティ収入の減少などの要因で、州政府公務員への給与支払いや医療・教育・衛生などの公共サービス提供向け財源確保ができなくなったために、昨年6月にリオ州政府は財政緊急事態宣言を余儀なくされていた。
昨年6月のリオ州政府の財政緊急事態宣言に続いて、南大河州政府並びにミナス州政府も財政緊急事態宣言を余儀なくされたが、パラナ州政府やサンパウロ州政府でも水力発電所並びに送電網、配電網の売却で負債軽減を図ると予想されている。
財政再建政策の一環として負債軽減やコストカットなど早急な構造改革に迫られているのは、ラテンアメリカ最大級の電力エネルギー会社である連邦政府のブラジル中央電力公社(Eletrobras)、ミナス州政府のミナス・ジェライス電力公社(CEMIG)、サンパウロ州政府のサンパウロ電力公社(Cesp)、パラナ州政府のパラナ電力公社(Copel)、南大河州政府の南大河州電力公社(CEEE)が資産売却を予定している。
国内経済停滞や電力エネルギー公社の時価総額下落、ドル高の為替などの要因が重なって、国内外の投資家にとって電力エネルギー公社買収は、千載一遇のチャンスとなっている。
連邦政府や州政府の電力エネルギー公社売却に参加すると見込まれている外資系企業として、カナダ資本Hydro Quebec並びに投資ファンドの CPPIB、 Ontario Teachers 、British Columbia が予想されている。
またヨーロッパ資本としてIberdrola社並びに Enel社、 Terna 社、 中国資本としてState Grid社並びにHuadian社、 China Three Gorges(CTG)社、 China Southern Grid 社、China Investment Corpration(CIC)、China State Power(SPIC)が挙ってブラジルのインフラ部門進出を狙っている。
Pinheiro Neto Advogados社のAlexandre Bertoldiパートナーは、電力エネルギー公社への資本参加や買収は収益性が高くて、取得済みの環境ライセンスなどで投資家にとって、煩雑なブロクラシーの少ない魅力的な投資先となっている。
ドル高の為替高で外資による負債軽減が急務の電力会社として、ミナス・ジェライス電力公社(CEMIG)はサント・アントニオ水力発電所並びにベロ・モンテ水力発電所の放出、グループ傘下のリオ州内のLight 社、電力配電会社 Taesa社の経営権や株式の一部譲渡などを余儀なくされている。
またミナス・ジェライス電力公社(CEMIG)との新規契約更新をしなかったサンシモン水力発電所並びにミランダ水力発電所、ヴォルタ・グランデ水力発電所、ジャグアラ水力発電所は、連邦政府によって9月30日までに再入札にかけられる。
サンパウロ州政府は、9月までにサンパウロ電力公社(Cesp)傘下の総発電能力が1,600メガワットのポルト・プリマヴェーラ水力発電所並びにパライブーナ水力発電所、ジャグアリ水力発電所を入札にかける。
パラナ州政府のパラナ電力公社(Copel)では、ポートフォーリオの見直しでパラナ州内の電力配電公社並びに風力発電所網の資産売却を検討、ブラジリア連邦直轄地のブラジリア電力公社(CEB)は、Lajeado発電所並びに CorumbaIII 発電所、Quimado発電所の株式の売却を検討している。
南大河州政府は、南大河州電力公社(CEEE)傘下の電力配電や電力エネルギー発電所売却を検討しており、連邦政府では、ブラジル中央電力公社(Eletrobras)傘下の北部地域並びに北東部地域の電力配電公社6社の売却や資本参加を予定している。
中国資本中国三峡集団公司(CTG)は、2015年11月にジュピア水力発電所並びにイーリャ・ソルテイラ水力発電所を138億レアルで買収、2016年にも1999年にブラジルの電力エネルギー部門に進出した米国資本Duke Energyのブラジル国内資産を12億ドルで買収して民間4位の電力エネルギー企業となっている。
また中国資本State Grid社は、2016年6月にゼネコン大手カマルゴ・コレア社が擁していたCPFL Energia社の23%に相当する株を58億レアルで取得後、ヨーロッパ連合諸国もブラジルの電力エネルギー部門への資本参加に対して調査開始を始めている。
スペインやイタリア、カナダの投資ファンドは、ブラジル国内での電力エネルギー部門の投資先を模索しており、英国資本の投資ファンドGuy Saxton傘下のBraszil Iron社では、ブラジル中央電力公社(Eletrobras)傘下の電力配電公社に10億ユーロの資本参加を検討している。
またカナダ資本Hydro Quebecはサンパウロ電力公社(Cesp)への資本参加や資産買収を検討、またOdebrecht Ambiental社の株式70%を27億レアルで買収しているカナダ資本Brookfield社は、ブラジル国内の小型水力発電所買収などを検討している。(2017年6月25日付けエスタード紙)